胎間忍 作:内府
近江国織田軍木下隊陣中
この部隊を預かるのは織田家において『木綿藤吉』と謳われる木下藤吉郎秀吉であった。
他の織田家の諸将は未だ越前国にあり朝倉征伐を終えて次の目標である近江国小谷城へ向けて出発の用意の最中であった。秀吉は朝倉征伐においても勲功を立てていたが、より大きな勲功を立てて出世しようと考えていた。
そのために無謀ともいえる小谷城攻めを単独で行うのだが、結果としてそれが成功する。
長政は落城までの時間を見誤っておりまったく余裕がなかったが、アサギの進言を聞き入れたことによりかろうじてくノ一達の脱出が間に合うこととなった。
秀吉「者どもー、銭が欲しいかー?女を抱きたいかー?この秀吉についてくれば出世の不安などない!心・配・ご・無・用じゃ!」
兵士達「応!!」
この木下藤吉郎は後に羽柴秀吉、豊臣秀吉と名乗るがその時々に胎間忍との数奇な運命で繋がれることになる。
小谷城でアサギ達が長政との会見を終えた頃、信濃の忍び里の館の里長の間において座椅子に座り綱手がシズネから里の近況について報告を聞いていた。綱手はつい先日生まれた我が子に母乳を与えているが両方の胸で与えるために両肩ともはだけており、肌脱ぎの状態で着こなしをしているがそんなことよりその腹はとても先日赤子を産んだとは思えない程丸々として大きい。
綱手「おっとと、ったく姉に乳をやってる間くらい大人しく出来ないもんかねえまったく。トクトクと腹の中で暴れるんじゃないよ。」
シズネ「綱手様、お子様をお預かりします。」
綱手「おお、じゃあ頼むよ。」
綱手はシズネに赤子を手渡すと自分の腹を撫で泣く子をあやすように話しかけた。
この忍び里のくノ一は忍法により自分の子宮を分身させることができる。この術の使い道は一度に多くの種を孕んだり、父親の違う種を孕んだり、といったものがある。
里の親方衆の中でも忍法に長けている者は常にこの術を発動させておき、いつ見ても大きな腹ということがよくあった。綱手もこの術を使用しており、体内のいずれの子宮の中には常に何人かの赤子がおり毎月のように臨月になっていた。
腹の中で暴れていた胎児が落ち着いたので綱手はシズネに向き直った。
シズネ「ではまず、浅井の件ですがアサギ達は無事小谷城内に入ったとのことです。」
綱手「うむ、だがまだ始まったばかりだ油断は禁物だな。」
シズネ「はい、その通りです。次に公家衆から子作り指南の依頼が来ております。大名家に嫁ぐ姫を指南してくれとのことです。」
綱手「親方衆の中から適当に選んでくれ。紅あたりがちょうどいいかもしれんな。」
シズネ「分かりました、そのように調整します。次の依頼は東北地方の豪族からで、養子のあてもなく跡取りがいないので早急に子供が欲しいとのことです。」
綱手「その件は危険度が低いから若手に回して経験を積ませろ。」
シズネ「では、ヒナタと蛇子を向かわせます。」……………………
こうして、里に来た依頼が振り分けられていった。