※この作品はR-18です。

復讐のイリュージョン   作:もっち~!

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奇跡のイリュージョンショー

 

---江戸川コナン---

 

久しぶりに両親が帰国したそうなので、自宅へと帰ってみた。俺の両親は米国に住んでいるのだ。

 

「おぉ、新一。久しぶりだな。相変わらず、コナン君姿か」

 

俺は彼女とデート中に、黒ずくめの組織に飲まされた謎薬により、身体が小学生になってしまったのだ。俺の本名は工藤新一、高校生探偵である。だけど、小学生姿では、そうは名乗れないので、江戸川コナンとして生きている。

 

「父さん、何か事件でもあったの?」

 

「ああ、目暮警部に調べて欲しいって、言われてね」

 

俺の父さんは推理小説家で、世界的に有名なナイトバロンシリーズの作者である工藤優作である。ちなみに母さんは女優である。そして、推理小説家である父さんは、名探偵としても活動しており、警視庁の目暮警部など、警察関係者の相談に乗っていた。

 

「どんな事件?」

 

「密室で、刑事部部長が殺された件だよ」

 

うん?いや、あれは

 

「自殺でないの?」

 

「まぁ、現場検証的にはな。だが、自殺でストローニードルは使わないだろ?」

 

ストローニードル…体内から少しずつ血液を体外へと出す拷問具である。死ぬまで時間が掛かり、痛みは伴わないが、死への恐怖をより長く感じさせる殺し方ともいわれている。

 

「使わないなぁ」

 

「引き出しには拳銃があったそうだ」

 

それは妙だ。自殺なら拳銃を使うだろう。死ぬまでに時間の掛かるストローニードルでは、死ぬ前に見付かり、救命される可能性が大であるから。

 

「今度の敵は、結構ヤバいヤツだ」

 

確か、本人以外の人物は、発見者以外、監視カメラに映っていなかったらしい。他の凶器であれば、発見者が犯人の可能性があるが、時間の掛かるストローニードルでは無理だ。

 

「父さんはどう見ているの?」

 

「う~ん、そうだな。一番現実味があるのは、催眠術による、自殺だが…この方法だと殺人の実証は出来ない」

 

完全犯罪か?

 

「もし催眠術であったならば、完全犯罪だと思う。ただ、いつ掛けたのかが、犯人を見つける手がかりにもなる。催眠術であれば、術者と接触しているはずだからな」

 

なるほど…だけど、罪は問えない可能性も大である。そもそも、催眠術で自殺って出来たっけ?理性がブレーキになると思ったけど。

 

「まぁ、犯人に罪を着せるのではなく、確保が優先ってことだ」

 

まぁ、確かに、催眠術であるのであれば、罪は問えないだろうな…

 

 

 

---毛利蘭---

 

「じゃ~ん!ねぇ、蘭。一緒に行かない?」

 

親友の鈴木園子から、イリュージョンショーの招待券を見せて貰った。

 

「ラスベガスから、今売り出し中の日本人イリュージョニストを、鈴木財閥が招聘したのよ。どう?一緒に行かない?」

 

う~ん、興味有るなぁ。そのイリュージョニストは、私も知っている。「種も仕掛けもありますが、あなたにはわかりますか?」が、有名なフレーズのイリュージョニストである。

 

「行きたい。とっても、興味あるわ」

 

「世良ちゃんは、どうする?」

 

「勿論、行くよ。種を見つけてやるんだ!」

 

世良ちゃんはJK探偵として売り出し中であった。新一がいたら、きっと行きたいだろうな…新一とは、幼なじみの工藤新一のことで、高校生探偵として、高校へ通わずに、全国を飛び廻っているようだ。

 

「ではお二人を招待しま~す」

 

VIP席って、書いてある。目の前で見られるのかな?

 

 

 

---江戸川コナン---

 

「で、容疑者は浮かんでいるの?」

 

「捜査線上に一人浮かんでいる。イリュージョニストである宗方当麻だ」

 

「それって、ラスベガスでショーをしている?」

 

「その通りだ。彼が一番の容疑者だ。彼なら、催眠術も使えるしねぇ」

 

「それだけの理由?」

 

とは思えない。

 

「1年前のセルフスタンドでの事故を覚えているかい?」

 

「確か、当初の被害者が、後に殺された事件だよね?」

 

「そうだ。その時の本当の被害者は、宗方仄と、お腹の中の子供だ」

 

「まさか…」

 

「そのまさかだ。宗方当麻の彼女と、その子供だ。で、その後に発見された遺体の女子校生の彼氏が、刑事部部長の息子さんだ。手口は今回と同じストローニードルによる失血死だったんだ」

 

そこで、繋がるのか…

 

「更に、彼はその事件の犯人として、証拠も自白も無しに、スピード逮捕、スピード送検され、その後に無罪釈放になっている」

 

おいおい…えん罪か…

 

「このことから、ストローニードル連続殺人事件の最重要人物になる」

 

彼は、刑事部長に恨みを抱いているのか。

 

「じゃ、任意での取り調べ?」

 

「拒否したそうだ。前回、任意の取り調べに応じて、その日のうちに誤認逮捕の上、誤認送検された訳だからな」

 

それはスピード過ぎるだろう。いや、彼を犯人にした者が、捜査関係者の上の方にいるのか?

 

「問題なのは、ストローニードルによる殺しが、これらだけで無いことなんだよ」

 

「他にもあるの?」

 

「あぁ、刑事部部長の本人、息子以外の家族も全員やられた。息子の彼女の家族も全員だ」

 

週刊誌にも載っていないぞ。極秘に捜査されているのか。

 

「復讐だけでは無いよね?」

 

「そうだよ。たぶん、色々と訊き出す為だろう」

 

ストローニードルの特性上、徐々に衰弱はするが、直ぐに死は訪れない。早めに終われば、助かる見込みがあるのだ。なので、自白剤代わりに使われるらしい。

 

「そして、新一にも関わることだが…毛利探偵もターゲットになりかねない」

 

何に?おっちゃんもか?

 

「なんでだよ?!」

 

俺の蘭の父親だぞ…

 

「当麻が捜索依頼をしたのだよ、毛利探偵にねぇ。その時点で、警察に情報を流していれば、別人として、荼毘にふされる事は無かった。あの事件当日、彼女の車は、あのスタンドに向かっているのがわかっていたからね」

 

それは…

 

「確実にスタンドに寄るとは思えないでしょ?」

 

「その日、彼女は当麻を迎えに空港へ向かうはずだったが、車は空港方向では無く、スタンド方向へと向かったんだよ。たぶん、ガソリンを補充しにね」

 

おっちゃん、何やっているんだよ。推理しなかったのか…

 

「まぁ、推論ではあるが…名探偵として、そういう推理込みで依頼したんじゃ無いかな?」

 

そうだと思う。

 

 

 

---佐藤美和子---

 

飢えた狼のように、私の身体を堪能している彼…全身くまなく食されていく。こんなにも、私をまるごと愛してくれた人っているのか。いや、いない…こんなにも情熱的に、時には恐怖を感じながら、私の身体は彼を求めている。

 

「あの事件、おかしいと思わないか?」

 

突き上げながら、訊いてきた彼。返事をしたくても出来ない。喘ぎ声しか出ない私。

 

「あの二人、なんでスタンドにいたんだ?レンタカーを借りたばかりで、ガソリンは満タンだったろうに?」

 

あっ!確かに…満タン貸しの満タン返しのレンタカーである。突き上げが激しくなり、乳房が上下に激しく踊っている。痛いけど、気持ちが良い。マゾになったかなぁ。

 

「ナンバープレートもおかしい。レンタカーのプレートしか残っていなかった」

 

そうだ。逃走車のプレートは無かった。いや、車の残骸も無かった気がする。

 

「あの二人が強盗の主犯格なんじゃ無いのか?」

 

まさか…でも、急ハンドルを切った逃走車。スタンドに入った方向と火柱の上がった方向が微妙にズレていた。それって…

 

「仄を載せたレンタカーに、爆弾をセットして爆破させたんだよ。アイツが、計画的だったと自白したよ。逃走車はスタンドの裏口から裏道へ逃げたそうだ。なんで、素人の俺の捜査で分かることが、警察でわからないんだ?」

 

それは、彼が、あの二人を殺したってことだ。だけど、彼の言い分もわかる。私の心は、彼に傾いているせいかもしれないが。

 

「仄のお腹の子供…あのバカ息子が、仄を強姦した際に、死んだらしい。胎児入りの女は気持ち良いって、言っていたよ。仄も計画的に襲われたのかもしれない」

 

彼の目から涙が零れている。その彼の怒りは、私に向けられている。プレイがより激しくなっていく。痛い…殺されるかな…初動捜査ミス、刑事部部長指揮による捜査、悔やんでも悔やみ切れない、警察の失態である。殺されても、文句は言えないか。捜査怠慢だったかもしれない。

 

「くそっ!」

 

私から突然離れた彼。急いで起き上がり、彼の背中に抱きつく。彼の傍にいないと、どこか遠くへ行ってしまいそうである。私の手の届かない場所へ…

 

「私を好きにしていいから。だから…もう止めて…」

 

泣いて彼に縋る。彼の身が心配である。彼の事件に対する疑問は、私よりも深く的確であった。

 

「もう少しするよ。まだ、全員に復讐をしていないから…」

 

彼の視線は仏壇へと向けられていた。

 

 

 

---目暮警部---

 

佐藤刑事から連絡が無くなり、既に半年が経過した或る日、私宛に1通の手紙が届いた。佐藤刑事からだ。

 

『取り急ぎ、疑問だけを…あの現場に逃走車両のナンバープレートはありましたか?胎児の死体に何かおかしな点は無かったですか?スタンドに着いた時点でのレンタカーのガソリンの推定残量はどのくらいでしたか?以上…調べてください 美和子』

 

と、書かれていた。筆跡鑑定をした結果、佐藤刑事の筆跡で間違いは無いようだ。

 

「彼女は極秘で捜査していたのか…」

 

「生きている証拠ですよね?」

 

部下達が喜んでいる。

 

「ここに書かれた疑問を直ぐに捜査してくれ。いいな!」

 

部下達の気力が漲り、捜査へと出掛けていった。

 

 

 

---工藤優作---

 

目暮警部が訪ねて来た。捜査資料をカバン一杯に詰め込んで。

 

「どう思うかね、優作君」

 

行方不明だった女刑事が極秘捜査をし、疑問点を警部に手紙で送ってきたそうだ。

 

「で、ナンバープレートの件は、どうだったんですか?」

 

「押収リストにはなかったよ」

 

そうなると、あの炎上には巻き込まれていないのだろう。現場の見取図によると、炎上した車の向こう側に、もう1レーンある。手前のレーンで爆炎のカーテンを引き、後方のレーンから逃走したのだろう。いや、道路と反対側に作業用の裏口が有り、裏道につながっているようだ。こっちが正解か?

 

「胎児の死体検案書は?」

 

「無かった。検死をしなかったようだ。当時の解剖医に話を訊こうと思っているのだが、家族全員が行方不明だそうだ」

 

既に殺されているんだろう。彼の怒りによって…

 

「後、レンタカーのガソリン残量は?」

 

「満タン貸しだそうだ。だから、あのスタンドには、ほぼ満タンで着いたはずだ」

 

「そうなると、主犯格は、あの二人ですね。ガソリンが満タンのレンタカーを爆弾にしたのでしょう」

 

「なんてことを…で、胎児の件はどういうことだね?」

 

「被害女性が強姦にあった証拠ってことです。きっと胎児の頭部に異変があったのでしょう」

 

復讐したい気持ちは分かるが…しかし…当麻君、殺人は悪だ。必要悪はいらないんだよ。気づいてくれ…

 

 

 

---江戸川コナン---

 

奇跡と疑惑が入り交じったイリュージョニストが公演をするそうだ。あの鈴木財閥が招聘をして、日本に招いたそうだ。その公演に父さんと見に来た。奇跡のイリュージョニストのお手並みを拝見ってことだ。

 

「ラスベガスのショーを何回も見に行ったが、トリックがさっぱりわからないんだよ」

 

手品師キラーの父さんでも、種を見破れないのか。

 

「彼は手品師では無く、本当の魔法使いかもしれない。そんな気がする天才肌のイリュージョニストだよ」

 

父さんが苦笑いした。本当の魔法使い?有り得ない。俺がトリックを暴いてやる。

 

◇

 

そして、ショーが始まった。

 

「種も仕掛けもありますが、あなたにはわかりますか?」

 

と、言いながら、宗方当麻が現れた。

 

「では、今宵のショーを一緒に愉しんで貰う、ラッキーな人を選びましょう」

 

後を向き、ロフテッド軌道で紙飛行機を飛ばした当麻。その紙飛行機が、徐々に高度を下げ、VIP席に座っている観客に着陸した。

 

「おぉ、ラッキーです。かわいい女性のようです。どうぞ、舞台にお上がりください」

 

って、舞台に上がったのは蘭だった。まさか、狙ったのか?ロフテッド軌道で投げた紙飛行機のコントロールだと…それも、後向きだったぞ。

 

「あれは偶然では無い。既にマジックは開幕しているんだ」

 

と、父さん。あれもマジックなのか。う~ん、種がわからない。

 

「では、まず、私の手をチェックしてください。種や仕掛けがあるかもしれません」

 

蘭の前に左手を差し出した当麻。その手をチェックする蘭。

 

「あれ?これって…」

 

蘭が指サックを見つけた。会場が盛り上がる。

 

「あぁ、種が見付かってしまいました。どうしましょう」

 

って、指サックを外された指先に火が灯った。マジ?なんだ、あのトリックは?その灯った火でタバコに火を付け、蝋燭を点火していく。

 

「さて、お嬢さん、この指先の火に触りたくないですか?あぁ、赤い色の時は火傷します」

 

当麻が右手をかざすと、指先の火は青い火に変わった。

 

「これなら、触れても安全です」

 

怯む、蘭。その鼻先に火を当てる当麻。

 

「あれ?熱く無い…ひんやりしている」

 

蘭の声はマイクが拾い、会場全体に聞こえている。

 

「火を氷属性にしましたから。でもねぇ、これでも火の役目は出来るんですよ」

 

って、2本目のタバコに火を着け、指先の火を消した。

 

「分かるか?今のトリックを、会場中にいる名探偵の諸君には」

 

「まるで分からない。アイツ、本当の魔法使いなのか?」

 

種を奪わせておいて、マジックするって…尋常では無いマジシャンだ。一体、何通りの種を仕込んでいるんだ?

 

「次に、空中浮遊をしますか。お嬢さん、お手をコチラへ」

 

蘭と手を結んだ当麻。

 

「では、軽くジャンプをしてください」

 

蘭がジャンプをすると、蘭と当麻が舞台の上に浮遊した。床から3メートルくらい上を浮遊し、移動もしている。

 

「あぁ、客席には行かないでください。スカートの中が見えてしまいますよ」

 

真っ赤な顔で俯く蘭。爆笑する客席。なんだ、この浮遊術は…トリックがわからない。普通はワイヤーで吊すが、蘭にはワイヤーが無い。サクラでも無い限り、事前にワイヤーを仕込むことは無理である。

 

その後も小ネタのマジックをして、最後に人体消失術をすると言う。

 

「この魔法のマントをこうやって、彼女に掛けると、消失します」

 

って、説明中に蘭を消失させた当麻。

 

「あれあれ?フライングですか?段取り通りしてくれないと…」

 

ドット湧く会場。マントを空中に放り投げて、両腕で支えると、マントの中から、お姫様抱っこされた蘭が現れた。すげぇ~、なんだ、あの術…

 

蘭を下ろし、蘭にお礼を言って、サインなどのプレゼントをして、

 

「では、今宵のショーは、ここまでにします。種を使い切りました。みなさん、また会いましょう」

 

って、マントを振ると、当麻もマントも消えた。

 

◇

 

「どうだった?」

 

父さんに訊かれた。

 

「すげぇ~よ。背筋がゾクゾクする」

 

「そうだろ?何回見ても、私もそうなんだよ。で、何か1つでも種は見抜けたか?」

 

「残念だけど、全然ダメだよ。父さんは?」

 

「当麻君は本当の魔法使いだって言うのが、種だと思うんだ」

 

父さんが笑ってそう言った。父さんの言う魔法使いって意味が分かった気がする。本当のマジシャンなのだろう。魔法使いが手品師をしちゃダメだと思う。それは反則だと思う。

 

そうなると、ストローニードルの犯人は、アイツでは無いのでは。魔法使いなら、足の付かない、やりようがもっとあるだろう。

 

蘭の家に帰ると、蘭は疲れたと言って、もう寝たらしい。緊張しすぎたのだろうな。舞台に立ったんだから…

 

 

 

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