※この作品はR-18です。

嗜虐西遊記【完結】   作:ドン・ドナシアン

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109 絶望の砦

「あっ、あああっ、もういやああっ」

 

 朱姫は、またもや感極まってしまい、その場にうずくまった。

 

「いやっ、あああっ」

「うあっ」

 

 すると、股間とお尻の穴を張形で繋げられている沙那と孫空女も、当然に引っ張られて、一緒にしゃがむことになり、三人でまたもや、座り込んだ。

 

「んんっ、んんんんっ」

 

 そして、沙那がちょっと遅れて、気をやったのがわかった。

 沙那の身体がぶるぶると痙攣したように、震えたのを背中越しに感じたのだ。

 

「またかよ、お前ら、とにかく、やっと火雲洞(かうんどう)だ。別名、“絶望の砦”だ。ここを潜れば、生きたままは出られねえ。ようこそ、地獄にな」

 

 興烘桀(こうたくけつ)が笑った。

 確かに、やっと、連中のねぐらに着いたみたいだ。

 突然に、森が開けて、目の前に建物が出現した。

 

 それにしても、ここまで来るまでに、何十回達したことか……。

 もう、足に力が入らない。

 全身はふらふらだ。

 しかも、三人揃って、下半身だけを脱がされ、下着を足首におろしたまま野外を行進させられることの、なんという惨めさ……。

 それでも、三人で声を掛け合って、立ちあがる。

 

 火雲洞(かうんどう)と彼らが呼んでいた妖魔たちのねぐらは、朱姫が予想をしていたような洞窟のような場所ではなく、砦を思わせる平屋の大きな建物だった。

 

「さて、じゃあな。お前ら、後でな」

 

 砦に入ったところで、雲裡霧(うんりむ)だけが離れていった。

 残ったのは、先頭の朱姫の股間に入っている張形の先に繋がった鎖を掴む興烘桀(こうたくけつ)と最後尾からついてくる急如火(きゅうじょび)だ。

 しばらく、砦の入り口に向かって歩く。

 よがりながらだ。

 そんな醜態は晒したくないが、股間とお尻の張形の振動がとまらない。

 どうしても悶えてしまう。

 

 そして、入り口までの距離の半分くらいを進んだところで、沙那が達して、またとまり、少し進んで、孫空女が絶頂して、そのあいだ歩けなくなる。

 次々に昇天しては、歩みをとめる朱姫たちに、妖魔も面白がりながらも、呆れ顔だ。

 

 やっと、砦の入り口に辿り着いた。

 ひと足先に、宝玄仙を連れて戻っていた紅孩児がそこに待っていた。

 

「遅かったな」

 

 出迎えた紅孩児(こうがいじ)が言った。

 確かに、中天にあった太陽が山に落ちかけている。

 たった数里を歩くのに、朱姫たちは半日近い時間をかけてしまったのだ。

 

「いやいや、紅孩児。こいつら、少し歩くたびに、変わりばんこに気をやりやがるんだ。まるで、さかりのついた猫みたいに淫乱なんだぜ。面白かったぜ」

 

 急如火が笑った。

 

「まったくだ。申し合わせたみたいに、順番にいきやがるんだ。お陰で張形の乾く間がないから、いきまくりなんだ」

 

 興烘桀も言った。

 紅孩児の子分に当たる妖魔は、背の高い順に、雲裡霧、興烘桀、急如火だ。

 やっと朱姫も覚えた。

 

「わっ、あああっ」

 

 その興烘桀が三人の股間に繋がった鎖を揺すったのだ。

 激しく暴れる前後の張形に、ずんという強い振動が加わり、朱姫は再び泣き声をあげて座り込んでしまった。

 

「あんっ」

「くはっ」

 

 後ろに繋がっている沙那と孫空女も引きずられるようにしゃがむ。

 

「ご、ごめんなさい、沙那姉さん、孫姉さん」

 

 朱姫は言った。

 ひとりが座り込むと、股間と肛門で繋げられている三人の全員がしゃがむことになる。

 だが、すでに最大限の振動が加わっている張形を前後の孔に受けている朱姫も、もう満足に動くことなどできないのだ。

 

「い、いいのよ……。わ、わたしも、何度も座り込んだし……。それよりも、こんなことになって、ごめん」

 

 沙那が苦しそうに言う。

 その顔は、淫情にただれたような顔をしていて艶めかしい。

 孫空女も同じだ。

 

「……さ、沙那姉さんは、た、正しいと思います。ご、ご主人様が気がつくまで……」

 

 朱姫は言った。

 

「そ、それより、た、立とう……」

 

 孫空女が言った。

 三人で声を掛け合って立った。

 いつまでも座っていると、また尻を蹴飛ばされる。

 三人とも蹴られまくった下半身のあちこちに青あざができている。

 

「う、ううっ……。こ、紅孩児、ご、ご主人様は、無事?」

 

 沙那が紅孩児を睨みつけて言った。

 

「おう、おう、無事だ。真言の誓約もしたしな。『如意袋』の中で、まだ眠っているが手は出していねえよ。奥の部屋に置いているぜ。まあ、二日は起きねえし、『如意袋』の中に閉じ込められている間は、あの法師も術は遣えねえし、二日もしたら、さすがのあの女法師の霊気も空っぽになる。そしたら、出して喰ってやるつもりだ」

 

 紅孩児が笑った。

 

「で、できないわよ。『真言の誓約』があるわ」

 

 沙那が叫んだ。

 そんなことができないように、沙那がこうやって妖魔の虜囚になるのを甘んじてまで、紅孩児が宝玄仙に手を出さないという誓約を結ばせたのだ。

 妖魔であろうと、道術遣いであろうと、霊気や魔力を帯びる者である以上、真言の誓約は絶対だ。

 破ることはできない。

 沙那の言う通り、紅孩児は宝玄仙を殺すことはできないはずだ。

 

「馬鹿だな、お前も。俺が手を出さなくても、殺す方法はいくらもあるぜ。俺のほかにも仲間が三人いるし、それに、ここには、餌用の人間が、常に二、三十人は捕えている。そいつらに代わりにやらせてもいい。それに、お前らと俺が盟約を取り消せば、それで終わりだ。あんな誓約は、役に立たねえ」

 

「じょ、冗談じゃないわよ。わたしたちが、誓約を取り消すわけがないわ。たとえ、殺されてもね――。わたしたちが死んでも誓約は生きるわ。ほかの者に殺させても同じよ。ご主人様の肉を食べるのが目的なら、お前はご主人様の肉を喰えないわ。なにしろ、傷つけることができないんだから。傷つけずに、どうやってご主人様の肉を喰うのよ」

 

 沙那が声をあげた。

 すると紅孩児が鼻白んだ。

 

「……なるほど、真言の誓約のことをよく知ってやがるな。だが、お前たちは、誓約の取り消しに応じるはずだ」

 

「そんなことするもんかよ。殺されてもね」

 

 孫空女も叫んだ。

 朱姫も紅孩児を睨みつけた。

 

「するね。まあいい……。お前たちは殺さねえ。殺すのは、誓約を破棄させてからだ。まあ、いずれにしても、そんな格好で凄まれても、笑っちまうだけだからやめてくれ」

 

 すると沙那が悔しそうな顔をした。

 孫空女もだ。

 朱姫も俯いた。

 

「……興烘桀、こいつらを檻に入れて寝台に繋げて来い」

 

「わかった、紅孩児――。ほら、行くぜ、お前ら」

 

 興烘桀が、ぐいと鎖を引っ張った。

 

「ひいっ」

「あ、ああっ」

「んああっ、あっ」

 

 朱姫は思わず声をあげた。

 後ろに繋がっている沙那と孫空女も悲鳴をあげている。

 

 とにかく、そんな風に砦の建物の中に入った。

 建物の中は、かなり広く、入り組んだ廊下が迷路のようになっていた。

 逃亡防止の目的もあるのかもしれないが、同じような色と壁のなんの飾りもない廊下を右に左にと進まされることで、朱姫はあっという間に、どこを進んでいるのかわからなくなってしまった。

 廊下自体はずいぶんと広くなっていて、ところどころに壁に拷問の痕を思わせるような血糊と壁に繋がれた枷などもある。

 扉のなく開放されている部屋には、拷問具が並んでいる部屋がいくつもあった。

 

「ま、待って、こ、今度、あたし……」

 

 最後尾の孫空女が震えた声を出した。

 立ちどまったのか、朱姫の肛門の張形がぐいと後ろから引っ張られた。

 

「ああっ……、ひいいいっ、んぐううう」

 

 最大の急所である肛門は、わずかな刺激でも、朱姫に愉悦の声を出せてしまう。

 軽くいってしまった朱姫は、また腰が砕けそうになった。

 

「い、いいくっ」

 

 孫空女が小さく叫んだ。

 

「わ、わたしも――」

 

 ほとんど同時に沙那も声をあげる。

 

「ほんとに仲がいいなあ、お前ら。いくのも三人同時かよ」

 

 興烘桀が呆れた声をあげる。

 だが、半日近くもこの砦までの道のりを、数十回も大小の気をやりながら歩かされて感覚が麻痺している。

 もはや、羞恥を感じる心も消えかけている。

 

「ほれ、もういい加減に気が済んだろう。さっさと、歩け」

 

 また興烘桀が鎖を引く。

 

「お、お願いです。振動だけでもとめてください。これ以上、歩けません」

 

 ついに沙那が悲痛な声をあげた。

 朱姫と孫空女も哀願した。

 ここまで恥を晒せば、もう哀れな頼みをするのも躊躇はない。

 

「……確かにこれじゃあ、埒もねえな。わかった、じゃあ、振動をとめてやるよ。その代わり、暴れんじゃねえぞ」

 

「あ、ありがとうございます」

 

 沙那が言った。

 興烘桀が口の中でなにかを唱えた。

 するとやっと振動がとまった。

 これなら、なんとか歩ける。

 朱姫は、ほっとした。

 

 それにしても、こんなときは、沙那は凄いと思う。

 沙那は計算高く、必要だと思えば、いくらでも卑屈な態度も躊躇なくとる。

 それでいて、手のひらを返したように一転して攻勢に出たりもする。

 いまは、宝玄仙を人質に取られている状態だ。

 だから耐えているのだ。

 強い毒で眠らされている宝玄仙の意識が回復するまではと、沙那も考えているだろう。

 

 朱姫から見ても、紅孩児を含めた若い妖魔は、粋がってはいるがまだ妖魔としては未熟だ。

 宝玄仙ほどの術遣いを一発で眠らせるような魔薬や『如意袋』のような強力な霊具で力を誇っているようだが、魔力の大きさでは遥かに劣る。

 宝玄仙の意識が回復すれば、敵ではないだろう。

 

「……じゃあ行くぞ」

 

 興烘桀が鎖を引く。

 何度も果てた身体には、それだけでも泣きたくなるような快感を覚えてしまうが、さっきよりはましだ。

 なんとか歩くことはできる。

 

「あっ」

 

 朱姫は声をあげた。

 少し前のところで、廊下の壁に鉄の首輪を鎖で繋がれ娘がふたりしゃがんでいる。

 どこかの村の娘のような風貌だが素っ裸だ。

 興烘桀が二人の前を通りかかると、股間にやっていた手を離して、廊下に手をついて頭をさげた。

 

「ちゃんと励んでいるか、お前ら。どれ、どのくらい溜まったか見せてみろ」

 

 興烘桀が言うと、ふたりは横に置いていた小さな椀を興烘桀の前に出した。

 中には、どろりとした液体がたっぷりと溜まっていた。

 朱姫には、それがなにであるかがすぐにわかった。

 その液体は、ふたりがそれぞれに出した愛液に違いない。

 先頭を歩かされていた朱姫には、興烘桀が現れたとき、それぞれの娘が、自分の股間に置いていたその椀を注意深く、横に移動させるのを見たのだ。

 つまり、このふたりの娘は、いつからそうしているのかはわからないが、ここで鎖に繋がれている長い時間で、その椀いっぱいに自分の愛液を溜めるようなことをさせられていたのだろう。

 

「おう、今日もいっぱいになっているな。じゃあ、また明日の夕方までは喰わねえでやるよ。後で紅孩児が来るだろう。そのときに、ちゃんと点検してもらえ」

 

 ふたりの前にあった椀を持ち上げた興烘桀がそう言うと、娘たちは、ほっとしたような顔をした。

 ふたりの顔立ちは、なんとなく似ていた。

 もしかしたら、姉妹かもしれないと朱姫は思った。

 

「こいつらは、毎日、この椀いっぱいに自分の淫液を溜めることができたら、毎日生き延びられるようになっている。紅孩児の気まぐれだ。できなければ、次の日に殺される。それがわかっているから、毎日、狂ったように一日中自慰をしているんだぜ」

 

 興烘桀が朱姫たちに向かって、哄笑しながら説明した。

 

「なんてことを……」

 

 沙那がぽつりと言った。

 

「可哀そうなんて思わねえことだな。ここじゃあ、他人の同情なんてしてちゃあ、とてもやっていけねえぜ」

 

 興烘桀は、そう言いながら淫液の入った椀を床に戻した。

 だが、その椀のひとつが床に置かれる直前にひっくり返った。

 

「おっと、済まねえ。あんまり、ぬるぬるしてるからよう。いまのはわざとじゃねえぜ」

 

 興烘桀が謝るようなことを言ったが、態度には悪びれているところはない。

 

「ああっ」

 

 娘たちは、慌ててそれを押さえたが、ひっくり返った椀の中身は、半分以上床にこぼれてしまっている。

 娘たちが真っ蒼になった。

 

「すまんな。お前らの淫汁で手が滑ったんだ。まあ、今日の刻限の日暮れまで、半刻(約三十分)はあるだろう。それまでにふたりで補填しな」

 

「そ、そんな」

「ま、待ってください。いまのは……」

 

 娘たちの顔は悲痛だ。

 あれだけのものを溜めるのには、多分、半日以上はかかる。

 半刻(約三十分)の刻限に、こぼれた量を溜めることなどできるわけがない。

 

「ひ、酷いじゃないですか」

 

 朱姫は、あまりの残酷な処置に叫んだ。

 こぼしたのは、興烘桀なのに、こぼしたものを不可能な時間で補充しろというのだ。

 

「……嘘ですよね。本当に、殺したりはしないですよね」

 

 沙那が絞り出すような声で言った。

 その声には、悲痛なものが混ざっていた。

 

「本当か、嘘か、すぐにわかるさ。行くぞ。お前らの檻はまだ先だ」

 

 興烘桀は、張形に繋がれた鎖を引っ張った。

 再び、三人の哀れな行進が始まる。

 歩きながら、朱姫は後ろを振り向いて、さっきの娘たちの様子を見た。

 ふたりは、狂ったように懸命になって自分たちの股間を擦って、こぼれた椀に淫液を絞り出そうとしていた。

 

 さらに進むと、廊下はいよいよ薄暗くなり、ほとんど明かりがなくなった。

 両側は、鉄格子のついた扉が並ぶようになり、鉄の扉の向こうには、多くの人間が閉じ込められている気配がある。

 そういう場所を朱姫たちは、しばらく歩かされた。

 

 やがて、再び、廊下に燭台が置かれている場所になったところで、朱姫たちは、ひとつの鉄の扉の前でとまらせられた。

 どうやら、そこが朱姫たちが入ることになる牢のようだ。

 興烘桀は、その部屋の鉄扉を開けた。

 

「おい、興烘桀――」

 

 背中から声があった。

 急如火だ。

 

「紅孩児が、沙那と孫空女を地下に連れて来いと言っている。気が変わって、例の魔獣とこいつらを戦わせたいみたいだ。連れていくぜ」

 

 急如火がそう言って、朱姫の肛門に入っていた張形のすぽりと抜いた。

 

「ひいいっ」

 

 朱姫は、その衝撃で全身の力が抜けて、声をあげて半身を崩してしまった。

 

「いちいち、愉しいなあ、お前らの反応は……。ほら、沙那と孫空女はこっちだそうだ」

 

 急如火が沙那に繋がっている鎖を引っ張る。

 

「わ、わかりましたから、そ、そんなにしないで」

 

「や、やめろって」

 

 沙那と孫空女がどこかに連れられていった。

 

「お前は入れ、朱姫」

 

 股間の鎖を引かれて、中に入った。

 薄暗い部屋に、三台の寝台があった。あとは、壁と天井に明かりとりの小さな窓があるだけの殺風景の部屋だ。

 朱姫は、その台のひとつの脚に股間の鎖を繋げられた。

 後手の手枷が外される。

 そして、上半身の服が脱がされて全裸にされる。

 下着も履き物も脱がされる。

 朱姫は大人しくしていた。

 

 素っ裸にされると、股間の張形を抜かれて、その台に横に寝かされた。

 台の上下には革紐があり、それぞれに四肢を拘束される。

 仰向けになって、素裸で天井を見ている朱姫の視線に、天井から降りてくる三本の糸が映った。

 朱姫は嫌な予感がした。

 

「な、なに?」

 

「ただ横になれるわけがねえだろう。お呼びがかかるまでは、常に、お前たちには、ここで、淫液を溜めてもらう。ここには、女の淫液が餌になっている魔獣がたくさんいてな。浚った娘には、俺たちの食い物になってもらう以外に、魔獣の餌も絞らせている。さっきの娘たちも、それをやらされてたんだ」

 

 興烘桀が頬に笑みを浮かべながら言った。

 そう言っている間にも、天井の糸は朱姫の胸の膨らみと股間に向かって降りてきた。

 なにをされようとしているのかがわかり、朱姫は総毛だった。

 だが、霊具でもあるらしいその糸は、さんざんに気をやって勃起している乳首と肉芽に、簡単に絡みついて、その根元を縛った。

 

「ひいいぃぃっっ――」

 

 糸が引きあがる。

 朱姫は、敏感な場所を吊られる激痛に悲鳴をあげた。

 

「んぎいいっ――。やめてぇ――」

 

 朱姫は泣き叫んだ。

 四肢を拘束された身体を限界まで仰け反らせる。

 やっと糸がひきあがるのがとまった。

 朱姫は、身体を仰け反らせたまま呻いた。

 

「いくらでも股間に淫液を垂れ流せ。その寝台は特別製でな、お前が寝台の上に垂らした淫液は、寝台の下についている容器に集めてくれるぜ」

 

 興烘桀がそう言った直後、糸が振動を始めた。

 朱姫は感極まった声を出してしまった。

 

「仕上げだ。よろしく頼むぜ」

 

 朱姫の仰向けの全身に向かい天井から液体がぽたりぽたりと落ちてきた。

 ほんのわずかな滴だが、それが身体のあちこちに降りかかる。

 そして、その液体が当たった部分が怖ろしく熱くなる。

 

「その水みたいなのは、媚薬だ。明日の朝までたっぷりと泣き叫んでいいぜ。お休み」

 

 興烘桀は言った。

 

「……もっとも、休めるわけがねえがな」

 

 鉄の扉が閉じられて、朱姫はひとり残された。

 急所を吊られる痛みと、糸から加えられる振動の刺激と、あっという間に全身を疼かせてきた媚薬の雨を浴びながら……。

 

「ああっ、ああ……。誰か、誰か助けてええ」

 

 朱姫は思わず哀願の言葉を叫んでしまった。

 

 

 *

 

 

 暴れもせず、大人しく全裸になるという条件で、孫空女と沙那の股間と尻の張形を抜いてもらった。

 もっとも、後手の手枷を外される前に、ふたりの首に鎖で繋がれた首輪を嵌められたので、抵抗のしようもない。

 

 いずれにしても、宝玄仙があの妙な透明の袋に包まれてどこかに隠されているので、抵抗する機会があっても抵抗はすべきでないと沙那が判断しているのだろう。

 服を脱げと言われたときも、孫空女が激情したことに気がついたらしく、暴れ出しそうになった孫空女を沙那が眼で嗜めた。

 だから、孫空女も大人しくすることにした。

 こいつら四人くらいはどうということもないが、確かに、やみくもに暴れるのは危険だ。

 

 それになかなか、四人が揃うということがない。

 もしも、四人揃えば、全部取り押さえるという選択もできる。

 だが、ここにいるのは、急如火だけだ。

 もしかしたら、巧みに四人同時に揃わないようにしているのかもしれない。

 山の中で宝玄仙を人質に取られてから、あの恥ずかしい行進にも、紅孩児はついてこなかった。

 到着すると紅孩児が待っていたが、その前に、雲裡霧がいなくなった。

 計算しているのだろうか。

 

 いまのところ、宝玄仙がどこに連れていかれたのかわからない。この砦の廊下も迷路のようだ。

 服を脱ぐと、今度は前手で手錠をかけられた。

 そして、全裸で、首輪で鎖によって沙那と繋がれたまま、急如火に小突かれるように、石畳の階段を降りらされる。

 

「触るんじゃないよ」

 

 孫空女は怒鳴った。

 石の階段は次第に急になり、周囲の石と石に水が滲み出て、ぽたぽたと石窪に水たまりを作っていた。

 地下に続く階段は、永遠に続くかのように長かった。

 やがて、穴倉のように暗くてびしょびしょする柱のいくつもある回廊に行き当たった。

 

「右だ、沙那」

 

 松明をかかげながら横を歩く急如火が言った。

 やがて、さらに進んで地下の広場とおぼしき、広い一室に入った。

 そこには、四方の壁が高い壁に囲まれている部屋だった。

 

「おう、来たな」

 

 紅孩児がそこで待っていた。

 

「趣味、悪いね」

 

 孫空女は悪態をついた。

 そこにあるものは、さすがの孫空女にも心和むと言い難いものばかりだった。

 すなわち――三角木馬、車裂きの台、巨大な石の炉、水責めの水槽、逆さ吊りのためのろくろと鎖、鞭打ち台、鉄製の針責め人形――などといった夥しい数の拷問具だ。

 

「一応、ひと通り体験させてやるぜ。とりあえず、三角木馬でどうだ、孫空女? 跨いでみろよ」

 

 紅孩児が笑いながら言った。

 

「か、勝手にしろよ」

 

 孫空女は怒鳴った。

 しかし、自分の顔が蒼ざめているのがわかる。

 

「よし、わかった。沙那、お前だ」

 

「なによ?」

 

 黙っていた沙那が紅孩児を睨んだ。

 

「そっちの怖がっている孫空女には、別のことをやってもらうが、沙那は、その冷静そうなお前の顔が気に入らねえ。文句言わずに、三角木馬のところに行け。急如火、跨らせてやれよ」

 

 紅孩児は言った。

 その木製の三角木馬は、座る部分が尖った三角錐の拷問具だ。

 そこに座れば、体重で股にその尖った部分が食い込むことは間違いない。

 ただ、高さはそれほど高くないので、もしかしたらかろうじて足がつくかもしれない。

 

「……それとも、孫空女にやらせるか? まあ、宝玄仙の安全を保障するという盟約を解除するんなら、三人ともまとめてお前たち供は解放してやるぜ」

 

「や、やるわよ」

 

 沙那が気丈に言った。

 しかし、その唇は震えている。

 

「沙那……」

 

 それだけしか言えなかった。

 孫空女の首輪に繋がっている鎖が、沙那の首輪から外される。

 しかし、孫空女の首輪の鎖の端を紅孩児がしっかりと握っている。

 

 沙那は、小さく頷いて、木馬の横にいる急如火の前に進んだ。

 急如火が、前手錠の沙那の手を首輪の金具に接続する。

 沙那は、両腕を首の前から降ろせなくなった。

 

「ほらよ」

 

 急如火が、沙那の片脚を掴んで、木馬の反対方向に引っぱった。

 

「ひぎいっ――」

 

 放り投げられるように木馬の頂点に股間を喰い込まされた沙那が、苦痛に顔を歪ませた。

 沙那の無毛の股間に三角木馬の尖った頂点が惨たらしく食い込んでいる。

 ほんの少しだけ、丸みをつけてあるようだが、あれだけ尖っていれば乗せられるだけで激痛に襲われるだろう。

 両脚は、爪先立ちでかろうじて足の指先が床についている。

 沙那が懸命に脚を伸ばして、痛みを逃そうとした。

 彼女の脚の筋肉が小さく震えはじめる。

 

「それ、痛いか、沙那」

 

 急如火が沙那の乳首を掴むと、無造作にゆすぶった。

 

「あがあぁぁ」

 

 沙那が悲鳴をあげた。

 

「や、やめろよ、お前――」

 

 孫空女は、急如火に詰め寄ろうとした。

 沙那が可哀そうすぎる。

 その孫空女に沙那が顔を向けた。

 

「だ、駄目よ……。そ、孫女。ご、ご主人様が……」

 

 沙那は悲痛な表情で顔を首に振った。沙那は、顔だけではなく、あっという間に噴き出た脂汗でまみれている。

 

「そういうこった、孫空女。いくら、紅孩児と盟約を結んでいるからといっても、お前たちの大事な宝玄仙が俺たちの手にあることを忘れちゃあ駄目だぜ」

 

 急如火が、沙那の背後から両方の乳房を掴み、体重をかけるようにしながら激しく揉み始めた。

 

「ひゃががががあああ――。や、やめてえぇぇ――」

 

 沙那は絶叫した。

 

「お前、いい加減にしろ、急如火」

 

「なにをいい加減にするんだ、孫空女?」

 

 しかし、急如火は、沙那の乳房を力強く掴み、上下にゆすぶり続ける。

 身体を持ちあげられては、落とされる沙那は、何度も激しい絶叫を喉から迸らせている。

 

「やめろって。頼む、やめてやってくれよ」

 

 孫空女は叫んだ。

 もう、沙那がなんと言っても、沙那をいたぶっている急如火を払いのけてやろうとした。

 しかし、その孫空女の首輪の鎖を握っている紅孩児が阻んだ。

 

「は、離せ――」

 

 孫空女はもがいた。

 孫空女の力で、逆に紅孩児が振りまわされる。

 紅孩児の顔色が変わった。

 

「おい、沙那の跨っている木馬の高さを上げろ」

 

 紅孩児が急如火に叫んだ。

 沙那をいたぶっていた急如火が、沙那から離れて木馬の足元のなにかを操作した。

 すると沙那が跨っている木馬の高さがあがり、沙那のつま先が空中に浮かんだ。

 

「あぎいいい」

 

 沙那がひと際大きな声で絶叫した。

 

「暴れると、沙那の脚に重りつけるぞ、孫空女――。沙那の股が使いものにならなくなるぜ」

 

 紅孩児が喚くように言った。

 孫空女は、歯噛みして、暴れるのをやめた。

 興奮しても、沙那は助けられない。

 

「お前は、こっちだ、孫空女」

 

 紅孩児が、壁の扉の一画を押すと、いままで石の壁だった場所が左右に押し開き、奥からさらに広い部屋が出現した。

 紅孩児に鎖を引っ張られるまま、その奥の部屋に進む。

 

 壁に首を鎖で繋がれた男が五人いた。全身が傷だらけで、随分と痩せ細っていた。

 紅孩児が吠えるような音を喉から出すと、のろのろと手探りで壁に懸命に移動して壁に張りついた。

 それで、彼らが全員、眼を潰されているのだということに孫空女は気がついた。

 

 そして、その奥の部屋に入ると、さらに地下に闘技場ような場所があることに気がついた。

 地下の闘技場は、かなりの深さがあるが、階段があり、そこから地下に降りることができるようになっている。

 ただし、地下にはほかには、出入口らしきものはない。

 

「孫空女、階段を下りていけ」

 

 紅孩児が言った。

 首の鎖が外された。

 前手の手錠はそのままだ。

 孫空女は、鼻を鳴らして階段を下りていった。

 地下の闘技場に到着すると同時に、階段が壁に吸い込まれてなにもなくなった。

 さすがの孫空女の跳躍でもあがれそうもない。

 

「おう、始まっているのかい」

 

 この小さな闘技場を見下ろす手摺から覗く紅孩児の横に、興烘桀の顔が現れた。

 そして、急如火もこっちにやってきた。

 

「こらっ。急如火、沙那は大丈夫なんだろうなあ」

 

 孫空女は声をあげた。

 

「お前は、お前の心配をした方がいいぜ、孫空女。そこに、俺たちのとっておきの魔獣を転送させる。お前は、そいつと戦ってもらうぜ」

 

 紅孩児が笑った。

 

「魔獣?」

 

 魔獣というのは、魔力で強化された獣で、妖魔とは違うただの動物だ。いろいろな魔獣がいるが、わざわざけしかけるくらいだから、凶暴性などを強めてあるのかもしれない。

 しかも、手錠をつけたままで戦えというのだ。

 

「心配すんな、孫空女。お前を殺すつもりはねえ。ただ、これからお前に戦ってもらう魔獣は、ちょっとばかり発情されてるからな。犯されないように頑張りな」

 

「もっとも、さすがにお前でも一度、捕まると逃げられねえかもな」

 

 上から妖魔たちの嘲笑の声が注がれる。

 孫空女は、やっと、なにをやらされようとしているのかがわかった。

 凶暴性と発情性を高めた魔獣を孫空女にけしかけようとしているのだ。

 その魔獣に、孫空女が犯されるのを見物でもしようというのだろう。

 孫空女は、黙って、唾を床に吐いた。

 

 すぐに、闘技場の反対側に魔力の歪みを感じた。

 『移動術』でなにかが出現するときの魔力の歪みだ。

 孫空女は前手錠の腕で、これから出現するものに身構えた。

 

 “それ”は、出現した。

 

「……龍狒狒(りゅうひひ)かよ」

 

 石壁が揺れるような咆哮をしたその魔獣を見て、孫空女は身構えたまま呟いた。

 全身を真っ赤な毛で覆われたその魔獣は、本来は狒狒なのだろうが、

 魔力で変異させられたあげくに巨大化して、孫空女の二倍はある。

 怖ろしいほどの太い筋肉の浮かびあがった片腕だけで、孫空女の身体全部と同じくらいの大きさがあるだろう。

 それが、二本の腕で孫空女を威嚇するように胸を叩いた。

 その巨大な身体と筋肉は、魔獣というよりは怪物だ。

 

「ほら、孫空女、そいつの一物を見えるか? 簡単にやられるんじゃねえぞ。少しは抵抗して、愉しませてくれよな――」

 

 上から揶揄の声が落ちていくる。

 見えるどころじゃない。

 龍狒狒の股間には、孫空女の太腿と同じくらいの怒張がそそり立っている。

 あんなのに犯されれば、孫空女の膣は一発で避けるだろう。

 さすがに孫空女も鼻白んだ。

 

「ウガアアア――」

 

 龍狒狒は、吠えながら飛びかかってきた。

 思ったよりも速い。

 また、なにかの薬でも飲まされているのか、それとも魔術をかけられているのか、完全に発情しきっている。

 

 巨大な腕が孫空女に振り落ちてきた。

 孫空女は、横に跳んだ。

 

 視界から、孫空女を見失ってしまった龍狒狒が、一瞬、動きをとめた。

 そのとき、孫空女は跳躍していた。

 一度、龍狒狒の背中を蹴り、龍狒狒の頭上に身体を浮かべる。

 そのまま、身体を一度縮め、両足の踵を龍狒狒の首の後ろに叩き込んだ。

 それを反動にして、もう一度、そのまま跳び、空中で回って、身体が沈みかけた龍狒狒の首の後ろに手錠のままの両拳をさらに打ち下ろした。

 

 龍狒狒の首が折れた感触があった。

 孫空女は、龍狒狒の身体とともに落ちる。

 

 孫空女は、身体を起こして、動かなくなった龍狒狒の身体の上に立ちあがった。

 そして、上で呆気にとられている、三人の妖魔を睨みつけた。

 

「次は、あんたらが来な」

 

 孫空女は声をあげた。

 

「……な、なんてこった。龍狒狒を一発で殺しやがった」

 

 妖魔の一匹が呻くような声をあげた。

 そいつらの驚いた顔が少し小気味いい。

 

「さっきのが、お前らの飼っている魔獣で、一番強い奴かい? 随分と弱っちかったけどな」

 

 孫空女がそう言うと、紅孩児が悔しそうな顔をした。

 

「……じゃあ次だ。これならどうだ――」

 

 紅孩児が、蒼い顔のまま、なにかの魔力を動かした。

 孫空女は、異様な気配に龍狒狒の背から飛び降りた。

 そして、さっきの紅孩児の魔力は、紅孩児が、この闘技場に新しい魔物を出現させたものということがわかった。

 壁の隙間から、なにか透明なものがどんどん流れ進んでくる。

 

「な、なんだい、これ?」

 

 かたちのないぶよぶよの粘性体が壁から染み出るように現れる。そして、龍狒狒の死骸を飲みこんでいく。

 孫空女は、反対側の壁に張りついた。

 

「夷屠(いど)……」

 

 孫空女は、あの生物がなんであるかを知っていた。

 西域のさらに西の砂漠に生息するという夷屠という生物だ。

 かたちのない不定形のあの生物は、どんなものでも飲みこんで吸収してしまう。

 いつも腹を空かせていて、息をするものであれば、本能のままそっちに向かってくる。

 そして、吸収して溶かしてしまうのだ。

 

 武器ではどんな手段でも退治することはできない。

 その武器ごと飲みこんでしまう。

 唯一の退治方法は魔術か道術だ。

 夷屠を殺す魔術があり、それを遣える魔術師は、夷屠を退治もできるし、制御もできる。

 だから強い道術遣いや妖魔は、この夷屠を怖がらない。

 

 むしろ、妖魔は好んで、この化け物を人間の兵を攻撃するときに使う。

 どんなに大部隊であっても、武器ではこの夷屠には勝てないからだ。

 妖魔に比べれば、遥かに人間は、道術を遣えるものが少ない。だから、こういう魔力生物の攻撃には弱い。

 

 夷屠は、もうさっきの龍狒狒を飲みこんでいる。夷屠は、なにかを飲みこむと、その間、動きがとまる。

 だが、紅孩児がけしかけた夷屠は半端な量じゃない。

 あの大きな龍狒狒を飲みこんだというのに、まだ足りなくて、孫空女のいる壁にも迫ってくる。

 しかも、反対側の壁の隙間から出てくる夷屠はまだ増えているのだ。

 

「あ、あんたら、ば、馬鹿じゃないのかい――。こ、こんなたくさんの夷屠、どうすんだい――。戻せんだろうねえ? こんなに一度に出したら、いずれこの壁を這いのぼって、この砦に溢れるよ」

 

 孫空女は叫んだ。

 夷屠は危険な生物だ。

 妖魔であっても誰でも制御できるわけじゃないはずだ。

 あの紅孩児とかいう妖魔の少年に、夷屠を制御できるほどの魔力があるとは思えない。

 

 ゆっくりだが、夷屠は確実に孫空女に迫ってくる。

 それでも、まだ夷屠は、龍狒狒を消化している途中だから歩みが遅いのだ。

 

「おう、紅孩児、まったくだぜ。夷屠を出すのはいいけど、戻せんのかよ。親父さんのところから持ってきた入れ物に眠らせていたやつ全部解放しただろう? あんなにたくさん、とてもじゃないけど、元に戻せないぜ」

 

 紅孩児の横の興烘桀も紅孩児に詰め寄っている。紅孩児の顔が真っ赤になった。

 

「う、うるせい。こいつが、生意気だからだよ。心配ねえよ。餌さえやっておけば、のぼって来やしねえよ。その龍狒狒を全部消化するのにも、もう少しかかる。餌になる人間を毎日放り込んでおけば、大丈夫だ。この地下の闘技場で飼えばいいんだよ」

 

「お、お前、やっぱり、後先考えずに、解放したのかよ。この馬鹿――」

 

 孫空女は喚いた。

 夷屠を防ぐ方法は知っている。

 恥ずかしいとか言っている場合じゃない。

 孫空女はしゃがみ込むと、自分の股倉に前手錠の両の手のひらを差し込み、そこにおしっこをした。

 そして、その尿を顔から身体から、手の届く範囲になすりつける。

 

 近寄っていた夷屠が孫空女から遠ざかる。

 夷屠は、なぜか尿の中に含まれる刺激臭を嫌うのだ。

 尿を身体に擦りつけておけば、しばらくはやってこない。

 ただ、乾ききってしまえば、また、襲ってくるだろう。

 

「ほう、夷屠っていうのは、小便が嫌いなのかい。初めて知ったぜ」

 

 上で感心したような声があがっている。

 孫空女は腹が立った。

 

「そ、そんなことも知らないで、お前、夷屠を解放したのかよ――」

 

 孫空女は喚いた。

 

「まあいい。そのまま、お前を夷屠の餌にしたって愉しくねえ。これであがってきな」

 

 上から先に輪っかが結んである縄が降りてきた。

 

「その輪の中に手を入れて、縄を握るんだ、孫空女」

 

 孫空女は言われた通りにする。

 縄の輪の中に手を入れると、輪っかが縮まり、孫空女の手首を縛った。

 『魔縄』だ。

 これは孫空女には絶対に解けない。

 

 孫空女は引きあげられていく。

 三匹の妖魔のいる場所まで身体をあげられた。

 そのまま、沙那のいた部屋まで引きずられる。

 

 沙那は、まだ、三角木馬にのせられて呻いていた。

 木馬から勝手に降りれないように、首輪と両脚を木馬に鎖で繋がれている。

 

「沙那、大丈夫――?」

 

 沙那は、目をつぶったまま首を横に振った。

 余程、つらいのだろう。

 股間に木馬の頂点が食い込んでいる。

 呼吸が荒い。

 だが、沙那のことを気に掛ける余裕もなく、孫空女は、縄尻を天井の滑車に縄を繋がれて、宙に引きあげられた。

 孫空女は、足がぎりぎり床につかない程度に天井から吊られる。

 

「まあ、大した女だと、認めるぜ。孫空女、股を開きな」

 

 紅孩児が迫ってきた。

 

「な、なんだよ」

 

「強いお前に免じて、魔獣の相手も、夷屠の餌にするのも勘弁してやるぜ。俺の精を入れてやる。受け取りな」

 

 紅孩児は下半身の衣類を脱いで下半身を剝き出しにした。

 まだ大人になりきっていないとはいえ、一物は大人と同じだ。

 

「あ、あたしは、さっき、小便を擦り付けたんだよ。そんなの抱こうっていうのかよ」

 

「ああ、ああいうことを躊躇いなくやってのける根性がいいぜ。俺の精をくれてやる」

 

 紅孩児が迫る。

 

「ふざけるな。近寄ると蹴りあげるよ――」

 

 孫空女は喚いた。

 

「いいのかよ。沙那を見ろ」

 

 紅孩児に言われて、孫空女が宙吊りの身体を沙那に向けた。

 沙那が座らせられている三角木馬に急如火がいる。

 沙那の股間に指を押し付けた。

 

「ひぎゃああああぁぁぁ――」

 

 沙那が発狂したような声をあげた。

 なにをしたかがわかった。

 急如火が、三角木馬の頂点にはみ出している沙那の股間の肉芽を指で押しているのだ。

 沙那は、あまりの激痛に眼を見開いて、悲鳴をあげ続けている。

 

「や、やめよろ。開く。股を開くよ――」

 

 孫空女は、緊張していた脚の筋肉を緩めた。

 その片脚を紅孩児が掴んだ。

 孫空女は諦めて、紅孩児に身を任せた。

 

 その視界に、さっきの隣の部屋にいるもうひとりの妖魔である興烘桀の姿が見える。

 興烘桀は、眼を潰されて壁に繋がれていた男たちを、夷屠のいる闘技場を見下ろす縁まで引っ張っている。

 そして、闘技場の中に、その虜囚たちを次々に蹴り落とした。

 

「な、なにやってんだよ、あれ――。や、やめろ――」

 

 孫空女は叫んだ。

 

「おお、あれか。決まってんだろう。夷屠の餌に放り込んでんだ。一日に十人ほどずつ放り込んでおけば、夷屠も壁からのぼってくることもねえだろうよ。人間なんてえのは、そこら中にいっぱい転がっているな」

 

 まったくの躊躇いなしに、無辜の人間を殺すこいつらに、孫空女は激しい怒りを覚えた。

 その孫空女の股間にいきり立った紅孩児のものが突き挿さろうとしている。

 

「ひいいいいっ」

 

 前戯もなしに突き立てられた股間の痛みに孫空女は、悲鳴をあげた。

 片脚を掴んでいる紅孩児が、もう一方の孫空女の脚も掴む。

 

「それ、こうなっちまえば、お前の馬鹿力でも抵抗できねえだろう。それ――」

 

 紅孩児が宙吊りになって、男根を突き立てられている孫空女の身体を上下に激しく揺すぶった。

 

「これはどうだ、孫空女? もっと、泣いてみせるよ」

 

 紅孩児が孫空女を軽く上にあげては離す。

 自分の体重で、孫空女は紅孩児の男根を深く抉ってしまう。

 それを何度もやられる。

 

「あひいっ……ひいっ……ひいいっ……」

 

 孫空女は子宮の底を突き上げられる痛みに、全身を震わせて声をあげ続けた。

 こんなやつにいかされるのは悔しいが、もう、絶頂が近いことが自分でもわかる。

 紅孩児がさらに腰に力を入れて勃起を突きあげた。

 反動をつけて、孫空女の肉の天井をいやという程、擦りあげる。

 

「ああ……ううっ……はうっ――」

 

 孫空女は切羽詰った声をあげた。

 自分でも制御できないのだ。

 嬌声が漏れ出て止められない。

 

「可愛らしい顔をするじゃねえか。龍狒狒を一撃で倒した女戦士と同じ女とは思えねえぜ」

 

 紅孩児が数度、孫空女の腰を自分の腰に強く当てた。

 孫空女は呻き声を迸らせた。身体の痙攣がとまらなくなる。

 

「ああ……ううっ――、い、いくうっ」

 

「おうおう、いけ、いけ」

 

 身体が続けざまに強く震えた。

 

「いっちまったか。俺はまだだぞ。もっと腰を振れ」

 

 紅孩児が激しく孫空女の腰を動かす。

 

「あうっ――。も、もう、いってよう」

 

「ああ、いってやるよ」

 

 紅孩児が腰を強く動かし始めた。

 孫空女は大きな声をあげてそれを受けた。

 再び身体の痙攣が始まる。

 熱いものが子宮にぶち当たる感触があった。

 紅孩児が声をあげた。

 孫空女は、それを聞きながら、また沸き起こった絶頂に声をあげ、身体を反りかえらせた。

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