また、宝玉が戻って来て、出現した。
にこにこと笑っている。
まだ、意識の中のようだ。
なにか幸せそうな宝玉の姿に宝玄仙は苦笑した。
こうやって宝玉と意識の中で向き合うことができるようになったのは、帝都で暮らしていたときからだが、考えてみれば、その頃の宝玉は、いつも追い詰められたような暗い顔をしていた。
こんなに明るくて、ほがらかな面もあるのかと知ったのは、本当に最近のことだ。
「また、失神させられちゃったわ」
宝玉は笑って言った。
「あいつらの責めはそんなに気持ちよかったのかい?」
宝玄仙は言った。
「うん……」
宝玉は頷いた。
「……だから、交替ね。幸せの、お、す、そ、わ、け」
なにを言っている……。
そう言おうとしたが、宝玉が闇に包まれて見えなくなった。
気がつくと、宝玄仙自身が眩い光に照らされていた。
ぎょっとした。
身体が拘束されている。
腕は、背中に回されて縄でがちがちにされている。
両脚は、胸の横近くまで縄で引きあげられて、これ以上ないというくらいに、開脚して股間が曝け出されている。
「気がつきましたか、宝玉様」
沙那が言った。
孫空女と朱姫もいる。
三人で身体を舐めまわしていたようだ。
その三人が顔をあげて、宝玄仙を覗き込んでいる。
「三人で話し合ったんだけど、これから、宝玉様におしっことうんちをしてもらおうってことになったんだよ」
孫空女が言った。
「大丈夫ですよ。三人でお世話してさしあげますから……。でも、せっかくの機会なので、いつも恥を晒しているあたしたちと同じになって欲しいんです」
朱姫も言った。
冗談じゃない。
なにを考えているんだ。こいつら……。
それにしても、なんというところで交代をさせるんだ、あの宝玉め―――。
宝玄仙は、自分は宝玉じゃないと叫ぼうとした。
そして、口の中に布が押し込まれていることに気がついた。布が押し込まれた口をさらに縄が上から結ばれている。喋れない―――。
仕方なくそのまま叫んだ。
「そんなに、嫌がるなら、是非に見てみたいですね。宝玉様がうんちやおしっこをなさる姿を……」
朱姫が宝玄仙の無防備な股間を舐めあげる。
ぞわりとした感覚が昇ってくる。
それで、自分の身体がかなり淫情していることも知った。
「まずは、おしっこだね」
孫空女が細い管のようなものを取り出した。
「寝台を汚しては、この部屋を提供してくれた村の人に申し訳ないから、寝台から降りましょうか」
沙那がそう言うと、宝玄仙は、開脚縛りのまま、三人に担がれた。
その間もなんとか、宝玉ではないことを知らせようとして声をあげたが、呻き声になるだけでちゃんとした言葉にはならない。
そうだ、道術――。
こいつらの身体に刻んでいる内丹印に霊気を……。
しかし、そこでも愕然とする。
霊気が消失している。
いや、完全ではないのだが、零に近い。
なにか首に巻かれている気がする。
よく見えないが、黒い色がちらちらと視界に入る。
なんだ、これ?
道術を封じるの布?。
とにかく、宝玉は、宝玄仙の霊気を消失させるこの怪しげな紐を遣って、この三人と遊んでいたらしい。
「じゃあ、器用な朱姫にお願いするよ」
宝玄仙を床に降ろすと、孫空女が朱姫にさっきの管を渡した。
その管が宝玄仙の曝け出した股間に近づく。
宝玄仙は暴れた。
その身体を沙那と孫空女にがっしりと抑えられる。
「怖くないから、大丈夫ですよ、宝玉様」
「そうだよ。さっきの経絡責めみたいに、やってみれば病み付きになるかもしれないよ」
宝玉じゃない……。
宝玄仙だ――。
どうやったら、それをこいつらに伝えられるだろう。
懸命に頭を巡らす。
「まずはきれいにします」
朱姫が宝玄仙の股間に、また覆いかぶさる。
ぱっくり開いているらしい宝玄仙の股間の尿道の入口辺りに舌を使い始める。
「んんんっ――」
宝玄仙は、たちまちに感じさせられた強い刺激に声をあげた。
朱姫は別にことさら宝玄仙を感じさせようとしているわけでないようだ。
それは、わかる。
だが、朱姫が尿道に舌を動かすと、どうしてもその一部が宝玄仙の肉芽や襞に当たるのだ。
それが痺れるような官能の矢になって宝玄仙を襲う。
長い朱姫の舌遣いに宝玄仙は、翻弄させられた。
油断すると、それだけで達しそうだ、
やっと、朱姫が宝玄仙の股間から口を離した。
「そろそろ、いきますよ、宝玉様」
やめてくれ――。
宝玄仙は、口の中で叫んだ。
だが、朱姫の指は、大きく宝玄仙の女陰を開いてくつろげ、尿道の中に、さっきの細い管を差し入れていく。
気持ちの悪い妖しい感覚が、股間から全身に拡がる。
背中を押さえていた孫空女が宝玄仙の身体を起こした。
「ほら、見える? 宝玉様のおしっこだよ」
管の先から尿が流れ出ている。
それを沙那が水飲み用の盃で受けている。
もう少しで盃が溢れるというところで、尿はとまった。
すると沙那が尿の入った盃を横に置き、別の盃を持ってきた。
尿を受けた盃より大きい。
その中には水が入っているようだ。
朱姫は朱姫で、宝玄仙の尿道に挿しこまれている管の先に、準備していた漏斗を挿した。
上にあげた管の入口の漏斗に沙那が、持ってきた盃の水を注ぎ込む。
あっという間に膀胱に水が溜まり、猛烈な尿意が沸き起こった。
朱姫が尿道から管を引き抜いた。
その刺激に宝玄仙は顔をしかめた。
「宝玉様……。いくらなんでも、宝玉様だって、浣腸なんてされたくないよねえ?」
身体を支えている孫空女が耳元で言う。
宝玄仙は頷こうとした。
しかし、首に巻かれている布のせいでうまく頭が動かない。
「あれっ? もしかしたら、宝玉様は、浣腸を受けたいのですか」
朱姫が意地悪く詰め寄った。
こいつら、わかっていて遊んでいる。
怒りも込みあげるが、それとともに抵抗のできないこの状態に、妖しい陶酔感のようなものも身体を包み始める。
「それで、新しい条件です。わたしたちは、これから、宝玉様を責めます。おしっこを我慢したまま、達することができたら、浣腸は勘弁してあげます。でも、はしたなく途中でおしっこを洩らしたら、罰として三人の浣腸を受けていただきます」
沙那が言った。
宝玄仙は口の中で吠えた。
無理矢理に注入された水により、尿意はもう限界だ。
尿意を逸らそうとして、脚の指を曲げたり、背中の手を握ったり開いたりしているのだが、いまは尿意のことしか考えられないようになっている。
この状態で、三人の責めなど受けられるわけがない。
宝玄仙が調教して、教え込んだ手管を持った三人だ。
それを同時に受ければあっという間に宝玄仙は達してしまうだろう。
それをこの尿意を耐えたまま耐えられるわけがない。
しかし、すぐに三人の責めが始まった。
朱姫が宝玄仙の後ろの孔、沙那が股間の前側に指を這わせる。
孫空女は胸だ。
敏感な場所への三人の同時攻撃に、宝玄仙はすぐに追い詰められた。
だが、猛烈な尿意が、それに備えることを許さない。
おしっこが出る……。
そこに沙那の指が這う。
沙那の指を気にすると、指を挿しこんで尻襞をほじる朱姫の責めに対処できなくなる。
孫空女の乳首への責めなどただ快楽を受け入れるだけだ。
耐えることなどできない。
宝玄仙は苦悶に気が狂いそうになる。
この身体は、もう何度もいかされているのだろう。
高みの限界に持ちあげられるのに、長い時間は必要なかった。
もういく……。
身も心も蕩ける。
宝玄仙は、眩暈にも似た官能のうねりに、もう快感に身を委ねた。
三人が声をあげた。
どうやら、おしっこを洩らしたようだ……。
宝玄仙は頭が痺れるほどの心地よさとともに昇天した。
もうなにがなんだかわからない。
自分が宝玉であろうと、宝玄仙であろうとどうでもいい気がしてきた。
それよりも、身体が浮きあがる。
ふわふわと漂い、どこまでも昇りつめてしまうような気持ちだ。
たった一度の絶頂でここまで意識が遠くなる感覚は初めてだ。
絶頂の余韻に浸る宝玄仙の尻孔に、なにかが当たった。
そうだった……。
尿意を我慢できなかったから、罰を受けるのだ……。
宝玄仙の朦朧とした頭がそれを思い出す。
これは罰なのだ……。
菊座の花芯に、いつの間にか浣腸器が咥えさせられている。
いつも宝玄仙が使っているものだ。
霊具でもあり、水を入れるとちょうどよい温度の浣腸液が整合される。
「いくよ……」
浣腸器を持っていた孫空女がゆっくりと液体を宝玄仙の中に注ぎ込み始める。
「頑張ってください、宝玉様」
朱姫が肉芽を愛撫しはじめる。
巧みな指使いに、達したばかりの宝玄仙の股間はすぐに追い詰められる。
浣腸を受けながら加えられる肉芽への責め――。異様で妖しい甘美感に宝玄仙は、我を忘れてしまう。
孫空女が注ぐ浣腸液はほんの少しずつだ。
それも宝玄仙を追いつめる。
浣腸液を受けながら、肉芽をいたぶられる。
宝玄仙は、もう進退窮まってきた。
「いきそうですか、宝玉様……。遠慮なくいってください」
朱姫がささやく。
「でも、途中でいったらやり直しだよ。また、おしっこからやってもらうよ」
孫空女が言う。
そんな……。
宝玄仙は愕然とする。
「そうですよ。おしっこをして、それを我慢したまま一度気をやり、そして、浣腸を受けて、今度は絶頂を我慢したまま、うんちをする。それがちゃんとできるまで、何度もやり直してもらいますからね、宝玉様。最初に気をやって、それから、うんちして、また、気をやってから、おしっこです。その順番にできるまで繰り返しですよ」
沙那が言った。
「だから我慢するんですよ、宝玉様……」
朱姫はくすくすと笑いながら、肉芽を愛撫する手を速くした。
耐えられるわけがない――。
結局、宝玄仙はすぐに達してしまった。
「やり直しですね……。じゃあ、途中で漏れないように、ここには蓋をしておきます。これはご主人様の霊具ですけど……」
孫空女が浣腸器の管を抜いた後、沙那が宝玄仙の肛門になにかを入れた。
肛門の入口が圧迫されて浣腸液でかき乱されている腸の中身の出口が封鎖される。
沙那の言うとおり、これは宝玄仙の霊具だ。
だから、見なくてもなにをされたのかわかる。
肛門を霊具で封鎖されたのだ。
単純な肛門栓だが、それを外さない限り、絶対に排泄物が外に出ることはない。
そして、この霊具には、単純に穴を封鎖する以外に、もうひとつの機能がある。
「ふぐうっ――」
すぐにその機能が働きはじめた。
肛門に挿された淫具が淫らな振動を始めたのだ。
肛門を締めつけると、強く振動する。
それがこの淫具の特徴だ。
だが、排泄感で苦しくなると自然に肛門を締めつけてしまう。
締めつけると、肛門栓の与える淫らな振動で快感を受けてしまう。
そして、快感を受けると強烈な便意が襲うので無意識にまた肛門を締め付け……。
そうやって、被虐の堂々巡りを味わうことになるのだ。
それに、この肛門栓は、外さなくても浣腸液を追加できる。
つまり、肛門栓を外してもらわない限り、もう、宝玄仙は大便を排泄できない。
「さあ、管をまた挿しますね」
朱姫が尿道にまた管を挿し始めた。
「わたしたちが準備した苦役を全部達成できたら、三人で宝玉様のお尻を張形で犯します。だから耐えてくださいね」
沙那が囁くように言った。
まだまだ長い夜になりそうだ。
ぞっとする恐怖感と密かな期待感に宝玄仙は酔い始めてきた。
仕方がない……。
ここは、こいつらの責めを受けてやることにするか……。
膀胱に受ける尿道浣腸による猛烈な尿意が襲う。
「さあ、いきますよ」
朱姫が肉芽を舐める。
妖しい快感が宝玄仙を狂わせ始める。身体中の皮膚感覚がそこに集中してる気がした。
「宝玉様、洩らしちゃだめだよう」
孫空女が乳首を舐めはじめる。
そして、沙那がもうひとつの乳首を……。
肛門からは霊具の振動――。
宝玄仙は、またあっという間に官能の頂点に到達してしまった。
二度目は、排尿を我慢したまま、気をやることができた。
もしかしたら、宝玉にしてやられたのではないだろうか……。
沙那がそう考え始めたのは、尿道浣腸と直腸浣腸を交互に受けながらいかされ続けるという責めに、宝玉が涙を流し始めたときだった。
その反応が宝玉ではないような気がしたのだ。
激しく責められることが好きな宝玉のために、肉体的にも精神的にもかなりの責めを与えたのだが、いつもの宝玉はもっと恥辱に酔ったような表情をする。
あんなにも苦痛に顔を歪めたりしない。
そして、宝玉は被虐を受けて、涙を流すことはあっても、泣くということがない気がする。
眼の前の宝玉は、涙を流すだけではなく、はっきりと泣いていた。
それも号泣に近い。
もしも、眼の前の宝玉が、本当は宝玄仙だったら……。
そう思うと、猿ぐつわを外せなくなった。
考えてみれば、なぜ、宝玉は、次に失神から覚めたら猿ぐつわをして責めてくれなどと言ったのだろう。
もしかしたら、あの後、宝玉から宝玄仙に交替したのではないだろうか――。
もしも、そうだとしたら、自分たちはどうなってしまうのか……。
考えていたが、すでに自分の女陰に双頭の張形を咥えさせた朱姫が、うつ伏せにさせた宝玉……あるいは、宝玄仙の肛門を犯し始めている。
宝玉、あるいは宝玄仙は号泣している。
もう、遅い。いまさらだ。
朱姫もそうだが、責められている宝玉、あるいは、宝玄仙も完全に倒錯に酔っている。
沙那は考えるのをやめて、自分も被虐と嗜虐の世界に心を委ねることにした。
*
「おはようございます、ご主人様」
眼が覚めると、沙那と孫空女と朱姫の三人が寝台の下に正座をして挨拶をした。
浣腸を繰り返しされて、しかも、排泄を許されず、その間、何度も強制排尿と絶頂をさせられてから、やっと眼の前で、木桶に排泄させてもらえた。
宝玄仙の肛門から出た排泄物は、すぐに処分されたが、尿は何度も床に撒き散らしたはずだ。
だが、一見したところ、きれいに掃除が終わっている。
床だけではなく、荷物もすっかりと片付けられていて、三人の供の身支度も終わっている。
終わっていないのは、素裸で寝台に寝ていた宝玄仙の身支度だけだ。
「お身体をお拭きします」
沙那が言い、朱姫と沙那が桶に溜めた湯で絞った布で宝玄仙の裸身を拭きはじめた。
身体の寝汗が拭かれるのを委ねながら、昨夜のことは夢だったのだろうかと思う。
だが、本当のことだろう。
全身が重い。
気だるさが残っている。
しかし、とてもじゃないが、あれは宝玉ではなく、宝玄仙だったのだと言う気になれない。ましてや、こいつらの責めに屈して、号泣してしまうとは……。
なんという醜態を晒してしまったのだろう。絶対に言えない。
仕返しをしようという気持ちにもならない。
「お口を掃除させていただきます」
朱姫が言った。
宝玄仙は、自分の口を開ける。
朱姫が、宝玄仙の口を舌で掃除しはじめる。
毎日の日課だ。
朱姫の舌が、宝玄仙の歯を一本一本舐めあげる。
不意に、衝撃に身体が跳ねた。
思わず、朱姫の顔を押し避けて、股間を押さえる。
突然、肉芽が震えはじめたのだ。
「ああっ……あっ……」
たちまちに込みあげる淫情に、気がつくと股間を両手に手を当てて、腰をくねらせていた。
「ど、どうかしましたか、ご主人様?」
朱姫が宝玄仙の顔を覗き込みながら言った。
「お、お前……」
思わず朱姫の顔を見る。
朱姫は、なにかを隠しているような笑みを浮かべているが、なにかわからない。
身体が熱くなる。
宝玉は、裸の下半身にまだ被っていた布を剥がした。
自分の股間に眼をやる。
肉芽が勃起し、ねらねらと濡れている。
勃起している肉芽の根元には、銀色の輪のようなものが食いこんでいる。
別にこれといっておかしいものはない。
だが、なぜこんなに感じるのか……。
いまは、なんともない。
急に股間に妖しい衝撃を感じたのだ。
「どうかしたのかい、ご主人様?」
「お身体の具体でも?」
横に侍っていた孫空女と沙那もそれぞれに言った。
「わ、わからない……。急に、なんか……」
いつの間にかさっき、不意に沸き起こった快感の衝撃は収まっている。
まだ、余韻のようなものは残っているが、いまはそれほどでもない。
「うわっ……んんっ――」
また、あの刺激……。
肉芽が弾かれている……。
理由がわからず、どんどん高まる刺激に、宝玄仙は腰を震わせて悶えた。
しばらく得体の知れない刺激に翻弄されていると、限界を遥かに超えたもの凄い振動が肉芽で発生した。
稲妻のようなものが身体を走り抜け、宝玄仙は呆気にとられたような表情の三人の供の前ではしたなく、絶頂してしまった。
「お、お身体の具合が悪いようですね……」
なぜか、沙那がうっとりした表情で身体を脱力させた宝玄仙の肩を抱きながら言った。
「も、もしかしたら、宝玉様のせいかもね……」
孫空女が言った。
「宝玉?」
「ゆ、昨夜、いっぱい遊んだからさあ――。淫具とか、道術の影響が残っているのかもね」
そんなことがあるわるわけがないとは思ったが、確かに宝玉が関係している可能性はあると思った。
そうでなければ、理由もなく淫情するというのは、どう考えてもおかしい。
「とにかく、お召し物を……」
沙那が、服を差し出した。
身支度を供たちにさせながら、またしても、突然に股間が疼きはじめた。
「ああっ……」
宝玄仙は思わず腰を落とした。
その腕を沙那が掴んだ。
「……とにかく、今日は、村の人がお礼の宴を開いてくれることになっています。そろそろ、出ていった方が……」
宝玄仙は驚いた。
そんな時間とは思わなかったのだ。
そう言えば、窓から差し込む光が強い。かなり、寝入ってしまっていたらしい。
「だ、だめさ……。きょ、今日は、具合が悪いんだ……こ、断っておくれ……」
股間の疼きがとまらない。
こんな状態では、外には行けない。
「そうはいかないよ、ご主人様。すっかり、準備が終わっているみたいだよ。いまさら、そういうわけにはいかないよ」
孫空女だ。
「そうですよ。上座に座って、普通に食事でもしていればいいだけですから」
沙那は、そう言いながら、宝玄仙にどんどん服を着せていく。
その間も股間は震え続ける。
肉芽の刺激が強すぎて、快感が突きあげる。
「い、いやだって、言っているだろう――」
いつにない強引な沙那に、宝玄仙は声をあげて、沙那の手を振りほどく。
その宝玄仙の肩を孫空女ががっしりと掴む。
「大丈夫だって、ご主人様」
孫空女が、宝玄仙をぐいぐいと外にむかう扉に向かって押していく。
「お前ら、いい加減に―――」
道術で電撃でも食わらせてやろうかと思ったが、なぜかそういう気になれない。
身体を振って、孫空女の強い力から脱しようと思った直後に、これまでにないくらいの強い振動がまた股間に走った。
「ひゃあああぁぁ――」
宝玄仙は、がくがくと腰を震わせてその場にしゃがみ込んだ。
あっという間に達したのだ。
宝玄仙は、愕然としてその場でしゃがんだままでいた。
股間の振動が静かになった。
「ご主人様、一度いけば、しばらく大丈夫ですよ」
朱姫が訳のわからないことを言い、扉を大きく開いた。
「宝玄仙様、おはようございます――」
一斉にあがった声に、宝玄仙はびっくりして慌てて立ちあがった。
家の外には、その村の村長を始め、近隣の村の有力者たちが十人ほど並んでいた。
宝玄仙は、平静を装って服を整える。
「す、すまなかったね……。ちょ、ちょっと寝過ごしたようで……」
宝玄仙は、そう言いながらも自分の顔が引きつるのを感じた。
さっきほど強くはないが、相変わらず肉芽の中心から淫靡な刺激が続いている。
全身から汗が噴き出るのを感じながら、宝玄仙は、挨拶を交わした。
「さあ、どうぞ」
村長が手を指し示す。
両側に沙那と孫空女が、ぴたりと張りつく。
断わりをする間のないまま、ほとんど、引っ張られるように強引に外に出された。
歩くと、股間の疼きがさらに大きくなってしまい、宝玄仙は知らずに腰を引いてしまう。
「ご主人様、そんなに腰を振っちゃだめだよ……」
「そうですよ。もう少し、自然に……」
孫空女と沙那が小声でささやく。
「そ、そんなこと言ったって……」
村長の案内に従いながら、宴の会場に連れていかれた。
宴の会場は、村の中央の広場に設けられており、中央に料理や酒が並べられ、踊りを踊る者、楽器を鳴らす者とかなりの賑わい見せていた。
宝玄仙が通りかかると、それらが静かになり、一斉に拍手が鳴り響く。
「あっ、またっ」
手を振って挨拶をしようとすると、ぶるぶると股間がまた強く震えた。
すぐに静かになったものの、もう、腰に力が入らない。
宝玄仙は、足が取られたようになり、身体を崩しかけた。
その腰をがっしりと孫空女が掴んで支えた。
しかし、孫空女が掴んだのは布越しだが、宝玄仙のお尻の割れ目の中央の孔の部分だ。
それを下側から握っている。
「お、お前――ど、どこを……」
どこを触っているんだと言おうとしたが、それを邪魔するように、股間が強く震える。
沙那がさっと移動して、朱姫とともに宝玄仙の背後を隠した。
その状態のまま、上座に向かって衆人の間を歩かされる。
「ご主人様……、もう一度、いったらいいよ。それで落ち着くから……」
孫空女が妖しい笑みを浮かべた。
ここでいく?
大勢の村人が集まっている場所の中心だ。
しかも、ほとんどの彼らの視線は、宝玄仙に集まっているのだ。
お尻を触る孫空女の手がもそもそと動き始める。連動するように強くなる肉芽の振動――。
「んんっ――」
宝玄仙は唇を噛みしめた。
一瞬、我を忘れ、全身を痙攣させて、その場で恥を晒した。
しゃがみ込むことだけは、孫空女が支えてくれた。
呆然とした。
これだけの人間の眼の前で絶頂してしまったのだ。
だが、そんな宝玄仙の姿にそれほどの不自然さを感じた者はいないように思えた。
それだけはほっとした。
しかし、これ以上、これが続けば、宝玄仙のおかしな動きは、だんだんと周りにも気づかれてしまうだろう。
もう逃げたい。
だが、孫空女と沙那が、強引に宝玄仙を上座に座らせる。
それからしばらくは、激しく達するような刺激はなかったが、その代わり、疼きのような弱い刺激はずっと続いた。そ
して、ときどき、思い出したように激しく肉芽が強く震えたかと思うと、あっという間に収まる。
激しく動くことと、静かに震えることを繰り返す肉芽。
その時間も間隔もばらばらだ。
いつ、強く動くのか備えられない。
しかも、絶対に収まることはなく、宝玄仙は終わりのない謎の刺激に泣きそうだった。
宝玄仙は、翻弄され続けた。
情けないのは、厠に行ったときだった。
厠で尿をしている最中に、最大限の衝撃が股間から沸き起こった。
それで、尿をしているときに姿勢を崩してひっくり返ってしまい、外で待っている沙那に着替えを持ってこさせなければならなかったのだ。
その日は、
衆人の中で不意に沸き起こる不規則な淫情の嵐に、宝玄仙は歯を食い縛って耐えなければならなかった。
そして、大勢の村人の囲む輪の中で、はしたなくも何度も密かにいき続けた。
夕方になって、やっと宴が終わるころには、宝玄仙は息も絶え絶えになった。
その夜は、供を苛むこともなく、あっという間に眠りについた。
*
「よくもやってくれたね、お前ら」
次の日の朝、眼を覚ました宝玄仙は、すぐに沙那と孫空女と朱姫の三人を並べて、下半身だけを裸にさせてしゃがませた。
両膝は、限界まで左右に開かせているので、三人の無毛の女陰が曝け出している。
「ど、どうして……?」
沙那が呟いた。
宝玄仙に聞かせるための言葉じゃないが、宝玄仙は、それを聞き逃さなかった。
「いま、どうしてって、言ったね、沙那?」
「い、いえ……。い、いや……は、はい」
「どっちなんだい?」
宝玄仙は、自分の眼の前の空気を指で弾く仕草をした。
その刺激を沙那に刻まれている内丹印を通じて、沙那の肉芽に送り込む。
「ひぎいっ――」
沙那が、肉芽を指で弾かれる痛みに仰け反って姿勢を崩しかけた。
しかし、同じ姿勢を保てと命令を受けている沙那は、懸命に態勢を保った。
「わたしはお前に質問しただろう、沙那。答えな──」
「い、言いました――」
沙那が慌てて言った。
「どうして……。それからなんだい? なにを言おうとしたんだい、沙那?」
「そ、それは……」
宝玄仙は、再び指を弾く仕草をした。
「わああっ。い、言います。言いますから。どうして、昨日のことを覚えているんだろうと思いました――」
沙那は叫んだ。
「さて、誰が首謀者だい? つまり、宝玉と取引をしたのは?」
宝玄仙は言った。
昨日のことは、はっきりと覚えている。
突然に欲情したり、繰り返し股間を不可思議に刺激され続けたあれは、『女淫輪』によるものだったに違いない。
だが、昨日の宝玄仙は、『女淫輪』のことを認識することができなかった。
おそらく、宝玉がそういう自己暗示をかけたのだ。
尻比べに負けたらそうすると、宝玉は、供と約束をしたのだろう。
そんなことを用心深く宝玉と取引するのは、沙那に違いないが、わざと朱姫や孫空女にも視線を向ける。
「朱姫、お前かい?」
道術で朱姫の肉芽を弾く。
「ひいぃ――。ち、違います」
朱姫が泣きそうな顔で叫んだ。
「じゃあ、お前かい、孫空女?」
孫空女の顔がこわばった。肉芽を弾かれると思っているだろう。
宝玄仙は、油断して無防備の孫空女の肛門を代わりに道術でくすぐった。
「うひゃああぁぁぁ――」
孫空女が跳びあがった。
手を後ろにやって、かろうじてひっくり返ることだけは免れた。
「お前が首謀者だね、沙那? 宝玉とおかしな約束をしたのは?」
宝玄仙は、また指を弾いた。
「んぎいっ}
痛みを送り込まれた沙那が、悲鳴をあげて、また、身体を崩しかける。
「は、はい。そうです。も、申し訳ありません」
沙那は声をあげた。
「いいだろう。じゃあ、なぜ、昨日のことを思い出したか教えるよ、沙那」
宝玄仙は、沙那だけではなく、横で蒼い顔をしている孫空女と朱姫にも道術で肉芽への刺激を送り込んだ。
与えたのは、『女淫輪』と同じような小刻みの振動に加えて、舌で舐め回されている感覚だ。
三人が真っ赤な顔で悶えはじめる。
「言っておくけど、許可なくいったりしたら、その下半身だけ丸出しの格好で、村を歩かせるよ。この宝玄仙に二言があると思わないことね」
三人の欲情した顔に、恐怖の色が混じる。
「宝玉は、昨日一日は、この宝玄仙が、『女淫輪』のことが知覚できなくなるし、その腹いせや仕返しをお前たちにしないように暗示をかけることをお前たちと約束したようだね」
宝玄仙はことさらゆっくりと語った。
三人が苦しそうによがっている。
「……でも、その翌日も思い出さないとは、約束はしなかったらしいね。宝玉も、昨日については、暗示をかけたけど、それを今日も持続するように暗示をかけるのは忘れていたようだね」
三人が恐怖と淫情に引きつっている。
宝玄仙は、その恐怖の表情を眺めて、思わず含み笑いをした。
とりあえず、その笑みを三人に見られないように隠す。
「さあて、どうしてやろうかね。とりあえず、許可なくいったら、下半身丸出しで村を歩かせるという言葉は覚えているね……?」
そう言うと、宝玄仙は、最大限の淫情を三人の身体に送り込んだ。
三人がほぼ同時に、喉を仰け反らせて絶叫しながら、股間から潮のようなものを一斉に噴き出した。
「達したね。わたしの眼を見るんだよ、お前たち」
宝玄仙は言った。
三人の供が泣きそうな表情で、宝玄仙を見た。
『縛心術』を結ぶ。
「……さて、お前たちは、いま下半身丸出しだけど、お前たちは、それを忘れてしまうよ……」
三人の視線が虚ろになった。
「じゃあ、外に行っておいで。そうだね。半刻(約三十分)ほど、そのまま、三人で歩き回ってくるんだ。村の人間に会ったら挨拶を忘れるんじゃないよ。村人がなんと言おうと気にするんじゃない。必ず、半刻(約三十分)は外にいるんだ」
宝玄仙は言った。
そして、沙那だけを見る。
「それから、沙那、お前はさらに追加だよ。半刻(約三十分)経って、お前たちはやっと自分たちの姿に気がついて戻って来るけど、沙那、お前だけは、この建物に入れない。建物の前で、突然、立小便を洩らしてから、それが終わってからやっと家に入れる。お前は、あまりに恥ずかしくなると、どうしても立って小便がしたくなると思うよ。里の者が見ている前でね……」
ぼんやりとした表情の沙那が頷く、
そして、三人がそのまま家の外に出ていく。
宝玄仙は、そのまま寝台にごろりと横になった。
まだ、身体がだるく、起きあがるのはつらいのだ。
そのうち、窓の外から喧騒が聞こえてきた。
まあ、時間が経って道術が切れたら、血相を変えて戻って来るだろう。
もちろん、我に返っても、自分たちが下半身を露出しながら歩き回ったことはしっかりと記憶に刻みつけられる。
外では、本当に大騒ぎが起きている。
あの三人が明るく挨拶する声もしている。
宝玄仙はやがて込みあげた睡魔に自分の身を委ねた。
(第19話『五人の尻勝負』終わり)