「服を脱いで、地面に掘ってある穴に入れろ。布切れひとつ、髪飾りや指輪に至るまで、一切を穴に捨てろ──。いまから、種別判定試練を行う」
虎力が言った。
「ほら、素っ裸だ。はやくするんだ――」
羊力も続ける。
「こ、ここで、脱げというのですか――」
紅夏女だ。
顔が真っ蒼だ。
向こうの残りの三人は身体を抱き合って泣き出した。
だが、七星は、そういう抗議の言葉が、三人を歓ばすだけで無駄であることを悟っている。
どうせ、破られて、裸身を大して隠していない服だ。
七星は、諦めて服を脱いだ。
そして、地面に掘ってある穴に放り込む。
孫空女も脱いでいる。
宝玄仙もだ。
ふたりとも無駄だと悟っているのか、さっさと裸になった。
七星が全裸になり終わったときには、孫空女も宝玄仙も同じように一糸まとわぬ裸になり終わっていた。
それにしても、ふたりとも美しい身体だと思った。
ふたりとも、両手で身体を隠すように、股間と胸に手を置いている。
七星は、そういうことすら、連中に屈服するような気がして、両腕は身体の横に伸ばしたままでいた。
「早く脱げ、お前らも――」
鹿力が大喝した。
すると、向こうの四人が苦しそうにもがき始めた。
慌てたように服を抜き始める。
その様子をしばらく見ていて、七星は彼女たちの首輪が絞まりはじめたのだとわかった。
四人は、喘ぎながら懸命に服を脱いでいる。
やがて、四人とも下着姿になった。
最初に
最後の一枚を投げ入れたところで、跪いて激しく息を整えている。
首輪の締りがとまったようだ。
ほかの女たちも、ひとり、ふたりと服を穴に放り投げ続けている。
「んげえっ」
だが、まだ服を投げ終わったいないのが最後のひとりになったとき、その女が突然に苦しみだして、途中でばったり倒れた。
首輪が喉に食い込んでいる。すでに、顔が紫色だ。
「それを貸して」
紅夏女が、倒れた彼女の腕から服をもぎとって穴に放り込む。
しかし、その女の首輪の締りはとまらない。
「ま、待って、死んでしまいます──。お、お待ちください──。服を脱ぎました──。もうなにも残っておりません──」
紅夏女が悲鳴をあげた。
それでも、首輪は絞まり続けているようだ。
紅夏女が、その女を抱きかかえて絶叫した。
首輪を外そうと手をかけようとする。
しかし、やはり、触れないみたいだ。他人の首輪でも触ることはできないのだろう。
娘は苦しみ続けている。
やがて、娘はまったく動かなくなった。
「な、なんてことを……」
紅夏女が、死んだ女を抱いて涙を流した。
だが、その紅夏女を鹿力が突き飛ばした。
そして、死んだ娘の腕をつかむと、たったいま、皆が服を脱いだばかりの穴に、身体を放り込んだ。
「な、なぜですか……? 彼女は、服を脱ぎましたよ……」
突き飛ばされた姿勢のまま、紅夏女が涙を溜めた顔で三人を睨んでいる。
「……種別判定試練と言ったはずだ。いまのは最初の試練だ。服を脱ぐのが、もっとも、遅かった者を殺すと決めていた」
虎力が平然と言った。
「そ、そんなこと言っていなかったじゃないか……」
乳房と股間に手を置いて立っている孫空女が半身を男たちに向けたまま、呟くように言った。
「いや、言ったな。俺たちが、這いつくばれと言ったら這え。服を脱げと言われたら脱げ。股を開けと言われたら開け――。俺はそう言ったぞ。これは、試練なのだ。言っておくが、まだまだ、試練は続くぞ」
「……お前たちを許さないよ、虎力」
宝玄仙が言った。
「ほう、どう、許さんのだ、宝玄仙?」
「い、いつか、酬いをくれてやるよ……。いまは、非力だから、お前たちの言いなりになってやる……。だ、だけど、いつか、必ず、道術を取り戻してから……」
「愉しみにしているぞ、宝玄仙。だが、そんなときが来るのか? お前は、いまこの瞬間、俺が指を一度鳴らすだけで、死ぬのだぞ。なんの抵抗もできずにな。指ひとつだ。お前の命など、ほんの俺の気まぐれの中で生きているのだ」
「わ、わかっているよ、虎力……。命令には従うよ……。ど、奴隷になってね……」
宝玄仙が歯噛みしながら言った。
七星は、それを俯いて聞いていた。
「まあ、その心掛けはいい。それが、ここで生きていく術だからな。俺たちには、逆らうな。命令には一切服従だ――。全員、聞け。この智淵城の囚人には掟がある。何度も言うが、お前たちには、ここで命令に逆らう権利はない。命令に逆らうときは、そのまま死ぬときと思え」
虎力が残っている女たちを見回しながら言う。
どの女の目にも、目の前の三人に対する憎しみのような色がある。
「……もしも、俺たち以外でも、兵が通りかかって、股を開けと言ったら開け。尻を出せと言われたら出せ。それはお前たちがここで長生きをするためでもある。ここでは、三箇月間、身体に一度も男の精を受けなかった女囚は、死ぬことになっている。甲種は性奴隷だから、その機会も多いが、乙種の労役奴隷の場合は、その機会も少ない。そんな乙種に、情けをくれようとしてくれる兵は、お前たちの救い主だと思うんだ」
虎力の説明に対して、残った六人の女の誰も口を開かなかった。
「……まあ、なかなか、口だけではわからんよ。ここは、身体に覚え込ませることさ、虎力の兄貴」
羊力が前に出た。
「おい、宝玄仙、前に出て、穴のところに行け」
羊力が叫ぶ。
「な、なにさせる気だよ?」
宝玄仙は身体を隠したまま、羊力の命令のままに穴のところに進んだ。
「こっちに、背中を向けて、地面の穴を跨げ」
穴は深いがそれほど大きなものではない。
肩幅の倍くらいの大きさだ。
大きく脚を拡げれば、跨げない広さではなかった。
宝玄仙が、真っ蒼な顔のまま、穴を跨いだ。
「身体を屈めて、尻を出せ。そして、自分の指で、尻孔を拡げろ。限界までな。命令だ。嫌なら、お前も首輪に絞められて死ぬだけだ」
「な、なんだって――」
宝玄仙の顔が真っ赤になった。
全身が怒りのために震えはじめる。
「あ、あたしがやるよ」
叫んだのは孫空女だ。
「いや、やるのは宝玄仙だ。その宝玄仙は、天教では最高神官だったのだろう? それが、命令で尻孔を自分で開くんだ。それで、お前たちにも、自分たちがどういう立場か、よくわかるというやつだ。さあ、やれ、宝玄仙。指で開いて、これが、自分の尻穴だと紹介しろ。それとも、死ぬか? 死ぬのが嫌なら、できるだけ、哀れっぽく、尻穴を紹介しろ」
宝玄仙が歯を食いしばっている。
だが、そのゆっくりとその上半身が倒れて、両方の手がお尻に回った。
「……こ、これが、宝玄仙の尻穴でございます。どうぞ、ご覧ください……」
宝玄仙が低い声で言った。
顔は、これ以上ないというように真っ白だ。
その表情は凍りついている。
虎力たちが大笑いしている。
七星は、正視できずに俯いた。
「全員、顔をあげろ。宝玄仙から眼を離すな」
羊力が怒鳴った。
七星は、仕方なく顔をあげる。
「……尻を左右に振れ、宝玄仙。もう一度、同じ台詞だ」
笑いながら鹿力が言った。
「これが宝玄仙の尻穴でございます……。どうぞご覧ください……」
宝玄仙が言いながら、腰を左右に動かしている。
もう、宝玄仙は顔をあげていない。
肩が震えている。
もしかしたら、宝玄仙は泣いているのではないかと七星は思った。
「よし、反対を向け。ほかの女たちにも見てもらえ。お前の尻穴をな。同じ台詞を忘れるな」
虎力だ。
宝玄仙は、身体を起こすと、一度穴から離れ、身体を反転させて、こちらに尻が見えるように屈んだ。
「……これが宝玄仙の尻穴でございます……。どうぞ……ご覧ください……」
宝玄仙の指は、自分の肛門の周りの肉を摘まんで拡げている。
女として、これ以上恥ずかしい姿はないだろう。
孫空女の歯ぎしりの音がここまで聞こえてきた。
その孫空女は、握り拳を固く握って震えている。
「腰の動きが足りんな、宝玄仙。もう一度やれ。それと同じ言葉を言っても興がない。少し、気を使って変化させんか」
虎力が笑いながら言った。
「くっ」
宝玄仙の悔しそうに呻く声が聞こえた。
だが、次の瞬間、宝玄仙の腰が大きく揺れ始めた。
宝玄仙の尻襞がはっきりとこっちを向いている。
「ほ、宝玄仙の肛門でございます―――。いかがでしょうか。これがわたしの尻穴でございます……」
宝玄仙は、羞恥の踊りを尻でやり続けた。
「いま少しだが、まあいいだろう。じゃあ、宝玄仙、そのまま、小便だ。それで、勘弁してやる」
「こ、これ以上、恥をかかそうっていうのかい? ここには、お前たちが、放り込んだ娘がいるじゃないか」
尻穴を拡げたままの宝玄仙が悲痛な声で三人に向かって叫んだ。
「それがどうした」
虎力が満面の笑みを浮かべた。
それで、宝玄仙は黙った。
しばらく時間が経った。
やがて、大きく拡がった宝玄仙の脚の間から、ひと筋の小便が流れ落ち始めた。
「よし、宝玄仙は、こっちに来い。次は、七星、お前だ。同じことをやれ」
虎力が言った。
七星は、自分の血がさっと顔から引いていくのを感じた。
「待ってくれ、虎力の兄貴。もう少し、恥をかかせようや。思いついたんだが、この宝玄仙に、さっきの格好で屁をさせるというのは、どうだろう? 兄貴は、法術で宝玄仙の尻の中に風の塊を送ることもできるだろう?」
羊力が言った。
「面白いな。さっきの格好に戻れ、宝玄仙」
虎力が言った。
「ふ、ふざけるな」
屈辱的な姿勢を解いていた宝玄仙は、拳を固く握って三人の男を睨んでいる。
しかし、虎力が指を鳴らすと、三人に向かって尻を出す格好に戻る。
術で身体を操作されたのだ。
「ほら、また、自分の指で尻の穴を拡げんか」
「も、もうするもんか……」
宝玄仙が尻を男たちに向けた前屈の姿勢で呻いた。
だが、宝玄仙の小さな悲鳴がした。
宝玄仙の顔が充血していく。そして、だんだん白くなる。
首輪が絞まっているのだ。
宝玄仙が震えはじめた。
「ご、ご主人様、や、約束したじゃないか――。生き抜こうよ――。ご主人様──」
孫空女が横で絶叫した。
宝玄仙が自分の尻に手をやる。
さっきと同じように尻穴を拡げたのだろう。
宝玄仙が脱力した。
そして、盛大に息を吸い始めた。
首輪が緩んだのだ。
虎力が指を鳴らす。
宝玄仙の顔がしかめっ面になった。
羊力が言っていたように、肛門の中に、風の塊を入れられたのだろう。
「いいぞ、やれ。それとも、また首を絞められたいか?」
虎力が言った。
次の瞬間、宝玄仙のお尻から大きな放屁の音がした。
三人が声をあげて笑った。
「次は七星だ。穴を跨いで、俺たちに向かって尻孔を開き、穴に小便を垂れろ。そして、最後に一発屁だ――。全員、やるんだ。ほかの者も、七星の後ろに並べ」
羊力が愉しそうに言った。
「宝玄仙、ぼうっとするな。お前は、こっちだ。穴のこちら側にまた並べ」
姿勢を崩すことを許され、自分の身体を抱いて精根尽きたように立っているの宝玄仙に向かって、羊力が怒鳴った。
宝玄仙が移動する。
七星は、黙って穴に向かって進んだ。
穴を跨ぐ。思わず、下を覗いてしまう。
眼が大きく見開かれたまま死んでいるさっきの娘の屍体が視界に入る。慌てて、目線を逸らした。
宝玄仙がやったのと同じように、尻穴を指で拡げて、屈辱的な言葉を口にしながら、股間を緩める。小便が屍体に当たる音がした。
尿が止まると、肛門の中に空気の塊りが入ってきた。
苦しい。
おならが出る。
「実は出すんじゃねえぞ」
羊力の揶揄が飛ぶ。
「数をかぞえるからな、七星。三、二、一、ぶうだぞ。三、二、一、ぶうだ。わかったな、七星」
「わ、わかったよ」
七星は言った。
「三……二……一……いけっ」
七星のお尻で激しく放屁が鳴った。
がっくりと首を垂らしたまま、宝玄仙の横に立つ。
七星が終わると孫空女―――。
そして、紅夏女。娘たち。
全員が終わるころには、太陽もやや西に傾いてきた。
「では、二番目の試練だ。最初に言っておこう。最下位だった者は、ここでも、ひとり死ぬ」
虎力が言った。
突然、脚が勝手に肩幅の倍ほどの広さに拡がった。そして、両方の腕が、それぞれ左右の足首に張りつく。
つまりは、脚を開いて、極端な前屈みの姿勢を強要されたのだ。
「こ、今度はなんだい?」
宝玄仙が感情のない口調で言った。
宝玄仙も七星と同じように、尻を上に突き出して両手を足首を握った格好で固定されている。
六個の女の尻が夕刻の牢城の畠で並んでいた。
「……次は、尻の締りの試練だ。尻の締りのもっとも悪い者が、ここでひとり脱落する」
いつの間にか、兵が六人そばにいる。全員が右手に桶を持ち、左手に浣腸器を持っている。
「ま、まさか―――」
七星は声をあげた。
ほかの女たちも悲痛な悲鳴をあげた。
その六人の顔方向に鹿力が立った。
それぞれの背後に兵がひとりずつ立つ。
七星の後ろにも兵が立ち、桶から液体を浣腸液に吸い込ませている音が聞こえる。
「ふたつ目の試練は浣腸だ。お前たちは、これから、同時に同じ量の浣腸液を肛門に注がれる。そして、一定時間待ち、また、同じ量を入れる。それを繰り返す。最初に大便をする者が出るまで続けられる。虎力殿も言ったが、最初に脱落した者はここで死ぬ」
そして、鹿力が片腕をあげた。
七星の肛門に浣腸液が注がれるのを感じた。