「ふ、ふざけるな、
宝玄仙は仰向けにされて、台の上に四肢を伸ばして拘束された裸体を必死に暴れさせた。
だが、流石に革紐でしっかりと拘束されている手首と足首はびくともしない。
「お、お願いします」
「暴れないでください」
「後生ですから、宝玄仙様、大人しくして──」
裸体に腰回りに黄色い布を巻いただけの若い女たちが、寝ている宝玄仙の周りに集まり、必死に宝玄仙に哀願してくる。
彼女たちが持っているのは、天井から吊るされている細い鎖に繋がった堅糸だ。
もともとは、こいつらも天教からこの国に布教のために潜入させられた巫女たちなのだろう。
いまは、天教狩りに捕まえられて、この奴隷城である
それはいいのだが、その三人がこうやって、羊力の私室に呼ばれているのは、第五位の序列の甲種奴隷となった宝玄仙の調教とやらを手伝わせるためだ。
まったく、ふざけた話だが、五人までと決まっている甲種奴隷のうち、第五位については、この智淵城で、
それはともかく、ここに強引に連れて来られた宝玄仙は、まずは鹿力によって、こうやって施術台のような台に仰向けに寝かされて、四肢を拡げて拘束された。
道術は手足にある刺青によって封印されているので、非力な宝玄仙には抵抗のしようもない。
また、抵抗したとしても、羊力たちの指ひとつで、首に巻かれている革の首輪が絞まり、いとも容易く宝玄仙は殺されてしまうことになるので、口惜しいが逃亡の機会を見つけるまで、大人しくするしかない……。
そう思って、台に拘束されるまでは神妙にしていたのだ。
だが、鹿力が適当な乙種奴隷を三人呼び、縛られている宝玄仙の肉芽の付け根を糸で結んで天井から吊り下げる作業をやれと命じたとき、宝玄仙の怒りが爆発した。
そして、いまこうやって、女たちが宝玄仙の股間に糸を結ぶのを邪魔するために、必死で腰を振って阻止している真っ最中というわけだ。
「お、お願いします。め、命令に従わないと殺されてしまうんです」
三人の女のひとりが泣きべそをかきながら言った。
ここに来て、まだ一日目だが、智淵城に集められた奴隷たちの命など、紙くず一枚よりも軽いというのはわかっている。
種別判定試験とやらでも、宝玄仙たちと一緒に集められた新入りの女囚たちが、馬鹿げた仕打ちで、虫けらのように殺された。
その怒りは、いまだに宝玄仙の中に、発散することのできない怒りの噴流としてくすぶり続けている。
また、宝玄仙は甲種奴隷といい、この智淵城の三人の番人、虎力、鹿力、
ほかには、丙種奴隷というのもあり、それは実験や食料として屠殺することが決まっている奴隷だということであり、それはまだ見たことはない。
とにかく、この三人も鹿力の命令に従うことができずに、宝玄仙の肉芽に糸を結びつけることができなければ、あっという間に殺されてしまうと思い込んでいるので必死だ。
しかし、宝玄仙だって、もう我慢の限界だ。
こうなったら、可能な限り抵抗してやる。
そう決めていた。
「呆れた女だな。この期に及んでまだ、抵抗するのか? まあいい。少し昇っている血を発散させてやろう。お前たち、少し退け。そのあいだ、俺の精をやろう。出すことができたら、三人で分けあってよい」
横になっている宝玄仙を見物するような態勢で食事をしていた鹿力が女たちに声をかけた。
「ありがとうございます」
「ありがとうございます。鹿力様」
「感謝申しあげます」
三人が嬉し涙まで流して、椅子に座っている鹿力の股間に群がっていく。
鹿力たちの話によれば、労働用の乙種奴隷であっても、三箇月間、虎力たち三人の番人、あるいは男の部下の精を貰わなければ、自動的に首が絞まって死ぬようになっているそうだ。
だから、生き残るために、彼女たちも必死なのだ。
いま、鹿力からほんの少しでも精が分け与えられれば、また三箇月の寿命がもらえるということなのだ。
三人が鹿力が食事を続ける卓の下に入り込み、争うように
「お前はこれだ、二、三回達しておけ。そうすれば、陰核も大きくなって糸が結びつけやすくなるというものだ」
鹿力が感情のこもっていない声で言った。
すると、宝玄仙が装着されている「下着」が動き出した。
甲種奴隷がつけられている「下着」は、下着とは名ばかりのふざけた霊具だ。
すなわち、本物の人間の手とそっくりの感触の手が四つ、ふたつの乳房と股間の前後から貼りついているのだ。
それがいつでも自由自在に、鹿力たちによって愛撫をさせることができるというわけだ。
しかも、女囚にかけられている呪術により、首輪とともに、淫具の手にも、宝玄仙たちは触れることができない。
つまり、甲種奴隷は自分で自分の局部や胸に触ることはできず、逆に下着である「手」に好き勝手にいじり続けられるということだ。
その指が宝玄仙の乳首と股間で一斉に動き出してきた。
いままでは、女たちが肉芽に糸を結びつけるということで、邪魔にならないように、一時的に手が開いた状態だったのだ。
「ああっ、くっ、ああ……、いや……」
「指」による愛撫が開始する。
股間に貼りついている手の指は、特に鹿力たちが術を込め直さない限り、股間と尻の穴に挿入されているのが常態だ。
あの種別判定試験が行われた智淵城の前庭から、ここに来るまで、ずっと指を挿入されたまま歩かされて、かなり追い詰められていたので、宝玄仙はすぐに身体が熱くなり、股間に灼けつくような疼きを感じてしまった。
「生意気な態度のわりには、なかなかに感じやすい身体だな。宝玄仙。その淫らな身体に免じて、しばらくは我慢してやるが、俺は女に生意気な態度をとられるのが好かん──。死にたくなければ、俺にかしずくことだ。ここでお前が生きるためには、それしかない」
鹿力がほとんど生肉のような赤い血の滴る肉を口に入れながら言った。
一方で三人の女はここまで聞こえるほどの音を立てながら、代わる代わる鹿力の股間を奉仕し続けている。
宝玄仙は、次第に昂ぶらされる淫情に歯を食いしばり、必死に汗ばんだ頬を左右に捩じって、追い詰められる快感を逃がそうとした。
「お、覚えてなよ……あっ、ああっ、き、きっと、仕返しを……仕返してやる……ああっ、んはああっ」
「そういえば、尻の穴が弱いんだったな」
鹿力の言葉が終わると同時に、お尻側の指がすっと肛門に滑り入ってくる。
潤滑油のようなものも表面に浮きだすことができるようになっているみたいだ。抵抗もなく、つるりとした感触で指がお尻に入ってくる。
「あっ、あああっ」
宝玄仙は指に翻弄されて、乱れた黒髪を振り乱すよいうに、断続的な悲鳴をあげた。
「ああ、そ、そこはい、嫌なんだ──。ゆ、許しておくれ、ああああっ」
狼狽し、自分でも愉悦とも、苦痛ともわからない感情が込みあがるのがわかる。
身体が激しく悶える。
お尻の快感が全身に拡がり、それが胸や股間や肉芽を責める指から与えられる快感と混じり合い、大きな快美感の波に襲われた宝玄仙は、我を忘れそうになる。
「前の穴よりも、尻の穴が弱いとは面白い身体だな。とりあえず、達しておけ。言っておくが、まだ調教は始まってもいないからな。とにかく、お前には徹底した服従心を身体に叩き込んでやる」
鹿力が言った。
これだけ宝玄仙を追い詰めながら、欲情の欠片も感じない鹿力の淡々をした喋り方が気にくわない。
せめて、宝玄仙の痴態に興奮する様子でも見せてくれるのであれば、宝玄仙の心も多少は慰められるのだが、鹿力は本当に機械的に宝玄仙を調教しているだけなのだ。
なによりも、このことが屈辱だ。
「あああ、だ、だめええっ、ああああっ」
そして、ついに絶頂がやってきた。
もう我慢できない。
全身がおこりが起こったようにがくがくと震えた。
「んぐうううっ」
宝玄仙は全身を突っ張らせた、
そして、股間から体液を噴き出すように激しく達してしまった。
「なんだ、こんなものか。思ったよりも速いな」
鹿力が失望したように、溜息をついた。
宝玄仙の頭に、かっと血がのぼる。
「まあいい。感じやすい方が手間が省けるか。とにかく、もう二回くらいいけ。そうしたら、糸吊りを始めさせる」
鹿力の声……。
また、指は宝玄仙が達したところで、まったく動きをとめることなく、妖しく動き続ける。
あっという間に、宝玄仙は追い詰められていく。
「あ、ああっ、あああっ、く、くそおっ、そ、それよりも、孫空女は、ぶ、無事なんだろうねえ──。こ、答えるんだ、鹿力、ああああっ」
宝玄仙は叫んだ。
お尻をいじられながら、敏感な陰核を指先で抉りだすように、激しく揉みあげられる。
糸吊りをしたいと言っていたので、そこを大きくしたいのだというのは、容易に想像がつく。
耐えたいのだが、指の腹を押し当てられて、包み込むようにくすぐられてしまうと、絶息するような鋭い快感が湧き起こり、宝玄仙はぴんと四肢を突っ張らせた。
とにかく、孫空女の無事を確認したい。
宝玄仙は喘ぎながら、もう一度、孫空女のことを鹿力に訊ねた。
「しつこいなあ。無事だろうさ。お前と同じように、牙もあるし、爪もある女のようだったが、虎力の兄貴が徹底的に躾けている。お互いに従順になったら再会もできるだろう」
やはり、虎力のところに連れていかれたのだと思ったが、この感じだと、しばらくは別々に隔離されるのだと思った。
だが、一方で二度目の絶頂感が襲いかかってきた。
「んぐううう」
そして、二度目も呆気なく宝玄仙は達してしまった。
「次で終わりだ。お前たち、三度目に宝玄仙が昇天するまでに、俺から精を搾りだせ。さもないと、次の女たちに交代させる。役立たずとして、丙種送りだ」
鹿力が冷たく言った。
女たちは「ひい」と悲鳴を出し、ますます淫靡に鹿力の股間に吸いついていく。
結局、宝玄仙が三度目の絶頂をする直前に、鹿力は女のひとりの口に精を放ったようだ。
それと同時に、指が一斉に離れたので、宝玄仙は朦朧とした視界で女たちを眺めた。
三人の女は、大変な貴重なものであるかのように、三人で鹿力の放った白濁液を必死の様子で分け合って、自分たちの口の中に入れている。
「そろそろ、始めよ、お前たち。さっきの続きだ」
鹿力の声が部屋に響く。
再び三人が宝玄仙の周囲に集まる。
女たちの指が伸びて、宝玄仙の陰毛を撫で、熱く熟したような粘膜のあいだに指を入れ、もうひとりは、お尻に指を挿入してきた。
宝玄仙がお尻が弱いというのを聞いていたのだろう。
「ああっ、うううっ」
宝玄仙は脂汗の流れているのを感じる顔を歪ませ、口から悲鳴をもらした。
今度は激しく抵抗しようにも、三度も連続絶頂させられて、手足は痺れ切っている。
動かすこともできない。
ついに、肉芽の根元に糸が強く巻き付けられた。
「あああっ、んぎいいいい」
宝玄仙は絶叫した。
女たちが肉芽に糸を繋ぎ作業を終えた瞬間に、糸に繋がった細い鎖が天井方向に巻きあがり、宝玄仙の股間に針にでも刺されたような激痛を生んだのだ。
「ああっ、いやあああっ、あがああ、や、やめろおおっ、あああっ」
宝玄仙は悲鳴をあげた。
凄まじい激痛だ。
五体がばらばらになるような股間の痛み──。
革紐に拘束されている両脚も反り返り、左右に割られている太腿はぴんと硬直して、全身に震えが起きる。
「お前たちは行っていい。隣室に朝と昼の俺の食べ残しがある。それを片付けよ。食いたければ食べてもいい」
鹿力の言葉に、女たちが狂喜の声をあげて、隣室に殺到していく。
宝玄仙は、肉芽を天井に吊られるという想像もできないような屈辱と苦痛を受ける状態で鹿力とふたりきりになった。
「ああ、畜生──。もう、殺しな──。いい加減にしなよ、鹿力──」
宝玄仙は泣き叫んだ。
糸はさらにぐっと持ちあがり、宝玄仙の腰がわずかに浮いたところで、やっと上昇をやめたのだ。
だが、少しでも弓なりの体勢を変えると、激痛が全身に走る。
いや、すでに狂うような痛みが全身に走っている。
「心配するな。この糸吊りをすると、どんな女でも最初は逆上したようになる。だが、ひと晩もすれば、すっかりと従順な気持ちになれる。まあ、とりあえず、朝まで我慢してみよ」
鹿力が立ちあがった。
そして、宝玄仙の肉芽を吊っている糸のすぐ上の部分に親指の先ほどの鈴を無造作に結びつけた。
「んぎいっ──。引っ張るんじゃない」
それだけで、宝玄仙は股間に針でも刺されたような激痛が発生してしまい、泣き叫んでしまった。
糸に繋がった鈴がちりんちりんと鳴る。
すると、道術なのか、鈴の周りからどろりとした液体が浮かび、それが糸を伝わってとろとろと股間に向かって落ちてくる。
すぐに宝玄仙は、肉芽を中心とした股間を得たの知れない液体まみれにしてしまった。
これはなんだろうと思ったのは束の間だ。
すぐに、怖ろしいほどの痒みが股間に襲いかかった。
「か、痒いいいっ、か、痒い──。な、なにすんだよ、鹿力──」
宝玄仙は悲鳴をあげた。
液体が滴っている肉芽が猛烈に痒い。
鈴から流れている液体が強力な掻痒剤だったみたいだ。
凄まじい痒みに、宝玄仙は腰を振った。
鈴が鳴って羞恥を誘うが、それよりも痒みが肉芽を引っ張られる痛みが打ち消してくれて気持ちいい、
「宝玄仙、鈴を鳴らすと、痒みを生じる液が流れる仕掛けになっている。痒みに狂いたくなければ、糸を揺らすのをやめることだ」
鹿力が冷たく言った。
宝玄仙は歯噛みした。
痒み液の滴りをとめるのは、鈴が鳴らないように腰をとめるしかなく、しかし、この痒みを前にしては、腰を振って糸による激痛をもらわなければ狂ってしまう。
つまりは、宝玄仙はいつまでも、痒み液を足されながら、糸を引っ張って刺激をもらい、鈴を鳴らし続けるしかないというわけだ。
なんという嫌らしい仕掛けだろう。
宝玄仙は歯噛みした。
「宝玄仙、明日の朝だ。そのときに態度が改まっていなかったら、これを続ける。まずは、嘘でもいいから言葉遣いを改めることだ。では、宝玄仙、明日の朝な」
信じられないことに、鹿力は、この状態の宝玄仙を放置して、どこかに出ていく気配を示す。
宝玄仙は愕然とした。
「ま、待つんだよ、どこに行くんだい。ま、待って──」
いま、朝までと言ったが、まさか本当のことじゃないだろう。
このまま放置されるなど、冗談じゃない。
「辛いのは最初だけらしいぞ。だんだんと苦痛が気持ちよくなるそうだ。まあ、俺としてはどうでもいいが、まずは調教として、俺の従順であること、次にいつでも俺が挿入したくなったら犯せるように、常に股間を濡らしたままでいることを覚えてもらう。そのための糸吊りだ。ではな」
鹿力が立ちあがった。
そして、出ていく。
宝玄仙は本当にこの状態でひとりにされてしまった。
「ああ、く、くううう……」
宝玄仙はせめて、扉の向こうに消えた鹿力に毒づこうと身を捩らせたが、たちまちに糸で股間を抉られて、じーんという痛みと疼きが腰骨にまで響き、結局声も出すことができなかった。
鈴はいつまでもいつまでも、ちりんちりんと鳴り続けていた。