※この作品はR-18です。

嗜虐西遊記【完結】   作:ドン・ドナシアン

132 / 819
132 寸止め地獄と五番勝負の結末

「わたしを……わたしを丙種にしてください……。間引くのはわたしを……」

 

 うわ言のように、紅夏女(こうなつじょ)は言った。

 股間を貂蝉(ちょうせん)が舐めまわしている。

 それが、紅夏女の肉芽を突きあげている。

 

「くうっ――。ふむうっ――」

 

 あがってくる。

 紅夏女は唇を噛み締める。

 口の中に血の味が拡がる。

 

 あと少し……。

 紅夏女の視線の正面に置かれている砂時計は、もう少しで落ち切る。

 これに耐えれば、貂蝉は……。

 

 しかし、束の間の休息の後、また、貂蝉の舌の攻撃を受けさせるのだ。次は絶対に耐えられない。

 だが、とにかく、いまを耐えなければ次はない。

 紅夏女は叫んだ。

 快楽に耐えるためだ。

 なんでもいいから叫ぶのだ。

 

 貂蝉の舌が離れた。

 

 眼を開ける。

 砂時計の砂は下に落ち切っていた。

 椅子に座る鹿力が、砂時計をひっくり返した。

 今度は、あの砂時計の砂が落ち切るまで休息が許される。

 

「半日も焦らし責めを受け続けて、さらに、たっぷりと媚薬を繰り返し重ね塗りした身体で、どこまで耐えるのかと興味を持っていたが、まさか、五回も耐えるとはな。この十日近くの調教でなかなか、快楽を制御できるようになったようだな」

 

 鹿力が無表情で言った。

 

「お、お願いします……。わ、わたしを丙種にしてください。殺されても構いません……。せ、せめて、貂蝉を……」

 

「そんなにこの娘を助けたいのか? さっきから、お前を苦しめているのはこの娘なのだぞ」

 

 紅夏女は何度も首に振った。

 

「助けたい……。助けたいのです……」

 

 貂蝉を見た。

 その視線は虚ろだ。

 可哀想に……。

 法術で操られているのだろう。

 自分がなにをやらされているかも、どうされようとしているのかわからないのだろう。

 助けてあげたい。

 こんな場所でも、生きていれば救出の望みもあるかもしれない。

 一緒に車遅国(ちゃちこく)に入ってきた三人の巫女のうちのふたりは殺された。

 せめて、この貂蝉だけでも……。

 

「口の中を噛んで、耐えておるのか……」

 

 鹿力が言った。

 はっとした。

 次の瞬間、紅夏女の口は大きく開いた。閉じられなくなる。

 

「ああ……ああ……ああ、あ……ああ……」

 

 紅夏女は、愕然となった。

 口を閉じられなくして、歯を噛みしめることを禁止し、さらに追い詰めようというのだ。

 もうすぐ砂が落ち切る。

 また、貂蝉の舌を肉芽で受けなければならない。

 朝からこの椅子に、手摺に膝をかけた格好で大きく股を拡げて縛られ、曝け出した股間を金楊凛(きんようりん)によって数刻も筆でなぶられ続けた。

 実際にそれをやったのは貂蝉だ。

 紅夏女は、貂蝉を護るために、貂蝉の責めに耐えなければならない。

 

 数刻も続けられた筆責めだが、紅夏女は一度もいかせてもらえなかった。

 十日前の紅夏女だったら、そんな責めには、音をあげはしなかったもしれないが、この智淵城に連れて来られて四六時中四本の「手」に身体を苛まれて、当たり前のように毎日犯され、いき狂うのが当たり前になってからの「焦らし責め」は、紅夏女の精神を崩壊寸前まで追い込んだ。

 

 だが、いかせてもらうためには、この貂蝉を丙種奴隷にしろと金楊凛にお願いしなければならないと言われた。

 紅夏女は耐え続けた。

 

 そうやって、半日責め続け、金楊凛は、ここにいる鹿力(かりき)と責めを交替した。

 鹿力は、それまでの焦らし責めから一転して、貂蝉に紅夏女の股間を舐めさせて、達したら貂蝉を丙種に落とすと条件を変えた。

 限界まで焦らし責めにかけられた身体で、今度は敏感な肉芽に対する愛撫に耐えなければならないのだ。

 

 紅夏女は、目の前が真っ暗になる思いだった。

 そして、どこまでも卑劣なこの男たちを心の底から憎んだ。

 最初からそうやって愉しむつもりで、半日、金楊凛に筆責めにかけさせたのだろう。

 耐える時間は、砂時計の砂が落ち切るまでだ。

 それを耐えたら同じ時間の休息が与えられる。そして、また舌で責められる。

 

 その条件がなければ、あっという間に達していただろう。

 砂時計の砂は、思ったよりも落ち切り時間は速かった。

 おそらく、紅夏女の耐えられる可能性のあるぎりぎりの時間を調整したのだろう。

 

 五回耐えた。

 だが、もう限界だ。

 次は耐えられない。

 しかも、口を閉じるのを禁止されもした。

 

「時間だ」

 

 砂時計が返され、砂が落ち始めた。

 貂蝉の口が紅夏女の勃起した肉芽に触れた。

 

「ああががが――。はががが――」

 

 紅夏女は、大きく開いた口のまま、首を激しく横に振った。

 涎が飛び散る。

 声を出すのは耐えるためだ。

 それにより少しでも官能の暴力を振り払うためだ。

 

「面白い反応をするな、紅夏女」

 

 鹿力が揶揄する。

 貂蝉の舌が執拗に紅夏女の肉芽をしゃぶり続ける。

 

 もう、そこまで来ている。

 紅夏女は吠えた。

 力の限り吠えた。

 少しでも快楽を外へ……。

 

 吹きあがる――。

 熱いものが紅夏女の限界を突破する。

 

 貂蝉を救いたい。

 

 その一点だけで、紅夏女は快感の頂点を押しとどめている。

 

「思ったよりも頑張るな。それに免じて、この一回を耐えたら、術でいかないようにしてやるぞ」

 

 いかないようにする……。

 それがなんのことかわからなかったが、この一回を耐えればいいのだということだけは理解した。

 貂蝉の舌が肉芽を舐め続ける。押し転がされる……。

 

 身体中が痙攣し始めた。

 大きく開いた口から奇声が迸っている。

 気をやる。

 達してしまう。

 

 貂蝉――。

 

 操られて、自分が殺されるための愛撫をさせられている娘……。

 この地獄の牢城でせめて、彼女だけでも救いたい。

 砂はもうすぐなくなる。

 敏感な突起が吸われる。

 撫ぜ回される。

 弾かれる。

 

「もうすぐだな。だが、耐えきってしまうと、お前は後悔することになる」

 

 鹿力が言った。

 その言葉が少し気になった。

 閃光が総身を駆け抜けようとする。

 身体の震えが大きくなる。

 

「終わりだ……」

 

 貂蝉の舌が離れた。

 紅夏女は、全身を脱力させた。

 

 耐えきった――。

 頭にあったのはそれだけだ。

 鹿力が、立ちあがってこっちにやってきた。

 術によって開きっぱなしだった口が閉じた。

 

「次は、この薬を飲ませてやろう。これを飲めば、身体が燃えあがる。少なくとも快楽に対する感度は倍になるだろう」

 

 鹿力の手が一個の丸薬を差し出している。

 それが紅夏女の口の先に突きつけられる。

 恐怖した。

 

 ただでさえ、限界をとっくに超えている身体だ。かろうじて耐えているのは、貂蝉を殺したくないという意思だけだ。

 その紅夏女をこれ以上追い詰めようというのか……。

 

 紅夏女は、首を横に振っていた。

 すると、鹿力が頬に笑みを浮かべた。

 

「……心配ない。これを飲めば、いきたくてもいけなくなる。だが、いけなくなるのはつらいぞ。二度と……、永遠に絶頂できんのだ。いまのお前の身体の火照りが消えることもない。その絶頂寸前のもどかしさが、死ぬまで続くのだ。おそらく、三日ももたんだろう。お前の理性は完全に崩壊する。その代わり、達することで貂蝉を丙種送りにすることは避けられる。なにしろ、いきたくても、いけんのだからな……。どうする?」

 

「飲ましてください」

 

 即答した。

 貂蝉を救えるなら、自分などどうなってもいい。

 鹿力が冷笑した。

 そして、紅夏女の口の中にその丸薬を入れた。

 口の中であっという間に溶ける。

 紅夏女はそれを喉に飲みくだした。

 

「ひいっ」

 

 喉を溶けた薬剤が通り過ぎた途端、紅夏女の身体は一変した。

 身体が燃えあがる。熱いものが全身を駆け巡る。

 

「さて、貂蝉、じゃあ、さっきの続きだ――。紅夏女、条件は同じだ。いけば、貂蝉は丙種奴隷だ」

 

 鹿力が離れていき椅子に座り直す。貂蝉の顔が紅夏女の股間に近づく。ふと見ると、鹿力はもう、砂時計を返そうとはしていない。もう、時間を制限するつもりがないのだろう。

 

 貂蝉の舌が肉芽をひと舐めした。

 

「ひふうううっ」

 

 紅夏女は、総毛を立たせた。

 さっきまでとは大違いだ。

 あっという間に出現した波に紅夏女の裸身は飲まれた。

 下肢が痙攣し、悲鳴をあげて紅夏女は全身を凝固させた。

 

「んはあああ」

 

 瞬時に、達してしまった――。

 一瞬だけ、絶望が走る。

 だが、次の瞬間、それが誤りであることに気がつく。

 別の意味で愕然とする。

 

 達していない……。

 達したと思っただけで、まだ、紅夏女の身体はそこに留まっている。

 

「ああああ、あああああ、ああああ」

 

 紅夏女は悲鳴をあげて震え続けた。

 果てのないような快感は続いている。

 

 いき続ける。

 いや、いっていない……。

 

 肉芽に貂蝉の舌の愛撫を受けて、身体は痙攣して果てている。

 しかし、頭の中は絶頂には達していない。

 絶頂を求めて、ひたすら昇り続けている。

 

「ひぎゃああ――。はがっ――。がはっ――」

 

 紅夏女は吠え続けた。

 首を仰け反らせて絶叫した。

 

 いけない──。

 いきたい──。

 いけないのだ。

 

 紅夏女は、やっとさっき鹿力が言った、“いきたくてもいけない”という意味がわかった。

 熱い欲望に花芯が脈打つ。

 全身が激しい身悶えに捩じられる。絶頂寸前の状態がずっと続いている。

 

 息ができない。死んでしまう。

 いきたい──。

 快楽の嵐が出口を求めて暴れ回っている。

 どこにもいけない官能の暴風が紅夏女の全身を激しく痙攣させる。

 貂蝉の舌が、その快楽の頂点を締め続ける。

 

「ああ、もうやめてええ……。いかせて……。いっそ、いっそ殺してえええ……」

 

 紅夏女は泣き叫んでいた。

 

「貂蝉、やめろ」

 

 すると、鹿力の声がした。

 貂蝉の顔が股間から離れる。

 だが、痺れるような快感の波は去っていかない。

 いつまでも残り続けている。

 連続の絶頂をしているようで、一度も達していない。

 そういう快楽の拷問が紅夏女を襲い続けている。

 

「いきたいか、紅夏女?」

 

 鹿力が言った。

 

 紅夏女は、応じられなかった。いきたい。たった一度の貂蝉の舌の攻撃だけで、心の底から絶頂を欲していた。

 だが、絶頂すれば、貂蝉を丙種奴隷送り……。

 そういう条件を鹿力は突きつけるだろう。

 

「どちらでもいい。いきたければ、さっきの薬の解毒剤を飲ませてやる。気持ちよく絶頂できるぞ。その代わり、いけば貂蝉は死ぬ。丙種奴隷になり、首から上を処分され、胴体だけで生きるただの内臓の入れ物になる。いや、その場合は、処分された首の方が、貂蝉なのかな?」

 

 鹿力は笑った。

 紅夏女は、なにが可笑しいのかわからない。

 まだ、紅夏女の身体は、甘美な官能の槍が貫通したままだ。

 

「そうか。まだ、耐えられるか……。貂蝉、始めろ」

 

 鹿力が貂蝉の名を呼ぶと、貂蝉がまた肉芽を舐めはじめる。

 紅夏女は悲鳴をあげた。

 悲鳴は泣き声だった。

 拘束された身体を限界まで動かしながら、偽物の絶頂を紅夏女は続けた。

 汗にまみれた大股開きの身体がのたうつ。

 舌が怒涛のように紅夏女の肉芽を攻撃する。

 

「いきたいか?」

 

 いつの間にか、そばに来ている鹿力がささやいた。

 紅夏女は首を縦に振っていた。

 

 もう、耐えられない。

 どうでもいい。

 この苦しさから逃れられるなら……。

 

 絶頂――。

 いや、とまる……。

 すぐに突きあげられる……。

 

 だが、またとまる。

 

 そして、すぐに絶頂……。

 ぎりぎりでとまる。

 

 身体は限界を遥かに超えているのに、絶頂だけができない。

 連続でいき続けながら、一度もいけない。

 貂蝉の舌がとまった。

 紅夏女の前に薬が突きつけられる。

 

「これを飲め。いけるぞ。気持ちよくな。一発で昇天できる。貂蝉のことなど忘れてしまえ。それどころか、明日まで休ませてもやるぞ。そうだ。明日は一日、なにもしないでやろう。その身体を横たえて、一日休んでいい……。その代償は、たった一度本物の絶頂を味わうことだ……。貂蝉は丙種になるがな。しかし、こいつはもう意識はない。お前に売られたという記憶はない。あったとしても、もはや、屍体になるだけの女だ」

 

「……ど、どうして……。どうして、こんなことをするのです……?」

 

 紅夏女は震えながら言った。

 まだ、もどかしい快感が股間を暴れている。

 苦しい……。

 いきたい……。

 いかせてくれるなら、なんでもできると思った。

 

「理由か……? 強いて言えば、愉しいからだ。人間が毀れていくのをを眺めるのが好きなのだ。最初の日、お前は自分の命を犠牲にして、この貂蝉を救おうとした。そのお前が、今度は、一時の快楽のために、その貂蝉を売り渡す……。いつかはそうなる。それを見たいのだ……」

 

「ああ……。ひ、卑劣な……」

 

 紅夏女は首を横に振った。

 苦しいのだ。

 こうやっていても苦しい。

 もうほんのちょっとも、寸止め責めを我慢したくない。

 

「実際、虎力(こりき)の兄貴には、お前か宝玄仙(ほうげんせん)のどちらかを丙種送りにするように指示されている。それで手っ取り早く、それぞれに毀れるような試練を与えているというのもある」

 

「ひ、ひとでなし……」

 

 紅夏女はそう言った。

 すると鹿力が薬を紅夏女の口元に突きつけた。

 

「飲め……。その苦しみは終わるぞ。お前と宝玄仙については、毀す方に宝玄仙を選んでやる」

 

 紅夏女は、開きかけた口を懸命に閉じた。

 そして、横を向く。

 

「……そうか」

 

 鹿力は、椅子に手を伸ばすと、紅夏女の拘束された脚と腕の縄を解いた。もっとも、それで解放されたわけではない。

 どうせ、手足は、彼らの術でつけられた黒い帯のような手首と足首の線で支配されている。

 

 しかし、とにかく縄はなくなったのだ。

 紅夏女は、曝け出された脚を手摺から降ろそうとした。

 だが、身体が固まったように動かない。

 

 鹿力が、紅夏女の左膝を掴み、手摺から降ろした。

 紅夏女の身体は、均衡を失くして、椅子から転げ落ちた。

 起きあがろうとした。

 でも、すぐには起きられない。

 

「お前に選択させてやろう。その絶頂に達することができなくなった火照りきった身体で、宝玄仙と一緒に兵どもに輪姦されるか、解毒剤を飲んで絶頂に達し、貂蝉を売り渡すかだ……。いずれにせよ、どちらか先に毀れた方を丙種送りにする」

 

「な、ならば、宝玄仙様と一緒に……」

 

 紅夏女はすぐに答えた。

 

「わかった。だが、輪姦が終わり、解放されたときに、俺はもう一度、同じことを訊くが、そのときは、お前は、必ず、貂蝉を見捨てることを選ぶ。たった一度、絶頂するためにな。お前は、貂蝉を丙種にしろと言うはずだ」

 

「絶対に言いません」

 

「ならば行け。自分の脚で這いつくばってでも、廊下にいる宝玄仙のいる場所まで行け。そこで、わたしも犯してくれと連中に言え。お前が、連中に犯されているあいだ、貂蝉は、ここで休ませてやる。ここなら、食事もできるし、横にもなれる。乙種奴隷の待遇からすれば天国だ」

 

 この後に及んで、さらに、紅夏女自身に、兵たちに犯してくれと言わせるという嫌がらせに、紅夏女は歯噛みしたが、それでもなんとか立ちあがった。

 足がふらつく。

 だが、歩けないわけではない。

 

「待て」

 

 鹿力が言った。

 すると、身体に張りついていた「手」がすべて床に落ちた。

 

「戻ってくるのを愉しみにしているぞ。その身体で、輪姦されればお前は狂う。意思のないまま、貂蝉を見捨てているだろうよ」

 

「そんなことはしません、鹿力様」

 

 紅夏女は、部屋の扉を開けて、廊下に身体を進ませた。

 

 

 *

 

 

 七海は、肩で息をしながら、舌を伸ばして、壁の鈴を舌で鳴らした。

 ちりんと音がした。

 

「七星の勝ちね」

 

 金楊凛が、後手に拘束された七星の乳首を無遠慮に指で転がした。

 

「や、やめてよっ――」

 

 七星は、上気した身体を捩じってそれを避けようとするが、金楊凛は七星の肩をしっかりと掴んで逃がさない。

 金楊凛の指は、代わる代わる七星の両乳首に刺激を加える。

 たったそれだけのことだが、燃えあがるだけ、燃えあがらせられている七星の身体は、あっという間に追い詰められる。

 たちまちに嬌声を絞り出させられる。

 

「ああ……。そ、そこは……、あっ……ひゃあ……」

 

「可愛い声も出せるのね、七星。仲良くなれそう……。お前が生き残ることになったんだから、また、さっきの男根を虎力様に生やしてもらって、本格的に奴隷たちを責める道具として調教しましょうね」

 

 金楊凛は、そう言いながら攻撃の対象をまだ縄に乗っている七星の肉芽に変えた。

 この勝負を始める前に、七星も孫空女も法術で生やされた男根は消された。

 だから、七星の股間は、いまは女性そのものだ。

 

 そうしているあいだに、やっと孫空女が壁まで辿りついた。舌で鈴を鳴らす。

 がっくりと意気消沈している。

 孫空女の負けがこれで確定した。

 

 五番目の勝負は、部屋の端から端に張られた縄を股に食い込ませて十往復することだ。

 縄はそれぞれの臍くらいの高さに調整してあり、しかもたくさんの大きな結び瘤があった。

 それを素股で跨って十往復しろというのだ。

 壁の両側には鈴が吊ってあり、それを舌で鳴らす。

 音が鳴ったら、逆に歩き、反対側の壁までいき、今度は後頭部で鳴らす。

 鳴らしたら、また、縄瘤に翻弄されながら前に進む……。

 

 しかも、縄にはご丁寧にも媚薬が塗りたくっていて、縄の刺激を受け続けなければならない七星の股間をどうしようもなく責めたてる。

 

 そして、孫空女とともに縄瘤歩きを始めた途端に、金楊凛がただでさえ敏感になっている七星と孫空女の身体を手で責め始めたのだ。

 乳房を揉み、乳首を撫ぜ、横腹や臍をくすぐる。

 ときには、縄が食い込んでいる女性器そのものを悪戯する。

 

 抵抗したくても、法術により背中で両手首を張り合わせられているので、阻止できない。

 それに、金楊凛の指にかまけていると、勝負に負けてしまう。

 だが、縄に塗ってある強力な媚薬は、腰が砕けるほどの淫靡な状態に七星を追い込み、さらに縄の瘤が七星を責め苛む。

 その状態で金楊凛の責めだ。

 まともに歩けるわけがない。

 

 ほぼ、二往復で一回の割で無理矢理に達せさせられ、しかも、休むことも許されずに歩き続けなければならない。

 やっと、十往復の終わった七星は、もう限界だ。

 

「敗者は、孫空女だな」

 

 椅子に座り、酒をすすりながら勝負を見守っていた虎力が満足げに宣言した。

 七星の股間に食い込んでいた縄が床に落ちた。それとともに、七星も崩れ落ちる。

 ふと見ると、横では、孫空女もしゃがみ込んでいる。

 そして、がっくりと肩を落としている。

 それも仕方ないだろう。

 これで孫空女の丙種奴隷行きが決定したのだ。

 孫空女に恨みはないが、七星だって、家畜のように屠殺されるのは嫌だ。

 

 とにかく、五番勝負の判定試練は、七星の勝ちが決まった。

 

 七星と孫空女――。

 負ければ丙種奴隷という名で屠殺されるという勝負だった。

 最初の勝負は、法術で生やされた男根で、どれだけ長く刺激に耐えて射精を我慢できるかという勝負だった。

 五本勝負で、一応、七星の勝ちということになった。

 

 二つ目の勝負は、一転して、男根で先に三回射精した方が勝ちという勝負だ。

 だが、手でこすることは許されない。

 そして、身体に装着されていた「手」の淫具は全部外された。

 肛門に挿入されて『電撃芯』も抜かれた。

 なにも淫具のない状態で、手を使わずに、男根で三回射精するという勝負だ。

 両手以外の身体の自由を得た七星は、卓台と自分の身体に男根を挟んでしごき、孫空女は壁に張りついて、男根だけではなく、乳首も擦りつけて自慰をした。

 

 あまりにも浅ましい自分の行為に、羞恥で視界が真っ暗になる思いだったが、懸命に台で股間の肉棒を擦った。

 その勝負は、孫空女が勝った。

 

 三つ目の勝負は、完全に手足を自由にした状態での孫空女との性交勝負だ。

 女としての技で、先に昇天した方が負けという単純なものだ。

 手足が自由になったからといっても、虎力に襲い掛かって人質にするとかいうことはできない。

 逆らおうとすると手足が動かなくなるように術がかけられている。

 それは、逃げようとする行為も同じだ。

 房事だったら七星が有利だ。

 この孫空女という女傑は、気は強いが、感じやすい身体をしている。

 あっという間に七星の手管に乗ってしまい、勝負は呆気なく七星の勝ちになった。

 

 それで七星が二勝一敗となり、四番目の試練に勝てば、七星の勝ちだったが、四番目は負けた。

 四番目の勝負は、肛門と膣で張形を咥え、それを紐で結びつけて綱引きをするというものだ。

 膣と肛門の二箇所で、普通の張形、振動する張形、振動するうえに表面が柔らかい触手の突起が密生した状態になっている張形のそれぞれで引っ張り合いをやらされ、計六回やった。

 膣だろうが、肛門だろうが、振動していようがすまいが、筋肉では孫空女には敵わないことがわかった。

 六回中、六回とも七星が負けた。

 それでも、六回勝負をやらされた。

 

 そして、二勝二敗の最後の勝負が、この瘤縄渡りだ。

 部屋に展張された縄瘤のついた縄を渡るというこの勝負の勝敗を分けたのは、歩いている途中で加え続けられる金楊凛の愛撫という障害の違いだ。

 孫空女が集中的に金楊凛の邪魔を受けたというわけじゃないが、孫空女の肛門のあまりの弱さを面白がった金楊凛は、そこを集中的に攻撃した。

 そのため、孫空女は、七星よりもずっと多くの絶頂を縄の上で晒した。

 孫空女が七星よりも遅かったのは当然なのだ。

 孫空女は、まだ七星に背を向けてしゃがんだままだ。

 七星は、その背中を見つめていた。

 

「さて、金楊凛、これで孫空女がお前の相手ということに決まったぞ」

 

 虎力が言った。

 

「そのようですね。愉しみですわ」

 

 金楊凛が言った。

 

「相手?」

 

 孫空女が顔をあげた。

 

「そうだ、孫空女。お前が生き残る機会は、この最後の試練にある」

 

 虎力が言った。

 

「なんだよ、最後の試練って?」

 

「なんでもない。お前が金楊凛と対決する。勝てば丙種奴隷は免れる。それだけではなく、甲種奴隷の地位を保つことができる」

 

「だから、どうすればいいんだよ?」

 

 孫空女は不機嫌に言った。

 

「屈服をさせるのだ。お前と一番奴隷の金楊凛がお互いの身体を責め合う。どちらかが完全に相手に屈服したと俺が判断すれば、そちらの勝ちだ」

 

「なんだい、その勝負は? 馬鹿馬鹿しい」

 

 孫空女は怒鳴った。

 

「お前が生き残る機会はそれだけだ。拒否すれば丙種になるだけだ」

 

「畜生……。だいたい、屈服させるってどういうことだよ? こんな女を参ったと言わせることなんか、簡単じゃないか。指一本でできるよ」

 

「指一本? 面白いわねえ。いままでの誰も成功せず、みんなこのわたしを屈服させることなんてできなかったのよ。お前みたいに、お尻にちょっと触るだけで欲情しきってしまうような雌になにができるのよ? 暴力を使うなんて言わないわよね。性の勝負なのよ」

 

「いままで誰も成功しないって……。お前、こんなことどのくらいやっていたんだよ?」

 

「三年かしら? わたしが一番奴隷になったのは三年前よ。一番奴隷は、同じ甲種奴隷の躾をし、そして、一番奴隷に相応しいということを証明してみせるのが、存在意義よ」

 

「じゃあ、その対決とやらで、あたしが勝ったら、お前は一番奴隷でなくなるのかよ?」

 

「そんなことはありえないけど、そのときは、わたしは丙種奴隷行きになるのでしょうね。その覚悟はあるわ」

 

 金楊凛は言った。

 

「その通りだ。だが、孫空女、だが、本当にお前は金楊凛を屈服することができるのか?」

 

 虎力が言った。

 

「あたしだって、情欲についても、いろいろと鍛えられているからね。だけど、あたしが勝ったら金楊凛が丙種なんて、目覚めが悪いじゃないか。思い切って責められないよ」

 

「面白いことを言う奴だな、孫空女。じゃあ、お前が勝ったら、金楊凛は乙種だ。そして、お前を一番奴隷にしてやろう。だが、お前が負けたら丙種送りだ」

 

「結構だね。いつやるんだよ。いますぐかい?」

 

「いや、夜はもう更けた。明日の朝だ。お前たちは休んでいい」

 

 虎力が言った。

 いきなり七星の身体が床に倒れた。

 孫空女も同じだ。

 二人で両手両足拡げて床に磔にされた。

 

「こ、このまま寝れってのかよ?」

 

 孫空女が怒鳴った。

 

「ありがたいだろう? 判定試練の途中で休ませてやるのだ」

 

 虎力が立ちあがった。

 

「虎力様、お休みになる前にご奉仕させていただきます」

 

 金楊凛が虎力に向かう。

 その途中で、孫空女が仰向けになっている場所に行き、持っていた小瓶を傾けて孫空女の下腹部に垂れ流した。

 次の瞬間、孫空女が眼を見開いて身体を仰け反らせた。

 

「じゃあ、お休み。もっとも、眠れないと思うけど」

 

「き、汚いぞ、金楊凛……」

 

「このくらいの仕掛けは許されるでしょう。だって、わたし、あなたみたいな強い女と対決しなければならないのよ」

 

 孫空女が動けない身体のまま金楊凛を睨んだ。

 金楊凛は、くすくすと笑いながら虎力と一緒に部屋を出ていった。

 

「うっ……、くっ……くくっ……ううっ……、あ、ああっ」

 

 部屋でふたりきりにされても、孫空女の口からは、呻きとも嬌声とも取れない声が漏れ出ている。

 

「どうしたのさ、孫空女?」

 

 七星は、裸身を床に張りつかせたまま声をかけた。

 孫空女の様子は普通じゃない。

 声だけではなく、全身が上気し、脂汗でどんどん濡れはじめている。

 

「あ、あいつ……。あ、あたしの、身体に媚薬を……。身体が……あ、熱くて……疼いて……。な、なんだよ……。こ、これ……」

 

 孫空女は呻いている。

 どうやら、孫空女の身体を媚薬で限界まで追い詰めておいてから勝負をさせるつもりなのだろう。

 ただ休ませるというのが不自然だと思ったが、こういうことだったのだ。

 最初から孫空女に勝たせるつもりはないのだろう。

 孫空女の様子では、このまま数刻も放っておかれてから、金楊凛の性交勝負をするのでは、勝ち目があるとは思えない。

 性交の勝負なら、まだ、七星の方が分があるように思えた。

 

「大丈夫かよ、そんなんで。あんたが、負けたら、あたいは寝覚めが悪いよ」

 

 七星は言った。

 

「あ、あたしは、負けるわけには……いかないん……だよ」

 

 孫空女が苦しそうに言った。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。