141 半妖娘の新たな淫技
「
朱姫は言った。
「できるかだって? あたいを見くびんじゃないよ、朱姫。故郷じゃあ、けっこう鳴らした腕さ。任せなよ」
七星が親指を立てる仕草をして、にっこりと微笑んだ。
「下品よ、七星」
沙那はたしなめた。
親指を立てるというのは、故郷の愛陽じゃあ、男と女の媾合いを示す仕草だった。
女が外でやる仕草じゃない。
「……それに、わたしは反対です。博打なんて」
沙那は続けた。
「本当に真面目だよねえ、沙那は」
七星が言った。
「真面目で結構よ。そんなんで路銀を稼げるわけないわ。負けたらどうするのよ」
「大丈夫だよ。博打なんてのは、それなりの腕があれば、一番確かな金儲けだよ。とにかく、軍資金を渡しなよ。明日の朝からは、金を巻きながら歩くような旅をさせてやるよ」
「博打が確かな金儲けだったら、世に博打で泣く者がいないはずじゃない、七星。わたしは、愛陽でも賭場で身を持ち崩す人間をたくさん見てきたわ」
「そりゃあ、沙那の周りの人間が、たまたま、
「鴨って、なんですか、七星さん?」
朱姫が言った。
「弱いくせに博打場に金を持ってやって来る常識人のことだよ、朱姫」
「常識人は駄目なんですか、七星さん?」
「駄目だね。沙那なんて、博打場ではいい鴨だよ。沙那はやめときな」
「まあ」
沙那は口を尖らせた。
「この世には、ふた通りの人間がいるのさ。博打場で金を稼げる者。そして、鴨」
七星は笑った。
「わたしの故郷には、こんな喩え話もあるわ、七星。博打場に行って、大金を儲けるにはどうしたらいいかって」
沙那は言った。
「どうしたらいいのさ?」
七星が応じる。
「まずは、大金を作る。そして、博打場に行く……」
「それで?」
「なにもせずに、大金を持って帰る」
横で聞いていた宝玄仙が笑った。
「あたいなら、大金をさらに大金にできるね」
七星は言った。
「とにかく、わかったよ、七星。自信があるならやってみればいい。食事が終わったら、孫空女と博打場に行っておいで。お前たちに任せるよ。いずれにしても、どうしたって、金が要るからね」
「そうこなくっちゃ。さすがは、宝玄仙さんさ」
七星が嬉しそうに言った。
「大丈夫なんだろうねえ、七星?」
孫空女は少し不満そうだ。
「お前まで、常識人の仲間入りかい、孫空女?」
七星が孫空女に馬鹿にしたような顔を向けた。
孫空女がむっとしている。
「まあいいよ……。この食事代と宿代を払ったら、残った路銀を全部渡してやりな、朱姫」
「いいんですか、ご主人様?」
沙那は、思わず言ってしまい、慌てて口をつぐんだ。
宝玄仙は、自分が決定したことを供にとやかく言われると機嫌が悪くなるが、今日は、そうでもなさそうだ。沙那はほっとした。
「いいのさ。その代わり、明日の朝までには、戻ってくるんだよ。すっからかんになったというのは許さないよ。最小限度、元手だけは持って帰っておいで。それこそ、博打場に集まった男にお前らの身体を売ってでもね」
「心配ないよ、宝玄仙さん。じゃあ、ありったけ渡しな、朱姫。とにかく、金を増やすのも、軍資金というのは必要だからね」
「食事が終わったら、お渡しします」
七星はにこにこしている。本当に大丈夫だろうか。
「ところで……。今夜は、七星と孫空女がいないということは、必然的に今夜のおかずは、沙那か朱姫というになるねえ」
宝玄仙が言った。
沙那はぎくりとした。
ふと顔をあげる。
七星は、してやったりの表情をしている。
博打のことを言い出したのも、宝玄仙の夜の相手から抜けるという目的もあったのかもしれない。
沙那もやられた気分だ。
だったら、七星の博打のお目付け役として、沙那が同行すると言えばよかった。
それで、今夜の宝玄仙の相手は逃れられたのだ。
「……ねえ、ご主人様、あたし新しく覚えた技を遣ってみたいです」
朱姫が言った。
なにか朱姫の表情に含んだものがある気がして、沙那は訝しんだ。
朱姫がああいう口調のときは、宝玄仙以上に危険信号だ。
「もう、完全に習得したかい、朱姫?」
「はい、完全に。見ていただけますか、ご主人様?」
朱姫が、軽く舌を出して、自分の唇を舐めた。
沙那はどきりとした。
朱姫のあの唇を舐めるという行動――。
あれは、朱姫の嗜虐心が溢れたときの無意識の仕草だ。
後は考えなくてもわかる。
朱姫以外の四人のうち、孫空女と七星は、これから博打場に向かうのでいなくなる。
朱姫が宝玄仙を嗜虐するわけがないから、朱姫が嗜虐をしようという対象は沙那しかいない。
「ちょ、ちょっと待ってよ、朱姫。新しい技ってなによ?」
沙那は慌てて言った。
「そんなに構えなくてもいいじゃないですか、沙那姉さん。あたし、このところ、急に霊力が増えたんですよ。きっと成長期なんです」
朱姫が、妖しげな表情を浮かべた。その直後、沙那の中になにかが入ってきた。
それがなにかということはわからない。
身体にどこか変調があったという気もしない。
しかし、絶対にいま朱姫は、沙那の身体に道術を注いだ。
「……い、いま、なにかした、朱姫?」
沙那はささやくように言った。
「『
朱姫はにこにこしている。
「『影手』?」
沙那は聞いたことのないその言葉に眉をひそめた。
限りなく嫌な予感だ。
だが、なにをされたのだろう。
「わたしが教えたのさ、沙那。智淵城の連中の淫具を参考にね。もっとも、あそこまで下品なものじゃないけどね」
宝玄仙が言った。智淵城の淫具というのは、宝玄仙たちが装着されていた手のかたちをした「下着」のことだろう。
智淵城で虎力たちの奴隷にされていたとき、宝玄仙たちは、裸身に人間の手首から先のかたちをしたものを張りつけられてずっと敏感な場所を苛まれていたらしい。
しかし、朱姫に、なにかをされた感じはない。
「ご主人様、朱姫の霊力が上がったというのは本当なのかい?」
孫空女が口を挟んだ。
「そうだね。個人差はあるけど、道術遣いには、成長の時期が大きく二回あるのさ。一度は、十二から十四、女だったら初潮を迎える時期だね。次は、二十に達する前。それ以降は、霊気の量はほとんど変化しない。霊力によって遣える術は決まってくるから、それで、術遣いとしての能力は決まってしまうね」
宝玄仙が言った。
「だけど、いつの間に新しい道術なんて覚えたんだい、朱姫? 修行や練習のような、それらしいことをしているような感じはなかったけど……」
孫空女が言った。
「孫空女、道術というのは、修行や練習で上達するものじゃないのさ」
宝玄仙が言った。
「そうなの?」
孫空女が宝玄仙を見る。
「ああ、高い霊力があれば、新しい道術は教わればできる。霊力が足りなければ、どんなに修行してもできない。そういうものさ。それに、朱姫は、幼い頃から、『使い魔』の術や『獣人』ほどの大きな術が遣えたくらいなんだ。わたしが見るところ、大きな術遣いになる素養はあると思うね。これから数年の間に、急激に霊力があがるとわたしはみているけどね」
「本当ですか、ご主人様?」
朱姫は嬉しそうだ。
「ああ。それに、お前は、半妖であるせいか、普通は他者が感じるはずの霊力が感じにくい。余程に霊気感知に敏感な者でない限り、朱姫のことは、道術を遣えない普通の人間と同じようにしか感じないと思う。それは、朱姫にとって、大きな武器になると思うね」
「あたし、みんなの役に立てるようになりますか、ご主人様?」
「いまでも、役に立っているよ、朱姫。お前は、大きな戦力だよ」
宝玄仙は言った。
「そ、そんなことより、わたしになにをしたのよ。言いなさい、朱姫。『影手』とはなによ」
沙那は声をあげた。
すると、朱姫が微笑んだ。
「ひいっ」
沙那は、声をあげてしまった。
不意に、両方の乳首がくりっと転がされたのだ。
沙那の突然の嬌声に周りの客が視線を向けた。
慌てて手で口を押さえる。
だが、それだけだった。
いまのはなんだったのか。
「なに、いまの?」
沙那は朱姫を見た。
「そんな顔をしないでくださいよ、沙那姉さん。あたしは、ご主人様に、この『影手』を修行するように言われているんです。あたしの術が上達するためです。協力してくださいよ」
「嘘おっしゃい。たったいま、術遣いが術を覚えるのに、練習なんて必要ないってご主人様が言ったじゃないのよ」
沙那が声をあげると、再び、なにかに乳首が回された。
そして、乳房が揉みあげられる。
全身の力が抜けてしまった沙那は、持っていた箸を取り落とした。
「なっ、なにっ? あっ、くっ……」
乳房がなにかの力でいやらしくいじくられる。
沙那は、それを防ごうと、服の上からその「手」を押さえた。
しかし、まったくなにもない。
そこにあるのは、沙那の乳房だけだ。
しかし、確かに、なにかに胸が揉みしだかれている。
「や……やめ……。くうっ……。い、いやだって……」
沙那は、胸を押さえたまま身体をくねらせた。
全身に小刻みな震えが走る。
「沙那姉さん、そんなところを触ったまま、いやらしい声をあげたら、まるで、沙那姉さんが、自分でいじくっているみたいに見えますよ」
朱姫のその言葉で、慌てて沙那は自分の胸から手を離した。
しかし、乳房と乳首への得体の知れない責めはとまらない。
沙那は、仕方なく卓の端を両手で力一杯握って、込みあがる嬌声を耐えようとした。
すると、ぴたりと刺激がとまった。
「どうでした、あたしの『影手』は、沙那姉さん? あたしの手の影をどこにでも張りつけられるんです。胸を覗いてみてください」
沙那は、自分の上衣の一番上のぼたんを外して、上から胸を覗き見た。
ぎょっとした。
自分の乳房の上に、黒い手の影が張りついている。
すると、沙那が覗き見ていた胸の手の指が動いて、乳首を挟んだ。
「あふっ」
乳首に再び衝撃が走った。
耐えきれずに声をあげてしまった。
「しゅ、朱姫――」
沙那は朱姫を睨みつけた。
すると朱姫は、たじろいだ顔をした。
とにかく、沙那の胸の上の手はとまった。
「そ、そんな怖い顔しないでくださいよ、沙那姉さん。ちょ、ちょっと悪戯しただけじゃないですか」
朱姫は、頬を膨らませている。
「なに、なに?」
「なにが起きているのさ?」
沙那の両隣りは孫空女と七星だ。
両側からふたりの手が服に伸びて、沙那の胸を上から覗く。
「うわあ、この黒い手、なに?」
「そうか、影か……。影だから防ぎようがないんだ。えげつないねえ」
孫空女と七星がそれぞれに口にする。
「ちょ、ちょっと、やめてよ。二人とも……」
沙那は胸元を手で押さえた。
「孫姉さんと七星姉さんにも試してみますか? 朱姫の新しい技ですよ」
朱姫がふたりに視線を送った。
孫空女と七星が、ぎょっとした顔をした。
そして、ふたりとも、慌てて首を横に振った。
「あ、あたいらは、もう、いかなくっちゃ。路銀を稼ぎにね。ね、ねえ、孫空女」
「そうそう」
ふたりは立ちあがった。
いつの間にか、ふたりの皿は空になっている。
「朱姫、軍資金を渡してやりな」
宝玄仙が言った。
朱姫は、にんまりと微笑んで、たすきにかけている雑嚢から路銀を包んだ袋を出すと、幾らかを残してふたりに差し出した。
「沙那、まだ、皿に料理が残っているじゃないか。食べてしまいな」
宝玄仙が言った。
「は、はい」
沙那は卓に放り投げたままだった箸を取った。
「朱姫、沙那が食べ終わるまで、沙那を影手で遊んでおあげ」
「わかりました、ご主人様」
朱姫は元気よく言った。
すると、胸の上の手が下に這い下がっていく感じが伝わってくる。
「や、やだっ―――」
沙那は声をあげてしまった。手がゆっくりと股間に向かっていく。
自分の手でそれを阻止しようとするが、すぐにそれがまったく意味のない行為だということを悟るしかなかった。
「や、やめるのよ、朱姫。こ、こんなところで、承知しないわよ」
沙那は、強い声で朱姫にささやいた。
「それは、ご主人様に言ってください。あたしは、命令に従っているだけですから」
朱姫は、素知らぬ顔だ。その間にも、手は沙那の股間に到達しようとしている。
「あひっ」
指の先が肉芽に到着した。
もうひとつの手は、さらに這い進み、沙那のお尻に回ろうとしている。
「ほ、本当にやめて……。お、お願いだから……」
右手で箸を掴んでいる沙那は、左手で自分の股間を押さえた。
すぐに本格的な愛撫が始まった。
「……じゃ、じゃあ、行ってくるね」
「ご主人様、行ってきます」
七星と孫空女が、逃げるように食堂を出ていった。
宝玄仙が席を移動して、沙那のすぐ右横に座り直した。
椅子を寄せて、ぴったりと沙那に密着する。
朱姫もまた、身悶えをして身体を震わせる沙那の左側の隣に座り直す。
「さあ、食べましょうね、沙那姉さん」
朱姫がそう言って、箸を動かすことのできない沙那から箸をとりあげた。そして、沙那の皿に残っている肉を掴んで、沙那の口に持ってくる。
肉芽が、強く弱く揉まれて、泣きたくなるような快感が走る。
朱姫の影手で苦しんでいる沙那の股間に服越しに宝玄仙の手が加わった。
「はあぁぁ」
沙那は声をあげた。
その口に朱姫が肉を無理矢理に入れた。
「食べるんですよ、沙那姉さん」
沙那は、言われるまま肉を咀嚼する。
朱姫の道術による二本の影手に加えて、宝玄仙の実際の手による悪戯だ。
沙那はもう切羽詰ってきた。
とてもじゃないけど、食べられない。
この席の異様な情況は、すでに周囲の注目を集めている。
「ひいっ……。だめっ……」
沙那は呻いた。
影手の指が沙那の肛門につるりと突き刺さったのだ。
思わず腰を浮かせた。
沙那は息を呑み、その腰を震わせた。
影手も、宝玄仙の手も、動きをやめない。
沙那は、公然の中で行われる仕打ちに眼がくらみそうだった。
こうなったら、このふたりはどこかでも調子に乗る。
沙那を助けてくれる者はいない。
「やみつきになるだろう、沙那?」
宝玄仙が、耳元でささやいた。
「も、もう、ここでは許してください……。わ、わかりました……。部屋で……、部屋で調教を受けます……」
沙那は息も絶え絶えに言った。もう、こんなのは耐えられない。
「駄目ですよ。はい、口を開けてください、沙那姉さん……。全部食べるまで、やめませんよ」
朱姫の運ぶ肉と野菜が沙那の口に伸びる。
仕方なく、沙那はそれを口に入れる。
周囲のざわめきが沙那にも伝わってくる。
それはそうだろう。
妖艶な美女の宝玄仙と幼さの残る美少女の朱姫――。
そのふたりが、身体を密着させて、腰に剣をさげた女戦士を公然といたぶっているのだ。
股間に張りついた影手が肉芽を揉み、さらに
「あ、あ、ああ……い、いくっ……んくううっ」
それだけ口にしてしまうと、沙那は歯を食い縛った。
声を殺したまま、沙那は昇りつめた
「もういっちゃたんですか、沙那姉さん。そんなんじゃあ、いつまで経っても、食事が終わりませんよ」
朱姫がそうささやいて、口を沙那の耳に近づけて、耳の中に息を吹いた。
身体中の力が抜けて、沙那は再び絶頂をしそうになり、慌てて身体を強張らせた。
「食べるんですよ、沙那姉さん。いうことをきかないと、影手をもっと激しく動かしますよ」
朱姫が、沙那の口に食べ物を押し込んだ。
そのあいだも、ずっと、沙那の服の下の影手は、容赦なく沙那の身体を苛んでいる。
沙那は、身体中から沸き起こる淫情に腰を震わせながら、懸命に口の中のものを咀嚼した。
「ほら、食べな。こうやって、人のいるところで悪戯されたくなければ、一生懸命に食べるんだよ。さもないと、どんどん責めを強くするよ」
宝玄仙の手が沙那の下袴の紐を緩めようとしている。
沙那は愕然として、急いで口の中のものを喉に飲みこもうとした。
それを邪魔するように、股間に張りついた影手が肉芽を刺激しはじめる。
沙那は、卓に突っ伏しそうになった。
しかし、肉芽を摘まむ影手が、ほんの少し肉芽をつねった。
「んぎいっ」
思わず悲鳴をあげてしまい、沙那は身体を仰け反らせた。
「本当に沙那姉さんって……感じやすくて、愉しい身体ですね」
朱姫が愉快そうに耳元でささやいた。
宝玄仙の手がついに下袴の中に入り込んだ。
周りの客の奇異の目もだんだんと感じ始める。
声を出すことの許されない状況における、ふたりからの激しい愛撫に、沙那は強烈な愉悦を感じさせられていた。
凄まじい羞恥と快楽――。
気が遠くなる。
「食べるんですよ、沙那姉さん」
朱姫が沙那の半開きの口にまた食べ物を押し込んだ。