「しゅ、朱姫……」
孫空女は、後ろ手に縛られた身体のまま、そばに横たわっている朱姫を揺すり起こした。
すぐに朱姫は眼を開いた。
しかし、身体がだるそうだ。
無理もない。
昨夜は、孫空女とともに独角兕という淫欲の化け物のような魔王に抱き潰された。
体力のある孫空女でもつらいのだ。
身体の小さい朱姫は、まだ動くことは難しいかもしれない。
しかし、逃げる機会はいましかない。
残念だが、この独角兕という魔王は孫空女より強い。
抱かれ続けている間、こうやって鎖で手を拘束されているとはいえ、まったく逃げる隙がなかったのだ。
それだけでなく、容赦なく力で押さえつけられて犯され続けた。
それは、朱姫が犯されているあいだもそうだった。
圧倒的な力の差――。
孫空女は、生まれて初めて男に対してそれを感じた。
屋敷の外からは、夜のとばりが上がり始めている。
ここは屋敷というよりは砦に近い。
そして、多くの人間がいる。
それは気配でわかる。
そこでいびきをかいている独角兕は、妻が四十人以上いるとほざいていたから、この屋敷には、その女たちがいるのだと思う。
こうやって、孫空女たちのように、浚ってきた女たちなのだろう。
しかし、昨夜は、彼女たちの姿を見る機会はなかった。
だが、もうすぐ朝だ。
そうなれば、彼女たちも起きて来るに違いない。
独角兕が妻と呼んでいる存在が、味方なのか敵なのかわからない。
「そ、孫姉さん……」
朱姫が小さく呟いて身じろぎする。
すると、朱姫の無毛の股間からは、注がれ続けた独角兕の精がどろりと垂れ落ちたのがわかった。
「だ、大丈夫かい? 動ける?」
「なんとか……」
朱姫が裸身を起こしたとき、朱姫の首に嵌められた金属の首輪に繋がった鎖がじゃらりと音を立てた。
その鎖は、人の背丈ほどの長さで孫空女の両手を後手に拘束した手枷に繋がっている。
昨夜、この屋敷に連れ込んだとき、独角兕がそうやって、朱姫と孫空女を繋げたのだ。
ばらばらで逃げることができないようにそうしたのだ。
だが、力でかなわなくても、いまなら……。
孫空女は、朱姫を起こすことによって、弛みを得た鎖をさっと独角兕の太い首にひと巻きした。
後ろ手に、巻きついた鎖の端を掴む。
まだ独角兕は大いびきをかいている。
孫空女は、独角兕の背後から、体重をかけて独角兕の首に巻いた鎖を引き絞ろうとした。
しかし、まさにその瞬間、独角兕の首に巻きつけたはずの鎖が、勝手に解けた。
それだけでなく、朱姫の首輪と繋がっていたはずの端が外れて、いまは孫空女の片脚の足首に巻きつきかけている。
孫空女はぞっとした。
「そ、孫姉さん」
朱姫が叫んだ。
しかし、巻きついた鎖が宙に引きあげられた。
「うわっ」
後ろ手の孫空女は、背中から床に倒れた。
独角兕がむくりと起きあがった。
「なんだ?」
独角兕は、まだ半分眠っているような眼を擦っている。
「は、離せよ」
孫空女の片脚は、足首に絡みついたまま宙に引きあげられる。
そのため倒れている孫空女の股間は、片足だけを引き揚げられてみっともなく曝け出すことになる。
朱姫がはっとしたように、なにかの力で引きあげられているその鎖に飛びつこうとした。
「おっと、なにをしている?」
しかし、次の瞬間、朱姫の身体は独角兕の太い腕によって押さえつけられる。
「きゃああっ――」
朱姫が悲鳴をあげた。朱姫の裸身は、独角兕により床に組み伏せられた。
「なにがあった、
独角兕は、なにもない天井に向かって言った。
するとそこに、金啄女が出現した。
「独角兕様を殺そうとしたんだよ。鎖でね」
「その鎖でか?」
「そうだよ、首を絞めてね」
横倒しになっている背中から声がした。
はっとして孫空女が振り返ると、孫空女のもう一方の足首に、いつの間にか出現した
避ける暇もなく、孫空女のもう一方の足も、宙にあがったその剛啄女に引きあげられた。
孫空女は、両足を左右に大きく拡げた大股開きで、下半身だけを逆さ吊りにされた格好になった。
独角兕の使うこの使徒たちは気配もなく、魔力を感じさせることもなく急に出現するのだ。
さすがの孫空女もどう対処していいかわからない。
「そうか。俺を殺そうとしたのか、孫空女」
独角兕が笑っている。
「く、くそう――。あ、あたしらを早く解放するんだよ。さ、さっきは失敗したけど、次は、必ず息の根をとめるよ」
孫空女は叫んだ。
しかし、さすがにこの格好では、迫力はないだろう。
孫空女は仰向けの裸身の股を大きく開脚して、股間を独角兕に曝け出しているのだ。
「元気なのはいい。だが、夫である俺を殺そうとするとはけしからんな」
「ふざけるな――。だ、誰が夫だよ」
孫空女は怒鳴りながらも、二匹の鳥妖が引っ張る鎖を振りほどこうと脚に力を入れた。
しかし、二匹の使徒は、孫空女の足首を開脚したまま、天井の留め金に繋げてしまった。
「昨夜は、あんなに、よがり狂っていいたじゃないか。気持ちがよかったろう、孫空女?」
「う、うるさい」
孫空女は、昨夜の自分の痴態を思い出して、顔が赤らむのを感じた。
「鎖で締めたくらいで、俺が死ぬことはないが、いまのうちに罰を与えておかんとな。金啄女、剛啄女、お前たちに命じる。孫空女に罰を与えておけ」
独角兕が朱姫を床に押さえつけたまま言った。
金啄女と剛啄女は、嬉しそうな声をあげた。
「どんな罰にしましょう、独角兕様?」
「どんな罰がいいですか、独角兕様?」
耳障りなかん高い声で、二匹の雌妖が孫空女の吊りあげられた肢の周りで言った。
「そうだな。じゃあ、尻を調教させようか。今日の夜には、孫空女と尻で性交する。夕方までに、この孫空女が尻で媾合いができるように仕上げるのだ」
「じょ、冗談じゃない。そ、そんなことをしたら承知しないよ」
孫空女は、身体を暴れさせた。
しかし、拘束された身体は、がちゃがちゃと鎖の音をさせることしかできない。
昨夜は、さんざんに犯されたが尻で犯されることはなかった。
しかし、独角兕の性の技は巧みで、孫空女はなんども限界を超える絶頂をさせられた。
普通の性交だけで、そうだったのだ。
宝玄仙に調教され尽くした尻を犯されれば、どうなってしまうのかわからない。
「尻はいいぞ、孫空女。尻は大便をひり出すだけじゃない。実は、小便をする穴も、大便をする穴も、前の穴と同様に感じるのだ。お前にも、尻で欲情する悦びを教えてやろう」
独角兕は、孫空女の顔に浮かんだ恐怖の色を別のものに感じたようだ。
まさか、孫空女の尻が開発され尽くしていて、最大の性感帯であるとは思っていないのだ。
「夕方までにお尻で感じるようにしてあげるよ、孫空女」
「そうだね。お尻を夕方まで徹底的に調教してあげるね、孫空女」
金啄女と剛啄女がそう言って、吊りあげられた孫空女の脚に触りはじめた。
孫空女は総毛立った。
「さて、お前だ、朱姫」
独角兕は言った。
「な、なによ?」
朱姫が独角兕に組み伏せられたまま言い返した。
孫空女は、その朱姫の声に恐怖の響きがあるのがわかった。
「お前も孫空女と一緒に、俺の首を締めようとしたのであろう? 罰を与えておかねばならんな」
独角兕が顔に笑みを浮かべながら腕を振った。
怯える朱姫の下腹部に小さな紋章が浮かんだ。
孫空女は、あの智淵城の恥辱を思わず思い出してぞっとした。
「こ、これなに?」
朱姫がその紋様に触りながら言った。
「お前の性感を自由に制御する紋章だ。その紋章をしているあいだは、決して絶頂できん。さて、それだけじゃあ、罰にはならんからな……。おっ?」
独角兕が、朱姫の身体を眺めていてなにかに気がついたような声をあげた。
そして、孫空女の裸身にも視線を向ける。
すぐに、また朱姫の身体を見た。
「お前たちは、面白いものを身体に刻んでいるな。ほとんど、肌に同化しているために気がつかなかったが、身体になにかの術紋を刻んでいるのだな」
独角兕が言った。
すぐに独角兕がさらになにかの術を刻んだのがわかった。
朱姫が悲鳴をあげた。
その朱姫の身体に真っ赤な紋様が浮かびあがる。
「しゅ、朱姫に、なにしたんだよ、独角兕?」
「なんの心配もいらん、孫空女。お前たちの身体に刻んでいる術紋を活性化させただけだ。なかなか、複雑な術式を施しているがこれは興味深いな。自由自在に全身の性感を操れるのか……」
独角兕はそう言って、朱姫の背中をすっと指でなぞった。
朱姫が絶叫した。
苦痛ではない。快楽の絶叫だ。
普段は、ほとんど肌の色と同じ朱姫の内丹印が真っ赤になっている。
あれは、最大限に感度をあげられたときの状態であることを孫空女は知っている。
「これはいいな。この術紋は、お前たちの主人である宝玄仙のものなのだろう? この道術の紋様で感度をあげられ、俺の紋章のせいでいくことができんとなると、少しばかり苦しむことになるだろう。なあに、夜になる頃には俺の肉棒を入れて欲しくてたまらくなっている。それが朱姫への罰だ」
「な、なんてことすんだよ、この糞魔族」
孫空女は叫んだ。
「そんなことよりも、孫空女。お前は、自分の心配をしろ。あいつらの尻の調教は、なかなかつらいぞ」
独角兕がそう言って、朱姫の身体を掴むとひょいと自分の肩に載せた。
「さあ、浣腸だよ、孫空女」
「そうだよ。お尻の調教は、まずは、浣腸からだよ」
二匹の雌妖がそう喋りながら、孫空女の周りを飛び始めた。
「か、浣腸――?」
孫空女は逆さ吊りのまま、大声をあげた。
*
「い、いくううっ」
仰向けに寝そべっている独角兕の身体の上で、
独角兕の手は、草女の乳房の先の乳首を弄んでいたが、草女は大きな声を放つと、独角兕の怒張に股を上から貫かせたまま、ぐったりと脱力した。
「ひいいいい、んあああっ」
それとともに、部屋の隅の柱に首輪の鎖を結びつけている朱姫も股間を押さえながら悲鳴をあげる。
「お、お情け……あ、ありがとうございました……」
草女は独角兕に跨っていた汗まみれの裸身をつらそうに起こし、そして、たったいままで自分の股間が咥えこんでいた独角兕の怒張を口に含んだ。
そして、草女の愛液と独角兕の性液を舌で掃除する。
「草女お姉さま、後は、あたくしが……」
横で待っていた
すぐに天女が、独角兕の顔に下半身を向けるかたちで跨り、独角兕の男根の奉仕を始める。
天女の口が独角兕の怒張を含み、独角兕の男根の勃起が最高になったところで、独角兕は自分の顔の前にある天女の股間を指ですっすっと撫ぜて愛撫する。
「あっ、あん、旦那様……」
天女が声をあげて身体を反らせた。
「くああっ」
同時に、部屋の隅の朱姫が苦しそうな嬌声をあげた。
「草女ももう一度来い。今度は俺の顔の上に跨れ。姉妹で愛してやる」
独角兕は、独角兕の男根の奉仕を続けている天女の姉の草女に声をかけた。
「あ、ありがとうございます……。嬉しゅうございます」
草女がたったいま達したばかりの女陰を独角兕の顔の上に置く。
まるで雪隠をするときのように両脚を開いて、独角兕の顔に跨っているのだ。
独角兕は、指で天女の股間を弄びながら、同時に舌で草女の股間をしゃぶった。
「あん、ああっ」
「あはあっ」
「んひいいっ」
天女の激しい嬌声があがって、さらに顔の前の草女の腰が震えたが、それと同時に、悲鳴のような嬌声が朱姫の口からあがる。
「あうう……、ど、独角兕様……。そ、草女は、お、おかしくなってしまいます……。ああっ……ああぁ……いいぃ……」
股間を舐めあげられている草女が、股間を震わせはじめた。
達したばかりの敏感になっている草女の女陰が真っ赤に充血しているのがわかる。
それとともに、まだ、股間への奉仕を続けている天女もまた限界に近づいている。
さっきから、ともすれば、口に咥えている独角兕のものに対する舌の動きがとまっている。
それでも、懸命に独角兕の怒張に対する奉仕を再開しては、また、股間への責めにそれをとめてしまうということを繰り返している。
「い、いくことを……お許し……お許し下さい――ひいいっ――」
独角兕の舌に責められている草女が叫んだ。
「いっていいぞ、草女」
独角兕は、一度そう言い、すぐに草女の女陰に対する舌責めを再開した。
「い、いくううう」
草女が股間から潮を噴き出して果てた。
さっきよりも大きな声で絶頂した草女が、我に返って独角兕の顔の上から降りた。
「も、申し訳ありません。独角兕様のお顔を汚してしまいました……」
草女が、独角女の顔の上から降りて、舌で独角兕の顔を舐めはじめる。
「気にするな、草女。お前の蜜液は実に美味だ」
「嬉しゅうございます、独角兕様」
草女が独角兕の顔の掃除の傍ら言った。
「もうよいぞ、天女。お前も、俺の一物に跨って咥えよ。今日はお前の番ではないが、いつも姉妹で奉仕してくれるお前たちへの礼だ……」
「は、はいっ、嬉しゅうございます……」
妹の天女が独角兕の仰向けの身体から離れて、独角兕の顔に正対するように向き直って、そそり勃つ独角兕の男根に腰を沈めていく。
すでにずぶずぶ濡れている天女の女陰は、まったく抵抗なく独角兕のものを受け入れていく。
「あ……あっ――ああっ――」
天女が喉を反らせて悩ましげな声をあげた。天女の腰が下がってくるのに合わせて、独角兕は自分の腰を思い切り突きあげた。
「ひゃああっ――」
子宮の入り口を思い切り突かれた天女が、瞬時に絶叫して果てた。
「んぎいいい」
相変わらず朱姫の悲鳴も聞こえてくる。
独角兕は上半身を起こして、背中側に崩れ落ちる天女を両腕で支えた。
天女の女陰に怒張を埋め込んだまま、胡坐に組み直して天女の身体をその上に抱く。
そのまま、二度、三度と天女の身体を突き上げては落とし、落としては突き上げる。
次第に、天女の声は獣じみたものに変わり、狂態を示し始める。
「また……、ああっ、また、いきます。て、天女にも、いくことをお許しください、独角兕様……、あああっ」
天女が狂おしく身悶えながら、独角兕の怒張を締めつける。
「いっていいぞ、天女」
独角兕が叫ぶと、天女が独角兕の腰の上で絶叫して仰け反った。
それと、同時に独角兕は、天女の中に熱い精を迸らせた。
「あふううう、ああああっ」
天女ががくがくと身体を震わせて、全身の力を失わせる。
その身体を、横で待っていた草女が抱き支えた。
草女が妹の天女を抱いて、そっと独角兕の身体から天女を離しす。
天女は、半分気を失っている。
その天女を横に寝かせて、草女が独角兕の男根の先を舌で掃除しはじめる。
舌の掃除が終わるのを待ち、独角兕は仰向けの身体を起きあがらせた。
草女がその独角兕の裸身に服を載せる。
「今日も、お情けをありがとうございました」
独角兕の衣類を身につけさせると、寝台から降りたまだ草女が、裸身のまま床に頭をつけてそう言った。
その時には、天女もやっと気がつき、姉に倣って頭を床につけている。
「ああ、いい気持ちだったぞ、草女に天女。明日来る。明日の伽は天女の番だがな」
独角兕は言った。
このふたりは、十二番目と十三番目だ。
二日に一回の伽ということになっている。
だが、仲のいい姉妹のようなので、またふたりで相手をするのだろう。
「愉しみにしております」
「お待ちしております」
双子の美姉妹が、顔をあげてにっこりと微笑んだ。
本当に可愛らしい笑顔だ。
このふたりは、南の女人国から半年前に浚ってきたのだ。
浚ってきたばかりの頃は、随分と抵抗も激しかったが、いまではすっかりと独角兕の性の虜になっている。
まだ、経験も浅いので、二日妻と呼ばれる一日置きの権利しか持たないが、もう少し身体を磨き、性技を身につければ必ず、毎日妻に上がってくることは間違いないと独角兕は思っていた。
まあ、こうやって、ついついもうひとりの姉妹にも精を注いでしまうので、事実上、毎日妻のようなものなのだが……。
「ところで、独角兕様、あの女性について、質問をしてもよろしいでしょうか?」
天女が言った。
「これっ、天女」
横の姉の草女がたしなめる仕草をした。
天女がなにを訊ねたいかはわかっている。
この部屋に連れてきた朱姫のことだ。
この二人の美姉妹を抱きに来たとき、なんの説明もしないまま、部屋の隅の柱に首輪の鎖を結びつけて放置した。
独角兕が、このふたりを抱くあいだ、朱姫は、拷問を受けているような声をあげて悲鳴をあげ続けた。
ふたりからすれば、なにが起こっているのかと思うだろう。
これについて、妹の天女は、好奇心を押さえられなかったようだ。
逆に、姉の草女は、知らされる前に独角兕に訊ねてはならないものと考えたみたいだ。
いずれにしても、ふたりの可愛さに独角兕は満足していた。
「この若い女も俺の妻になる。いまは、調教中だから、首輪で拘束しているが、十番妻くらいにしようと思っている」
「まあ、それならば、わたしたちよりも格上なのですね」
草女が言った。
その顔には心なしか、嫉妬のようなものがあるように思えた。
「心配はいらんぞ、お前たち。今日は、初めてお前たちを一緒に抱いたが、ふたり揃ったときは、ひとりひとりのときよりもずっといいな。いつもよりもずっと深く俺を満足させることができた。きっと、近いうちにふたり揃って、十番妻の中に入ってくると思う」
「本当ですか、嬉しゅうございます」
叫んだのは天女でその顔はぱっと花が開いたように破顔した。
草女も一緒だ。
「だから、これからも励むんだぞ」
「はい」
「はいっ」
ふたりが同時に明るい声で返事した。
「ところで、独角兕様……」
草女がちらりと朱姫を見た。
「おう、そうだったな」
独角兕は立ちあがると、朱姫を繋げていた鎖を解き、抵抗する朱姫を抱えて、草女と天女の間に放り投げた。
苦悶の表情の朱姫が床に置かれて悲鳴をあげる。その裸身は、汗と口から撒き散らした涎でびっしょりだ。
すぐに股間を両手で押さえて動かし始めた。
「ははは、朱姫。いくら自慰をしようとしても、俺の紋章が身体にある限り、絶対に達することはできん。無駄なことはやめよ」
独角兕は笑った。
「こ、この……へ、変態妖魔……」
朱姫は、上気した顔で独角兕を睨んだ。
「それだけ、追い詰められても、まだ、そんな眼ができるのか。なかなか、愉しいなあ」
独角兕は、朱姫の股間の手に、自分の手を重ねると、荒々しく朱姫の手を揺さぶった。
「んはああっ」
刺激を加えられた朱姫が身体を仰け反らせて悲鳴をあげる。
「いったい、この娘は、どうしたのです? 随分、苦しそうですけど」
「それは、朱姫に直接訊いてみてはどうだ、天女。まだ、神経はいかれてはいないようだ。ここまで、お前たちのほかに、
独角兕は笑った。
「か、『影手』――」
朦朧としている朱姫が、不意に険しい表情をしたかと思うと、なにかの道術を放った。
独角兕は、自分の首になにかの術が加わるのを感じた。
「独角兕様――」
「く、首に黒い手が――」
草女と天女の姉妹が叫んだが、そのときには、すでに独角兕の魔力返しは、朱姫の術を撥ね返していた。
朱姫の放った『影手』が逆に朱姫の乳房に張りつく。
独角兕は、その『影手』を操り、朱姫の乳房を揉みしだかせた。
「ひゃああ――。も、もう……、い、いやあっ」
限界まで官能の高みにあげられている朱姫は、新たなその刺激に髪を振り乱して悲鳴をあげる。
「独角兕様、もしかしたら、この朱姫の下腹部の紋章は、絶頂封じの紋章ですか?」
草女は言った。
草女にも天女にも、調教をしている時期には、同じ紋章を刻んでやったことがある。
それを思い出したのだろう。
「そうだ。この朱姫は、いきたくてもいけんのだ。それなのに、さっきから絶頂の快感だけを与え続けられている。いまの朱姫は、何度も何度も、絶頂寸前の快感が身体の中で暴れ回っている最中だ。お前たちも、覚えがあるだろう?」
「は、はい……」
天女が気の毒そうな表情を朱姫に見せた。
「で、でも、この赤い模様はなんですの?」
床の上でのたうち回る朱姫を独角兕とふたりの女で取り囲んでいるという態勢だ。
朱姫は、三人の真ん中で、悲鳴をあげて股間と胸を押さえている。
「これは、宝玄仙というこの朱姫の主人である女術遣いが刻んだものらしい。この術紋は、朱姫の身体を自由に支配できるのだが、いまは、俺がこの屋敷の俺の妻たちの女陰に共鳴させている」
「共鳴?」
「女陰?」
草女と天女がそれぞれに言った。
「俺が朝から抱いた俺の妻たちが感じた官能と、同じ官能をこの朱姫は味わっているのだ。ただ、ひとつ違うのは、俺の紋章が、絶頂を封じていることだ。だから、さっきから朱姫には、絶頂寸前の快感が暴れ回っているということだ」
「まあ、可哀そうに」
天女が叫ぶように言った。
「仕方がない。もう少し、素直になれば、許してやれるのだがな」
独角兕は言った。
「まあ、もう、屈服しておしまいなさいな、朱姫さん。独角兕魔王様は、とても優しくてしてくれるご主人様なのですよ」
天女が朱姫に言った。
「あ、あたしは……ご、ご主人様がいるのよ……」
朱姫が眼に涙を溜めながら言った。
さっきから股間を擦りまくっている。
しかし、いくら擦っても、新しい刺激が加わって苦しみが増えるだけで、いくことはできない。
朱姫もそれはわかっているが、股間への愛撫を止めることができないのだ。
口調では、まだ独角兕に抵抗しているが、絶頂を封じされた身体に与えられる絶頂の快感に、もう朱姫の気力は折れかけているようだ。
「だから、なんだ、朱姫?」
独角兕は、朱姫の両手首を掴んで股間から引き離した。
「ひいっ」
朱姫は悲鳴をあげた。
「苦しいか、朱姫?」
独角兕は言った。
「く、苦しいです」
朱姫は呻くように言った。
「そうであろうな。俺にはわからんが、絶頂寸前の快楽が続くというのは、女にとっては最大の苦痛らしいな。それが、俺が妻たちを抱くたびに重なるのだ。苦しいだろうな」
「く、苦しいです。もう、勘弁してください、独角兕……魔王様……」
朱姫はもうすぐ落ちる。
独角兕には、その確信がある。
「ねえ、独角兕様、この朱姫殿をもうお許しになるわけにはいかないのですか?」
天女が口を挟んだ。
「許してやって欲しいのか、天女? お前たちと毎日妻を競い合うことになる相手だぞ」
独角兕は、顔を天女と草女に向けた。
「でも、あの封印は、本当につらいのです。それに、独角兕魔王様の妻になるお方であれば、あたしたちのお仲間ですし……」
天女が言った。
「そうか。だが、それは、朱姫の心掛け次第なのだがな」
独角兕は視線を朱姫に戻す。
朱姫は、呻きながらも、天女と独角兕の会話に耳を向けていたのは知っている。
「天女はそう言っているが、どうするかな……。もう、いかせてやろうか、朱姫?」
独角兕は朱姫の腕を掴んだまま、朱姫の裸身を引き起こした。
涎と涙で汚れた朱姫の顔が、ほんのぴくりと動いた。
「ほ、本当ですか……? い、いかせて」
「ああ、いかせてやるとも。夕方まで、絶頂封じは解放するつもりはなかったが、別に、お前を苦しめるのが目的でないのだ。俺の妻になることを誓わせるのが目的なのだ。お前が、俺の妻になると誓えば、溜まりに溜まった快楽を解放してやる」
独角兕は言った。
朱姫の顔が歪んだ。
熟れきった表情の朱姫の口が少し開いた。
しかし、やがて、小さく首が横に振られた。
「あ、あたしには、ご主人様がいます……」
さっきと同じことを朱姫が言った。
それは、朱姫の最後の抵抗の砦なのだろう。
「ならば、いつまでもこのままだ、朱姫。俺がほかの妻と性交を愉しむたびに、お前の苦しみは増える。それでいいのか?」
朱姫が恨めしそうに顔を歪めた。
だが、返事はない。
独角兕が朱姫を責め続けるのは理由がある。
最初に朱姫をあの庵で捕えようとしたときの『獣人』の魔術――。
やられるとは思わないが、あの衝撃力は多少怖い。
あんなふうにひやりとしたのは久しぶりの感覚だ。
だから、こうやって責め苦を与え続けることで、術が集中できないようにしている。
どうやら、あの術は、かなりの霊気を消費するらしく、朱姫は、『獣人』の術を遣う気配はない。
とにかく、独角兕としては、最初に朱姫を落としたい。
「ねえ、朱姫殿。独角兕様は、夫としてはよいお方ですよ。そのご主人様というのは、独角兕様よりも、よい旦那様なのですか?」
天女が言った。
さっき、朱姫が、ご主人様がいると言ったから、それが朱姫の夫か婚約者のこととでも考えたのかもしれない。
「いや、違うぞ、天女。この朱姫が、ご主人様というのは、男のことではない。宝玄仙という名の女術遣いのことなのだ。大変な美貌の持ち主のらしい。俺は、妻に迎えたいと思っているのだ」
「まあ、そうなのですか? 素晴らしいことですわ」
天女が言った。
草女も微笑んでいる。
「じょ、冗談じゃないわ。ご主人様に手を出したら、承知しないわ」
朱姫が叫んだ。
「それは、お前が考えることではないな。お前が考えるのは、封印を解いて欲しいのか、そうでないのかということだ。どうするのだ、朱姫? 封印を解いて、いかせて欲しいか?」
独角兕が言うと、朱姫が悔しそうな視線をこっちに向ける。
その身体は震えている。口調とは異なり、朱姫がかなり追い詰められているということがわかる。
「そ、それは……」
「いまの状態がいいのか? もっと、つらくなるぞ。俺は、いまから、夕方までに、まだまだ十人は女を抱くぞ。その絶頂が、お前の身体に積み重なるのだ。そのいけない身体のままな」
不意に部屋の空間が揺れた。
独角兕は、天井を見上げた。
金啄女と剛啄女がそこにいた。
「どうしたのだ? 孫空女の尻の調教をしているのではなかったのか?」
独角兕は言った。
金啄女と剛啄女の姿に気がついて、草女と天女がさっと平伏した。
「それどころじゃないね、独角兕様。屋敷を誰かがやってくるね。無理矢理、侵入しようとしているね。ところで、孫空女は、いま、浣腸をして排泄を我慢させているね」
「そうだね。孫空女は、浣腸をして尻を洗っているところだね。だけど、いま、それどころじゃないね。屋敷が襲われているね。やってくるね」
二匹の雌妖が言った。
「屋敷に侵入しているとはどういうことだ? 屋敷の護り兵がいるだろう」
独角兕は言った。
この屋敷は、小高い丘の上にあるが、周囲を土人形の兵が防護している。
土人形とは、独角兕の魔術で作った土の兵であり、いくらやられても、いくらでも土から再生する。
この屋敷を襲おうとしても、無限に出現する土の兵には、誰もかなわないはずだ。
「でも、突破されるね。時間の問題だね」
「そうだね。もうすぐ、突破されるね。再生するよりも、壊されるのが速いね。もうすぐ、屋敷の中に入って来るね」
独角兕は立ちあがった。
ここに棲みつくようになって以来、そんなことははじめだ。
「どの程度の勢力だ?」
土人形の再生よりも速く破壊するというのであれば、それなりの軍に違いない。
「勢力というほどじゃないね。三人だね」
金啄女だ。
「たった三人?」
独角兕は驚いた。
「そうだね。三人だね。若い女のように見えるね。ひとりは術遣いで、ふたりは剣士だね」
剛啄女のその言葉に、朱姫が顔をあげた。
「そうか。お前のご主人様だな、朱姫?」
独角兕は言った。
「そ、そうだよ。ご、ご主人様は強いよ。観念して、あたしらを解放するのよ」
朱姫が言った。
「なにを言う――。俺は、宝玄仙が来るのを待っていたのだ。やっと会えるのだな――」
独角兕はにやりと笑った。
「……予定変更だ。俺の眼を見ろ、朱姫」
独角兕は言った。
朱姫の眼が恐怖に染まった。慌てて、視線を逸らそうとする。
だが、そのときには、独角兕の『縛心術』は、朱姫の心を捉えていた。
「よーし、朱姫、挨拶代りに俺の一物をしゃぶれ。抜いたら出るぞ――」
独角兕は、朱姫の顔の前に男根を差し出した。
表情を失った朱姫が、それを黙って咥えこんだ。