「いつまで拗ねてるんだよ、七星?」
孫空女が七星をからかっている。
湖を渡る船の上だ。
船といえば、
今度は、そんなことはありそうもないが、沙那は両手でしっかりと船縁を握りしめていた。
船頭は、四十ほどの肉付きの逞しい女性だ。
髪は短く、日焼けた肌が印象的だ。
豊かな胸の膨らみがなければ男とまがうかもしれない。
彼女が船の後方で舷を操っている。
船の歩みはゆっくりだ。
湖には水の流れもなく、穏やかな日差しの下を宝玄仙、沙那、孫空女、朱姫、七星の五人だけを乗せた船が静かに進んでいく。
「拗ねてなんかいないよ。ただ……」
「ただ、なんだよ。昨夜は、朱姫の洗礼を受けたんだろう。どうだった?」
船の真ん中には、七星と孫空女が並んで座っている。
その先には朱姫がいる。
昨夜は眠りが浅かったのか、短かったのかわからないが、朱姫は、船の縁にもたれかかって居眠りをしている。
沙那は、宝玄仙とともに船の後方側に座り、そんな三人を眺めていた。
宝玄仙もまた、さっきから居眠りをしている。
孫空女と沙那は、昨夜は宝玄仙と同室だったが、夜になって宝玄仙の身体を支配したのは
宝玉は、宝玄仙の身体に宿るもうひとつの人格で、宝玄仙とは違い冷酷な性格ではないし、沙那たち供を嗜虐することはない。
もっとも、女同士の性愛を好むところは同じで、宝玉が現れた夜は、沙那たち供に嗜虐されて、愛されることを求める。
それで、沙那は孫空女とともに、宝玉が支配している宝玄仙の身体を責めたてた。
だから、朝になり、宝玄仙の人格が戻ってからも、宝玄仙は、まだ身体がだるいのかもしれない。
それこそ、宝玄仙の淫具まで使って徹底的に宝玉を責め立てたのだ。
「朱姫の洗礼って……?」
七星が言っている。
今朝、隣の部屋を引き上げてきた七星と朱姫と会ったとき、沙那は、七星が朱姫に悪戯をされていることにすぐに気がついた。
おそらく、宝玄仙も孫空女も気がついただろう。
それくらい、七星の様子は不自然だった。
しかし、朱姫が『縛心術』をかけたのか、七星自身だけが、自分の身体の不自然さを知覚できないらしい。
宝玄仙は、それが面白いと感じたのか、表情を緩めるだけでなにも言わなかった。
もちろん、沙那も素知らぬ顔をするし、孫空女もそうだ。下手に訊ねて、とばっちりがこっちに来ないとも限らないのだ。
供に対する責めについては、宝玄仙の気まぐれはいつものことだ。なにが、どう反応するか予測できない。
「朱姫は、ご主人様と別室になり、あたしたちのどちらかと同室になったときには、必ず淫靡な悪戯をするんだ。お前もやられただろう、七星? 白状しろよ」
孫空女が言った。
「な、なにもないよ」
七星はそう言うが、さっと赤らんだ顔が如実に昨夜の痴態を物語っている。
最初に朱姫とふたりだけで部屋をともにしたときには、沙那も、朱姫の『縛心術』で悪戯をされた。
あれは、東帝国に近い西側の諸王国を旅している途中だった……。
宝玄仙と最初に出遭った頃のことを寝物語していたら、突如として朱姫が襲ってきたのだ。
『縛心術』で身体を拘束したうえに、身体の感度をあげられて、責めたてられた。
翌朝、“調子に乗りました。すみませんでした”と悪びれずに謝罪する朱姫に、沙那も苦笑するしかなかったことを思い出す。
「そうかい、七星? あたしと最初に同室になったときにも、こいつはあたしに悪戯をしたよ。お前になにもしないわけないだろう」
孫空女がからかうような口調で言っている。
「お前にもやったのか、孫空女?」
七星が意外だという表情を孫空女に向けた。
「“お前にも”……ということは、やっぱり、朱姫に責めたてられたんだろう。だから、拗ねているんだ」
「拗ねてなんかいないって、言っているじゃないか。たださあ……」
「ただ、なんだよ?」
「なんでもないよ」
七星は、孫空女の反対側を向き、居心地悪そうにお尻を動かした。
そして、かすかに吐息をして、首を傾げる。
自分の身体に起こっていることが理解できないのだ。
可哀そうに……。
朱姫も酷いことをするものだ。
もっとも、そのお陰で、沙那も孫空女も、宝玄仙のくだらない仕打ちから免れた。
つまりは、七星のお尻には、宝玄仙が『尻棒』と名付けた淫具が埋まっているのだ。
しかし、七星は、朱姫の『縛心術』により、それが知覚できなくされている。
どうやら、埋まっているだけで、快感を増幅したり、激しく振動するような効果はないようだが、もしかしたら、術ひとつでそういうこともできるのかもしれない。
ただ、現段階では、七星は、つらそうに腰を時折動かしたり、足元をふらつかせるくらいだから、そういうことまではされていないのだろう。
七星と同室になった朱姫に、宝玄仙が『尻棒』を渡したと教えられたのは、宝玄仙の人格が戻った朝になってからのことだ。
お尻を調教するための淫具であり、沙那も何度も使われた。
道術により、太さを変化させたり、媚薬を表面に滲ませたり、振動させたりでき、そして、肛門に突き刺しても汚物で汚れることはない。
宝玄仙によれば、夜、別れる前に朱姫に渡したから、朱姫は七星をそれで責め立てたに違いないということだった。
朝になったから、朱姫は宝玄仙にそれを返すだろうから、お前たちのどちらかに、今日はそれを肛門に入れたまま旅をさせると言った。
さすがに、孫空女とともに鼻白んだが、宝玄仙の嗜虐に逆らうことはできない。
暗い気持ちでいると、居心地悪そうに身体をくねらせる七星が、朱姫とともにやってきた。
沙那は、すぐに、宝玄仙が言及した『尻棒』という淫具が、まだ、七星の肛門に挿さっているということを悟った。
そして、それについて、七星が文句を言わないのは、『縛心術』をかけたままということもわかった。
そして、その様子に宝玄仙もなにも言わなかった。
だから、七星には悪いが、しばらく、そうやってもらおうと決めた。
下手に朱姫に悪戯をやめさせれば、今度は、宝玄仙が沙那か孫空女にそれを使うというに決まっている。
まあ、七星だって、あれくらいで済めば、宝玄仙の嗜虐よりは遥かにましだろうから……。
「でも、もしも、朱姫の『縛心術』を遣われたとしたら、これからは気をつけるんだね、七星」
孫空女が言った。
「なにを気をつけるんだよ?」
七星が、もう一度孫空女に振り向く。
「一度、『縛心術』を受けてしまえば、今度は『縛心術』にかかりやすくなるんだよ。それこそ、視線を合わせるだけでかけられてしまうよ。下手をすれば、声をかけられただけで、身体の動きをとめられてしまう。そのくせ、記憶まで操作してしまうからね。本当に、こいつの『縛心術』は始末におえないんだ」
孫空女が顎で居眠りをしている朱姫を指した。
「記憶まで操作って……。お前らは、朱姫にそんなことをさせることを許しているのかよ、孫空女?」
「もちろん、許しはしないさ。こいつが調子に乗るたびに、仕返しはしているよ。ねえ、沙那?」
孫空女がこっちを見た。
「そうね」
沙那は笑って応じた。
「あたいには、あんたらの三人の関係がよくわからないねえ……。宝玄仙さんとあんたらの関係もね。あんなに気まぐれで、酷い目に遭わせ続けられているこの人を、あんたらは慕っているらしいし、なんでだい? あたいは約束だし、あの智淵城から救ってくれた恩もあるから、約束の残り一箇月は同行するけど、それが終われば、別れさせてもらうよ。冗談じゃないよ」
「まあ、ご主人様によるよね。約束なんて、破るためにあるとくらいしか思わない人だから、素直にお前を解放してくれるとは思わないけど、もしかしたら、気まぐれで、あたしらから別れることを許すかもしれないね、七星」
孫空女が言った。
「どういうことだよ、孫空女?」
「ご主人様は、お前が思っている以上にえげつないということさ。まあ、それも可愛いんだけどね」
「ふん。なにが、この人が可愛いものかい」
七星が不満そうに鼻を鳴らした。
「お前も、もう少しつきあえば、わかってくるよ」
孫空女はあっけらかんと言った。
「……悪いけど、あたしは、そういう達観した境地にはなれないね。あたいは、あんたらのようにはなれない。そりゃあ、宝玄仙さんは、悪い人ではないとは思うけど……」
七星は、ちらりと宝玄仙に視線を向けた。
沙那も確かめたが、いまの宝玄仙は、完全に眠っている。
眠ったふりではない。
それは、宝玄仙が発している気でわかる。
「……でも、絶対にいい人でもないわね。それどころか、気まぐれで冷酷で、ご主人様としてはろくでなしよ」
沙那は七星の言葉を継いだ。
そして、にっこりと微笑む。
「ろくでなしかい……。沙那も言うねえ」
七星がにこりと微笑んだ。
「でも、わたしたちは、ご主人様が好きなの。ご主人様だけじゃなく、もちろん、孫女も朱姫もね。わたしも朱姫の悪戯は、気に入らないし、不満もある。だけど、朱姫は好きよ」
沙那の言葉に、七星は首をすくめた。
「まあ、あんたらはあんたらで、仲良くやってくれよ。でも、あたいは御免だから……。もしも、宝玄仙さんが、あたいをなんかの道術で逃げられないようにしようとしたら、助けてよね」
「馬鹿だね、七星。まだ、わからないのかい? あたしたちにそんな力があるわけないだろう」
「わかったよ、孫空女。肝に銘じて、自分のことは自分で護るさ。もっとも、いますぐは逃げないから、安心しな。きっちりと約束は果たすよ……。なんか酷い目に遭っているような気もするけど」
七星は、また腰をつらそうに動かした。
「お尻がどうかしかたい、七星?」
孫空女がぽんと七星の腰を揺すった。
「ひんっ」
七星が腰をあげた。
そして、その刺激で、また、声をあげる。
「どうしたんだよ、七星? 急に甘ったらしい声を出してさあ」
孫空女が含み笑いをしている。
七星は、お尻に埋まっている魔具に苛まれている。
しかし、『縛心術』でそれがわからないから、戸惑うしかないのだ。
「いいから、触るんじゃないよ、孫空女」
七星が怒鳴った。
しばらくすると、向こう岸が見えてきた。
いよいよ、『
正面には、数軒の船宿も見える。
そのそばにあるはしけに向かい船は進んでいく。
岸には、宿町を思わせる街並みが拡がっていて、人もかなりいる。
やはり、見える人間は、すべて女性のようだ。
岸に近い場所に白い柱に囲まれた公園のような場所も見える。
男子禁制の女人国――。
街や土地のあちこちに、男性を警戒する警戒具が隠されていて、男が入り込めば警報が流され、たちまちに兵がやってくるらしい。
その兵も女とのことだ。
女だけというのは、どういう世界なのだろうか。
いまのところ、沙那には予想がつかない。
女人国に入る前に聞いたのは、きわめて神秘的な国で、国都には、神意を受けて即位している女王と取り巻きもいるのだということだ。
「もうすぐ、岸だよ」
船頭の女性が言った。
「ご主人様、起きてください。到着します」
沙那は宝玄仙を揺り動かした。
前では孫空女が朱姫を起こしている。
「着いたのかい、沙那?」
宝玄仙が身体を起こした。
「はい」
「国に入るのに、税もなければ、手形を調べることもないというのは本当なんだね?」
宝玄仙は言った。
確かに、そういう施設ははしけには見えない。
本当にただ、船がつけられる場所があるだけだ。役人の姿も兵の影もそこにはない。
「ここは、神の護る国だからね、お客さん。女人国の神が認めた者しか、女人国の土地を踏めない。逆に、女人国の神が認めた者を、人に過ぎない者が阻むことはない」
船頭の女性が言う。
「女人国の神とは誰だい?」
宝玄仙が船頭に顔を向けた。
「神に名はないさ。神は神だよ。もちろんね」
「なるほど」
宝玄仙は、また、視線を前方に向けた。
船はなんの問題もなく、はしけに到着した。
朱姫、孫空女、七星と船から降りていく。
七星の足元が怪しかったので、朱姫が身体を支えていた。七星は、首を傾げ続けている。
そろそろ、やめさせる頃合いだろう。
気まぐれの宝玄仙は、淫具のことなんか忘れているに違いない。
宝玄仙にしても、宝玉にしても、気まぐれであるが、執着心はなく、忘れっぽいところがある。
沙那からすれば、かなりのうっかり者にも思える。そういうところも、宝玄仙の隠れた性質だ。
岸に降りたところで、沙那は、孫空女と宝玄仙に声をかけた。
「ご主人様、申し訳ありませんが、どこかでお待ちいただけますか? この先の街道がどうなっているのか、朱姫と七星とともに調べて参ります。ついでに、旅の保存食も補充したいですし……。孫女、ご主人様をお願い」
「わかったよ、沙那。じゃあ、あの白い公園で待っているよ」
宝玄仙が顔をあげて、その公園の白い柱に視線を向けた。
孫空女も頷く。
三人だけになると、沙那は、物陰に朱姫と七星を連れていった。
「さあ、もういいでしょう、朱姫。七星の術を解きなさい」
沙那は言った。
「術?」
七星はきょとんとしている。
「なんのことか……」
朱姫は薄らとぼけた仕草をした。
そんな朱姫を沙那は睨みつけた。
「朱姫……」
「わ、わかりましたよ、沙那姉さん。そんな顔をしなくていいじゃないですか。あたしのお陰で助かったのに……」
朱姫は、七星の頭に手を伸ばす。
七星は、なにも喋る暇もなく、半昏睡状態になる。
「わかっているわよ。だから、叱っていないわ。でも、もう、いいじゃない。こっそりと淫具は、わたしが持っている荷物に戻しておくわ。ご主人様は、もう忘れているわよ」
「はあい」
朱姫は、意識を失っている七星を立たせたまま、
七星の青い恥毛が沙那の目に飛び込む。
股間が濡れている。
無理もない。半日近く、お尻に異物を挿入したまま、行動し続けたのだ。
朱姫が道術を込めると、その七星の肛門からすっと淫具が抜き出てきた。
抜き出るときに、無意識の七星が、快感のこもった吐息をした。
「人をこんな玩具のように扱うなんて感心しないわ。後でちゃんと、謝罪するのよ、朱姫」
沙那は言った。
「ええっ? だって、七星姉さんに怒られるじゃないですか」
「当たり前でしょう。お尻くらい叩かれなさい。ご主人様のお供同士、しこりを残すのはやっぱりよくないわ」
「でも、黙っていれば、しこりなんてありませんよ。わかりっこないんですから」
朱姫は、七星の衣服を直しながら抗議した。
「駄目よ、朱姫――。激しいことにはならないように、わたしが間に入ってあげるから……」
「はあい……。わかりました。とにかく、術を解きます」
朱姫が渋々という感じで言いながら、七星の頭にまた手を翳した。
七星が眼を開ける。
「あれっ……? あ、あたい、どうしたの?」
七星はきょろきょろしている。
「後で話すわ。それよりも、急ぎましょう。ここから先の街道についての情報収集と食材の調達よ。二手に分かれましょう」
沙那は言った。
そこに、不意に、孫空女の叫びが飛び込んできた。
声の方向に視線を向けると、血相を変えた孫空女がこっちにやってくる。
「どうしたの、孫女? ご主人様は?」
沙那は、こっちに駆けてくる孫空女に叫んだ。
「そのご主人様が……」
孫空女が言った。
その様子から、宝玄仙になにかがあったのだと悟った。
沙那は、孫空女を追い立てて、宝玄仙と孫空女が向かったはずの白い公園のような場所に駆けだした。
すぐに宝玄仙は見つかった。
公園には、なにか天教の祭壇を思わせる場所が中心にあり、そこに小さな泉がある。
水はこんこんと湧いているらしく、とても澄み切っている。
そして、水を汲んだり、飲むための器もある。
しかし、なにか神聖な感じがして、おいそれと手を付けるのはなにか憚れる雰囲気だ。
宝玄仙は、その泉のそばで苦痛に顔を歪めて、横たわっている。
「ご主人様、大丈夫ですか?」
沙那は、倒れている宝玄仙に駆け寄った。
「ひいいいぃぃぃ――。さ、触らないでぇ」
沙那が宝玄仙を抱きかかえようとした途端、宝玄仙が仰け反った。沙那はびっくりして手を引っ込める。
「ど、どうしたというのです? なんでこんなことに?」
沙那は、宝玄仙の前にしゃがみ込んだまま言った。
宝玄仙は、苦しそうにお腹を抱えるだけだ。
沙那は、ふと、宝玄仙のお腹が心なしか膨らんでいることに気がついた。
「か、身体が……あ、熱いのさ……。こ、これは媚薬だよ……。こ、これを飲んだら……」
宝玄仙が呻きながら言った。
沙那は、もう一度そばの泉の水に視線を向ける。
澄み切った綺麗な水で、そんな風には見えないが、毒が入っていたのかもしれない。
宝玄仙は、媚薬だと言っているようだから、身体の性感を暴れさせる効果があるのだろうか……。
「孫女、なにがあったの?」
沙那は、そばに立っておろおろしている孫空女を振り向いた。
「ご、ご主人様は、その水を飲んだみたいなんだ」
孫空女は、罰の悪そうな声で言った。
「みたいって……。あなた、ご主人様についていなかったの?」
「だって、喉が渇いたから、水を探して来いって言うんだもの。あたしも、ここの泉には気がついたけど、なにか神聖な感じがしたから手を出さなかったんだ。近くの居酒屋かあったから、飲み水を分けてもらいに行こうとしたら、ご主人様の悲鳴があって、戻ると、ご主人様がこうなっていたんだ。ご主人様は、ひとりで待っている間に、これを見つけて飲んだみたいなんだ」
沙那は舌打ちした。
この警戒心のなさは、何度酷い目にあっても直らない宝玄仙の欠点だ。
普通は、得体の知れない水や食べ物を簡単に自分の口に入れようとはしない。
だが、宝玄仙は、道術が強くて、道術力の籠った飲食物を探知できるだけに、なにもないと思えば、不用意に口に入れてしまう。
だが、実際には、術のかかっていない毒などいくらでもある。
これもそうだったのかもしれない。
だが、この水が毒だとすれば、誰でも水を飲めるように、器まで置いてあるのも不自然だが……。
「とにかく、ご主人様をこうしてはおけないわ。孫女が行こうとした居酒屋に運びましょう――。ご主人様、少し我慢してください」
沙那は、そう言うと、荷物から毛布を一枚取り出して拡げた。
それを拡げて、宝玄仙を真ん中に寝かせる。
宝玄仙を動かすときも、宝玄仙は手が触れただけで悲鳴をあげていた。
大きな嬌声をあげて仰け反るのだ。
確かに強烈な媚薬を飲んだような感じだ。
そうやって毛布の真ん中に宝玄仙を乗せると、四人で四隅を持ち、宝玄仙を毛布ごと持ちあげる。
「行くわよ」
沙那の合図で、そのまま居酒屋に向かって進んだ。