※この作品はR-18です。

嗜虐西遊記【完結】   作:ドン・ドナシアン

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171 嗜虐酔いの女

「それと七星――。これは、頼まれたものよ」

 

 沙那が小さな包み紙を扉のそばに置いてから、部屋の外に出た。

 

「なあに、あれ?」

 

 宝玉が、沙那が置いていったものを見て首を傾げた。

 

「気にしなくてもいいよ、宝玉さん。それにしても、あいつらも、よくやるよね。これから、朱姫に浣腸をして、その後、あの下着を履かせるんだろう? それになんだか、孫空女は心なしか愉しそうに見えたけどね」

 

 宝玉とふたりだけになると七星は言った。

 

「こうなったら朱姫を責めることを愉しむつもりなんじゃない。なんだかんだで、あの三人は仲良しよ。お互いに責めたり、責められたりして、それなりに愉しむわ。そういう仲なのよ」

 

「へえ……」

 

 なんとなく、あの輪の中には入りたくないという気持ちが沸き起こった。

 七星は、やっぱり嗜虐も被虐も好きにはなれない。

 それに、女同士の性愛も悪くはないが、やはり、性行為は異性間でやるのがまともだと思う。

 もちろん、必要であれば、それなりの態度で相手に合わせることはする。

 それは、娼婦として培った技の内だ。だが、本気で愉しむこととは別だ。

 

 例えば、この宝玉と愛し合うときは、嗜虐者になりきらなければならない。

 それが、宝玉を悦ばせるのだ。

 そんなときは、七星はいくらでも嗜虐者の演技はできる。

 沙那から借りたのは、そのための道具だ。

 それにしても、宝玄仙にしろ、宝玉にしろ、性愛のやり方が随分と偏っている。昔からこうだったのだろうか?

 

「ねえ、宝玉さん、あんたは、男に惚れたことはないのかい?」

 

 七星がそう言うと、宝玉は驚いた顔した。

 

「男?」

 

「あんたが、男に酷い目に遭ったということは知っているし、だから、いまは、男よりも女がいいって感じなんだろうけど、最初からそうだったわけじゃないんだろう? それだけ、綺麗なあんたなんだ。男には不自由しなかったし、世の中には、まともな男だっていただろう?」

 

「さあ、どうだったかしらね……」

 

 宝玉は妖艶に微笑んだ。

 その表情があまりにも美しく、さすがの七星もどきりとした。

 

「……どうでもいいじゃない。いずれにしても、昔のことよ。いまは、沙那や孫空女や朱姫といった仲間に囲まれて幸せよ……。でも、あなたは、わたしたちの本当の仲間にはなってくれないの?」

 

 宝玉が着ているもの脱いでいく。

 宝玉は下着を身に着けていなかった。

 白くて美しい肌が、七星の眼に飛び込んでくる。

 

「さあ、愛し合う時間よ、七星……」

 

「愛し合う?」

 

 宝玉の腕が七星に絡みつく。

 七星は、宝玉の口づけをして、唾液をすする。

 宝玉の舌が七星の舌と絡まる。

 七星の身体に熱いものが込みあがる。

 

「はあ……」

 

 宝玉の口から舌を離した。

 性技については自信も持っていたが、宝玉の舌技に一瞬、七星が翻弄されていた。

 七星は、少し驚いていた。

 

「……わたしたちの仲間になるのが不安?」

 

 部屋の真ん中で、七星は宝玉と立ったまま抱き合っていた。

 七星はまだ服を着ているが、宝玉は全裸だ。

 その宝玉が、七星の耳元でそう言った。

 

「ふ、不安とか……そんなんじゃあ……」

 

「そうよね……。ひとりがいい……。仲間なんていらない……。そんな感じね」

 

 七星は、驚いて宝玉の顔を見た。

 宝玉は微笑んでいた。

 

「宝玄仙の話をするわ……」

 

 宝玉が言った、

 そして、七星を促して、寝台に並んで腰掛ける。

 

「わたし……いえ、宝玄仙は、東方帝国の帝都で、人に裏切られ、あるいは、見捨てられて、身の毛のよだつほど嫌いな男たちに、二年間も凌辱される日々を送ることになった……。それは知っているかしら?」

 

「酷い目に遭ったというのは、聞いたよ」

 

「それは、宝玄仙を徹底的な人間嫌いにしたわ」

 

 詳しくは知らないが、宝玄仙は東方帝国の帝都で罠に嵌って、闘勝仙(とうしょうせん)という天教の最高神官たちの慰み者になったと聞いたことがある。

 それが、宝玄仙を人間不信にしてしまったということだろうか。

 

「二年経って、やっと宝玄仙……、そして、わたしは、凌辱の日々から解放された。でも、仲間なんて二度と、作るものかと思った。あなたは知らないと思うけど、この旅を始めるとき、宝玄仙はたったひとりで旅をするつもりだったわ。教団から無理矢理つけられた供は、『縛心術』をかけて、妖魔のせいだと思わせて、痛みつけてから追い払ったの……」

 

「追い払った?」

 

「そうよ。他人なんてこりごり。二度と人と関わるものかと決心し、西域に向かう途中で、どこかに隠棲の場所を見つけて、人と接触せずに暮らす決心をしていたわ。男どころか、世の中のすべての人間と離れたいと思って旅を始めたのよ」

 

「世の中のすべての人間?」

 

 七星は宝玉の表情からその感情を読み取ろうとしたが、それはあまりにも複雑すぎて無理だった。

 宝玉は、微笑んでいるようでもあり、悲しんでいるようでもあり、あるいは、怒っているようにも見えた。

 

「でも、沙那に遭った。宝玄仙は、沙那の純情さや優しさ、もちろん、可愛さも気に入って、旅に連れていきたくなった。やり方は悪辣だけど、当時の宝玄仙は、霊具で支配しなければ、他人を信用する気になんてならなかったのよ。とにかく、沙那に出遭って、宝玄仙は、なぜか、もう一度、他人と接する気になったのよ」

 

「沙那はいい人だしね。少し真面目すぎるけど、心が真っ直ぐで思いやりがある。沙那と接することで、宝玄仙さんの人間不信も直ったということだね」

 

 七星は言った。

 宝玉が七星の身体に抱きついてきた。

 そのまま、寝台に押し倒される。

 宝玄仙の美しい裸身が、七星の上に被さる。

 

「そうじゃないいわ。宝玄仙もわたしも、もう、他人なんて信じられないと思う。二度と……。だけど、沙那は別……。宝玄仙が旅の供に選んだ孫空女と朱姫もね」

 

「あの三人が例外で、宝玄仙さんの人間嫌いは続いているということかい」

 

「あなたも例外よ。なにしろ、あの宝玄仙が一緒に連れたがったんだもの」

 

「光栄だね」

 

 七星は苦笑した。

 

「わたしが言いたいのは、宝玄仙は、沙那と孫空女と朱姫、そして、あなた以外の誰とも接しようとしていないということよ。宝玄仙にとって、この旅は、もう一度、別の人生を生きるということを見つけることだけど、その人生には、宝玄仙は、沙那と孫空女と朱姫たちのみしか選んでいないのよ。そして、それ以外のすべての者を否定している」

 

 宝玉が七星の身体に裸身を押し付けてくる。

 七星は、腕を宝玉の身体に回して、その肌を撫ぜた。

 宝玉が甘い息をしはじめる。

 

「宝玄仙さんの人間不信は直ったわけじゃないんだね?」

 

「そうよ……。だけど、わたしも宝玄仙も、あの娘たちの前なら心を曝け出せる。自分の醜いところ、汚いところ、はしたないところ、素のままの自……分を見せられる……」

 

 七星は、宝玉の身体を撫ぜ続けた。

 しっとりと汗に濡れる宝玉の身体は、七星の手に吸い付くようで触り心地がよかった。

 宝玉の声に次第に甘いものが混じりはじめる。

 

「……あんたの言いたいことがなんとなくわかるよ。宝玄仙さんも、あんたも、男が嫌いで女が好きだというんじゃなくて、本当は、男であろうと女であろうとすべてが嫌いで、その唯一の例外が、沙那と孫空女と朱姫だと言いたいんだろう?」

 

 すると、宝玉がにっこりと微笑んだ。宝玉の前髪が汗で額に張りつている。

 

「そうよ……ああっ……」

 

 七星の指が、宝玉の背からお尻の割れ目をなぞった。

 宝玉が身体を仰け反らせる。

 

「そんなに大事な供にしては、扱いが酷いと思うけどね」

 

「そ、それは、宝玄仙の……せ、性癖だから……し、仕方ない……」

 

 七星は身体に乗っている宝玉のお尻を両手を掴んで揉んだ。

 指は宝玉の肛門の入口を前後左右に動かしている。

 この身体は、異常なほどにお尻が弱い身体だ。

 信じられないくらいのほんの少しの刺激で、宝玉にしろ、宝玄仙にしろ、よがりはじめる。

 

「ひああっ」

 

 あられもない叫びを宝玉が発した。

 七星は、さらに刺激を加えようとした。

 しかし、その七星の手を宝玉が掴んで、宝玉の身体から引き離した。

 七星は、驚いて、宝玉を見あげた。

 宝玉の妖艶な笑みが七星の顔のすぐ上にある。

 

「宝玄仙の認めた、もうひとりの例外があなた――。さっきも言ったけど、七星、あなたよ」

 

「あたいかい?」

 

 七星は思わず宝玉の顔を凝視した。

 

「あなたは、単に気まぐれで宝玄仙が、あなたをしばらく旅についてくるように誘ったと思っているかもしれないけど、一時的であろうと、永久であろうと、あの宝玄仙が自分の旅に加えようとしたのは、三人を除けば、あなただけだということよ」

 

「あたいだけ?」

 

「旅に誘うということは宝玄仙にとっては、本当に特別なことであり、あの宝玄仙が、自分の心を触れさせたいと考えた存在があなただということよ」

 

「あ、あたいは……」

 

「わかっているわ。宝玄仙にとって、あなたを人生の供にしたいと相手だと考えたとしても、あなたにとっては、宝玄仙は、そういう相手ではないということを……」

 

「それは……」

 

 人生の伴侶――。

 そんな言葉が七星の頭を掠めた。

 孫空女や沙那や朱姫にとっては、確かに宝玄仙は、“人生の伴侶”なのだろう。

 それは、言葉でもそう言っていたし、その覚悟は態度でもわかる。

 だけど、自分は……。

 

「もう、お喋りは終わり。さあ、愛し合いましょう、七星。今度は、まともに愛してくれると、この前、言ったじゃない。だから、ここに来たのよ」

 

 宝玉は言った。

 この前、照胎泉(しょうたいせん)の水を飲んで苦しんでいるとき、宝玄仙の身体に出現した宝玉に七星は、そういう約束をした。

 苦痛を癒すための看護としての愛撫ではなく、性愛として、宝玉を抱いてやると……。

 

「じゃあ、どっちが、猫になる? あたいかい? それとも、宝玉さん?」

 

 七星は言った。

 

「じゃあ、最初は、わたしが奉仕する。でも、後でわたしを縛って……。わたしは、拘束されて、嬲られるのが好き。責められるのがいい」

 

 宝玉がそう言いながら、七星の上衣のぼたんを外して、両側に拡げた。

 胸当てをずらされて、七星の乳首が宝玉の口に含まれる。

 

「ああ……」

 

 じわじわと込みあがる情感に、七星は声をあげた。

 舌遣いがうまい。

 朱姫も上手だが、宝玉の舌はそれとは比べものにならない。

 舌先だけで、たちまちに七星は、強烈な痺れに襲われる。

 

「ひっ」

 

 宝玉が七星の両側の乳首を舐めあげる。

 七星は、舐められるたびに、じわじわと股間から熱いものが滴り出るのを感じる。

 すごくうまい――。

 

「可愛い顔になってきたわ、七星。気持ちいいのね……。ふ、ふ、ふ……」

 

 宝玉の舌が、乳房から首筋にあがり、そして、七星の舌に絡みつく。

 七星は酔うようにその宝玉の舌を吸った。

 宝玉もまた、七星の口を舌で愛撫する。

 お互いの唾液と唾液が、それぞれの口の中で混じり合う。

 

「はあうっ」

 

 宝玉の口が離れたとき、七星は、耐えられずに嬌声を息とともに吐いた。

 宝玉の舌に我を忘れそうになったのに気がついて、七星は愕然とした。

 まともな性愛で相手に主導権を握られるというのは、七星は初めての経験だったのだ。

 

「わたしの技もそれなりのものでしょう? 年季が違うのよ」

 

 宝玉は妖艶に微笑むと、七星の身体から下袴と下着を取り去った。

 あまりにもあっけなく脱がされて、まるで、道術にでも遣ったかと思うくらいだ。

 だが、宝玉はなんの術も遣っていないのはわかる。

 純粋な性の技だけだ。

 宝玉が屈みこんで、七星の肉芽に舌を這い回らせる。

 

「あうっ……だ、駄目……」

 

 うわずった声が口から迸る。

 思わず内腿に力が入り、宝玉の顔を腿で締めつけてしまった。

 

「ご、ごめん……」

 

「いいのよ、七星……」

 

 宝玉が七星の股間で小さく笑った。

 すぐに舌先が七星の股間に戻る。

 

「ひうっ――」

 

 宝玉の舌の動きが速くなる。

 七星は、宝玉の頭を両手で掴んでいた。

 

「ああっ……ひああっ……あああ――」

 

 信じられない気持ちよさが、七星の股間から突きあがる。

 そして、宝玉の舌がすぼまって、七星の女陰に入ってくる。

 奥に差し入れられて、入口に近い膨らみを舌で強く圧迫された。

 

「い、いくっ――」

 

 七星が股間からなにかの噴出を感じた瞬間、それに合わせたように、宝玉も口を七星の女陰から抜いた。

 しかし、宝玉の舌は、まだ、七星の股間を刺激し続けている。

 七星は、大きな声で喘ぎながら、がくがくと痙攣した。

 宝玉の身体の下で七星は、あっという間にのぼりつめた。

 

「いったのね、七星」

 

 宝玉が微笑んだ。

 

「う、うん……。あ、あんた、凄いよ……。ほ、宝玉さん」

 

 七星はそれだけ言うのがやっとだった。

 まだ、心臓が爆発しそうだ。全身の気だるさが取れない。

 宝玄仙も巧みだが、七星がみたところでは、実はこの宝玉の方が性技は上手のような気がする。

 

 なにかこう……経験が違う。

 そんな気がするのだ。

 それに比べれば、宝玄仙の人格になったときは、性愛が直接的で単純な感じさえある。

 これでも、性愛に関しては、七星も百戦錬磨だ。

 性愛を交換することで、相手の人となりをある程度はわかる。

 

「じゃあ、あなたの番よ」

 

 宝玉が七星から身体を離した。

 

「う、うん」

 

 七星は、まだ重い身体を起こして、部屋の隅から一束の縄を取り出した。

 縄を見せると、宝玉の眼が淫らに光った。

 期待しているのだ。

 その期待に応えてあげるためには、嗜虐者になりきることだ。

 

 七星は、一度眼を閉じ、そして、開いた。

 開いた眼は、もう、冷酷で残忍な色で染まっているはずだ。

 宝玉が、七星の顔を見て、宝玉が酔ったような表情になる。

 

「縄を見るだけで興奮しているのかい、変態さん?」

 

 七星は、宝玉の両腕を背中にまわさせ、手首を重ねさせる。

 宝玉の真っ白い肌に縄がひと巻きふた巻き加わっていく。

 

「そ、そうよ……。わたしは、拘束されて、縛られて、苛められるのが好きな変態よ……」

 

 宝玉が色香の漂う喉を仰け反らせて、声をあげる。

 

「これは、霊具じゃない。普通の縄だ。いくら、道術の巧みなあんたでも、霊気のかかっていないただの縄を操ることは簡単じゃないだろう? ただの縄を道術で縄抜けするにはどうするんだい?」

 

 宝玉の乳房の上下に縄が加わり、首にも回される。宝玉は、両腕をしっかりと背中に組んだ状態で、しっかりと上半身を固定された。

 

「そ、そうね……。ま、まずは、縄を霊気のかかった霊具にするという術式が必要ね……。も、もっと簡単なものだと早くできるけど……。縄を自在に動かすほどの霊具にするのは、簡単じゃないわ……。でも、それさえできれば、縄抜けなんかすぐに……」

 

「でも、ここをいじくられながら、縄を霊具にするほどの道術は遣えないだろう?」

 

 七星は、立たせたままの宝玉の股間に指を挿し入れた。

 熱い……。そして、びっしょりと濡れている。

 

「ああっ」

 

 宝玉が声をあげる。

 七星の指がほんの少し動いただけで、もう、宝玉は膝を崩しかけた。

 そして、内腿に淫液を垂れ落ちさせるくらいに、股間を濡らしている。

 

「朱姫を調教するための道具として、宝玄仙に持たされている道具があるのさ。それは、朱姫には遣わなかったんだけど、あんたには遣ってやるよ」

 

 七星は宝玉の脚を肩幅に開かせた。

 その付け根に縄と一緒に取り出して、横に隠していた張形を宝玉の股間にずぶずぶと差し入れる。

 

「ひゃああっ」

 

 宝玉の裸身ががくがくと震えた。

 

「しっかりと股で咥えるんだよ、宝玉さん。脚を閉じても駄目だ。もしも、落としたりしたら、罰だよ」

 

「ああ……。わ、わかったわ。落とさないわ。しっかりとお股だけで道具を咥えるわ」

 

 宝玄仙が歯を食い縛った。

 

「そうだね。しっかりとね。腰を落としてもだたからね。股だけで咥えるんだよ」

 

 七星は、宝玉のお尻に指を伸ばすと、お尻の孔に指を入れて、内側をかき回した。

 

「そ、そこはだめえぇ」

 

 宝玉の全身が紅潮して、仰け反った。

 

「しっかり、立たなきゃだめだよ、宝玉さん」

 

「わ、わかっている……。わ、わかっているの。でも……ああっ……あひいっ――」

 

 宝玉の膝が、がくがくと震えはじめ、ほんの微かに内側に曲がる。

 宝玄仙も宝玉も、お尻が異常に弱い。

 しかし、改めて責めてみると、これ程とは思わなかった。

 まだ、愛撫というほどのものじゃない。

 だが、こうやって、お尻の内側を指で押すように、掻くように刺激するだけで、宝玄仙は、我を忘れたように乱れ始めている。

 そして、七星から与えられる刺激を逃がすまいかとするように、宝玉の肛門は、淫らな伸縮を繰り返してもしている。

 

「お、落とさないわ――。落とさないから――」

 

 宝玉が悲痛な表情で叫んだ。その全身がもう真っ赤に染まって、激しく揺れている。

 

「いく、いくっ――いくのっ――。七星、いってもいい――?」

 

 宝玉が叫んだ。

 

「駄目だよ。始まったばかりだよ。もう少し、我慢して、宝玉さん」

 

 宝玉がもうすぐ達するのはわかっている。

 七星も宝玉の肛門に伝える刺激を強くする。

 耐えられるわけがない。

 

「ああん……。そ、そんな……わ、わかったわ……。が、我慢してみる……あひっ……あっ、あっ――」

 

「そうだよ。我慢して、宝玉さん。いってしまったら、罰だよ」

 

「う、うん――。が、頑張る。ん……ああっ――んんんっ――」

 

 宝玉が汗にまみれた顔を左右に振りたてた。

 もういきそうなのだ。

 しかし、健気に耐えようとしている。

 本当に宝玉は可愛い。

 

「や、やっぱり、耐えられない――。ご、ごめんさい――。いくうっ――」

 

 宝玉が大きな声で叫んだ。

 七星はさっと指を肛門から抜いた。

 

「いっちゃうううう――、ええっ?」

 

 絶頂直前で刺激を消滅させられた宝玉が、びっくりしたような表情を七星に向けた。

 

「ど、どうして……」

 

 突然のおあずけに宝玉が呆然としている。

 七星は、宝玉が股で締めつけている張形を揺すった。

 宝玉がまた、大きな声で叫ぶが、すぐに手を引っ込める。

 

「どうしてじゃないよ、宝玉さん。宝玉さんが罰をもらわなくてもいいように、やめてあげたのにさあ――。それとも、罰がいいのかい、宝玉さん? 罰は、寝台に縛りつけて痒み剤だよ。それも宝玄仙さんから渡されているんだ」

 

「そ、そんな……。あれだけは嫌よ。とっても、痒くて、堪らないんですもの」

 

 宝玉が悲痛な表情になった。

 本当に嫌なのだろう。

 七星は遣われたことはないが、その痒さときたら生半可なものじゃないらしい。

 

「じゃあ、いかないように頑張るんだよ。それとも、いきたい? いけば罰だけどね」

 

 七星は、再び宝玉のお尻を指で刺激はじめた。

 

「ひゃあっ――。だ、だめ――。が、我慢できない」

 

 宝玉の身体がまた震えはじめる。

 それでも七星は愛撫をやめない。

 しつこく、しつこく、宝玉の肛門の中に刺激を送り続ける。

 しかし、宝玉がひと際大きな声で叫んで、気をやりそうになったとき、またもや、さっと指を抜いた。

 

「ひ、ひどいわ――。こ、こんなのって、酷い――」

 

 宝玉が泣き叫んだ。

 

「だったら、痒み剤がいいのかい、宝玉さん。宝玉さんがそれがいいなら、どっちでもいいよ。許可なくいって、痒み責めを受けるか、それとも、絶頂を我慢し続けるかだよ」

 

 七星は言った。

 宝玉の表情に悲痛なものが浮かんだ。

 我ながら、よくやると思う。

 まあ、これも演技だ。

 被虐の好きな宝玉をこうやって愉しませるのだ。

 

「じゃあ、いかせて……」

 

 宝玉が小さくささやいた。

 それを選択するのはわかっていた。

 快楽に弱い宝玉が、焦らし責めに耐えられるわけがない。

 それに比べれば、痒みに対しては、耐えられなくなれば、宝玉は術でそれを癒すことができる。

 どうしようもなくなるくらいに追い詰められれば、魔術を遣えばいいのだ。

 七星は、扉の近くに、沙那が置いていった紙包みを取った。中から黒い布をさっと取り出す。

 宝玉の眼が見開かれた。

 

「これがなにかわかるよね、宝玉さん。沙那から教えられたんだけど、これで目隠しをすると、宝玉さんも宝玄仙さんも、道術が遣えなくなるんだってね。それに自分では外せないんだろう」

 

「沙那ったら……なんてものを……」

 

 宝玉が呟いた。しかし、その表情は淫欲に熟れきった雌の色がある。

 七星は、その黒い布で宝玉に目隠しをする。

 これで、宝玉の魔力が失われたのだろうか……。

 宝玉の表情が変わったから、おそらく、そうなのだろう。

 

「さあ、もう一度、訊ねるよ、宝玉さん。痒み責めがいい? それとも、こうやって、徹底的に焦らし責めを続けるかい?」

 

 徹底的な焦らし責めと痒み責めの究極の選択だ。

 どちらも選べるわけがない。

 もっとも、こんな風に責めるということは、本当は、七星は苦手だ。

 だが、これくらいの演技力もあるし、宝玉がそれを望むからやっているだけだ。

 

「さあ、どうするの、宝玉さん?」

 

 七星は、また、宝玉の肛門に指を入れた。

 今度は二本――。

 宝玉の肛門の中で掻くように動かす。

 

「ひゃあ……ああっ――ああっ――」

 

 しばらく続けていると、宝玉がひと際大きな嬌声をあげ始める。

 七星はわかっている。

 いつ、どの瞬間に達するのかということなど、見ていれば明らかなのだ。

 またもや、七星は宝玉が極める寸前で肛門から指を抜いた。

 宝玉は泣き叫んだ。

 

「ふ、ふ、ふ……そんな風に悶え苦しむ、宝玉さんも可愛いけどね……」

 

 七星は、すぐに宝玉の肛門に指を入れると、今度ははっきりとした刺激をそこに加えた。

 

「あはあああっ」

 

 宝玉が全身を震わせて、ついに達した。

 かろうじて、身体を崩れることを免れた宝玉の股間から、ぼとりと張形が抜け落ちた。

 

「罰だよ、宝玉様」

 

 七星は、縄掛けされた宝玉の上半身をそっと後ろから抱いた。

 黒い布で覆われた宝玉の顔がぴくりと動いた。

 

「さあ、寝台に寝るんだよ。その後、脚を縛ってしまう。それで、痒み剤を身体中に塗るよ。それから、全身を筆で擽ってあげる。嬉しいよね……」

 

 七星は、がくがくと震えはじめた宝玉の身体を押して、そっと寝台に横たえた。

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