完全に気を失っている宝玉から、七星は黒い布の目隠しを外す。
宝玉や宝玄仙の術を封じる目隠しだ。 それを取り去って皮袋に入れる。
そして、宝玉を拘束していた縄を解いた。
宝玉は両腕を縄で後手に拘束され、両足首を寝台に開いた状態で繋がれていた。
宝玉の身体を起こして、そのすべての縄を解いたが、宝玉が起きることはなかった。
「本当に、綺麗で、可愛い人だよ」
七星は呟いて、宝玉の口に軽く口づけをした。
そして、体液にまみれた宝玉の裸身を拭く。
宝玉の身体の手入れが終わったところで、七星は掛布を宝玉の裸身にかけた。
宝玉は幸せそうな寝息を立てて、まだ眠っている。
七星がやった宝玉への責めは、徹底的な焦らし責めだ。媚薬効果もある強烈な掻痒剤を股間に塗って、まずは筆責めにした、
次いで、さんざんに泣き叫ばせたところで、張形を使って股間を責めたてる。
ただし、達しそうになったら責めを中断して、掻痒剤を追加する。
そして、また、責める。
しかし、絶頂寸前で、またやめて、媚薬を追加し……。
それを何度も繰り返すと、宝玉は半狂乱になった。
ほとんど常軌を逸するようになった宝玉を今度は、七星の手管のすべてを使って責めたてた。
連続で何度も絶頂した宝玉が気を失うのに、そう長い時間はかからなかった。
「さて、じゃあ、あたいも休むかな」
七星は服を身に付け直すと、もうひとつの寝台に横になった。
雨はまだ続いていた。
まだ、昼に近い時間だが宝玉との情交は疲れた。
最初に、宝玉の性技で呆気なくいかされたし、その後、馴れない嗜虐者を演じたのも気疲れした。
少し横になりたい。
今頃は、隣の部屋で、朱姫は宝玄仙の淫具を身に着けてよがり狂っているのだろうか。
様子を見にいこうかとも思ったがやめた。
沙那と孫空女もいるし、朱姫もそんな姿をあまり、他人に見られるのも嫌だろう。
まあ、宿には前払いで明日の朝の宿賃を支払っているらしいし、宝玄仙の結界もある。
安全だし、邪魔する者もいない。
宝玉が眼を覚ますのに、もう少し時間はあるだろうし、眼を覚ましたら、あの宝玉がまた迫ってくるかもしれない。
やっぱり、休んでおこう。
七星は、襲ってきたまどろみの中に身体を埋もれさせた……。
*
くすぐったい――。
七星は、妙な刺激で眼を覚ました。
眼の前に一本の筆があった。
それが、七星の耳に移動して、すっと撫ぜた。
「ひゃああっ――。な、なにすんだよっ」
思わず七星は叫んだ。
それで、ぎょっとした。
身体が拘束されている。
しかも、全裸だ、
全裸で両手両足を寝台の四隅に開いて拘束されている。
いったい、なにが起こったのだ?
「ひゃあああっ」
また、耳がくすぐられる。
七星は悲鳴をあげて、顔を筆から背けた。
すると反対側からも別の筆が襲ってくる。
「うわあっ、ちょっと――。ひいいいっ」
両側から耳をくすぐられて、逃げ場のない七星は全身をゆすぶって泣き叫んだ。
筆が耳からすっと離れる。
七星はやっと眼を開けた。
身体の上に、宝玉が七星の腰の上に馬乗りになっている。
いつの間にかしっかりと服を整えている。
そして、両方の手に筆を持っている。
宝玉がにやにやしながら、筆をまた近づけた。
「な、な、な、なにすんだよ、宝玉さん――。や、やめておくれよ」
しかし、宝玉は笑いながら、七星の無防備な乳首を両方の筆でくるりくるりと撫ぜた。
「あひっ……いいっ――や、やめて……ひひゃあっ――」
七星は身体を激しく動かして、筆を避けようとした。
しかし、容赦なく、筆は七星の乳首を撫ぜあげる。
「ひゃあっ――ひゃん――ああっ――な、なんだよ……なんで、こんな……ああっ――」
くすっぐたい。
いや、くすぐったいだけじゃない。
猛烈な快感が七星を襲う。
たかが、二本の筆だけで、信じられな淫情が襲う。
まるで、毒が回ったような衝撃に七星はたじろいだ。
筆がすっと離れる。
「ほ、宝玉さん――。な、なんで……?」
さっきまで隣の寝台で七星に責め抜かれて眠っているはずの宝玉が、なぜ、七星の上に乗っていて、その七星は全裸で寝台に拘束されているのか。
まるで、わからない――。
それにしても身体が熱い。
くすぐられた胸だけじゃない。
全身が熱病にでもかかったかのように熱い。
いや、熱いだけじゃない。
なにか、股間や胸から込みあげるものがある。
虫が這っているような……。
得体のしれない……。
なんだ、これは……?
これは……痒みだ。
七星は愕然とした。
身体の敏感な場所が猛烈に痒い。
それが七星を襲っている。
そう言えば、さっき掻痒剤を宝玉に使った後、その瓶をその辺りに放置していた。
あれは、どうしたか?
「これを探しているのかい、七星?」
宝玉が七星の股の間から、さっき掻痒剤の容器を見せた。
しかし、中身がない。
まだ、半分以上、塗剤が残っていたはずだが……。
「たっぷりと使ったんでなくなったんだよ。お前の全身に塗ってやったよ。特に、お尻と女陰には、丁寧に塗ってやったからね」
宝玉がけらけらと勝ち誇ったように笑う。
ぞっとした。
まだ、かなりの量が残っていたはずの掻痒剤の容器を空にしただと?
そして、やっと七星も身体の上の宝玉に違和感を覚えた。
いや、彼女は……。
「……だけど、心配しなくていいよ。まだ、使っていない瓶がもうひとつあるんだ。この宝玄仙の媚薬は、生半端なものじゃないからね。塗られれば塗られるほど、痒みは増すよ。一生懸命に泣き叫ぶんだよ、七星」
「ほ、宝玄仙……さん?」
腰の上にいるのは宝玉じゃない……。
間違いなく、宝玄仙だ。
宝玉の人格から、宝玄仙の人格に戻ったのだ。
「ど、どうして……?」
七星は呟いた。
「意識の中で、宝玉からお前に受けた責めのことを聞いたよ。気持ちよかったそうだ。宝玉は幸せそうだったよ。どういう責めを受けたか、嬉しそうに教えてくれた……。だから、その礼をしようと思ってね……」
「れ、礼?」
七星は息を飲んだ。
「……そうだよ。礼だ。お前に同じ責めを与えようと思って、わたしが出て来たんだよ」
宝玄仙はそう言って、本当に別の掻痒剤の油剤の瓶をどこからか出した。
蓋を開ける。
それをすくい、右手の指に載せた。
そして、身体を反転させ、七星の下半身向かって座り直す。
「う、うわああっ――。な、なにすんだよ」
七星は、その油剤を載せた宝玄仙の指がさっと七星の股間側に動いたのに気がついて、大きな声で悲鳴をあげた。
「ひいっ……や、やめてよう……ああっ、あっ、あっ――」
肉芽と女陰に媚薬が塗り込まれている。
跳ね除けたいが、腰の上にしっかりと宝玄仙が載っているだけじゃなくて、四肢を引っ張られているので、ほとんど身動きすることができない。
肉芽と女陰にたっぷりと薬が追加されたのがわかった。
そして、宝玄仙の言うとおりに、すぐにさらに猛烈な痒みが襲ってきた。
「あああ――。な、なんだよ、これは――」
七星は叫んだ。
痒い――。
痒いもんじゃない。
痛い。
痒さだか、痛みだかわからないものが襲う。
全身から脂汗が吹き出る。
「この宝玄仙の特性の責め薬だ。こんなの味わったことはないだろう? さっきは、この身体にさんざんにやってくれたそうじゃないか。そういうことは、身を持って味わってからやるものさ。それが嗜虐屋の心得えというものだよ」
「こ、心得え?」
「そうだ。そうじゃないと、やり過ぎることもあるし、加減ができないじゃないか。嗜虐というのは、徹底的な奉仕と同じさ。それを朱姫で教えてやったつもりだったけど、理解できなかったようだね」
「な、なに言ってんだよ……。か、痒い……。あ、あたいは、嗜虐なんてご免なんだよ――。そ、そんなことよりも、な、なんとかしてよ――」
七星は喚いた。
猛烈な痒みが襲う。
さっき塗られた場所だけじゃない。
全身がただれるように痒い。
一度、知覚してしまうと、もう痒さのことしか考えられない。
「……そうだね。お前には、嗜虐は無理だったようだね。拘束された朱姫の世話は、面倒だと思うだけだったようだね。人の世話が面倒だと思う人間は、嗜虐は向かない。残念だよ」
「ひいいいっ、痒いいい。ざ、残念でいい――。助けてええ」
七星は喚いた。
「だから、やっぱり、お前は、被虐を受ける側に格下げだ。徹底的に奴隷根性を叩き込んでやる。あいつらみたいにね」
宝玄仙はそう言って、七星の身体から降りた。
「そ、そういうあんたは、なんだよ――。ひ、人の世話が好きなのかよ――。か、痒い、痒い。もう、なんとかしてくれよ、宝玄仙さん……。こ、これは、酷いよ――」
「泣き喚くんじゃないよ、七星。わたしは、これでも嗜虐に手を抜かない女でね。面倒見だっていいんだけど、そうじゃないふりをしているだけさ。お前のこともしっかりと観察し、いろいろと試していたのだよ――」
「た、試した?」
「そうさ……。それよりも、始まったばかりじゃないか。隣の部屋では、こんなのとは、比べものにならない責め苦を三人は受けているんだよ。まだ二度塗りしただけだ。これから、どれだけ重ね塗られると思っているんだ。まだまだ、序の口だよ、七星」
そして、宝玄仙は、七星に微笑みの浮かんだ顔を向けた。
その顔にはっきりとした冷酷さが浮かんでいたので、七星はぞっとした。
宝玄仙の言葉に偽りはない。
これから、死ぬような目に遭わされる。
間違いない――。
「とにかく、いつもは、あの三人を玩具にして遊ぶんだけど、いま、あいつらのいる部屋には、このわたしも、あと三刻(約三時間)は入れないんだ。だから、それまで、お前で遊ぶことにするよ。まあ、宝玄仙の本格的な責めを受ければ、三刻(約三時間)で、お前をちゃんとした家畜奴隷に育ててやるからね」
「な、なに、言って……。うあぁぁぁ――。ち、畜生……こ、こんな……」
七星は身体を暴れさせた。
拘束が外れないことも、動いても、痒みが癒されないことはわかっている。しかし、じっとしていられないのだ。
「さて、じゃあ、愉しい時間の始まりだよ、七星」
宝玄仙が七星の身体から降りて、七星の眼の前に二本の筆を示した。
七星はぞっとした。
「や、やめてよ……」
「まずは、洗礼を浴びな。同じ責めでも、お前とわたしでは、こんなにも違うということを知りな。お前の責めなど偽物さ」
宝玄仙は、すっと筆で七星の股間を撫ぜた。
「はひゃああっ――」
七星は、身体を仰け反らせて絶叫した。
擦られたのは、肉芽と女陰周辺だ。
痒みの頂点が刺激される快感――。
考えられない快感だ。
しかし、それはあまりにも弱い快感でしかない。
それが、七星を襲った。
「まずは、泣き狂うんだ、七星。筆程度の刺激じゃ、絶対にいくことはできない。だけど、媚薬でただれた性器を刺激されるのは最高に気持ちいいはずだ。まずは、そういう性の地獄を彷徨うんだ。思考力もなにもかも吹き飛ばして、一匹の雌に成り下がりな」
宝玄仙が繰り返し、肉芽を筆で擽る。
そのたびに七星は、拘束されたままの身体を限界まで暴れさせた。訳のわからない言葉を叫び、そして、全身を跳ね上げるように動かした。
宝玄仙は執拗だった。
呼吸をするのを邪魔するかのような長い筆責めが続いた。
あまりにも長い宝玄仙の股間への筆責めに、七星はついに失禁した。
それでも、宝玄仙は失禁し続ける七星の股間を責め続けた。
失禁が終わっても、汚れを拭かれることもなく、そのまま、筆で責める。
そして、尿で媚薬が薄まったと言って、さらに、掻痒剤を追加して塗られた。
また、筆責め――。
七星は、狂ったように叫び、そして、暴れた。
ついに声が枯れ、言葉がて出なくなった。
「面白いねえ、七星。まだ、意識を保っているのは知っているよ。やめてくださいと言ってみな。やめてやることを考えてやるよ……。もっとも、考えるだけかもしれないけどね」
宝玄仙が笑いながら筆を動かす。
「や……ひゃあめ……ひゃめ……られ……」
舌が動かない。
うまく、喋ることもできない。
=それよりも、息が苦しい。
眼の前が暗くなる。
「なにを言っているかわからないよ、七星。まだ、続けて欲しいという意味だととるよ。さあ、あと二刻(約二時間)は続けるからね。調教はそれからだよ――。言っておくけど、宝玄仙の調教は、まだ始まってもいないよ。これは、お前の中に、奴隷の根性を作り出しているだけだ。ほら、苦しいだろう? つらいだろう? 悔しいだろう?」
宝玄仙が筆を操りながら、高笑いをする。
「あと、二刻(約二時間)もすれば、悔しさなんかは消え失せるよ。残るのは、性欲のことと恐怖しか考えられない呆けた頭だけだ――。さて、そろそろ、肉芽の勃起も限界かねえ。ねえ、七星、お前の肉芽は、ついに、小指の頭ほどの大きさになったよ。じゃあ、いいものをやるからね」
そう言って、宝玄仙は、七星の股間になにかを施した。
次の瞬間、七星の肉芽に信じられない衝撃が走った。
「がぐうああぁぁぁ――。が、がに? な、なにを……? はひいっ――」
七星は、身体を限界まで仰け反らせた。
肉芽の根元が締めつけられる。
それだけじゃない。痒さと疼きが倍に……。
いや、十倍になったような感覚に襲われたのだ。
勃起している肉芽がこれ以上ないというくらいに敏感になった。
かすかな風の流れさえ、そこで感じることができる。
なにが起こったというのか。
「これは『
「いやあああ、た、助けてええ、いやだああっ」
苦しい。
快感が苦しい。
意識を保てないくらいの狂うような淫情が襲う――。
「普通は、これを嵌められると、四六時中、性愛のことしか考えられないほどの淫情に襲われ続けるよ。まあ、どうなるか……。一箇月程度で、お前は、性の家畜になると思うね。あの七星が淫欲のことしか考えられなくなった家畜になるというのも愉しそうだね」
宝玄仙が大笑いする。
七星は、股間に襲う刺激に泣き叫んだ。
もう、痒いのか痛いのか、それとも、疼くのかわからない。
感覚が鋭すぎる。
肉芽が爆発する。
そんな気さえする。
そこに血が流れるたびに発狂するような刺激が走る。
こんなの耐えられない――。
しかも、いま宝玄仙は、この『女淫輪』とかいうものをずっと装着し続けるようなことを言った気がする。
七星は、朦朧とした頭で激しい恐怖感も感じていた。
こんなものを装着され続けたら、頭がおかしくなる。
「そろそろ、尻にいこうかね。この宝玄仙がお前の尻を開発し直してやるよ。沙那も孫空女も朱姫も、この宝玄仙が、尻で狂う尻人形にしてやったんだ。お前もそうしてやるよ」
勘弁して――。
七星はそう叫びたかった。
しかし、うまく言葉が出てこない。
出るのは、訳のわからない音だけだ。
舌がうまく動かない。
「なにを言っているんだい、七星? もう、人間の声を忘れたのかい? そうだ、お前は、家畜にするんだからね。人間の言葉は不要か。家畜みたいな言葉しか喋れないようにしてやるよ」
次の瞬間、七星の身体になにかが入ってきた。
宝玄仙の強烈な道術が身体に注ぎ込まれたのはわかった。
それがなにかはわからない。
そして、宝玄仙が、指先で七星の肛門の入口を押した。
指先にあの掻痒剤が載っている。
それが塗り拡がられている……。
「ブヒィ――ブヒィィィ――」
悲鳴の代わりに出たのは、豚のような鳴き声だ。
七星は愕然とした。
「いい感じだねえ――。家畜みたいだよ。今日から、お前は、この宝玄仙の正式の供だ。三箇月の契約は終わりだ。一生、この宝玄仙についてきな。沙那は玩具。孫空女は奴隷。朱姫は家来。そういう身分があいつらの正式の身分だけど、四番目のお前は、家畜ということにするよ。いいかい、家畜?」
「ブヒィ――」
なにを言っているのだ、この狂い巫女は――。
しかし、出るのは豚の鳴き声だけ。
本当に家畜みたいにされる。
怖い――。
そして、宝玄仙の指が肛門深くに挿し込んでくる。
総身を砕くような妖しい快感が迸る。
身体中の皮膚感覚が際立ち、限界まで研ぎ澄まされるようだ。
なによりも、妖しい魔具を装着された肉芽が凄い。
「ブヒィ――」
「それ、いくよ。これはどうだい? ほう、いい感じで反応するじゃないか。じゃあ、これは? おっと、危ない。いきそうかい? だったら、このまま指を挿したまま、お休みだ」
尻で絶頂しかけた、まさにその時に、宝玄仙の指がぴたりととまる。
そのまま、発狂しそうな痒みと疼きが尻穴に残される。
「ブヒィ」
もうどうでもいい。
家畜にでもなんにでもなる――。
だから、この苦しみを解いて欲しい。
淫情を爆発させて欲しい――。
「ただ待つのも退屈だろう、七星? 『女淫輪』を動かしてやるよ」
宝玄仙が言った。
すると肉芽の根元が急に振動しはじめる。
「ブヒィ、ブヒィ――」
七星は身体を跳ねあげた。
豚の鳴き声を絶叫し、そして、そこから沸き起こる愉悦に身体を任せる。
これで、溜まった淫情を解放できる――。
そう思った瞬間、不意に『女淫輪』がぴたりと止まる。
「ブヒィ……?」
七星は、虚ろな視線を宝玄仙に向ける。
宝玄仙が大きな声をあげて笑った。
「あと二刻(約二時間)は、いかせないと言っただろう、七星。心配しなくてもその『女淫輪』は、いきそうになったらちゃんと動きをとめてくれるよ。そういう術をかけた。だから、絶頂してしまうことはないから、安心して性の地獄を味わいな。さあ、そろそろ、いいかね?」
宝玄仙が七星の肛門に挿し入れた指を内側の肉に沿って動かす。
官能が爆発する。
また、『女淫輪』も動き出す。
今度は、ゆっくりとした動きだ。
それでも、いまの七星には、激し過ぎる動きだ。
股間には『女淫輪』の振動――。
肛門は、宝玄仙の魔術のような指責めによる快感――。
そして、全身に塗られた黒蜂油の疼きと痒み――。
本当に狂う――。
「ブビィ――ブヒィ――」
屈服する。
なんでもする。
だから、許して――。
七星は、心の底からそう思った。
「まだだよ、七星。狂い方が足りない――。もっと、狂うんだ。さあ、掻痒剤を足してやるよ」
宝玄仙の指が肛門から抜かれ、すぐに入ってくる。
ねっとりとした感覚は、新たに掻痒剤が足された刺激だろう。
まるで、肛門の中が肉芽のように鋭敏になっている。
肉芽の振動も次第に激しくなる。
いく――。
今度こそ、いく――。
だが、その瞬間、『女淫輪』も宝玄仙の指も静止した。
またも、七星は絶頂寸前で取り残される。
こんなに熱く、絶頂するために必要な何倍もの快楽が身体を暴れ回っているのに、絶頂だけを制御される。
こんなに苦しいことは初めてだ。
「……ふふふ、ついに、泣き出したね。まだだよ。苦しみ方が不足だ。そのうち、泣くこともできなくなるよ。感情が潰れるからね」
自分は泣いているらしい。そう思った。
『女淫輪』が動き出す。
宝玄仙の指も――。
しかし、すぐにとまる。
「これじゃあ、責める暇もありはしない。本当に爆発しそうなんだね、七星。仕方ない、一度いかせてやるよ……」
宝玄仙が言った。
いかせてやる――。
その言葉が歓喜の渦となり、七星の頭を席巻する。
いけるのだ。それでこのただれるような痒みと疼きが癒されるのかわからない。
これで――。
宝玄仙の指の動きが速くなる。
『女淫輪』も――。
怒涛のようにやってくる官能の大波に、七星は可能な全身を限界まで暴れ回らせていた。
「ブヒィィィィ――」
七星は声をあげる。
いける。
ついにいける……。
全身をがくがくと震わせて、七星は断末魔の家畜の叫びを拭きこぼす。
しかし、無慈悲な宝玄仙の指と『女淫輪』は、またも寸前ですっととまる。
呆然とする七星の頭に飛び込んできたのは、宝玄仙の心からの愉悦の笑いだ。
「本当にいかせてもらえると思ったのかい、七星。嘘じゃないかとは、思わなかったのかい? 嘘に決まっているだろう? お情けなんかやらないよ。この宝玄仙の調教だよ」
宝玄仙がげらげらと笑う。
狂っている。
こいつ、本当に狂ってる。
「……なんで、あいつらがあんなに、宝玄仙の調教を嫌がるのかわからないのかい。ただ、気持ちいいだけだったら、歓んで宝玄仙に責められたがるというものじゃないか。こういう性の地獄を味わわされるから、嫌がるのさ――。さあ、もう一度だ。次こそ、いかせてやろうじゃないか」
再び始まる前後の刺激――。
七星は今度こそと思って、本格的な昇天に身を飛び込ませる。
しかし、やはり、寸前で止められる。
文字通り、七星は泣き叫んだ。
そして、宝玄仙の高笑い……。
「ほら、もう一度だ。今度はいかせるからね……」
宝玄仙の言うことが嘘だということはわかっている。
しかし、同じことを繰り返しているだけなのに、なぜか、七星は、今度はいかせるという宝玄仙の言葉を信じてしまう。
そして、期待し、それが裏切られて、泣く。
ひたすら、それを繰り返している。
「次は、本当にいかせるよ――。おや?」
宝玄仙が少し戸惑った表情をした。
なぜだろう。
「なにが可笑しいんだい、七星?」
そう言われて、七星は自分が笑い声を出していることに気がついた。
いや、いま、自分は泣いているはずだ。
しかし、泣きながら笑っている。
なぜか口から笑いが吹きこぼれている。
もちろん、ブヒ、ブヒという豚の声でだが……。
「そうかい、感情が壊れ始めたかい。なぜか、宝玄仙の調教を最初に受けた者は、みんなそうなる。沙那もそうだった。孫空女は、最初じゃないけど、本格的な尻責めを最初に施したときがそうだった。朱姫もそうだね――。みんなが通る道さ」
もはや、宝玄仙がなにを喋っているのかさえわからなくなってきた。
部屋に宝玄仙と七星の笑い声が響く。
『女淫輪』が震えだす――。
宝玄仙の指も動き出す。
うねうねと一番気持ちのいい場所をちゃんと刺激する。
「ブヒィ――」
七星は豚の声で嬌声をあげた。
凄まじい快感だ。
七星は、込みあがる絶頂に身を委ねた……。
それで、ぴたりと刺激が止まる。
そうだ……。
絶頂はさせないと言われていたのだ。
だから、いけないのだ。
部屋にくすくすというおかしな笑い声が響いた。
それが自分の声だと気がつくのにしばらくかかった。
「次は、いかせるよ。嬉しいだろう、七星?」
宝玄仙の指が動き出す。
肉芽の霊具も……。
ああ、次はいける……。
身体を痙攣させて、七星は快楽の叫びを放つ。
いくっ――。
残酷にも、止まる指と肉芽の『女淫輪』――。
いきたい――。
からだが熱い――。
解放して――。
解放――。
「これで最後だ。次はいかせるよ」
宝玄仙の声。
次にはいける。
七星は宝玄仙の責めに身を任せる……。
達しようとした瞬間、またも刺激はとまった。
宝玄仙が爆笑している。
「今度は、泣きじゃくるのかい。いろいろと忙しいねえ、七星」
宝玄仙が言っている。
訳がわからない。
いきたい。
尻の刺激――。
くる――。
待っていたものがくる。
いく――。
いや、いっていない。
刺激がとまっている。
宝玄仙がなにかを喋っている。
わからない。
どこからか豚の声がする。
いや、泣き声か?
笑い声かも……。
また、宝玄仙の言葉。
震える肉芽と肛門で動く指……。
昇天する。
いや、落ちる。
落ちる……。
とまる。
馬鹿にしたような笑い声――。
それは、宝玄仙の声なのか……それとも、自分の声なのか――。
もう七星には区別がつなくなりかけていた。
また、お尻と肉芽が震える……。
気持ちいい――。
音が聞こえる……。
心が壊れる音だ。
そして……。