177 女王の舌人形
「道術遣い?」
すると、壱都の女陰から流れる淫液まみれになった舌人形の顔が訝しむように壱都を見上げる。
もっとも、眼をただの宝石に変えられている彼女には、壱都を見ることはできないし、鼓膜を潰されているので、声を聴くこともできない。
いつもの奉仕作業を中断させられた理由がわからず、戸惑っているだけだ。
壱都は、その舌人形の顔を足の裏で、突き倒した。
腕のない舌人形には、突き飛ばされた身体を庇う手段がない。
床に思い切り顔を打ちつけた彼女は、慌てて、部屋の隅に這っていく。
そして、彼女の定位置と定められている敷布の上に身体を丸める。
視力と聴力と声までを奪われ、肩から下の腕と膝から下の脚を切断された哀れな女――。
それが「舌人形」と壱都が命名した壱都の玩具のひとつだ。
全身の毛を消滅させているので、その舌人形の顔には、髪と眉がない。
だから、かつての美貌も失い、面影が少ないが、城内の者は、この舌人形の正体を知っている。
しかし、誰もなにも言わない。
舌人形の存在を口にすれば、処断されると決まっている。
従って、舌人形の女は、存在しながらも、存在しない者として扱われている。
生命の維持に必要なものは、すべて、壱都が道術で与えているので死ぬことはない。
もっとも、かろうじて生きている彼女が、まだ正常な思考を抱いているのかどうかについては、もはや、壱都にも判断のしようがない。
「本当に道術遣いなのか?」
壱都は、裸身に一枚はおりながら、報告を持ってきた女性将校である
「ま、間違いないと思います、陛下。北部地方監から
那美は言った。
生真面目そうな表情とは対照的に、その顔は上気して真っ赤だ。
無理はない。
この部屋は、女を発情させる香で充満している。
霊気の微香の影響を受けない壱都とは違い、生身の人間である那美にはつらいはずだ。
軍装に包まれた彼女の腰がもじもじと動いていることが、それを証拠立てている。
ここは、女王の寝所だ。
時間も真夜中に近い。
だから、舌人形の身分に落としてやった女に、壱都の股間を舐めさせていたのだ。
一日の執務の疲れを癒すには自慰が一番だ。
壱都にとっては、舌人形にさせる奉仕は、自慰と同じだ。
女人国に道術遣いが入ったという報告は、壱都が定めている最重要の情報のひとつだ。
その情報が入った場合は、いついかなる状況であろうとも、壱都に報告にこなければならない。
そう決まっている。
その場所が、淫靡な香が充満している女王の寝所であってもだ。
「それで、その道術遣いは?」
壱都は言った。
重要なのは、その道術遣いがどの程度の霊気の持ち主で、現在、どこにいるかだ。
道術遣いの存在は、女人国の御法度ではないが、女王の座について以来、壱都は自分以外の道術遣いの存在を密かに消し続けていた。
道術遣いであっても、常人と変わらぬ程度の下級の道術遣いは別だ。
壱都が恐れているのは、自分を上回る霊気を持った道術遣いの存在だ。
女人国の女王は、この国でもっとも力のある道術遣いが就く。
それがこの国の掟だ。
女王を凌ぐ道術を持つ者の出現――。
これが王位の交替を告げるものであり、
これを「神意」とも呼んでいる。
壱都が三年前に、前の女王を退位させて、女王の地位を得たのもそれが理由だ。
壱都は、その地位を失いたくない。
前の女王は、お人よしのところがあり、この国の掟に従い、女王の挑戦者とまともに道術対決をして、そして負けた。
女王挑戦者に対する道術対決で負ければ退位だ。
そうやって、前女王は地位を失い、新たな女王として壱都が就いた。
壱都の即位以来、女王挑戦者は出現していない。
その可能性のある者は、芽にすぎないうちに、密かに摘み続けているからだ。
壱都は、お人よしだった前女王のように簡単に女王の地位を失うつもりはない。
女王挑戦者など笑止だ。
その可能性がある場合は、密かに殺せばいいのだ。
それで、壱都の地位は保たれる。
この国の発展のためには、より強い道術を持つ者が、女王になるべきなのだとかいう戯言を言うから、前女王は、地位を失った前女王として、哀れな立場になったのだ。
「それが……」
那美の顔が曇った。
その腰は、はしたなく震えているが、それは、その那美の動揺する表情とは関係はない。
欲情しているだけだ。
彼女の重い表情の理由は、壱都が不満に思う報告をしなければならないことにあるに違いない。
「それが、どうした、那美? ちゃんと、わらわの眼を見て答えよ」
その壱都の言葉に、那美は怯えた表情をしながらも、真っ直ぐに壱都の眼に自分の眼を向ける。
那美の怯えは当然だ。
壱都の結界が張り巡らせている城内であれば、壱都は、眼と眼を合わせるだけで、相手を意のままに操れる。
その場で即死させることも可能だ。
実際、少なくない前女王派の家臣をそうやって殺してきた。
「その道術遣いの行方は不明です、陛下。手の者を向かわせたときには、すでに出立した後でした。道術の大きさについてもわかりません。その道術遣いは、実際には、大した道術は遣わなかったようです。四人の供がいて、彼女たちはかなりの実力の持ち主のようだということしか判明しませんでした」
那美の顔が怯えている。
顔は怯え、下半身は欲情して震えている。
滑稽な姿だ。
「もう少し詳しく説明せよ」
壱都は言った。
那美は説明をはじめた。
那美が語ったのは、女人国の北側の玄関口である宿町に、照胎泉を飲んで倒れた女が出現したこと。
彼女は四人の供を連れていて、たまたま近傍にあった居酒屋を経営する女の家に助けを求めたこと。
そして、その供たちが、
「落胎泉? 本当か?」
壱都は驚いた。
女道術遣いが照胎泉を飲んだと最初に報告があったので、てっきり、
道術遣いが照胎泉を飲んで苦痛を訴えるのは珍しいことではないが、その苦痛を取り除くには、子母泉の水を飲んで妊娠するしかない。
妊娠をすれば、赤子が産まれるまで、女道術遣いは道術をほとんど遣えなくなる。
妊娠した女道術遣いの霊気が、自動的にお腹の胎児を護り育てることに遣われるからだ。
だから、妊娠している女道術遣いを処分するのは難しいことではない。
どんな女道術遣いでも、妊娠中は無力だ。
落胎泉というのは、子母泉で妊娠してしまう以外に、照胎泉の影響を失わせるもうひとつの方法だ。
落胎泉さえ飲めば、女道術遣いの苦痛が去るのは間違いない。
しかし、あれは、
事実、落胎泉を手に入れた者が出現したのは、数十年前のことで、彼女は三代前の女人国の女王だ。
落胎泉を手に入れることで、道術の大きさを世間に証明し、女王挑戦者の権利を得た。
彼女は、その対決に勝利して女王になった。
そして、年老いて道術が衰えたことにより引退するまで、女王の地位を失わなかった。
落胎泉を得るということは、それだけで、女王挑戦権を得るのに十分であり、壱都の地位を脅かす可能性であることを悟るのに十分な事実だ。
落胎泉を得た者が道術遣いではない可能性はない。
道術なしに落胎泉を得ることが不可能なことはわかっている。
「その女が、落胎泉を手に入れたことに間違いはないのだな?」
「は、はい、陛下。それについては、手の者が大きな白い
「甕一杯の落胎泉?」
壱都は声をあげた。
一体全体、どうやって、それだけの落胎泉を如意仙女から手に入れたというのだ。
如意仙女の正体が、言い伝えのとおりに、この国の守り神のひとりであるのか、それとも、神に近いほどの力を得た人間か魔族が、長い年月を経て神そのものになったのかはわからない。
ただ、非常に力の強い存在であることは確かだ。
そして、その如意仙女は、本当に力を持った存在にしか落胎泉を渡さない。
その如意仙女が、甕ひとつ分ほどの落胎泉を渡したということは、それだけのものを如意仙女が認めたということだ。
そう考えていて、壱都はある事実に気がついた。
「待て、那美。お前の言葉には矛盾があるぞ」
壱都は言った。最初の報告は、照胎泉を飲んで苦痛を訴えたことにより、その女が道術遣いだと判明したということだった。
それに、続いた報告は、彼女が落胎泉を手に入れたという事実だ。
照胎泉の水を飲んで苦しんでいる女道術遣いが、如意仙女と争い落胎泉を手に入れたというのはおかしい。
那美の話をうのみにすれば、照胎泉を飲んで苦しんでいる道術遣いが、如意仙女の試練を受け落胎泉の水を得たことになる。
壱都はそれを那美に指摘した。
「あの……如意仙女に挑戦し、落胎泉を手に入れたのは、道術遣いの連れていた女の供のうちの三人ということでございます」
那美が甘い息を吐きながら言った。
「なに……」
壱都は唸った。
つまりは、道術遣いはひとりではなく、複数の道術遣いが含まれる道術遣いたちの一行ということになる。
それはいい。
だが、すると本当に力を持っているのは、照胎泉の水を飲んだ道術遣いの方ではなく、供の中の誰かということであろうか。
「本当に供なのか? 照胎泉の水を飲んでしまった方の道術遣いが供であり、如意仙女に向かったのが主人ではないのか?」
壱都は言った。
「い、いいえ……。そ、それについては、誤りはないと思います。ふ、複数の手の者が、か、確認しました。照胎泉を飲んで倒れたのが女主人。そして、四人連れの供のうち、落胎泉を持ちかえったのが三人の供。と、供は、か、完全に女主人に、し、従っており、従者で……あることに間違いはありません……くっ」
那美の腰の震えが激しくなった。
この部屋の淫靡な香を吸い続ければ、生身の女であれば、あっという間に欲情する。
香を発生させているのは、壱都の吐く息だ。
この国には女しかいない。
そうやって、淫靡な香を発生し続けることで、周りの女の力を奪い、それを壱都は身の安全を保つ手段のひとつとしている。
那美は、その壱都に普通ではあり得ないくらいに接近している。
まさに、息と息がぶつかるくらいの距離だ。
那美が少しの時間で股間をびっしょりと濡らすくらいに欲情してしまうのは当然なのだ。
事実、生真面目に報告を続ける那美の股間は、小便を洩らしたかのような丸い染みができている。
下着と厚い軍服の布を通り越して染みを作るということは、おそらく那美の女陰は、いま大変な状態になっているのだろう。
「女主人とその供の名は?」
壱都は那美の股間から顔に視線を戻した。
那美の顔は上気し、前髪が汗で額に張りついている。
少しでも早くこの部屋を退出したい。
その感情が顔に出ている。
「お、女主人の名は
「宝玄仙――?」
壱都は思わず声をあげた。
その名は知っている。
いまは、女人国の女王である壱都の故郷である魔域から半月ほど前に、ひとつの贈り物が届いていた。
その贈り物に添えられてた手紙に、その名があった。
あの道術で有名な東方帝国でも指折りの道術遣いの宝玄仙――。
それが、魔域に向かう旅をしており女人国に入る可能性がある……。
そういうことが書かれていた。
壱都には、まったく関係のない話であるので、気にも留めていなかったが、女王に対する贈り物である霊具についてはよく覚えている。
一国の女王に対する贈り物とはいえ、あれ程の貴重な霊具を面識のない相手に一方的に送りつけるとは、どういうことかと考えていたのだ。
だが、受け取りを拒否して送り返すには惜しい。
それ程の霊具だった。
いかなる対応をすべきか考えているうちに、半月も経ってしまった。
その霊具は、いまでもこの女王の寝所の結界で護られて保管している。
「へ、陛下は、宝玄仙の名に……こ、心当たりが?」
那美は言った。
「宝玄仙か……。絶世の美女という話だな」
壱都は頬を綻ばせた。
「ほ、宝玄仙が滞在した……居酒屋の女主人は、ああ……、そ、そのように証言……」
那美は、そこまで言って、苦しそうに腰を沈めた。
完全に欲情しきった仕草で手を自分の股間に触れさせた。
「那美、貴様は、女王の面前で自慰でも始めようというのか――」
壱都は大喝した。
「も、申し訳ございません――」
虚ろだった那美の眼が生気を取り戻して、見開かれる。
そして、我に返った那美がその場にひれ伏した。
顔は上気しているが表情は凍りつている。
自分が無意識にやった動作について、恐れおののいている心境に違いない。
「まあ、よい。立て」
壱都が言うと、那美は再び直立不動の姿勢に戻る。
「……調べよ。お前の使っている手の者のすべてをその宝玄仙の一行を見つけることに使え。なんとしても発見せよ。よいな」
手の者というのは、この国中に密かに散らばせている諜報員のことだ。
ただの旅人や行商人にやつしている場合もあるし、城郭や農村などに溶け込んで市井の民に紛れている場合もある。
役人の場合もあるし、軍人もある。
そうやって、この国のあちこちに女王の耳目となる人間を置いている。
少しでも早く、王位に近づく可能性のある者を見つけて、それを排除し続けるためだ。
道術に長けた者がいるという情報に接すれば、その人間は、数日後には、事故や災厄に巻き込まれて不慮の死を遂げることになる。
その束ねをしているのがこの那美だ。
ほとんどの前女王派は処分した。
唯一の例外なのがこの那美だ。
それくらい有能な女だ。
いまは完全に壱都に忠誠を誓っているし、壱都は、もう些かの疑念も那美に抱いていない。
道術で心を支配することも考えたが、それでは、この女の知性の働きを損なう場合がある。
だから、それはしていない。
「は、はっ」
那美が敬礼した。
壱都は頷いた。
もう一度敬礼し、退出しようとする那美を壱都は留めた。
表情をこわばらせた那美が、再び姿勢を戻す。
「大事な報告だった、那美。女王の寝所を侵してまで、即座に報告しようとしたお前の判断は正しい。いつもながら、お前の判断と働きには満足している」
「お、恐れ入ります……」
那美は頭を下げた。
「褒美をやろう――。わらわの舌人形を貸してやろう。ここで、気をやっていくがいい」
壱都は言った。
一瞬、那美は、壱都の言葉の意味を理解できていないようだったが、すぐに顔を蒼くした。
上気して火照りきっていた顔が瞬時に蒼くなるのは興味深かったが、それくらい衝撃的な言葉だったようだ。
「そ、それは……お、恐れ多いことで……」
「なにをいまさら、わらわと那美の仲ではないか」
この那美は、壱都の「猫」のひとりでもある。
何度も裸で抱き合った。
壱都は女人国の出身ではないが、女しかいないこの国では、女同士で愛し合うのは珍しいことではない。
女王には、側女の制度もあるが、前の女王は性の相手としての側女は置いていないし、壱都もそうだ。
もっとも、前の女王の場合は、性格が禁欲的で性行為に消極的だっただけであり、壱都の場合は、側女のように専用の女ではなく、那美のような気に入った女を気まぐれに性の相手にするのを好むからだ。
「は、早く、下袴と下着を脱げ。それとも、逆らうのか?」
壱都は試すような表情を那美に向けた。
「し、舌人形だけは……お、お許しを……。ほ、ほかのことであれば、な、那美は幾らでも破廉恥なことをしますから……」
那美は小さく震えだした。
「三度目は同じことを言わんぞ、那美。下半身に身に着けているものをすべて脱いで、股を拡げよ」
壱都は強い声をあげた。
那美は押し黙り、震えながら下袴を脱ぎ、下着を取り去った。
命じられたとおりに、脚を開く。
無毛の股間が軍服を着た上半身の下に出現した。
むっとする女の匂いが拡がる。
無毛の女陰は、那美が女王の性愛の相手であることの象徴だ。壱都が自ら剃って、毛が生えなくなる道術をかけた。
同じように無毛の股間をした女は、この城内に十数名いる。
逆に、壱都の性愛の対象でない者が、剃毛することは死刑となる罪である。
「これは、これは……。これほどに、欲情しておったのだな」
壱都は那美の濡れきった股間を眺めながら言った。
那美の股間は、愛液が濡れるどころか、内腿に溢れた淫液が足先まで滴っている。
壱都は、念を集中し、部屋の隅に縮こまっている舌人形に電撃を送った。
眠っているように静かにしていた舌人形が、声のない悲鳴をあげて、のたうち回る。
それが、奉仕を始めよという合図なのだ。
舌人形は、膝下と腕のない姿で、のそのそと這ってくる。
「舌、お前の相手はこれだ」
壱都は舌人形の首を掴んで、那美の股間に押し付けた。
無論、舌人形には、壱都の声は聞こえない。
ただ、気配でこの部屋にふたりの人間がいることくらいは悟っているだろう。
その相手が誰かということは知りようもない。
ただ、顔の前に突きつけられた女の女陰を舐めるために舌を伸ばすだけだ。
「お、お許しを……ああっ……」
那美がそう言いながら腰をくねらせた。
「いいっ」
那美が喉を仰け反らせた。
熟れきった女の股間に舌人形の舌が這う。
たちまちに、那美の口から欲情の声が漏れていくる。
「お、お許し……」
那美の身体が震えだす。
懸命に声を耐えている。
それでも、耐えきれずに声は漏れ出る。
「ああ……あっ……ああっ――」
那美の膝が激しく震えはじめる。
「那美、舌人形の舌遣いは絶品であろう? わらわが一から調教した逸品だからな。気に入れば、いつでも味わいにくるがよい。お前であれば、いつでも貸してやるぞ。もちろん、わらわの前に限るがな」
壱都は言った。
「お、お許しを――んくうううっ」
那美ががくがくと震えて、大きな声をあげた。
達したのだ。
壱都は、奉仕を続けようとする舌人形の無毛の頭を乱暴に横に押した。
床に舌人形が倒れる。
壱都は、その身体を足で踏みつけた。
舌人形がその場で平伏する。
足で踏むのは、「その場に伏せ」の合図なのだ。
「気持ちよかったか、那美?」
「き、気持ちよかったです……」
那美は泣き声の混じる声で言った。
「気持ちよかったのであれば、よいではないか。なぜ、そのようなつらい顔をしておるのだ?」
「つ、つらくございません。へ、陛下の前ではしたなく達した那美のことを恥じておるだけでございます」
那美がこの部屋に入った時から「舌人形」の存在から眼を背けようとしているのはわかっていた。
だから、試すようなことをした。
那美が、舌人形に対する畏敬の念が少しでも残っているような素振りを見せれば、那美であろうと、この場で処断するつもりだった。
だが、那美の反応は、概ね、壱都を満足されるものだった。
「よかろう――。いってよいぞ。宝玄仙については、次の報告がわらわの満足できるものであるのを期待しておる。もちろん、悪い知らせでもよい。宝玄仙と供の情報については、どんなに小さなものであっても、最優先で報せよ」
「しょ、承知いたしました」
那美が脱いだ下袴と下着を抱えて、下半身を露出したまま、控えの間に退出した。
「さあ、わらわにも続きをしてもらおうか。そうすれば、ご褒美にお前の股をほじってやるぞ、元女王よ」
壱都は、まだ床に伏せている舌人形の首を手で押した。
舌人形――。
本当の名は、
すなわち、前の女王である陽炎子が立ちあがり、寝台に座って股を拡げる壱都に寄ってくる。
「舌人形」に成り果てた前女王の陽炎子は、鼻から香る壱都の女陰の匂いを頼りに、壱都の股間を見つけ、そして、舌を伸ばした。
三年前――。
新女王についた新参者の壱都が最初にやったことは、道術による宮廷の支配、前女王派の追放、そして、その見せしめとしての前女王の処分だった。
その処分とは、前女王の霊気を消失させ、耳目と声を奪い、手足を切断し、身体の体毛を処理し、舌で性奉仕をするだけの「舌人形」として、壱都の寝所で飼うことだった。
その前女王もいまや、完全に壱都の用の性処理の道具と成り果てている。
舌人形の正体は、現在の宮廷で全員が承知していながら、決して口にしてはならな知識だ。
舌人形の舌が、壱都の一番感じる部分を這う。
たちまちに快感が走る。
壱都は、身体を痺れさせる舌人形の舌に身を任せた。