※この作品はR-18です。

嗜虐西遊記【完結】   作:ドン・ドナシアン

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198 行きずりの百合愛

「ご主人様、ひどいよ──。どう考えても、あたしの勝ちだったのに」

 

 孫空女は大人しく服を脱ぎながら、準備された脱衣箱に次々に衣類を入れていく。

 宝玄仙は返事をしない。ただ、笑うだけだ。宝玄仙もまた、与えられた脱衣箱に服を脱いでいる。あっという間に宝玄仙の美しい肢体が露わになった。

 その頃には、すでに孫空女も全裸だ。

 

「わかっているよ。あんたの勝ちだよ、孫空女──。ちゃんと認めるよ」

 

 金水蓮(きんすいれん)だ。金水蓮も服を脱いでいるが、腰の下着だけは身に着けている。

 ここは、大元府の城郭内にある軍営付近にあてがわれた上級将校用の住居だ。

 孫空女は、宝玄仙とともに再び城郭に戻り、金水蓮という新任の副長という上級将校の住居にやってきたのだ。

 

 金水蓮は、この大元府(だいげんふ)の城郭軍の司令官に次ぐ指揮権をもった副長として大元府にやってきたそうだ。

 本来であれば、それくらいの上級将校ともなれば、従者となる兵を従えて、しかも家人を率いて赴任するのが普通らしい。

 それがただひとりで、供も連れずに、しかも徒歩でやってきた。

 その途中で城郭の将校が兵を連れて、一介の旅人から賄賂を要求するところを目撃して、その場で処断した。

 つまりは、軍人としては、かなり果断であり、さらに随分と型破りの女のようだ。

 

 金水蓮とともに城郭に戻った宝玄仙と孫空女は、軍営近くの料理屋で時間を潰した。

 その間、金水蓮は軍営に行き、異動の完了の報告とともに、将校をひとり処断したことについて、軍司令官に報告してきたようだ。

 三刻(約三時間)ほど待った頃、金水蓮は軍営から出てきた。

 住居を整えるためと、旅の疲れをいやすために数日の休暇をもらったようである。

 

 そして、そのまま、副長にあてがわれたという住居に、宝玄仙と孫空女を伴って入った。

 住居は、高級将校が家人を従えて生活するための手広なものであり、出入り口となる門には、従兵が起居する小屋もあって、すでにそこには三人ほどの女の兵が侍っていた。

 金水蓮は、その女兵たちに、金水蓮であることをだけを告げ、案内は不要であり、指示があるまで屋敷に入ってこないことだけを命じて、そのまま、宝玄仙と孫空女を屋敷に連れ込んだ。

 屋敷の中は、きちんと清掃されて家具や調度品も整えられていたが、さすがにがらんとしている。

 そのがらんとした屋敷を探索し、寝室らしき場所を見つけて、三人で服を脱ぎ始めたところだ。

 

 服を脱ぐ目的は、これから三人で性愛の行為を始めるためである。

 賄賂を要求した将校を処断したものの、宝玄仙と孫空女が只者でないことについて、金水蓮は確信をしたようだ。

 金水蓮がこの城郭に派遣されたのは、この女人国の南の国境付近ではびこっている黒賊(くろぞく)と呼ばれる奴隷狩り団の撲滅のためであり、黒賊は近隣の農村や小さな町を襲っては、若く綺麗な女を浚い、国境を越えた南側に奴隷として売り飛ばしているらしい。

 しかし、大規模な誘拐団にも関わらず、いまだに討伐どころか全容も解明されていない。

 金水蓮は、それについて、賊の手下が城郭の中、もしかしたら、軍兵の中に紛れ込んでいて、軍の動きについて賊に情報を洩らしているのではないかと睨んでいたようだ。

 そういう疑念もあったため、旅人とはいえ、偽名を使って城郭にやってきた宝玄仙と孫空女たちを調べようとしたようだ。

 

 もっとも、金水蓮も、本当に宝玄仙と孫空女を黒賊の一味として怪しんだというわけではなさそうだ。

 まあ、嘘の書類を持っているのは確かだし、一応話を聞いてみようと思っただけのようだ。

 腹がたつが、金水蓮の物言いによれば、孫空女が賊徒の間者だとすれば、あまりにも間抜けすぎるという。

 

 とにかく、話の成り行きで、孫空女と金水蓮は一騎打ちをすることになり、孫空女が勝ったら無罪放免とし、金水蓮が勝ったら大人しく取り調べを受けるだけではなく、宝玄仙と孫空女の身体を味見することを承知するという賭けになった。

 金水蓮とすれば、孫空女に負けるとは思っていなかったようだし、どうせ、黒賊の一味ではないとわかっているふたりの取り調べはどうでもいいことだから、どちらかといえば、「味見」の方に興味があったらしい。

 

 女人国の女は、女同士の性愛には解放的だ。

 愛情や快楽のためだけではなく、友好の印として、性愛をすることは珍しくない。

 金水蓮もまた、そんな女人国の慣習に染まって生きている女であり、大元府の軍の一隊をたったひとりで圧倒した孫空女の武辺に興味を抱いたらしい。

 女人国の女にとって、人間に興味を抱くというのは、身体に興味を持つというのと同じでもある。

 

 もっとも、何ごとにも例外はあるようだ。

 少し前に宝玄仙が手を出そうとした、なんとかという薬師はまったく性愛には初心であり、女同士で愛し合うという経験は皆無に等しかった。

 色々あって騒動になり、宝玄仙がその初心(うぶ)な薬師を調教しようとした。

 まあ、宝玄仙にその薬師が捕らわれるのは、なんとか防いだものの、その代償も大きかった。

 そういえば、女人国を出て、さらに異国に向かうとは口にしていたが、元気にしているといいのだが……。

 

 まあ、いずれにしても、宝玄仙にさまざまな恥辱や快楽で責められるのは、三人の供の日常のことであり、宝玄仙が抱かれろと命令するのであれば、金水蓮という見知らぬ女に裸身を晒すのも仕方がない。

 これもすべて、宝玄仙という変態巫女の供になることを応じた者の義務のようなものだろう。

 

 金水蓮は、腰の下着の上から腰の前後で留めて股間に履く革帯を装着しようとしている。

 これは女人国の女が、お互いに責め合うときに使う一般的な性具であり、ちょうど股間の部分に男根を模した革の張形がついている。

 こういうものを使って、「男役」の女が、受け側の女を満足させるのだ。

 その張形のついた革帯は、素肌にもつけられるし、下着の上からもつけられる。一応、勝ったということになっている金水蓮は、いまは下着の上から装着しようとしていた。

 女人国の女が性に解放的というのは有名なことのようだが、それは特に、この南で顕著のようだ。

 孫空女も、城郭の商家の軒先に、いろいろな性具が堂々と並べられていたことには驚いた。

 それも女人国ならではだろう。

 女用の性具など、ほかの国であれば大通りに面した店先には並ぶことなどあり得ない。

 

「……いや、そういえば、本当はあんたが勝ったんだから、あんたが責め役をすべきなのかな、孫空女? わたしはいつも責め役だから、うっかりと性具を巻いちゃったけど、やっぱり、孫空女が“立ち”で、わたしが“受け”になるべきだよね──」

 

 金水蓮が一度装着した性具を外すような仕草をした。

 

「い、いいよ……。わたしはそんなもの」

 

 孫空女は慌てて言った。

 

「金水蓮、遠慮しなくていいよ。こいつに“立ち”は無理だよ。一度やらせたけど、あっという間に、“立ち”のくせに、“受け”になっちまって、呆れたものだったよ。こいつに“立ち”をさせても、どう動いていいかわからないさ」

 

 宝玄仙は言った。

 “立ち”とは責め役で、“受け”とは責められ役のことらしい。

 宝玄仙も女同士の性愛のときには、そんな言葉を使う。

 

 その宝玄仙は寝台の横に見物するかたちで椅子を持ち出して、もう、座り込んでいる。

 最初は、金水蓮と孫空女──。

 宝玄仙は、その後で金水蓮を抱き合うということになっているのだ。

 

「じゃあ、いくよ、孫空女」

 

 金水蓮が孫空女の裸身を導き、寝台の上に誘った。

 

「あっ」

 

 寝台に押し倒された孫空女は、思わず声をあげた。

 上から身体を合わせた金水蓮に、孫空女の脚と脚の間に金水蓮の両脚が置かれるのを許してしまったのだ。

 これでは、孫空女の脚は大きく開くしかなく、しかも抵抗がしにくい。

 孫空女は、最初の態勢だけで、かなり追い詰められた状態になってしまったことに気づいた。

 もちろん、金水蓮も狙っていたのだろう。

 孫空女の戸惑いの表情に、にやりという微笑みで返してくる。

 

「金水蓮、孫空女を抱いて、驚くんじゃないよ」

 

 宝玄仙がからかうような口調で言った。

 

「驚くってなにさ、宝玄仙さん?」

 

 金水蓮が宝玄仙を見た。

 

「孫空女に触れてみればわかるよ」

 

 宝玄仙がくすくすと笑う。

 嫌な感じだ。

 金水蓮が唇を使って孫空女の耳の周り、そして、両手で背中を愛撫しはじめる。

 

「ああ……」

 

 金水蓮の与える刺激のために、全身に昇ってきた快感に孫空女は身体を震わせる。

 じわじわとした快楽ではない。激しい官能の波が一気に孫空女の身体を襲ったのだ。

 泣きたくなるような熱い波だ。

 金水蓮が愛撫しているのは、顔の周りであり、ただの背中だ。

 それだけの刺激のはずなのに、孫空女の身体はもう火がついたように燃えあがっている。

 それもほんの少しの時間だけのことにすぎないのにだ……。

 

 どうして、こんなにも自分は快楽に弱いのだろう。

 これも宝玄仙から受けた調教の日々と孫空女が全身に帯びている霊気の副作用のためのようだ。

 快楽に対して果てしなく弱い身体──。

 それが孫空女だ。

 

「もう切羽詰って来たのかい、孫空女。相変わらずの淫乱ぶりじゃないか」

 

 宝玄仙の声だが、その宝玄仙に恥辱的な言葉をぶつけられた途端、股間がどっと淫液で濡れるのがわかった。

 孫空女を抱いているのは金水蓮だが、宝玄仙の言葉が投げられることによって、なんだか宝玄仙に抱かれているような錯覚を感じる。

 そう考えたら、また、身体が熱くなる。

 

「わたしも混ぜてもらっていいだろう、金水蓮?」

 

 宝玄仙が立ちあがったようだ。

 

「いいよ、宝玄仙さん」

 

 金水蓮が場所を開けるような仕草をしたが、宝玄仙がそれを制した。

 そして、孫空女の頭側に移動し、胡坐をかいた脚の上に、孫空女の頭を載せた。

 そして、孫空女の両耳に指を入れて回し始めた。

 

「ひゃあ──くすぐったいよ、ご主人様」

 

 孫空女は思わず身体を捻って避けた。

 しかし、それが宝玄仙には気に入らなかったようだ。

 

「おや、抵抗するのかい?」

 

 冷たい笑みが、孫空女が見上げる宝玄仙の顔に浮かんだ。

 

「うわっ」

 

 体側の腕が脚の方向に引っぱられる。逆に足首が腕の方向に引きつけられる。

 

「な、なに──?」

 

 孫空女は戸惑った。

 しかし、なにが起きているかすぐにわかった。

 孫空女の手首と足首には、『緊箍具(きんこぐ)』という赤い腕輪と足環がある。

 四肢の手首と足首とさらに首輪と合わせて、真っ赤でひと揃いの色とかたちなので、まるで装飾具のようだが、れっきとした嗜虐のための拘束具である。

 つまり、この『緊箍具』は、宝玄仙の道術ひとつで、いつでもどこでも、好きな組み合わせでお互いに密着するのだ。

 いま、孫空女の右手首と右足首、左手首と左足首が引き合っている。

 金水蓮に抱かれようとしている孫空女を拘束しようとしているのだ。

 

「ご、ご主人様──」

 

 孫空女は抗議しようとしたが、すでに道術は『緊箍具』に注がれてしまっている。

 孫空女は、性具を付けて孫空女に載っている金水蓮と、足の下に孫空女の頭を抱えている宝玄仙の間で、左右の脚をがばりと開いてそれぞれの足首を手首とくっつけられた状態で固定されてしまった。

 これはさすがに恥ずかしい。

 

「どうにでもしてちょうだいっていう格好だろ、孫空女」

 

「こ、こんなの酷いよ、ご主人様」

 

「お前はそれがお似合いだよ、孫空女。性奴隷の分際で、一人前に普通に抱かれようなんざ、十年早いんだよ──。さあ、金水蓮、いくらでもなぶっていやっていいよ。たっぷりと仕込んでやっておくれ」

 

 宝玄仙が言った。

 

「これは驚いたね。こういう仕掛けだったのかい──。それにしても、孫空女が奴隷というのは本当のこと?」

 

 金水蓮が宝玄仙に言った。

 

「孫空女に訊いてみればいいだろう、金水蓮」

 

「そうなのかい、孫空女?」

 

 金水蓮は、今度は孫空女に訊ねた。

 

「そ、そうだよ。あたしは、ご主人様の性奴隷だよ」

 

 みっともなく股を拡げた格好で、孫空女は仕方なくやけくそで答えた。

 すると金水蓮が驚いた表情をした。

 

「へえ……」

 

 一度、身体を離していたかたちだった金水蓮が再び、孫空女に自分と自分の肌を密着させた。

 金水蓮の滑らかな肌が、孫空女の肌に触れる。

 ひんやりとして気持ちいい。

 金水蓮の肌が冷たいというよりは、孫空女の身体が熱くなりすぎているのだろう。

 

「あひいっ──」

 

 孫空女は悲鳴をあげて身体を震わせた。

 金水蓮が片手を伸ばして、横に拡がっている孫空女の内腿の内側をすっと撫ぜたのだ。

 まだ、性器には遠い部分だが、身動きできなくされている状態がそうさせているのか、もともと、どこをどう触られても感じすぎるのか、とにかく、そのひと撫でで、孫空女の女陰といい、肛門といい、全身のすべての敏感な場所がぼっと燃えあがる。

 

「ひい──ひっ──ひんっ──」

 

 金水蓮が同じ場所を指で撫ぜる。

 孫空女は繰り返し悲鳴をあげた。

 

「こ、これは……凄いね……」

 

 金水蓮がごくりと唾を飲みこんだ音がした。

 

「驚いたろう、金水蓮。このわたしが二年もかけて調教した性奴隷だよ、こいつは。身体中が敏感になりすぎて、ほんの少し愛撫を受ければ、たちまちに淫乱な雌になりさがる最高級品の玩具さ。しかも、鍛えてあるから、五回や十回連続でいったくらいじゃあ、潰れはしないよ。さあ、遠慮なく、抱き潰しておくれ」

 

 宝玄仙がそう言いながら、孫空女の両耳をくすぐってきた。

 

「う、うわあっ──そ、それはやだっ」

 

 左右からの耳への刺激に孫空女は、顔を背けることができずに悲鳴をあげた。

 しかも、金水蓮は、無遠慮に孫空女の左右の腿に繰り返し刺激を加えてくる。

 だが、『緊箍具』に左右の手首を足首に密着されている孫空女には、ふたりの愛撫を避ける手段がない。

 ただ、ふたりの与える刺激を受け入れるだけだ。

 

「あ、ああ──ああ……お、お願いだよ……も、もう、いやだよう……」

 

 耳のくすぐったさで、愛撫に構えることをできなくされるため、脚に愛撫を加えられると、もうどうしていいかわからない。

 どんどんと股間が疼きはじめる。

 自分でももうどろどろに女陰が濡れているのがわかる。

 

「可愛いねえ、孫空女。それによがってるあんたは素敵だよ。もっと、その声を聞かせてよ。感じている顔を見せてよ」

 

 金水蓮が酔ったような口調で言った。

 駄目だ。追い詰められる──。

 まだ、本格的に責めているわけではないだろうが、孫空女はすでに切羽詰った状態になっている。

 

「ああ、ひい……も、もう──」

 

 だんだんと金水蓮の手は内腿でも局部に近い部分に迫っている。強まる刺激を逃がしたくても、宝玄仙が耳を両側からいじくっているので、左右に顔を振ることもできない。

 押し寄せる──。

 淫らな大波がやってくる。

 

「あひいいっ──」

 

 もう、限界に達している孫空女は声をあげた。

 

「い、いくよ──いかせてぇ──」

 

 孫空女は叫んだ。

 

「駄目だよ、まだまだ、お預けだよ」

 

 金水蓮がにやりと笑って、愛撫の手を緩める。

 刺激の場所を股間の付け根の官能の頂点から離れた場所に移動して、ぎりぎりに隣接する場所を繰り返し責める愛撫に変えた。

 それでも、孫空女には十分な刺激だった。

 

「い、いくっ──」

 

 孫空女は大きく身体を仰け反らせた。

 やってきた官能の嵐についに耐えきれずに、絶頂をしてしまったのだ。

 やっと、宝玄仙が両耳からすっと指を離してくれた。

 

「えっ?」

 

 金水蓮が呆気にとられた声が耳に入ってきた。

 

「そんな……じっくりと焦らし責めにしようと思っていたのに──」

 

「ほら、こいつを抱けば驚くとわたしが言った意味がわかったかい、金水蓮」

 

 宝玄仙が言う。

 馬鹿にされたような言い方がなにか悔しい……。

 

「ほ、本当だね。驚いたよ。なんて敏感な身体なんだい。それにいき顔も可愛いし……。本当にあんたが好きになってきたよ、孫空女」

 

 眼を開けると金水蓮が嬉しそうな表情で微笑んでいた。

 その金水蓮の唇が孫空女の口に近づく。

 唇が合わさると、金水蓮の舌が猛烈な勢いで孫空女の口の中に侵入してきた。

 

「んふっ」

 

 息がとまるような激しい舌による口の中への愛撫だ。

 金水蓮がむさぼるように孫空女の唾液にまみれた孫空女の舌をすすり、そして、こねまわす。口と口の間から漏れ出る孫空女と金水蓮の唾液がつっと顎を伝って首に落ちる。

 舌のすべてが舐められ、口のあらゆる場所を金水蓮の舌が動きまわる。身体が熱くなる。口の中で受けている刺激が全身に伝染する。

 肉芽が……。

 胸が……。

 子宮が燃える……。

 お尻も……。

 

「はああ……」

 

 金水蓮の唇が離れたとき、思わず吐息をついた。

 あまりにも激しい口づけで頭がぼうっとなる感じだったのだ。

 

「可愛いねえ……。あんなに凄い戦士なのに、愛し合うために身体を合わせるときには、こんなに可憐だなんて卑怯だよ……」

 

 金水蓮が微笑んだ。

 

「ひ、卑怯って……。な、なんだよ……」

 

 孫空女だって好きでやられっぱなしなわけじゃない。

 大股開きで拘束されてしまえば、されるがままになるしかないじゃないか……。

 

「あんたが大好きになってきたってことさ、孫空女」

 

 金水蓮が、次は孫空女の乳首に自分の乳首を擦り合わせてきた。

 

「んんっ」

 

 金水蓮の乳首が孫空女の乳首を弾いた。

 甘美な痺れがそこから迸る。

 

「ああっ、いやだあ」

 

 孫空女は、思わず身体を捻った。

 しかし、金水蓮の乳首が追ってくる。

 また弾かれる。

 

「ひんっ」

 

 声が出てしまう。

 

「ほら、逃げるんじゃないよ、孫空女」

 

 宝玄仙がそう言って。腕を伸ばして孫空女の乳房を両側から挟んだ。

 そして、こねまわされる。

 逃げ場を失った孫空女の乳首が右に左に、そして、上下に激しく弾かれる。

 

「ああ……ああん──」

 

 口から甘ったらしい声が出る。

 自分の声じゃないような声だが、間違いなく欲情している自分の声だ。

 

「はん……はあ──ああ……」

 

 孫空女の嬌声に応じるように金水蓮も切なそうな声をあげ始めた。

 眼を開けると金水蓮の眉間に快感の縦皺が寄っている。

 金水蓮は自分から乳首を刺激しているだけだが、孫空女はその乳首と乳首が擦り合される刺激に加えて、宝玄仙の胸揉みが加わっている。

 宝玄仙の吸いつくような手がねっとりと孫空女の胸を揉みあげる。

 そこに、金水蓮の乳首が孫空女の乳首を目がけて襲っている。

 

「はあああんん──」

 

 孫空女はどうしようもなくなって、また軽くいってしまった。

 全身を快感の嵐が駆け巡る。

 

「ほらね、金水蓮──。どうしようもなく敏感な身体だろう?」

 

 宝玄仙が笑った。

 

「そ、そうだね──。いやらしすぎるよ……。まだ、なんにもしていないのにね。太腿を触って、乳首を責めただけじゃないか、孫空女」

 

 金水蓮が酔ったような声で言った。

 ふたりに笑われているようで、なにか悔しい。

 孫空女は、なにか言い返してやろうとした。

 

「ひゃああ──」

 

 しかし、それはできなかった。二度も達しながらも、まだ触って貰えずに、ずっと疼き続けていた股間に金水蓮の膝が押しつけられたのだ。

 そして、その膝がぐりぐりと孫空女の肉芽と女陰の入口を乱暴に圧迫する。

 繊細な刺激ではないが、いまの孫空女にはそれで十分だった。

 いや、その激しさこそ、孫空女の待ち望んでいたものかもしれない。

 大雑把で鈍い快感が股間に拡がる。もどかしいような、それで狂おしい感覚が股間に滲む。

 

「はあ……ああ──あひっ──。は、激しいよ……、き、金水蓮……ひいっ──」

 

「もっと名前を呼んでおくれ、孫空女──。あ、あんたがわたしの名を呼ぶと、それだけであたしの子宮は弾けそうさ」

 

 再び金水蓮が乳首で乳首を擦り付ける。

 金水蓮の乳首が孫空女の乳首を擦るたびに、背中に衝撃が走る。

 その衝撃が圧迫を続けられている股間に響く。

 股間の響きが、乳首をさらに敏感にする……。

 

「んん」

 

 金水蓮の舌がまた口の中に入ってきた。

 口の中に金水蓮の舌が這い回る。

 宝玄仙の乳房を揉まれ、乳首を金水蓮の乳首で弾かれ、膝で股間を揉まれる。

 完全無防備の孫空女の全身の性感帯にいろいろな刺激が加えられる。

 また、追い詰められる……。

 

 孫空女は身体を震わせた。

 そこに、さらに金水蓮の両手が孫空女の脇から身体の横を通って脇腹と腰の横をくすぐるように触っていった。

 それが繰り返される。

 

 もう駄目……。

 二度も達した孫空女の身体は、信じられないくらいに鋭敏になっている。孫空女は三度目の昇天に向かっていっていた──。

 

「金水蓮──」

 

 不意に宝玄仙の嗜めるような声がした。

 その声を合図にするかのように、金水蓮がすっと離れた。

 

「な、なに?」

 

 すべての愛撫を取り上げられて、束の間、孫空女は呆然とする。

 

「お前のことはわかっているよ。また、いきそうだったんだろう、孫空女。ちょっとは我慢しな」

 

 宝玄仙が揶揄するように言った。孫空女は歯噛みした。

 

「いかせるのも自在……いかせないのも自在……。いき顔も、それに耐えている顔も本当に可愛いね。わたしは、あんたの虜になりそうさ、孫空女」

 

 金水蓮が言った。

 

「可愛い、可愛いって、いい加減にしろよ──」

 

 孫空女は抗議の声をあげた。

 これまでの人生で可愛いなどと言われたことなどほとんどない。

 幼い頃から腕っぷしが強く、大の男が大勢かかっても倒せない孫空女を可愛いなどと表現する者はいなかった。

 

 いや、いたか……?

 独角兕(どっかくじ)?

 あの間抜けな色情狂の魔王──。

 そいつが、やたらに連発していたか……。

 

「だって、可愛いじゃないか」

 

 金水蓮がぐいと膝で孫空女の女陰を押した。

 

「ひ、ひいん──」

 

 孫空女は身体を弾かせた。

 

「ほらね、可愛いよ、孫空女」

 

 金水蓮がすっと膝を離す。

 

「ま、待って」

 

 思わず叫んだ。口に出してしまって、しまったと思った。顔が赤くなる。

 宝玄仙と金水蓮が同時に爆笑した。

 

 悔しい──。

 孫空女は顔を横に向けた。

 

「わ、笑って悪かったよ、孫空女──。勘弁な。膝をあげるから」

 

 金水蓮がぐいぐいいとまた膝で女陰を圧迫する。

 気持ちいい──。

 孫空女の思考を吹き飛ばす快感が衝き起こされる。

 

「ほら、孫空女、自分から腰を動かして、金水蓮から快感をもらうんだよ」

 

 宝玄仙が言った。

 その言葉に操られるかのように、孫空女は腰を自分で動かした。

 

「わ、わかったよ……。あっ、あああっ」

 

 快感が弾けた。

 腰を動かすことで快感が倍、いや、十倍にもなる。一気に絶頂がやってきそうだ。

 

「あんなに強い戦士のあんたが、こんな風に浅ましい腰の使い方をするのかい、孫空女?」

 

 金水蓮が言った。

 

「お、お願いだよ──。そ、そんなことを言わないでよ──あ、あひいっ──ひい──」

 

 孫空女は叫んだ。

 もうなにを言われても腰を動かすのを止められない。もうすぐだ──。

 三度目にして、最大の絶頂がそこまできている。

 快感が全身を支配する。宝玄仙がよく言う“雌の本能”だ。

 

 雌の本能そのものが、孫空女を支配する。

 もっと気持ちよくなりたい。宝玄仙の馬鹿にしたような言葉も、金水蓮のからかいもどうでもよくなっている。

 あるのは、全身を満たす官能の大波と金水蓮の膝──。

 来る──。

 昇天する。

 

「い、いくっ──」

 

 孫空女は叫んだ。

 

「おっと、危ない」

 

 金水蓮が慌てたように膝を離した。

 

「な、なんでだよ──」

 

「なんでじゃないよ、孫空女。わたしがなんのために、こんなものを付けていると思っているんだよ。お願いだから、膝なんかで達しないでおくれよ」

 

 金水蓮が腰につけている革の張形を孫空女の顔の前に示した。

 

「あっ……」

 

 張形の先端が孫空女の眼の前に突きつけられたとき、なにか圧倒するものを感じて、思わず孫空女は声を出してしまった。

 

「そろそろ、本格的に行こうよ、孫空女──。でも、その前に、これを舐めな。この金水蓮に奉仕するんだよ、孫空女」

 

 金水蓮がさらに張形を孫空女の顔に近づけた。

 張形が孫空女の口の先までやってきた。

 

 大した躊躇はなかった。

 孫空女は大きく口を開けた。

 そこに金水蓮の股間に装着された張形が入ってきた。

 

 舐める──。

 眼を開けた。

 下着に包まれた金水蓮の股間がそこにあった。

 革の細帯で締めつけた金水蓮の下着が愛液がぐっしょりと染みているのがわかった。

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