※この作品はR-18です。

嗜虐西遊記【完結】   作:ドン・ドナシアン

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201 囚われた女将校

 朱姫は、宝玄仙に言われて、縄を持って宝玄仙の横で待機をしていた。

 いつもの『魔縄』ではない。本物の縄だ。

 

「さて、両手を背中に回しな、金水蓮(きんすいれん)」

 

 宝玄仙が言った。

 

「わ、わかった……」

 

 一糸まとわぬ全裸になった金水蓮は、逆らうことなく正座をしたまま背中に腕を回した。

 

 居酒屋における食事を終えて、再びみんなで金水蓮の屋敷に戻って来た。

 金水蓮が約束の調教を宝玄仙から受けるためだ。

 念のために宝玄仙は、屋敷の中の一番広い居間に結界を張ったようだが、かなり屋敷は広いようだ。

 金水蓮が多少の大声をあげても、外の詰所にいる女性兵には聞こえることはないだろうと朱姫は思った。

 

 部屋には五人の女がいるが、服を着ていないのは金水蓮ただひとりだ。

 いつもは、宝玄仙の嗜虐趣味を満足させるために、沙那か孫空女か朱姫、あるいは、全員で宝玄仙の調教を受けるのだが、今日は金水蓮を相手に宝玄仙以下四人がかりで責めるということになっている。

 

 とりあえず、朱姫は宝玄仙を手伝って、まずは縄で金水蓮を縛る役を命じられた。

 沙那と孫空女は、部屋の隅で宝玄仙から命じられた性具を準備している。

 さっきから、ふたりで大騒ぎしているのは、余程、えげつない性具であるのに違いない。

 

「そうじゃない。背中で腕を組むようにして、もっと上にあげるんだよ」

 

 宝玄仙が金水蓮に言った。

 

「こ、こうかい」

 

 金水蓮が言われたとおりに、腕を背中で腕を組んで胸の後ろくらいまであげた。

 

「じゃあ、朱姫、やってみな」

 

 宝玄仙が言った。

 

「はい」

 

 朱姫は、まず、縄で金水蓮の両腕の手首を束ねるように縛る。

 その縄尻をぐいと引き、金水蓮の腕を首側に引き寄せた。

 金水蓮は、少しだけ顔をしかめたが、文句は言わなかった。

 次いで、引き上げた縄尻を片方の二の腕にふた巻きして、縄を前に回して、乳房の上側を通す。

 さらに、その縄尻を反対の二の腕にふた巻きして、背中に回し、最初に手首を縛った縄を結合して、次に、縄尻を戻して、また、二の腕に巻く。次は乳房の下を通って、縄と縄で上下に乳房を強調させるように挟む。

 今度は、もう一方の二の腕にもふた巻目を施し、また、最初に手首を縛った縄を結合し、今度は首の横を通って、乳房に加わる上下の縄を縦に割る。

 その縄を返して、首の反対側を通り背中で結合する。

 終わりだ。

 

「どうですか、ご主人様?」

 

 朱姫は、縄が緩んでいないかということと、絞り過ぎて血がとまっていないかなどを確認してから宝玄仙を仰ぎ見た。

 

「いいようだね──。さて、どうだい、金水蓮、縄で縛られるというのは?」

 

 宝玄仙が、縄に挟まれた金水蓮な防備な乳房を触りながら言った。

 

「へ、変な気分だよ……」

 

 宝玄仙の軽い愛撫にさっそく甘い息を吐きながら、金水蓮が応じた。

 

「朱姫、覚えておきな。宝玄仙の縄は、ただ自由を奪うためのものじゃない。無防備な状態にされたことに対する恐怖とともに、縄による束縛感に酔わせて、心理的な被虐の本能を呼び起こすんだ。だから、女が酔えるような縄の扱いでなければならないし、縄だってそれなりに準備したものでなければ駄目なのさ。痛いばかりじゃあ、酔えないからね」

 

「準備ですか?」

 

 朱姫は訊ねた。

 

「縄のけばけばを焼き切って失くし、全体に油を染み込ませている──。金水蓮、痛くはないだろう?」

 

「い、痛くはないよ……。ただ、裸にされて、がっちり縛られると変な感じになるだけさ」

 

「変な感じかい? つまり、こうやって、動けなくされて触られると、感じるんだろう?」

 

 宝玄仙が笑いながら、金水蓮の胸に手を這いまわされる。

 

「あっ、ああ……。そ、そうだね……」

 

 宝玄仙の愛撫に、金水蓮は次第に息を弾ませ始める。

 

「さて、次は脚も縛るよ──。金水蓮、脚を崩して、胡坐を組みな」

 

 宝玄仙は言った。

 

「こ、こう……?」

 

 金水蓮が胡坐になると、宝玄仙が朱姫に頷いた。

 朱姫は、金水蓮のくるぶしを合わせるようにして、足首に別の縄を巻きつけた。

 そして、縄尻を伸ばして、首に巻きつけて、少し絞る。

 

「くっ──」

 

 窮屈な姿勢で上半身を足首側に近づけさせられた金水蓮が、苦しそうな声をあげた。

 朱姫は、それには構わずに、縄尻を右腿に回して輪を作り、その縄尻をまた首の後ろに巻いて引き上げる。

 同じように左腿も引き上げさせる。

 その状態で、もうひと絞りして、首を足首に近づけさせてから、身体を起こせないように足首の縄に繋げる。

 

「胡坐縛りですよ、金水蓮様」

 

 朱姫は言った。

 

「これを完全に顔を足首までくっつけさせれば、それだけで拷問になる。まあ、これくらいなら、ちょっとばかり苦しいだけだろう?」

 

 宝玄仙だ。

 

「う、うん」

 

 金水蓮が、胡坐にかいた脚に向かって上半身を曲げさせられて畳まれた状態で言った。

 

「さて、じゃあ、これからが本番だ。約束通りに、宝玄仙の調教を受けてもらう。お前の休暇は二日だったね、金水蓮?」

 

「そ、そうだ」

 

「じゃあ、二日で仕上げるよ──。朱姫、こいつを塗ってやりな。まずは、宝玄仙の調教の洗礼を浴びてもらうさ」

 

 宝玄仙が朱姫に渡したのは、『ずいき油』だ。

 さすがに朱姫もこれだけは、慣れることができない。

 この薬剤を敏感な部分に塗られると、身体の感度が上がるだけじゃなく、猛烈な痒さが加わるのだ。

 その痒さは、張形や男根に犯されて、何度も気をやってはじめて癒されるという道術的な作用もある。

 つまり、これを塗られたら最後、獣のようにいきまくらなければ、身体が苦しさから解放されることはないのだ。

 

 身体を足側に曲げている金水蓮には、背中側で話している宝玄仙と朱姫の様子は見えない。

 しかし、得体の知れないものを身体に塗られるという恐怖は感じているのだろう。

 不安そうに身体を震わせた。

 

「な、なにを塗るんだい。変なものはやめておくれよ」

 

 金水蓮は言った。

 

「なにを言ってるんだよ、金水蓮。変な薬に決まっているじゃないか。お前は、もう、なにも考えなくていい。二日間、ただ、性の悦びのことだけを考えればいいんだ」

 

 宝玄仙に促されて、朱姫は両手にたっぷりと『ずいき油』を載せて、金水蓮の乳房にまぶし始めた。

 すぐに金水蓮は、噛み殺した口から声を洩らして反応しはじめる。

 新しく盛った溶剤をすでに勃起していた乳首に包むように塗ると、激しく身体を震わせて声をあげた。

 

「ふふふ、感じますか、金水蓮様?」

 

 朱姫は執拗に胸をこねまわしながら言った。

 

「あ、あんた……じょ、上手だね──。か、感じるよ……ああ……」

 

 金水蓮は、だんだんと息遣いを荒くしていく。身体の感度は悪くはないようだ。

 朱姫が接したことのある女の身体の中では、感じやすい方に入るだろう。

 

「よし、胸はそんなものでいいだろうね──。股間に塗るのは、これからなにをされるのか、こいつに教えてからにするか……。沙那、孫空女、準備はできたのかい?」

 

 宝玄仙は部屋の隅で性具の準備をさせられていた沙那と孫空女に向かって叫んだ。

 

「は、はい──、ご主人様」

 

 沙那が盆を持って、孫空女とともにやってきた。

 盆の上には、張形が五本並んでいる。

 それぞれに形が違う。

 いずれも宝玄仙の霊具だ。

 だが、右側のふたつ以外は、朱姫には遣われたことのないものだ。

 さっきから、沙那と孫空女が準備をしながら、騒いでいたのは、見たことのない張形のえげつなさにびっくりしたからだろう。

 朱姫も盆の上に並んだものを見て驚いた

 宝玄仙は、金水蓮に見えるように、盆を金水蓮が屈んでいる側の床に置かせた。

 

「な、なんだい、これ?」

 

 上半身を屈めた金水蓮が、それを見て声をあげた。

 

「もちろん、お前の女陰をこれから犯す道具に決まっているだろう。まずは、ひとつにつき、百回だ。百回抜き差しさせる。合計五百回だ」

 

「ひゃ、百回――?」

 

 金水蓮がびっくりしている。

 

「その間に、何度いきまくってもいいけど、その後は、わたしら四人が道術で生やした男根でお前を犯すからね。準備段階でいきすぎると、朝までにお前が壊れてしまうかもしれないから気をつけな」

 

「じょ、冗談じゃないよ──。そ、そんなものを百回ずつなんて、それは惨いよ」

 

 金水蓮は抗議の声をあげた。

 

「ちっとも惨くはないさ。二日間、お前はありとあらゆる性の調教を受けるんだ。二日経った頃には、こんなものは序の口にすぎなかったとわかるはずさ──。さて、じゃあ、五本の張形の説明をするかね……」

 

 宝玄仙が金水蓮の前に座り込んだ。

 そして、五本のうちの一番細い一本を取り出す。

 

「まずは、これが一本目だ。肌触りは人間の男の男根と同じだけど、少し細めだ。まあ、挨拶代りというところだね。二本目はこれだ──」

 

 宝玄仙が次に金水蓮の顔の前に差し出したのは、一本目の倍はあるんじゃないかと思うくらいの太い張形だ。

 

「そ、それは……お、大きいよ……」

 

 なにを言っても無駄ということはわかってきたのだろう。

 金水蓮の抗議も控えめな声になった。

 

「いや、一本目が終わった頃には、お前の女陰はかなりほぐれているはずだ。これくらいがちょうどよくなっているよ。三本目はこれだよ」

 

「くっ」

 

 三本目を顔の前にかざされた金水蓮が絶句している。

 三本目は、二本目と太さは変わらないが、表面にたくさんの小さな瘤のでこぼこがついている。

 あんなもので膣の中を掻きむしられたらどうにかなってしまう。

 朱姫もそれが自分に使われることを想像して、身震いした。

 

「これが四本目だ。お前の股が発する女の匂いに、こいつも興奮しているようさ。こいつの餌は、女の淫液だから。たっぷりとご馳走してやっておくれ」

 

 朱姫は、金水蓮の表情を覗き込んだ。なにも言葉を発しないが、金水蓮の顔が蒼くなっているのがわかった。

 四本目の張形は、表面に小さな無数の触手がついていて、それがうようよと蠢いている。

 これは張形というよりは、女の股間の精液を貪る生き物だ。

 

「これは五本目だ」

 

 五本目の張形は、太い張形と細い張形の二股に分かれている。

 太い張形には、表明にびっしりとけばけばがついていて、細い方は、かたちが球状のでこぼこになっていて少し短い。

 宝玄仙が道術を込めたのがわかった。

 すると、その張形が動きはじめた。

 

 すなわち、太い方の張形のけばけばが動きはじめたのだ。

 しかも、張形の前側と横とでは動き方が違う。

 そして、細い球体の張形は、くるくると回転をしている。

 

「こいつは、前の穴と後ろの穴を同時に責めてくれる張形だ。お前は、尻については、経験が少ないようだから、細めにしておいてやったよ」

 

 金水蓮はもうなにも言わなかった。

 しかし、彼女の不安は、背中越しに十分に伝わってくる。

 

「さて、説明は終わりだ。じゃあ、雌になってもらうよ」

 

 宝玄仙は、最後に取り出した細い黒布を取り出すと、金水蓮の眼を隠して、頭の後ろでしっかりと結んだ。

 

「な、なにすんだい──?」

 

 金水蓮は叫んだ。

 

「なにって、目隠しに決まっているだろう、金水蓮。眼が見えなくなると、信じられなくらいに肌が敏感になるからね。いつも“立ち役”だと言っていたお前は、こういう経験も少ないかもしれないけど、まあ、やみつきになるんじゃないかい」

 

 宝玄仙はそう言って、金水蓮の身体をごろんと転がした。

 

「あっ──。い、いやっ──」

 

 金水蓮は悲鳴をあげた。

 倒されて胡坐縛りの脚が上になったことにより、金水蓮の股間にふたつの穴が完全に曝け出されたのだ。

 すでに愛液の滲んでいる金水蓮の女陰が、ひとつの生き物のように収縮をしているのがわかった。

 

「ほら、みんなで『ずいき油』を股間に塗ってやりな」

 

 宝玄仙の指示で、三人で金水蓮の股間に媚薬を塗り拡げる。

 もちろん、お尻の中に塗るのも忘れない。

 金水蓮は、だんだんと声を激しくしながら、媚薬が塗られる刺激に懸命に耐えていた。

 我慢しようとしているのがわかると、朱姫は悪戯したくなり、肉芽の皮を繰り返しめくっては、内側に薬剤を塗り込み、塗り込んでは、まためくって新しい薬剤を足すということを繰り返した。

 

「ちょ、ちょっと、塗りすぎじゃない、朱姫……」

 

 沙那が嗜めるようなことを言った。

 

「だって、取り澄ましたようなところが気に入らないんです」

 

 朱姫は正直なことを言った。

 城郭軍の副長といえば、数千人の兵を動かす指揮官だ。

 当然、高い気位を持っている。

 これからやろうとしているのは、その金水蓮の気位を一枚一枚剥いでいく作業だ。

 その作業の先に、金水蓮は被虐の悦びを感じることができるだろう。

 だから、まずは、これだけ指で股間をいじくられながら、気をやるまいと張っている心を砕かねばならない。

 朱姫は肉芽を責めている自分の指を激しくする。

 

「んふっ──」

 

 ついに金水蓮は、女陰を天井に向けた恥ずかしい恰好で、最初の気をやった。

 

「薬剤はそれくらいでいいだろうね──。じゃあ、お前たちは、薬が効いてくるまで、これでこいつの身体を責めな」

 

 次に宝玄仙が渡したのは柔らかそうな毛先のついた大小の筆だ。

 三人で一斉に金水蓮の身体に筆を伸ばす。

 

「ひいっ──」

 

 達したばかりで敏感になっている身体に、同時に三箇所の筆による急所責めを受けた金水蓮は、さすがに悲鳴をあげた。

 

「沙那姉さんは、股間をお願いします。孫姉さんはお尻です。でも、しばらくは、肝心なところには直接は触れずに、周りだけを責めてください。あたしは、全身のほかの部分を責めますから」

 

 朱姫は言った。

 沙那と孫空女は、朱姫の言う通りに、肉芽の周りと肛門の周りだけを集中的に筆で擽り始めた。

 身体をひっくり返して筆から逃げようとする金水蓮を片手で押さえると、朱姫はまずは、片方の耳の中を筆で擽る。

 

「あひっ──」

 

 金水蓮が激しく悶えはじめた。逃げることのできない金水蓮の耳を左右から繰り返し筆で責める。

 股間にも執拗な筆責めを受けている金水蓮は、やがて、がくがくと身体を震わせはじめた。

 しかし、今度はあまりにも弱い刺激すぎていけないはずだ。

 だが、筆責めで感度はいくらでも高まってしまう。

 すると、媚薬が利きはじめたときの苦しさが倍増するのだ。

 朱姫は苦しそうにもがく金水蓮の鼻の孔に筆を移動させた。

 

「や、やめなよ、そこは──」

 

 金水蓮は不自由な首を振って、朱姫の鼻責めを避けようとする。

 もちろん、朱姫は許さない。

 鼻の穴を塞ぐように筆先を突っ込む。

 金水蓮がくしゃみをしそうな表情になると、筆を抜き、すぐに再開する。

 何度か繰り返すと、金水蓮は、涙と鼻水で顔を汚し始めた。

 

「だんだんとみっともない顔になってきましたよ、金水蓮様」

 

 朱姫はそう言いながら、鼻を責め続けた。

 やがて、身体を暴れさせる金水蓮の身体が真っ赤になり、全身が脂汗でびっしょりとなった。

 

「あひいぃ──」

 

 金水蓮がいくような仕草で身体を仰け反らせた。

 しかし、朱姫には、それが本物ではないことを知っている。

 あまりに追い込まれた身体が、絶頂をするものと勘違いしたのだ。

 だが、いまの金水蓮は絶頂してもおかしくないくらいに燃えあがっているだけで、まだ、最後のひと押しの刺激が足りないはずだ。

 その通り、金水蓮は、一転して苦しそうな嬌声を出し始めた。

 呻きのような嬌声は、しばらく続いた。

 

「ひっ、ひっ──ひっ──」

 

 やがて、だんだんと金水蓮の呼吸がおかしくなってきた。

 朱姫は、沙那と孫空女に言って、金水蓮を責める筆を引き揚げさせた。

 

「さあ、ご主人様、どうしましょう──? このまま、筆責めを続けても、金水蓮様は堕ちると思いますけど……」

 

 朱姫は宝玄仙を見た。

 

「それも面白いけど、まずはいき狂いの苦しみを教えてやるさ。一本目の張形から始めな」

 

 宝玄仙は言った。

 

「わかりました。でも、その前に、わたしたちはひと息入れませんか、ご主人様?」

 

 朱姫がそう言うと、宝玄仙は朱姫の意図に気づき、頬を綻ばせた。

 

「いいねえ……。じゃあ、お茶を入れておくれ」

 

 宝玄仙が言った。

 朱姫は立ちあがって、金水蓮をそのままにしたまま、一度部屋を出て、台所に行き、お茶の準備を始めた。

 沙那と孫空女も追ってきた。

 

「やっぱり、朱姫はえげつないよね」

 

 孫空女が湯を沸かす準備をしながら言った。

 

「本当よね。わたしもこのところ、ご主人様に責められるよりも、朱姫の方が怖いと思うくらいよ」

 

 沙那も言った。

 

「沙那姉さんと孫姉さんは、ああやって嗜虐側に回ることは愉しくないんですか?」

 

「正直言うと、あたしは、ああいう風に人を責めるということは嫌なんだよ、朱姫」

 

「えっ? じゃあ、責めるよりも、酷い目に遭う方がいいんですか、孫姉さん?」

 

 意外な言葉を聞いて、朱姫は孫空女の顔を振り返った。

 

「……酷い目って……。まあ、酷い目に遭いたいわけじゃないけど、ああやって、人を責めて追いつめるというのは気分がいいわけじゃないよ。どちらかといえば、気が進まないよ」

 

「実はわたしもよ。人を嗜虐すると、時々、自分がされているような気分になり、苦しいの」

 

 孫空女に引き続いて、沙那も言った。

 

「はあ……」

 

 朱姫は言葉を思いつかずに、そんな返事をした。

 そして、改めて、自分が嗜虐癖の多い女であり、沙那や孫空女が自分とは真逆の被虐性が主体なのだという事実を思い知らされた気分だ。

 

「それでね、朱姫──。さっき、ここに来るときに、浴室を覗いたんだけど、結構広い湯桶があったの。ご主人様の好きなお湯を溜めて中に入る形式の浴室よ。それに、窮屈かもしれないけど、五人一度くらい一度に入れそうな湯桶だったわ」

 

「風呂……ですか?」

 

 朱姫はきょとんとした。

 沙那が大きく頷く。

 

「わたしと孫空女は、それを準備するために戻って来なかったということにして、金水蓮への責めは、あなたとご主人様でやってくれないかしら」

 

 沙那が言った。

 朱姫は沙那の意図がわかった。

 

「そ、それはいいですけど……。本当に参加したくないんですか?」

 

 責められて気持ちがいいのも悪くはないが、思う存分他人をいたぶるというのも、溜まっていたものを発散できていい気持ちになるものだ。

 沙那と孫空女は、本当にそういうことが嫌なのだろうか?

 

「本当に、本当に、参加したくないんだよ、朱姫──」

 

 孫空女も言った。

 四人分の準備していたお茶の準備を二人分に減らして、できあがったお茶を茶請けの菓子とともに持って、朱姫は居間に戻った。

 

 金水蓮は、胡坐縛りをひっくり返された姿のまま、苦しそうに呻いて身体を暴れさせていた。

 朱姫は、その姿にちらりと目をやり、宝玄仙に向かい、沙那と孫空女が浴室の準備のために、しばらく戻って来ないということを告げた。

 

「へえ、湯桶があるのかい。それはいいね──。最高じゃないか。しばらく、ここに厄介になるかね」

 

 宝玄仙が眼を輝かせた。宝玄仙は、本当に湯桶に湯を溜めて身体を中に漬ける形式の浴室が好きだ。

 そういう風習は、宝玄仙出身の東帝国にはなく、東帝国の浴室とは、蒸気をたちこめた熱い部屋に入って、汚れとともに汗を出し、それを水か湯で拭くというものらしい。

 それも、貴族や分限者の屋敷くらいしか浴室もなく、庶民の身体の洗い方は、ただ身体を布で拭くだけであり、庶民の大部分が、生涯、浴室に入るという経験もなく、一生を終えるようだ。

 宝玄仙の座る椅子の横の卓にお茶を並べ、朱姫も一緒に飲み始める。

 案の定、金水蓮は切羽詰った声をあげ始めた。

 

「か、痒い──。痒いよ──。も、もう縄を解いて……」

 

 金水蓮はついに、大きな声をあげた。

 

「もうちょっと、ましなことを言ったらどうなんだよ、金水蓮。調教はまだ始まってもいないんだ。縄を解くわけがないだろう」

 

 宝玄仙が愉しそうに言った。

 

「だ、だって──。こ、これは……」

 

 金水蓮の身体の悶えが大きくなる。

 一度知覚してしまうと、あの『ずいき油』の痒さはどうしようもなくなることを朱姫は知っている。

 痒さはどんどん大きくなり、やがて、すべての思考力が破壊される。

 もう痒さを癒してもらうことしか考えられなくなり、どんな命令にも従ってしまうことになる。

 何度も、何度も、朱姫もそうやって、宝玄仙に責められて、被虐の悦びを覚えさせられた。

 今では、被虐も被虐も、朱姫の本当の性癖だ。

 

「お、お願いだ、なんとかして──」

 

 金水蓮は身体をゆさゆさと動かし始めた。

 もう、じっとしてはいられないのだろう。

 

「掻きたいなら、掻けばいいだろう、金水蓮」

 

 宝玄仙が意地悪く言う。

 だが、掻きたくても、両手を背中で縛られている金水蓮には、痒さを癒す手段がない。

 脚は胡坐に拘束されているので、腿を擦り合わせて痒みを癒すことさえできないのだ。

 しばらくのあいだ、金水蓮は狂ったように喚き続けて、縛られた身体を懸命にもがかせていた。

 無論、そんなもので痒みは取れない。

 朱姫と宝玄仙は、そんな金水蓮の痴態を眺めながら、たっぷりと時間をかけてお茶を飲み続けた。

 

「ご、後生だよ──。後生だから──」

 

 半刻(約三十分)は経っただろうか。

 金水蓮がついに泣きはじめた。

 朱姫も少しだけ驚いた。

 

 城郭軍の副長にして、孫空女によれば、賄賂を取ろうとした女将校をその場で処断するほどの苛烈さを持っている女将校だ。

 それが、哀れな声をあげて屈服し、身体を責めてくれと泣きだしたのだ。

 

「いいだろう──。じゃあ、始めな、朱姫」

 

 宝玄仙が言った。

 朱姫は、金水蓮のそばにある床の上の盆から一番細い張形を手に取った。

 そして、金水蓮の柘榴のように充血した女陰に、張形を突き挿した。

 

「ほごおおおっ──」

 

 獣のような声をあげて、金水蓮が全身を突っ張らせた。

 性の悦びに我を忘れた金水蓮が大きな声をあげて、達したのだ。

 

「まだ、一回目ですよ、金水蓮様」

 

 朱姫はそう言って、金水蓮をからかい、二回目の挿入を開始した。

 

「どれどれ、もっと、感度をあげてやろうかね」

 

 宝玄仙がそう言って、さっきの筆の一本をとると、大きく勃起している金水蓮の肉芽めがけて、筆を使い始める。

 

「ひい──」

 

 金水蓮は筆の繊細な刺激と、張形による激しい突きを同時に受け、たちまちに悶絶してしまった。

 金水蓮が二度目の絶頂をしたのは、朱姫の張形の突きが十五回目のときだった。

 その後は、もう、城郭軍の副長の片鱗のなく、ただの追い詰められた女になって、金水蓮は苦痛のような嬌声をあげ続けた。

 

「九十九……百──」

 

「いくっ──」

 

 また身体を仰け反らせる。

 百回の抜き差しで、結局、金水蓮は合計五回の絶頂をした。

 

「じゃあ、二本目だ。あと四本」

 

 宝玄仙だ。

 

「か、勘忍して──か、身体がばらばらになる」

 

 目隠しをされた金水蓮の顔から悲鳴があがった。

 

「そんなわけがないだろう。どんどんいくよ、朱姫、始めな」

 

 宝玄仙はそんな金水蓮を嘲笑った。

 朱姫は、二本目のひと回り太い張形を金水蓮の女陰に突き挿す。

 たっぷりと愛液が溢れている金水蓮の股間は、簡単にその太い張形を受け入れた。

 

「いぐうっ──」

 

 金水蓮がいきんだ。

 二本目の張形が十回目の挿入をしたときだった。

 結局、絶頂の数が十回を越えたとき、ついに、金水蓮が白目を剥いた。

 まだ、二本目の張形は、残り三十回くらいの抜き挿しが残っている。

 宝玄仙に命令されて、朱姫は金水蓮の頬を張り飛ばす。

 呆けた表情の金水蓮がうっすらと眼を開ける。

 そして、状況を思い出したのか、その顔に恐怖の色が映る。

 

「じゃあ、続けますね。七十七──」

 

 連続で絶頂する状態がまたすぐに復活した。

 二本目が八十回を越えると、ほとんど、ひと突きかふた突きで一回の絶頂を極めるようになった。

 金水蓮の全身の激しい痙攣がとまらないようになる。

 

 九十を越えると、ぴゅうと股間から潮を噴いた。

 小便のような愛液交じりの液体が、床を濡らす。

 それからは、絶頂の度に潮を噴くことが多くなった。

 

 残り十回をするまでに、二度も金水蓮を潮を噴き、また、金水蓮は気を失った。

 また、頬を張って起こし、三本目に入った。

 

 太さは同じだが、女陰を刺激しまくるように側面にたくさんのいぼがついている。

 それを使いはじめると、金水蓮の悶えは、一層激しくなった。

 

 二十回目までに、三本目だけで十数回の絶頂をした金水蓮は、口から泡のようなものを吐き、ついに動かなくなった。

 また、頬を張ったが、今度は覚醒しない。

 朱姫は、困って宝玄仙を見た。

 

「ちょっと待ってな」

 

 宝玄仙が部屋の隅の荷に向かって、そこから細い棒を持ってきた。

 それをどろどろになった女陰に挿しこむ。

 

「ひぐあっ──」

 

 金水蓮が身体を跳ねあがらせた。

 それと同時に、今度は金水蓮が尿を出し始める。

 潮と愛液と尿で、床はもの凄い状況だ。その上に金水蓮の目隠しと緊縛をされた身体が載っている。

 

「な、なに……?」

 

 金水蓮の顔が恐怖そのものになる。

 

「いまのは電撃棒だよ。今度、気を失ったらまたやるよ。それが嫌なら、一生懸命に意識を保つんだ」

 

 宝玄仙は残酷に言い放った。

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