※この作品はR-18です。

嗜虐西遊記【完結】   作:ドン・ドナシアン

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231 女囚拷問破壊

 朱姫の中に、奔破児(ほんはじ)という将校の精が注がれたのがわかった。

 まるで作業のようなあっけない性交だったが、手足の骨を砕かれて、動くだけで激痛が走る朱姫には、それはありがたかった。

 

 奔破児が去っていってから、なんとか身に着けている囚人用の灰色の合わせ服を整えた。

 前で合わせる着物であり、それを閉じて縄帯で閉じるのだが、手の折れている朱姫には、それは途方もない苦役の作業だ。

 それでも、裸でいるよりもましだ。

 なんとか丈の短い袖のない囚人用の着物を身に着ける。

 

「訊問の始まりだぞ、朱姫」

 

 やっと着物を着たところで、三人の訊問係の軍兵がやってきた。

 朱姫は虚ろな視界の中で前を見る。

 牢の中に入ってきたのは三人の男の兵であり、三人とも上半身が裸で、そのうちのふたりが黒い鞭を持っていることに気がついた。

 今日の拷問の手段は鞭のようだ。

 

「そろそろ、白状する気になったか?」

 

「ゆ、許してください……。あ、あたしは違います……」

 

 朱姫は無駄だとわかっている哀願をした。

 初日の訊問係の兵は、朱姫が閻魔女であることを白状しろといって執拗に拷問を加えるだけだった。

 二日目の今日も同じに違いない。

 

 質問はなにもない──。

 

 閻魔女であることを白状しろ。

 九頭女を始め、あの金光院にいた者が仲間であることを認めろ──。

 裁きの場でそれを自白せよ。

 

 求められるのはそれだけだ。さすがの朱姫もそれを認めれば、すぐに裁かれてあっという間に処刑されるということくらいはわかる。

 だから、耐えるだけだ。

 いつか必ず、沙那と孫空女がきてくれる。

 それを信じて、耐えきれるまで耐えるしかない。

 

 とりあえず朱姫という名だけを言った。

 喋ったのはそれだけだ。

 あの金光院に雇われている道術遣いだという嘘の身上も考えたが、それを訊問係に告げる機会はなかった。

 彼らが求めるのは、朱姫が閻魔女だと認めて、金光院が関与していたと自白すること。

 それだけなのだ。

 

「吊るせ」

 

 ひとりが言い、朱姫の砕けている腕がひとまとめにされて手首に鎖がかけられる。

 

「あがああぁぁぁ──」

 

 折れた腕で身体を引っ張られる激痛に朱姫は、それだけで絶叫した。

 あまりの痛さに狂ったように悲鳴をあげる。

 

「おいおい、まだ、なにも訊問などしてないんだぜ。そんなことで耐えられのか。もう、いい加減に白状しろよ。頑張っても無駄だぞ。絶対に自白することになる。頑張れば、それだけ苦痛の時間が長くなるだけだ。閻魔女だと認めれば、処刑してもらえるんだ。死ねば、それ以上の苦しみはない」

 

 朱姫を天井から吊るそうとしている男たちがそう言いながら、無理矢理に立たせた朱姫の手首の鎖を天井から伸びる鎖につなぐ。

 

「あ、あたしは、やって、ません──」

 

 朱姫は喚いた。

 膝も砕かれているため、爪先立ちに立たされると満足に立てない。

 だから、全体重が腕にかかるのだ。

 立つという姿勢だけで、果てしない激痛が朱姫に襲いかかる。

 朱姫は、全身に突き刺さるような痛みに、ぼろぼろと涙をこぼした。

 沙那のこと、孫空女のことを思い浮かべる。

 絶対に助けてくれる……。

 

「最初に言っておくぜ。これから、お前が口にしていい言葉は、“私は閻魔女です”。この言葉だけだ。それ以外の言葉を口にしたら、その囚人服をむしり取る」

 

「おいおい、むしり取るって、たったの一枚じゃないかよ」

 

「そのときは、その数だけ、俺たちの玩具になるということだ」

 

 兵たちがそう言って笑い合った。

 朱姫はそれを痛みに泣きながら聞いていた。前後には、鞭を持った兵がひとりずつ立っている。

 話しかけるのは、その前後の兵たちだ。

 もうひとりの男は、牢の出入り口の格子に背もたれて腕組みをしてこっちを見守る態勢になっている。

 いきなり背中に一打目の鞭が飛んだ。

 

「ふむうっ」

 

 朱姫は身体を揺すって背を逸らした。

 皮膚が焼かれると思うくらいの衝撃だ。

 そして、身体が揺れて、折れている四肢に激痛が走る。

 

「もう、声を出したな」

 

 前側の兵が嬉しそうに言った。

 

「まあ、おまけにしとこうぜ」

 

 朱姫は歯を食い縛った。

 全身には鈍痛なのか激痛なのかわからないものが走っている。

 息をするのもつらい。

 悲鳴をあげても痛みがそれで走る。

 

 前の男が鞭を振りかぶった。

 朱姫はやってくる鞭に備えた。

 鞭が横腹に喰い込んで囚人服を裂いた。

 かろうじて悲鳴は呑みこんだ。

 

「ほう? 耐えたか?」

 

 前の男が意外だというような声を出す。

 そして、背中に鞭が飛ぶ──。

 背中の筋肉が痙攣して、全身の筋肉が脱力する。

 今度は囚人服から出ている太腿に前から鞭が当たる。

 焼け串でもつけられたかと思うような鋭い衝撃と痛みが起きる。

 

「ひがあぁぁぁぁ──」

 

 もうなにも考えられずに悲鳴をあげた。

 鞭の痛さだけではない。

 吊られている腕が限界なのだ。

 まるで炎に包まれているような熱さだ。

 いや、熱さではなく、痛みのはずなのだが、朱姫が感じているのは紛れもない肌が火に焼かれている衝撃と苦痛だ。

 

「声を出したな」

 

 前の兵が腰から小刀を抜き、囚人服の縄帯を斬った。

 あわせていた布が開いて、朱姫の裸身が露わになる。

 

「小ぶりだが、形はいいな」

 

 小刀をしまった手が、朱姫の乳首を弾いた。

 

「ひゃあっ──」

 

 予期していなかった乳首への責めに朱姫は声をあげていた。

 

「声を出すなと言ったろう?」

 

 今度は背中側から囚人服が縦に裂かれた。

-前の男も手伝い、囚人服は切り裂かれて足元に捨てられた。

 朱姫は素裸にされたということよりも、これからは裸身に直接に鞭を受けなければならないということに恐怖した。

 

「今度は悲鳴の回数だけ、犯すというのはどうだ?」

 

「いいねえ──。どうです、班長?」

 

 鞭を持っている兵たちが、鉄格子の背に立っている男に視線を向けた。

 

「俺が最初だぜ」

 

 腕組みをした男がそう言うと、ふたりが口笛を嬉しそうに吹く。

 

 勝手にしろと思った。

 どうせ、こいつらは女囚を人間扱いしない。

 さんざんに拷問をして犯しまくろうと最初から決めていたに違いないのだ。

 

 昨日も金光院の地下で『移動術』で跳躍してきたところを捕えられて輪姦された。

 そして、この軍営に連れて来られて、棒で叩かれた。

 気を失うと、水をかけられて起こされる。

 その繰り返しだ。

 

 最後には、その場にいた兵たちに、また犯された。

 許されたのが、どれくらいの時刻だったのかはわからない。

 軍営の地下らしいこの部屋には窓がない。

 だから、時間の変化はわからないのだ。

 

 また、朱姫のいるこの牢は、そのまま拷問室でもあるようで、拷問と強姦が終わったところで、そのままこの部屋に鍵をされて放置された。

 乾いた麦餅と皿に入った水がいつの間にか部屋の端に置かれていた。

 そのとき一緒に置いてあったのが、たったいま切り裂かれた囚人服だ。

 とにかく、朱姫は呻きながら這いつくばって、水をすすり、麦餅を腹に入れ、痛みで動かない手でなんとか囚人服を身に着けた。

 

 助けが来るまで生き抜く──。

 沙那と孫空女が来てくれる。

 それまで生き抜く──。

 やらなければならないと思ったのはそれだけだ。

 

「じゃあ、続きをやるか」

 

 前側の兵がいきなり拳を朱姫の腹に叩き込んだ。

 

「ふぐっ」

 

 思わず口から体液を吐いた。

 

「これで、一回は決定だな」

 

 嬉しそうにそう言うと、再び鞭打ちの態勢になる。

 背中に鞭が飛ぶ。

 

「んんんん──」

 

 声を出さないなど不可能だと思った。

 たった一枚の布でも、肌に直接当たるのと、そうでないのとは大違いだ。

 骨の髄まで痛みそのものを擦りつけられるような衝撃が加わる。

 

 今度は前──。

 太腿が鞭先で削られて血が床に飛ぶ。

 

 後ろ――。

 前――。

 後ろ――。

 前──。

 

 逃れることのできない衝撃が鞭の打擲で繰り返し加わり、その度に一瞬意識が飛ぶ。

 そして、次の鞭で覚醒し、また、わからなくなる。

 

「はぎいいっ──」

 

 また派手に悲鳴をあげてしまった。

 鞭先が臍から下腹部までの女の性器の部分を抉ったのだ。

 股の前の皮膚が裂けて、そこから血が落ちだす。

 

「おい、おい、そこはやめとけ。後で使えなくなるだろうが。それで、九頭女のところは、性器が使いものにならなくなって、向こうの連中はつまらない思いをしてるんだぜ」

 

 じっと見ているだけだった腕組みをしている男が言った。

 残酷なことを世間話のように笑いながら話をするこの連中に激しい憤りが起きる。

 それに、女の性器を壊すような拷問──。

 その残酷さにも鼻白む。

 

「けっ、血がなんだっていうんだい。血が嫌なら、処女は犯せないじゃねえかい」

 

 朱姫の股間を打った兵が横殴りに朱姫の胴を打つ。

 今度はなんとか悲鳴を耐える。

 

「なにが処女だよ。九頭女は、性器と尻の穴が壊れちまって、小便も大便も垂れ流しの状態なんだぜ。お前、いくら顔がよくても犯す気になるかどうか、一度行ってみろよ」

 

 後ろに鞭──。

 次は脚だ。

 太腿からふくらはぎを鞭で裂かれる。

 前からも同じ場所──。

 そして、また後ろ。

 交互に脚が叩かれ、だんだんと血だらけになっていく。

 痛みもよくわからなくなり、ぼんやりとしてくる。

 すでに朱姫の身体はすべての力を失っている。

 折れた腕で吊られる痛みもそれほどではなくなっている気がした。

 

「こいつ、結構、丈夫だよなあ。それとも、お前らが手ぬるいのか?」

 

 腕組みしている男が口を開いた。

 その言葉に鞭打ちをしている男たちが奮起したように、さらに激しく鞭を加えはじめた。

 

 鞭の競演が始まる。

 太腿が裂け、乳房が破れる。

 全身のあちこちに鞭が飛ぶ度に、少しずつ皮膚が破れていく。

 朱姫の身体はだんだんと血で染まって真っ赤になっていった。

 爪先立ちの足の下には、朱姫の身体から伝って流れ集まった血が小さな塊りを作りかけている。

 重く、鋭く、冷酷な鞭──。

 それが狂ったように前後から果てしなく振りかかる。

 

「ほら、交替だ。手本を見せてやる」

 

 朱姫はふと眼を開く。いままで見ているだけだった男が前側の兵から鞭を取りあげた。

 

「鞭責めというのはこうするんだよ」

 

 朱姫の身体の乳房の下から腹の部分に鞭が飛んだ。

 

「ほぐううぅぅぅっ」

 

 全身を砕くかと思うような一打だ。

 鞭ではなく棒のようなもので殴られたような感じだ。

 打たれた場所に火で焼かれたように痛みが残っている。

 意思そのものを打ち砕くような猛烈な打擲だ。

 

「次だ」

 

 同じ男が鞭を再び振るった。

 

「はぎゃああ──」

 

 今度も朱姫は恥も外聞もなく悲鳴をあげた。

 声を出すなという命令も吹き飛んだ。

 次の鞭も、さっきの鞭を寸分たがわぬ位置に叩きつけられたのだ。

 

「次だぞ」

 

 三発目が来る。

 朱姫は懸命に身体を捩じらせた。同じ場所だけは──。

 それでも容赦なく、まったく同じ場所を鞭が抉った。

 全身の力という力が抜けた。

 

「小便洩らしたぜ」

 

 誰かが言った。

 股間が熱い。

 なにかが漏れている。

 確かにいま、自分はおしっこを洩らしたようだ。

 

「四発目だぞ」

 

「や、やめてぇ」

 

 朱姫は叫んだ。

 同じ位置に鞭が飛ぶ。

 肌が完全に破けて、そこからかなりのまとまった血が流れ出す。

 

「自白するか?」

 

 がっくりとしている顔が鞭の柄であげられた。

 

「やって……ません……」

 

 ほとんど気力だけでその一言をやっと呟いた。

 本当は、男たちの望む言葉が喉の先まで出かかっていた。

 いま、認めれば、この瞬間だけはこの苦痛から逃れられる。

 その考えが何度も朱姫を襲い、朱姫はそれをその度に打ち消す。

 きっと助けは来る。

 助けは来る──。

 助けに来てくれる。

 

「ちっ、まあいい。とにかく、こんな風に打て」

 

 再び最初の男たちに鞭が返される。

 そして、やってくる鞭の嵐──。

 

 十発──。

 

 三十発──。

 

 五十発──。

 

 もはや数などわからない。果てしのない鞭が続く。

 失神したい──。

 

 いまや、朱姫の望みは、この苦痛の中で、ほんの一瞬だけでもいいから気を失うことだ。

 しかし、激しい鞭の衝撃と痛みが、もう少しで失神してしまうはずの朱姫の意識を揺り動かす。

 

 失神したい……。

 しかし、そこに鞭──。

 さらに、鞭──。

 果てしのない激痛──。

 とてつもない衝撃──。

 

 だんだんと消えていく視界……。

 

 沙那姉さん──。

 孫姉さん──。

 朱姫は黒い闇に向かって呼びかけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 水がかけられた。

 

「気がついたか?」

 

 いつの間にか身体が床に横になっている。

 手首に巻きついていた鎖はそのままだが、天井から吊られていた鎖が緩められて、身体が横たえられているのだ。

 どうやら、本当に気を失ったらしい。

 

「じゃあ、休憩は終わりだ。続けるぞ」

 

 男たちは床に座って休息をとっていたようだ。

 しかし、朱姫の覚醒を合図に再び、鞭打ちを始める態勢を作ろうとしている。

 

「も、もう、やめて……ください」

 

 朱姫は懸命に言った。

 

「いや、これからが本番だぞ」

 

 しかし、容赦のない言葉とともに、からからと鎖が上がっていく。

 朱姫の身体は天井に向かって、また引き上げられる。

 全身を焼く激痛が走る。

 だが、あがったのはほんの少しだ。

 膝立ちくらいの位置で鎖の上昇が止まった。

 

「じゃあ、まずは俺からだ」

 

 鞭打ちのときに指図をしていた男だった。

 その男がそう言って、朱姫の背中側に回り、朱姫の傷だらけの乳房をねっとりと揉み始める。

 

[いやっ

 

 鞭打ちで鋭敏になっている乳房をいきなり揉みあげられる衝撃は凄かった。

 なにかに射抜かれたような官能の矢が胸から全身に向かって走る。

 

「はうっ」

 

 しばらく揉まれると我慢できなくなり、思わず声をあげてしまう。

 

「随分と敏感だな」

 

 男の手が朱姫の乳房を包んで揉む。

 傷だらけの乳房を刺激されると痛みもある。

 しかし、その痛みさえもなぜか、愛撫による刺激と同じように、朱姫の淫情を呼び覚まし、朱姫に甘い吐息と声を出させてしまう。

 身体を揺らされ、折られている手足に鋭い痛みが襲う。

 しかし、その痛みを快感が上回る。

 

「はう、はあっ──」

 

 やめて欲しい。おぞましい──。

 そう思う反面、気持ちいいという感覚もだんだんと大きくなる。

 乳房だけが、まだ激痛が襲っている身体と別の器官のように喜悦を産み出し、じわじわと全身に性感を送り出す。

 宝玄仙に調教され尽くした身体は、どんな愛撫でも快感をむさぼり集めてしまう。

 股間にどんどん淫液が溢れるのがわかる。

 

「感じてるぜ、こいつ」

 

 胸を揉みながら男が馬鹿にしたように言った。

 抗議したかった。

 しかし、男の指が今度は朱姫の股間に移動した。

 

「ひんっ」

 

 股間に触れられた途端に物凄い甘美感が朱姫を襲った。

 指が朱姫の股間の亀裂から尻側の孔まで刺激する。

 力を失ったはずの下肢が、呼び起こされた官能に左右にくねり出したのがわかった。

 

「面白いな。いままで遊んだ、どの女囚よりも敏感だぞ、こいつ。もう、びしょびしょだ。鞭打ちで感じていたに違いないぜ」

 

 そんなことはない──。

 そう言いたかった。

 

 しかし、男の指は確実に朱姫の性感を呼び覚ましていく。

 男の指が朱姫の亀裂の奥に入ってきた。

 そして、ぴくぴくと左右に動かされる。

 

「ひいいんっ」

 

 歯を食い縛った口から大きな嬌声が漏れ出てしまった。

 

「まだ、娘のくせに、おそろしく淫乱な身体だ」

 

 朱姫をいたぶっている男が嬉しそうに声をあげた。

 そして、態勢を入れ替える。

 朱姫の身体を抱えるように持ちあげたときには、もう、下袴を脱いでいた。

 

「少し上げろ」

 

 折れた腕を吊る鎖が引き上げられる。

 朱姫の身体が立っている男の腰のあたりまで引きあがった。

 男は朱姫の両膝の下に手を入れて朱姫を持ちあげた。

 自然に朱姫は大きく股を開いたみっともない態勢になる。

 

「いやっ」

 

 さすがに羞恥を感じて声をあげる。

 しかし、男の勃起した男根に向かって、朱姫の股間の中心が降ろされていくのに気がつき、大きく動揺した。

 

「ふ、ふううっ」

 

 抗うことはできない。

 楽々と朱姫の股間は男の怒張に突き挿さった。

 すべての体力と筋力を失ったいま、深々と突き挿さった男の性器は、もう男の意思なしでは抜けることはない。

 

 再びからからと鎖が鳴る。

 朱姫の身体は、男に股間を貫かれたまま、丁度腰を男の男根に固定するような位置に吊りあげられた。

 身体が宙に吊られた状態で、男根が突き刺さった腰が上下左右に揺り動かされた。

 

「ふううん」

 

 五体を焼き尽くすような喜悦が腰が動かされるたびに次々に襲ってくる。

 そして、その揺れはだんだんと大きくなる。

 朱姫が感じる大きな官能の激情もそれに従い大きくなる。

 やがて、揺れは身体を激しく揺すられるような大きなものになった。

 

「はん、ひん、ふうっ」

 

 朱姫は止まらない淫情の嵐にあられのない声をあげた。

 腰を、背中を、そして、脳天を甘美な衝撃が駆け抜ける。

 激しい痛みと快感が混じり合い、朱姫の味わったことのない未知の感覚が起きようとしている。

 

 天井を仰いだ。

 朱姫を吊る滑車が見える。

 なにかが朱姫の身体を駆け抜けた。

 

「ひいいいいっ──」

 

 朱姫は大きく声をあげて衝き抜けた昇天に身を任せた。

 

「いっちまったぜ」

 朱姫を犯している男が嬉しそうに叫んだ。朱姫を揺らす腰の動きはまだ続いている。すぐに第二弾の衝撃が朱姫を襲う。

 

「ここで拷問中に犯されて、本当にいく女は初めてだぜ。俺にも代わってくれよ」

 

 大きく股間が抉られる。

 途方もない快感がまた、朱姫を突き上げる。

 

「じゃあ、俺もいくぜ」

 

 朱姫を抱えている男が言った。

 

 意識が遠くなる。痛みも消える。

 天にも昇る感覚に次第に朱姫は酔っていた。

 

「いく、また、いきます──ごめんなさい──」

 

 朱姫は狂ったように叫んで、砕け散る甘美の爆発に全身を委ねた。

 男が精を放ったのがわかった。

 

「交代だ」

 

 二度目の絶頂に達したばかりの朱姫の身体が次の男に渡された。

 

「三人の相手が終わったら、また気を失うまで鞭打ちだ。そして、また、犯してやる。それから、鞭打ち──。今日は、その繰り返しだ」

 

 その兵の怒張が精液と淫液でびしょびしょの朱姫の女陰に突き挿さっていく。

 

「こんなのはどうだ?」

 

 朱姫の腰を抱いて兵は、朱姫の身体をくるくると回し出した。

 

「ひゃああっ──」

 

 そこからやってくる劣情の嵐に朱姫は吠えるように嬌声をあげていた。

 

 

 *

 

 

「臭いな」

 

 訊問をする兵たちとともに入ってきた奔破児は最初にそう言った。

 横になっていた九頭女(くずじょ)は、兵たちによって囚人服を左右から引っ張られて、引き起こされた。

 全身の痣や折れている骨に激痛が走る。

 それでも、九頭女は込みあがる呻き声を耐えた。

 

 そして、九頭女は石畳の床の上に、両膝を折り曲げて座らせられた。

 その九頭女の前に奔破児がすっと立つ。

 泣きはらした顔を見られたくなくて、九頭女はさっと顔を伏せる。

 

 両手は後ろ手に手枷で拘束されている。

 左右の足首にも肩幅程の長さで鎖が繋がった足枷がつけられている。

 九頭女が遣い手だとわかったことで、夜休むときにもこうやって拘束されることになったのだ。

 だから、つけさせられたおしめも自分で交換することはできないし、身体を洗うこともできない。

 もっとも、身体を洗う水などここにはありはしないが……。

 

「おしめの匂いか。おい、お前たち、明日から俺の訊問の前には、こいつのちゃんとおしめを替えておけ」

 

 奔破児が呆れたように周囲の兵に言った。

 

「へえ、でも替えても替えても、きりがないんですよ。こいつは昨日尻の筋が切れちまって、くせえ便が垂れ流しなんで。これでも、一刻(約一時間)前に替えたばかりですよ」

 

「ちっ」

 

 奔破児は舌打ちした。

 九頭女は、伏せた顔をできるだけ無表情を装って、固く口を閉ざした。

 悪態をつきたかったが、口を開けば、また涙が落ちそうだった。

 この男たちの前で哀れな姿をもう見せるのは嫌だ。

 奔破児が髪の毛を掴んだ。髪の毛を引っ張られて強引に顔をあげさせられる。

 

「お前の尻が臭いと言ってるんだ。なんとか言ったらどうなんだ、九頭女」

 

 心臓が止まるほどの屈辱感に、九頭女の全身はわなわなと震えた。

 昨日の訊問では、九頭女は裸身を宙吊りにされ、股間と肛門に棒を突き挿されて、全身を棒で打たれた。

 股間と肛門に挿した棒を固定して、滅茶苦茶に棒を打ち身体を大きく揺らされたのだ。

 さらには、股間に突き挿さった棒を左右に回したり上下に動かされた。

 

 その結果、九頭女の肛門と膣の筋は切れ、穴を締めることができなくなったらしい。

 おそらく股間の骨も砕かれている。

 異物を入れられて乱暴にされた女の孔とお尻の穴は、もう使い物にはならないくらいにぐちゃぐちゃに壊された。

 

 だから、血の混じった糞尿が垂れ流し状態になってしまった九頭女に閉口した兵たちが、九頭女の股間に布を巻き、床が汚れないようにしたのだ。

 

「こうなったら、城郭一の美妓ももう終わりだな。糞便で汚れたお前の女陰など、もう誰も一物を入れたいとは思わんだろう──。しかし、お前らも馬鹿だな。どうせ、壊すなら味わってから壊せばよかったのに、いきなり壊しちまったら使えないだろう」

 

 周囲が嘲笑に湧く。九頭女はあまりの怒りに全身の血が沈み身体が冷たくなるのを感じた。

 こいつらは、女囚を人間とは思っていない。

 昨日も訊問と言いながら面白がって九頭女の性器を壊しただけだ。

 

「……まあいい。ところで、そろそろ、知っていることを白状したくなったか、九頭女?」

 

 奔破児が言った。

 

「こ、これ以上、なにほないわ。殺しひなさい」

 

 九頭女は言った。

 昨日の拷問で前歯を抜かれたので空気が漏れてうまく喋れない。

 九頭女が舌を噛んで自殺できなくするための処置らしい。

 身体が屈辱で震える。口を開いたことで、ついに耐えていた涙がこぼれた。

 

「前歯がないと、なんか間の抜けた顔になるんだな。尻も女陰も顔も壊れてしまったお前には、もう、女の価値もないな。まあ、それはそれで、お前を犯しにくる兵はいないだろうから、この地下牢ではよかったかもしれんがな」

 

 奔破児は言った。

 九頭女はまた黙って、恥辱に耐えた。

 

「聞きたいことを白状すれば、殺してやる。さっさと喋るんだ。お前が誰に使われているのかは予想がついてる お前に指図をしているのは誰だ? この城郭や帝都にはお前の妓楼だけじゃなくて、ほかにもお前たちの手の者が集まっている場所があるな? そこはどこだ? 訊きたいのはそれだけだ」

 

 奔破児は九頭女の髪を掴んで、顔を引き上げさせたまま言った。

 昨日の訊問でも奔破児は常に同じことを訊いてきた。

 この奔破児は軍人だが、隊を指揮するというようなことが役割ではなく、この国の叛乱分子を洗い出して処置をするということが役割なのだろうということはわかった。

 

 奔破児が知りたいのは、九頭女の結びついている叛乱、つまり、梁山泊のことのようだ。

 半月ほど城郭を騒がした閻魔女騒動のことは、それほど気にしていないみたいだ。

 閻魔女騒動は、きっかけだけで、奔破児の真の狙いは、怪しいと睨んだ九頭女からいろいろと訊き出せる状況ができたいま、可能な限りの叛乱の情報を手に入れたいのだろう。

 

 九頭女の裏の仕事は、確かに、この城郭から、ずっと離れた距離にあるの梁山湖を拠点とする梁山泊の叛乱と結びつている。

 その梁山泊の頭領である晁公子、あるいは、その参謀の呉瑶麗が九頭女に指示をする人物だ。

 しかし、それを白状する気などない。

 

 ひと言も喋らず拷問で死ぬ。

 もうその肚は決まっている。

 悔悟は自分たちの闘争に巻き込んでしまった宝玄仙や朱姫のことだ。

 沙那と孫空女はどうやら逃げおおせているようだが、九頭女の道術が封じられているように、宝玄仙や朱姫の道術も封じられているのだろう。

 店の女たちは、すでに覚悟のある者たちだから一緒に死んでくれるだろうが、できれば宝玄仙と朱姫たちには助かって欲しい。

 

「また、苦しい思いをすることになるぞ。すぐには死ねん。死んで楽になると思うな、九頭女」

 

 話すことなどなにもない。拷問で死ぬか、それともなにも喋らずに処刑されるかだけだ。

 いずれにしても、碧波潭の仲間のことなどひとつも喋らずに死んでみせる。

 奔破児がやっと九頭女の髪の毛を離す。九頭女は首を垂れた。

 その九頭女の眼の前に、奔破児の男根が晒される。

 眼の前の奔破児が下袴を脱いで、九頭女の前に性器を露出させたのだ。

 

「舐めろ──。精を吸い出せ。拒否すれば、お前の店の女をここで拷問して痛めつける」

 

 九頭女の固く閉めた唇に、奔破児の男根の先が突きつけられる。

 昨日からの奔破児の物言いから考えると、一緒に連れてこられた店の女は二十人近いようだ。

 彼女たちは訊問を受けているが、九頭女のように荒々しい拷問は受けていないらしい。

 それは奔破児の狙いが九頭女にあるからだ。

 もっとも、朱姫は別だ。

 

 朱姫は閻魔女活動のことを白状させるために拷問を受けている。

 それは奔破児が言っていた。

 そして、いまでも頑張っているらしい。

 

 いずれにしても、九頭女がいま奔破児の男根を舐めなければ、店の女たちをここで拷問するという。

 いずれは殺されるのかもしれないが、できれば楽に死なせたい。

 九頭女は口を開く。

 前歯のなくなった口で奔破児の醜悪な肉塊を口に含む。

 

 こんなやつの性器を吸うなど、その汚辱感に血の気が引く気がした。

 だが、自分のためではない。

 一緒に囚われている仲間に苦痛を与えないため──。

 そう必死に言い聞かせて、九頭女は懸命に奔破児の男根に舌を這わせる。

 

「下手糞だな。やっぱり、お前が遊妓というのは嘘だろ? そんな未熟な性技で妓楼の女は務まらない。どうせ、どうしても床をともにしなければならないときは、お前のふりをした誰かに交替でもしていたのだろう」

 

 奔破児は言った。

 九頭女はどきりとした。

 金光院という遊郭の女主人であり、自らも遊妓であるという触れ込みの九頭女なので、確かにどうしても性の奉仕をしなければならない場合がある。

 そのときには、奔破児のいうとおりに、性技に長ける仲間に九頭女の替え玉をさせて相手をしてもらっていたのだ。

 

 それは、奔破児の言ったとおり未熟な九頭女の技では、客の相手ができないからだ。

 九頭女は必死になって舌を動かした。

 妓楼の女だと思わせなければならない……。

 しかし、どうやってすればいいのか。

 どうすれば、男は精を口に出してくれるのか。

 とにかく、唾液を塗りたくり、懸命に舌を這わせる。

 

「なかなかよくなったが、まだまだだな。お前に比べれば、宝玄仙の舌技は天下一品だったぞ。俺は朱姫にはやらせてはいないが、兵たちによれば、朱姫もまた舌遣いが上手らしい。それに比べれば、お前は素人だ──駄目だな。そんなんじゃあ、いつまでもいけん」

 

 奔破児は、また九頭女の髪を掴んだ。

 そして、男根を含んでいる九頭女の顔を激しく前後に動かし始めた。

 

「んんん──」

 

 苦しさに九頭女は思わず呻き声を洩らした。

 しかし、奔破児はそれには構わず、九頭女の顔を自分の性感を発散させる道具であるかのように、荒々しく九頭女の口中に自分の男根を擦りつけている。

 奉仕をさせるではなく、九頭女の顔を遣って自慰をしているのだ。

 

「いまのお前の口は、この程度しか使い道がない」

 

 九頭女の屈辱感を呷るように奔破児が言う。

 しかし、九頭女はそれどころではない。

 大きな男根の先で喉の奥を突かれ、嘔吐感に繰り返し襲われている。しかも、息をする場所も塞がれて苦しい。

 その九頭女の口の中に突然、奔破児の精の飛沫がかかった。

 精を出したのだ。奔破児が九頭女の顔を動かすのをやめた。

 

「一滴残らず飲み干せ」

 

 奔破児は、九頭女の顔を自分の股間に押しつけたまま言った。九頭女は屈辱に蒼ざめる思いだったが、これも仲間のためだと言い聞かせて口の中のものを喉の奥に受け入れる。

 奔破児の精を飲み干すのを見計らったように、口が股間から離された。

 

「どうだった、九頭女? もしかしたら、男の精は始めて飲んだか? 遊妓であれば、後始末も当たり前。だが、お前はこんなことはやったことがなかったのだろう」

 

 奔破児は言った。

 

「ひょ、ひょんな、ことは……」

 

 九頭女は否定した。

 歯から漏れる自分の言葉が、九頭女の情けなさを拡大する。

 

「じゃあ、今日の訊問を始めるか。おい、後ろ手の手首に鎖を繋げ」

 

 兵が群がり、九頭女の手首に天井から伸びた鎖が引き上げられる。後ろ手の両手首が背中で引かれて、自然と九頭女はその場に立ちあがらされる。

 

「もう一度、訊くぞ。知っていることを喋る気になったか?」

 

 奔破児が九頭女の顔を覗き込むようにして言った。九頭女は眼を逸らして横を向く。

 

「まあ、あと三日もすればなんでも話すだろうさ」

 

 九頭女の背中に回った奔破児が九頭女の背中で吊られている手を掴んで言った。

 そして、次の瞬間恐ろしい激痛が指から走った。

 

「ひぎゃあああぁぁぁ──」

 

 九頭女は全身を揺り動かして絶叫する。その九頭女の身体を数名の兵で押さえつけられる。

 耐えられない衝撃が指からやって来る。

 九頭女は狂ったように悲鳴をあげた。

 

「爪の間に針を刺されるのは効くだろう? 全部で二十本もある。果たして、何本目でお前は喋る気になるのかな。それで喋らなければ、金具で一枚ずつ爪を剥ぐ。苦痛を終わらせたければ、さっさと喋ることだ」

 

 九頭女の背中で、指に突き刺さっている針がぐりぐりと動かされた。

 一瞬、意識が遠くなるほどの衝撃に頭が白くなるのを感じた。

 そして、次の瞬間には、喉が焼けるような悲鳴を口から迸らせていた。

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