「お前は、露出狂だ」
「露出狂?」
聞きなれない言葉に沙那は訝しむ。
「露出狂というのは、人に恥ずかしい姿を見られて歓ぶ変態のことだ。お前のような女だ」
「な、なんてこと言うの……」
かっとした。
そんなことがあるわけない。
「とぼけてもすぐにわかる──。さっきから、お前はそんな姿を見られて濡れている。俺は鼻がいい。匂いでわかるのだ」
沙那は、歩きながら思わず身体を竦ませた。
楓人の指摘は正しい。
露出の多い服装という緊張は確かに、沙那に甘い官能を呼び起こしていた。
なぜか股間が熱いのだ。
なんの刺激を受けているわけでもないのに、太腿の付け根が妙にむず痒く火照っている。
宝玄仙によって、身体に刻み込まれている被虐の歓びのせいかもしれない。
しかし、面と向かって指摘されると、脚が震える程の羞恥を感じてしまう。
「見られて感じる女……。それがお前だ、沙那」
楓人が歩きながらちょんと沙那の股間を突いた。
「ふううっ」
たちまちに駆けあがった淫情に、沙那は思わず腰が砕けた感じになって脚をよろめかせた。
我に返って顔をあげると、楓人はもうずっと先を歩いている。
慌てて態勢を直して楓人を追う。
それにしても、この異常なほどに官能の刺激に弱い自分の身体が恨めしくなる。
「感度もいいな。これは、なぶりがいがある」
沙那が追いつくと、楓人が嬉しそうに言った。
「くっ」
沙那は足元を見つめながら、足早に楓人を追って歩き続ける。
これが楓人の沙那に対する嫌がらせのひとつということに気がつかざるを得なかった。
だから、あえて、沙那が耐えられないような、嫌がらせをしているに違いない。
その証拠に、いつまで経っても、楓人はどこに向かうかを説明しないし、不必要にうろうろしている気がする。
歩みは速いが、ただくねくねと道を変えながら進むだけで、どこかに向かっているという感じがしないのだ。
それどころか、一度歩いた道にまた戻ってきているということも多い。
周囲の好奇の眼を引くような破廉恥な姿のために羞恥で脚が竦むというだけではなく、後ろ手に拘束されている身体ではとても歩きにくい。
しかし、楓人は、沙那が遅れても少しも躊躇することなく、どんどんと進んでいく。
置いていかれたらどうしていいかわからない沙那は、仕方なくそれを追う。
沙那に集まる視線は、単なる気のせいばかりではない。
確かに、沙那は城郭の人混みの注目を集めている。
いまの沙那は、かなり卑猥な格好をしている。
それはわかる。
胸は剝き出しで、かろうじて乳首でとまっているだけで、その乳首さえもちらちらと見える丸見えだ。
そして、あまりに短いために、上衣なのか、下袍なのか判別のつかない裾からは、脚を出すたびに白い下着が晒け出てしまう。
すれ違うときばかりではなく、立ちどまってじっと沙那の身体を眺めている男もいる。
「ど、どこに行くのよ?」
ついに、耐えきれずに沙那は叫んだ。
緊張のせいもあり、全身は急ぎ足で歩き続けるために流れ出た汗でしっとりとれていた。
そして、汗だけではない体液で股間も濡れている気もする。
「折角、城郭に来たのだ。
楓人は言った。
「見世物小屋?」
沙那は訝しむ。
やがて、確かに楓人は街外れの見世物小屋にやってきた。
見世物小屋といってもしっかりとした木造の建物であり、屋根裏桟敷と称される場所の席もある大きなものだ。
この造りの見世物小屋には、まだ故郷の愛陽で暮らしていた時代に、沙那は何度も行って知っていた。
普通の席は一階だが、屋根裏からも覗けるように、壁と天井の一部をくり抜いてあるのだ。
そこには立ち見専用で一階の席が買えない貧乏人のための場所だ。
楓人は料金を払い、沙那を見世物小屋の中に促した。
入口で券を確認する男も、にやにやした表情で沙那の太腿に目を走らせるのを感じる。
「お前の席は、屋根裏桟敷だ。いまの一連の出し物が終わったら降りて来い」
楓人は屋根裏にあがる階段の前で立ちどまってから言った。
「そ、そんな……。ひとりで行けと言うの?」
沙那はすくみあがった。
天井桟敷には、かなりの人手に思える。
ここで止まっている間も、かなりの男が階段を上がっていくことからそれがわかる。
そんな場所に、こんな格好でひとりで行けというのだろうか。
なにか破廉恥なことをされるのは覚悟していた。
しかし、当然、この楓人が一緒に来るものと思っていた。
ここで別れるとは思っていなかった。
「それは、当然だろう。俺は自分の金を持っているから、一階で観る。しかし、お前の分は俺が出すのだ。当然、贅沢はさせられん。しかも、いまは、お前は奴隷ということになっている。本来であれば、奴隷ひとりで、見世物を見るのは禁止なのだ。お前を認めてもらうために、余分な料金も払ったのだぞ」
「だったら、ここで待っているわ。逃げないのはわかっているでしょう」
沙那は言った。
「なら言おう。この見世物小屋の屋根裏桟敷で、お前を次の仲間に引き渡すことになっている。待っていれば、声をかけてくるはずだ。俺はここで終わりだが、いずれ後で会おう。この屋根裏桟敷でその男を見つけなければ、お前が荊棘嶺に戻れる方法はないぞ。それとわかっている思うが、この国では奴隷の身分は低い。なにをされても我慢しろ。今度、騒ぎを起こしたら助けてやれん」
楓人はそう言って、沙那を置いて奥に進んでしまった。
「ま、待ってよ──」
次の男というのはどんな人間で、どうやって会えばいいのだろう。
それを教えてもらわなければ困る。
だが、係の者により行く手を阻まれる。
「奴隷は立ち入り禁止だ」
その間に、楓人は完全に人込みに紛れてしまった。
沙那は独りぼっちになった。
これほどの不安を感じるのは初めてだ。
この祭賽国では、女奴隷に対する扱いは酷いものだ。
沙那は、その女奴隷ということになっていて、しかも、両手を拘束されて裸身に近い恰好をしている。
そんな状況で、たったひとりで、人混みになっているだろう屋根裏桟敷に入らねばならないのだ。
見ている限りでは、あがっていく人間は男ばかりだ。
もしかしたら、女など沙那ひとりかもしれない。
そんなところに、こんな襲ってくれと言っているような格好で行きたくない。
だが、そこで次の仲間と接触しろと言われれば、それに従うしかない。
沙那は意を決して、階段に上がっていった。
そして、沙那の後ろからもやってくる数名の客の気配に気がついて、慌てて、後ろ手に拘束された両手で服の裾のお尻を隠した。
下からは沙那の下着が丸見えだろう。
だが、沙那の努力にかかわらず、どうしても短すぎる裾からは、脚をあげるたびに白い下着が露わになってしまうのがわかった。
階下から卑猥な言葉が沙那にかけられた。
はっとした。
気がつくと、かなり大勢の男が下から沙那の痴態を覗いていたのだ。
沙那は残りの階段を駆けあがって、屋根裏桟敷の人混みに姿を隠した。
天井桟敷に到着したのは、出し物の唄が開始される直前だったようだ。
沙那は、出口に近い場所に立ったが、その直後に、前方側の下の舞台から綺麗な声の男の歌い手が唄を歌い始めた。
沙那の場所からは、前の男たちの背に隠れて、よく舞台は見えない。
もっとも、出し物に興味のない沙那にはどうでもいいことだった。
唄が聴こえ始めると、さらに十人ほどが階段を駆けあがって来て、沙那は完全に人の中に埋もれた。
それでなくても窮屈だったその場所が、身動きできないくらいになる。屋根裏桟敷で見世物を見物するのは初めてだった沙那は、こんなにも人が大勢密集するものかと驚いた。
それにしても、この状況でどうやって、沙那を連れていく次の男を探せというのだろう。
また、予想の通り、やはり周囲は男ばかりだった。
周囲の男たちが沙那に密着する。沙那の緊張は限界まで膨れあがる。
沙那は、改めて自分の姿の危うさを感じずにはいられなかった。
付け根近くまで露わにした裾から露出した太腿や、大きく開襟して半分を剝き出しにした乳房までもが、周りの男たちの肌を触れ合っているのだ。
ふと、沙那は隣の男が沙那の乳房の谷間を見下ろしていることに気がついた。
沙那は思わず下を向く。
「んんっ」
そのとき、何者かが突然尻を撫ぜてきた。
声を出しそうになり、沙那は懸命に口をつぐむ。
騒ぎを起こしても、咎められるのは沙那の方だ。
最初の騒動でそれを痛感している。
だが、さっきの手がまた沙那の尻を撫ぜる。
しかも、今度は手を大きく拡げて、しっかりと五本の指と手のひらでさわさわと沙那の尻を撫ぜてくる。
普通ならば、そんな男など手を捻りあげて、ぎたぎたにしてやっているところだ。
しかし、沙那の両手は拘束されているし、騒いだら間違いなく、また逃亡奴隷だと言いがかりをつけられる。
主人のいない逃亡奴隷にはなにをしてもいい──。
それがこの国の法であり、いまの沙那はその奴隷ということになっているのだ。
それに、沙那がたじろいだり、身じろぎをすれば、ほかの周りの男たちの注目も浴びてしまうだろう。
そうすれば、いまはひとつの手で終わっている破廉恥な手が、ほかにもたくさん伸びてくる可能性もある。
沙那は背後の男のおぞましさを耐えた。
しかし、沙那に別の考えもよぎる。
もしかしたら、背後の男は、楓人の仲間ではないだろうか。
いきなり沙那に触れてきたというのは、その可能性も高い。
振り返って、沙那の身体を触っている男を確かめるべきか迷った。
だが、おかしな動きは、必ず周囲の男の動きを助長するだろう。
決心がつかず、しばらく沙那は、そうやって、無遠慮に尻を動き回るおぞましい感触に耐えていた。
唄は建物中に響きわたっている。
ほとんどの客の注目も下の舞台の歌い手に集中している。
沙那と後ろの男のいるこの場所だけが、別空間であるかのように、淫靡な行為が続いている。
唄は、二曲目になった。
やがて、やっと沙那の心も定まった。
触りたいなら、好きなだけ触ればいい……。
そんな焼け鉢な気持ちになったのだ。
後ろが楓人の仲間なら、必ずなにかを告げるはずだ。それまで待つしかない。
いずれにしても、一体全体、この連中は何者だろう?
休んでいたあの場所は、宝玄仙の結界で完全に護られていたはずだ。
それをどうやって、こちらを眠らせたまま浚ったのか。
沙那にしても、孫空女にしても、結界の有無に関係なく、襲撃者の気配には敏感だ。
それを全く気がつかせずに連れていくなど……。
どっちにしても、なにかを悟るにはあまりにも情報が少なすぎる。
それに、流石にお尻を触られながらでは、沙那もうまく考えをまとめられない。
だが、沙那の無抵抗は、背後の男の行動をさらに大胆にしたようだ。
後ろの男が、一気に短い裾から股間に向かって手を滑り込ませた。
「んんっ」
男の手が沙那の股間にすっと触れる。
一瞬声が出て、沙那は懸命に口を閉じた。
いま、声を出せば、ひとりでは済まない。
必ず、ほかの男の手も伸びる。
最悪はここが奴隷女の輪姦場にもなりかねない。
そして、挙句の果てに連行されるのは、沙那になるのだ。
しかし、沙那の予感は悪い方向に的中した。
背後の男とは別の方向の前側から、別の手が腿の内側を撫ぜてくる。
そして、その指が下着の頂きを見つけて、ぐいと押した。
「ふんっ」
大した刺激ではないはずだが、感じすぎる沙那の身体は、その刺激で恐ろしいほどの劣情を呼び起こした。
大きな鼻息が出てしまい、ただでさえ注目を帯びているはずの沙那のことを多くの男が見た気がする。
「そうやって、大人しくしていれば、俺たちだけの悪戯で済ませてやるぞ」
今度は、横の男が沙那の耳に息を吹きかけながらささやいた。
沙那は絶望的な気持ちになり身体を緊張させる。
ついに、周りの男たちに気がつかれてしまったのだ。
もっとも、男の声ははっきりと沙那に届いているが、周囲には、舞台で朗々と歌っている歌い手の声が鳴り響いているので、他の者には聞こえないだろう。
それだけが救いだ。
「……なにをされても我慢すれば、他の者からは隠してやる。出し物が終われば、ちゃんと解放されるように助けてやる。逆に抵抗すれば、大きな声を出して、注目を集めてやる。どうやら、お前はここで注目を浴びたくはないようだからな」
横で男がささやきながら、沙那の股間に伸びてきた。三本目の手だ。
わけのわからない淫情がのぼってくる。
沙那は抵抗することも助けを求めることもできずに、泣きそうな気持になった。
そして、堂々と股間を這い回る三本の手に、腰の力がだんだんと腰の力が抜けてくるほどの快感を覚えてしまう自分に、どうしていいかわからなくなる。
「……わかったら頷け。嫌なら首を横に振れ。首を横に振れば、大きな声でここに逃亡奴隷がいると声をあげてやる」
男が言った。
沙那は声の方向に視線を向けようとした。
この男こそが楓人の言及した沙那を導く仲間なのだろうか……?
逃亡奴隷だと脅したことで、その可能性が高いと思った。
「こっちを見るな。一度でも俺の顔を見れば、声をあげる。それよりもどっちだ。首は縦か? 横か?」
歌い手の美しい声はこの屋根裏桟敷にも鳴り響いている。
しかし、沙那はそれどころではない。いまも三本の手が股間を動き回る。もう、声を殺すのも限界だ。
沙那は動かしていた首を慌ててとめる。
そして、しっかりと縦に首を振る。
「いい子だ……」
次の瞬間、沙那はすくみあがった。
沙那の股間を動きまわっていた手のひとつが沙那の履いている下着を下ろしはじめたのだ。
さすがに沙那は、身体を捩じってそれを阻止しようとした。
だが、両手を塞がれている女から下着を脱がすのは、そう難しい仕事ではないのだろう。
下着があっという間に膝まで下げられた。
神経を逆撫でするような外気が股間に触れる。
背後の男が沙那の膝に引っかかっていた下着を足で降ろした。
そのまま下着は、人の足の中に引っ張られて見えなくなる。
すると、男たちの手は悠々と沙那の敏感な股間を撫ぜて、亀裂やお尻の狭間に触れてくる。
沙那は恐怖した。
敏感な場所を見知らぬ男の手がいじくり回す。
悲しいほどの快感が沙那を襲う。
「んんっ」
もう声を我慢できない──。
沙那は懸命に口をつぐむ。
もう、声を出さないことしか考えられない。全神経を声をあげないことに集中する。
せめてもの救いは、大きな歌い手の声が沙那の声も隠してくれていることだ。
しかし、周囲の男たちの耳にははっきりと沙那の甘い声が聞こえたはずだ。
不意に周りが静かになった。
沙那に恐怖が走る。
ここの異様な行為に気づかれたのだろうか。
しかし、それは、歌い手の唄が三曲目に変わったための静寂だった。唄が始まると、また周囲は喧騒を取り戻す。
そして、両側の乳房にも手が伸びてきた。
新しい手なのか、これまで触っていた男たちの手なのかわからない。
両側から伸びる手は、上衣をさらにくつろげて、沙那の乳房を完全に露出して揉みあげる。
沙那は懸命に股を閉じ合わせて、襲ってくる鮮烈な法悦に耐えた。
しかし、ぐいと沙那の両脚に誰かの脚がこじ入れられた。
これで、沙那は股を閉じることもできなくなった。
沙那は顔を下に向けた。声が周囲以外に漏れるのを防ぐためだ。
もはやいかなる抵抗も不可能だ。
「くうっ」
しかし、どうしても漏れ出る声が周囲に響く。
股間の頂きを動きまわっていた手のひとつが、ついに亀裂を割って粘膜の深くまで挿入してきた。
そして、びくびくと内部をいじくられる。
やっぱり、沙那の股間はすっかりとぬれそぼっていたようだ。
沙那の女陰は、見知らぬ男の指を簡単に受け入れた。
だが、次には、沙那がもっとも恐れていたことがやってきた。
別の指が沙那の肛門の入口を動きまわり、ゆっくりと内部に忍び入ろうとしたのだ。
「いっ……あ、あああっ──」
我慢していた口からかなり大きな声が出た。
沙那は慌てて口をつぐむ。
しかし、肛門に入ってきた手は、沙那の官能を揺さぶる激しい快感を産み出す。
それは耐えられない刺激となり沙那に襲いかかる。
次第に自制心が消えていく。
乳房、肛門、女陰を好き勝手に弄くられて沙那の性感はどんどん高められる。
感じやすい沙那の身体は、もう身体の震えを止めることができなくなっている。
懸命に歯を食い縛る。
声が出る。
それだけは耐えなければ―──。
だが、その沙那の余力を奪い取るように、乳首が転がされ、肉芽の皮が剥かれてくすぐられる。すでにやりたい放題だ。
「あっ……あっ……ああ―――」
次第に搾り取られるようにあげてしまう嬌声──。
そして、乳首が摘まみあげられて捻られ、肉芽が刺激され、肛門と女陰に挿しこまれた指が擦り合されるように弄られる。
それがまったく別々の手なのだ。
沙那の興奮は限界まで高まった。
そこにまた新しい手が加わった。
もはや、沙那の周りのすべての男が沙那に悪戯をしているのは間違いない。
もうこれは仕方がない。
ただ、いまは沙那へ悪戯する男たちが、周囲以上に拡がることだけを防ぎたい。
「ああああっ──」
沙那はひと際大きな声を出して、襲ってきた官能の矢で一気に快感の防波堤を突き破らせた。
歌い手の声は、最後のもっとも派手な歌の部分に差し掛かっていた。
沙那の絶頂の声はその声と、ほぼ同時に迸った。
それで、なんとか目立たなくて済んだかもしれない。
がっくりと腰を落としかけた沙那の身体を後ろ周りの男が支えた。
沙那は自分を悪戯した男たちに支えられてなんとかしゃがみ込まなくて済んだ。
建物は、歌い手に拍手と歓声を送る声が響きわたっている。
しばらくすると、興行の係が退出を促した。
屋根裏桟敷の開放はここまでらしい。
多くの客が階段を下りていく。
沙那の周りからも次第に人が去っていく。
ほっとしたのは一瞬だけだ。
すでに乳房がはだけて剥き出しになり、股間が捲れ上がった自分の姿に気がついた。
慌てて後ろ手で裾だけは直せたが、上衣は戻せない。
沙那の乳房は剥き出しのままだ。
「お、お願い、誰か服を……」
思わず声をあげて、その瞬間激しく後悔した。いまの沙那は奴隷の身分だ。
こんな格好の沙那を見れば、服を直してくれるどころか、却って手を伸ばしてくるのではないか。
そして、その通り、近くにいた男たちの顔が一斉に好色に染まった気がした。
「お、お待ちください、ご主人様」
沙那は咄嗟に機転を利かせて、主人に連れられた女奴隷の振りをして階段に向かった。
短い丈の服で今度は下着なしで、しかも、乳房丸出しで階段を降りるのは、勇気がいったがとにかく駈け降りた。
だが、下に着くとそれ以上どこにも行けないことに気がついた。結局、沙那を受け取るという楓人の仲間はいなかった。ここで楓人を待つしかない。
しかし、こんな裸同然の姿は嫌でも目立つ。
どんどん注目が集まる。羞恥のあまり、もうどうしていいかわからない。
「おい、奴隷?」
突然、見世物小屋の外から声がかけられた。
見ると十歳くらいの少年が三人、にやつきながらこっちにやってくる。
沙那は無視した。
「ねえ、奴隷、お前はなんで下着履いてないのさ?」
しかし、その少年のひとりが、沙那の服の裾を持っていきなり捲りあげた。
「きゃあああぁぁ」
露わにされた股間を隠すことのできない沙那は、悲鳴をあげてその場にしゃがみこんだ。