「どんな様子だ、杏仙?」
十八公は言った。
「あなたの準備した悪夢の中で、沙那は繰り返し、城郭の中で
杏仙の思念体が言った。
「孫空女については、
捕らえた四人の道術遣いらしき人間の女のうち、孫空女と沙那に一族の子を宿させるための施術を開始して半日以上経っている。
人間の女に夢魔の精を宿させることに成功した場合はすぐにわかるのだが、半日間、悪夢の中で犯され続けているというのに、あのふたりは、まだ堕ちないらしい。
だから、いまだに施術が終わったという知らせはない。
獲物にした人間の女を捕えて精を注いで子を産ませる。
それが十八公や杏仙のような実体を持たない夢魔の一族の唯一の繁殖方法だ。
しかも、滅多に人の入らない
ただ、それには、彼女たちに施された道術封じの血がどうしても邪魔だった。
道術遣いの女には、意に沿わない精を殺す能力があるのはよくある話だ。
だが、これまでは、十八公が見させる悪夢で大抵はあっさりと、その効果を消滅させてきた。
道術封じは、道術遣いの気力に連動する。
気力が萎えれば、道術封じの効果も、女体を護るために男の精を殺す作用も消滅する。
しかし、今回捕えた女たちは、なかなかに気力が強いようだ。
悪夢を見させるが、ああいうことに馴れているのか、悪夢の中で泣き叫び、屈辱に打ちひしがれるが、心が潰れるというところまでいきつかない。
それだけ、存在が強いということだ。
ならば、逆に、一族の子を宿させることに成功すれば、強い一族の後継者を産んでくれることになるだろう。
「ふうん……。それで、どうするの? 予定では、最初のふたりが終わったら、残りのふたりの計画だったはずだけど、そっちを先にする? あの力の強そうな道術遣いは最後にするとして、もうひとり女はどうなの、十八公?」
杏仙の思念体が言った。
「朱姫のことか?」
朱姫──。
確か、そういう名だった。
十八公は、実体を持たず思念だけで存在する妖魔だ。
なんでもない自然物に宿り、獲物となった人間の女の夢の中にのみ、存在を作ることができる。
また、獲物になった人間の女の夢そのものを支配できる。
縄張りで捕えている四人の道術遣いでもある女がどういう存在であり、なにを得意とし、なにを弱点としているかということなど、その支配している夢を通じて簡単に知ることができる。
そして、獲物がもっとも恐怖する悪夢を見させて萎えた心に入り込み、存在そのものまで支配して虜にするのだ。
虜にした獲物には、夢を通じて一族の子を産ませるための精を送り込むが、虜になった人間の女は、本当に新たな命を宿す。
そうやって、一族の新しい生命が誕生する。
思念だけの妖魔──。
それが、十八公たち夢魔だ。
しかし、今回捕えた四人の女は、些か心が強いようだ。少なくとも、最初のふたりは、悪夢にもなかなか心を折らずにうまく対応している。
精を受け入れさせるために見させている悪夢において、快楽は快楽として受け止めて、心が潰れるのを防いでいる。
十八公は手こずっていた。
「朱姫は駄目だな」
十八公は答えた。
「なぜなの、十八公? もちろん、今回の獲物はあなたの縄張りで捕えたから、あなたの決定を否とするつもりはないけど、わたしとしては、一族の増やすのに、その対象の能力はどうでもいいわ。もしかして、その朱姫は素材がよくない? もちろん、霊気が高い人間の女は、強い一族を産んでくれるとは思うけど、たとえ、霊気が存在しなくても、新たな一族を増やしてくれればそれでいいのよ。あなたが、朱姫を虜の対象として考えないのであれば、わたしがもらい受けたいわ」
荊棘嶺には、十八公や杏仙のような「夢魔」が十八匹存在する。
最初の存在がどれであったのかは、もう十八公の記憶にはない。
長い年月をかけて、今回やっているように滅多にやってこない人間の女を捕えては、一族の子を宿させて少しずつ増えてきた。
それが十八匹になったということだ。
十八匹は、荊棘嶺のあちこちに分散して、それぞれの縄張りをつくっている。
捕えた人間の女の支配は、縄張りを管理する夢魔が行い、ほかの十七匹は、それに協力する──。
それが十八公たちの協定だ。
だから、飛びきりの獲物である今度の四人の人間については、十八公に占有権がある。
しかし、いまのところ、どの獲物についても、心を潰して虜にするところまで辿り着いていない。
だから、杏仙からすれば、一度に四人を捕えたために、より強い霊気の獲物を求めて、えり好みをしていると思ったのかもしれない。
「そうではないのだ、杏仙。朱姫は子を産めない。子供だ。十歳くらいの年齢でしかない。子を産むには早すぎる。受胎させるのは悪夢の中でも、受け入れる人間の女の側に人間として受胎をできる基盤がなければ、子を宿させることはできない」
夢魔の子を産ませるのは、人間の大人の女でなければならない。
そうなっているのだ。
夢魔は夢を支配し、あらゆる悪夢を操ることができる。
例えば、人間の男の夢に入り込んで、女にしてから犯すということはできる。
しかし、その場合、精を送っても夢魔の子を受胎することはない。
女としての生殖機能がなければ、思念の中であっても精を受け入れられないのだ。
それは、人間の女が初潮を迎える前で、大人でない場合も同じだ。
朱姫は、初潮前の子供だ。
「十歳? それはおかしいわ。成熟した人間の女四人。しかも、四人とも道術遣い──。そう聞いたわ」
杏仙だ。
「確かにそう言った。俺は宿っている存在を通じても、荊棘嶺で眠っている四人の実体については、大人の女だということは確認している。少なくとも、子を宿せないほどの子供ではない。しかし、支配している俺の思念の中では、朱姫は十歳程度でしかないのだ。これでは、精を送っても無駄だ」
「外の実体が大人で、夢魔に支配される思念の中では子供ということがあり得るの?」
杏仙の声には、驚きの感情が籠っている。
「わからない……。初めての事象だ。だが、実際に朱姫は、俺が支配している思念では子供なのだ。朱姫を任せた
十八公は言った。
「牡丹たちはどうしているの?」
「残念がりながらも縄張りに戻った。子を宿させることができないのであれば、夢に入り込む目的もないのでな」
「じゃあ、あなたは、どうするつもりなの? このまま、沙那や孫空女に悪夢を見せ続けて、心が折れるのを待つ?」
「いつまでも続けることはできん。悪夢を見させている間も、実体としての獲物は、眠っているのだ。眠っていては、実体そのものが生命を続けるための栄養を摂取することができない。虜が生命であることができなくなれば、そもそも子を宿させることが不可能だ」
「では、どうするつもり?」
杏仙が訊ねた。
「うむ。これまで、孫空女や沙那の心が折れないのは、仲間依存が強いためだというのもわかってきた。つまり、どんなに恥辱的な目に遭っても、いつかは仲間が救ってくれるという思いだ。それで、心が折れない」
十八公は説明した。
「だったら、悪夢の中でほかの仲間が死んだり、裏切ったりさせればいいのでは? 単純に、対象に屈辱をさせるよりは、効果があるわ」
「それはいずれやってみようと思う。しかし、最初は、宝玄仙だ──。今回対象としている三人の人間の女の心をもう一度探り直してみた。そして、宝玄仙には、大きな心の傷があり、それは過去の記憶がもたらしているとこともわかった。つまり、宝玄仙には、過去の記憶を悪夢として見させる。それで、心は折れるはずだ」
「なるほど。つまり、あなたの次の選択は、目標を宝玄仙──あの強力な霊気の道術遣いに絞るということね?」
「そのとおりだ、杏仙」
十八公は言った。
「ならば、わたしはあなたが放棄した朱姫を試してもいい? 朱姫に悪夢を見させて、精を送るわ。仲間依存を避けるために、朱姫についても、過去の心の傷というのがあれば、利用してみるわ」
杏仙が言った。
「朱姫は子供だ。さっき、説明したはずだが」
十八公は困惑した。
「でも実体としての存在は、大人なのでしょう? 夢魔の思念の中では子供──。これは、初めての事象であり、どういうことかわからない。つまり、精を送ってみれば、実際には、子を宿させることが可能かもしれないわ」
「うむ……」
十八公は思料した。
杏仙は女、あるいは雌としての傾向が高いが、それは妖魔として、虜にした人間の女に精を送ることに問題はない。
そして、杏仙の言うことには一理ある。
もしかしたら、思念の中で子供でも、実体が大人の女であれば、なんの問題はないのかもしれない。
「任せよう、杏仙。できれば、
「わかったわ」
杏仙の思念が消えた。
では、宝玄仙だ。
宝玄仙の記憶は悪夢の宝庫だった。
その中から、適当なものを掘り起こして、再現する。
それで宝玄仙は堕ちる。
十八公は確信していた。
*
ついに来た───。
やって来た股間の刺激に、宝玄仙は眉をひそめた。
法会における最前列の
後方には数十人の天教の神官のほかに、数百人の平民の観客がいる。
その最前列にいる宝玄仙に埋め込まれた張形がぶるぶると淫らな振動を始めたのだ。
ただでさえ、漢離仙の強力な媚薬で宝玄仙の股間は官能にただれた状態だったのだ。
そこに振動という責めも加わった。
宝玄仙は、吟じる声にそれが影響されないように、ぐっと拳を握りしめた。
後方の神官や観客たちの誰もが、まさか、天教の最高神官の八仙であり、そして、帝都一の美貌と名高い宝玄仙が、式典用の巫女服一枚の下は、下着一枚つけない素裸であり、しかも、たっぷりと催淫剤を塗りつけた張形付きの革帯を股間に装着させられているとは夢にも思わないであろう。
闘勝仙の飼う「奴隷」の存在になって一年になる。
これまでの調教において、天教の神官としての活動そのものにおいては、彼らは淫戯や色責めはしてこなかった。
だが、今日からは、調教の次の段階に入ると称して、法会の前にこの張形付きの革帯を股間に装着させられたのだ。
改めて、闘勝仙たちが異常な嗜虐者であることを宝玄仙は思い知った。
この会場のどこかで、闘勝仙たちは宝玄仙の苦悩の姿を眺めて愉しんでいるに違いない。
せめてなんでもない風を装い、宝玄仙が公然の中で悩ましい姿をすることを期待している彼らの鼻を明かせてやりたい──。
そう思って宝玄仙は懸命に淫らな刺激に耐えていたが、そんな宝玄仙の嘲笑うかのように、張形の振動は、強弱を繰り返しながらだんだんと強くなる。
しかも、埋め込まれた革帯には肉芽の部分を刺激する突起もあり、それが張形の振動と合わせて、宝玄仙を責め苛んでいる。
責められるのは考えてみれば久しぶりかもしれない。
もちろん、「宝玄仙」の身体としては、一年前に闘勝仙の罠に嵌って愛奴になって以来、ずっとさまざまな方法で責められ続けている。
しかし、宝玉という存在が「宝玄仙」の心に出現してから、実際に嗜虐を受けるのは宝玉の役割になっていたのだ。
だが、式典の法要については、宝玉には無理だった。
ひとりの人間の能力と性格を分けあっているため、宝玉には法要の主宰の能力がないのだ。
だから、式典中に受けたこの仕打ちは、宝玄仙の意識が受けるしかなかったのだ。
これからは、宝玉と宝玄仙でふたりで分かち合いながら、闘勝仙たちの嗜虐を乗り切ることになるだろう。
そして、いつの日か……。
「んんっ」
しかし、不意にやってきた新しい刺激に、宝玄仙はついに声を洩らして、吟じる声を中断させてしまった。
女陰に埋め込まれた張形だけではなく、後ろの菊門にも埋め込まれている特大の張形も動きはじめたのだ。
肛門は、この一年で繰り返し繰り返し、いたぶられた宝玄仙の最大の性感帯だ。
いまや、宝玄仙は女陰そのものよりも、遥かに強い性感を後ろの穴で感じてしまうようになった。
後ろの穴で我を忘れて感じる宝玄仙を見て笑う──。
それだけのために連中は、宝玄仙の尻穴を調教したのだ。
そこを責められ始めた宝玄仙は、神経を削り取るような恥辱と快感に、思わず腰を浮かして声を止めてしまった。
隣に座っている若い仙士の僧侶がいぶかしげに視線を送る。
宝玄仙は慌てて、経典を吟じる態勢に戻った。
しかし、その宝玄仙の股間では、女陰と肉芽と肛門の三箇所で淫らな振動が続いていた。
全身から噴き出す汗を感じながら、宝玄仙は淫らな振動を受け続ける。
そして、やっと宝玄仙ひとりで経典を吟じる場面が終わり、全神官による合唱となる。
すると宝玄仙に嵌められた張形の振動が最大になった。
宝玄仙は歯を食い縛りながら、声を洩らすことを耐えた。
そして、全身を震わせながら、この大勢の観客の最前列で気をやった。
周りに悟られないように絶頂することも、この一年で憶えさせられた恥辱のひとつだ。
宝玄仙は、大勢の人間のいる法会の最前列で激しい快楽で達した余韻に酔っていた。
もちろんそれで許されるわけではない。
股間の激しい振動は、終わるどころか、なおも激しい振動を与えてくる。
催淫剤で溶かされている身体だ。
淫らな刺激はいくらでも宝玄仙に、第二、第三の官能の波を生み出して襲ってくる。
それに、嵌められている張形の責めは、ただの振動だけではない。
宝玄仙の体内で震えながら、内部に充満された漢離仙の催淫剤をじわじわと撒き散らしているのだ。
そして、宝玄仙が達するとまとまった催淫剤が噴き出して、前と後ろの肉襞に催淫剤をべっとりと付ける。
宝玄仙は、その催淫剤の効果により、達すれば達するほど、肉体が溶けるような苦しい疼きを感じることになるというわけだ。
闘勝仙、漢離仙、呂洞仙の三人が、この法会の最中に宝玄仙が何回達するかということで賭けをしていることは知っている。
だから、宝玄仙は自分が何回達したかを正確に報告しなければならない。しかも、「前で何回、後ろで何回」というように区分してだ。
誤魔化すことはできない。
実は嵌められている革帯の後ろの部分には、宝玄仙が前後それぞれで何度達したかの数字が道術で浮き出るようになっている。
宝玄仙にわざわざそれを口頭で報告させるのは、宝玄仙が達した回数を間違わなかったかを確認するためなのだ。
二回目の波がやってきた。
それが前の責めによる絶頂であるのか、後ろが原因であるのか、宝玄仙にはよくわからなかった──。
*
「入るわ……」
宝玄仙は声をかけてから示された部屋に入った。
そこには、闘勝仙、漢離仙、呂洞仙の三人が揃っていた。
三人は葡萄酒の入った盃と果物の載った卓を囲んでいて、宝玄仙がやってくると視線を一斉にこっちに向けた。
「報告しろ、宝玄仙」
ゆったりとした肘掛椅子に腰を降ろしたまま闘勝仙が言った。
宝玄仙は歯噛みした。
こんな奴に唯々諾々と従わなければならない恥辱で血が沸騰しそうになる。
しかし、今日は十日に一度の三人の精と小便を貰う日だった。
宝玄仙は、彼らの罠に嵌められて、十日に一度は漢離仙、呂洞仙の精、そして、闘勝仙の尿を身体に入れなければ、一日間いき狂いの発作に襲われる身体にされている。
漢離仙の施した仙薬と闘勝仙の呪術によるものだが、宝玄仙の道術でもそれを癒すことはできない。
それは闘勝仙たちと交わさせられた道術契約で禁止されている。
だから、あの恐ろしい発作から免れるために、この三人から精と尿をもらうためにどんな恥辱的な行為にも甘んじなければならないのだ。
宝玄仙は、煮えたぎる感情を隠して、闘勝仙に訊ねられたことを告げるために口を開いた。
「まて、宝玄仙、闘勝仙様の奴隷のお前が服を着たまま報告するつもりか?」
呂洞仙が宝玄仙の言葉を遮った。
宝玄仙は恥辱で気絶しそうになった。
しかし、なにを言っても無駄ということはわかっている。
宝玄仙は沈黙のまま巫女服を脱いだ。
宝玄仙の裸身が露わになっていく。
やがて、身に着けているのが、大小の張形を咥えさせられている股間の革帯だけだになった。
脱いだばかりの巫女服を呂洞仙が奪ってどこかに持っていく。
これで宝玄仙は、服を返してもらわなければ、どこにも行けないということだ。
宝玄仙はそれにも黙って耐えた。
何度も達っした身体だが、漢離仙の施した強力な媚薬はいまでも宝玄仙を責め続けている。
なんでもない風を装っているが、こうやって立っているだけで、身体が火照って息が止まるような官能の酔いが襲ってくる。
眼の前の三人がいなければ、宝玄仙はいまこの瞬間に、股間に手をやって自慰に耽っているだろう。
しかし、この三人の前で弱みを責めるのは死んでも嫌だった。
実は宝玄仙が彼らの責めにより、どうしようもなく追い詰められているということなど、すっかりお見通しだとしてもだ。
「宝玄仙、どうしてそんなに身体を震わせているのだ。それに、随分と汗をかいているし、顔が赤いようだが?」
闘勝仙だ。
優越感に浸った表情で部屋の真ん中で立たされている宝玄仙の顔に視線を向けてくる。
「な、なんでもないよ……」
宝玄仙は顔を下に向けた。
「それに乳首が勃起している。理由を言ってみろ」
「なんでもないと言っているでしょう」
宝玄仙は声をあげて、きっと闘勝仙をにらむ。
しかし、いきなり股間の張形が動き出した。
「ああっ……ひいっ──」
宝玄仙は腰を落とした。
「勝手に座るな」
闘勝仙の強い叱咤が飛ぶ。宝玄仙は、腰と膝に力を入れて堪えた。なんとか姿勢を戻す。
しかし、だんだんと振動が強くなる。
特に後ろの張形の振動がつらい。
宝玄仙ははしたなく嬌声をあげて、腰を引くようなみっともない姿になっていく。
懸命に姿勢を糺そうと思うのだが、身体が震えてどうしても腰の力が抜ける───。
するとぴたりと振動が止まる。
ほっとして、態勢を直すと、再び振動──。
それを繰り返される──。
服を持ち去った呂洞仙が戻ってくると、今度こそ張形は振動を止めた。
「いいぞ、宝玄仙、回数を報告しろ」
闘勝仙が顎で宝玄仙を促した。
「ぜ、全部で七回……。前が四……。後ろが三」
宝玄仙は言った。
ぐっと握るふたつの拳はぎゅっと握られている。
「背中を向けろ」
闘勝仙が言った。宝玄仙は三人に背を向ける。
三人が一斉にぷっと噴いたのがわかった。
「間違ったな、宝玄仙。七回は合っていた。だが、前が二回で、後ろが五回だ。仕方のない女奴隷だ。数も満足に数えられんのか」
漢離仙が揶揄をする。
「くっ……。そ、そんなのわかるわけないでしょう。ま、前も後ろも同時に動いているのよ。全部一緒だよ」
宝玄仙は声を荒げた。
丁寧な言葉を使うことは求められていないし、彼らもそれは望んでいないらしい。
口で逆らい続ける宝玄仙が、三人の嗜虐を受けて、泣き叫び、恥辱に顔を歪めることが愉しいらしい。
宝玄仙としても、せめて彼らに不満をぶつけることは、心の底では屈服していないという証でもあり、崩れそうな精神を支えるよりどころでもある。
「まあいい、罰は後のこととして、今日は予定がある。宝玄仙、その台に載れ──。呂洞仙、股間のものを外してやれ」
闘勝仙の言葉で立ちあがった呂洞仙が、宝玄仙の裸身に近づき、道術をかけながら、宝玄仙が履かされた淫具を取り去った。
張形が女陰と肛門から抜かれる刺激で、宝玄仙はひと際大きな声をあげてしまった。
三人の嘲笑に宝玄仙は、恥辱で顔が真っ赤になるのを感じた。
「さあ、じゃあ台に載れ、宝玄仙」
呂洞仙がぴしゃりと宝玄仙の尻を叩いた。
腰に走った痛みに宝玄仙は顔を歪めた。
宝玄仙は自分が載れと命じられている台を見た。
人間が寝そべって横になれるくらいの細長い台で、台には車輪がついていて、簡単に押していけるようになっている。
そして、台上には何本かの革紐があり、それで上に乗った者を拘束できるようになっているようだ。
「だ、台に載ったらどうなるのよ。教えてよ」
宝玄仙は、自分の脚が怯えで竦むのを感じた。
台についている革紐は、宝玄仙の裸身を拘束するものであろう。逆らえないことはわかっている。
だが、せめて、これからなにをされるかだけは知っておきたい。
「奴隷がそれを知る必要はない。黙って載れ──。俺たちの精をやらんぞ」
呂洞仙が怒鳴った。宝玄仙は込みあがった怒りと恥辱をぐっと耐える。
だが、闘勝仙がそれを制した。
「まあいい、教えてやろう、宝玄仙──。これから、この神殿の地下である秘密の宴がある。お前には、そこで宴を盛りあげるための余興になるのだ」
闘勝仙は言った。
宝玄仙は頭の血が引く思いだった。
この三人に責められるのはもういい。
覚悟もしているし、諦めてもいる。
しかし、八仙としての地位もあり、名誉と尊敬の対象でもある自分が、この三人以外の人間の前で晒し者になるのはどうしても耐えられない──。
闘勝仙は、宝玄仙の痴態を三人以外に披露するのは、自分に心服している者に限定しているとは言っている。
しかし、それはどんどん人数が増えている。
いまや、宝玄仙が闘勝仙に飼われる「性奴隷」だということは、帝都の公然の秘密のようになっている気がする。
「そ、それだけは……」
宝玄仙は哀願した。無駄だとはわかっている。
しかし、万が一の望みを抱いて、宝玄仙は、頭をさげて闘勝仙に頼んだ。
だが、そんな宝玄仙を闘勝仙は鼻で笑った。
「おい、宝玄仙は脚が竦んで台に載れんようだ。手伝ってやれ」
「はい、闘勝仙殿」
宝玄仙は、呂洞仙と漢離仙に抱えられるように無理矢理に台に載せられた。
仰向けに寝かされた宝玄仙の細い腰の括れにぎゅっと台に装着された革紐が食い込む。
そして、両手を上方に引き上げられて、台の頭側に固定された。
そして、脚──。
しかし、台の下側に足首が固定されるのかと思ったら、両脚がふたりによってぐいぐいとあげられて、頭の方向に持っていかれる。
それによって、宝玄仙は後ろにひっくり返るようなかたちで、股間があがる。
「な、なにするのよ──」
宝玄仙は悲鳴をあげた。宝玄仙は自分が取らされようとしている恰好に恐怖して脚をばたつかせた。
だが、道術の抵抗を封じられた宝玄仙には、ふたりもの男に力ずくで押さえられたら、もう抵抗のしようがない。
宝玄仙の両脚は、頭側にひっくり返されて、膝を頭の横につけられて、そこで台に革紐で固定される。
「こ、こんな……。ひ、酷いわ──」
宝玄仙は呻くような声をあげた。
いわゆる、「まんぐり返し」の姿勢だ。
何度も達したことでまだ淫液が滴っている女陰を肛門とともに、上方に曝け出すという想像もしたことのない屈辱の格好に宝玄仙は震えた。
「さあ、客が待っている。行くぞ──」
ふたりが台を押し始める。
「ま、待って──。後生よ。ほかのことなら何でもする。だから、こんな格好で連れていくことだけは堪忍して──」
宝玄仙は、溢れた涙に耐えきれずについに泣き叫んだ。
「待てよ。もっと、客を悦ばせよう。そこにある花を宝玄仙の女陰に咥えさせよう。生きている花瓶というわけだ」
宝玄仙の涙を無視して、漢離仙が言った。
闘勝仙がそれは面白いと手を叩く。
宝玄仙は悲痛の声をあげた。
だが、部屋にあった花瓶から数輪の花を抜いた漢離仙が、ずぶずぶと宝玄仙の女陰に茎を挿し込んでくる。
「ひっ、ひいっ──ひいい──」
宝玄仙は悲鳴をあげた。
「では、行くか」
台車が動き出し、膣に数輪の花を咥えた宝玄仙は、台車に載せられたまま地下に通じる廊下に連れ出された。