「お前たちが朱姫との遊びを長引かせるから、随分と長逗留になったじゃないか」
宝玄仙が笑いながら言った。
日射しはそろそろ中天に差し掛かろうとしている。
前列を孫空女と宝玄仙が並んで歩き、沙那はその後ろを歩いていた。
「だって、あいつが……」
前を歩く孫空女が、街道のずっと先をひとりで歩いている朱姫の小さな姿を睨みながら不満そうな声をあげた。
「だって、じゃないよ、孫空女。お前と沙那が代わる代わるあいつから嗜虐を受ける日を一日伸ばしにするものだから、わたしはもう、あの宿屋に住みつくのかと思ったものさ」
宝玄仙が皮肉を言った。
「でも、朱姫も酷いんですよ。いつも、断れない選択を突きつけるんです。縛って抵抗できないようにして、それで、ねちっこく意地悪をするんです。それで、仕方なく……」
「そうだよ。あいつ、酷いんだ」
沙那に続いて、孫空女も言った。
掲陽鎮は、この
その掲陽鎮まで歩いて残りわずかというところだ。
いま進んでいる山街道を峠まで進み、そして麓まで行けば、そこが掲陽鎮の城郭になるはずだ。
だが、目的地は掲陽鎮の城郭ではない。
その城郭を避けて郊外の海岸地域に向かう。
そこに住んでいる
それが、沙那たちが向かっている場所だ。
そこで船を動かしてもらって西の
しかし、海路といえば、あの
なんとか、宝玄仙の道術で大河を渡りきったものの、あのときの恐怖は沙那の心にしっかりと刻み込まれた。
だから、沙那はすっかりと船というものが嫌いになったが、今回は仕方がないのだ。
この祭賽国は国都こそ内陸に引っ込んでいるが、実は海岸沿いに発展していて、南部一帯は小さな地方域に分かれている。
その地方域ごとに関があり、往来する者が荷などを調べられる。
禁制の品などを運んでいないかどうか取り締まるためだ。
当然、手配されている人相書きについても確認されるだろう。
だから、陸路で西の国境を越えるのは難しいだろうと思われた。
帝都に近い北安という城郭で起こした騒動のせいで、宝玄仙、朱姫の顔は叛乱者の一員として顔と名が割れて手配されている。
沙那と孫空女は、名が割れているということはないが、
その浚った連中は、九頭女たち梁山泊の一味が隠れ処として使っていた場所の地下に放り捨ててきた。
あのとき、国都からの脱出が成功した時点で、あの連中を隠していた場所がわかるようにしてきたので、彼らも今頃は解放されて、沙那と孫空女の顔を奔破児たちにしっかりと報告しているに違いない。
そして、昨日、突然に宿屋を訪問してきた不審な若者──。
沙那が応対したが、最初は男装していたし、近傍の農夫のような身なりだったから、なにも考えなかったが、改めて考えると、相手は男ではなく女だったように思う。
しかも、かなり修練された身のこなしをしていて、どう考えてもただの近傍の農民でもないようだった。
そして、彼女が沙那に伝えたのは、四人の手配書がもう掲陽鎮をはじめとする南部に出回っているという情報と、こんな小さな宿町で目立つように長逗留するのは危険だという警告だった。
内陸の帝都から掲陽鎮をはじめとする南部一帯に手配書が回った以上、その中間の城郭や宿町などにも手配書が回るのは時間の問題だというのだ。
それで慌てて、あの宿町を出立した。
しかし、それでよかったのだ。あれがなければ、朱姫の嗜虐にまだ付き合わなければならないところだった。
一日伸ばし、二日延ばしにされていった朱姫の嗜虐を受けるという日々は、沙那が残り一日、孫空女など、残り三日も残っていた。
いずれにしても、全部ご破算だ。二度と朱姫の嗜虐には付き合いたくない。
「だから、ああやって、今日はあいつを懲らしめの日にしてやっているだろう」
宝玄仙が言った。
沙那は前を歩くふたりの背中越しに、ひとりだけとぼとぼと歩く、遠い朱姫の姿を見た。
これだけ離れるとわかり難いが、朱姫は、いつもよりもずっと短い下袍を着せられていて、股間の前後の孔にはたっぷりと催淫剤を塗りたくった張形を埋めている。
そして、それが外に出ないように股間に革帯をさせていた。
さらに耳には『遠耳』だ。
この『遠耳』で、こちらから命令していろいろなことをさせている。
すべての支度を施したのは、沙那と孫空女だ。
それだけで少しは、肚に溜まっていたものも発散できた。
これもすべて、朱姫の我が儘が原因だ。
あの不思議な警告者の訪問があって、すぐにあの宿屋を後にした。
警告者曰く。沙那たち四人を探すのに、ほとんど手間はかからなかったらしい。
彼女によれば、自分たち四人はかなり目立つ存在であり、背の高い美男子──孫空女は宿を出るまでは一応は男の身なりをしていた──と三人の美女たちという組み合わせは、嫌でも人目を引いていたようだ。
それで、慌てて宿を出たのだが、ひとりだけ不満を言ったのが朱姫だ。
朱姫によれば、まだ、嗜虐の残りがあるというのだ。
叱りつけて出発し、昨夜は宿屋を避けて野宿をした。
そこでも朱姫は、まだ、残りの日数があるから、どうのこうのと言いはじめた。
それで、宝玄仙も呆れて、朱姫に罰を言い渡したのだ。
つまり、いまやっているのがそれだ。
朱姫は股間に張形を咥えて、ひとりで離れて歩く。
それをこの三人で、遠隔操作により命令を与えたり、張形を操作して懲らしめるのだ。
かなり、たっぷりと催淫剤を塗っておいたから、いまごろはかなり熟れきった表情をしているに違いない。
しかも、いつも膝下まである朱姫の貫頭衣の下袍は、脚の付け根くらいまでしかない。
襲ってくださいと言っているような格好だが、なぜかこの山街道は、人通りが少ない。
それに、なんとか朱姫の姿の見える場所に沙那もいるし、孫空女もいる。
朱姫も道術は遣えるし、それほど危険はないだろう。
しかし、よく考えれば、こういうことを躊躇なくやっている自分は、もう、すっかりと宝玄仙に染められてしまったということだろうか。
「ところで、詳しい経緯は聞いていなかったけど、なんで、お前たちは朱姫の嗜虐の日数を伸ばす羽目になったんだい?」
宝玄仙が言った。
「あ、あたしは、最初のときに、あいつの合成した薬を身体中に塗られて一晩中筆で責められたんだ。そして、一度もいかせてもらえないで、いかせて欲しければ、嗜虐の延長に合意しろって言われたんだよ」
すると、孫空女が面白くなさそうな口調で応じた。
宝玄仙が声をあげて笑う。
「なかなか、愉しいことしてるじゃないか、孫空女」
「愉しいものかい。その次のときは、身体の感度を十倍にあげられて、鳥の羽根みたいなものが内側についている服を着させられたんだよ。とにかく、息をするだけでくすぐったいんだよ、ご主人様。だから、仕方なく、それを脱がせてもらう代わりに……」
「ああ、あの新しい朱姫の責め具だね。わたしも見せてもらったけど、なかなかの出来だったじゃないか。『繊毛服』とか呼んでたっけ?」
「いい出来であるものかい、着ている間、ずっと身体を舐め回されているような苦しいのが続くんだ。満足に息だってできないんだ。朝まで着ていろって言われたけど、とても耐えられるもんじゃないよ」
孫空女は憤懣を顔に浮かべて横を向いて宝玄仙に捲し立てた。
「孫女もあれを着させられたの? わたしも着たわ。本当に苦しかったわ。わたしは、半刻(約三十分)で降参して、嗜虐の延長に同意したわ。あなたは、孫女?」
沙那も口を挟んだ。
「あたしもそれくらいで降参したけど、あいつ脱がさなかったんだ。あの服を着て、剣舞を舞わされた。結局、一度も踊り終わらなくて、三日間の嗜虐の延長に合意させられた」
「酷いわねえ、あいつ……。でも、ご主人様たちのときは、あれは着なかったんですか?」
沙那は言った。
「わたしと宝玉のときは、考えてみれば、それほど激しいのはなかったね。縛られて犯される。まあ、そんなものさ。しつこく責められはしたけどね。それと言葉なぶりくらいはあったかもね。詳しくは説明したくないけど……」
宝玄仙も苦笑した。
だが、朱姫が“黄金の日”と自称したその嗜虐期間は四日では終わらなかった。
嗜虐をされている間に、一日伸ばし、二日延ばしと延長させられて、結局、あの宿町に十日も逗留することになったのだ。
別に嗜虐の日々の間、逗留すると決まっていたわけでもないが、朱姫の容赦のない嗜虐をひと晩中受けることで、沙那たちだけでなく、宝玄仙でさえも、翌日の旅をすることが無理なくらいに息も絶え絶えの状態にさせられてしまったのだ。
「だったら、ご主人様たちのときは手加減していたんだね。改めて腹が立つよ。不公平だよ。差別だよ」
孫空女は言った。
「それから、ご主人様、朱姫は、すぐに嗜虐で『縛心術』を遣うんですよ。『縛心術』を遣って嗜虐の延長に合意にさせるなんて、少し卑怯と思いませんか? わたしたちの意思じゃないんです」
「縛心術? ああ、それでお前ら、ずっと朱姫に素直だったのかい」
宝玄仙がまた笑う。
沙那は続けた。
「それなのに、わたしたちは、自分の意思で合意したと思い込まされていたんです。昨日、ご主人様にかかっていたあいつの暗示を見つけてもらわなければ、ずっとあたしたちは、自分の意思で嗜虐を受け続けたんだと思っていたところでした」
「沙那の言う通りだよ、ご主人様──。ほかにも、あいつは、『縛心術』で、いつの間にか、部屋の外に裸で放り出すというようなことをするんだよ。気がついたら、全裸で部屋の外にいさせられていたり、一昨日なんて、一階の酒場の隅に置いてある木箱と木箱の間にしゃがまされていたんだ。素っ裸でね」
「まあ、あなたも? あたしもやられたわ、孫女。しかも三回もよ。一番最初は、ほら、下着を腿に引っかけたまま、あんたとご主人様のいる部屋に荷を取りに行かせられたときのことよ。覚えてる?」
沙那は言った。
「ああ、覚えているよ。あんときはびっくりしたさ。あたしも、翌日やられるかと思ったけど、やっぱりやられたね。『縛心術』は酷いよね。あたしらの心を塞いじゃうんだもの。あれは禁止にしてよ、ご主人様」
孫空女が訴えた。
「わかった、わかった──。とにかく、お前たちが、朱姫に連日にわたって、こっぴどくやっつけられたということはわかったよ。だから、今日は思う存分に仕返ししな。好きなようにね」
宝玄仙は、孫空女に小さな黒い豆を渡した。
黒い豆のように見えるが、これが『遠口』だ。
これを口に入れると、喋った言葉がそのまま、『遠耳』側に聞こえる。
朱姫の耳には、『遠耳』がしているので、この『遠口』で言ったことは、朱姫には伝わる。
逆に、朱姫には、『遠口』は渡していないので、朱姫の不平や哀願はここに届くことはない。
『遠口』を誰も口につけずに、手に持って使っているのは、これにはとんでもない副作用があるからだ。
口の中に入れれば、唾液で貼りついて取れなくなるだけではなく、装着して一日後、一刻(約一時間)のいき狂いを味あわなければならない。
いずれにしても、いま、朱姫は連日にわたって沙那と孫空女を嗜虐した酬いとして、仕返しを受けているのだ。
さすがに張形を挿したまま歩くのはつらいのか、その歩みは遅い。
特に朱姫はお尻が弱い。
そのお尻にも張形が深々と突き挿さっている。
本来であれば、もう掲陽鎮の城郭に到着してもいいくらいなのだが、まだ今朝から歩きはじめて半分くらいの行程しか進んでいない。
「どうやら、また、人通りが途絶えたよ。じゃあ、今度はなにをさせようか、沙那? 道の真ん中でおしっこをさせるというのはどう?」
孫空女だ。
「いいんじゃない。やってよ」
沙那も言った。
今日だけは、沙那も容赦なく朱姫を扱うつもりだ。
少しは溜飲を下げないと、沙那としても心の平衡を保てない。
「……朱姫、そこでおしっこしな。革帯をしたまま、道の真ん中で垂れ流すんだ」
孫空女が手に持った『遠口』に向かって言った。
遠くを歩く朱姫がびくりとした感じで立ちどまる。
「ひひひ、あいつ、首を横に振っているよ……。じゃあ、懲らしめだね。沙那、頼むよ──」
孫空女が沙那に振り向いた。
沙那は朱姫の股間に挿入させている二本の張形を遠隔操作できる板を持っている。
出発の前に、朱姫にいまの仕掛けを施したときに、宝玄仙に渡されたものだ。
手のひらの大きさの木板に模様が描かれていて、それで朱姫を責めている張形をここから自在に操れる。
沙那は、朱姫の肛門に挿入している張形をいきなり最大限に動かした。
遠く離れている朱姫が後ろにひっくり返る。
朱姫が、地面に転がったまま、まくれ上がった下袍の裾を懸命に隠そうとしている様子がここからわかる。
沙那は、張形の動きを止めた。
朱姫がよろよろとしながら立ちあがろうとする。
だが、中腰になったところで、沙那は、また肛門の張形を動かした。
今度は前も一緒にだ。
朱姫が再びひっくり返る。
そして、またとめる。
朝からこうやって、動かしては止め、止めては動かし……ということを続けている。
しかし、絶対に、長く動かし続けないように注意している。
張形の刺激だけではなく、催淫剤に苛まれている朱姫は、からだの火照りがかなりつらい状況にあるに違いない。
:それをいかせないことでさらに追い詰めるのだ。
「──朱姫、命令に従わないと、次は、人が通ったときに合わせて、振動を最大限にするからね」
孫空女が『遠口』に向かって言った。
朱姫が諦めたように、道の真ん中にしゃがんだ。
:おしっこをする気になったのだろう。
「──ここからわかるように、下袍を全部たくし上げるんだよ」
孫空女が命じた。
朱姫が下袍を捲りあげている様子が見える。
しゃがんでいる下半身から服の色がなくなり、人の肌の色が見えているように感じる。
ただ、距離があるので、沙那の眼にはかろうじて、朱姫の格好がほんやりとわかるだけだ。
「あいつ、始めたよ……。」
孫空女が言った。
尿をするといっても、朱姫の股間にはしっかりと革帯が食い込んでいて、自分では外せないようにしている。
だから、尿は革帯の隙間から染み出すようにするしかない。
「じゃあ、この辺で……」
沙那は意地悪く、手の中の操作盤を使って、朱姫の尿が滲み出ているはずの前側の張形を動かした。
「焦っている、焦っている──。あいつ、膝を着けて座り込んじゃったよ、くくく……」
孫空女が愉しそうに声をあげた。
「お前たちはお前たちで、よくやるよ」
宝玄仙が横で呆れた声をあげた。
「あいつがあたしたちにやったことは、こんなこととは比較にならないんだよ、ご主人様」
孫空女が膨れた。
「わかった、わかった──。存分にやりな。その代わり、これでお互いのしこりを残すんじゃないよ」
「わかっています、ご主人様」
沙那は答えた。
「ねえ、朱姫、立ちあがらないんじゃない? どうしたのかな?」
もう張形の振動はとめている。
いくらなんでもおしっこならもう終わっている時間だ。
しかし、朱姫はまだ立ちあがらないでいた。
「なんか震えているみたいだよ。おしっこしている最中に、張形でいじめられたのが、余程、衝撃だったんじゃないの? 泣いているようにも見えるね」
視力のいい孫空女が朱姫を眺めながら言った。
「じゃあ、そろそろ、許してあげようか、孫女」
沙那は言った。孫空女も笑って頷く。
沙那は、孫空女から『遠口』を受け取った。
「朱姫、聞こえるかしら? 沙那よ。そろそろ、勘弁してあげるから、最後の命令に従いなさい。そこで服を脱ぐのよ。今すぐにね──。もたもたせずにできたら、それで終わらせてあげるわ」
沙那が言うと、うずくまっていた朱姫の上半身が動いたように見えた。
「きょろきょろしている。人が来ないのを確かめているんだね」
じっと前を見ている孫空女が言った。
そして、沙那の眼にも朱姫が立ちあがったのがわかった。
朱姫は両手で服を脱ぎ去って手に持った。
「そこに服を置いて、全力疾走──。すぐよ」
沙那は『遠口』に叫ぶ。
朱姫がびくりと跳びあがったように見えた。
しかし、すぐに服をその場に放り投げて、こっちに走ってくる。
だが、全力疾走のつもりかも知れないが、股間の両方の孔に張形を入れている朱姫の走りは、ぎこちなくて、しかも、とてつもなく遅い。
それでも、朱姫は懸命に走っているようだ。
やがて、朱姫の必死の形相と涙と涎と汗でみっともなくぐしょぐしょになった顔がわかるくらいまでの距離になった。
朱姫が、小さ目の乳房を両手で隠しながら一生懸命に走ってくる。
「こらっ、朱姫──。誰が、服を置きっぱなしで来いって、言ったのよ。よ。横の土手にでも隠してきなさい。戻りなさい。放り投げた服が誰かに持っていかれたら、城郭までこのまま素っ裸で歩かすわよ」
沙那は『遠口』に叫んだ。
朱姫の顔が歪んだのがわかった。
だが、泣いたような表情のまま、再び引き返すと、服を脱ぎ棄てた場所まで走っていく。
「あいつ、泣いてたね」
孫空女はもうすっかりと溜飲が下がったような表情だ。
沙那も、そろそろ本当に許してやりたいと思ってきた。
朱姫はさっきの場所に戻ると、脱ぎ捨てた服を街道の横の草むらに隠して、また走ってくる。
「あれっ、本当に誰か来るよ」
半分ほどきたところで、後ろを振り向いた孫空女が言った。
孫空女の言う通り、後ろから掲陽鎮に向かう二人組の旅人が近づいて来ていた。
沙那が朱姫に注意喚起するまでもなく、必死の朱姫の方が気がつくのは早かったようだ。
朱姫が、横の草むらに飛び込んで身を隠した。
何気ない様子を装いながら、沙那と孫空女と宝玄仙は、旅人たちが通り過ぎるのを待った。
彼らは、特になにもするわけでもなく、そのまま通り過ぎていく。
その旅人たちが完全に峠の向こうに消えていくと、朱姫が草むらから出てきて、残りの距離を駆けてくる。
沙那ははっきりと朱姫が見えてくると、操作盤を動かして、ほんのちょっと前後の張形を動かした。
朱姫がひっくり返った。
それでも、懸命に這い進むようにしていたが、沙那が張形の振動をとめると、やっと立ちあがった。
やがて、ぐったりした様子の朱姫が到着した。
激しい息をしている。白いはずの全身の肌は、異常なほどに真っ赤に火照り、汗と泥にまみれている。
そして、革帯以外になにもつけていない股間は、革帯から溢れた小便なのか淫液なのかわからないものでびしょびしょだ。
「さ、沙那姉さん、孫姉さん──。は、反省しています……。も、もう、許してください──」
そのまま三人の足元にうずくまった朱姫は、泣きながら謝罪の言葉を口にした。
「反省しているのね、朱姫?」
「は、反省しています、沙那姉さん。……お願いします……。もう、苦しいです」
朱姫は嗚咽混じりで言った。
「じゃあ、勘弁してやる、孫女?」
沙那は孫空女の顔を見た。
「そうだね」
孫空女も頷く。
朱姫は感謝の言葉を繰り返し口にした。
それでも、これで、朱姫が懲りることはないだろうとは沙那も思っている。
孫空女も同じ気持ちに違いない。
朱姫の嗜虐は、宝玄仙を含めたこの三人に対する甘えだ。
なんとなくそれがわかってきた。
朱姫は愛情表現を嗜虐で表現する。
こいつが沙那や孫空女に嗜虐をしたがるのは、妹が姉に甘えるようなものだ。
朱姫の場合は、それが調子に乗った嗜虐になる。
だから、またやるのだろう。
そして、それに対して、沙那も孫空女もしっかりと報復する。
その繰り返し──。
そうやって絆が作られる。
おかしな絆だが、それが自分たち四人なのだ。
「外してあげる前に、いかせてあげるわ、朱姫。このまま張形を抜いたら、おかしくなっちゃうでしょう?」
沙那はそう言って、朱姫の前後に入っている二本の張形をそれぞれに最大限に振動を与えた。
「ひごおおおっ──」
三人の足元にひれ伏すような姿勢だった朱姫が、眼を大きく見開いて沙那の脚に抱きついた。
「ひいっ──ひいっ──いくっ……いきます──ひぎいっ──」
朱姫は悲鳴のような声をあげながら、沙那の脚を力いっぱいに掴んで、背中を仰け反らせて絶頂した。
達したのはわかったが、沙那は、振動をそのままにした。
朱姫は、沙那の脚を掴んだまま、さらに、身体を大きく震わせた。
そして、今度はがっくりと前のめりに倒れる。
「ま……また……いく……おおほぉお──いくよぅ……んほうっ──狂う……狂っちゃいます……んんんんぐぅう──いぐっ──」
朱姫はここが天下の往来であることを忘れたかのように、街道のど真ん中で肌を晒したままいき続ける。
朱姫の手が助けを求めるかのように、沙那に向かって伸ばされた。
「いくっ……いくっ……ま、たいぐうっ──」
朱姫の声が呻きのようになり、そして、朱姫の身開かれた眼から黒い色が消えた。
脱力して後方に倒れかかる朱姫の身体を支え、沙那はやっと振動を止めた。
「革帯を外すよ、お前たち」
ほとんど失神同然となった朱姫に、宝玄仙が道術をかけた。
かちゃりと音がして、朱姫の腰と股間に喰い込んでいた革帯が緩む。
孫空女が革帯を引っ張って、革帯と密着している張形が朱姫の股間から外す。
張形ととともに、朱姫の股間から、おびただしい淫液と尿の残りが噴き出た。
「おいで、朱姫──。後始末してあげるわ」
沙那は、優しく朱姫の頭を撫ぜると、まだ嗚咽をしている朱姫を横の草むらに連れ込んだ。
汚れた股間と身体を拭いてやるためだ。
「あたしが、朱姫の服を取って来るよ」
孫空女が道を駆けだしていく。
「終わりでいいんだね、沙那?」
宝玄仙が草の中を朱姫を連れて進む沙那に笑いながら言った。
「はい、ご主人様」
沙那は元気よく答えた。