十日が経った。
あの五日の日々は、随分昔のことの気がする。
たった、五日……。
しかし、あの恥辱の日々のことは、しっかりと身体に刻み込まれた。
昨夜、夢を見た。
夢の中の李春は縛られていて、たくさんの見知らぬ男から身体を責められていた。
張形で股間や肛門を弄くられ、李春は汚辱に苛まれなからも激しい快感に襲われていた。
苦しさに目覚めると、股間がぐっしょりと濡れていた。
李春は、寝台で久しぶりにひとりで自慰をした。
淫らな身体にされたのだと思った。
それとも、もともと、こんな淫乱さが本来の性質であって、あの五日間は、そのきっかけに過ぎなかったのだろうか。
自慰をしても悶々として眠れず、それから酒を煽ってから寝直した。
宝玄仙たちとの別れの日がやってきた。
明日、童姉妹の操る船で去る。
その前夜、張天女の料理屋で別れの宴ということになった。
宝玄仙たちは、明日の朝、今度こそ本当に
その前に、李春は、もう一度彼女たちに礼を言いたかったのだ。
張天女の店の座敷席に、李春と張天女が準備した料理を並べ、宝玄仙、沙那、孫空女、朱姫の四人を招いた。
童姉妹も来させたかったが、明日の出航ということになれば、彼女たちには準備があるので、あえては呼ばなかった。
それに、童姉妹は明日から数日は、宝玄仙たちと同行するのだ。
別れが必要なのは、李春と張天女だけだ。
席は円形とした。
上座も下座もない。
李春は、席などどうでもよかったが、張天女がそうしようと言ったのだ。
料理が並べられた席に座った四人に、いきなり李春は床に手をついて頭をさげた。張天女もそれに倣って頭をさげている。
「どういうつもりだい、李春?」
宝玄仙が呆れたような声を出した。
「皆さんに、改めて礼を言います。わたしが、ここにこうしていられるのも、皆さんのお陰です。わたしは、女ひとりでなんでもできると思いあがっていました。その思い上がりが、今回のようなことを招いたんです。わたし自身の油断についても知ることができました。ありがとうございました」
一瞬、しんとなった。
しかし、すぐに沙那がその沈黙を破った。
「あなたも、わたしたちを助けてくれたわ。お互い様よ。それに、わたしたちは友達でしょう? 助け合うのにお礼はおかしいわ」
「そういうことだよ、李春。お前は、わたしが認めた友だ。また、必要があったら助け合おうじゃないか。とにかく、座っておくれ。お前たちがそうやっていたら食べられやしない」
宝玄仙が笑って言った。
李春と張天女が席につき、宴になった。
卓の上には、とても六人では食べられない量の肉料理、魚料理、山菜料理が並んでいる。
精一杯の料理は、張天女の気持ちなのだろう。
酒を嗜まない三人の供の前には果実水があり、宝玄仙と李春と張天女の前には蒸留酒がある。
この前は、宝玄仙は酒を飲まないと思って出さなかったのだが、飲まないのではなく、飲んでも大して酔わないので飲む必要がないということらしい。
それで今回は準備させた。
李春が飲みたいのだ。
それに、
李春は、酒が必要な身体になっていた。
酔わなければ眠れないのだ。
あの数日の調教で受けた嗜虐の影響か、いまだに満足な眠りがない。
なにかが李春の身体を不安で落ち着かない気持ちにさせるのだ。
おかしな夢を見ては、身体を異常に熱くしてしまう。
あの恥辱、あの屈辱、そして、あの快感……。
それを忘れるために、酒に酔うことが必要なのだ。
張天女は、酒を重ねるようになった李春を心配そうにはしているが、たしなめることはない。
あいつはなんとなく李春の心の苦しみを理解してくれているような気がする。
「ところで、あの童姉妹もお前の猫というのは本当かい、李春?」
しばらく取り留めのない話を続いた後、不意に宝玄仙が思い出したように言った。
「ま、まあ、そうですね、宝玄仙殿──。ときどき、そういうことをすることもあります。まあ、性愛というよりは、彼女たちとの情事は、運動のようなものですよ。性交をするときは、わたしが“立ち”になる場合が多い。それだけです。別に決まっているわけじゃないですよ」
李春は言った。
童姉妹との性交は、張天女を抱くときとは違う。
快楽を得て汗をかきたいために行うのであって、愛情を確かめ合うための行為ではない。
張天女を抱くときは逆だ。
張天女を抱くのは、愛情を交わし合うためという気がする。
李春は、張天女に対しては、自分のすべてを彼女にぶつける。
張天女はそれを一心を受けとめる。
それが嗜虐と被虐という性愛になる。
「じゃあ、童姉妹を借りていいかい? 前回はあっという間に掲陽鎮に戻ったから、そんな暇はなかったけど、今度は数日あるんだろう? あのふたりに、玉呑みと玉産みの芸を仕込んでおいてやるよ」
宝玄仙が笑った。
「もう、ご主人様──。余所の人にそんなことをするのは、自重してはいかがですか? それに、童姉妹はわたしたちを送ってくれるんですよ。酷いことしちゃ駄目ですよ」
宝玄仙の横に座る沙那が、宝玄仙をたしなめた。
「なに言ってるんだよ、沙那。余所の人なものかい。わたしと李春は友達だよ。そして、あいつらは李春の猫だ。そうなれば、それをわたしが抱いたって問題なんかありはしないよ」
「抱くのと、玉芸とはまったく違うじゃないですか──。いい加減にしてください」
沙那が怒鳴った。
宝玄仙は大きな声で笑った。
「まあ、童威子と童猛子が承知したら、好きなようにしてください。彼女たちも、情事そのものには不平はないと思いますよ。わたしには、あなたたちに興味があるようなことを言っていましたから」
李春は言った。
宝玄仙は満足そうな表情をした。
「……それにしても、驚いたよ。あの
宝玄仙が笑って酒を口にした。
「それについても、お礼を言います。お陰でこの漁師部落も、これからはより積極的な穆家の庇護を受けることになりましたから」
李春は言った。
詳しいことは聞かないが、宝玄仙は、穆公を「説得」して、これまでの中立的な立場を捨てさせて、はっきりと李春を擁護するような行動をとらせたらしい。
地方政府に対する影響力を駆使させて、駝濫一家がこれまでやってきた悪事に対する捕縛を実施させたのだ。
その結果、駝濫一家はほぼ壊滅し、その縄張りとしていた場所は、李一家が預かることになったようだ。
しかし、これで穆家がはっきりと李春の擁護者であることが明確になり、この漁民部落は、穆家の庇護を受けた独立した場所ということになった。
李春が求めていたかたちになったといっていい。
あの李保が、本当に李春を嵌めたのかどうかは、いまとなってはわからない。
李保からは、謝罪と見舞いの使者が来て、あのとき李春を連れていったのが、偽の役人と軍だとはまったくわからなかったと釈明した。
今回のことで、なにもせずに独り勝ちした感のある李家であるが、いずれは一矢報いる気ではいる。
「それにしても、てっきり連中は首を斬られるものだと思ったけど、牢城送りというのは罪が軽過ぎないかい?」
孫空女が肉を頬張りながら言った。
「それがこの国の現実なのよ、孫空女。女を不当に奴隷にして売るというのは、罪には違いないけど、この国では重罪には当たらないのよ。主立つ幹部が牢城送りというのは、むしろ重い方よ」
李春は言った。
孫空女が言っているのは、駝濫一家に対する処罰のことだ。
男の局部を切断して、城郭に放り捨てた青おろちと小太坊を含め、多くの幹部が軍に捕らえらたものの、その駝濫一家の幹部で処刑された者はいない。
彼らの罪は、正式の奴隷ではない女を浚っては、奴隷として売り飛ばしていたというものだが、その罪は重いものにはならなかった。
それに、彼らは、直接的な誘拐は、七絶のような者にやらせて、うまく証拠が残らないようにしていたのだ。
そう言えば、その七絶もいち早く逃亡していて、いまのところ捕縛されたという話は聞かない。
「処刑されないのであれば、あのとき、殺した方がよかったんじゃないですか、ご主人様?」
沙那が言った。
「そうだよねえ。男の性器を切り落とすなんて、一番残酷な仕打ちをしてから放り出すなんて、きっと、連中は脱獄してくるよ。そして、最初に李春のところにやってくるんじゃないのかなあ」
孫空女も続けた。
「でも、言われてみれば、牢城送りということは脱走の可能性もあるということだね。確かに、復讐にくるかもしれない。ここに残ってやりたい気もあるけど、わたしらも手配犯だし、お前に迷惑もかかるしね」
宝玄仙も心配そうな表情をした。
「それには及びません、宝玄仙殿。もう、わたしも油断しませんし、駝濫の連中が復活しても、太刀打ちできないくらいの武器と人を揃えます。それを簡単にやることができるくらいの財はあるんです。いままでは、溜め込んていただけでしたが、今回のこともあるし、しっかりと守りを固めるつもりですよ」
闇塩で儲けた財は、かなりの金額になっているが使い道がなくて、溜め込んである。
それを使うときだろう。駝濫一家が揃えていたような鉄砲で漁民部落を武装させるというのもひとつの手だ。
童姉妹を中心にして、私軍の水軍を整えるということもいいだろう。
独立する──。
李春はこれからのことをそう考えていた。
李家からも──。
そして、この国そのものからも独立する。
それは可能だと思う。
それから他愛のない話をした。
しばらくすると急に睡魔が襲ってきた。
*
「寝たね」
宝玄仙が言った。
「後はわたしが世話をします」
張天女は頭を下げた。
「これを鼻に嗅がせるといい。酒に仕込んだ昏睡剤は、あっという間に抜けて目を覚ますだろうよ」
宝玄仙は粉薬の入った匂い袋をくれた。張天女はそれを受け取った。
「……それから、道術なしで扱える性具は、いろいろと揃えておきました、張天女さん。二階に置いてあります」
朱姫だ。
「なにからなにまで──」
張天女は頭を下げた。
「まあ、あのときは、朱姫も迷惑かけたようだからね。その詫び賃も入っている」
宝玄仙が笑った。
「迷惑って……。あ、あたしは──」
朱姫が頬を膨らませた。
「黙りなさい、朱姫。確かに、お前が作った『変化の指輪』で張天女の姿に変身するために、張天女の絶頂した時の愛液を舐めなければならないというのは納得したわ。でも、気絶して痙攣が止まらないほど、責めたてる必要はなかったんでしょう──」
沙那が朱姫を叱った。
朱姫は、意気消沈した様子で顔を俯かせた。
そうなのだ。
張天女には霊具のことはわからないが、張天女が受けた説明によれば、朱姫は、宝玄仙の扱う変身霊具を改良して、朱姫の能力によって『変化の指輪』というものを作った。
だが、朱姫の作った『変化の指輪』では、変身をする対象の絶頂をしたときの精液か淫液を飲まなければならなということだった。
それには張天女も驚いたが、承知をするしかなかった。
李春を救出するためには、どうしても、『移動術』のできる者が李春のいる場所に連れていかれるようにする必要がある。
朱姫が張天女に変身して駝濫一家にわざと捕えられれば、青おろちはほぼ間違いなく、その張天女の姿の朱姫を、李春が監禁する場所に連れていくだろうと思った。
そして、実際にそうなった。
その後は簡単だった。あらかじめ刻んでおいた結界と、李春の前に連れていかれたときに新たに刻んだ結界を朱姫が繋いで『移動術』の道術を結んだ。
その結界を遣って、孫空女と沙那と張天女が李春の救出のために乱入したのだ。
「じゃあ、わたしらはこれで行くよ。李春によろしく伝えておくれ」
卓に突っ伏して眠っている李春に眼をやって宝玄仙は言った。
「またね、張天女」
「さようなら」
「李春さんと仲良くしてください」
孫空女、沙那、朱姫が別れの言葉を言った。
そして、微かに空間が揺れた気がした。
宝玄仙の姿が消える。
続いて三人の供──。
あらかじめ結んであった結界を使って、『移動術』で童姉妹の待っている船に移動したのだ。
「なにからなにまで、ありがとうございます」
張天女は誰もいなくなった空間に向かって、もう一度頭を下げた。
*
つんとする刺激臭を鼻に感じた気がする。
李春は突然に頭がはっきりとして眼を開けた。
どうやら眠ってしまっていたようだ。
「起きたのね、李春?」
張天女の声がした。
そして、ぎょっとした。
眼の前に素っ裸の張天女がいる。
そして、その股間には、男根を模した張形がついた革帯をつけている。
そんな張天女が仁王立ちになり、腰を手をやって、真っ直ぐに李春の前に立っている。
「んんんんんっ──」
どうしたのだと言おうとして、李春は自分の口がなにかの布を入れられて塞がれていることに気がついた。
布の塊りを口に入れられて、その上から手拭いを噛まされている。
「それは気に入ってくれた、李春? 李春が口に咬えているのは、わたしの下着よ。李春の口に入れようと思って、昨日からずっと履きっぱなしにしていたのものよ。おしっこをしても、いやらしいことを考えて股間が濡れても、絶対に拭かないようにしていたの。だから臭いでしょう? でも、変態の李春にはお似合いよ」
張天女が笑った。
李春は、確かに口に入れられた布から強い汚臭がするのがわかった。
そして、この時やっと気がついた。
李春は猿ぐつわをされているだけではなく、全身を拘束されていた。
そして、全裸だ。
ただの拘束ではない。
李春は素裸で椅子に座り、椅子の肘掛けに両腕と両脚を載せて縛られている。
しかも、両脚は膝の上部を肘掛けに縛られて、これ以上ないというくらいに開脚縛りにされていた。
胴体も首も椅子から離れないように縛られている。
李春はあまりの無惨な自分の姿に、羞恥で自分の全身が赤らむのを感じた。
「いい眺めよ、李春。その李春のなんにも生えていないお股も素敵よ。これから毎日わたしが剃ってあげるわね、李春」
「んんんっ──」
なにが起こっているのだろう。
眠っている間に裸にされて拘束されたようだが、どういうことだろうか。
ここは、さっきまで食事をしていた張天女の料理屋の二階のようだ。
宝玄仙たちはどこに行ったのか?
それにしても、張天女はどうしたのか──?
気でも違ってしまったのか──?
「さあ、これを見てごらん、李春」
張天女が大股開きで椅子に固定されている李春の眼の前に巨大な姿見を置いた。そして、李春の後ろに回る。
姿見に自分の姿が映し出される。
毛を毟られて無毛になった股間も、数日の調教でひと回り大きくなった肉芽も、そして、いまでも疼く気がする肛門も──。
それが無残に映し出されている。
李春は恥ずかしさに眼を背けた。
すると背後にいた張天女の指が李春の乳首と肉芽に喰い込んだ。
「んんっ」
痛さで李春は身体を仰け反らせた。
「眼を閉じちゃ駄目でしょう、李春。しっかりと姿見を見なさい──。あら、痛いのが好きなの、李春? あなたのお股はさっきの刺激で濡れてきたわよ。本当は、李春は縛られていやらしいことをされるのが好きなんでしょう?」
張天女が言った。
「んぐっ」
李春は狼狽した。
張天女の言葉を否定しようと思っても、否定のできない自分がいる。
あの監禁から解放されて以来、自分の中で問いかけ続けたのが、張天女のいまの言葉だった。
李春は、その自問自答を繰り返し、否定しては、その否定を疑った。
そして、また、自分自身に訊ねる。
もしかしたら、李春、お前は縛られていたぶられることに悦びを見出す身体になってしまったのではないかと……。
そんなはずがない。
あの卑劣な男たちに凌辱されて、恥辱を受け続けた日々──。
それをこの身体が求めるなど……。
「んんんぐぅっ」
再び乳首に張天女の爪が喰い込む。
「眼を逸らさないで、李春──。しっかりと自分を見るのよ。そして、自分で判断してご覧なさい。姿見に映しだされたあなたの股間を見てごらん。濡れているでしょう? ほらね。あたなは縛られて、苛められると興奮してくるのよ。それがいまのあなたよ」
張天女が李春の耳元でささやく。
本当に濡れている……。
確かに……。
自分に嘘はつけない……。
張天女にも……。
いま、李春は興奮状態になりつつある。
あのときの恥辱が身体に蘇る。
そして、それがどうしようもなく李春の身体を疼かせる……。
淫らに責めて欲しい……。
身体が疼く──。
疼くのだ。
熱い──。
苦しい──。
「んんっ」
峻烈な快感が襲った。
張天女が李春の乳房を揉み始めたのだ。
抵抗のできない李春の乳房が張天女の手により揉みしだかれる。
激しい官能の波が襲いかかる。
じわじわという快感ではない。
一気に途方もなく大きなものが李春にやってくる。
張天女の手がそんな李春の乱れを助長するかのように股間を愛撫しはじめる。
あっという間に峻烈な刺激がやってきた。
「んぎっ」
「眼を逸らさないのよ、李春。しっかりと眼を開けなさい。じっと見るのよ。自分を見続けるのよ」
眼を閉じた李春に乳首に張天女の爪が喰い込む。
仕方なく李春は眼を開ける。
李春の股間はますます淫らに濡れはじめる。
それを見続けるのは、どうしようもなく恥ずかしい。
濡れているのは張天女が与えている刺激によるものだけではない。
李春の身体の内側からやってくるものがどんどん李春を追いつめている。
身体が熱い……。
沸騰するような興奮……。
股間が焼ける……。
お尻が疼く……。
「ふんんっ」
姿見に映る李春の肛門が、張天女の指を深々と飲み込んだ。
大きな快感に身悶えした李春によって、椅子ががたがたと揺れる。
李春の肛門は、柔らかく張天女の指を飲み込んでいる。
淫らな欲情が沸き起こる。
張天女が李春を責め続ける。
かなりの時間、そうやって李春は張天女の一方的な愛撫を受け続けた。
あっという間に絶頂に達しそうになったが、するとすっと張天女の指が離れる。
そして 、しばらくしてから責めが再開される。
李春は狂乱した。
しかし、姿見から眼を離すことは許されない。
眼を逸らしたり、つぶったりすれば、容赦なく張天女の爪が李春の肉芽に食い込む。
「李春、犯してあげるわ」
やっと前に回った張天女が李春に言った。
李春の前に、股間に張形を付けている張天女の裸身が立つ。
その張天女が李春の猿ぐつわを外した。
口の中から張天女の下着が抜き取られる。
「さあ、言うのよ、李春──。どこを犯して欲しいの? いま、いちばん、犯して欲しいのはどこ? 自分に嘘は言わないのよ。わたしは、李春の望むことならなんでもやってあげるわ。どんな淫らな女にもなる。破廉恥なこともする。李春のためならなんにでもなるわ……。李春が必要なら、わたしは残酷で冷酷な嗜虐者になる。だから、言いなさい。どこを犯して欲しいの──?」
張天女がじっと李春の眼を見つめながら言った。
その視線が耐えられない。
しかし、視線を逸らすこともできない。
「言いなさい、李春──」
張天女が強い口調で言った。
この瞬間、李春は思った──。
張天女に征服されたい。
なにもかも忘れさせてほしい。
張天女のものになりたい……。
「お尻を──お尻を犯して……お願いします」
李春は叫んでいた。
「……わかったわ。じゃあ、お前の汚らしいお尻を犯してあげるわ」
張天女はそう言うと李春の股間に、自分の股間を押し出して張形を伸ばしてきた。
李春の股間は興奮でこれ以上ないというくらいに濡れていた。
女陰から溢れた淫液が肛門にも垂れ落ちていた。
その愛液にまみれながら張天女の股間の張形が押し入ってくる。
凄まじい快感が襲ってきた。
「あああっ──き、気持ちいいわ、張天女──」
李春は叫んでいた。
李春の肛門はほとんど抵抗なく張天女の股間のものを受け入れている。
「あ……ああっ……あああっ──」
なにかがやってくる。
張天女の股間の張形が律動を開始すると、怖ろしいほどの快感が李春に襲いかかった。
「い、いくっ──」
李春は大声で叫んだ。
真っ白い光が李春を包んだ。
「李春様──」
張天女が感極まった口調で名を呼んだ。
張天女──。
李春もまた愛しい恋人の名を叫んでいた。
快感が爆発する。
圧倒的な淫情の波が李春を襲う。
「今日からわたしが李春様のご主人様よ──」
張天女が叫んだ。
「ご主人様──」
李春は大声をあげた。
快感が弾け飛び、李春は恍惚の世界に自分を飛翔させた。
(第42話『女侠客無惨』終わり)
*
【西遊記:67回、大おろち(うわばみ)】
山道を進んでいた玄奘一行は、道の途中で老人とすれ違い、呼びとめられます。その老人は、この先は「
さらに、その老人に説明を求めると、山道を塞いでいるのは、正体不明に化物だと教えられます。
孫悟空と猪八戒は、玄奘と沙悟浄を待たせて、その正体不明の化物退治に挑みます。
ふたりは、夜になるのを待ち、山の奥に進み、化物を待ち受けます。
そこに現れたのは、巨大な大蛇(「おろち」、「うわばみ」ともいう。)でした。その途方もない大きさに、ふたりは苦戦します。
戦いの果てに、孫悟空はそのおろちに飲み込まれてしまいます。
しかし、それは孫悟空の策でした。
身体の内側から、おろちを攻撃した孫悟空は、おろち退治に成功します。
化物退治に成功した孫悟空と猪八戒は、玄奘たちに合流します。
困っていた村人たちも喜び、玄奘たちのために、お礼の宴を開いてくれます。
*
『水滸伝』:以下は、本来の水滸伝の登場人物の紹介です。
李俊(混江竜)→李春
闇塩密売をしていた掲陽鎮の侠客
梁山泊入山後、水軍総帥。序列第二十六位
張横(截江鬼)→張天女
船頭家業の傍ら追剥をしていた水賊の長
梁山泊入山後、水軍の将。序列第二十八位
李立(催命判官)→(七絶)、(張天女)
李俊の子分。宋江を毒殺しかけた居酒屋亭主
入山後も梁山泊で酒屋を開く。序列九十六位
童威(出洞蛟)→童威子
李俊の子分で童猛の兄
梁山泊入山後、主に水軍で活躍。序列六十八位
童猛(翻江蜃)→童猛子
李俊の子分で童威の弟
梁山泊入山後、主に水軍で活躍。序列六十九位
穆弘(没遮攔)→穆公
李俊や張横と縄張りを接する侠客
入山後、主に騎馬軍の長で活躍。序列二十四位
穆春(小遮攔)→穆遮蘭
穆弘の弟で侠客
入山後、主に歩兵軍の将校。序列八十位