277 奪われた道術[一日目(一)]
「うおおっ──」
宝玄仙の身体の上に乗っていた男が宝玄仙の女陰の中で精を放った。
しかし、宝玄仙は、離れようとする男を許さなかった。
そのまま、膣で男根を締めつけて、さらに搾り取る。
朱紫国の国都の軍営の地下牢だ。
おそらく、ここは拷問部屋かなにかだろう。
宝玄仙は、そこで五人の訊問係の兵に犯されている最中だ。
けしかけたのは、
それはともかく、いま、なぜか宝玄仙は道術は遣うことができない。
霊気はあるのだが、なぜか、道術を遣うという能力が失われている感じだ。
おそらく、なんらかの術により、道術を扱う能力だけが奪われたのではないかと思うのだがわからない。
とにかく、ここに連れ込まれて、眠らされているうちに、なにかの術をかけられたのだと思うしかない。
そう言えば、意識が回復する直後に、鈴の音とともに妖魔を見た気がした。
そのことと道術が遣えないことが関係ある気もするが、この状況ではそれ以上のことを探りようもない。
五人の兵は、宝玄仙を殴ったり傷をつけたりする以外はどんなことをしてもいいから、宝玄仙から三人の仲間の名を訊きだせと有来有去から命令されている。
それを口実に、五人はまずは宝玄仙の身体を愉しもうと、椅子に拘束されていた宝玄仙に襲いかかった。
椅子の手摺に縛られていた縄を一度解き、五人がかりで宝玄仙から衣服を奪い取った。
そして、首輪のように首に縄を巻き付け、それを頭の後ろで組ませた両手首を縛った。
宝玄仙もそうやって供を拘束することは多いが、首の後ろに両手を組ませる格好は、一番無防備な態勢だ。
両脇が曝け出されて、くすぐり責めであろうと、愛撫であろうと好きなように責めることができる。
宝玄仙は厳しい責めを覚悟したが、五人の兵たちは、そういう厭らしい責めをするつもりはなさそうだった。
ただ、凌辱をしようと、全裸にして両腕を拘束した宝玄仙を床に押し倒して犯し始めただけだ。
前戯らしい前戯もせずに、女陰に怒張を性急に押し込んで来ようとする兵たちは、宝玄仙から見れば、血気盛んなことだけが取り柄の青二才と同じだ。
どうやらこういう訊問には馴れていないか、ただ犯されるだけで屈服して泣き叫ぶ小娘ばかり相手にしてきたのだろう。
最初に押し入れてきた男根を膣圧で締めつけて、続けざまに三発出させてやった。
それで、もう勃たなくなった男は次の兵と交替した。
次の男も同じように精を出させる。
三人目はさすがに前戯に時間をかけるようにして、宝玄仙から余裕を失くさせる努力をしようとした。
乳首を舐められたときには、電撃のような刺激が加わり、思わず身体を仰け反らせた。
幸いにもその男もしつこい性癖はないようだった。
ちょっとした言葉で誘うと、宝玄仙の女陰に肉棒を入れたがった。
挿入しながら後ろの肛門を指で責められたときには最初の気をやった。
しかし、やはり、宝玄仙の余裕がなくなるよりも、三人目の男が果てる方が早かった。
さすがに四人目にもなると、宝玄仙が感じる場所を責めてくるようになった。
宝玄仙が達する回数も多くなった。
何度か宝玄仙が頂上を極めた後で、やっと四人目が終わり、五人目になった。
五人目は宝玄仙にのしかかるのではなく、自分の腰の上に宝玄仙を載せるようにして、宝玄仙を揺さぶった。
この頃には宝玄仙も断続的にやってくる快美観に身体が崩れ落ちるような感覚を味わい始めてきた。
五人目は宝玄仙の双臀を両手で抱きかかえるようにして、菊門を指で強く圧迫した。
宝玄仙は激しい啼泣を洩らしながら、五人目も続けて数発の精を出させるということをやった。
宝玄仙を離した五人目に代わって、いま、最初の男がもう一度宝玄仙にのしかかっている。
また、二発続けて放たせたから、その兵の肉棒は宝玄仙の中で完全に柔らかくなり存在感を失った。
肉棒とともにたくさんの精がどろりと外に出ていくのがわかった。
「もういい、やめろ」
大きな声が地下牢に響き、再び宝玄仙に組みつこうとしていた兵が、はっとしたように、宝玄仙から退いた。
「女ひとりくらい屈服させられないのか、お前たちは──。さかりのついた犬みたいに女の股に肉棒を入れることを繰り返すだけで、そんなことで、この女が堕ちるわけがないというのがわからないのか──。もういい、役立たずになった肉棒をしまえ」
意気消沈したように五人の男たちが下袴を履いて服装を整えだした。
宝玄仙は両腕を首の後ろに拘束されたまま、身体を捩じって上半身だけを起こした。
「次は、お前かい、有来有去? 今度はこのわたしを少しくらい愉しませてくれるんだろうねえ。それとも、そこの五人のようにあっという間に果てて、恥ずかしい思いをするのかねえ」
宝玄仙は言った。
しかし、有来有去は、そんな宝玄仙を余裕のある表情で眺め回しながら、声をあげて笑った。
「最初に見たときには、怖ろしいほどの美術品みたいだと考えて、この身体をたった五日後には処刑してしまうなんて惜しいことだと考えただけだけど、いやいや、これはたまげた女傑ぶりだね。もう、訊問なんてどうでもよくなったよ。君のような女を屈服させてかしずかせてみたいものさ」
「そうかい? まあ、このわたしを御せると思うのなら、なんでもやってみるんだね、お坊ちゃん」
宝玄仙は挑発したが、有去有去はそれほど反応はしなかった。ただ、愉快そうに頬を綻ばせただけだ。
「どうだい、本当に無罪放免で釈放してもいいよ。俺の妾になると誓えばね。ただ、鎖に縛られて俺の屋敷ですごすだけだ。うまいものは食わせるし、綺麗な服と温かい寝具は保障するよ。ただ、三人の仲間の女の名だけは教えてくれよ。それだけでいい」
有来有去は宝玄仙の前にやってきて、腰に手を当てて宝玄仙を見下ろしている。
宝玄仙は、この男の表情から、なにか違和感を覚えた。
やがて、その違和感の正体が、この男が宝玄仙からなにかの情報を聞き出そういうのではなく、純粋に宝玄仙という女に興味を抱いているということが悟れるような態度からくるものだとわかった。
単になにかを白状させるためであれば、ほかに方法がある。
色責めにしようとしたから宝玄仙が五人の兵たちを返り討ちのようなかたちになっただけで、普通の拷問には宝玄仙は耐える自信はない。
名前くらいはあっという間に白状させられるに違いない。
この男にとっては、その言葉の通り、本当に宝玄仙がなにかを自白しようが、すまいがどうでもいいことのようだ。
純粋に宝玄仙とのやりとりを愉しんでいる。
そう思った。
それは直感だ。
「それより、おいでよ、有来有去──。お前もあっという間にいかせてやるよ」
宝玄仙は拘束された身体を振って、これ見よがしに乳房を揺らしてみせた。
しかし、有来有去は余裕のある表情で、壁の取っ手を操作した。
すると、床がせりあがった大きな台が出現した。
「お前たち、宝玄仙を載せろ」
台の高さは立っている男たちの腰の高さくらいだ。
有来有去の指示により、宝玄仙はその台の上に仰向けに載せられた。
大きく脚を開かされる。
台の上に有来有去が手をかけた。
その直後になにかの道術が加わったのがわかった。
「あっ」
思わず声を出す。大きく開いた脚がなにかに固定されたように動かなくなったのだ。
さらに腰の下の部分が少しずつ上側に浮きあがる。
頭ひとつ分ほど上がったところでそれはとまった。
「確かに、この女を三刻(約三時間)で堕すのは無理な話だな。三日はかかるだろう。しかし、お前らのやり方だと三日どころか、一箇月かかってもこいつは堕ちないぞ」
そして、有来有去の命令で男たちの精で酷い状態になっている宝玄仙の股間を布で拭かれた。
男たちに股間を拭われるのは快感というよりは嫌悪感だ。
高まりつつあった欲情も一気に冷めた。
「最初に言った通り、なにかを喋ろうが、喋るまいが五日後には刑の執行が始まる。結界牢を襲撃して死刑囚を逃がした者は、死刑だと決まっている。本来は訊問や裁きなどなにもない。ただ、処刑されるだけだ」
「そうかい。処刑は五日後かい」
動揺を悟られないようにうそぶいたが、案外に時間がないと思った。
なんらかの理由で、道術が遣えない以上、最早、沙那たちに頼るしかないが、助けにきてくれるだろう……?
それとも、処刑までに道術を復活できるか……?
「しかし、お前が実行犯でないとなれば、話は別だ。俺は、お前のようにいい女が、ただ処刑台で首を吊られて死ぬのは惜しいと思う。逃げた仲間の名を言え。後は俺がなんとかしてやろう。お前については、せいぜい流刑くらいで済むようにできる」
冗談じゃない──。
供たちを身代わりにして、自分の命を助けることなど考えられるわけがない。
しかし、いずれにしても、まだあの三人が捕えられていないというのは事実のようだ。
逆結界の罠により、『移動術』の出口を無理矢理に変更させられて、ここに捕らわれたが、すぐに結界を遮断した。
あの襲撃の場所に三人は取り残されたはずだが、なんとか逃げ延びてくれたに違いない。
「頑なだな……。もう少し、心をほぐしてはどうだ?」
有来有去がそう言いながら開脚している宝玄仙の脚の付け根を緩やかにさすり始めた。
「くっ」
その瞬間、悪寒のようなものが宝玄仙に走った。
軟体動物に触られているような気持ち悪さが伝わってきたのだ。
だが、同時に身体の奥から快感も沸き起こった。
宝玄仙がこれまでに味わったことのないような肌の感触だ。
その手が太腿の付け根をさすり続ける。
ぞくりとするような淫情がどんどんと発生する。
股間の奥の部分が熱くなる。
男たちの精で汚れた部分に、宝玄仙の淫液がどっと溢れたのがわかった。
局部を直接触っているわけでもないのに、この異常な感触が信じられない。
しかし、ねっとりとした有来有去の指の感触は、宝玄仙の耐えているものを容赦なく表に抉り出していくような気がした。
確実に宝玄仙の気持ちのいい場所をついてくるし、無理矢理に快感を表に引き上げられる。
身体中の感覚が有来有去の指が動く場所に集中していくようだった。
これはまずい……。
宝玄仙は戦慄した。
この指で本格的に触られたら、間違いなく宝玄仙の理性はどこかに飛翔する。
「気の強い口調は実は弱さの裏返しか……」
有来有去の指がつつっと上半身側にあがる。
宝玄仙が緊張して身構えたのをあざ笑うかのように、局部そのものはぎりぎりのところで避けて臍に這い、そして身体の中心を通ってふたつの乳房の裾野をくるくると撫でまわる。
「はああっ……」
宝玄仙は思わず甘い息を吐いた。
これ以上耐えられなかったのだ。
激しい淫情が全身を駆け巡っている。
まだ、有来有去は愛撫らしい愛撫すらしていない。
しかし、この男の巧みな手管は、完全に宝玄仙を翻弄して追い詰めている。
「ああっ──」
こらえようのない嬌声が口からこぼれる。
台に張りつけられている身体が、自然に跳びはねるような感じで浮きあがる。
「お前の強い部分はさっき見た。今度はお前の弱い部分を見せてもらう」
有来有去は痛いくらいに宝玄仙の裸身を凝視している。
宝玄仙の仕草のすべてを見逃すまいとしているかのようだった。女体の反応を確かめながら、宝玄仙の脇や横腹を擦りあげていく。
「あ、くうっ……い、いやっ──」
全身の力が奪われる。
身体そのものが溶けていくような恐怖が走る。
その感覚を必死になって振り切ろうとした。
快感で絶頂することは恐怖ではない。
しかし、この有来有去から与えられる快感は危険だ。
宝玄仙は本能でそれを悟った。
「あっ、あっああっ……」
宝玄仙は乳首に加わる手を少しでも避けようと身体を身悶えた。
しかし、ぺったりと吸いつくように台に張りついた身体はほとんど動かない。
快感があがってくる……。
じわじわと──。
すぐ、そこまで──。
激しくはない……。
しかし、確実に……。
怖い……。
このままいくのは怖い。
宝玄仙は焦った。
この快感は危険だ──。
「お前のことはよくわかるぞ。取りあげた道術は恐ろしいほどの大きさだったようだな。そんな強大な道術が、心の弱いお前に備わってしまった。それが本当のお前だ。本当のお前は弱いのだ」
有来有去の指が乳首で動き続ける。
無理矢理に引き起こされる不快な快感に、宝玄仙は気持ちの悪ささえ感じてきた。
「あっ、ああっ、や、やめろ、や、やめないか……ああっ」
「しかし、強すぎるお前の霊気は、お前が弱く振る舞うことを許さない。そして、お前は弱い部分を人に見せたくなくて、いつも強い部分を外に出そうとする。しかし、それは本当のお前とはかけ離れたものだ。その精神の隔たりが異常な性欲や性癖を求めるのだ。弱い部分を曝け出せば、お前の心の中にある石のようなものは取り除かれる」
宝玄仙に恐怖が走る。
心を抉られる恐怖だ。
この男は、単に宝玄仙の快感を引きだしてあられもない姿を晒させようとしているわけじゃない。
宝玄仙の心を抉りだそうとしている……。
有来有去の手が乳房にも伸びる。
しかし、敏感な乳首そのものには無関心を装うかのようにその周辺ばかりを探っている。
そのため、却って宝玄仙は墳情を堰きとめられて、どんどん沸き起こる快感に膨れあがりそうな感覚になっている。
浮きあがるような陶酔があるのに、それが果てしなく苦しい。
「この快感が怖いのか、宝玄仙?」
有来有去が心を見透かしたようにささやいた。
心の中のことを言い当てられて、宝玄仙はびくりとした。
「俺にはお前の性感帯が手に取るようにわかる。乳首……。ここを刺激すればあっという間に達するだろう」
有来有去の指が無造作に乳首に伸びた。
くりくりと回される。
「んんあああっ──」
摘ままれた乳首から全身に快楽の爆発が起こった。
一瞬にして頭が真っ白になり、脳が溶けるような衝撃とともに、宝玄仙は激しく絶頂した。
「おう」
「す、凄い」
驚いたような声は、台を取り囲んでいた五人の兵たちだ。
宝玄仙は乳首を責められて達するとともに、股間から潮のようなものを噴き出させてしまった。
それで男たちが声をあげたのだ。
「ここは特殊な媚薬で神経を鋭敏にされてしまって、快感を発生させる逆鱗のようになっている。この女を責めるにはここだ。覚えておけ、お前たち──。そして、ここもだ」
「そ、そこは──」
宝玄仙は悲鳴をあげた。
有来有去の指がいきなり肛門の入口に触れたのだ。
「ひぎいいいっ──」
宝玄仙は発狂したような声をあげてしまった。
しかし、狂おしいほどの刺激を与えたかと思ったら、有来有去の指はすぐに肛門から離れた。
あのまま責められていたら、達したばかりの身体が再び絶頂したのは目に見えている。
宝玄仙はほっとした。
しかし、それでいて、快感を無慈悲に奪い取られたような切なさも感じた。
そして、そんな風に感じてしまった自分に戦慄した。
「あのまま尻を責めて欲しかったのか、宝玄仙?」
有来有去がからかうような声をかけた。
宝玄仙ははっとした。
つい欲情そのままを表に出してしまったことを後悔した。
「じゃあ、望み通りにしてやろう」
「ひうっ──」
一度離れた有来有去の指が再び肛門に戻って来た。
宝玄仙の股間から流れる愛液を利用して、簡単に肛門の中に潜りこんでくる。
強烈な快美感が襲う。
四肢が溶けるような愉悦だ。
宝玄仙は恐怖した。
身体が痙攣したように震えるのを感じながら、すぐにやってくる絶頂に備えた。
しかし、有来有去はさっと指を引き揚げた。
「お預けだ。もういきそうだったか?」
有来有去の嘲笑うような哄笑に、周りの兵たちも一緒に声をあげて笑った。
そして、また宝玄仙の肛門に指を這わせ始める。
確実に宝玄仙の弱い部分を突いてくる有来有去の手管に宝玄仙はあっという間に再び押しあげられる。
有来有去の指が肛門を抉り、指で無防備なお尻の内側を擦られて宝玄仙は絶頂を極めかかった。
しかし、その瞬間を狙ったように、またもや、宝玄仙の肛門を責めていた指がとまる。
「くうっ」
反応すまいと思うのだが、どうしても有来有去の指は宝玄仙の身体から激しい反応を引き出してしまう。
有来有去の指は意地悪く、宝玄仙の尻を責めたてた。
絶頂しそうになると指の動きを止めたり、すっと抜いたりする。
それでいて、絶対に菊門からの刺激はやむことはない。
有来有去の技巧は信じられないほど卓越したもので、宝玄仙は言語を絶する切なさと快感の痺れを味わい続けた。
発散のできない快感が苦しい──。
宝玄仙の身体から完全に余裕がなくなる。
絶頂に対する激しい欲望が、宝玄仙の中で荒れ狂う。
有来有去は、どこまでも執拗だった。
あと一歩どころではない。
まさに絶頂の寸前で宝玄仙から快感を引き揚げてしまう。
限界まであがった昂ぶりをあげては下げられる宝玄仙は、もうおかしくなりそうだった。
有来有去は執拗だった。
感情のない機械のように、ぎりぎりまで責めてはやめるということを続ける。
懸命に耐えていた宝玄仙も、焦らしが二刻(約二時間)続くと、さすがに自制心を制御できなくなった。
そして、またしても九分九厘のところまで快感が追い詰められてから、さっと指が離れようとした。
「や、やめないでっ──」
たまらず叫んだ。
しかし、次の瞬間にそんな風に哀願させられたという恥辱が宝玄仙を襲った。
室内に一斉に哄笑が湧いた。
宝玄仙は歯噛みした。
これは拷問だ──。
宝玄仙は悟るしかない。
垂涎する快楽への欲望を眼の前にちらつかせるような陰湿な責めだ。
しかし、耐えられるものじゃない。
口惜しさに頭に血がのぼる。
「そろそろ、仲間の名を言いたくなったんじゃないのか?」
有来有去が笑いながら言った。
「じょ、冗談いうんじゃないよ」
宝玄仙は叫んだ。
しかし、その自分の眼から涙がつっと流れるのを感じた。
宝玄仙は驚いてしまった。
「焦らし抜かれて血がのぼったか、宝玄仙? 時間はたっぷりあるぞ。どこまで耐えられるんだ?」
有来有去が指でとんと肛門の入口を突いた。
「ひううっ──」
それだけで大きな嬌声をあげてしまい、そんな宝玄仙の姿を見て回りの男たちが笑いこけた。
「お前ら、また少し掃除してやれ。これじゃあ、あまりに濡れすぎだ」
有来有去はさらに時間をかけて宝玄仙を責めるつもりのようだ。
有来有去の指が離れると、周囲の兵たちがわらわらと宝玄仙の股間を布で拭きはじめた。
あまりにも繰り返された限界までの焦らし責めで、宝玄仙の身体は焼き焦がれるような状態になっている。
今度は兵たちの与える刺激にも耐える余裕がない。
布で股間を拭かれる刺激に、身体を悶えさせて、甘い声と息を出させられる。
すると、首になにかを巻かれた。
よくわからないが、細い革紐ようなものが首に張りついたのだ。
なにかの霊具の予感がする。
「な、なにを巻いたんだい、有来有去?」
宝玄仙は声をあげた。
「お前の性感を管理する霊具だ。この革紐は霊具だ。それをしている限り、お前は絶対に絶頂できない。絶頂しようとしても首輪に込められている道術がそれを頭に伝えるのを阻止して、絶頂の感覚は遮断されるのだ」
有来有去は優越感に浸った表情をした。
「こ、これ以上、苦しめようというのかい……」
宝玄仙はあまりもの悔しさに有来有去の顔を睨みつけた。
「もちろんだ、宝玄仙。何度でも言うぞ。供の名を言え。名前くらいどうってことないだろう。どうせ、連中は逃げている。お前が名を言うのと、連中が捕まるということとは別のことだ。名を明かしたくらいでは大して事態は変わらん。俺は、ほんの少しでもいいから、お前が屈服したという証をみたいだけだ」
沙那……孫空女……朱姫……。
その名が喉まで出かかっている。
しかし、最後の最後の一線で留まっている。
言えない──。
一度、なにかを喋れば、この男から次々にすべてを白状させられる。
宝玄仙は懸命にこぼれかかる言葉を堰きとめる。
「沙那、孫空女、朱姫──。そうか……。教えてくれてありがとう」
有来有去がにやりと微笑んだ。
宝玄仙の眼が恐怖で大きく開くのがわかった。
いま、自分は口には出さなかった……。
心を読まれた?
「その通りだ、宝玄仙……。俺は、淫情に溺れさせることにより、道術を遣える者の心を読むことができるのだ。俺の前では、道術で遮断しない限り、隠し事は不可能だ。そして、お前はその道術を奪われている。お前の身体が快感や淫欲でいっぱいになればなるほど、俺はお前の心を読めるというわけだ。俺の訊問が色責めである理由がわかったか?」
有来有去は言った。
宝玄仙は呆然とした。
そして、絶望的な気持ちになった。
「お前たち、宝玄仙の股間を拭き終わったら、この油剤を身体中に塗れ。身体の快感を数倍にする油だ」
どこからか取り出した小壺が台の上に置かれる。
それを手に取った兵たちが宝玄仙の身体に油剤を塗りたて始める。
宝玄仙の心に本物の恐怖が走った。