もうどうにでもなれという気持ちだ。
後手に緊縛された身体を朱姫に抱きしめられながら、宝玄仙は朱姫の唇に唇を合わせた。
口を割り込んで入ってくる朱姫の舌は、宝玄仙の脳髄を恍惚とさせるほどに心地いい。
その甘い絹のような舌触りに、股間までが痺れるような思いだ。
「あ、ああ……」
朱姫が口を離すと同時に自然に声が出た。
全身が酔ったように脱力してしまった宝玄仙は、朱姫の裸身にぐったりと身体を預けてしまう。
「ふ、ふ、ふ、ご主人様、可愛い……」
朱姫の手が乳房に伸びた。
稲妻に打たれたような快感が乳房から迸る。
しかし、喘ぎ声をあげるのを邪魔するように、朱姫の舌が再び口に入ってくる。
息の苦しさが宝玄仙の脳を痺れさせたようにさせる。
最初に天井から両手を吊られて立位で責めを受け、次いで、膝を開いて拘束されて後手縛りにされた。
いまは、脚の拘束はなく、両腕を縄で後手に拘束されているだけだ。
その宝玄仙の裸身を裸になった朱姫が責めている。
全身に掻痒剤を塗りたくられて恐ろしいほどの感度になっている身体を朱姫の手管が責めるのだ。
まだ始まったばかりだが、すでに宝玄仙は、もう何度も小さな絶頂を繰り返していた。
頭は朦朧として、自分から動くことができない。
「すっかり、大人しくなっちゃいましたね、ご主人様」
やっと口を離した朱姫が言った。
「準備できたわ、朱姫」
「あ、あたしもご主人様に奉仕するよ」
服を脱いできた沙那と孫空女も宝玄仙に寄ってきた。
そして、三人の裸の供が囲む真ん中に座らせ直される。
三人の六本の手が、宝玄仙の全身に這いまわる。
「あ、ひいぃ──」
乳房と股間と肛門はもちろん、太腿や横腹、背中、耳、膝、臍、脚の指……。
全身の敏感な場所のあちこちに三人の温かくて柔らかい手が動いて、刺激を加え続ける。
全身の急所を同時になぶられている宝玄仙の身体は、あっという間に快感が走り抜けて、ただれたように熱くなる。
今夜は久しぶりに官能に泥酔している──。
宝玄仙は痛さともまがうような激しい快楽を受けながら思った。
三人の誰かの指が女陰に喰い込んで中を刺激した。
その部分が火のように鋭い快感に襲わる。
声をあげた。
身体のどの部分にも力を入れることができない。
女陰の指に気をとられると、他の部分が疎かになり、対応できない。
しかし、全身に与えられる快楽の全てに備えることなどできるわけがない。
だから、ただ、翻弄されるだけ。
なにもできない……。
道術もない……。
三人から受ける刺激を避ける一切の手段がない。
それが与える恍惚と官能に宝玄仙は、激しい快感の酔いを覚えていた。
もっと、苛めて欲しい……。
これが、被虐の悦びなのだ。
もっと……。
なにもかも忘れるくらいに快楽浸けにして欲しい……。
宝玄仙の心が叫んでいる。
その叫びが聞こえているかのように、沙那と孫空女と朱姫の三人は、拘束された宝玄仙を責めたてている。
「も、もっと……」
心からの声だ。
宝玄仙は、躊躇いなく哀願していた。
既にどうしようもなく宝玄仙の身体は熱く疼いて燃えあがっている。
媚薬は宝玄仙の身体の芯まで溶かしきっている。
それでいて、なかなか与えられなかった刺激に、宝玄仙は激しく責められるのを渇望するような気持ちになり、いつの間にか、それは名状のできない不思議な被虐の快美感となった。
宝玄仙は熱っぽく喘ぎながら、本当にこの三人に奴隷として仕えてもいいような気持ちになっていた。
宝玄仙の心に潜む奴隷の心──。
それが供たちによって露わにされる……。
その快感と恥辱──。
宝玄仙は、それに酔っていた。
「ご主人様、ここ熱いよ……」
孫空女の甘い声が耳元で聞こえた。
同時に女陰に深く入り込んだ指がくねくねと動く。
いま、感じているのは孫空女の指なのだ。
宝玄仙は与えられる刺激を通じて孫空女を感じていた。
男勝りの強さとは異なり、被虐性に富む従順な女の心を持つ孫空女──。
それでいて、女ながらも荒れくれ男たちを従えて東方帝国の五行山に巣食う盗賊団の首領をしていた女傑──。
その女を宝玄仙の性奴隷にすると一方的に宣言して、裸で街道を歩かせたのは、つい昨日のことのようだ。
あれから三年──。
この孫空女は、その力と技で、宝玄仙と仲間を護り続けてくれるなくてはならない存在になった。
必要以上に前に出ることはないが、大事なときには、しっかりと全体を自然に仕切る舵取りをすることもできる。
清濁を併せ呑む包容力もある。
なによりも、宝玄仙の霊気を帯びた副産物とはいえ、あの力と敏捷性は凄まじい。
たったひとりで、百人でも二百人でも相手にしそうな列女だ。
だが、三人の中では、誰よりも宝玄仙からの責めを歓ぶ甘えん坊でもある。
そんな魅力的な女傑が、宝玄仙を女主人として認めて、心から従ってくれる。
それを感謝すべきなのかもしれない。
宝玄仙は孫空女の指を女陰で感じながら思った。
「ひううっ──」
そのとき、つるりと宝玄仙の肛門に指が入り込んだ。
尻をなぶられるという浅ましさと恥ずかしさが気持ちいい……。
肛門を責められる快感で戦慄が走る。
身体が溶ける……。
尻を触られるのには、いまでも大きな恥辱を覚える。
浅ましいと思う。
そして、惨めだ。
その惨めさがいい。
闘勝仙たちに尻を調教された。
どうしようもなく尻で欲情する身体に無理矢理させられた。
尻で受ける刺激は、あの屈辱の二年を思い起こすきっかけだ。
しかし、その快感がいい。
「い、いいっ……」
付け根まで入った指が遠慮のない動きで肛門に内襞をまさぐり動く。
そこが熱い。
身体の震えがとまらなくなる。
宝玄仙の全身の脂汗が沙那や孫空女や朱姫の肌になすりつく。
前後の孔で動いている二本の指のほかにも、全身を他の手が動いて、刺激を加え続ける。
「ご、ご主人様、気持ちいいんですね……。わ、わたしも、そんなご主人様を見ていると、変な気持ちになってしまいます」
沙那が上ずった声でささやいた。
肛門を責めているのは沙那のようだ。
「あら? じゃあ、朱姫は沙那姉さんを責めてあげましょうか?」
朱姫が笑いながら、沙那の身体に手を動かした気配がした。
その途端に沙那の身体がびくりと跳ねあがった。
「ひうっ──。ちょ、ちょっと朱姫……。わ、わたしじゃなくて……こ、今夜はご主人様……や、やめてっ──」
なにをされているかわからないが、沙那の身体全体が狼狽したように暴れはじめた。
しかし、その沙那の指の一本は宝玄仙の肛門に喰い込んでいるのだ。
沙那の乱れが、宝玄仙の肛門に伝わり、宝玄仙もまた、嬌声を絞り出される。
「はひっ──、お、お前たち、あ、暴れるんじゃないよ──あくっ──」
その振動に翻弄されて、宝玄仙はあっという間に気をやってしまった。
「いやあっ」
それとともに、沙那もまた達したようだ。
沙那の身体が宝玄仙にもたれかかるようになって、甘い声をあげながら身体を震わせた。
「相変わらず、玩具のように敏感ですね、沙那姉さん。こんなにあっという間にいってしまう女性なんて、きっとこの世に沙那姉さんしかいないかもしれませんよ」
朱姫が悪戯っ子のように笑った。
「あ、あんた、承知しないわよ──」
沙那が真っ赤に上気した顔で朱姫を睨んだ。
「承知しなければどうするんですか、沙那姉さん──」
「やめなったら、ふたりとも」
孫空女が言った。
ふたりは、それで我に返ったように、お互いに苦笑してから宝玄仙に向き直る。
考えてみれば、沙那こそ宝玄仙の無垢の被害者と言えるだろう。
宝玄仙は思った。
手酷い手段で供にしたというのは三人とも同じだが、孫空女はもともと、宝玄仙を襲おうとした女盗賊だし、朱姫は事もあろうに、人の世界に絶望して、妖魔になろうとして宝玄仙の肉を食おうと襲った半妖だ。
宝玄仙が返り討ちにして、痛めつけるだけの大義名分はないこともない。
しかし、沙那だけは別だ。
沙那は、東方帝国の愛陽という城郭の若い女の千人隊長であり、宝玄仙の世話をするために、愛陽に滞在中に限定して、宝玄仙の近くに護衛として侍った娘だった。
その沙那の可憐さと身体に潜む淫情に眼をつけた宝玄仙は、卑劣な手段で沙那を泥棒に仕立てて、しかも、『服従の首輪』の霊具で、身体を操り状態にして強引に供として連れてきた。
最初の頃には、沙那の激しい恨みと怒りを常に感じていて、そんな沙那を道術で性奉仕させることに、宝玄仙は途方もない嗜虐の愉悦を感じたものだったが、この沙那もいつの間にか、宝玄仙に無私の奉仕と愛情を注ぐようになってくれた。
とても頭がよく、気立てもいいこの女は、どこの土地でもひとりで生きていけるだけの力もある。
だが、沙那は宝玄仙から逃亡したりはしない。
それどころか、それこそ、命懸けで宝玄仙を襲うものと戦ってくれる。
なにが沙那を変えたのか……?
この自分のどこに、沙那はその代償のない奉仕を捧げ続ける価値を見出しているのだろう……?
宝玄仙はいまでもわからない。
そして、朱姫……。
無邪気で、小悪魔的で、子供なのか大人なのかよくわからない精神を持つ半妖……。
見かけは人間の娘だが、その筋力と霊気は、間違いなく妖魔の大きな力の血を持つ。
まだ育ちかけの霊気で見せる途方もない道術は、宝玄仙でもたじろぐほどだ。
あと数年……。
数年すれば、もしかしたら、この朱姫は宝玄仙を凌ぐ霊気と道術を開眼するのかもしれない。
小さい頃に両親を人間に殺され、生まれながらの妖魔の力を遣い、たったひとりで生きてきた朱姫──。
両親を人間に殺されても、さらに、可愛らしい容姿が災いして何度も人間の男から襲われそうになっても、それでも、朱姫は人間を憎むことなく、家族を渇望して生きてきた。
朱姫と出遭ったのは、朱姫にとっても、宝玄仙たちにとっても、なにかの加護だったのかもしれない。
この無邪気さ……。
この可憐さ……。
この淫乱さ──。
それはもう失いたくないものだ。
家族としての愛情を注ぐ朱姫がいてくれるお陰で、この四人が本当に“家族”なのだという気持ちを感じることができると思う。
「じゃあ、そろそろ、朱姫からいきますね」
朱姫が一度宝玄仙から離れた。
すると沙那と孫空女が宝玄仙を両脇から支えるようにして、跪いたまま身体を前に倒すような格好にした。
ふと見ると、朱姫の股間が双頭の張形の半分を咥えていて、朱姫は、無毛の股間から黒い張形を本物の男根のようにそそり勃たせている。
その朱姫が、宝玄仙の眼の前に立っていた。
「舐めてください、ご主人様」
朱姫の股間から突き出た張形が、宝玄仙の顔の前に出された。
宝玄仙はそれほど躊躇いもなく、その張形を口に咥えた。
朱姫の股間から溢れている愛液の匂いが宝玄仙の鼻に入ってくる。
朱姫の手が宝玄仙の頭を持ち、まるで幼女の頭を撫ぜるように、朱姫が宝玄仙の髪に触れる。不思議な温かさをその朱姫の手から感じる。
宝玄仙は、張形に舌を這わせて、自分の唾液を張形にまとわりつかせながら、朱姫を男性として奉仕しているような錯覚を感じ始めていた。
「もういいですよ、ご主人様……」
朱姫が一度離れた。
そして、背後に回り、両手で宝玄仙の腰を掴む。
「はうっ」
宝玄仙は息を吐いた。
朱姫の股間から出ていたものが、宝玄仙の肛門にすっと入ってくる。
「はっ、はっ、はっ──」
尻に凄まじい快感が走る。
気持ちいい──。
信じられない快美感が責められる肛門からやってくる。
以前から肛門は宝玄仙の弱点だったが、改めて感じやすい器官として調教され直した。そんな感じだ。
もしかしたら、有来有去から受けた宝玉への責めが、新しい快感を肛門が産みだすようになったかもしれない。
「つ、次は、わたしです……」
快感に恍惚としていた宝玄仙の前に、また張形が出された。
二本買ってきた双頭の張形のうちの残りの一本だ。
股間に挿しているのは沙那だ。
自分で女陰に挿したのか、沙那はそれだけで淫情が全身からこぼれそうになっている。
沙那がすっと張形の半分側を宝玄仙の口に伸ばした。
宝玄仙は、黙ってそれを口に含んだ。
「沙那姉さん、それを前後に動かしてください」
後ろから宝玄仙を犯している朱姫が言った。
「そ、そんなの……」
沙那が真っ赤な顔をして身悶えをする。
この感じやすい女は、そんなことをすれば、自分が快感を受けてしまうのでたじろいでいるのだ。
宝玄仙は口に入れられた張形を自分からしごくようにして動かし、張形越しに沙那の女陰を刺激してやった。
「あひん──」
沙那が甘い声をあげて、姿勢を崩す。大した刺激ではないのに、もう、切羽詰まったように翻弄されている。
本当にこの沙那は感じやすい……。
「ご、ご主人様、沙那姉さんに悪戯する余裕なんてないですよ」
朱姫が後ろからどんと突いた。
「ほごおぉっ」
全身を突き抜ける衝撃に、宝玄仙は吠えた。
全身を官能の痺れが貫く。朱姫の股間から突き出ている張形が宝玄仙の肛門の中で前後に動き続ける。
もの凄い快感が走る。
快感と苦痛……。
口と肛門を同時に張形に挿されて、まるで全身を張形に貫かれているような錯覚が走る。
沙那の張形が口から抜かれた。
次の瞬間、ふわっと身体が浮いた。
驚いたが、宝玄仙の身体が持ちあげられている。
孫空女が横から引き揚げているのだ。
「はひいいぃぃぃ──」
肛門に貫かれたまま身体を持ちあげられ、肛門に強い摩擦感が加わった。
堪らず宝玄仙は悲鳴をあげた。
さらに身体が浮き、床にお尻をつけて座った朱姫の上に乗せられた。
宝玄仙の身体が小さな朱姫の身体に載ったようなかたちになる。張形は肛門に挿入されたままだ。
両脚が大きく開かされた。
女陰に沙那の股間の張形が突きつけられる。
それがゆっくりと挿入されていく。
「ひんっ……ひいいっ──あ、ああ……」
「むんん……あ、ああ……」
沙那と宝玄仙は同時に声をあげた。
しかし、その声は、むしろ沙那の方が感極まった感じだ。
「大丈夫かい、沙那? 沙那の方が犯されているみたいだよ」
孫空女が笑って沙那の身体を宝玄仙ごと抱えている。
宝玄仙は後ろに朱姫、前から沙那に双頭の張形を挿されて、それを横から孫空女が抱えて支えている態勢だ。
「じゃ、じゃあ、動きましょう……」
朱姫が言った。
前後の張形が宝玄仙の中で動き出す。
「ひううっ」
宝玄仙は首を仰け反らせて吠えた。張形による快感が頭の芯に突き抜ける。
子宮を官能の痺れが渦巻く。
そうかと思うと、肛門の張形が苦痛のような快感を宝玄仙に与えてくる。
「ひ、ひいいっ……こ、これは──お、お前たち──や、やめておくれ──」
凄まじい快楽に宝玄仙は思わず悲鳴をあげた。
女陰の中の張形の動きをなぞるように、肛門の薄い隔壁越しに朱姫の張形が動く。
沙那のだんだんと激しくなる嬌声と朱姫の甘い息遣いが、宝玄仙の耳をくすぐる。
「ほ、ほらっ、これはどうですか、ご主人様?」
朱姫が両手で宝玄仙の腰を持って、上下左右に揺さぶった。
「うおっ、ほっ」
「ひゃん──」
そのたびに、宝玄仙の肛門に貫いた張形が、宝玄仙の身体の真芯を突きあげる。
沙那もその動きに翻弄されるのか、宝玄仙以上に激しい声をあげている。
「こ、これは、沙那姉さんも一緒に、いってしまうそうですね……。ふ、ふ、ふ、どうぞ遠慮なく、ふたり一緒にいってください……。でも、あたしもいきそう……」
朱姫がさらに腰の動きを大きくした。
もうなにがなんだかわからない。
大きな波が宝玄仙を包み込んでいく。
眩しい光のようなものが視界を襲う。
「も、もっと……もっとよ──もっと──」
宝玄仙は叫んでいた。
妖しい快美感──。
全身を溶けさせるようなこの快感……。
もっと欲しい……。
もっと苛めて……。
もっと惨めに犯して……。
「も、もっとですね、ご主人様──。こうですか……?」
朱姫の息も荒い。
その朱姫が加える刺激は、さらに大きくなる。
朱姫は上に載せた宝玄仙の身体ごと身体全体で床に跳びはねるようにしている。
肛門を貫く快感が凄い。
沙那も我を忘れて暴れ回るので、その刺激も直接宝玄仙の子宮に伝わってくる。
さらに、乳房までも揉まれだした。
「あ、あたしも……」
孫空女が酔ったように声で言った。孫空女は、自分で自分の股間をまさぐっている。
前後の孔に沙那と朱姫の張形……。
乳首への孫空女の指……。
凄まじい快感が宝玄仙を貫いた。
「いくっ──」
宝玄仙は叫んだ。
「わ、わたしも……」
沙那の呻くような声が続いた。
そして、朱姫と孫空女の感極まった声もそれに重なった。
*
眼が覚めた──。
窓からこぼれる明るい日差しと、外から聞こえる鳥のさえずりで朝になったということに孫空女は気がついた。
昨夜は、三人かかりで宝玄仙を責めた。
宝玄仙もまるで人が違ったように、三人の責めに泣き狂ってくれた。
宝玄仙を三人で責めるということは以前にもあったが、昨夜は特別だった気がする。宝玄仙は、自分を隠すことなく、被虐に酔ってくれたし、孫空女たちもまた、かさにかかって宝玄仙を責めた。
双頭の張形や普通の張形を使い、宝玄仙を三人で犯したのだ。
最初は朱姫と沙那が前後から責め、数回達しさせてから、交替して今度は前側に朱姫、後ろ側が孫空女になった。
その次は、今度は前が沙那に代わり、さらに次には孫空女と朱姫でまた前後から犯した。
その度に何度も激しく絶頂をしていた宝玄仙は、完全に快感に狂ったようになった。
それでも解放せずに、全身の筋肉が弛緩して動けなくなった宝玄仙を張形や筆や手で責めたてた。
宝玄仙は涎と愛液と小尿を床に撒き散らして完全に気を失った。
それでやっと、宝玄仙を許し、拘束を解いて身体を拭いてあげた。
宝玄仙は起きる気配もなかったので、裸身に毛布をかけて、孫空女たちも衣服を整えて休んだのだ。
まどろみの中でそう考えていて、孫空女は、はっとした。
自分は服を着ていない……。
素裸だ。
確かに、服を着てから寝たはずなのに……。
それだけじゃない。
身体が動かない──。
手足がなにかで拘束されている。
両手首は束ねられて、頭の方向に伸びて動かない。
どうやら、縄尻を柱かなにかに結ばれていようだ。
脚も同じだ。
両脚の足首には、棒のようなものが挟まれて拘束されていて開脚したまま閉じることができない。
その足首を挟んでいる棒も足側に引っ張られていて動かすことができない。
孫空女はそんな格好のまま仰向けに寝ていたのだ。
「起きたのかい?」
宝玄仙だ。
顔の上から宝玄仙が覗いている。
その反対側から朱姫の顔も見えた。
「こ、これは、どういうこと、ご主人様? な、なんであたし縛られているの?」
孫空女は声をあげた。
しかし、宝玄仙は嗜虐心いっぱいの表情を孫空女に向けたまま、孫空女の身体に乗っていた毛布を掴むと、さっと引きはがした。
床に横たえられた孫空女の裸身を外気が襲う。
「う、うわっ」
思わず声をあげた。
「なにを狼狽えているんだい、孫空女。お前たちが言ったんだろう。昨夜、わたしを責めたときに、明日は自分たちが責められるから、今夜はお前らの責めを受けてくれと言っただろう。その明日だよ」
宝玄仙は孫空女の身体の横に胡坐に座り込んだ。
朱姫もまた反対側に座る。
「ねえ、最初は、なにから始めますか、ご主人様? とりあえず、孫姉さんに身体を燃えあがらせてもらいますか? それとも、いきなり、浣腸というのもいいかも……。お腹が膨れるまで浣腸をして、栓をして、そして、裸踊りをしてもらうんです。それか、いつかやったお尻で字を書くというやつを外でしてもらうのはどうですか?」
朱姫が言っている。
「ちょ、ちょっと待ってよ──。あ、頭の整理ができないんだよ。どうして、こんなことになったのさ。それに、いまは、まだ朝じゃないの──?」
孫空女は狼狽えて叫んだ。
「朝には違いないけど、それがどうしたんだい? わたしの嗜虐を受け直すと言ったんだ。たっぷり、仕置きしてやるから覚悟しておきな」
宝玄仙がくすくすと笑った。
その笑いに孫空女は背に冷たい汗が流れるのがわかった。
このところ、少し大人しいと思っていたが、それを払拭するような嗜虐の悦びに染まった笑いと表情だ。
孫空女はぞっとした。
「そうですよ、孫姉さん──。躾のやり直しだそうです。頑張ってくださいね。ご主人様は、明日の朝まで続けるとおっしゃってますよ」
朱姫だ。
「お、お前は、なんだよ、朱姫──。なんで、お前がそちら側にいるのさ。ご主人様の躾だったら、お前も一緒だろう」
孫空女は言った。
「そうですけど、ご主人様の嗜虐をお手伝いをするということで認めてもらいました。それに、いろいろな責めを工夫するためには、あたしの道術が便利ですから。ご主人様の命令で、孫姉さんに『縛心術』をかけて、準備ができるまで寝てもらったんですよ。眠っている間に、服を脱いでもらって、縛ったんです。驚いたでしょう?」
服を脱がされて拘束されていたのは、どうやら朱姫の仕業だったのだ。
「じゃ、じゃあ、沙那はどこさ? だいたい、昨夜のことは、沙那が言い出しっぺだよ。ご主人様の躾を受け直すと言ったのも、元々、沙那なんだよ。あたしじゃないよ──」
「そうだったかねえ……。まあ、とにかく、沙那はいないよ。わたしらが眼を覚ます頃には、身支度を終わっていて、なんとか路銀を作りに城郭に行ってくるから、待っていてくれと言い残していったねえ。戻るのは夜だそうだ」
宝玄仙があっけらかんと言った。
びっくりした。
沙那にやられた……。
沙那は、もしかしたら最初から、その気だったのではないだろうか。
口では、宝玄仙の嗜虐を受け直すと調子のいいことを言いながら、自分はとりあえず逃げる気でいたに違いない。
そして、孫空女は取り残された。
宝玄仙からの復讐の嗜虐は、孫空女が一身に受けることになる。
沙那もまた、それなりの責めは受けるだろうが、昼間の半日で孫空女で鬱憤を晴らした宝玄仙の責めは、夜になる頃には、かなり緩やかなものになっているだろう。
沙那は全部わかっていて、昨日、しつこく責めたのだ──。
孫空女は、なんだか騙された気持ちになり、歯噛みした。
「じゃあ、宝玄仙の復活の挨拶代りにくすぐり責めといこうか。羽根を貸しな。朱姫……。一刻(約一時間)ほど、笑い死にしてもらおうかね、孫空女──。朱姫、お前は手でこいつの脇をくすぐりな。暴れるだろうから、馬乗りになったらいいよ。それから、こいつは、小便と大便を垂れ流すだろうから、その掃除の準備もしておいておくれ」
「大丈夫です、ご主人様。『縛心術』で動けなくします。ついでに、感度も二倍に……。いつでも始められますよ」
朱姫がそう言って、孫空女の裸身に馬乗りになった。
「さて、覚悟はいいね、孫空女──」
宝玄仙が孫空女の足元に移動した。
朱姫の手が伸びて、孫空女の無防備の脇をくすぐりだす。
同時に羽根の柔らかい刺激が、孫空女の足の裏を襲った。
「いひいいっ、だめえええっ」
強烈なくすぐったさに、孫空女は狂ったような笑いをあげさせられた。
(第46話『奴隷主人の一夜責め』終わり)