「ひ、卑怯者──」
沙那は叫んだ。
道場に集まった男たちは、二十名はいるだろう。
沙那は、その男たちに囲まれるように後手に拘束されて、道場の天井から吊られて立たされていた。
両脚は道場の床についているが、背中で組み合わされている腕と同じように、天井に取り付けてある滑車から伸びる鎖に繋がった足枷を左右それぞれの足首に嵌められている。
ここは、
もっとも、ここに連れ込まれるときには、沙那は樽のようなものに入れられて運ばれたので、実際のところ、ここがどこなのかわかっていない。
いずれにしても、とんだ失敗だ。
城外に出たところで、若い女の悲鳴があり、駆けつけるとその女をここにいる弟子の数名が強姦しようとしている最中だった。
女を背中に庇って男たちを叩きのめそうとしたら、首筋に針が刺さった痛みが走った。
次の瞬間、全身が弛緩して地面に崩れ落ちた。
つまりは、強姦は茶番であり、すべては城郭でやった辻試合で負けた逆恨みにより、沙那を捕えようとした黒倫の卑劣な罠だったのだ。
沙那の首に筋肉を弛緩する毒薬を塗った針を刺したのは、沙那が庇おうとした
筋肉が弛緩して動かない両手を後手に縛られ、猿ぐつわをされると、棺桶のような樽に押し込まれた。
そのまま、誰かに担がれて運ばれる気配を感じたが、やがて、樽から出されたのがここだったのだ。
運ばれる途中で、筋肉の弛緩はなんとか回復していたが、後手縛りの縄を道場の天井から伸びる鎖に繋がれ、両足首にも同じように天井から伸びる鎖の先の足枷を嵌められた。
そうやって沙那を拘束しておいて、黒倫は弟子たちを集めて、ここで酒盛りを始めた。
「卑怯者とは聞き捨てならんな。俺は、女ながらもあれだけの武辺を持つ沙那殿に、もう一度立ち合ってもらいたくて、道場に来てもらったのだ。俺も武芸者のひとり。是非とも、もう一度立ち合ってもらいたい」
沙那の正面に座っている黒倫が酒を呷りながら言った。周りの弟子たちが哄笑する。
「だ、だったら、いくらでも立ち合ってあげるわよ。さっさと縄を解きなさい」
「そう急くな、沙那殿。まあ、せっかくの機会だ。同じ武芸者として話もしたいし、酒に付き合ってくれてもいいだろう。ここにいる弟子たちも、沙那殿と肌と肌と接するほどに親交を深めたいそうだ」
「ふ、ふざけるんじゃないわよ。こんなことして、どうなるかわかっているでしょうね」
沙那は身体を揺すった。縄はしっかりと緊縛してあり、縄抜けはできそうにない。
どうやら、沙那を嬲るのが目的であり、殺すつもりまではなさそうだから、
いずれは、仲間が助けに来てくれるかもしれないが、沙那がここに監禁されているなどということは、すぐにはわかりようもないだろう。
それまでは、ここでこの卑劣な男たちにいいように弄ばれるしかないのか……。
沙那は歯噛みした。
「沙那殿の武術を披露いただくのは後のこととして……。折角の女武芸者の沙那殿のご訪問だ。もっと寛いでもらいたいものだな。どれ、沙那殿の衣類を緩めてさしあげよ」
わっと男たちが声をあげた。
着衣を剥ごうというのだろう。
あらかじめ決まっていたのか、男がふたりすっと立った。
手に小刀を持っている。そのふたりが両脇に立った。
「じゃあ、まずは、上からいくか?」
ひとりの男の小刀の刃が、襟の内側に入る。
まっすぐ縦に切り裂かれる。
「い、いやっ」
胸当てごと切り裂かれた着衣を両側に開かれる。羞恥に反応する姿は、男たちを悦ばせるだけだとはわかっているが、露わにされた乳房に思わず身体をよじらせてしまう。
「なかなかに綺麗な肌だな。胸も形もいい」
黒倫が舐めるような視線を向けながら笑った。
「まったくですね。俺も驚きました。これは上玉ですよ」
ふたりの男たちがそう応じながら、刃物で上半身の衣類をどんどん切り裂いていく。
あっという間に沙那は、背中で縛られている腕の袖を残して、上半身の着衣をすっかりと切り取られてしまった。
「あくっ」
そのとき、沙那の服を剥がしていた男の指がちょんと乳首に触れた。
その瞬間、稲妻にでも打たれた衝撃が走り、沙那は思わず声をあげてしまった。
「なんだ?」
乳首に触れた男も、黒倫をはじめとする周囲の弟子たちもきょとんとした表情をしている。
沙那は自分の顔が恥ずかしさで真っ赤になるのを感じて、思わず顔を下に向けた。
「おい、ちょっと乳に触ってみろ」
「や、やめて──」
沙那は悲鳴をあげた。
自分の身体が異常なほど感じやすいのを沙那は知っている。
こんな卑劣な男たちによって、身体を触られるだけじゃなく、快楽に狂う姿を見られるのは死ぬほどの恥辱だ。
だが、両側からふたりの男によって、乳房が揉みしだかれる。
「あ……ああ……」
がさつで繊細さなど欠片もない手管だが、それでも沙那の身体は、そこから激しい愉悦を搾り取ってしまう。
「い、いや……あ、ああ……」
自分の口から甘い声が漏れ出るのが悔しい。
我慢しようと思うのだが、乳首を指で挟まれて乳房をゆさゆさと揉まれると、どうしても声が出てしまうのだ。
「こ、これは凄いな。あんなに強いくせに、随分といやらしい身体をしているようだ」
沙那の乳房を弄んでいる男のひとりが感嘆したような声をあげた。
それで沙那は、このふたりが辻試合のときに、沙那が叩きのめしたうちのふたりだということを思い出した。
沙那が悶え動くのが愉快なのか、両側の男たちはさらに激しく胸を揉み始める。
周囲の男たちも息を呑んだように静まり返って、いきなり始まった沙那の嬌態を眺めている。
しんとした道場に沙那の艶めかしい声だけが響いている。
「ゆ、許して……ああ……」
あまりの快感の昂りに思わず沙那は言った。
快楽の波が全身に駆け巡る。
立たされている脚からどんどん力が抜けていく。
沙那は泣きそうだった。
どうしてこんなにも自分は感じやすい身体になってしまったのだろう。
こんな身体にした宝玄仙に恨みのような思いが走る。
乳房が揺すられて、乳首が繰り返し刺激される。それだけで全身が熱くなり、股間がどうしようもなく濡れてくるのがわかった。
「これは思った以上の拾いものだったようだな。そんなに悶えてくれるんじゃあ、どうしても、股がどうなっているのか拝みたくなるというものだ。そろそろズボンも剥ぎ取れ」
黒倫が言った。
「も、もう、勘忍して……」
無駄だとわかっている哀願をしてしまう。すでに股間はびしょびしょに濡れている。
こんな姿を見られたら、沙那はこの卑劣な男たちにどうしようもない恥を晒すことになる。
なんとしても下袴を剥ぎ取られようとするのを防ごうと、足首に枷を嵌められた肢を引き寄せて股間を隠すようにする。
しかし、鎖に引っぱられて、なんとか内腿をすり寄せるくらいしかできない。
もっとも肢が自由だったら、とっくの昔に眼の前の男たちを蹴り飛ばしていただろう。だが、それもできない。
「おい、肢が邪魔だ。片脚を引き揚げろ。股を開いてから、下袴を切り裂いてやれ」
黒倫が言った。
すると数名が壁に走り、沙那の足首にかかっている鎖の一本を滑車を使って引き揚げ始めた。
次第に片脚が引き揚げられる。
「や、やめてよっ」
沙那は悲鳴をあげた。
あげられまいと力を入れるが、そんな沙那の抵抗もむなしく、片脚が引き揚げられて床と水平になる程に引き揚げられた。
「とりあえずそれでいい。下袴を切り裂け」
黒倫が言うと、びりびりと下袴の布に小型の刃が入りだす。
腰の部分が切断されて、そこから裾まで一気に裂かれた。反対側も同じようにされる。ただの布になった下袴が沙那から離された。
「思った通り、びしょびしょだな。それだけの淫乱な身体だ。さぞや、身体を持て余しているんだろうなあ」
黒倫が立ちあがって、沙那の前にやってきた。片脚を引き揚げられて大きく脚を開いている沙那の股間にぐりぐりと指を伸ばしてまさぐる。
「あひいいいっ」
すでに乳房の愛撫で全身が敏感になり過ぎている。
黒倫の指が下着越しに肉芽や秘唇を擦りあげると、そこから激しい痺れの波が全身を駆け抜けた。沙那の身体がぶるぶると震える。
「お前、本当に淫乱な身体をしているのだな。よくも、そんな身体で男と体術で勝負ができるものだ」
黒倫が笑いながら股間をいたぶり続ける。
「わ、わたしは……あ、ああ……い、淫乱じゃ……あひっ──ないっ」
沙那は懸命にそれを否定した。
「説得力がないなあ」
黒倫が呆れたように言った。周りの弟子たちも一斉に哄笑した。
沙那の全身に羞恥が駆け抜ける。
こんな男の手管で──しかも、なんでもないような指の刺激だ。
それなのに、もう達してしまいそうだ。
「じゃあ、確認してみるか──。おい、そいつを寄越せ」
黒倫が横に立っている弟子から小刀を受け取った。
下着の両側に刃を刺し入れて、下着を取り去った。
「くっ」
股間にたちまちに外気が触れる。
沙那は歯を食いしばった。
しかし、黒倫の指は沙那の股の亀裂に添ってすっと動く。大きな淫情が全身を貫く。
「お前たち見てみろ。この沙那殿は、すでに俺たちと肌で語り合う準備がすっかりと整っているようだ」
黒倫が大きな声をあげた。
酒を飲んで座っていた弟子たちがわらわらと立ちあがって、すでに全裸状態になっている沙那の身体を取り囲む。
「随分といやらしい匂いがしているぜ」
「それにしても、本当にいい身体だぜ。匂いつく女というのはまさにこの女だな」
「きれいな顔に鍛えられた身体──。そして、とてつもなく淫乱で、刺激を受けるとどうしようもなく感じてしまう体質か。まさに、申し分のない女だな」
「股ぐらには一本の毛がないな。これは、どうしたんだ? 剃っているという感じでもないな。生えない体質なのかな」
「見た限りでは女陰は上付きというところか? まあ、入れてみればわかるだろうがな」
「これで、道具も一品なら、とてつもない女ですよ、先生」
弟子たちが沙那の全身を眺めまわしながら口々に言う。
沙那はどうしていいかわからないほどに羞恥に襲われて、いたたまれない気持ちになる。
「急くことはないぞ。時間はいくらでもある。明日には売り飛ばそうと思っていたが、もう少し長くここにいさせてもいい」
黒倫が言った。
「う、売るってなによ?」
沙那は声をあげた。
「ほう、こんな格好にされても気勢を張れるとはさすがだな。なに、この道場で負けた女は、全員で抱き潰した後で、妓楼に売り飛ばすことになっておるのだ。それがこの道場の掟でな。そうやって、女を売って小銭を稼ぐのも、俺の商売のひとつだ」
黒倫が笑った。
売る……。
冗談じゃない。
そんなことをされれば、救出の手が面倒になる。
それにしても、ただの自堕落な武術家だと思っていたら、女を浚って妓楼に売るというような悪事もしているようだ。
沙那は羞恥と淫情に襲われながらも、この黒倫に対する怒りがふつふつと湧いた。
「わ、わたしは負けてはいないわよ。卑怯な手段を使わなければ、女を自由にできない弱虫のくせに、偉そうに喋るんじゃないわよ」
沙那は叫んだ。
「ほう、胸をちょっと揉まれただけで全身から淫情を溢れさせたような仕草をしたかと思ったが、もう元気になったのか──。まあ、心配するな。後で勝負はさせてやる。勝てば解放してやるが、負ければ売られることになる……。だが、その前にもう少し、客人へのもてなしとして身体を揉みほぐしてやろう。お前たち、順番にこの沙那の身体を揉んでさしあげろ」
黒倫が言うと、すぐに周囲から手が伸びる。
「いやああっ」
こんなにあっという間に欲情した身体を大勢に愛撫されれば自分がどんな恥態を演じることになるか十分にわかっている。
沙那は見知らぬ男たちに身体を触られて感じてしまう恐怖に、悲鳴をあげて身体を捻った。
しかし、無遠慮なたくさんの手が沙那の裸身に伸びる。
「あひいっ」
片脚を引き揚げられている両脚の内腿に手が伸びる。
びっしょりと濡れている股間の亀裂にも指が一本、二本と入ってくる。
別々の男の指が女陰に入り、大きく割れ目を開かれる。
その股間を数名の弟子が覗きこむように下から視線を送っている。
沙那は女のすべてを丸出しにされる恐怖に、悲鳴をあげて股間を締めつけた。
「こ、これは、なかなかですよ、先生」
女陰に指を入れている弟子が驚くような声をあげた。
「どれ、締めてみろ、沙那」
弟子たちの指が出ていき、黒倫の指がぐいと入った。
女陰を締めることで、男が喜ぶのか喜ばないのかはよくわからないが、黒倫の命令したことは絶対にやるものかと思った。
しかし、誰かが沙那の肉芽をくりくりと押し回した。
「ああっ、いやあっ──」
衝撃に悲鳴をあげてしまう。
「おおっ」
黒倫が声をあげた。
「確かに、これは凄い。しかも、二段締め……、いや、三段締めか? 指が千切りとられそうだ」
黒倫が心からの悦びの声をあげた。
肉芽を刺激されたことで、つい、女陰を締めつけてしまったようだ。
よくわからないが、この一年、宝玄仙から女陰で玉を締めつけたり、野菜を出し入れしたり、あるいは折ったりというような訓練を繰り返しさせられた。
女陰で自由に肉棒を締めることができるようにだと言っていたが、それにより沙那の女陰は、もしかしたら男を悦ばせるような道具になっていたのかもしれない。
沙那は悔しさに涙が出そうだった。
「それだけじゃないな。この感触……。
黒倫が相好を崩した。
そして、黒倫は指を強く出し入れしながら、余っている指で肉芽を弄び始める。
黒倫のほかにも何人かの男たちが、沙那の乳首を弄り、乳房を揉み、内腿が撫ぜられ、全身をくすぐられる。
恐ろしいほどの快感が襲う──。
「ひあっ、ひやああああ──」
沙那は身体を仰け反らせて大きな悲鳴をあげた。
そして、全身に痺れが走りがくがくと身体が揺れた。
達してしまった……。
沙那の身体にかっと羞恥の血が込みあがるとともに愕然とした。こんな男の手管によって、痴態を晒してしまったのだ。
「いき顔もいいな。女は何度でもいくといい。勝負の前に足腰を弱らせねばならんしな」
黒倫は今度は女陰から指を抜いて、肉芽をつまむように愛撫し始めた。
「そ、それは駄目──」
必死に指から逃れようとするが、片足立ちの姿勢では指から逃げることなど不可能だ。
声が喉から迸る。
「い、いやあ」
沙那は叫んでいた。
再び快感の波が沙那を襲う。圧倒的なものが沙那を包み込んでいった。
「あひいいいっ──」
二度目の極めをしてしまった。もう、片足立ちの膝ががくがくと震えて立っていられない。
白い霞がかかったような視界の中で、勝ち誇ったような黒倫が沙那から離れるのがわかった。
黒倫に代わり、別の弟子が沙那の股間を愛撫しはじめる。
今度は女陰に指が二本。肉芽にも──。
「そ、そこは駄目──」
沙那は絶叫した。
突然にまったく別の指が肛門に入り込んだのだ。
その指がくちゅくちゅとなぶられる。
女陰に挿入されている指を肉の壁越しに押しつけるように刺激された。
「あふうっ」
沙那は身体を弓なりに仰け反らせた。
息が止まるような絶頂に全身が大きく揺れた。
がっくりと立っている脚から力が抜け、吊りあげられている腕の縄に、沙那の全体重がかかる。
「おっと」
誰かが沙那を抱きかかえた。
まだ、全身をいたぶる愛撫は続いている。
もう次の波が沙那を襲いかけている。
もうなにがなんだかわからない。
「尻でも感じるようだな……。というよりも、こんなに感じやすい女は初めてだぞ。そのうえに、これだけの身体と美貌──。先生、もう、我慢できませんよ。早く始めましょうよ」
ひとりが言った。
同調するような声が周囲からあがる。
輪姦される──。
それについての恐怖はそれほどでもない。
それよりも、こんな男たちのなすがままに、欲望を示してしまう自分が恨めしい。情けない──。
「焦るな。物事には手順というものがある。それに、お前たちにも回してはやるが、それは後だ。いまは手で触るだけで我慢しろ──。それよりも、この沙那殿には、もう一度勝負をしてもらわねばならんのだ。一応は、それが決まりだしな」
黒倫が笑った。
「でも、先生──」
「いいから、もっと沙那をいかせておけ」
弟子たちは不満げな表情をしながらも、沙那へのいたぶりを続けだす。
無遠慮な指が全身の敏感なところを動き回し、沙那はまた身体を無理矢理に昂ぶらせられる。
次々に快楽の波が走る。
こうなると、もう沙那の身体は止まらない。そんな風に調教されてしまったのだ。
呼吸のように続けて絶頂感が沙那を襲う。沙那は悲鳴をあげて喘ぎ続けた。
「ああ……も、もうやめて──」
連続する絶頂感に満足して息をすることもできなくなりかけてきた沙那は、必死の哀願をした。これ以上身体を嬲られるとどうにかなってしまう。
「あちこちが弱いが、どうやら、この女の一番の弱点は尻の孔のようだな」
誰かが言った。
すると執拗に肛門に指を入れられて内襞を刺激されるようになった。火花のような快感があがり、沙那は続けて絶頂してしまう。
「尻だけじゃないぜ。全身のどこでも狂ったように感じるようだぜ」
尻の刺激にさらに乳首や股間の刺激が加わる。
意識が消えていく。
快感に飲み込まれる……。
津波のような快感に満足に言葉が出せない。出るのは激しい喘ぎ声だけだ。
「もっと、もっと乱れてくれ、沙那殿」
すでに離れて酒を呷っている黒倫が笑って言った。
身体が壊れる……。
また、絶頂の波がやってくる。
絶頂と絶頂の感覚が短すぎる。このままでは、死んでしまう。
しかし、感じすぎる沙那の身体は、いくらでも無尽蔵に快感をむさぼってしまう。
また、いく……。
「あひいいっ──」
もう十回は達したのではないだろうか……。
これだけの男たちから全身の性感帯を一度に刺激され続けるのだ。
耐えようがない。
激しい頂点にまた昇る……。
「おう──」
男たちが一斉に離れた。
じょろじょろと音がしている。
なにが起こったかわからなかったが、自分が失禁しているのがわかった。片脚を吊られたまま、沙那は道場の床に小便を垂れ続けていた。
「ひいいっ」
あまりのことに沙那は泣いてしまった。
「なんてことをしてくれるのだ、沙那殿? 仮にも、道場だぞ。そこで小便を垂れるなど」
黒倫が呆れたような声をあげた。
しかし、一度放水をはじめた尿は止めようもなかった。いつまでも続くかのような水音が道場の床にたち続けた。