「ほら、姿勢が崩れてきたよ。真っ直ぐに立ちな」
「くっ」
宝玄仙は歯噛みした。
しかし、逆らえば股間か肛門、あるいは、両方に電撃が加えられることを昨日一日かけて身に沁み込まされた。
宝玄仙は黙って裸身の横に両手を添わせて姿勢を伸ばす。
「ひうっ」
宝玄仙が声をあげた。
どこからか糸が飛んできて、宝玄仙の乳首の根元に喰い込んだのだ。
気がつくと、その糸の先端を椅子に座ったままの
「まだ、あたしをご主人様と呼ぶ気にはならないかい、宝玄仙?」
七雌妖が笑っている。
「じょ、冗談じゃないよ、七雌妖──。こんなことして、いつか容赦ないからね」
宝玄仙は部屋の真ん中に真っ直ぐに視線を伸ばして立ったまま悪態をついた。
この直立不動の姿勢をとらされてから三刻(約三時間)が過ぎようとしている。
なんでもない姿勢だが、同じ姿勢をずっととり続けることは思ったよりもつらい。
しかし、少しでも姿勢を崩せば、椅子に座って宝玄仙をいたぶっている七雌妖によって、股間の糸を通じて電撃が加わるか、それともどこからか飛んできて締めつける糸に乳首や肉芽を締めつけられて激痛を与えられる。
宝玄仙は立ち続けるしかない。
一刻(約一時間)を過ぎる頃から宝玄仙の膝は震えてきた。
足元にはおびただしい脂汗が水たまりを作ろうしていた。
ここは
宝玄仙がここにやってきて丸一日以上が過ぎた。
最初は、偶然に出遭ってなんとなく気にいった見知らぬ女と、一度だけ身体を合わせてみようという軽い気持ちだった。
しかし、七芽と最初に名乗った七雌妖は、宝玄仙を凌ぐ性巧者であり、宝玄仙はたった一晩で数十回の気をさせられてしまい、ついに気を失わせられた。
そして、気がつくと、股間に透明の糸が喰い込んでいて、それが神経に繋がっており、宝玄仙の身体は、七雌妖によって電撃でも淫らな刺激でも自在に与えられる状態になっていたのだ。
つまりは、宝玄仙が身体を合わせた七芽は、実は七雌妖という名の妖魔であり、この妖魔の能力は、糸を自在に操ることなのだ。
宝玄仙は、身体に入れられてしまったその七雌妖の糸により、股間の神経を操られ、それを通じて電撃などの拷問をされることにより、七雌妖の雌犬奴隷になることを強要されているというわけだ。
もちろん雌犬奴隷など冗談じゃない。
宝玄仙は断固拒否したが、逆らえば容赦のない電撃だ。
道術の遣えない宝玄仙には、いまのところ抵抗の手段がない。
三人の供は、異変を知って、すぐにこの部屋に駆けつけて宝玄仙を救出しようとしてくれたが、七雌妖を捕える寸前のところで、七雌妖の『縛心術』にかけられてしまい、あろうことか宝玄仙の記憶を消去されて追い払われた。
あの三人がどうなったのかわからない。
彼女たちがいなくなったのは、昨日の朝のことだ。
そして、昨日一日、さまざまなことでいたぶられた。
七雌妖の足舐めから始まり、全身への舌奉仕。
振動する糸を使った肉芽責め──。
乳首の天井吊り──。
四つん這い歩行──。
皿に排尿してそれを飲尿するということもやらされた。
そして、昨日と同様に連続絶頂で気を失うまで抱き潰され、また、朝を迎えたのだ。
その間、何回か外の温泉の池に連れて行かれて身体の洗浄もされた。
温泉に浸かって気がついたが、外の濯垢泉の湯は、女の身体を欲情させる特殊な媚薬効果もあるらしく、長く浸かるとそれだけで、狂いそうな淫情に襲われる。
感度があがりきった身体を糸で拘束されて長く放置されるというようなこともやられた。
抵抗の手段がない宝玄仙は、肚が沸騰するように煮えるのに耐えながら、七雌妖の仕打ちに耐えた。
ただひとつ承諾しなかったのは、七雌妖を“ご主人様”と呼ぶことだ。
七雌妖は、股間に電撃を加える拷問をすることで、それを簡単に強要できるのだが、七雌妖は、宝玄仙が自発的に、七雌妖を“ご主人様”と呼ぶのを待っている。
何箇月かかろうとも、そうしてみせるとうそぶいているのだ。
宝玄仙が心から、七雌妖を“ご主人様”と呼ぶようになれば、それで調教が終了するらしい
そして、いまやっているのは、姿勢を真っ直ぐにして、ただ立ち続けるという拷問だ。
なんでもないような拷問だが、気を失う程に絶頂し続けた身体で、起き抜けに立姿を続けるのは思ったよりもつらい拷問だった。
「どう容赦しないんだい、宝玄仙? 面白いことを言うよねえ。お前は、あたしの雌犬奴隷になったんだよ。それを自覚しないかい。それに、あたしの奴隷も悪いものじゃないだろう。最初の夜に続いて、昨日だって、よがり狂っていたじゃないか。あんなに気持ちいいことをしてもらえるんだよ。もうずっとあたしの奴隷でいいじゃないか」
「や、やかましいよ──」
宝玄仙は身体を伸ばしたまま叫んだ。
確かにこの女の性の技巧は凄い。
性については百戦錬磨のつもりだったが、その宝玄仙が子ども扱いなのだ。七雌妖の調教は拷問と快楽───。
この繰り返しだ。
肉体的、あるいは精神的につらい嗜虐の後に、果てしない快楽を与える。
そうやって心を追い詰めていくのだ。
いまは嗜虐の時間だ。
しかし、おそらくこの後には、あの手管で宝玄仙の意識が飛ぶほどの快感が与えられる。
むしろ宝玄仙の恐怖は快楽の方にある。七雌妖の性の技でよがり狂うとき、宝玄仙は自分が自分でなくなる瞬間を感じるときがあるのだ。
七雌妖に支配されて与えられる快感。その逃れられない快感を心の底から悦ぶ自分だ。
それが全てになったとき、自分は完全に七雌妖に屈服するのかもしれない。
それが怖い。
「まあいいよ。どうせ、逃げられはしないんだ──。仲良くしようじゃないか……」
七雌妖がくいと手に持った糸を引いた。
「はぎぎいっ」
乳首に強い刺激が加わり、宝玄仙は胸を突き出すようにして悲鳴をあげた。
しかし、なんとか姿勢を守る。
立姿を崩せば、強い電撃を気を失うまで浴びせられることになっている。
もう、三度もそれをやられて、さすがに宝玄仙もその恐怖が頭と身体から離れない。
「ほう、なかなか頑張ったね──。じゃあ、姿勢を崩していいよ」
七雌妖が言った。
宝玄仙はほっとして膝を落とした。
しかし、まだ糸がついたままなのを忘れていた。
残っていた乳首の糸がぐいと引っ張られてもの凄い痛みが乳首に走った。
「はがっああ…あがあっ……あ、ああ、ああ──」
宝玄仙は胸を押さえて呻き泣いた。引っ張られた両方の乳首の根元からは、肌が切れて血が滴っていた。
許可が出たことにほっとしてしまって、まだ、引っ張られている状態のまま、先に宝玄仙が跪いてしまったのだ。
「あらあら、しょうがないねえ……」
七雌妖が苦笑しながらやってきた。
その七雌妖が乳首に手を伸ばす。
七雌妖の指が触れる前に、乳首の根元に巻きついていた糸が消滅した。
そして、次の瞬間に温かいものが乳首を包み、痛みが消滅する。
気がつくと、表面に血の汚れは残っているが傷は消滅している。
『治療術』だ──。
「おいで──」
七雌妖は宝玄仙の首に鎖をつけた。宝玄仙の首には、最初の夜に寝ている間に装着された首輪が嵌っている。
それに鎖を取り付けたのだ。
手足は自由だが、非力な宝玄仙が七雌妖にかなうわけがなく、大人しく首輪の曳かれるままについていく。
抵抗しても、あっという間に四方八方から糸が伸びて全身の自由を奪ってしまうだろう。
首輪につけた鎖で曳かれる──。
大人しく従っているが、沸騰するほどの屈辱感だ。
宝玄仙の高い誇りががらがらと崩れ落ちる気がする。
雌犬奴隷……。
その言葉が頭の中で響き渡る。
人間としての人格を奪われて、素っ裸で歩き、首輪まで嵌められ連れ回されるのだ。
しかも、妖魔に……。
「さて、表に出ようね」
宝玄仙は七雌妖に鎖で曳かれて、外に連れ出された。
屋敷の裏は、そのまま温泉の池に繋がっている。
七雌妖は本当に温泉が好きだ。
宝玄仙にとっては恐ろしい媚薬風呂だが、七雌妖はなんともないようだ。
日に何度も入り、昨日だって五回は入った。
しかし、いまは違った。
そのまま、温泉に入るのかと思ったら、七雌妖は温泉の池の前にある寝椅子に腰掛けたのだ。
温泉に湯あたりした身体を休めるために、幾つかの寝椅子が温泉のそばにあるのだが、その中のひとつに七雌妖は寝転んだ。
首輪に繋がった鎖を持たれている宝玄仙は仕方なく、寝椅子に横になった七雌妖のそばに立っていた。
「跪きな、宝玄仙」
七雌妖がそう言って、ぐいと首輪が引っ張られた。
宝玄仙は鎖に曳かれるまま七雌妖の頭側の地面に跪いた。
するといきなり身体を起こした七雌妖が、宝玄仙の頬を張り飛ばした。
「ひぎいっ」
かなりの手加減をしたことはわかったが、宝玄仙にとっては強烈な一撃だった。
横倒しに倒れた宝玄仙を七雌妖が鎖で引っ張り起こす。
「な、なにすんだい──」
宝玄仙は声をあげた。
しかし、今度は反対側の頬を引っぱたかれる。
また横倒しに倒れる。
そして、鎖で首輪を引っ張られて引き起こされる。
「なんで叩かれたかわからないようだね」
七雌妖が言った。
「ふ、ふざけるなよ。ちゃんと説明しな──」
宝玄仙は声をあげた。
得体の知れない糸で身体を支配されているから、仕方なく命令には従っている。だが、なにもしないのに、いきなり頬を叩かれては訳がわからない。
「あたしが寝椅子に横になったら、なにも言わなくても足の指を舐めるんだよ。覚えておきな」
「そ、そんなことを言われなければ、わからないだろうが──」
「だったら、覚えておくんだね。これからも厳しくいくよ。命令には従う。逆らえば罰だ。罰を受けるようなことをしていなくても、あたしの気分によっては罰を与えることはある。それは、お前が気を使わず、あたしを気分の悪いままにしておくことが悪いのさ。いつもご主人様の顔色を伺う。ご主人様のご機嫌を取ろうと緊張する──。それが奴隷だよ」
「わ、わたしは奴隷じゃないって、言ってんだろうが──」
宝玄仙はかっとして怒鳴った。
しかし、次の瞬間、肛門に大きな電撃が加わった。
「ほごおおおっ」
宝玄仙は身体を仰け反らせて、そのまま後ろに引っくり返った。
「お、お前……」
また、悪態をつこうかと思ったが、さすかに自重した。
歯を食いしばって、七雌妖を睨む。
どんと音がして、引っくり返った宝玄仙の方向に七雌妖の片足が投げ出された。
舐めろということだろう。
宝玄仙は両手をその足に延ばして、七雌妖の履いている上履きを脱がそうとした。
七雌妖は、部屋で使う上履きを履いたまま、この池の前までやってきたのだ。
しかし、七雌妖の蹴りが宝玄仙の顔に飛んだ。
蹴りは軽いものだったが、それでも、宝玄仙は地面に激しく押し倒された。
「な、七雌妖──どういうつもりだよ」
倒れた宝玄仙は声をあげた。
「それはこっちの言葉だよ。誰が上履きを脱がせろと言ったのよ。そのまま舐めるのよ」
「ちっ……。く、靴を舐めろって言うのかい」
宝玄仙は屈辱で頭に血が昇り過ぎて一瞬目がくらむかと思った。
「噛むんじゃないよ。靴だって痛いからね。お前の得意の舌技で、気持ちよくしておくれ」
七雌妖は笑った。
宝玄仙は、再び顔の前に突き出された上履きを履いたままの七雌妖の足をじっと睨みつけていたが、観念してその足を両手で捧げ持つようにしながら先端に舌を這わせ始めた。
しかし、また足が動いて、宝玄仙の額をどんと蹴る。
ひっくり返って後ろに倒れた身体を起こして宝玄仙は声をあげた。
「ちゃ、ちゃんとやってるだろう──」
「馬鹿かい……。上履きの先っぽじゃないよ。裏から舐めな、宝玄仙。まだ、奴隷根性が染みつかないのかい」
かなわないまでも、飛びかかって首を絞めたいのをぐっと我慢して、宝玄仙は土で汚れた上履きの裏を舐めていく。
気を失う程の恥辱感だ。
宝玄仙としての誇りも、ひとりの女としての人格までも奪われた気持ちだ。
惨めだ……。
口の中に砂利が拡がる。
なんで素っ裸で跪いて、首輪をつけられて、妖魔の靴の裏を舐めなければならないのだ。
だが、懸命に動かしているうちに、宝玄仙の心を怒りよりも哀しみが支配していくのがわかった。
思わずこぼれそうになる涙を懸命に宝玄仙はこらえた。
「……どうせ、こんなことも、いつも、お前が奴隷にやらせていたんだろう? お前に虐げられていたあの三人の奴隷の気持ちがわかったかい」
七雌妖は言った。
宝玄仙は黙って舌を動かした。
いま、口を開けば、確実に涙がこぼれるという確信があった。
なにをされてもいいし、やらされてもいい。
しかし、涙を見せることだけは嫌だ。
それに、こいつを“ご主人様”と呼ぶことも嫌だ。
片脚の上履きを隅々まで舐め終ると、次は、反対側に移動して舌を動かす。
その間、七雌妖は退屈したような表情をしていたが、やがて、寝椅子の下の木箱からなにかを取り出した。
そこから小さな紙片を取り出すと、小さな缶から細切れの草を出してそれに包んで、細長く丸めた。
さらに、その先端に火をつけて、火のない方を口につけて吸い始める。
「な、なんだい、それは?」
思わず訊ねた。
「知らないのかい、奴隷?」
「ふんっ」
奴隷と呼ばれたことに腹がたち、宝玄仙は鼻を鳴らして、上履きへの奉仕を継続する。
「灰皿だよ、奴隷」
不意に七雌妖が言った。
「灰皿?」
宝玄仙はなにを言われたかわからなかった。
なにかを持って来いと言うことのようだが、よくわからない。
灰皿とはなんだ……?
それにしても、さっきから七雌妖が吐いていて、わざとらしく吹きつけられる煙はやたらにけむい。
「舌を出しな、宝玄仙──。拒否することは許さないよ。半刻(約三十分)の電撃責めにしてもいいんだよ。別に死ぬわけじゃないからね」
七雌妖が宝玄仙を見た。
意地悪く突っかかるような言い回しが癪に触る。宝玄仙は、七雌妖を睨みながらも、仕方な黙って舌を出す。
「ひいっ」
いきなり片手で髪を掴まれた。
舌の上に煙草というやつの先端から落ちた灰が落とされた。
この灰をどうしろというのか……。
一瞬、宝玄仙は硬直した。
「なにしてるんだよ。口の中に入れないかい。それが奴隷だよ」
七雌妖が言った。
しかし、そう言われても、こんなものを口に入れて飲み込むということについては、すぐに決心がつかなかった。
頬を張り飛ばされた。
「くっ」
食いしばった歯の中でさっきの灰が喉の奥に入っていくのがわかった。
「さっきのは、煙草というものだ。あたしは、これを吸うと気が落ち着くんだ。これからは、お前の口が灰皿だ。あたしが煙草を吸い出したら、すぐに舌を出す準備をするんだ。わかったかい──」
「わ、わかったよ……」
宝玄仙は心の中で悪態を繰り返しながら言った。
灰はとてつもなく苦かった。煙草というものがどういうものかはわからないが、おそらく、灰を口に入れるというのは、とてつもなく侮辱的な行為に違いない。
それを宝玄仙に強要しているのだ。
宝玄仙は気が遠くなるような恥辱感に包まれた。
「舌を出しな」
七雌妖が言った。
もう観念して、黙って宝玄仙は舌を出す。
その舌に、いきなり七雌妖は火のついた赤い先端を宝玄仙の舌に押しつけた。
「あぎゃああああ」
眼もくらむような熱さに、宝玄仙は絶叫して引っくり返った。
「いちいち、悲鳴をあげるんじゃないよ。奴隷──。罰だよ。あたしはこれから湯に入る。お前は、そこで立ったまま自慰をするんだ。あたしから湯から出るまでにいきな。いくときに……、そうだねえ──。コケコッコウコウ──と鳴きながらいきな。できなかったら電撃半刻(約三十分)だ──いいね」
「な、なに──?」
宝玄仙はあまりの命令に、さすがに抵抗しようと思ったが、すでに七雌妖は、さっと着物を寝椅子に脱いで湯に入っていった。
肩まで湯に浸かった七雌妖が、岩に背もたれてこっちを眺める態勢になった。
「さっさと始めるんだよ、奴隷」
七雌妖が蔑んだような視線をこっちに向けている。
宝玄仙はぐっと拳を握った。
その拳が小さく震えるのがわかった。
大きく息を吐く。
そして、ゆっくりと手を伸ばして、股間と乳首を愛撫し始めた。
「あ……はあ……」
すぐに身体が小刻みな痙攣を起こし出す。
どこをどう触れて、どう刺激をすれば自分の身体が燃えたつかなどわかりきっている。
あっという間に股間から愛汁が溢れだす。
こんな雌妖に強要されて、見世物のように自慰に耽るのは屈辱以外のなにものでもないはずだが、宝玄仙の身体は不可思議な被虐の酔いが回り始めていた。
羞恥心はある。
しかし、その羞恥心……、いや、屈辱感が快感に繋がっている。
自分の意思とは関係ない。
だが、確実に汚辱感が快感に変わっている。
宝玄仙はそんな自分に当惑していた。しかし、気持ちがいい。
「あうっ」
峻烈な快感が襲った。乳首と肉芽の強烈な快感が襲い、宝玄仙は、知らず股間を突きだすようにしていた。
「もっと、脚を開きな、奴隷──。コケコッコウを忘れるんじゃないよ」
七雌妖が笑った。
宝玄仙を呷るその蔑みの言葉がなぜか快感に変わる。
心に恥辱を感じたとき、宝玄仙はどっと自分の股間から愛液が溢れ出すのがわかった。
眩暈がするような汚辱感の中で、宝玄仙はさらに激しく苛烈な衝撃に襲われていた。
見られている……。
自分が浅ましく自慰をするところを観察されている。嘲笑される。
宝玄仙の誇り高い神経は焼き焦げそうだ。
しかし、それが全身の感度を沸騰させるような鋭敏な神経に変える。
「おうう……。はあああっ──」
快感が激しくなった。
乳首を刺激する手に力を入れた。
二本の指で挟むようにしながら、片側の乳房を揉むあげる。
股間の亀裂に喰い込む指は激しく上下に動かす。股間からいやらしい音がする。
宝玄仙は神経が麻痺する感覚を味わっていた。
なにもかもどうでもよくなる。
この快感に没頭したい。
来る……。
そこまで来ている。
「あ、ああ、あああ──いくっ──いくよ──」
宝玄仙は全身を震わせて叫んだ。
次の瞬間、全身が硬直した。そして、がくがくと膝を震わせた。
「コケコッコウ──」
宝玄仙は甲高い声をあげた。
達した──。
一瞬だけ呆然となり、気がつくと大きな余韻に浸っていた。
笑い声がする──。
顔をあげると、湯の中で手を叩いて笑っている七雌妖の姿があった。
強烈な羞恥が襲ってくる。
「こりゃあ、いいねえ。本当にやってくれるとは思わなかったよ、お前……。コケコッコウーなんて叫びながら、本当にいけるのかい──」
まだ、七雌妖は笑っている。
宝玄仙は急に白けた気分になった。
「……ごめんよ、宝玄仙──。あんまり愉快でね──。そうだ。お前に『縛心術』をかけてやるよ。これから、いくたびに無意識のうちに、コケッコウコウと叫ぶようにしてやるよ──。こっち見な」
七雌妖が言った。
宝玄仙が七雌妖の眼を覗くと、自分の身体になにかが入ってきたような感覚が襲った。
「……でも、ちゃんとできたわね。ご褒美をやるよ」
急に真面目な顔になって口元に優しげな微笑を浮かべながら七雌妖が言った。
なぜかその笑みが、宝玄仙を落ち着かない気持ちにさせる。
自分の心臓の鼓動が激しくなる。おかしい……。自分はどうしたのか……。
「あっ」
糸が飛んできた。
右手首に巻きついたかと思ったら背中に引っぱられる。
左手も……。
あっという間に宝玄仙の両手は、背中で括られてしまう。
「おいで」
七雌妖が湯の中で手を拡げる。
宝玄仙は、湯船に進みそこに向かって歩いていった。
「可愛いねえ、お前……」
七雌妖が宝玄仙の裸身を湯の中で抱いた。
唇が迫る──。
宝玄仙も七雌妖の唇に唇を合わせる。
舌が宝玄仙の口の中に入ってくる。強烈な快感が襲う。
七雌妖の手が湯の中で宝玄仙の乳房や股間を這い回る。
「あうっ……はああっ……」
宝玄仙を翻弄させる七雌妖の手管だ。これだけは逆らえない。
快美感がうねる。
猛烈な快感が襲う──。
指が二本……肛門にも……。
宝玄仙の感じるすべての部分に七雌妖の手が動く。
「はああっ──」
激しいものが襲った。
また、やってくる──。
峻烈な快感が五肢を駆け巡る。
「コケコッコウ──」
いきなり宝玄仙は叫んでいた。
七雌妖が大きな声で笑った。
「……だけど、雌犬なのにコケコッコーというのは変だよねえ。お前もそう思うだろう、宝玄仙?」
七雌妖が達したばかりの宝玄仙の全身をさらに愛撫しながらささやく。
そんなことはどうでもいい……。
宝玄仙の性感を抉り取る七雌妖の手管に再び翻弄されそうになり、顔を七雌妖の乳房にがっくりともたれさせた。
その宝玄仙の頭を七雌妖がいとおしむように優しくてを添えた。