※この作品はR-18です。

嗜虐西遊記【完結】   作:ドン・ドナシアン

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321 くすぐり奴隷の余韻

「ほら、歩きな、雌犬」

 

「ひぎぃっ──」

 

 鼻に取り付けられた鼻輪に繋げられた鎖を引っ張られて朱姫は泣き叫んだ。

 両手首の手錠は首輪に後ろにある金具に接続されている。

 しかも、両膝に嵌められた枷が、首輪の前の部分と鎖で繋がっているのだが、その鎖が短いので前屈みにしかなれず、そして、膝もまた短い鎖で繋がっているので、満足に歩けないのだ。

 その状態の朱姫を七雌妖(ななめよう)は、容赦なく鼻輪で引っ張り回して裏庭に連れてきた。

 

「ぎひっ、ぎひぃぃぃぃ……」

 

 鼻輪をつけられてそれを引っ張り回される苦しさと激痛に、朱姫は鼻水が顔から滴り落ちるのも構わずに呻き泣いた。

 全身が鞭打ちの激痛と辛子汁による責めでばらばらになりそうだ。

 しかし、七雌妖は、朱姫の苦悶などお構いなしに鼻輪を曳きまわす。

 朱姫が泣き声をあげればあげるほど、悦に入ったように責めを強くする。

 

「ほらっ、ほらっ、朱姫──。歩くんだよ」

 

 七雌妖は朱姫を裏庭の真ん中まで連れてきた。

 ふと見ると、庭の真ん中に一本の棒が突き出ている。

 その棒の先端は男根の形をしており、しかも大きさが巨根並みだ。

 縦棒は、しっかりと根元が土に埋まっていて、朱姫の膝の位置程度までの高さまで突き出ている。

 下側に取っ手のようなものがあり、どうやら張形の高さは調整できるようだ。

 また、棒の下側には垂直に横向きの棒が足首の高さで交差していて、両側に革紐がついている。

 

「お前のために準備したものさ。ここで気が狂うまで立っていな、朱姫」

 

 七雌妖は嫌がる朱姫をその奇妙な巨根の飾りのついた棒の位置まで連れてくると、膝と首輪の鎖を離し、膝の枷も取った。

 次に持っていた鼻輪の鎖を上に放り投げる。

 上には、樹木の枝が突き出ていて、鎖は枝を一回転して先端が戻ってきた。

 七雌妖は、朱姫の身体が棒を跨ぐように位置を調整すると、鼻輪の鎖を朱姫が上を向かなければならないくらいの高さに固定して結んだ。

 

「ふぎいっ……い、いがい……ゆ、許、ゆるひて……」

 

 朱姫は泣き声をあげた。

 七雌妖はその朱姫の情けない姿に悦びの笑いをあげる。

 

「ほらっ、半妖の娘なら、この巨根をずっぽりと咥えてみせな」

 

 七雌妖は朱姫の足首を引っ張ると強引に横になっている棒に開脚にして足首を革紐で結びつけた。

 朱姫は先端が巨根となった縦棒を跨いで大きく脚を開いた状態で固定される。

 しかも、顔は上から樹木の枝を通った鼻輪で引っ張りあげられている。

 身動きすれば鼻に激痛が走るので、もがくこともできない。

 

「いくよ」

 

 七雌妖が縦棒の根元の取っ手を操作し始めた。

 だんだんと縦棒の先があがってくる気配があった。

 やがて、巨根の先端が朱姫の割れ目に触れた。

 

「うあっ……ひ、ひっ、さ、裂ける……裂けます……や、やめてっ──」

 

 乾いた膣に張形がめり込んできて、朱姫は悲鳴をあげた。

 しかし、朱姫の苦痛の叫びなど聞こえないかのように、どんどんと棒は上昇する。

 やがて、巨根の亀頭の部分が朱姫の陰唇をかきわけてずるりと入った。

 

「ほごおっ──」

 

 朱姫は身体を仰け反らして震わせた。

 そのため鼻輪が引っ張られて、また激痛が走る。

 

 巨根が大して濡れてもいない膣の粘膜を強く擦りあげながらあがってくるのは苦痛以外のなにものでもない。

 朱姫は悲鳴をあげ続けた。

 ずんという感触とともに女陰の最奥まで巨根が突き抜けた。

 

「あががががっ──」

 

 さらに七雌妖が取っ手を操作して巨根を上まで引きあげた。

 朱姫は膣が引き裂かれる恐怖と激痛で、ほとんど動かない足を懸命に爪先立ちさせて、それに耐えた。

 朱姫の苦悶の串刺し姿が完成すると、七雌妖は満足したかのように、朱姫から少し離れて、それを眺める態勢になった。

 

「じゃあ、しばらく、そうしてな──。沙那や孫空女の様子を見てくるよ。いまごろはおじきがどっちかのくすぐり調教をしているはずだからね」

 

 七雌妖が冷酷そうな表情で笑った。

 朱姫は倒れるどころか身動きもできない。

 膣口は限界まで押し広げられて、深々と巨根がめり込んでいる。

 しかも、朱姫が股間で受け入れられる限界以上まで高さをあげられているので、開脚で爪先立ちの姿勢を崩せない。

 

「さて、じゃあ、最大限の振動にしてから放置しておいてやるね、朱姫」

 

 七雌妖が喉の奥で笑った。

 この状態で女陰に挿入されている大きな張形を振動されて放置されるなど冗談じゃない。

 本当に死んでしまう。

 朱姫は懸命に哀訴した。

 

「愉しいことをしているじゃないか、七雌妖……」

 

 突然、宝玄仙の声がした。

 驚いて朱姫は声の方向に視線を向ける。

 

 下着一枚だけを身につけた宝玄仙が建物から歩いてくる。

 その後ろには沙那もいる。

 

「お、お前、宝玄仙──。なんでここにいるんだい?」

 

 しかし、朱姫以上に七雌妖が、宝玄仙の存在に驚愕している。

 次の瞬間、四方八方から七雌妖に大量の糸が襲いかかった。

 七雌妖の首から下が繭のようなもので包まれ、それが小さくまとまる。

 

「な、なんだい、これ?」

 

 あっという間に、七雌妖は首だけ出したまま、手足を丸めて繭の中に包まれた状態になった。

 ほとんど瞬時に終わってしまい、七雌妖もなにが起きたかわからなかったに違いない。

 首から下を繭に包まれた七雌妖は、ちょうど大きな卵から首だけ出しているようなかたちだ。

 動きを封じられた卵のような態勢の七雌妖がごろりと地面に倒れた。

 

「こ、これは……?」

 

「お前のような三流妖魔にはもったいない道術じゃないか。これからは、わたしが遣わせてもらうよ──こっちを見な」

 

 宝玄仙が横倒しになっている七雌妖の顔を踏みつけた。

 そして、顔を覗きこむようにしている。

 朱姫には、宝玄仙が『縛心術』をかけようとしているということがわかった。

 

「大丈夫、朱姫?」

 

 沙那がやってきて、朱姫から鼻輪を外した。

 次いで、取っ手を操作して、喰い込んでいる巨根が先端にある縦棒の高さをさげて、朱姫の膣から抜いてくれた。

 首輪、手錠、足首の革紐が次々に外される。朱姫はその場に崩れ落ちた。

 

「さ、沙那姉さん──」

 

 朱姫は抱きかかえてくれた沙那に抱きついた。

 

「もう、大丈夫よ。ご主人様の道術が少し戻ったのよ」

 

 沙那が朱姫の身体を抱きしめながら言った。

 

「……お前のお陰だよ、朱姫。お前の『縛心術』がわたしの身体の中の霊気を新たに覚えた道術を結びつけられるようにしてくれたのさ。それと、あの黄金の光さ」

 

「と、とにかく、道術が戻ったんですね――」

 

 朱姫は歓声をあげた。

 

「とにかく、お前から受け取った道術がわたしの中で、わたしの道術として霊気と結ばれた。それとこいつの糸の道術もね。こいつが尻尾をつけて、わたしの身体に糸の道術を流しっぱなしにしてくれたので、これも取り込むことができたよ」

 

 宝玄仙はこっちを見て微笑んだ。

 

「ちっ」

 

 転がっている七雌妖が舌打ちした。

 次の瞬間、宝玄仙に向かってどこからか糸が飛んできた。

 しかし、その糸は宝玄仙のそばでなにかに阻まれるように跳ね返される。

 

「『結界術』はわたし直伝の朱姫の道術だからね。お前のような三流雌妖に破れるかい。ほら、観念して、わたしの眼を見な」

 

 宝玄仙の周りには、『結界術』による見えない壁が覆っている。

 朱姫にもそれがわかったが、七雌妖の糸の術はそれに跳ね返されたのだ。

 抵抗している七雌妖の顔を宝玄仙は強引に自分に向けさせた。朱姫は、『縛心術』が七雌妖に流れ込むのがわかった。

 七雌妖の表情が虚ろなものに変わる。

 

「七雌妖、わたしと『道術契約』を結ぶんだよ。お前の道術をすべてわたしに渡すと言の葉に載せな」

 

 宝玄仙が言った。

 虚ろな表情の七雌妖の口が開いた。

 

「あ、あたし、七雌妖は、宝玄仙に、すべての、道術を、渡す……」

 

「契約を結ぶよ」

 

「結ぶ」

 

 ふたりの交わした『道術契約』が刻まれた。

 大きな霊気の流れが七雌妖から宝玄仙に向かったのがわかった。

 七雌妖の道術力がすべて、そのまま宝玄仙に移動したに違いない。

 これで、新たに『道術契約』が交わされるまで、七雌妖は道術が遣えない。

 そして、これまで七雌妖が遣っていた道術のすべてが、宝玄仙の中に取り込まれた。

 

「どれっ、朱姫、こっちにおいで」

 

 宝玄仙が言った。

 朱姫が立ちあがると、全身が温かいものに包まれた。

 宝玄仙から『治療術』の道術が流れてくる。

 『治療術』は七雌妖が遣えた道術だ。

 それを宝玄仙が取り込み、さっそく、朱姫に施してくれたのだ。

 辛子汁や鞭打ちで痛めつけられた朱姫の身体が治っていく。

 鼻輪を取り付けるために開けられた鼻の中の孔も塞がれたのがわかった。全身の激痛も消える。

 痛みが瞬時に消滅する感覚は、最高の絶頂をしたときと同じくらい気持ちいい。

 朱姫は思わず、嬌声のような声を漏らしてしまった。

 

「お前、道術はどうしたんだい?」

 

 宝玄仙が言った。

 

「多目怪の道術で封印されたみたいです、ご主人様」

 

「そうかい……。やっぱり、あの光は道術を封印する効果があっんだね。だから、賽太歳とやらの呪術も一緒に封印されて弱まったということだね。理にはかなってるじゃないかい……。とにかく、ちょっと待ちな」

 

 宝玄仙が朱姫をじっと見る。

 おそらく、道術で朱姫の中の霊気を調べているのだ。

 

「……ただの『縛心術』だね。これなら、簡単に復活できるさ──。ほら、終わったよ」

 

 宝玄仙が言った。

 朱姫は自分の中で霊気が動き出すのがわかった。

 道術が戻ったことで、とまっていた霊気の流れがまた激しく動き出したのだ。

 

「わたしらは、孫空女と多目怪を見つけて来る。多分、孫空女は、多目怪と一緒だ。懲らしめてくるよ。こっちはお前が好きにしていい、朱姫」

 

 宝玄仙が言った。

 そして、七雌妖の顔の前で手を叩いて、大きな音をさせた。

 七雌妖の顔がはっとしたようになる。

 

「こ、これは……、ど、どうなったんだい、あたし?」

 

 繭の包まれたままの七雌妖がまともな表情になった。

 『縛心術』から、解放されたのだ。

 

「ご主人様、もう、あたしでもこいつを自由にできます。繭から出してください」

 

 朱姫が言うと、瞬時に七雌妖を包んでいた眉が消滅した。

 

「あ、あたしの道術が……」

 

 七雌妖は、自分の身体を探って、道術がなくなっていることに気がついたに違いない。

 さっきは、深い『縛心術』をかけられている状態で、『道術契約』を結んだ。

 だから、宝玄仙に道術を渡したことを覚えていないはずだ。

 しかし、意思がない契約でも、言の葉に載せてしまえば有効だ。

 

 これから、七雌妖は道術がない状態で生きていくことになるのかもしれない。

 随分と自分勝手な妖魔だったが、道術がなくなれば好き勝手はできないだろう。

 朱姫は、事態の変化がわからず、途方に暮れたような表情の七雌妖の頬を力いっぱい張り飛ばした。

 

「ひぎいっ」

 

 七雌妖の身体が横倒しに倒れる。

 孫空女ほどじゃないが、朱姫もそれなりに力はある。

 その朱姫の張り手で七雌妖は地面に倒されたのだ。

 

「裸になりなさい、七雌妖」

 

 朱姫は静かに言った。

 七雌妖は倒れた身体の上半身だけを起こした状態だった。

 

「はあっ?」

 

 七雌妖が眉毛をひそめて朱姫を睨んだ。

 

「はがああああっ」

 

 しかし、その七雌妖が悲鳴をあげると、そのまま白目を剥いて再び倒れた。

 朱姫の『影手』が、七雌妖の肉芽に張り付き、力いっぱい肉芽を握り潰したのだ。

 

「命令にはすぐに反応した方がいいわね、七雌妖。次は鼻の孔よ。命令に逆らったり、躊躇したりすると、その『影手』が今度は、お前の鼻の粘膜を突き破るわよ」

 

 七雌妖の鼻を塞ぐように新たな『影手』を張りつけた。

 違和感を覚えたのか、七雌妖の顔が蒼くなる。

 

「ひぐっ──。ぬ、脱ぐわよ、脱ぐっ」

 

 慌てて七雌妖の手が動き出した。

 顔に貼りつけた『影手』を鼻の孔の中に移動させたのだ。

 それで、朱姫の言葉が脅しではないことを悟ったに違いない。

 肉芽を摘まんでいる『影手』も痛みは緩めているが、圧迫感を与える程度には力を入れている。

 

「じゃあ、わたしらは行くよ、朱姫」

 

「ほどほどにね」

 

 宝玄仙と沙那が屋敷の方向に戻っていく。

 それを横目で見ながら、七雌妖が次々に衣類を下に落としていくのを朱姫は確認する。

 

「ねえ、七雌妖……さん。責める者と責められる者……。これが逆転するなんて、こんなに面白いことはないと思いませんか?」

 

 朱姫は言った。

 

 

 *

 

 

 生きている……。

 

 それが孫空女によぎった思いだ。

 

「どうだ、怖かったか……? だが、これをやられると、気を失ったり、狂ったりする者もおるのじゃが、お前は気丈にも、意識を保ったままだったのう。大したものじゃ」

 

 多目怪の声が横から聞こえた。

 八本の腕を持つ巨大な多目怪が少し離れた場所で笑っている。

 孫空女は粘性の触手の束に身体を包まれた状態で横になっていた。

 

「こ、これは……」

 

 なにが起こったかわからない。

 床のなくなった部屋の天井から繋がれた吊り輪にぶらさげられて、壁から出てきた触手で全身をくすぐられた。

 足の下には、孫空女の身体を切断してしまうような刃物が突き出ていた。

 しばらくは、くすぐりに耐えていたが、両脇を同時にくすぐられて、ついには力尽きて下に落ちたのだ。

 だが、切断されると思っていた刃は柔らかい素材であり、落下した孫空女の身体を護るように包んでくれた。

 そして、下の床に着くと、刃物だった形が分裂して、触手の束になり、孫空女の全身を拘束したのだ。

 

「ふざけるなよ、変態妖魔……」

 

 それだけ言うのがやっとだった。

 さっきの死の恐怖が孫空女の身体からまだ離れない。

 悪態をつかなければ、その恐怖心に心が潰される気がする。

 しかし、多目怪は大笑いした。

 

「あまり、反抗的ならもう一度やってもいいぞ。今度は本物の刃物に変えてやる。死んだ動物は本当に死んだのだ。わしの道術ひとつで、刃物を刃物のまましておくこともできるし、さっきのように柔らかい触手に戻すこともできる。わしは、どっちでもいいのじゃ」

 

「く、糞が……」

 

「くすぐり奴隷としての素材は、宝玄仙と沙那で手に入った……。だが、お前は、お前でなかなか味がある──。まあ、合格じゃ。三人並べて、くすぐり奴隷に仕上げてやる。わしの愉しみはしばらく続きそうじゃ」

 

 多目怪が哄笑した。

 かっとなって、なにか言い返そうとしたが、孫空女を包んでいる触手の一部が急に上に伸びて孫空女の裸身を見下ろすようなかたちになる。

 それと同時に、孫空女の四肢が伸ばされて、仰向けにされた。

 また、身体が背中側から突きあげられて、腰と胸を上に突き出したような態勢になった。

 

「な、なんだよ」

 

 孫空女は抗議の悲鳴をあげた。

 しかし、孫空女を見下ろしている触手の先が繊毛の束のようなかたちに変化し、孫空女の全身に襲いかかってきた。

 

「や、やめてよ……あ、ははははははっ……ひいひひひひ……あははは……ははは……ひゃははははは……お、お願い……はははは、ひゃははは……」

 

 いきなり全身のくすぐったい場所を繊毛が擦り始めた。

 くすぐったいというような生易しいものじゃない。

 わけのわからない刺激が全身を駆け巡る。気がつくと笑い続けている自分がいる。

 笑いたくないのに、その刺激が笑いを呼び起こし、そして、笑い続けることで少しずつ死に近づくのがわかる。

 そんな感じだ。

 

 全身が壊される。

 心からの恐怖を覚えながら、孫空女は全身からやってくるくすぐったさに笑い続けた。

 

「はははははは……ひゃははははは……あは、ひっ、ひひひひ……はははは……」

 

 やめてとも言えない。触手は孫空女の身体に耐性ができないように次々に刺激の場所と強さを変化させながら孫空女の全身を襲いかかってくる。

 頭の先から足の裏までくまなくくすぐられて、孫空女は半狂乱になった。

 

 息が……。

 息がとまる……。

 

 死ぬ……。

 笑いながら恐怖心を感じていた。

 

 なにがどうなっているか、知覚する能力が消滅する。

 感じるのはただ触手の先の繊毛の恐ろしさだけ。

 それが全身に責めかかる。

 

「ひゃはははは……ははははは……あっはははは……や、やめ……はははは……お、ねがい……あははは、ひうっ……ひひひひ……はあ……はあ……はははは……だ、だめ……はははは……」

 

 逃げようにもがっしりと胴体と四肢が拘束されている。

 ほとんど身じろぎもできないのだ。容赦のない触手が孫空女の全身をくすぐる。

 

「ほう、さっそく、小便を洩らしたか……。大抵は次に大便も垂れる。恥ずかしがることはないぞ。遠慮なく垂れ流せ。ちゃんと始末してやる──。その代わり、明日の朝まで続けるぞ。明日の朝まで息があったら、次の段階に進む。息がなければそれで終わりじゃが、お前は見たところ、身体が丈夫そうじゃ。耐えられるじゃろう」

 

 多目怪の声がする。

 しかし、もう半分も頭に入ってこない。

 ひたすら繊毛に翻弄されて笑うだけだ。

 

 苦しい……。

 助けて……。

 

 孫空女は笑いながら絶望の悲鳴をあげた。

 その触手が突然に消滅した。

 孫空女は床に投げ出された。

 

「な、なんだ?」

 

 多目怪が叫んでいる。

 顔をあげると多目怪の全身が蜘蛛の糸のようなもので縛られている。

 部屋のあちこちから伸びた無数の糸が多目怪の全身に絡みついて、その動きを封じているのだ。

 糸は多目怪の身体に隙間なく絡みついているが、糸が当たる部分には、うっすらと多目怪の血が流れている。

 

「動くんじゃないよ、多目怪──。糸を刃物に変えている。うっかりと動けば、お前の身体はばらばらに切り刻まれるよ……。まあ、わたしはそれでもいいけどね」

 

「ほ、宝玄仙なのか? ど、どうやって……」

 

 多目怪が呻き声をあげた。

 宝玄仙がいるのは部屋の隅で、糸で拘束されている多目怪の背中側だ。

 身体を動かせない多目怪は、宝玄仙の姿を見るために振り返ることができない。

 

「ご主人様」

 

 孫空女は叫んだ。

 

「あんた、大丈夫?」

 

 宝玄仙の後ろの沙那が言った。

 

「な、なんとか……朱姫は?」

 

「無事よ。七雌妖と遊んでいるわ」

 

 沙那が言った。

 

「遊んでいるね……」

 

 朱姫のことだ。

 また、七雌妖をいたぶって嗜虐しているに違いない。

 

「お、お前、道術が遣えたのか……?」

 

 多目怪が身動きできない姿のまま言った。

 

「そうだよ。好き勝手してくれたけど、これでも、超一流の道術遣いさ。この宝玄仙をいたぶってくれた礼をどうやってしてやろうかねえ──。わかっていると思うけど、この部屋は、わたしの結界が包んでいる。だから、お前の道術が作動しないのさ。この結界の中にいる限り、お前はわたしの玩具だ。そして、そう簡単には出してやらないけどね」

 

「け、結界? ま、まさか、こんなに強い結界など……。し、しかし、本当に道術が遣えん。し、信じられん……」

 

「信じられようが、信じられまいが、本当はお前とわたしにはこれだけの霊気の差があるんだよ。よくも酷い目に遇わせてくれたね。覚悟はいいかい」

 

 宝玄仙と沙那が回り込んで、孫空女のそばまで来た。

 孫空女も立ちあがり、なんとか沙那の隣に立つ。

 宝玄仙は多目怪の前に立ちはだかるように立っていたが、その多目怪の腰に向かって、どこからか別の糸が伸びた。次々に糸が飛んでは消え、刃物のように伸びて多目怪の下袴を引き裂いていく。

 

「や、やめんか──」

 

 下袴を切り裂かれそうになっている多目怪が悲鳴をあげた。

 

「やかましいよ。女三人、裸でいるんだ。お前だけが服を着ているなんて許されるわけないだろうが」

 

 宝玄仙は容赦なく多目怪の下袴を引き裂いていく。

 やがて、股間を包んでいた部分がなくなり、多目怪の局部が露わになった。

 

「意外に粗末じゃないか。その身体だから、さぞや立派なものを持っているのかと思えば、普通より小さいんじゃないかい」

 

 宝玄仙が多目怪の股間からぶらさがっている肉棒を見て笑った。

 多目怪の顔が恥辱に歪んでいる。

 孫空女の眼にも、大きさは人間の男のものに比べてもやや小さ目だと思う。

 それが、多目怪の大きな身体についているのだから、まるで子供の男根をつけているようにも見える。

 

「そんな粗末な道具だから、女をくすぐり責めるというようなおかしな方向に性癖が指向されるのさ……。ほら、お前たちも笑いな」

 

 多目怪の顔が泣くような表情になった。

 どうやら、道具の小ささについては、多目怪の心の傷なのかもしれない。宝玄仙もそれはわかっているのだろう。

 だから、容赦なく心を抉るような言葉を使っているのだろう。

 

「ほら、なにか言いな、沙那」

 

「わ、わたし、ですか……?」

 

 宝玄仙に突然振られた沙那は戸惑いの表情だ。

 

「そうだよ。あいつの道具は小さいよねえ」

 

「さ、さあ……。わ、わたしは、普通がどんなんだか、よくわからないし……」

 

「なに、かまととぶってんだよ──。じゃあ、孫空女だ。お前はどう思う?」

 

「まあ、小さい方だろうねえ」

 

 仕方なく思ったことを言った。

 多目怪がなにか獣じみた唸り声をあげて孫空女を睨んだ。

 

「おっ、いいものがあるじゃないか」

 

 宝玄仙が部屋の隅の戸棚を見つけて声をあげた。

 孫空女も見たが、そこには酒瓶がずらりと並んでいた。

 宝玄仙はなにをするかと思ったら、その戸棚まで行き、一本の酒瓶を持って戻ってくる。

 ついでのように、戸棚の前にあった燭台から火のついた蝋燭を持ってきた。

 そして、驚いたことに多目怪の恥毛と男根にどぼどぼと酒をこぼしはじめた。

 

「な、なにをするつもりじゃ?」

 

 多目怪の眼が大きく開いた。

 

「心配しなくても、焼け焦げた肉棒だけは、『治療術』で治してやるよ」

 

 宝玄仙は酒を吸った多目怪の恥毛に蝋燭の火を移した。

 

「ひ、ひいいっ──」

 

 多目怪が驚きの声をあげた瞬間、多目怪の恥毛と肉棒が蒼白い炎に包まれた。

 

「うわあああぁぁぁぁ──」

 

 多目怪が絶叫して暴れた。

 どうやら、動けば身体がばらばらに千切れるというのは宝玄仙の脅しだったようだ。大暴れしている多目怪だが、糸の部分に血が滲む程度で、それ以上の傷はつかないようだ。

 その代わり、どんなに多目怪が暴れても、多目怪の全身を拘束している糸は緩みそうにもない。

 多目怪の絶叫が部屋に響き渡る。

 断末魔のような多目怪の絶叫と毛と肉が焼ける匂いが部屋に立ち込めだす。

 

「あがあああぁぁぁぁ──」

 

 すでに多目怪の恥毛は焼けてなくなっている。

 しかし、まだ、炎は酒をかけられた肉棒の表面で燃え続けている。

 炎に包まれた男根を凝視していて、あまりの残酷さに孫空女は眼を逸らした。

 ふと見ると、沙那は両手で顔を隠して、顔を反対側に向けて身体を震わせていた。

 

 

 *

 

 

 久しぶりにひとりになった気がする。

 多目怪の屋敷だった黄花観(おうかかん)だが、屋敷の持ち主だった多目怪はもういない。

 三日間ほどいたぶってから七雌妖とともに放逐した。

 二日以内の距離に戻って来たら、今度こそ殺すと伝えている。

 

 多目怪についても、七雌妖についても、道術を『道術契約』で宝玄仙に移したことで、道術を失っている。

 道術を失った妖魔二匹がどうやって生きていくのかは知らない。

 もしかしたら、北辺の濯垢泉(たくこうせん)の七雌妖の屋敷にでも行くのかもしれないが、宝玄仙の知ったことではない。

 

 それにしても、酷い目に遭ったものだ。

 つくづく、宝玄仙は考えた。

 

 気まぐれで、北辺の宿屋の一階の酒場で意気投合した七雌妖とひと晩をともにして、そのまま、雌犬奴隷としての調教を受けさせられる羽目になった。

 三人の供は、七雌妖によって、一時的に記憶を失わされて追い払われたが、救出のために戻ってきてくれた。

 しかし、たままた居合わせた多目怪という変態妖魔に『移動術』でここまで連れて来られて供と離された。

 そして、くすぐり調教というものを受けさせられた。

 くすぐりを性癖として取り入れて、快感として感じる身体に変えてしまうというのだ。

 それで朝から晩まで、ひたすらくすぐられるという数日を送らされた。

 

 三人の供が追いかけて、また救出のために行動してくれたのは、ここに連れて来られて二日後のことだったらしい。

 時間の感覚のなかった宝玄仙には、もっと長く感じたが、あれはたった二日のことだったのだ。

 

 その救出も多目怪が仕掛けた罠で一度は失敗したものの、合流直後の朱姫が宝玄仙に『縛心術』をかけて、完全に封鎖されていた道術の一部を復活させたのだ。そして、あの道術を封印するらしい黄金の光の罠が、逆に凍結されていた宝玄仙の道術の一部を開放することに繋がったのは、まったくの偶然だ。

 とにかく、なにが幸いするかわからない。

 

 もっとも、封鎖されている大部分の道術はそのままだ。

 しかし、新しく身体に入れた道術力を宝玄仙の身体の中の霊気と結びつけられるようにしてくれ、それで、道術がいくらか戻った。

 道術力さえあれば、宝玄仙の霊気は巨大だ。

 いくらでも効果の高い道術を発生させることができる。

 

 いまは、朱姫から受けた道術のほかに、多目怪と七雌妖から奪った、『糸の道術』、『治療術』、『触手術』などが遣える。

 淀んでいた霊気も動くようになったし、体力も気力も回復できた気がする。

 

 酷い目に遭ったのだが、収穫もあった。

 七雌妖と多目怪から、賽太歳(さいたいさい)に関する情報を聞けたことだ。

 宝玄仙の道術を奪った妖魔、つまり、賽太歳──。

 

 その居場所は、ここからさらに北に向かった麒麟山(きりんざん)という場所のようだ。

 朱紫国では、妖魔の里とも呼ばれているところで、そこに、獬豸洞(かいしどう)という名の妖魔城がある。

 そこにいるらしい。

 

 どうなるかわからないが、宝玄仙の道術もいくらか復活している。

 なんとか道術対決で打ち勝ち、本来の宝玄仙の道術を取り戻す──。

 そういうことになるだろう。

 

 出発は明日と決めた。

 三人の供は、そのための準備をしているはずだ。

 

 七雌妖からの調教、多目怪からの調教、その後の二匹の妖魔への仕返し──。

 久しぶりにひとりになり落ち着いた時間を過ごしている。

 

 それにしても……。

 宝玄仙は寝椅子に横になっていたが、ふとそばに置いていた鳥の羽根を手に取った。

 この羽根や多目怪の触手で骨の髄までいたぶられた。

 自分の中のなにかが壊されて、別のものが作りだされるのがわかった。

 

 この鳥の羽根……。

 

 “お前をくすぐり奴隷にする──。

 くすぐられなければ絶頂できない身体にしてやろう……”

 

 あの多目怪の言葉が思い出される。

 別にくすぐられなければ絶頂できない身体になったわけではない。

 しかし、くすぐりの苦しさの向こう側にある途方もない愉悦は、確かに宝玄仙の身体に刻まれた。

 

 あのときの感触──。

 

 途方もない苦しみだったはずなのに、いまとなっては、なんだか懐かしい気持ちに襲われるのはなぜだろう……。

 宝玄仙は、なんとなくその鳥の羽根で自分の首をくすぐってみた。

 

「くっ」

 

 ぞくぞくという快感がすっと全身に立ちこめた。

 びくりとして、慌てて鳥の羽根を離した。

 

 びっくりした……。

 

 いまのはなんだったのか……。

 この三日、二匹の妖魔に仕返しをするのに夢中で、自分のことなど思い起こす余裕などなかった。

 自分を苛めた二匹の妖魔に仕返しの嗜虐をする愉しさでいっぱいだったのだ。

 

 それはそれで宝玄仙の嗜虐の性癖を満足させたが、いまの鳥の羽根の刺激は、それとは別に、宝玄仙に心地よい満足感を与えてくれるような気がした。

 

 宝玄仙は、周囲を見回した。

 誰もいない……。

 

 腰をあげて、下袍から下着を抜く。

 そして、裾をあげて、鳥の羽根を下袍の中に差し込んだ。股間を履くように動かす。

 

「あ、ああ……」

 

 大きな疼きが込みあがった。

 気持ちいい……。

 さらに激しく動かす──。

 知らず、宝玄仙は襲ってくる快感の波に身体を悶えさせた。

 

「……ご主人様」

 

 声がした。

 びっくりして、宝玄仙は鳥の羽根を下袍から慌てて抜いた。

 いつの間にか、沙那と孫空女と朱姫の三人が周りを取り囲んでいる。

 

「お、お前たち、いつの間に?」

 

 宝玄仙はたじろいだ。

 

「おかしなことを始めたんで、隠れて見守っていたんですが、我慢できなくて、気配を殺してやってきたんですよ。あたしたちが周りを囲んだのに、気がつかなくて自慰を続けるなんて、ご主人様、余程、その鳥の羽根の自慰が気持ちがよかったんですね」

 

 朱姫が宝玄仙から鳥の羽根を取りあげて言った。

 沙那と孫空女もその横でにやにやしている。

 宝玄仙は自分の顔が真っ赤になるのを感じた。

 

「お、お前たち、見ていたのかい……。い、いつから?」

 

「いつからって……。ご主人様が、誰もいないのを確かめようと、きょろきょろするところからかな」

 

 孫空女だ。

 

 見られていた……。

 宝玄仙を激しい羞恥心が襲う。

 

「ご主人様、水臭いじゃないですか──。あたしたちは、ご主人様の性奴隷なんですから、ご主人様が気持ちいいことは、いくらでもやってさしあげますよ」

 

 朱姫が押し倒すように、宝玄仙を寝椅子に倒した。

 頭側にいる孫空女が宝玄仙の両手を寝椅子の上にあげるように伸ばさせた。

 

「な、なにしているんだよ、お前たち。そ、そんなんじゃないんだよ」

 

 宝玄仙は叫んだ。

 

「まあまあ、自慰をするくらいなら、あたしらにやらせてくれてもいいじゃない、ご主人様──。あたしらも少しは頑張ったよ。ご褒美だよ」

 

 孫空女が宝玄仙の手首に紐を回して、寝椅子の上側に結びつけた。

 

「そうですね。ご褒美も欲しいですよね」

 

 沙那だ。

 沙那は沙那で、宝玄仙の足首を開いて寝椅子に縛ろうとしている。

 好き勝手な三人の行動だが、どうしても道術で阻止する気になれない。

 それどころか、身体のどこかに、これから起きることを期待している自分がいる。

 宝玄仙は落ち着かない気持ちになる。

 手足を伸ばして寝椅子に拘束された。

 

「さあ、ご主人様、覚悟はいいですか?」

 

 朱姫が宝玄仙の身体に乗るようにして、上衣をぼたんを外し始める。

 上衣がくつろげられて、胸が露わになると、ひんやりとした外気を感じた。

 宝玄仙は、それで自分の身体が随分と火照っていたということを悟った。

 

 抵抗はできるのだ。

 でも、どうしてもそれをする気になれない。

 自分は本当にどうしたんだろう──?

 

「いいですよね、ご褒美を頂いても?」

 

 沙那が宝玄仙の顔を覗きこむように言った。

 宝玄仙の中のなにかの緊張が解けた。

 それも仕方ないか……。そんな気持ちになる。

 

「ふっ……。まあ、いいさ──。わたしを好きにしたいなら好きにしな。抵抗はしないよ」

 

 宝玄仙は言った。

 

「うん」

 

 孫空女が微笑んで頷く。沙那と朱姫も愉しそうに笑っている。

 すっと眼の上に目隠しをされた。視界が消える。

 

「行きますよ、ご主人様」

 

 鳥の羽根が突然、臍の周りを襲った。

 

「ひいっ」

 

 爆発したように込みあがったくすぐったさと快感に、宝玄仙は拘束された身体を跳ねあげて悲鳴をあげた。

 

 

 

 

(第50話『くすぐり奴隷への道』終わり)






 *


【西遊記:73回、多目怪(たもくかい)】


(前回の七人の蜘蛛の女精のエピソードの続きとなります。)

 逃亡した雌妖たちは、兄弟子である多目怪(たもくかい)を頼って、黄花館(おうかかん)という彼の館にやってきます。
 ところが、そのことを知らない玄奘(三蔵)一行が、偶然にもその黄花館に一夜の宿を求めて訪問します。

 雌妖たちは、訪問してきた玄奘たち四人こそ、自分たちを淫靡な悪戯をして辱めた悪者だと訴えます(猪八戒が温泉から出られない七人の雌妖の股間を鯰(なまず)に化けて悪戯をしたことを差しています)。
 怒った多目怪は、素知らぬ振りをして、玄奘たちに毒茶を飲ませます。
 玄奘、猪八戒、沙悟浄は毒で昏倒しますが、孫悟空だけには毒は効きませんでした。
 多目怪と七人の雌妖が孫悟空に一斉に襲いかかります。
 孫悟空は、咄嗟に、ひとりで屋根に逃げますが、館全体を白い糸が覆ってしまって繭のように包まれ、屋敷に入れなくなります。

 孫悟空は、大量の自分の子人を出現させて、強引に繭の中に入り込ませて、中から七人の雌妖を見つけて引きずり出します。
 命乞いをする七人を人質にして、まだ繭の中の館に籠っている多目怪に、玄奘たちを返せと迫ります。
 しかし、多目怪は玄奘が高僧であり、食べると妖魔としての能力があがることを悟ってしまい、それを拒否します。
 怒った孫悟空は、七人の雌妖を皆殺しにします。

 孫悟空は再び繭を壊して、多目怪に襲いかかります。
 しかし、多目怪の放つ不思議な黄金の光を浴びた途端に満足に動けなくなってしまいます。孫悟空は、とりあえず地中に逃亡して、黄金の光の外に脱出します。

 孫悟空は逃亡できたものの、あの黄金の光の術がある限り、玄奘たちを救出できないと嘆き悲しみます。
 すると、不意に見知らぬ女がやって来ます。
 その女は、孫悟空がいたそばにあった小さな墓に祈りだします。
 孫悟空が事情を訊ねると、自分は多目怪に夫を殺された女であると言います。さらに会話をするうちに、女は多目怪を倒すには、千花洞(せんかどう)という場所に住む毘羅婆(びらんば)という女仙人の助力を受ければいいと教えてくれます。

 孫悟空は、筋斗雲で千花洞に向かいます。
 毘羅婆は、孫悟空の頼みに応じ、黄花洞に同行してくれます。

 黄花洞に到着します。
 多目怪は、またしても黄金の光を放ちますが、毘羅婆が持っていた刺繍棒を投げると、黄金の光が消滅し、多目怪は昏倒してしまいます。

 あっという間に多目怪を倒すことができた孫悟空は、急いで玄奘たちのところに向かいます。
 だが、三人は毒を飲んで倒れた状態のまま瀕死でした。
 毘羅婆は解毒剤を孫悟空に与えます。その解毒剤を飲ませると、玄奘たち三人が元気に復活します。

 一方で多目怪は、毘羅婆の術で無力化されて、一匹の百足(むかで)の姿に戻ってしまいます。
 毘羅婆は、百足の姿の多目怪を連れて行きます。
 玄奘たちは旅を再開します。
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