「痛い──。ご、ご主人様、ひどいですよ……」
沙那は後手縛りのまま、強引に隣の部屋の真ん中に連れて来られて、床に放り投げられるように捨てられた。
思わず抗議の声をあげた。
「ちょっと、準備ができるまで待ってな、沙那。お前は、こいつに女のことを教えるための人形だ。なにも考えなくていい」
「な、なにもって……」
なんだか酷い言われような気がする。
いずれにしても、部屋の隅で緊張した面持ちで服を脱いでいる
この宝玄仙という変態女主人に仕えて三年──。
あらゆることをやらされたが、淫魔と性交をさせられることがあるとは思わなかった。
淫魔といえば、憑りつかれれば性欲が異常になり、四六時中淫行に耽る色情狂となり、ついには廃人同様となると書物で読んだが、本当に大丈夫だろうか。
まあ、宝玄仙がいうなら確かなのだろうし、おかしなことになれば道術でなんとかしてくれるに違いない。
沙那の中に諦めのような感情が走る。
「ご主人様、お待たせしました」
朱姫と孫空女が大きな敷布と
朱姫が葛籠を持ち、孫空女が敷布を二枚持っている。
孫空女は裸身に上下の下着だけの姿だ。さっきまで孫空女も沙那と同じように後手縛りをされていたので、とりあえず朱姫に解いてもらって、急いで下着だけを身に着けただろう。
「じゃあ、準備しな」
宝玄仙の指示で孫空女が部屋の真ん中に敷布を拡げて、その横に朱姫が一個の葛籠を置いた。
その葛籠は知っている。
数個ある葛籠のうち、性具を集めた葛籠だ。
朱紫国の国都から脱走するときに、これまで持っていた荷はすべて失ったが、少しずつ買い足したり、朱姫が性具の霊具を作ったりして、いつの間にか性具だけはかなりの量になっていた。
準備ができると朱姫と孫空女は部屋から追い出された。
このふたりも順番に羅刹に抱かれることになるらしいが、沙那はその最初ということらしい。
「沙那はそこに座りな」
宝玄仙が敷布を指さした。沙那は大人しく、その敷布の真ん中に移動して足を崩して座った。
「お、お待たせしました……」
全裸になった羅刹が両手で股間を隠しながらやってきた。
裸になった羅刹の肌は白っぽくて線も細い。
まるで女の身体のようだ。
そう言えば、顔立ちも美青年だし、髪を伸ばせば、女でも通るだろう。
美しい女の身体から乳房を失くして、男の性器をつけた。
そんな感じだ。
「お前、なに隠しているんだよ。まずは、そこからだ。男側が不安がったり、恥ずかしがったりすると、女が性に没頭できないだろう。まずは、堂々としな──。道具だって並みのものを持っているんだろう?」
「ど、道具は自由にかたちも大きさも変えられます」
羅刹が両手を離した。
沙那はちらりと羅刹の股間にぶらさがったものを眺めた。
まだ、勃起はしていない。
肉棒と睾丸が羅刹の白い股間に垂れさがっている。
「そうだったね。淫魔は自由に性器のかたちを変えられるんだったね」
宝玄仙が羅刹の前に立って言った。
「やっぱり、巨根の方が女を歓ばすことができますよね。巨根に変えてもいいですか?」
「馬鹿だねえ、お前。なんで、巨根がいいんだよ。大抵の女は痛がるだけだよ。だいたい、お前、淫魔の性器がなんで、大きさやかたちをある程度変化させられるのか知らないのかい?」
「は、はあ……」
羅刹が情けなさそうな声をあげた。
「相手に合わせてかたちを変えるためじゃないか。巨根が気持ちいいという女もたまにはいる。そういう女のときには巨根にしな。逆に、初めて性交をやるような女が相手のときには、普通よりも細くする。淫魔は、自在に性器の大きさを変えられるという最大の武器があるんだ。それを最大限に利用することを知りな」
「な、なるほど……」
「大事なのは、女をしっかりと観察することだ。女をいかせたければ、女を見な。女の反応や女の性器に合わせて、行為の最中でもいいから変化させるんだ」
「勉強になります」
羅刹が破顔した。
微笑むと思わず引き込まれそうな男の色香を感じた。
「念のために訊いておくけど、童貞とはいえ、仮にも淫魔だから回数はいけるんだろう?」
「回数とは射精のことですか? それは、自在です。回数も持続力も……。これでも淫魔ですから」
羅刹が微笑んだ。
「なにが淫魔だよ。わたしも淫魔を多く知ってるけど、十七にもなって童貞なんてのは初めて聞いたよ。お前らは、もう、十くらいで目覚めて、仲間内でやり合うんじゃないのかい?」
「いやあ……。でも、俺、ちょっと奥手で……」
羅刹が頭を掻いた。
その仕草がなんとも可愛くて、思わず微笑んでしまう。
とにかく、沙那はもうなにもかも諦めた。
こうなったら、協力するか……。
仕方ない……。
「じゃ、じゃあ、まず、ご奉仕した方がいいですよね……」
沙那は後手縛りの身体を羅刹ににじり寄らせて、男根を口に咥えようとした。
宝玄仙に教えられている情事の作法だ。
まずは、女が口で舐めて肉棒を勃起させる。
そして、性交し、終われば、また、口で掃除する。
そうやるものだと、宝玄仙に叩き込まれている。
「余計なことをしなくてもいい、沙那──。今夜は、こいつを歓ばすようなことは必要ないんだ。こいつが相手を歓ばすための技を覚えるんだからね──。それよりも、お前、ちょっと立ちな」
宝玄仙に命じられて、その場に立たされた。
すると、なにを考えているのか、いきなり、宝玄仙も服を脱ぎ始めた。
呆気にとられている沙那と羅刹の前で、あっという間に宝玄仙も沙那と同じように生まれたままの姿になった。
宝玄仙は全裸の後手縛りで立たされている沙那の隣に立った。
「わたしらふたりの身体を見てごらん。どうだい?」
「ど、どうって……」
羅刹が困ったような表情になった。
「ご、ご主人様、わ、わたしだって、女としての見栄のようなものはあるんです。ご主人様と比べさせるなんて酷いです」
沙那は頬を膨らませた。
宝玄仙の裸身は女の沙那が見ても、思わずうっとりとするくらいに美しい。
染みひとつない白い肌も、見事な曲線を描く身体の線も、乳房の形も色も本当に素晴らしい。
まるで生きている彫刻のようだと思う。
そんな身体と沙那の裸身を比べられれば、どうしても沙那の裸身は見劣りする。
「どっちが綺麗とか、素晴らしいとかを訊いているんじゃないよ。わたしらの身体は違うだろうと言っているんだ──。どうなんだい、羅刹。例えば、わたしの乳房と沙那の乳房は違うだろう?」
「ち、違います。宝玄仙さんのは、大きくて丸くて、でも、乳輪は小さいし……」
「わたしの胸の説明はいいんだよ──。沙那とは違うかと訊ねているんだ」
宝玄仙がちょっとだけはにかんだように赤くなった。
それがなんとなく、隣で見ていて面白い。
「違いますね」
「沙那、腰を降ろして股を開きな」
宝玄仙はそう言うと、宝玄仙自身も敷布の上に腰を降ろし、膝を立てて股を開く。
恥ずかしい格好だが、宝玄仙がやるのだから、仕方なく沙那も同じ格好になる。
「どうだい、わたしらふたりは陰毛だって剃っているから、よくわかるだろう? 大きさやかたちが違うというのがわかるかい、羅刹?」
「そ、そうですね。宝玄仙さんの女陰は……」
「説明はいらないと言っているだろう──」
宝玄仙が怒鳴った。
羅刹がびくりとしたような仕草をする。
思わず沙那はくすりと笑った。
宝玄仙は、沙那をそのままにさせて、自分は敷布から降りて、床の上にそのまま胡坐に座った。
「羅刹、まず、お前に教えるのは、女の身体はそれぞれに違うという事実だ。性感帯だって、女によって場所も感度も違う。だから、当然、女をいかせるやり方は、その女の数だけあるんだ。女をいかせたければ、性交のときによく女を観察するんだ。いいね」
「わ、わかりました」
羅刹は真剣な表情だ。
「よし。それを踏まえたうえで、いまからやるのは、共通的な方法だ。まずは、基本というわけだ。何事も基本が大事だからね。今夜ひと晩で仕込むつもりだから、しっかりと基本を覚えな──。だけど、それから先は、淫魔としてのお前の経験の中で技を磨くんだ。わかったね」
「は、はい」
羅刹が大きく頷く。
「沙那、横になりな」
沙那は膝を立てて足を開いたまま、身体を横に倒した。
「羅刹、女をいかせる基本はここだ。ここが性感帯でない女は存在しない。女の性感帯には、たくさんの場所があるけど、ここは性感帯としてだけに存在する器官なんだ」
「いひいっ」
宝玄仙の指がいきなり、沙那の肉芽を押して、くるくると回転させた。
あっという間に凄まじい快感が全身を貫く。
宝玄仙は無造作に触っているようで、微妙な振動を肉芽に与えている。大きな波が沙那を次々に襲う。
「ひゃ、ひゃああ……あ、ああっ……あっ、あっ、あっ、あひいっ──」
なにかが沙那を突き抜けていった。
気がつくと、沙那は大きな声をあげながら、腰を浮かせて絶頂を極めてしまっていた。
「す、凄い……。こ、こんなに簡単に……」
羅刹が感嘆の声をあげた。
「こいつは特別だよ。常識的には、女がこんな簡単にいくことはないからね。沙那は、ちょっとばかり異常なんだよ。これが普通だと思わないでおくれよ、羅刹」
ふと見ると、宝玄仙が苦笑している。
吐き出しようのない憤りが、達したばかりの沙那に沸き起こる。
「い、異常なんて、酷いですよ、ご主人様……。ふ、普通です」
思わず沙那は言った。
「なにが普通だよ──。お前、本当にしつこいねえ。いい加減に自分を認めな。この世に、お前ほど、感じやすい女もいるものか。ちょっと肉芽をいじくっただけで、達したくせに一人前なことを喋るんじゃないよ」
宝玄仙にそう言われて、それ以上なにも言えなくなった。
口惜しいけど、感じやすいというのは本当だ。
旅の四人で誰が一番敏感かと訊ねられたら、みんな沙那だと即答する気もする。
「とにかく、肉芽を刺激されて、気持ちよくならない女はいない。やってみな」
「じゃ、じゃあ、いきますね、沙那さん……」
「は、はい、ど、どうぞ……」
思わず緊張が走る。
すっと羅刹の指が沙那の肉芽を擦った。
「んくうっ」
ぐっと押される。
達したばかりで余韻に浸っていた身体があっという間に快感を取り戻す。
「強い、羅刹──。触るんじゃない。そっと撫ぜるだけだ……。そうそう、そんな感じだ。その勃起を刺激するときは、絶対に力を入れない……。まあいい、とりあえず、まずは、いかせてみな」
「はい」
羅刹の指遣いがいきなり柔らかくなった。
刺激があるかないかの微妙な感じだ。しかし、
与えられる快感は一気に倍になる。
「そ、それ、だめっ──」
堪えられずに沙那は二度の絶頂をした。
「ほおおっ」
羅刹が驚きと喜びを混ぜたような複雑な声をあげた。
「す、凄い、凄い──」
「お前は凄いとしか言えないのかい」
宝玄仙が笑った。
「眼の前で女の人がいくのは初めてです」
羅刹が嬉しそうに言った。
若い淫魔が沙那の身体で歓んでいるのは、少しは沙那も嬉しさを感じるが、とにかく、続けざまにいかされるのは疲れる。
「ところで、羅刹、さっき、わたしが言った肉芽を中心とした性感帯だけの器官というのは、どこからどこまで拡がっているかわかっているかい?」
宝玄仙が言った。
「えっ?」
羅刹が疑問の籠った声をあげた。
沙那も内心、宝玄仙がなにを言っているのかわからなかった。
「肉芽は、一番感じる場所だけど、この勃起している豆は肉芽が含まれる陰核という性感帯の一部なんだ。陰核はこの豆のような部分だけじゃない。むしろ、大部分は肌の下に埋まっている。こんな風にね」
宝玄仙の手が伸びて、肉芽のすぐ横の部分に指を当てて、押し揉むように女陰に沿って動かした。
「ひうううっ──」
沙那はやってきた激しい快感に腰を浮かせた。そこも気持ちいい。
いや、むしろ、感じる……。
まるで、肉芽そのものを触られているように感じる。
それが広いのでやって来る快感が激しい。
全身に震えが走るとともに、口から迸る声が止められない。
「肌の下に隠れている陰核の部分も女によって、場所も大きさも変わる。前戯代わりに探して確めてやれば、その女を気持ちよくさせられるし、それぞれの女の責め方もわかるだろうさ」
宝玄仙が女陰の周りを押すようにすると、物凄い快感が迸る。沙那はそれを続けてやられて、全身を跳ねあげて悲鳴をあげた。
「暴れるんじゃないよ、沙那。少しは我慢しないか――。じゃあ、沙那の陰核を確かめてみな、羅刹。こいつは、反応が大袈裟だからすぐわかるはずだ。沙那の陰核を探してみるんだ」
羅刹の柔らかい手触りが沙那の股間を襲った。
あっという間にいきそうになり、沙那は歯を喰い縛って懸命にそれを耐えた。
しかし、結局、またすぐにいってしまい、股間から迸った愛液で羅刹の手を盛大に汚してしまった。
「なるほど、かなり、わかりました」
しばらくしてから羅刹がそう言い、やっと沙那は羅刹の愛撫から解放された。
もう、かなりの回数の絶頂をしてしまい、沙那は息がつらくなっていた。
「ご、ご主人様、す、少しだけ休憩を……」
沙那は息も絶え絶えに言った。
「贅沢言うんじゃないよ。人形のくせに――。次は、お前、目隠ししな」
沙那の眼がなにかの布でさっと隠された。沙那は思わず小さな悲鳴をあげた。
すると、いきなりどちらかの指が、沙那の乳首に襲いかかってきた。
沙那はやって来た快感の衝撃に驚くとともに、けたたましい嬌声をあげてしまった。