※この作品はR-18です。

嗜虐西遊記【完結】   作:ドン・ドナシアン

336 / 819
336 屈服する肉塊(宝玄仙)

 春嬌(しゅんきょう)は、宝玄仙が苦しむ姿を眺めながら、ゆっくりと食事をとっていた。

 給仕は麗芳(れいほう)だ。

 

 宝玄仙の喋る言葉は悪態から呻きに代わり、いまは意味不明の呟きを繰り返すだけになった。

 よく耳を澄ませば、「許して」と呪文のように繰り返している気がするが、もうまともな言葉ではない。

 おそらく理性は飛んでいる。正気も消えかけてるのかもしれない。

 それでも、身体は少しも止まることなく動き続けている。

 

 もっとも、その動きもかなり小さくなっている。

 最初は鎖で宙吊りになった身体を激しく暴れさせていた。

 暴れることで両腕や肩に痛みが走る。その痛みでなんとか襲いかかる痒みを癒して理性を保っていたのであろうが、三刻(約三時間)経ったいまでは、体力も尽きてそれもできなくなっている。

 そのため、まともに痒みが襲いかかり、全身を蝕む痒みに神経を狂わせだしたに違いない。

 

 麗芳が運んできた盆に載った野菜と肉料理をゆっくりと咀嚼しながら暴れ叫び続ける宝玄仙を眺めるのは最高の気分だ。

 この女がどんな両親の元に産まれ、どんな風に生きてきたかは知らない。

 だが、道術力を奪った賽太歳(さいたいさい)が驚くほどの道術の力と、これだけの美貌だ。

 きっとなんの苦労もせずに生きてきたに違いない。

 

 宝玄仙という人間の女に恨みがあるわけでもなんでもないが、恵まれた人間の女を見ると、その幸せを徹底的に壊し尽くしたくなる。

 すると春嬌の心の奥底にあって休むことなく煮えたぎり続ける怒りと憎しみの火が少しだけ癒されるのだ。

 そのほんの少しの安らぎを得るために、宝玄仙たちのような犠牲者を捕えてくると言っても過言ではない。

 

 春嬌は皿の上に残っている最後の肉の欠片を口に入れ、布で口を拭いた。

 麗芳がさっと卓の上の盆を片づけて、温かい茶を煎れて春嬌の前に出す。

 春嬌はその茶をひと口すすってから、麗芳に視線を向けた。

 

「そういえば、ほかの三人の様子はどうなの、麗芳? 綺芳(きほう)が面倒を看ているんだろうけど」

 

 麗芳と綺芳の双子には、ほかの三人の調教をやらせていた。

 麗芳と綺芳の二匹の雌妖はそれにかかりきりだったのだが、春嬌の食事の時間がきたので、麗芳だけがその世話をするためにこっちの調教部屋にやってきているから、向こうにいるのは綺芳だけのはずだ。

 

「いまは、三人の性感帯を順番に調べあげているところです。なかなかに調教された三人でして、びっくりするくらいに三人とも性感が強いのですよ。そのうち、春嬌様もお愉しみください」

 

 麗芳が微笑んだ。

 

「お前たちのことだから、さぞや容赦なく色責めにしているんだろうね」

 

 春嬌は言った。

 麗芳と綺芳のふたりの色責めは達人の域を遥かに超えている。

 この二匹にかかれば、どんな不感症の老女であろうとも、愛液を撒き散らしながら絶頂を繰り返してしまう羽目になる。

 その二匹に、宝玄仙の供の三人の女についても容赦なく責めたてろと言ってある。

 今頃は宝玄仙の供たちも散々なことになっているだろう。

 

「まだそれほどでも……。せいぜい、約五十回の絶頂を連続でやらせたくらいですよ」

 

「五十回ねえ……」

 

 さらりと言う麗芳に春嬌は思わず苦笑した。

 

「ところで、そろそろいいだろうね。また、次の孔を開けておやり。このまま、狂うまで吊っておくのも悪くはないけど、やっぱり、少しくらいは長くもってもらいたいしね」

 

 春嬌は宝玄仙に視線を戻す。

 宝玄仙の眼がまた正気を失いつつある。

 耐えられる痒みの限界がそろそろやって来たのであろう。

 あの薬剤は、放っておいても身体が馴れてくるということがない。

 中和剤を塗り足せば、簡単に痒みがとれるが、その代わり、中和剤をかけない限り、いくらでも痒みが増すような作用がある。

 それを塗って三刻(約三時間)も放置されている。

 痒みは頂点に達し、その苦しさで、宝玄仙の頭の線はもう切断しかかっているに違いない。

 

「そうですね。今度はどこにしますか、春嬌様? 陰唇に六個の輪をつけ終わりましたから、次は肛門にしますか?」

 

 麗芳が笑って言った。

 宝玄仙が狂ってしまわないように、痒みで狂う宝玄仙の様子を眺めながら、完全に頭の線が切れてしまう直前に宝玄仙の女性器に孔を開けて、細い鎖を繋げるための金属の輪を一個ずつ取り付けていた。

 いま、大きく拡げた宝玄仙の股間には、左右三個ずつの六個の小さな金属の輪が取り付けられている。

 

 外側の花びらに二個、内側に一個だ。

 この手の作業に手馴れた麗芳の仕事だから作業はあっという間だし、血もそれほど流れるわけでもないが、女陰に大きな針で孔を開けられるなど、もの凄い痛みであるはずだ。

 だが、あの掻痒剤の痒さは通常の人間が耐えられる限度を遥かに越しているらしく、宝玄仙は痛みよりも、それで痒みが癒される快感が上回るようだ。

 女陰を傷つけられることそのものについては、大きな抵抗も暴れることもなかった。

 

「いや、一度にすべてをやっても面白くないからね。肛門の穴を拡げるのは、次の段階にするよ。それよりも、女陰を拡げるための鎖の糸を結ぶための留め具を太腿につけておやり。左右三個ずつ内腿につけてやればいいだろう。それが終わったら、さっそく、鎖で拡げてやりな」

 

 春嬌は宝玄仙を眺めながら言った。

 そろそろ、苦しみの限界だろう。

 宝玄仙の口から漏れ出る言葉が、また意味のないものになって久しい。

 

「わかりました」

 

 麗芳がくすくすと笑いながら道具を持って宝玄仙に近づいていく。

 春嬌は、それを眺めながら茶をすすった。

 麗芳の煎れてくれた茶はいつもながら格別だ。

 麗芳と綺芳のふたりが春嬌のそばで仕えるようになってから、こんなおいしい茶を毎日味わえるのは本当にありがたい。

 

 麗芳が宝玄仙の太腿をわさわさと摘まんだ。

 宝玄仙が気持ちよさそうな大きな声をあげて身体を悶えさせた。

 いまの宝玄仙には、発狂するような痒みがなくなるなら、どんなことでも快感なのだろう。

 

 春麗が摘まんだ太腿の肉にさっと器具で孔をあけた。

 血が少し流れるがすぐに金属の輪がその孔に貫通して血の流れがとまる。

 それをさっと布で拭けば、ほとんど血は消えてしまう。

 さらに麗芳は軽い『治療術』を施すことができるので、その道術で最小限の治療を宝玄仙に施している。

 

 短い時間で宝玄仙の左右の内腿に新しい金属の輪が合計六個取り付けられた。

 麗芳は、そこに鎖の糸を繋げて女陰の両側についている合計六個の輪に繋げて女陰を左右に内腿の輪に向かって引っ張り拡げた。

 

「あ、あああ……そ、そんなに引っ張るな……」

 

 左右に女陰の皮を拡げられた宝玄仙が呻くように言った。

 さっきまであんなに悪態をついていた希代の道術遣いが、哀れにすすり泣くように顔を歪めているのは、本当に春嬌の溜飲が下がる。

 いずれにしてもまともな言葉を喋り出したのは、女陰の皮を引っ張られる痛みで痒みが少し癒え、宝玄仙の正気が戻ったからだろう。

 

「もういいわ、麗芳。綺芳のところに戻ってあげてよ。そっちはそっちで、相手が三人もいるんだから、綺芳ひとりでは大変だろうからね」

 

「わかりました。まあ、明日の昼までには、ひととおりの調教を終わらせます。すっかりと屈服とさせてみせます」

 

「こっちも馬力をあげて仕上げるよ」

 

 春嬌は麗芳に向かって破顔してみせた。

 麗芳がお辞儀をして、春嬌が食べた食事の盆を持って部屋を出ていく。

 飲みかけの茶は片付け、新しい杯と茶の入った茶瓶を残していった。

 

「さて、そろそろ限界かい?」

 

 麗芳がいなくなると、春嬌は立ちあがって宙吊りになっている宝玄仙の前に立った。

 そして、惨たらしく拡げられた宝玄仙の股間に手を伸ばす。

 春嬌は宝玄仙の女陰に取り付けられた六本の細い鎖の糸を無造作に引っ張った。

 すると膣口ががばりと開いて、宝玄仙が痛みで引きつったような声をあげた。

 春嬌はしっかりと女陰の花びらに金属の輪が貫通しているのを確かめるために拡がっている花芯に指を入れた。

 すると、びくりと宝玄仙が身体を跳ねあげて、今度は気持ちよさそうに吐息を洩らし出す。

 

 春嬌は反応のいい宝玄仙の恥態に首を傾げた。

 今度は最初に乳首に装着させた淫具を摘まんで動かしながら、膣の内肉を繰り返し擦ってみた。

 

「あううっ……、だ、駄目えぇっ……」

 

 宝玄仙が宙吊りにされた身体を激しく身悶えさせた。

 つらそうでもあり、気持ちよさそうでもある。

 正直、宝玄仙の反応は予想外だった。

 

 春嬌の頭にふと疑問が過ぎる。

 普通、これだけのことをされれば、いくら快楽を与えようとしても快感はない。

 苦痛がまさるのだ。

 しかし、いまの宝玄仙は、どう見ても激しい苦痛を受けているはずなのに、しっかりとそこからも官能を引き出している気がする。

 苦労知らずの気楽な旅をしている人間の女かと思ったが、もしかしたら、被虐的な責めによる調教を受けた経験があるのだろうか……?

 

 国都にいる有来有去は、女を責めながらその女の心を読むという特殊な能力があるが、その有来有去もこの宝玄仙を抱いたから、この女のことをもっと知っているはずだ。

 生い立ちや性格など興味なかったから訊ねなかったが、どんな経歴の女なのか教わるのも面白いかもしれない。

 

 そう思ってすぐに、春嬌は内心でそれを否定した。

 いや、どうせなら、この宝玄仙自身からそれを訊き出したい。

 完全に屈伏させて自分からすべてを喋らせるのだ。その方が面白そうだ。

 春嬌は思い切り宝玄仙の女陰の花びらと内腿に繋がれた鎖を引っ張った。

 

「あぎゃああぁぁぁ──。ち、千切れるぅぅぅ──」

 

 宝玄仙が身体を振り動かして絶叫した。

 しかし、宝玄仙の苦悶の表情とは反対に、宝玄仙の開いた蜜壺からはどっと汁が漏れだしてきたのがわかった。

 淫らな分布液が金属の細い鎖を伝わって春嬌の指を濡らす。

 

 間違いない……。

 この女はこんな調教をかつて受けている……。

 

 そして、いまやっているような苦痛を快感に変化させるように身体が仕立てられている。

 この女が三人の供を性奴隷のように扱っているのは、羅刹(らせつ)という若い淫魔の話を漏れ聞いて知っていたが、その宝玄仙そのものが奴隷調教をされた経験がありそうだということに春嬌は戸惑った。

 

 春嬌は腰帯から乗馬鞭を外した。

 そして、宝玄仙の前にしゃがみ込むと改めて宝玄仙の女陰を覗きこんだ。

 大きく口を拡げさせられている宝玄仙の女陰は、中の粘膜を見事に曝け出し、最奥の子宮の入り口まで覗くことができる。

 春嬌はその粘膜の中に鞭の柄を突き入れると荒々しく最奥から入口までの内部の粘膜をがりがりと掻いた。

 

「ほごおおぉぉぉぉ──。こ、壊れるぅぅぅ──。ち、畜生……。や、やめないか……しゅ、春嬌」

 

 宝玄仙が悲鳴をあげた。

 だが、痛みで少しは頭がまともに反応をするようになったのか、宝玄仙は春嬌の仕打ちに悪態を返してみせた。

 

 まだ、堕ちてはいない……。

 

 春嬌が鞭の柄を引き抜くと、宝玄仙は激しい息をしながらも春嬌を憎しみのこもった眼で睨んでくる。

 

 春嬌は嬉しかった。

 久しぶりに骨のある相手に巡り会えた気がする。

 こんなに気の強い女を完全に屈服させたらどんなに愉しいことだろう。

 春嬌の黒い血が活性化する。

 

「やっと、正気に戻ったかい、宝玄仙? 痒み責めだけで狂ってしまうんじゃないかと心配したよ」

 

 春嬌はうそぶいた。

 宝玄仙が唾を吐いた。

 その唾がまともに春嬌の顔に当たった。

 思わず眼を見開いてしまった。

 

 まだそれだけの気力が残っていることに驚いたのだ。

 本当は痒み責めだけで狂ってしまうほどの強い薬剤なのだ。

 それに三刻(約三時間)も苛まれて、まだ抵抗するだけの心根が残っているとは……。

 

 それでいて、全身を真っ赤に充血させて脂汗を流している姿ははっきりとした官能の悶えを示してもいた。

 苦痛を与えられながらも切なげにくねらせる女陰からは、いまでも淫液が漏れ出ていて、宝玄仙が快感に酔っていることを示してもいる。

 

 心の半面で屈辱と恥辱に怒りを示して身体を震わせ、もう半面で与えられる苦痛から快感を絞り出して淫情に耽る。

 そんな器用なことができるのだろうか……。

 春嬌はこれまでに接したことのない獲物を前にして、ますます当惑した気持ちを味わった。

 

 まあいい……。

 とにかく、この女が苦痛に悶える姿を愉しむだけだ……。

 

 春嬌は顔にかかった宝玄仙の唾液を指で拭くと、わざとらしく宝玄仙自身の愛液で汚れた鞭の柄を宝玄仙の顔で拭く。

 宝玄仙がものすごい形相で睨みつける。

 

 春嬌の中の嗜虐の血が騒ぐ。

 もしかしたら、自分は最高の獲物を手に入れたのかもしれない。

 この女をいまから涙を流しながら泣き喚させることができるかと思うと、嬉しくて嬉しくてそれだけで春嬌は達してしまいそうだ。

 

「ところで、まだまだ苦しみが足りないようだね、宝玄仙。お前の願いを叶えてやるよ……」

 

 春嬌は乗馬鞭を構えなおすと、容赦なく眼の前の生贄に振り下ろした。

 風を切る音がして、続いて肉を裂く気持ちのいい音が響いた。腰の横の肌が少し避けて血がつっと流れた。

 

「うぐうううっ──」

 

 宝玄仙が息を呑むような悲鳴をあげた。全身を襲う激痛だが、全身にかけた薬剤の痒みは身体全体を覆っているはずだ。

 いまの宝玄仙は、鞭の痛みを快感にしか結びつけられないだろう。

 

 春嬌はもう一発、鞭をまた振り下ろす。

 今度は内腿だ。ちょうど鎖を繋げている部分の横が破けて、宝玄仙の白い肌にみみず腫れが浮かび、そこに赤い血の線が走った。

 

「はぎゃあああぁぁぁ……、いがあぁぁぁぁ──」

 

 敏感な場所を鞭で打ち据えられて、宝玄仙の身体が大きく揺れた。

 身体を海老のように仰け反らせた宝玄仙がけたたましい悲鳴をあげる。

 しかし、一方でぱっくりと開く女陰からどっと愛液も溢れる。

 鞭で打たれながらも、一方で官能の迸りを見せる宝玄仙に春嬌は次第に倒錯した快感に酔い始めていた。

 

 春嬌は加虐の悦びが気持ちよくて、天井からぶら下がった宝玄仙の白い身体に鞭を飛ばし続けた。

 宝玄仙の苦痛の悲鳴は部屋に響き続け、真っ白だった肌が鞭の傷と破れた肌から滲む出る血で覆われていく。

 同時に部屋に宝玄仙の股間から溢れる愛液の淫靡な匂いが立ち込める。

 

「まだまだだよ、気を失わないでおくれよね」

 

 春嬌は果てしない気分の高揚を味わっていた。

 こんな素晴らしい相手は初めてだ。

 苦痛に呻きながら、春嬌に対する激しい憎悪を表情から消さず、それでいて下半身は苦痛を快感に昇華させて淫らな匂いを股間から溢れさせている。

 

 最高の獲物だ……。

 そう思った。

 

 春嬌は一度宝玄仙から離れて、壁の操作盤に向かった。

 宝玄仙を吊っている鎖を動かす取っ手を操作する。

 宙吊りになっていた宝玄仙の身体が一度床に降ろされる。

 宝玄仙がきょとんとした表情をしている。

 

 素早く、手足の枷に繋がる天井と床からの鎖を入れ換える。

 そして、壁の操作盤を動かす。すぐに鎖が引き揚がる。

 今度は開いた脚が上で頭が下だ。

 宝玄仙の大きく開いた女陰が天井を向く。

 宝玄仙の黒い髪が床に垂れ、全身の傷から滲み出る血が頭側に下がっていく。

 

「あくうっ……」

 

 つらいのだろう。

 逆さ吊りにされた宝玄仙は、呻き声のような音を口から洩らし続ける。

 大きく開いた太腿に繋がった鎖が性器に装着された鎖を引っ張り、無残な拡げ方をされている。

 いっそのこと、このまま、愛液を滴らせる割れ目から真っ二つに裂いてしまえば、自分は宝玄仙が苦しみ死ぬ姿に快感が暴発して悶絶するのではないかと春嬌は思った。

 

「あっ……がっ……あが……」

 

 宝玄仙は懸命になにかを喋ろうとしているようだが、あまりの苦しさに言葉にはならないようだ。

 ただ、獣じみた唸りをあげて、身体をかすかに捻らせるだけだ。

 

「そのまま、狂ってしまいな。宝玄仙……」

 

 春嬌は戸棚から取り出した痒み剤の中和剤を二本取り出して、宝玄仙の股間から全身にかけた。

 子宮口まで曝け出している宝玄仙の女陰に中和剤が溢れて、そこからこぼれ出た中和剤が全身をつたい洗っていく。

 本来であれば、掻痒剤を癒すのは快感であるはずだが、いま、宝玄仙を支えていくのは、掻痒剤の痒みと与えられる苦痛が丁度良い平衡を保っているからだ。

 痒みを洗い流せば、今度は激痛の苦痛が宝玄仙を襲うはずだ。激痛を耐えるために役立っている最初の痒みが取りあげられると今度はどんな風に宝玄仙が反応するのか知りたかった。

 

「いくよ……」

 

 しばらく中和剤が宝玄仙の身体から痒みを洗い流すのを待った。

 宝玄仙がやっと苦悶の踊りを始め出すのを待ち、春嬌は再び乗馬鞭を取り出した。

 

「こうやって、女陰を拡げさせてやったら、お前がみっともなく愛液を溢れさせるのがよく見えるけど、いい加減に感じるのをやめな。わたしは、血の匂いは好きだけど、女の盛りがついたような股の匂いが嫌いなんだ。お前はその淫乱な雌の匂いがぷんぷんするよ」

 

 春嬌はからかった。

 

「う、うるさい」

 

 宝玄仙は逆さ吊りの顔を羞恥で染めた。

 春嬌は宝玄仙がこの期に及んでまだ羞恥を感じることに、この女の自負心の高さを垣間見た気がした。

 やはり、この女は限界まで責めたてて泣かせるべき女だ。

 春嬌は確信した。

 

 また、乗馬鞭を出す。

 春嬌は鎖で入口をぱっくりと開かれている女陰の中心に向かって鞭を振り下ろした。

 

「あがががががぁぁぁ──」

 

 宝玄仙が人間とは思えないような悲鳴をあげて、逆さ吊りの全身を跳ねあげた。

 その苦しみ方に春嬌は満足した。

 もっと、この女の泣き叫ぶ姿を見たい。春嬌の加虐の悦びが沸騰する。

 春嬌は血の酔いを感じながら天井からぶら下がった血の滴る白い裸身に向かって鞭を飛ばした。

 

「はがああ……そ、そこは許して……いやががぁぁぁ……」

 

 数度目の女陰への鞭打ちで最大の悲鳴を宝玄仙はあげた。そして、宝玄仙の身体は激しく痙攣し、女陰が噴水を起こした。

 

 失禁したのだ。

 空中で汚水を吹きあげる哀れな宝玄仙に接し、やっと春嬌は鞭を捨てた。

 新しい責め具を探して壁の棚に向かう。

 

「……しゅ、春嬌……ゆ、許さないよ……」

 

 やがて、玄仙の呻き声が背中から聞こえた。

 振り返ると、ほとんど朦朧とした表情ながらも、まだ憎悪を浮かべる宝玄仙の顔がこっちを見ていた。

 ぞくぞくとするような愉悦を春嬌は感じた。

 

 春嬌が見つけたのは二本の蝋燭だ。

 太さは二寸(約六センチ)ほどもある。

 太さに比べれば長さは比較的短い。

 だが、それも春嬌がこれからやろうとしていることを考えると都合はいい。

 それを持って宝玄仙に近づく。

 

「お、お前……ま、まさか……」

 

 春嬌が両手に持っている蝋燭に宝玄仙の眼が大きく開かれて、その顔に初めて恐怖の色が浮かんだ。

 春嬌は、手にしている蝋燭のひとつを小便と愛液に濡れた宝玄仙の股間に強引に突き挿した。

 

「あがはあぁぁ……」

 

 宝玄仙の女陰は鞭で破れた部位から血が滲んで真っ赤に染まっていた。

 その赤く染まった粘膜にぐいぐいと太い蝋燭を突き入れる。

 激痛に宝玄仙が身をよじらせた。

 

「い、痛い……あ、ああ、あああっ……」

 

 長くて太い蝋燭の下部分が宝玄仙の子宮に到達した。

 蝋燭が子宮の入り口を突いたとき、宝玄仙ははっきりと快感に身体をうねらせる反応をした。これだけの苦痛の中からまだ快感を絞りだせる宝玄仙に内心で驚嘆もした。

 もう一方の蝋燭は、まだ責めてはいない後ろのすぼまった肉穴に挿し入れようとした。

 おそらく、調教もしていない段階では、この太さは間違いなく入らない。

 宝玄仙の肛門は破けて裂ける。

 

 それでもいいと思った。

 使いものにならなくなっても春嬌が困ることはないし、ある程度だったら麗芳の『治療術』でも治すことはできる。

 もっとも、麗芳の『治療術』程度では完全に破れた肛門は治せないだろう。

 どうしても必要なら賽太歳にやらせればいいが、訊問のはずなのに肛門を破いてしまった言い訳が面倒くさいと思った。

 

 あの男は、変に真面目で優しくて、人間の女を残酷に拷問することを嫌う。

 そのくせ、自分自身は、少年時代に受けた春嬌の調教の影響で嗜虐を快感に変えることができる被虐の性癖を持つ。

 それでいて、金聖姫のような女を自分の性奴隷として奉仕をさせて、それに愉悦を覚える嗜虐的な性質も持つのだ。

 

 長女金を拷問したときもそうだった。

 いつにない賽太歳の怒りには意外さを感じたくらいだ。

 いまだに、ただの人間を残酷に拷問したことについて、なぜ、賽太歳が怒ったのかわからない。

 金聖姫に奴隷としての自覚をさせて、賽太歳が飼いやすくするために、わざと国都からの間者の女を金聖姫の前で責め殺して見せたときもそうだ。

 

 金聖姫が怖がるという理由で獬豸洞では、間者の拷問をするなと言い渡されたし、最近では、自分が飼っている金聖姫そのものを春嬌に会わせないようにしている気配さえある。

 いずれにしても、拷問で壊れた宝玄仙たちを治療させるときは、嫌味のひとつふたつも言われそうだ。

 

「そ、そこはやめて……」

 

 肛門に極太の蝋燭を突き立てたとき、宝玄仙は哀れな訴えの声をあげた。

 構わず、春嬌は力一杯蝋燭をこじ入れる。

 

「ほほおぉぉぉぉ……か、勘忍してえぇぇ……」

 

 宝玄仙が全身を跳ねあげて喚いた。

 

「おやっ?」

 

 しかし、春嬌は春嬌で驚いてしまった。

 てっきりなんの処置もしていない肛門にこの太さの蝋燭を突き挿したりすれば宝玄仙の肛門は破けると思ったのだ。

 しかし、潤滑油なしでこの太さの蝋燭を突き挿された苦痛で宝玄仙の身体は激しく揺れて鎖ががしゃがしゃと音をたてるが、それでも宝玄仙の肛門はこれだけの太さの蝋燭を受け入れていくのだ。

 小さい肛門口が蝋燭をこじ入れることでぱっくりと開いて蝋燭を呑み込んでいく様は、感嘆をするほどだ。

 

 春嬌は驚きながらも限界と思うまで、宝玄仙の肛門に蝋燭を挿す。

 やがて、しっかりと二本の極太の蝋燭が宝玄仙のふたつの穴に挿入された。

 春嬌は、燭台から点火用の蝋燭を運んでくると宝玄仙の女陰と肛門に挿入している蝋燭に火をつけた。

 そして、部屋の燭台の灯を落として暗くした。

 

 部屋の真ん中で宝玄仙の股間に突っ込んだ二本の蝋燭の灯がゆらゆらとした光を放って宝玄仙を照らして出す。

 春嬌は自分の作品を眺める美術家のような気持ちで部屋にひとつだけある椅子に腰を降ろした。

 薄暗い部屋の中でゆらりゆらりと揺れる光に包まれた宝玄仙の陰毛のない股間からつっと蝋が滴った。

 

「あがあはああぁあっ──」

 

 宝玄仙が絶叫した。

 鎖でひっぱり拡げられた女陰の中に熱い蝋が落ちたのだ。宝玄仙は暴れ回った。

 その動きでさらに蝋が流れ落ちる。

 女陰と肛門に襲い続ける蝋の熱さで宝玄仙は絶え間のない苦悶の悲鳴をあげ続けた。

 

「た、助けて……だ、誰か……た、助けて……あがはあああぁぁぁ……」

 

 宝玄仙の悲鳴がだんだんと弱いものになっていく。

 その血を裂くような叫びが春嬌には心地よい音楽のように感じた。

 

 股間に二本の太い蝋燭を挿入された宝玄仙の苦悶の舞いはいつ果てるともなく続いた。宝玄仙の悲鳴を春嬌はうっとりと聴き続けた。

 逆さ吊りで極太の蝋燭を股間と肛門に埋められて人間燭台にされた宝玄仙の姿は、本当に春嬌の歪んだ欲望を満足させた。

 

 この女をもっと苛めてみたい。

 どうしたら、もっと苦しめられるのか……。

 春嬌の妄想が頭の中を激しく渦巻く。

 

 しばらく、そうやって宝玄仙の苦悶の姿を眺めていたが、だんだんと宝玄仙の悲鳴がまた大きくなってきた。

 

「あうっ……しゅ、春嬌……お、お願い……ひ、火が……火がもうすぐ……お願いだよ……た、助けて……」

 

 随時長い時間が経った頃、ひと際大きな声で宝玄仙が叫んだ。

 春嬌ははっとした。

 宝玄仙が咥えている蝋燭が短くなっている。

 滴り落ちた蝋燭の蝋が宝玄仙の女陰と肛門に盛りを作っている。

 前後の秘孔に突き挿さる蝋燭はかなり短くなり、熱い蝋に代わり炎そのものが敏感な宝玄仙の粘膜を焼き焦がそうとしている。

 

 それでも春嬌は立とうとしなかった。

 この人間燭台の結末がどうなるかを最後まで見守りたい。

 そんな残酷な欲望が春嬌を支配している。

 

「しゅ、春嬌……お願い……お願いします──お慈悲を──」

 

 ついに宝玄仙が絶叫した。

 蝋燭の長さはほとんどなくなっていた。

 宝玄仙の身体が狂ったように踊っている。

 火を消そうとしているのだ。

 しかし、その手段は宝玄仙には残っていない。

 小便でさえも、さっきの鞭打ちで先に放出してしまっている。

 

「ぎゃああああああ……」

 

 断末魔のような絶叫が響いた。

 少し遅れて肉がゆっくり焼ける匂いが部屋に漂い始める。

 このままであれば、いずれ宝玄仙は気を失うかもしれない。

 そうしたら、拡げきった肛門がすぼまらないように後ろの穴にも輪っかを嵌めて鎖の糸で肉を外側に引っ張るようにしてやろうと思った。

 

 肛門の周りに四個。上下斜め方向に鎖で引っ張れるように左右の尻たぶに二個ずつの輪も付けて、合計八個でいいだろう。

 春嬌はそんなことを考えながら、椅子に深く身体を沈めて静かに眼を閉じ、肉が焼ける香りと宝玄仙の悲鳴を愉しんで、最高に心地よい気分に浸っていた。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。