客の妖魔たちも奇妙な恰好をして給女を始めた「人間」の美少女に蔑みの視線を浴びせている。
客たちには朱が半妖であることを教えていない。
今夜の晩餐会で披露する新奴隷はすべて人間の女だと説明した。
だから、奴隷の格好で給女を始めた朱姫のことも「人間」の奴隷なのだと認識するだろう。
だが、春嬌としては、朱姫はあくまでも給女であって奴隷として披露しているわけではないつもりだ。
従って、新奴隷はすべて人間の女だという春嬌の言葉に嘘はない……。
一応はそういう体裁だ。
しかし、客が勝手に勘違いする分は、春嬌が預かり知ることではない。
いずれにしても、朱姫はいま、朱姫のことを人間の娘であって春嬌の新しい奴隷だと認識しているたくさんの客たちの嘲笑と侮蔑の波の中を動き回っている
羞恥と尿意に顔を歪ませ、太腿を擦るようにして鎖で拘束された身体で客たちの間を回り歩く朱姫の姿は痛快だ。
なによりも、いまにも崩壊しそうな尿意を耐えて、小刻みに震えながら、腰を曲げるように歩いている姿が面白い。
晩餐会が終わるまで厠には行ってはならないと言い渡したが、あれでどのくらいもつのだろうか。
春嬌はほくそ笑んだ。
しかし、朱姫もあれ以上文句を言わずに、大人しく給女を務めだしたところを見ると、本当に晩餐会が終わるまで尿意を耐えきるつもりなのだろうか。
賽太歳から半妖の朱姫については、春嬌の屋敷奴隷にするのはならないと言われているため、やむなく朱姫は、奴隷披露ではなく給女として晩餐会で働かせることに決めたのだが、こうやって、いざ、そうしてみると、むしろこれはこれで愉しい見世物だと思う。
なにせ、破廉恥な恰好をした人間の少女が、限界に達した尿意に耐えながら、妖魔たちの召使いとして酒や料理を運んで回るのだ。
ここに集まっている人間嫌いの妖魔たちも、その人間の娘の無様さを悦んでくれているようだ。
この
春嬌と同じように人間への恨みを忘れていない一族がここに集まるのだ。人間を苛めれば苛めるほど悦ぶ妖魔たちばかりだ。
憎い人間を奴隷のように扱うということで、彼らはかつての恨みの溜飲を下げるのだ。
朱姫は半妖というが、春嬌はそうは思っていない。
人間と一緒に暮らす半妖は人間だ。妖魔の血を誇る資格はない。
それにしても、
まずは、その姿だ。
朱姫は首に金属の太い首輪を嵌め、清楚な紺の女給服を着ながらも、その服は臍から下をすっぽりと切断されている。
股間を隠しているのは、両脇を紐で結んで留めるかたちの小さな白い布の下着だけだ。
上だけ清楚でまともな格好をさせ、下半身にはなにも身につけさせないというのは、春嬌が考えていたよりも、煽情的で恥辱的な姿だと思った。
また、朱姫は、腰帯に繋がった手錠で自由を封じられ、さらに足首にも足枷をつけられて、足枷を繋ぐ鎖を引きずる音をさせながら歩いているが、それも奴隷的でいい。
そして、麗芳の綺芳のふたりは、朱姫を監禁しながらわざと一日以上排尿をさせなかった。
しかも、朱姫の弱い肛門には、朱姫を苛む淫具が挿入されているという。
そんな朱姫が、どれだけ尿を耐えることができるのか見物というものだ。
「そんな無様な歩き方をしてもらっては困るわね、朱姫。お尻を後ろに突き出したようなみっともない恰好で給仕をしてもらっては女主人のわたしが恥ずかしいじゃないか。いくら、小用がしたくても、しっかりと背筋を伸ばして歩きな」
朱姫がたまたま盆を持って近くを通ったので春嬌は、大きな声でわざと冷やかした。
すると、同調した妖魔の客たちが口々に朱姫を囃し立て始める。
朱姫が恥ずかしさと惨めさと怒りをごちゃ混ぜにしたような表情で春嬌をにらんだ。
しかし、歯噛みしただけで、なにも言わずにそのまま通り過ぎる。
あの様子では、かなり尿意は限界のようだ。
だが、まだもう少しは我慢できるのかもしれない。
もっともそれは、このままなにも刺激が与えられなければの話だ。
もちろん、そんなに簡単に済ませるわけがない……。
春嬌は隠し持っていた道具を手に握って、道術で操作した。
朱姫の肛門に挿入させている淫具を振動させるための霊具だ。
それを使えば、離れた場所から朱姫の肛門に埋めた淫具を自在にできるのだ。
「あっ」
少し離れた場所を歩いていた朱姫が突然、真っ赤な顔をして立ちどまった。
そして、当惑したように周囲を眺め回す。
しかし、やがて、諦めたかのように腰をさらに引いた姿で歩き出した。
朱姫の腰は、なにかに耐えられなくなったかのように淫らに動いている。
その苦しそうな表情と恰好は、なにかの異変が朱姫にやってきていることは丸わかりだ。
興味を抱いた客たちがだんだんと朱姫の周りに集まり始めた。
行く手を塞がれた状態の朱姫は、なにかに耐えるように、眼をつぶり顔をしかめている。
歩みは完全に止まり、膝と腿が閉じたり開いたりしている。
気がつけば膝が緩むが、そうすると尿意のことを忘れそうになり、慌てて腿を擦り合わせるという感じだ。
もちろん、春嬌にはなにが朱姫に起きたのかを知っている。
春嬌が朱姫の肛門に挿入させた淫具を道術で動かしたのだ。
だが、まだ最初のうちは大した動きは与えない。
尻の弱い朱姫に、肛門に挿入させた霊具で強い振動を与えれば、あっという間に達してしまい、尿意に耐えている堰も崩壊して、この場で失禁してしまうに違いないからだ。
しかし、それでは面白くない。
耐えられる限界のところで留めておいて、できるだけ長くいたぶった方が面白い。
いま、朱姫が与えられたのは、考えられる最小の振動でしかないはずだ。
だが、朱姫のあの様子だと、あれでもかなり効いているようだ。
いまにも崩壊しそうな苦悶の表情を浮かべている。
「なにを立ちどまっているのよ、朱姫──。働きなさい。仲間を折檻するよ」
春嬌は大声で怒鳴った。
そして、朱姫の肛門に挿入されている淫具の振動をとめた。
朱姫がほっとした表情で息を吐いた。
同時に朱姫を囲んでいた客の妖魔たちが、朱姫を嘲笑しながら朱姫の前を開けた。
春嬌は、朱姫が進み始めたのを確認し、春嬌はまた淫具を振動させる。
朱姫は泣きそうな表情で数歩だけ歩いたが、また、耐えられなくなったかのように立ちどまった。
しかし、すぐに歩き始めた。
だが、また立ちどまる。
同じことを三度繰り返し、ついに諦めたかのように進まなくなった。
朱姫を客たちがまた取り囲む、
「お前、さぼってないで、早く仕事をおし──」
春嬌は朱姫を囲んでいる客たちの輪の中にやってきて、朱姫を再び怒鳴りつけた。
しかし、朱姫はつらそうな表情でうつむいているだけで、もう動こうとしない。
腰を引いた状態で全身を震わせて突っ立ったままだ。
朱姫が両手で持っている酒の入った盃がかたかたと動いている。
かすかな振動だが、朱姫の肛門の中の淫具は振動している状態だ。
どうやら、これを振動させられると、もう動くことができないようだ。
「お前、早く、仕事をしなと言っているだろう──」
「お、お願い……と、とめて……ください……。このままじゃ……」
自分を囲む輪の中に春嬌を認めた朱姫が哀願の表情をこっちに向けた。
「このままじゃあ、なんだい。わからないよ、朱姫」
春嬌はわざとらしく声をあげる。
「も、漏れるんです……」
朱姫は歯を食いしばった口をわずかに開いて言った。
見知らぬ妖魔に囲まれながら尿意を訴えるなど恥辱以外の何物でもないはずだが、もう朱姫にはそんなことに構う余裕はないようだ。すがるような視線を春嬌に向けてくる。
「おう、この人間の娘は、小便がしたいのか──」
「行儀の悪い給女だぜ」
「あらあら、可哀そうに……。こんなに、脚を震わせてねえ、ほ、ほ、ほ、おかしい」
「まあ、余程おしっこをしたいのね、この娘。ここでしたらどうなの? おしっこの出方は、人間の女もあたしたちとも同じかしら?」
取り囲んだ客たちが口々にはやし立てた。
「さ、触らないでください……ひいっ」
朱姫が悲鳴をあげた。
客のひとりが朱姫の震える内腿に手を伸ばしたのだ。
しかし、両手で盆を抱えている朱姫には避けることができない。
すると無遠慮な客の手が代わる代わる朱姫の脚をくすぐって悪戯をしはじめた。
朱姫は全身を悶えさせて悲鳴をあげ続けた。
春嬌はすっと尻の淫具の振動をとめてやった。
朱姫が逃げるように客たちの輪を抜け出す。
だが、すぐに春嬌は振動を戻す。
「あふっ」
朱姫が思わず声をあげ、がくりと腰を落とした。
それから、しばらく動かしてはとめ、とめては動かすとういうことを繰り返した。
朱姫は、翻弄されたように歩いては止まるということを繰り返していたが、やがて、振動を止めてもまったく動かなくなった。
完全に腰を引いて苦しそうに顔をしかめている。
「朱姫、何度言ったらわかるんだい──。働けと言っているだろう」
春嬌は会場の隅で完全に足を止めた朱姫のもとに再び進んだ。
その頃には、すっかりと朱姫は大勢の客に囲まれて好奇の視線を向けられていた。
「も、もう、だ、駄目です……。か、厠……厠を使わせてください……」
もう限界なのか、朱姫の顔は蒼ざめ、屈ませている腰と擦り合わせている腿はぶるぶると震えている。
「何度言ったらわかるんだい、朱姫──。お前が厠に受けるのは、仕事が終わってからだと言っているだろう。いい加減にしないと、仲間が酷い目に遭うんだよ」
春嬌は声をあげた。
しかし、朱姫は苦悶を浮かべた顔を左右に振るだけだ。
「お、お願いです……。厠に……」
朱姫はそれだけを言った。
仲間を折檻すると脅しても、動こうとしないということは、本当にこれ以上は無理なのに違いない。
春嬌は、客の輪の外で遠巻きにこっちを見守っている麗芳に眼で合図をした。
麗芳が動く。
しばらくするとそばの卓の真ん中に向かって、天井から一本の鎖が降りてきた。
「じゃあ、小便をさせてやるよ、朱姫。その卓に上がりな」
春嬌は顎で鎖が垂れ落ちている卓を指した。朱姫がびっくりしたように顔をあげて、その卓を見た。
そして、料理や酒の乗っている卓に鎖が降りてきているのを認めて目を丸くした。
「な、なにを言っているのよ。ま、まさか……」
朱姫が悲鳴のような声をあげた。
「さあ、いよいよ、春嬌の宴恒例の余興の始まりだよ。第一番手はこの娘だ。こいつを卓の上にあげて、首輪の金具にその鎖を繋いでおくれ」
春嬌の言葉を聞いて朱姫が悲鳴をあげる。
しかし、その朱姫の声も客たちの歓声にかき消される。
春嬌の宴と言えば、人間の奴隷を嗜虐する見世物が繰り広げられることはわかっている。
ここにいる客たちは、それを期待して集まっているのだ。
朱姫の手から酒の載った盆が取りあげられた。
そして、朱姫の手首の枷と腰帯に繋がっている鎖が短くなり、朱姫の両手首が腰帯に密着する。
朱姫のさせている腰帯も霊具だ。
道術で手首に繋がっている鎖の長さを調整できるのだ。朱姫は両手の自由を完全に封じられた。
朱姫は、些細な抵抗を示したが、大勢の妖魔によってたかって強引に卓上にあげられた。
二匹の雄妖が朱姫と一緒に卓にあがり、天井から垂れ下がった鎖を朱姫の首輪に繋いだ。
首輪と天井を繋げる鎖の長さも調整されて、朱姫が卓の上に立ちあがらなければならない長さになった。
「お、おろして……」
朱姫の首輪に鎖を繋げるために一緒に卓にあがった妖魔たちが卓から飛び降りてきた。
少女の姿の朱姫が大勢の妖魔が囲む卓の上にたったひとりであげられたかたちになった。
「なるほど、春嬌殿の言った通り、この娘はもう我慢ならないところまで追い詰められているようですな」
春嬌の隣の雄妖が言った。
「じゃあ、朱姫、約束した通り、このまま晩餐会が終わるまで我慢しきったら、仲間を虐げるのは勘弁してあげるよ。仲間の運命は、お前の頑張りにかかっているということだ。仲間を救いたければ必死になって我慢しな」
春嬌は言った。
朱姫はもう哀願をする余裕もないのか、必死になって腿を擦り合わせている。
「もう、口がきけない程に苦しいということのようだな」
隣の雄妖が大笑いした。回りの妖魔もどっと笑う。
「も、もう……く、苦しいです……。が、我慢できないんです……」
朱姫は歯をきりきりと噛みながら顔に脂汗を滲ませている。本当に苦しそうだ。
「だったら、その場で立小便しな。もちろん、お前の小便で汚れた食べ物は、お前たちの今夜の飯だからね」
朱姫の顔が屈辱の色に染まる。
春嬌は本当にそうするつもりだ。
朱姫の小便まみれの餌だと言って仲間に食べさせる。
そのとき彼女たち、とりわけ朱姫がどんな表情をするだろうかと想像すると本当に興奮してくる。
自分の仲間が自分の小便で汚れた食べ物を口にするのだ。
きっと、絶望と恥辱に打ちひしがれるに違いない。
それでふと思いついた。
明日からは、連中の食事は必ず、四人の誰かの小便をかけさせてから食べさせることにしたらどうたろうか。
あるいは淫液でもいいかもしれない。
とにかく、汚さなければ食べさせないことにするのだ。
春嬌は自分の思いつきにだんだんと興奮も感じてきた。
朱姫の顔は絶望に歪んでいる。
朱姫としても、春嬌だったら、小便のかかった食べ物を口にさせるというようなことはやりかねないとわかっている。
だから嫌そうな顔をしているのだ。
「そら、足を開きな」
両側から手を伸ばした若い雄妖たちが朱姫の足首を握って左右に引っぱりだした。
「ああっ、な、なにするんです──」
朱姫が大きく狼狽した。
「そんなに股を擦り合わせられちゃあ、やり難いと思ってな。立小便というのは脚を開いてやるものさ」
若い雄妖たちはげらげらと笑いながら朱姫の両脚を鎖で繋がっている限界まで拡げてしまう。
朱姫は悲鳴をあげるが、雄妖たちは朱姫の脚が閉じられないように足枷の上から縄をかけて、卓の脚に縄尻を結びつけてしまった。
開いた脚の下に適当な料理が皿に集められて並べられる。
「そら、遠慮なく、皿の上に垂れ流しな。お前たちの今日の食事だ」
春嬌は、額に汗をべっとりと脂汗を滲ませている朱姫に言い放った。
「そ、そんな……」
朱姫は苦しげに喘ぎながら呻くように言った。
「それにしても、お前、せっかく履かせてやった下着をもう汚したのかい。その股間を濡らしている丸い染みはなんだい。さっそく洩らしたのかい?」
春嬌は小刻みに震える朱姫の股間を包んでいる下着に丸い分泌液の染みができているのを目聡く見つけて叫んだ。
朱姫に対する嫌がらせのための肛門に挿入させている淫具で繰り返しいたぶった。それで朱姫は女陰から漏れ出た淫液で下着を汚してしまったに違いない。
朱姫は泣きそうな顔できっと歯を食いしばって春嬌を睨んだ。
本当はなかなかに気の強い娘であるの違いない。
これだけの恥辱的な目に遭っても、まだ、あんな反抗的な視線ができるのだ。
春嬌の心にぞくぞくとした興奮が生まれる。
気の強い人間の女に遭うたびに春嬌の興奮は抑えられなくなる。
その気の強い女の気力を一枚一枚剥ぐようにいたぶるのだ。
それがなによりも春嬌の快感を誘う。
この数日、春嬌はその気の強い女を毀していく快感を宝玄仙によって味わっていたが、宝玄仙はそろそろ終わりだ。
途中から全く人が変わったかのように、反抗的な態度も表情もなくなった。
従順に責めを受けて泣くだけの哀れな女に成り下がってしまった。
今夜も特別な趣向を準備しているが、それにより、宝玄仙の身体と心は完全に毀れてしまうかもしれない。
それはそれでいいのだが、問題は明日からの愉しみのことだ。
沙那と孫空女についても、死ぬかもしれない趣向を今夜は準備している。
本当に死んでしまう可能性も低くはない。
そうすると残るのは朱姫ということになる。
だが、もしかしたら、この朱姫こそ、一番の気の強さを持っているのかもしれないと春嬌は思ってきた。
考えていたよりも、早々に宝玄仙が毀れてしまいそうなことで失望しかけていたのが、新たな希望を見出だした気分だ。
朱姫は本当は、四人の中でも一番強い気性の持ち主ではないだろうか。
それを持ち前の無邪気そうな雰囲気と幼さの残る風貌と丁寧な言葉遣いで隠しているような気配だ。
今夜の晩餐会の唯一の心配は、考えている趣向のために、せっかく手に入れた奴隷を失ってしまうことだったが、そうなってもまだ春嬌の愉しみは続くということを確認できて、春嬌は大いなる満足感と安心感を味わった。
「その丸い染みは、なにかって訊いているんだよ、朱姫」
春嬌は卓の上にたまたまあった長串をとって、その先で朱姫の下着の染みを突いた。
「ひいっ」
朱姫は腰を引いて悲鳴をあげた。
それを手を伸ばして長串の先で追いかける。
面白がったほかの客も真似をして朱姫の股間をつつき始める。
「い、言います……。言いますから、やめてください……。そ、それは朱姫の恥ずかしい染みです」
「恥ずかしい染みじゃあわからないよ」
春嬌は笑いながら、尿道口を狙って下着の上から長串の先で擦る。
「あ、愛液です……。朱姫の汁です──か、勘忍して……も、漏れる……」
朱姫が断末魔のような熱っぽい声をあげた。
苦悩の表情を浮かべて苦しむ朱姫の姿に満足した春嬌は、朱姫をいたぶるほかの客たちの手をやめさせた。
そして、集団の外で待機していた麗芳に合図をする。
彼女たちが客の輪を割って中心に進んできた。
朱姫が載せられている卓にすっとあがる。
「さて、じゃあ、その下着の紐を緩めてあげるわね。でも、粗相をしちゃ駄目よ。重みで脱げ落ちてしまうからね」
麗芳がやっているのは、紐で結んでいる朱姫の下着の紐を緩めることだ。
結び目を解いて、ただ紐がひと巻きだけ絡んでいる状態にさせる。
紐は汗で濡れているからそれでも解けることはないが、朱姫が尿で下着をびしょびしょにすれば、その重みで、ひと巻きしかしてない左右の紐が外れて尿とともに下着が落下するという趣向だ。
「そ、そんな……」
朱姫が狼狽えた声をあげている。
下着の紐を緩め終わった麗芳が卓から降りた。
これですっかりと準備が整った。
「さあ、もういいよ。これ以上、苦しみたくはないだろう? ひと思いに緊張を解きな──。お前の排尿の見世物が終わったら、沙那と孫空女の出番だ。ふたりの死の性愛の時間ということさ」
春嬌は言った。
「し、死の性愛って、な、なによ……?」
朱姫がはっとしたように言った。
「お前が気にすることじゃないよ。お前はここで見物していればいいのさ」
春嬌はただそれだけを言った。
*
尿意の限界に追い込まれて、さらにその姿を大勢の客の妖魔たちに囲まれた朱姫は、頭の芯までその恥辱と激しい尿意の苦痛に痺れ切らせていた。
それでも耐えているのは、春嬌がなにやら宝玄仙や沙那や孫空女に対して、不穏な企みを準備している気配があるからだ。
晩餐会が終わるまで尿を我慢できるとは思えないが、朱姫が頑張れば頑張るほど、それを遅くすることができる。
朱姫にはもう、なにもすることはできないが、せめて、少しでも仲間に対する責めの開始を遅くさせたい……。
それだけの思いで朱姫は、ぎりぎりのところで踏みこたえていた。
しかし、その朱姫をあざ笑うかのようにまた肛門に挿入された淫具が活発に動き出した。
「ああっ……そ、そんな……ひいいいいいっ」
朱姫は、快感で押し流されそうな身体に力を入れ、必死になって尿意に耐えた。
卓の上から、腕組みをしてにやにやして朱姫を見あげている春嬌をにらんだ。
春嬌が道術を遣って、朱姫の肛門に挿入された淫具を動かしたに決まっているのだ。
尿意の限界の身体に襲いかかる尻の淫具の振動──。
その甘い疼きが腰骨まで痺れてくる。
快感が大きい……。
なにも考えられなくなる……。
春嬌が周りの客に朱姫の肛門に挿入させている淫具のことを説明しているのがかろうじて聞こえた。
すると、客たちが朱姫の痴態をからかい始める。
「そんなに腰を振ったら、小便をする前に下着が落ちてしまうぞ」
「人間の娘が淫らに顔を歪めよるわい」
「顔が真っ赤よ。面白い……。ころころと顔色が変わるわね」
客たちがいろいろな言葉で朱姫をからかう。
しかし、朱姫は、その一部でさえも理解できなくなりつつある。
それよりも限界……。
「ああっ」
眩暈のような快感が朱姫を襲った。
骨がばらばらになるような戦慄だ。
圧倒的な強さでのぼってきた快感の矢に朱姫はなすすべなく全身を大きく仰け反らせて嬌声をあげた。
次の瞬間、しゅっと朱姫の股間が破けるような勢いで放水が始まった。
水の勢いで、ほどかれた紐がからまっただけだった下着がべちょりと足元の料理の載った皿の上に落ちた。
「出た──」
誰からともなく叫んだ。
ついに朱姫は激しい放尿を始めてしまった。
悲鳴に似た歓声が一斉にあがる。
濡れ落ちていった紐の下着と料理を汚しながら、朱姫はなにも履いていない股間から尿を放ち続けた。
妖魔の客たちの揶揄は激しいものになるが、一度始めた放尿は止めようもなく、客たちの哄笑と嘲笑の中で朱姫は全身を震わせながら排泄の恥辱を晒し続けた。
「へへへ、わしは人間の女の立小便は初めて見たな」
「俺たち妖魔を目の敵にする人間だけに、たとえ女でも大した迫力で小便をするものだ」
「それにしても凄まじいわねえ。卓の上はなにもかもびしょびしょよ」
雄妖と雌妖たちが口々に朱姫の失態を笑い合う。
そして、恥を知れとか、呆れたものだと口々に朱姫を罵った。
やっと放尿が終わった。
朱姫は呆然として汚辱感に打ちひしがれていた。
その朱姫の足元に手が伸びた。
ふと見ると、春嬌が朱姫の脚の間にあった皿に手を伸ばしている。
びしょびしょの小さな下着の下から一本の肉の串焼きをとった。
朱姫の激しい尿でびしょびしょに汚れている。
それを春嬌が麗芳に渡した。
すると麗芳がそれを持って、朱姫が載っている卓に再び飛び乗った。
「春嬌様の命令よ。これを食べなさい」
小便にまみれた肉が朱姫の口に突きつけられた。
朱姫はこのうえにまだ朱姫に恥辱を味わせようとする春嬌に沸騰するような怒りを覚えた。
「……拒否できると思っているの……?」
麗芳が耳元でささやいた。
逆らえばなにをするかわからない。
朱姫だけにであればいいが、そのとばっちりはこれから責め苦を受けるはずの宝玄仙や沙那や孫空女に向かうかもしれないのだ。
朱姫は口を開けた。
尿にまみれた肉が口の中に入れられた。
それを口の中で咀嚼する。
一斉に笑い声が朱姫の周りで起きた。
すると大きな喧騒が正面の演台で起こった。
朱姫は視線を向けた。
仕切りに隠された演台の端から綺芳が大きな車台に載せたふたつの袋を運んでくるのが見えた。
そのふたつはもぞもぞと激しく動いている。
耳を澄ませば、その袋の中から大きな呻き声のような音も聞こえる気がした。
その袋が演台の床に投げ捨てられた。
客たちが一斉に朱姫の周りから演台に移動していく。
高い卓の上に立っている朱姫は、その人だかりの向こうの演台の様子をしっかりと見ることができた。
綺芳が動き回る袋の口を緩めて中から人の頭だけを外に出した。
沙那だった。
汗びっしょりで苦悶の表情を浮かべている。
しきりに悲鳴をあげているが、それが口の中に押し込まれているらしい布のために聞こえない。
その口の中の布が落ちないように、さらにその上から猿ぐつわもされているのだ。
見えない袋の中でなにかをされているかのように、沙那は顔だけ出した袋に包まれたを芋虫のように激しくくねらせている。
綺芳は、その沙那の首にある首輪に天井から下がってきた鎖を繋いだ。
そして、もうひとつの袋も緩めて、そこから孫空女の顔だけを出させた。
やっぱり、天井から落ちてきた鎖を首に繋ぐ。
孫空女もまた、袋に包まれた身体を暴れさせている。
「──さあ、次の趣向よ。次の出し物は、この朱姫の仲間の女戦士ふたり……。それが濃厚な女同士の性愛を見せてくれるわ……。それどころか、性愛をしながら股間が爆発して肉片が散乱するところが見ることができるかもね」
意味ありげな言葉を春嬌が叫んだ。
客たちが喝采をあげた。
春嬌が促すと麗芳も演台にあがり、麗芳と綺芳の二匹でなにかの準備を始めた。
客たちのすべてが演台でこれから始まることに期待と注目をしている。
「朱姫殿、いまやっていることは、あなた方にとって愉しいものでしょうか? これらはあなた方の心理的嗜虐の一環なのですか?」
不意に後ろから声をかけられた。
「冗談じゃないわよ」
反射的にかっとして答えたが、すぐにはっとした。
誰だ、いまの……?
いまの声に聞き覚えがある気がする……。
慌てて振り返ったが、そこにはもう誰もいなかった。
かすかな道術の気配がそこに残っていた。
『移動術』───?
そう思ったが、それはないはずだ。
この屋敷には、『移動術』を封じる道術封じが張り巡らされていて、『移動術』は遣えない。
唯一の例外は、屋敷の玄関から毒気の充満する部屋に飛ぶ『結界罠』であり、それ以外は一切の『移動術』が遣えないようになっている。
春嬌でさえ、屋敷内では『移動術』は遣わずに歩いて移動しているし、ここに集まっている客たちも同じであるはずだ。
だが、確かに背後にいたはずの誰かが道術で消えた気配がある……。
しかし、朱姫の思念は前側の演台を囲んでいる大きな喧騒により中断された。
演台で沙那と孫空女の公開調教がいよいよ開始されようとしていた。
「これからお見せするのは、まさに人間の女戦士ふたりの死の性愛です。ご期待ください」
女主人の春嬌が愉しそうに口上を述べ始めた。