356 拷問の宴の後
「宝玄仙と朱姫は眠らせてきました」
そして、眼の前にそれぞれ三本の鎖で腕を天井から吊っているふたつの裸身に意識を戻した。
「ご、ご主人様をどうしたんだよ、春嬌……」
「そ、そうよ……。い、いい加減にしないと承知しないわよ……」
苦しそうな声で孫空女と沙那が言った。
「お前ら、本当に丈夫だねえ。二百五十回も絶頂しておいて、もう、口がきけるのかい……」
春嬌は呆れる思いで、全裸で吊られている沙那と孫空女を眺めた。
ふたりの身体は、途方もない回数の絶頂の余韻でまだ全身が汗にまみれている。
股間は真っ赤にただれていて、おびただしい淫液が臭気さえ発しているほどだ。
沙那と孫空女は、お互いの身体が密着するように接し合う状態で三本の鎖で両手を天井から吊られていた。
真ん中の鎖は、沙那と孫空女の腕の手首をまとめて一本の鎖で吊っている。
そして、残りの二本の鎖は、ふたりの残りの腕をそれぞれに天井から吊りあげている。
ふたりの脚は床についているが、それぞれの脚には、両足首を中心の穴に挟むかたちの鉄の板の足枷を嵌めて、脚を開いた状態で固定している。
念のために足枷の板を鎖で床の金具に繋いでいるが、ふたりとも全身が脱力した状態で力など入らないように見える。
しかし、ふたりで二百五十回の連続絶頂をさせて、まだ四刻(約四時間)ほどしか経っていないはずだ。
それなのに、もう口がきけるほどの回復もしている。
その回復力と耐久力には、さすがの春嬌も驚く思いだ。
「ご、ご主人様をどうしたのか訊いているじゃないか──。さ、さっさと言いな、春嬌」
孫空女が喚いた。
「やかましいねえ──」
春嬌は、ふたりのそばに立っている
綺芳が横にある台から工具を出して、孫空女の片方の乳首を挟んで思い切り捩じりあげた。
「はがあぁぁぁ──」
孫空女がけたたましい絶叫をあげて全身を仰け反らせた。
「や、やめなさい──。や、やるんなら、わたしにしなさいよ」
沙那が横で大声をあげた。
「言われなくても、やってやるよ──。麗芳」
戻ってきたばかりの麗芳も同じ工具をとると、沙那の乳首を金具で挟んでぐりぐりと挟んで激しく動かす。
「ひぎいいぃぃ──」
沙那もまた悲痛な声で絶叫した。
春嬌が合図をすると、綺芳と麗芳が金具を外す。
沙那と孫空女のふたりががっくりと身体を脱力させた。
「思い知ったかい、お前ら──。お前らを殺すも生かすも、わたしの気紛れひとつにかかってるんだよ。わかったら、態度をわきまえな」
春嬌は言った。
「ご、ご主人……さ、様……は、ど、どうしたんだよ……」
孫空女が垂れていた顔をあげて、春嬌を見て呻いた。
春嬌はさすがに気後れのようなものを感じるとともに、どこまでこの気力が続くのか試してみたくなってきた。
同時にわくわくする心の高揚を感じる。
こいつらの心の拠り所が宝玄仙なのであれば、その拠り所を残したまま、徹底的に潰してみるのも面白い。
「約束だからね。今夜は宝玄仙にはなにもしない。ついでに朱姫もだよ。檻に入れて寝かせているだけだよ。命に別状はない」
春嬌は言った。
すると孫空女が安心したように頬を緩めた。
このふたりに三刻(約三時間)で二百回の絶頂をしろと命令して、双頭の張形で女陰を咥えさせたのは、四刻(約四時間)前に終わった宴のことだ。
天井から繋いだ首輪でふたりと向かい合って密着させて、百人ほどの客の前で性愛をさせたのだ。
しかも、ふたりに挿入している双頭の張形には、火薬を詰め込んで、制限時間の三刻(約三時間)が経てば、ふたりの下半身が爆発するように細工もした。
三刻(約三時間)で二百回というのは、およそ不可能な時間だ。
それだけの連続絶頂になれば意識が持たない。
途中で意識を手放せば、それで終わりだ。
ふたりの腰は吹っ飛び、上半身と下半身がばらばらなって、はらわたを曝け出して死ぬはずだった。
しかし、性愛を命じるとふたりは憑かれたようにお互いの身体をむさぼり合い、口づけをし、乳房と擦り合わせ、腰を振り乱し、お互いの尻穴に指を入れ合って次々に絶頂していった。
そして、三刻(約三時間)どころか二刻(約二時間)と少しで二百回に達して、しかも、まだしっかりと意識を保っていた。
しかも、ふたりの偉業を拍手で称える客たちの前で、沙那が春嬌を挑戦的に睨んで、こう言ったのだ。
“──外れた双頭の張形をもう一度、今度はお互いの尻に繋いでいい。残りの時間で、今度は尻で五十回達してみせる。その代わり、馬に犯されている宝玄仙を解放し、女陰と尻につけている金具を外して休ませろ”
宝玄仙は一刻(約一時間)の間、馬にずっと犯されて尻に馬の精液を大量に注がれた挙げ句に、大便を垂れ流して放置されていた。
春嬌の見たところ、息はあったが完全に発狂していて、もう人間として終わっている状態だった。
周りの客は沙那の申し出に大喜びをして歓声をあげた。
春嬌としても、客の手前、沙那の挑戦を受けないわけにはいかずに申し出を受けた。
ふたりは天井から首輪を繋がれたまま、今度は尻を向け合うようにされ、さっきの双頭の張形を尻に受けてお互いの臀部を密着させた。
ふたりの尻踊りが始まった。
そして、今度も制限時間にずっと余裕を持たせて、五十回を尻で絶頂した。
客たちは拍手喝采してふたりに歓声を送り続けた。
客は大喜びだったが、思惑が外れた春嬌としては面白くなかった。
予定では、ふたりが生き残ったとしても、連続絶頂で息も絶え絶えになっているふたりを会場の卓に拘束して、妖魔たちで輪姦するつもりだったのだ。それだけさせれば、それこそ限界を超えた心臓が止まり、そのまま死ぬだろうとも思っていた。
死なないとしても、無事では済まないはずだった。
しかし、予想以上にふたりは元気で、しかも、ふたりの偉業を賞賛するような空気ができてしまい、輪姦するような雰囲気でなくなった。
そのため、 春嬌としてもふたりの見世物を終わらざるを得ず、ふたりを戻して宴の終了を宣言した。
春嬌は、この二百五十回の絶頂責めにも屈しないふたりを改めて春嬌自ら責め直すことにした。
この四人を捕えてから、春嬌はずっと宝玄仙を相手にしていたが、宝玄仙が完全に毀れてしまったので、次の相手を誰にするか迷っていたところだったのだ。
なかなか頼もしいふたりのようだから、かなり長く春嬌を愉しませてくれそうだ。
一方、馬姦の後、放置していた宝玄仙については麗芳に片付けを命じた。
宝玄仙は明日にでも始末させるつもりだった。
しかし、宝玄仙が勝手に回復したという麗芳からの慌てふためいた報告が道術で届いたのは、この調教部屋に沙那と孫空女を連れ込んで、いまのように拘束させてすぐだった。
ただならぬ麗芳の動揺した声に、宝玄仙がいる宴の会場に向かってみると、自分の『治療術』で身体を回復している宝玄仙がいた。
しかも、心が毀れたと思っていた狂女の状態ではなく、しっかりと心を取り戻していた。
そして、春嬌の顔を見て元気に悪態をつき出した。
なにが起こったのかわからなかった。
宝玄仙は確かに頭が毀れた状態だった……。
春嬌は宝玄仙の道術が戻ったのかと思って緊張したが、とりあえず戻ったのは『治療術』だけのようだった。
それについては、ほっとした。
ほかの道術が遣えないのなら、こんな人間族はまだまだ春嬌の玩具だ。
復活したらしい『治療術』については、明日にでも、もう一度、賽太歳のところ赴き、宝玄仙が取り戻した道術を再び取りあげればいいだろう。
なぜ、賽太歳の呪術の一部が破れて、治療術だけを復活させたかわからないが、今度こそ、賽太歳には念入りに術をかけてもらおうと考えた。
とりあえず、宝玄仙については、檻に拘束するように麗芳に命じた。
そのとき、宝玄仙の股間と肛門に装着していた金具を外すように麗芳に指示もした。
五十回の追加の絶頂と引き換えに頑張ったこのふたりとの約束を思い出したわけではない。
『治療術』が戻ったなら、性器を拡げるために開けた孔に嵌っている輪っかを外せば、宝玄仙はその孔を自分で治すに決まっている。
そうすれば、明日、賽太歳によって再び道術を失わせた後、もう一度、性器に孔を開けて苦しませる愉しみが戻ってくると思ったのだ。
とりあえず、宝玄仙と朱姫をそれぞれの檻に放り込んだ。
いずれにしても、宝玄仙については明日のことだ。
いまは、こいつらだ……。
「さて、仲良しのお前らにいいものを取り付けてやるよ」
春嬌は湧き起こる嗜虐の悦びに酔いながら、沙那と孫空女の前に立った。
横の台から一本の鉄串を手に取る。
長さは人の腕よりやや短いくらいだ。
本来は肉を刺して焼くための串だった。
まずは、沙那の前に立ち、孫空女側の乳房を鷲掴みにした。
「な、なによ……」
沙那が顔に恐怖を浮かべた。
「口を開くと舌を噛むよ」
乳房の真ん中を貫くように、孫空女にいる方向に目がけて鉄串を突きたてた。
「うぎゃああぁぁ」
沙那が絶叫して暴れた。
「さ、沙那に、なにするんだよ、春嬌──」
横の孫空女がびっくりして叫んだ。
「すぐにお前の乳房も繋げてやるよ。黙ってな、孫空女」
春嬌は鉄串に力を込めた。突き刺した反対側の乳房の側面から金串の先端が覗いた。
「ほがああぁぁ」
錯乱したような沙那が悲鳴をあげ続ける。
春嬌は沙那に構わず、今度は沙那側の孫空女の乳房を掴んだ。
孫空女の顔が恐怖に歪む。
沙那の乳房を貫通している鉄串にさらに力を込めて、孫空女の乳房に突き刺した。孫空女も絶叫する。
渾身の力を込めると、やっと鉄串が貫通して、沙那と孫空女のふたりの乳房が一本の鉄串で繋がった。
さらに力を込めて、鉄串の中心部分に乳房になるように串をもっと突き刺す。
そして、ふたりの片方の乳房の側面から突き出ている鉄串の両端を持って、ぐいと円型に反り曲げた。
両端が接って、ふたりの乳房は大きな丸い金具に貫かれて繋がれるかたちになった。
「はがあぁ、ああっ……」
「はっ、はがっ……」
ふたりが激痛に息を絶え絶えに乱している。
「明日には、鉄串の先を短い鎖で繋いでやるよ。仲良しのお前らだ。これからはずっとくっつき合って過ごしな」
春嬌は哄笑しながらふたりの乳房を繋げている鉄串を思い切り揺すった。
ふたりが同時に全身を仰け反らせて苦悶の絶叫をした。
「……春嬌様、屋敷の裏の警戒線になにかが感知されました。また山犬かもしれませんが見てきます」
綺芳が春嬌に声をかけてきた。
「ああ……。頼むよ──。念のために麗芳も行っておいで」
春嬌は雌妖たちを見ることなしに言った。
雌妖たちが出ていく気配を背中で感じた。
そのときには、春嬌は一本の針を持っていた。
その針を鉄串が刺さっている沙那の乳房の乳首に無造作に突き刺した。