「おい、沙那──」
声をかけられて檻にうずくまって眠っていた沙那は、はっと目を覚ました。
一瞬、どういう状況なのかわからなかった。だが、すぐにここが、
檻といっても、人がしゃがんで座れるくらいの小さな穴を洞窟の壁をくり抜いて作り、そこに鉄格子の扉をつけただけのものだ。
洞窟の奥には、そういう檻が幾つかあり、沙那はその中のひとつに入れられていたのだ。
張須陀たちの生業は、やはりこの辺りを往来する旅人を襲う盗賊のようだ。
もっぱら行商人を襲って金品を狙うのが連中のやり方であり、
そうやってこの一帯の街道を荒らしているようだ。
三人のうち、曲がりなりにも武術ができるのは張須陀のみ……。
沙那はそう予想している。
おそらく間違いないだろう。
項延も李保も、沙那から見れば大した武芸の腕があるとは思えない。
いずれにしても、三人は盗賊だ。
そして、この三人は、襲った旅人の中に若い女がいた場合は、奪った金品とともに女も奪うようだ。
そのときには、女をこの隠れ処に監禁し、弄んだあげくに奴隷商人に売っているようだ。
この檻はそういう女たちを監禁しておくための施設なのだ。
いまは女は誰もおらず、監禁されているのは沙那だけだ。
たが、十個ほどあるそれらの檻には、いずれも最近まで人が監禁されていた気配がある。
改めて張須陀たちに対する怒りが込みあがる。
「出て来くるんだ、沙那殿──。昨日は随分と従順だったから休ませてやったんだぜ。ぐっすりと寝て、体力も回復しただろう? 今日は、退屈凌ぎに愉しい趣向を考えているんだ。早く、来いよ」
項延が檻の向こうで言った。
その背後には、張須陀と李保もいる。
この三人にここに監禁されて、徹底的ないたぶりを受け始めてどのくらいの時間がすぎたのだろう。
一日……?
三日……?
さっぱりわからない。
この洞窟にはまったく陽の光はない。だから、時間の間隔がないのだ。しかも、沙那は、この三人に完全に意識が朦朧となるまで繰り返し犯され続けた。
手と足を縛らたうえに、霊具の力で身体を操られて、三人から代わる代わる犯されたのだ。
三人は交替で眠ったり休んだりしていたが、沙那だけは、休むことを許されずに、ずっとひたすらに犯されていた。
繰り返す責めに沙那は、絶頂に絶頂を重ねて、精根も尽き、気力も砕かれた。
さすがに、これ以上責められれば死んでしまうと思った。
いずれにしても、なんとか体力を回復させたかった。
体力がなければ逃げられない。反撃の機会があってもそれを生かすことができない。
それで、逆らうことをやめ、ひたすら大人しくして連中に屈服したふりをした。
李保とかいう張須陀の子分の男根を口で奉仕もし、項延のものも舐めたし、反吐が出そうになるのを耐えて張須陀の一物さえもしゃぶった。
沙那の口の奉仕について、大した舌技だと喜んだ三人は、沙那をご褒美に休ませてやると言って、ここまで連れてくると、沙那を檻に閉じ込めたのだ。
背中で縛られた後手縛りは解かれなかったが脚の拘束は解かれた。
やっと沙那は身体を休ませることができて、ここで身体を丸めて死んだように眠っていた。
そして、起こされた。
また、凌辱の日々が再開するのだろう……。
沙那は身体を起こした。
「待て、沙那……。沙那、膝を曲げて股を開け。股ぐらをこっちに向かって曝け出すんだ」
檻の向こうの張須陀が手にしている筒に向かって言った。
沙那は大きく限界まで脚を拡げて、三人に向かって股を曝け出す。
「ほう……。まだ、お前の首輪の効果は続いているようだな。大した霊具だぜ」
張須陀が嬉しそうに言った。
「も、もう、勘忍してよ……。脚を閉じさせて──」
沙那は、檻越しににやにやと股を覗きこむ三人の視線に耐えられなくなり、思わず言った。
しかし、張須陀は沙那の股間をじろじろと眺めまわす仕草をするだけで、一向に解放してくれない。
沙那は、羞恥に耐えられずに血が出るばかりに唇を噛んだ。
「なあ、沙那よ……。この霊具は、あの女主人の霊気が途切れれば、霊気切れになるはずだが、こうやって何日も経っているのに、一向に道術効果がなくなる気配がない。それはそれで問題はないんだが、いったいどれくらいでお前の女主人の霊具は霊気切れを起こすんだ? あの霊気除けの布のために完全にその霊具は霊気源を失っているはずなんだがなあ……」
張須陀が笑いながら言った。
「そ、そんなこと……。それよりも、いまは、ここに閉じこもってどのくらい経ったの?」
「さあ、四日目か……?」
張須陀が項延の顔を見た。
「そうですねえ。そんなもんでしょうね、兄貴」
項延が応じた。
四日……。
思っていたよりも長く監禁されていたのだと思った。
「ご主人様……宝玄仙の作る霊具は別格なのよ。多分、一箇月は霊気切れを起こさないと思うわ」
沙那は言った。
「じゃあ、出てきな。出てきて脚を拡げて立て」
張須陀が筒を使って言った。
「兄貴、もう、その霊具なんて使わなくても、沙那は抵抗なんてできませんよ」
李保が檻を開きながら言った。
まったくだと沙那も思った。
いつになったら、油断するんだろうか……。
「馬鹿野郎──。片時も油断すんじゃねえ。こいつは、怖ろしい女だと何度も言っているだろう」
張須陀が李保に怒鳴った。
とにかく、「命令」に従い、沙那は後手縛りの身体をくねらせてなんとか狭い扉を潜って扉の外に出た。
「ほう、たっぷりと休ませたら、肌に艶が戻ったみたいじゃないか」
張須陀だ。
沙那は、この男の顔面に思い切り膝を叩きつけたい衝動を懸命に堪える。
そして、さっきの「命令」に従い、大人しく三人に身体を向けて立って脚を開いた。
李保が近寄ってきて、沙那の乳首を指でぎゅっと押した。
「あはっ」
たちまちに、ぞくりとした感覚に襲われて沙那ははしたない声をあげた。
次の瞬間、はっとして口を閉じて平静を装う。
ほんの少し乳首を刺激されたくらいで、これほどに激しい反応を示してしまった羞恥に顔が赤らむのがわかった。
「まったく、いくら触っても触りがいのある身体だぜ……」
李保が嬉しそうに笑う。
「おいおい、兄貴分の俺を差し置いてなにやってんだ」
張須陀が苦笑している。
「だけど、兄貴、こいつのこの感じ方、本当にやばいぜ。どれ、俺も触ろう……」
項延も笑いながら沙那に近づいてくる。
三人が抵抗できない沙那を取り囲み、脚を閉じられない沙那の双臀を擦ったり、胸を揉んだりしはじめた。
沙那は刺激を我慢しようと思ったが、六本の手によっていいようになぶられて、結局は悲鳴のような声をあげて泣き悶えさせられてしまった。
やがて六本の手のすべてが沙那の股間に群がった。
六本の手が代わる代わる、肉芽を剥き、こね回し、女陰の外襞をくすぐり、股間の敏感な場所を指で刺激する。
「んふうううっ」
堪らず沙那は全身をがくがくと震わせて気をやった。
膝ががくりと割れて、思わずその場にしゃがみ込んだ。
絶頂の余韻に沙那はそのまま腰を落としたままでいた。
「へへ、やっぱりな……。沙那、お前、いま、わざと道術に従ったふりをしていただろう。実際には、すでにその霊具は霊気切れで効果がなくなっているな? 相変わらず油断がならねえやつだぜ……」
張須陀の声がした。
はっとした。
顔をあげると、いつの間にか三人が洞窟の壁のぎりぎりまで下がって、沙那と随分と距離を取っている。沙那の反撃に警戒をしているのだ。
「そ、そんなこと……」
沙那は言い繕うとしたが諦めた。
事実だった……。
檻に入っている沙那に向かって張須陀が股を開けと命令をした瞬間に、霊具の効果がなくなってることに気がついた。
だから、咄嗟に霊気がまだ有効なふりをした。
そうすれば、連中が油断して拘束を緩める機会が訪れると思ったからだ。
「そんなことはあるんだよ、沙那。お前、そうやって、しゃがみ込んでいるけど、道術が効いているなら、すぐに起きあがって立つはずじゃねえか。それなのに、いつまで経っても余韻に浸った状態でいやがる。それが証拠だよ」
沙那は舌打ちした。
こうなったら足技だけで圧倒してみせる。
蹴り飛ばして、三人を叩きのめしてやる……。
沙那は後手縛りの身体を起こした。
そして、身構える。
しかし、少し距離がありすぎる……。
できれば、相手の油断を誘ってから反撃したかったが……。
「ほら見ろ、お前ら……。こいつはこういう女なんだよ……。だから、片時も油断しちゃあなんねえんだ……。おそらく、昨夜の痴態も半分は演技だ。淫情した仕草で俺たちの珍棒をしゃぶったのも、そうした方が逃亡の機会があると判断したこいつの計算だ」
張須陀が用心深く構えた。
項延と李保のふたりは、はっきりと顔に恐怖を浮かべて、逃げるように沙那から離れていく。
「沙那、ところで、お前の自分の股間に違和感ねえか?」
突然、張須陀が言った。不思議に思って、沙那は一瞬だけ自分の股間に眼をやった。
沙那は、ふと自分の肉芽に銀色の膜のようなものがついていることに気がついた。なにかを包み貼られているようだ。
いつの間につけられたかわからないが、さっき三人から激しい愛撫を受けたときに違いない。
「気がついたか、沙那。それは、俺たちが浚った女を調教するときに使う『仕置き膜』という霊具だ」
張須陀が言った。
「『仕置き膜』……?」
沙那は嫌な予感がした。
「ただの調教用の道具だ……。使い方は難しくない。犬の躾と同じだ。奴隷の敏感な場所にこの霊具を張りつけて……」
張須陀は不意に指をぱちんと鳴らした。
「ひぎゃあああああああ──」
その瞬間、沙那は絶叫してその場に崩れ落ちた。
股間を金槌で殴られたかのような衝撃が走ったのだ。なにが起こったのかわからない。
全身の毛孔という毛孔から汗が噴き出したかのようだった。
気がつくと、沙那はその場に崩れ落ちるように倒れていた。
それがさっき肉芽に貼られていた銀色の膜によってもたらされたものだと気がついたのは、しばらくしてからだ。
「な、なによ……?」
激痛などという表現では生易しい。
痛覚そのもので股間と脳天を抉られるような感じだ。
想像もしたことのない激痛に、しばらくの間、沙那は呼吸さえもできないでいた。
沙那は倒れたまま眼を見開いて張須陀を見あげた。
「どんなにお転婆な女でもこの痛みには耐えられない。いままでに、これで屈服しなかった女はいなかったな」
張須陀が笑った。
「さて、立て、沙那」
張須陀は言った。
しかし、沙那はすぐには反応できなかった。
さっきの衝撃の余韻がまだ全身を覆っている。
立ちたくても力が入らないのだ。
すると、また張須陀がぱちんと指を鳴らした。
「いぎゃあああぁぁぁ──」
沙那はまた股間に金槌でぶん殴られたような衝撃を与えられて、白目を剥いて獣のように咆哮した。
「この霊具のいいところは、女に激痛を与えることはできるが、身体のどこも傷つけないことだ。だから、奴隷調教には持ってこいなのだ。鞭を使ったりすると、傷がついて価値が落ちるしな……」
張須陀がにやにや笑いながら言った。
「命令に従わなかったり、あるいは、従うことができなかったら、容赦なく指を鳴らすぞ──。もう一度、言うぞ──。立て」
張須陀は言った。そして、指を鳴らすような仕草をする。
沙那は慌てて立ちあがった。
ほとんど沙那の意思ではない。
ただ、さっきの激痛に対する恐怖心が沙那を無意識のうちに命令に従わせたのだ。
「じゃあ、今日の調教を開始するぞ。脚をもう一度開け」
張須陀が言った。
仕方なく沙那は股間を開く。
逆らえば、さっきの激痛だ。
あれをもう一度喰らいたくはない。
さすがの沙那もさっきの衝撃には恐怖しかない。
「李保、例のものを装着してやれ」
張須陀が沙那から距離をとったまま言った。
李保が近づいてくる。
残念だが、いまは抵抗しても無駄だ。
沙那は観念した。
身体の力を抜き、李保がやることを受け入れる態勢になる。
「じゃあ、さっそくだけど、沙那さんには、これをしてもらうぜ。足癖の悪い沙那さんに贈り物だ」
李保が前に進み出てきた。
手に縒り合された紐を持っている。その紐の真ん中に布を丸めて作った大きな玉にした瘤が幾つかある。
「これは俺っち特性の股紐だ。これを股に喰い込ませて、腰を揺さぶれば、いい気持ちになれるということだ。感じやすい沙那さんには、足首なんて縛らなくても、股縄ひとつで動きは封じられるという結論になったのさ」
李保はそう言いながら沙那の開いた股間にさっと縄紐を潜らせた。