375 足りない仲間
「やっと腹が立ってきたよ──」
食事をしていた宝玄仙が卓をどんと叩いた。
「はあ……? 突然、なに言ってんのさ、ご主人様?」
孫空女は言った。
朱姫も呆気にとられて宝玄仙を見ている。
なにしろ、このところ人が変わったように物静かで大人しかった宝玄仙が、いきなり声をあげたかと思ったら、激しく怒りだしたのだ。
「沙那だよ。沙那──。よく、考えたら、なんであいつに見限らなければならないんだよ。そもそも、あいつになんの権利があるんだよ。一体全体、何様のつもりだい──」
宝玄仙は大変な権幕で怒鳴り始めた。
孫空女は唖然としてしまった。
一体全体どうしたというのだ。
沙那が逃げ出して、宝玄仙のもとから去ったことを怒り出したようだが、何日前のことだと思っているのだ……。
ここは、
あまり上品な土地とは思えなかったが、久しぶりに温かい食事をして、宿屋で休みたいと宝玄仙がしつこく言い出したので、とりあえず適当な食堂に入って食事を頼んだところだった。
店はかなり広く、たくさんの酔客で溢れていた。
酔客を相手をする娼婦も多くいて、店は大変な喧騒だった。
とりあえず、三人で空いている卓を占領して店の者に食事を頼んだ。
それまでは、ずっと宝玄仙は大人しかった。
だが、食事が運ばれてしばらく黙々食べているところで、突然に宝玄仙が机を叩いて怒鳴り始めたのだ。
「あ、あのう……。その話はもう、ご主人様の中では、終わったんじゃなかったのかい……?」
孫空女はおずおずと言った。
沙那がいなくなってからかなり経っている。
沙那が宝玄仙を見限った理由ははっきりしている。
つまり、沙那を立ち去らせた原因は宝玄仙であり、それはいつもの宝玄仙の我が儘が発端だった。
最初は、いつもの宝玄仙の気紛れだ。
附国という城郭で、張須陀という男と偶然に知り合った宝玄仙は、その翌日、その張須陀の連れを含めてみんなで乱交をしようと言い出したのだ。
だが、実は張須陀は沙那と因縁のある男であり、沙那は断固としてそれを拒否した。
それに怒った宝玄仙が、沙那の訴えを無視して、張須陀という男に沙那を抵抗できない状態にして引き渡した。
そして、それをいいことに、張須陀はそのまま沙那を浚ってしまったのだ。
沙那への復讐が目的だ。
みんなで張須陀たちと沙那の行方を追ったが、なかなか沙那を見つけることはできなかった。
結局、空しく十数日がすぎた。
やっと張須陀を探し当てたときは、沙那は自力で張須陀のもとから脱走した直後だった。
直接助けることはできなかったが、沙那が無事なのは確認できた。
それで、三人で沙那が附国の宿屋に戻ってくるのを待つことにした。
しかし、やってきたのは沙那からの絶交の手紙を預かった娘だった。
三人で呆然としつつも、そのまま五日間待った。
しかし、結局、沙那は戻って来なかった。
宝玄仙は、沙那抜きで旅を再開することを宣言した。
そして、附国を出立し、険しい山越えをしてこの小西天という土地にやってきたのだ。
いまは、その小西天に入った直後であり、夕方といえる時間だ。
いずれにしても、かれこれ、沙那が別れの手紙を置いていなくなって、もう半月というところだ。
いまさら、この宝玄仙は、なにを怒りだしたのだろうという思いだ。
「沙那については、あいつの好きなようにさせるつもりだった。去りたいなら去ればいい……。去る者は追わずだ──。そのつもりになっていた。だけど、どうしても心のもやもやが晴れなかったんだよ。なにか胸に重いものがずっと載っていて、それが取れないというような気持ちだね。それに、昨夜、宝玉とも話した。意識下でね──」
「宝玉さん……?」
「ああ──。あいつはわたしを罵った。沙那に見限られたのは、わたしが馬鹿で間抜けで愚か者だからだそうだ。それで、ずっと考えていたんだけど、どう考えても、今回はあいつが悪い。なんで、こんなに重い気持ちにわたしがならなければならないんだい。あいつが……、沙那が悪いのに──」
宝玄仙がまくしたてた。
「あ、あのう……、なんで、沙那が悪いのさ、ご主人様?」
孫空女には、宝玄仙が沙那がいないことで寂しがるのというのならともかく、怒っているというのが理解できなかった。
「考えてもごらんよ、孫空女。わたしは、あいつの世話をずっとしてやっていたじゃないか。それなのに、あいつはわたしへの恩を忘れて、どこかに行ったんだよ。しかも、手紙ひとつだけ残してね──。まったく、腹の立つことじゃないか?」
「えっ……世話をした?」
思わず言った。
沙那が宝玄仙の世話をしたことについて、宝玄仙が沙那に恩を感じているというのであればわかる。
だが、宝玄仙は、沙那こそ宝玄仙に恩を感じるべきであり、それに見合うことはずっとしてやったと言っている。なんのことだろう?
「ああ、世話をしたさ。あいつになにかがあれば、すぐに道術で助けてやった。あいつが危機に陥ったとき、わたしが救ったことはたくさんある……。そうだねえ、
「まあ……。そんなこともあったねえ」
孫空女は仕方なく相槌を打つ。
もっとも、宝玄仙が沙那を助けたなど、数が多いことじゃない。それを言ったら、沙那が宝玄仙を救ったのは遥かに多いだろう。
それに……。
「あんときは、お前と沙那が紅孩児に拷問に遭っていて、それでわたしが解放してやったんだ。そうだ、黒倫とかいう武芸者の道場に監禁されたこともあったねえ……。ほらっ、やっぱり、わたしが沙那を救ったのは枚挙にいとまがないじゃないか──。その恩を忘れて、勝手にどこかに行ったんだよ、あいつは……」
宝玄仙が大きな声で怒鳴った。
しかし、さすがに孫空女は鼻白んだ。
そもそも、黒夜叉という女将校が沙那を捕らえた理由は、当時、天教教団の工作であちこちの国から手配されていた宝玄仙の居場所を沙那に白状させようとしたからであり、紅孩児のときはもともと連中の罠にあっさりと嵌った宝玄仙が人質に取られたのが切っ掛けだ。
黒倫のときだって、宝玄仙と朱姫が乏しい路銀を全部性具に変えたりしたために、仕方なく沙那が路銀を稼ぐために辻試合をやったのが騒動の発端なのだ。
この一行の騒動の十のうち、八か九までは宝玄仙が引き起こしている。
その尻拭いをいつもしていたのが沙那だった。
いずれにしても、沙那はもういない。
沙那は宝玄仙を見限ってどこかに行った。
もう、どこに行ったのか探しようもない。
いくら、宝玄仙が怒っても、その相手はいないのだ。
「ねえ、ご主人様、沙那姉さんを探しに行きましょうよ。そして、連れ戻すんです。ねえ、そうしましょうよ。そうすべきです──」
朱姫が喜色ばんで言った。
孫空女は、その突然の朱姫の嬉しそうな大声にも驚いた。
沙那がいなくなったことについての朱姫の落ち込みようは宝玄仙以上だった。
あの闊達な朱姫がこのところ、ほとんど口を開かなかったし、まともに食事もしていないようだった。
呆然としていることが多かったし、気がついたら理由もなく涙ぐんでいるということもあった。
これほどまでに、朱姫は沙那が好きだったのかと孫空女も驚いたほどだった。
「そうだね、朱姫──。沙那を探そうよ。連れ戻すんだ。この宝玄仙の供をやめようなんて冗談じゃないよ。地獄の底まで追いかけて、罰を与えてやろうじゃないか。もう二度と、わたしから逃げようなんて思わないようにね──」
「ええ、沙那姉さんを見つけて、折檻しましょう。絶対です──」
朱姫は満面の笑みを浮かべている。
「どんな罰がいいだろうねえ……。そうだ……。久しぶりに痒み剤で責めたててやるよ。最初にあいつを捕えたときは、あいつは自慰も知らない未通女でねえ……。そのあいつの股間を泣き叫ぶほどに痒み責めにして、放置してやったんだ。あいつは泣きながら処女を犯してくれと喚いたものだったよ。懐かしいねえ……」
宝玄仙が思い出すように笑った。
「沙那姉さんは、恥ずかしがり屋さんだから、うんと短い下袍を履かせて人混みを連れ歩くのもいいですよ。それで一番人が集まったところで、あたしの『影手』で何度も何度も絶頂させるんです。面白いと思いませんか、ご主人様?」
「焦らし責めもするよ。くすぐり責めもね──。あいつはもともと感じやすいけど、道術で十倍くらいにしてやるさ。だけど、今度は絶頂だけは簡単には与えないよ。あいつは、あれでなかなか気位が高いからね。絶頂させてくれとか、苛めてくれとか言えないのさ。そういう沙那に、わたしは、大きな声で、“沙那は淫乱です”と喚かせるのもいいねえ」
「わあ、面白そうですね。だったら、あたしは『縛心術』を遣います。それで……」
朱姫が調子に乗ってさらに大きな声を出す。
「ちょ、ちょっと、やめなよ、ふたりとも──。沙那はもういないんだよ」
馬鹿なことを大きな声でしゃべりだしたふたりをさすがに孫空女も嗜めた。
気がつくと、かなりの店にいる酔客の注目を集めている気がする。
「いないのはわかっているよ──。だから、沙那を探すんだよ。いいから、お前は沙那を見つける方法を考えな。いいね、孫空女──」
宝玄仙が強い口調で言い、孫空女を睨む。
「ええっ──。あたしが考えるのかい、ご主人様?」
「当たり前だよ。この食事が終わるまでに、なにか策を考えるんだよ。なんにも出て来なけりゃあ、ここで裸踊りをさせるからね、孫空女」
「無茶言わないでよ、ご主人様──。半月も前にいなくなった沙那をどうやって探すというんだよ」
孫空女は言った。
「それを考えろと言ってるんだよ。思いつかないというんなら、早く、裸になりな。そこで踊るんだ。いいというまでね──。そう言えば、お前はずっと昔に、大道芸人の一座で踊っていたこともあると言っていたじゃないか。裸踊りは得意だろう、孫空女」
「は、裸踊りなんかじゃないよ……。まあ、それに近いことは認めるけど……」
孫空女は渋々言った。
「いい策を考えてくださいね、孫姉さん。あたし、沙那姉さんに会いたいんです」
「お前まで言うんじゃないよ、朱姫──。お前が裸踊りしな」
孫空女もかっとなって怒鳴った。
「おいおい、面白い話をしているじゃないか、あんたらよう……」
そのとき、不意に卓に影が差した。
気がつくと十人くらいの男たちに卓が囲まれている。
どうやら連中は酔っているようだ。
「なあ、あんたら、いい女だなあ──。いくらでやらしてくれるんだよ」
酔客のひとりが朱姫にいきなり抱きついてきた。
「きゃああああ──。さ、触らないでよ──」
朱姫が悲鳴をあげるとともに、肘で思い切りその酔客の脇腹を打つ。
呻いて力を緩めたその男の指を握ったかと思うと、力一杯朱姫がその指を関節の逆方向にねじあげた。
「痛ってええっ──」
おかしな音がして、男が悲鳴をあげてうずくまった。
「な、なんすんだ、この女ども──」
それを合図にするかのように、ほかの男たちも宝玄仙と孫空女にいきなり掴みかかってきた。
「ご、ご主人様に触るんじゃないよ」
孫空女は自分に群がる男を数発の拳で黙らせると、宝玄仙に掴みかかっているふたりの男を蹴り飛ばした。
ぎょっとして立ち竦んでいる男たちの顔めがけて腕を振る。
まともに孫空女の腕を受けた男たちが吹っ飛ばされて店の壁に転がっていく。
「な、なんだ、この女──」
ひとりの男が剣を抜いた。
孫空女は、すかさずその男の腹を蹴りあげた。剣を持ったまま、その男が呻き声とともに崩れ落ちた。
それで終わりだ。
もう剣を抜こうとしている者はいないし、襲ってきそうな視線をしている者もいない。
孫空女は一歩前に出る
それに押されるように、周りの男が慌てて下がった。
「一度言っておくよ──。あたしは強いからね。次にあたしらにちょっかい出してきた奴は、容赦なくぶっ飛ばすよ。今度は勢い余って殺すかもしれなからね。覚悟してやってきな──」
孫空女は外まで聞こえるような大声で叫んだ。
店がしんとなる。
孫空女と朱姫に倒された連中が、周りの男たちに助けられながらすごすごと遠くに去っていく。
「相変わらず強いじゃないかい、孫空女」
宝玄仙が男に掴まれて乱れた服を直しながら言った。
「あんな連中はどうってことないさ」
孫空女も座り直して、食事を再開する態勢に戻る。
「……だったら、いい知恵を考えるんだよ。あんな男たちの前で裸踊りなんてしたくないだろうからね」
宝玄仙が嗜虐的な笑みを浮かべて言った。
「そ、その話、続いているの?──」
孫空女は思わず声をあげた。
「当たり前だろう──。くだらない策ならここで裸踊りだ。素っ裸でね」
「そんなあ……」
「だったら、一生懸命に考えな、孫空女」
「踊りのときは、あたしが道術で音楽を作ってあげますね、孫姉さん」
朱姫が言った。
「なに言ってんだい、朱姫。お前も一緒だよ。孫空女の策をわたしが気に入らなければ、お前もここで裸踊りだよ」
宝玄仙がそう言って眼の前の食事をさじですくって口に入れる。
「ええっ? あたしもですか──?」
「当たり前さ。なんで、お前は自分は関係ないようなこと言ってんだよ。お前も考えるんだよ、朱姫」
「だったら、三人で考えましょうよ。みんなで話し合うんです」
朱姫が頬を膨らませた。
「ちょっと、あんた方……」
その時、また誰かが近寄ってきて声をかけてきた。
孫空女はがばりと立ちあがり、拳をそいつに向けた。
「わあっ、待って、待ってくれ──。ちょっかい出したいんじゃない。な、殴らねえでくれ──。話……。話があるんだ」
男は叫んだ。
背の低い丸顔の嫌な感じの男だ。
外見で人を判断すべきじゃないが、なにか小狡そうなことを考えているのじゃないかと疑いたくなるような顔つきだ。
その男が、なにかを媚びるような表情で、手もみをしながら近づいてくる。
「話?」
宝玄仙が眉をひそめる。
「い、いや……、さっきからあんたらの話を聞いていたんだが、沙那という名を耳にしてね。沙那という名の女を探すようなことを言っていたけど、それはあんたらの連れだった女の名なのかい?」
男は言った。
「確かにそうだけど、沙那がどうしたんだい?」
宝玄仙が不機嫌そうに言った。
「どんな女だい?」
「栗毛の美女だよ。いつも男の服を着ている。気の強さが顔に滲み出ているような女だけど、それでもはっとするくらいのいい女さ。だけど、それがどうしたんだい──?」
「やっぱりだ……」
男がはっとした顔になった。
「やっぱり?」
「ああ、俺はその女の人を知っていると思う。沙那と名乗っていたし、栗毛だった。男のような服装で、気が強そうな女だったな。そして、はっとするくらいの美女だった」
「ご、ご主人様、これって……」
朱姫が叫んだ。
「沙那を知っているのかい?」
宝玄仙も声をあげた。
「へへ……、座っていいかい?」
男の言葉に宝玄仙が頷く。
破顔した男が、孫空女たちが囲んでいる卓の空いている椅子に座った。
「ねえ、ご主人様、あたしはなんか胡散臭そうな気がするんだけど……」
孫空女は向かい側に座った男を睨みながら言った。
「おいおい、酷いなあ……。俺は、あんたらが捜している女に心当たりがあるから、人助けだと思って声をかけたんだぜ」
「だけどさあ……」
「うるさいねえ、わたしはこいつの話を聞きたいんだよ。黙ってな、孫空女──」
宝玄仙が言った。
仕方なく孫空女は口をつぐむ。
「それで、お前の名は?」
宝玄仙が男に向かって言った。
「
「じゃあ、後天袋、お前の話をしな」
宝玄仙は言った。
「ああ……。その沙那という女は、二日前にここにやってきたんだ。俺とちょっとした縁で知り合いになった。その沙那が、この辺りで自分を世話してくれる者はいないかと訊ねたんで、俺は、この小西天から一日ほどのところにある分限者を紹介してやった。多分、その沙那という女は、あんたらの探し人に違いないさ」
「ねえ、ご主人様──」
「待ちな、朱姫……。だけど、後天袋とやら──。沙那はその分限者のところでなにをしようと言っていたんだい?」
宝玄仙が口を挟みそうになった朱姫を手で制した。
「働くと言ってたな。路銀がなくなったとか言っていたような……」
後天袋が言った。
「ご主人様、沙那姉さんは、あんまり路銀を持っていなかったはずです。なにしろ、張須陀のところから逃げて、ひとりで旅をする碌な準備もできなかったはずですから──」
朱姫がまた、口を挟む。
「そうだ、そう……。張須陀だ。そんな名の人間から逃げて来たとか言っていた。思い出したぜ」
後天袋が叫んだ。
「やっぱり、沙那姉さんだ──。先に西に向かっていたんですよ」
朱姫が嬉しそうに声をあげる。
「よければ、これからでも一緒に行かないかい。これから行けば夜になるが、あんたら程強ければ夜旅もどうってことねえだろう。明日の昼には、その沙那という女に会えるぜ」
「行きましょうよ。いまからでもいいです。問題ありません。そうですよね、ご主人様」
朱姫はもう立ちあがらんばかりだ。
「ま、待ってよ……。なんか都合よくないかい……? こいつ、さっきから調子のいいこと言っているだけじゃないかい……?」
なんとなく孫空女は思ったのだ。
なんか、話ができすぎてる……。
……というよりは、この後天袋はただ話を合わせているだけじゃないのだろうか……。
「な、なに言ってるんですか、孫姉さん──。この人は、沙那姉さんの風貌も言いましたし、張須陀のことも知っていました。沙那姉さんに間違いありませんよ。沙那姉さんは、その分限者のところにいるんです。早く行かないと、またどっかに行っちゃうかも……」
「そうだ。そんなことも言っていた。すぐに、どこかに行くかもしれないってね」
後天袋が言った。
「ほら、孫姉さん、夜旅でもなんでも早く行かないと」
「落ち着きなよ、朱姫……。こいつはなんにも喋っていないよ。さっきから、調子よく話を合わせているだけだよ」
孫空女は確信した。
こいつはただの喰わせ者だ。
「いいから、黙ってな……。もういい、とにかく、そこに沙那がいるなら行ってみるさ……。だけど、その前に孫空女、服を脱ぎな」
宝玄仙が言った。
「服を? な、なんでさ──」
孫空女は叫んだ。
「さっきも言ったじゃないか……。策が思いつかなければ裸踊りだってね。下着だけは勘弁してやるよ。そこら辺で踊ってきな──。朱姫、お前はさっき言っていた道術で作った音楽を流しな」
宝玄仙が酷薄な笑みを浮かべた。