「くうぅ……くはぁ……」
真っ暗闇の部屋で宝玄仙のか細い声だけが部屋に響いていた。
腿を狂ったように擦り合わせていた宝玄仙の身体の動きがなくなり、悲鳴のような喚き声が、ただの呻き声になってしばらく経つ。
しかし、孫空女には、宝玄仙の声から次第に正気のようなものが失われて言っているような気がした。
宝玄仙は、
腕をあげて伸ばした位置に、ふたつの取っ手があり、それを掴んでいないと孫空女と朱姫の監禁されている筒に毒気が流されることになっている。
宝玄仙はふたりを救うために頑張ってくれているが、もう限界を超えているはずだ。
体力も気力も常人程度しかない宝玄仙に耐えられる責めではない。
「ご、ご主人様、もういいよ。右手を離しなよ。それで股間を慰めてよ」
孫空女は叫んだ。
確か、右手を離せば自分の筒に毒気が流れ、左手が朱姫と言っていたはずだ。
このままでは、宝玄仙が狂ってしまう。
「う、う……、うる……さいよ……、そ、孫空女……」
宝玄仙から返事が戻ってきた。
ほんの少しほっとした。まだ、正気だ。
しかし、このままでは……。
「ねえ、ご主人様、あたしの声を聞いてください」
不意に暗闇に朱姫の声が響いた。
「な、なん……だい……?」
「あ、あいつは、多分、なんだかんだであたしを最初に殺すと思います……」
朱姫が言った。
確かにそんなことを黄眉は言っていたと思う。
だが、なんだかいつになく真剣な朱姫の口調が気になる……。
「……だから、あたしか孫姉さんのどちらかが死ぬのであれば、あたしにしてください。どうぞ、左手を離してください……。あたしはもういいです。覚悟をしました。ご主人様がいま頑張っても、黄眉は明日にはおそらく、あたしを剥製にするために殺します。だから、ご主人様がいま耐えても無駄なんです。そう思いませんか……?」
「い、いきなり……、ふ、ふたりで……な、なにを言い出したのかと……お、思ったら……。ちょ、ちょっと……だ、黙ってな……。ば、罰を与えるよ……」
宝玄仙の苦しそうな声がする。
「ねえ、ご主人様、いま、耐えては駄目です。とにかく、いまはあたしを犠牲にしてください。それで体力と気力を保ち、脱出の機会を待ってください。あたしが死ねば、あたしを剥製にする作業を開始するはずです。それで時間を稼げます。黄眉の責め苦が再開するのは、その後のはずです……。だから──」
「や、やかましいと言っているだろう、朱姫──。いい加減に黙らないと折檻するよ。わたしは、いま限界なんだよ。お前たちに構っている暇はないんだよ──」
宝玄仙の癇癪を起したような声がした。
「……もしも、いつか沙那姉さんと再会することがあったら、許してあげてください、ご主人様。お願いします……。では、あたしの言葉に耳を傾けてくださいね……。ご主人様はあたしの声を聞くと、少しだけ楽な気分になります……。すっと、落ち着くんです……。どうです。落ち着いてきましたか……。息を楽にしてください……」
朱姫の声がささやくような声に変わった。
「お、お前……な、なにを……?」
宝玄仙の声が戸惑いのようなものに変化した。
「……息をあたしの声に合わせてください。すると楽になります……。すう……すう……。ほら、この声です……。すう……すう……すう。息を合わせてください……。すう……すう……」
「だ、だか……ら……なにを……?」
朱姫の静かな声に合わせるように宝玄仙の声も低いものになる。
それではっとした。
朱姫は、宝玄仙に『縛心術』をかけようとしているのだ。
朱姫は、道術がなくても『縛心術』がかけられらる。
だから、道術が封じられたこの容器の中からでも宝玄仙に『縛心術』がかけられるのだ。
『縛心術』でなにをしようとしているかはわからないが、とてつもなく嫌な予感がした。
「やめるんだよ、朱姫──、まだ、早いよ。全員が助かる。絶対にその方法がある──。誰かが死ぬべきときはそう言う。だから、早まるんじゃないよ──」
孫空女は叫んだ。
「ご主人様は、もう、あたしの声しか聞こえませんよね……」
宝玄仙の返事はない。苦しそうな呼吸音だけが続いているだけだ。しかし、宝玄仙が反応しなくなったということは、朱姫の術にかかりかけているのではないだろうか。
「朱姫──」
もう一度怒鳴った。
だが、朱姫は完全に孫空女を無視している。
「……この言葉を聞いてください……。げに我はうらぶれて……ここかしこ……定めなく……飛び散らう……」
朱姫の言葉の意味はわからない。
しかし、その言葉を朱姫が唱えた瞬間、宝玄仙の呼吸音がはっきりとわかる程度に静かなものに変化した。
よくわからないが、なにかの暗示のようだ。
朱姫は、幾度か宝玄仙に『縛心術』をかけたことがある。
それを完全には解かずに、暗示の言葉をささやけば、『縛心術』にかかった状態に戻るようにしておいたのだ。
「……いいですか、ご主人様……。あたしは三つ数えます……。すると、左手が取っ手から離れます。その後、起きることはご主人様は気にすることができません。それはご主人様には関わりのないことです。その左手で苦しみを癒してください……。いいですね……。三つ数えると、すべての気持ちが楽になります……。そして、左手が離れます……。三……」
「朱姫やめるんだよ──」
孫空女はもう一度絶叫した。
朱姫は『縛心術』で宝玄仙を操って、自分が犠牲になろうとしている。それがわかった。
「ふたつ……」
「朱姫──」
孫空女は力の限り叫んだ。
「……ねえ、ご主人様、もう一度言います……。いつか、沙那姉さんと会うことがあったら、許してあげてくださいね。それと朱姫がもう一度会いたがっていたとも伝えてください……。短い間でしたが、皆さんと家族になれて幸せでした……」
「朱姫、いい加減に──」
孫空女は声をあげた。
「ひとつ……」
朱姫の声が響いた。
そして束の間の静寂が訪れた……。
「……か、痒いわ……痒い……。もう、耐えられないわ……。ああ、なんてことなの……」
宝玄仙の口からすすり泣きがまた漏れ出てきた。
いや、あれは……?
「ご主人様……?」
朱姫の途方に暮れた声がした。
孫空女はほっとした。
とりあえず、宝玄仙は朱姫の『縛心術』にかかって、朱姫の命を握っている左の取っ手を離すことはなかったようだ。
「しゅ、朱姫……か、感心……し、しないわ……。あ、あんたらが……し、死ねば……ほ、宝玄仙は……そ、それこそ……立ち直れないわ……。ほ……宝玄仙はいなくなるわ……。し、死ぬのよ……。だから、三人とも生きるのよ……。ああ……痒い……。こんなの耐えられない……。でも、苦しさが……気持ちいいかも……。こんな目に遭うなんて惨めよ……」
宝玄仙ではない。宝玉だ。
朱姫の『縛心術』によって、左手を離そうとした宝玄仙から宝玉が人格を咄嗟に入れ替わったのだ。
「で、でも……」
朱姫がか細い声をあげた。
「さ、三人で……が、頑張る……のよ……。い、いえ……よ、四人ね……。あなたと、孫空女……わたしと宝玄仙……。ああ、その代わり、愛していると言って……。そうしたら、耐えてみせる……。耐えてみせるから……」
「愛しているよ、宝玉様──」
孫空女は叫んだ。
「……か、痒いわ……。わたしも愛しているわ……ああ……」
「愛しています、宝玉様──。ご主人様も、孫姉さんも……沙那姉さんも……」
朱姫も声をあげた。
「わたしも……愛している……。か、痒い……ああ……。で、でも、頑張るわ……」
宝玉の声がすすり泣きのような震え声になっていった。
*
黄眉が部屋に入ったときに目に映ったのは、夥しい汗を足元に溜めて、半分気を失っているような宝玄仙の姿だった。
しかし、両手はしっかりと上にあげて取っ手を握っている。
ふと見ると、孫空女も朱姫も筒の中でうずくまってはいるが生きている。
十中八九まで、どちらかが死んでいると思っていたので、黄眉は拍子抜けする思いだった。
どうやら、宝玄仙は半日もの間、あの掻痒剤の痒みに耐えきったようだ。
だが、それはそれで愉しみの時間が伸びたというものだ。
黄眉は道術を込めて、宝玄仙が握っているふたつの取っ手を消した。
ずっと握っていた取っ手が消滅した瞬間、宝玄仙はなにが起きたかすぐには理解できなかったようだが、すぐにがっくりと腰を落としてしゃがみ込んだ。
そして、すぐに指を股間と肛門の両方に突っ込むと、狂ったように擦りだした。
まるで動物のような浅ましい自慰の姿に、黄眉も一瞬鼻白んだ。
「みっともない真似はやめんか、宝玄仙──。どうせ、さすがの掻痒剤もこれだけ時間が経てば、効き目もなくなってきたところであろう」
黄眉は言った。
しかし、宝玄仙はまったく聞こえていないのか、激しく動かす両手を前後の穴から離そうとしない。
それどころか、ますます嬌態が大きくなる。
「あはあぁ──。き、気持ちいい……。気持ちいい──。あああぁぁぁ──」
やがて、がくがくと腰を震わせて気をやった。
しかも、まるで失禁のような潮が股間から噴き出したのだ。
涙と涎でびっしょりになって自慰で呆ける宝玄仙の姿には、最初にここに連れてこられたときの自意識の強さのようなものは感じられない。
ただの弱々しい雌がそこにいるだけにしか感じなかった。
しかも、それで止まるのかと思えば、さらに激しく宝玄仙は前後の穴に指を入れて擦りまくっている。
「いい加減にせんか、宝玄仙──。両手を後ろで組め。仲間の筒に毒気を流すぞ」
黄眉は叫んだ。
すると宝玄仙がびくりとして動きをとめた。
そして、呆けたような表情を黄眉に向けた。
「両手は背中で組め。仲間を殺したくなければな……」
「そ、そんな……。ま、まだ、痒い……痒いのよ……」
宝玄仙はすすり泣くような声をあげた。
半日だが、すっかりと性根を折られたようだ。
朝、ここに連れられてきたときの宝玄仙とは、まったくの別人のようだ。
その宝玄仙の筒に、黄眉は昨日の小瓶を放り込んだ。
宝玄仙の顔が恐怖に包まれた。
「……朝と条件は同じだ。そこに入っている瓶の中身を全部塗れ。肉芽と女陰と肛門だ。空になるまで全部な──。拒否すれば、仲間の筒に毒気を流す……」
「そ、そんな……そんな……そんな……」
宝玄仙が信じられないという顔で眼の前に転がってきた小瓶と黄眉を交互に見た。
そして、冗談を言われているわけじゃないと悟るとぼろぼろと涙を流し始めた。
これには黄眉も驚いた。
「泣いている暇はないぞ、宝玄仙──。さっさとやれ。もうすぐ、また取っ手が出現し直す。そのときに、塗り終わっていなくても仲間が死ぬし、痒みに耐えられなくて、手を離しても供が死ぬ……。わかったら、もう背中で組んだ手を離していい。薬を塗りつけるのか、それとも、仲間の命を諦めるのか好きな方を選べ」
黄眉は哄笑した。
宝玄仙は絶望的な表情になって、すすり泣きながら、小瓶の蓋を取って薬剤をすくった。
たっぷりと指に載せて股間に塗りつけていく。
「そうだ……。半日も耐えたお前だ。ひと瓶じゃ物足りないであろう……。もうひと瓶追加してやる。これは、胸に塗れ。乳房と乳首にひと瓶分を全部塗りたくるのだ……。それから、さっき勝手に自慰をやったが、それは大目に見るが、次に勝手にいくと朱姫の筒に毒気を流すからな。塗りながら達したように気をつけるのだぞ」
黄眉はさらにひと瓶を宝玄仙の筒に放り入れた。
宝玄仙はもうなにも言わなかった。だた、すすり泣きの声が一層激しくなっただけだ。
「い、いい加減にしないか、黄眉──。ご主人様の責め苦はあたしが受けるよ、だから、休ませてやっておくれよ」
「いえ、あたしが受けます。だから、おふたりを……」
孫空女と朱姫がそれぞれに声をあげた。
「おうおう、心配せんでもいい。お前たちにも責め苦を与えてやるわ……。では、朱姫」
黄眉は朱姫の筒の前に立った。
「な、なによ……?」
朱姫は気丈に黄眉を睨んだ。
見かけは小娘だが、よく見るとなかなかに気は強そうだ。
そう思って改めて宝玄仙を見た。
まるで、朝とは別人のようだ。
すすり泣きながら乳房に掻痒剤を拡げている姿は、もうすっかりと気力が削がれたような感じだ。
もっとも、案外、屈服した素振りをしながら、逃亡の機会をさぐっているのかもしれない。
いきなりのこの変わりようは不自然でもある。
だが、いずれにしても、芯の強さなら眼の前の朱姫の方が強いのかもしれない。
別に根拠はないが、数多くの人間の女をこうやって追い込んでは殺してきた黄眉の勘のようなものだ。
しかし、こういう芯の強い小娘を屈服させるのも愉しいものだ。
なんとなく、この朱姫もあっという間に殺すのは惜しくなった。
黄眉は朱姫の筒の中に、給餌棒を出現させた。
これを口に含んで吸えば大量の餌が流れ込む。
形は人間の男根と同じだ。
わざと色や香りも似せてある。
陰毛の生え具合まで同じだ。
朱姫からすれば、不意に膜の表面に男根が発生したように思えるだろう。
「こ、これなに……?」
朱姫が戸惑っている。
「吸え」
黄眉はそれだけを言った。
朱姫は一瞬だけ躊躇ったような表情をしたが、すぐに諦めたような顔になった。
男根は、立ちあがった朱姫が自然に口に入れるような高さに調整している。
朱姫は両手で前を隠しながら裸身を伸ばすと、小さな口を大きく開いて、男根のかたちの給餌棒を咥えた。
途端に眼を丸くした。
男根から粘性の食べ物が出てきたからだ。無論、ただの食べ物ではない。
「そこから口を離すな。出てきたものはすべて腹に受け入れろ。もしも、口を離したら、仲間の筒に致死量の毒気が注入される……」
朱姫の眼が白黒している。
それとともに、顔に恐怖が浮かんだ。
この三人の女は、自分の死よりも、仲間の死に恐怖を覚えるようだ。
「……それと、ひとつ教えておこう。男根から出ている粘性の食物には、大量の媚薬が混ざっている。すぐに狂ったように身体が熱くなる……。お前は、どんな痴態を見せてくれるかな、朱姫……」
食物に含まれる媚薬は強力なもので、しかも即効性だ。
たちまちに朱姫がもじもじと身体をくねらせはじめた。
黄眉はほくそ笑んだ。
朱姫は早くも身体を真っ赤にして腿を擦り合わせたりしている。
まだ、自慰を始めるほどの痴態は示さないが、放っておけば時間の問題だろう。
粘性の食物に混ぜた媚薬は、性欲を失った老婆でさえもあっという間に自慰を始めるほどに強力なものだ。
若い朱姫はひとたまりもないだろう。
どれくらい我慢できるのか見ものというものだ。
「ついでに、身体を淫靡に燃えあがらせる香も足しておいてやるぞ」
朱姫の筒の中に媚薬効果のある香を追加した。
筒の中の朱姫の鼻息が強くなる。
いまだ、口の中には媚薬入りの粘性物が流れ込んでいるはずだ。
「そのまま、口を離すなよ、朱姫。しばらくすればとまるが、とまればうねうねと動き出すから、男の一物だと思って奉仕しろ。口を離せば、自動的に仲間の筒に毒が流れ込むからな……。ただし──」
黄眉は意識的なのか、無意識なのかわからないが、だんだんと股間に向かって手を動かしている。
その朱姫を脅すように、黄眉は大声を発した。
朱姫の手がびくりととまる。
怯えたような不審の視線を向ける朱姫に、黄眉は手に持っていた輪を朱姫の筒に入れる。
黄眉の手は朱姫を閉じ込めている筒の膜をすり抜けて、給餌器を懸命に咥えている朱姫の頭にその輪っかを載せた。
輪は朱姫の頭の載ると、朱姫の頭に合わせて大きさを変化して、朱姫の頭に喰い込んだ。
「……自分の股間にいくらでも触っていいが、絶対に達してはならん。お前の身体が絶頂に達すると、その頭の輪がそれを読みとり、孫空女の筒に毒気を流し込む。仲間を死なせたくなければ、絶対に絶頂するほど、股間をいじくらんことだ」
黄眉は笑いながら言った。
朱姫が黄眉を睨んだ。
そして、まさに股間に触れようとしていた両手を上に動かして、自分の身体を抱くような姿勢に変えた。
自分を抱いている朱姫の拳はぎゅっと握って震えている。
とりあえず、朱姫は股間には触れない選択をしたようだ。
だが、黄眉はそれがそれほど長く続く我慢ではないことを知っている。
朱姫が口にしている食物の媚薬も、嗅がされている香も常人の女が耐えられるものではない。
両手が自由であり、しかも、触られるのを封じられていないだけに、すぐに朱姫は自分の身体を慰めるという選択をするに決まっている。
朱姫の地獄はそれから始まる。
一度触れば、自慰とはいえ、媚薬で侵されている身体を慰めることによる快感は途方もないものに感じるはすだ。
だが、どんなに快感に苛まれようとも、朱姫は絶対に達しないように、刺激を制御しなければならないのだ。
他人から焦らし責めにされるのではなく、自らを焦らし責めにすることになる。
自分の快楽と仲間の命を天秤にかけた責めに、どれだけ朱姫が自分を保つことができるのか愉しみだ。
「さて、お前にはもっと単純な責めだ、孫空女」
黄眉は今度は孫空女の筒の前にやってきて、一本の張形を放り入れた。
白い形をして先端の横に小さな穴が開いている。
先は丸みを帯びているが、形としては張形というよりは、角を思わせるかもしれない。
「なんだよ……」
孫空女はその白い張形を拾いあげた。
「……その場に立って、それをお前の女陰に入れろ」
黄眉は言った。
孫空女はなにも言わず、一度舌打ちしただけで、大人しく張形を握って立ちあがった。
ある程度の辱めの予想はしていたのだろう。
これがどういう張形かとも訊ねない。
黙って、口に入れて先端を自分の唾液で浸した。
そして、股を開いて中腰になると白い張形を自分の股間に挿入していく。
「くっ……あっ……」
だんだんと根元が埋まっていくに従って、孫空女が耐えきれなくなったかのような声を出した。
「感じているのか?」
黄眉はからかった。
「う、うるさい──」
孫空女が真っ赤な顔をして黄眉を睨んだ。
「こ、これでいいのかよ──」
完全に張形を女陰に受け入れた孫空女が吐き捨てた。
「おお、それでいい……。じゃあ、腰を振って、快感を集めるがいい。胸を揉もうが、尻をいじくろうが自由だ。そのままいきまくれ」
「なっ……」
孫空女はますます顔を赤くした。
そして、戸惑った表情をした。
その孫空女の前に黄眉は透明の杯を道術で出現させたからだ。
それは、孫空女にも中の量がわかるように、ちょうど孫空女の眼の高さに浮かべている。
「お前が女陰の中で放出した淫液は、その張形の先端の小さな穴に一度吸い込まれて、眼の前の透明の杯に溜まっていく。なにをしてもいいから、四刻(約四時間)以内にその杯をお前の淫液で半分以上満たせ。それができなければ、最初に朱姫が死ぬ」
「なんだって……。お、お前……」
孫空女が絶句した。
杯はかなりの大きさがある。
これを半分満たすとなると、孫空女は途方もない数の絶頂を繰り返すほどの自慰を繰り返さなければならないだろう。
それはわかるから、孫空女は悔しさに悲痛な表情を浮かべた顔で黄眉を睨んだのだ。
「いやなら、やめることだ。ただ、朱姫が死ぬだけのことだからな。朱姫が死ねば、次の四刻(約四時間)は宝玄仙の命を救うための時間になる。その杯の半分だ──。仲間を救いたければ、ひたすら自慰に励め。ほかの仲間は、触りたくても自分の股間に触るのを耐えているのだ。それに比べれば、お前はいくらでもいっていいのだ……。ほや、やらんか……。始めて見ればわかるがなかなか淫液など溜まらんぞ。案外時間はないのだ。ほら、始めよ……」
「く、くそう……。覚えていろよ──」
孫空女は吐き捨てると猛烈な勢いで腰を動かしだした。
片手で胸を揉み、驚いたことにもう片手は自分の尻を愛撫し始めたのだ。
しばらくすると孫空女の身体が真っ赤になり、小刻みに震えだした。
ほんの少しずつだが、透明の椀に道術で転送されている孫空女の愛液が溜まりだす。
「その調子だ、孫空女……。そうだ。お前にも朱姫と同じように、媚薬入りの水分が取れる給餌器を出してやろう。媚薬入りの水分をむさぼり飲み、ひたすらにいきまくれ……。仲間を死なせたくなければな」
黄眉は言った。
孫空女の筒にも朱姫と同じように人間の男根にそっくりの給餌器を出現させた。
しかし、孫空女は口をつけようとはしない。
まあいい。いずれは咥えることになるだろう。
連続で自慰といっても限界がある。
媚薬の助けでもなければ、杯に愛液を溜めるなどということはできないはずだ。
それに、達し続ければ、淫液だけでなく、全身から流れる汗も半端な量ではないはずだ。
身体の水分も不足していくから、いつかは給餌器に口を出さずにいられなくなる……。
「お、覚えてなよ……あ、ああっ……くっ……ああ……。ぜ、絶対に……やっつけて……やる……ああっ」
孫空女が悶えながら呻いた。
黄眉は哄笑した。
「快感に耽るのか、悪態をつくのかどちらかにせんか、孫空女──。淫情に耽りながら、文句を言うなど面白すぎるぞ」
そう言うと孫空女は口惜しそうな表情になった。
「それに俺に文句を言っている余裕はないぞ、孫空女……。四刻(約四時間)経って、万が一、半分溜められることができても、それで終わりではないからな。四刻(約四時間)がすぎれば、その杯に溜まったものは一定の量ずつ減っていく」
「減る?」
孫空女が自慰をしながらきょとんとした表情になった。
「そして、半分以下になった途端に、仲間の筒に毒気が流れるということになっているのだからな……。つまり、お前の自慰は終わることがないということだ。眠ることも許されず、果てしなく自慰を続けなければ、仲間は救えんということになっているということだ──。じゃあ、頑張ることだ」
「な、なんだって──?」
孫空女が悲痛な表情になる。
しかし。それでも、身体をいじくる自分の手はやめないから大したものだ。
「あはああっ……」
孫空女の身体がぶるぶると大きく震えて仰け反った。
まとまった量の愛液が宙に浮かんだ杯に追加された。
「さっそく、いったか? とりあえず、一回目か? だが、まだまだだな。仲間を救いたくはないのか? もっと連続でいき続けないと四刻(約四時間)などすぐにやってくるぞ」
「く、くそう……」
孫空女が顔の前の給餌器に口を飛びつかせた。
ごくごくと流れ出てくるものを飲み干していく。
すぐに孫空女の身体が真っ赤になり、大量の汗が流れ出した。
そして、また身体を仰け反らせて、二度目の絶頂をした。
転送された愛液で杯の中の粘性物の嵩が少しだけ増える。
「……ふふふ、さて、誰が最初に仲間を見捨てて屈するのであろうなあ……。痒みに耐えられずに宝玄仙が取っ手から手を離すのか。淫情に耐えられずに朱姫がついに絶頂するほどに股間をまさぐってしまうのか。はたまた、孫空女の体力が尽きるのか……。言っておくが、三人とも座るではないぞ。座り込めば、それだけでほかのふたりを殺すことになるからな。どんなに苦しくても立ち続けることだ。その責め苦を続けながらな……」
黄眉は言った。
しかし、もう、三人には黄眉の声も聞こえてはいないようだ。
それにしても、どの女が先に音をあげて仲間を見捨てるのか……。
痒み責めにより、すでに狂気の様相を呈し始めている宝玄仙──。
大量の媚薬を摂取させられてお預けを強要されている朱姫──。
体力の限界を超えることがわかっている連続自慰をさせられている孫空女──。
誰が最初に屈服して、仲間を見捨てるのか……。
もしも、明日の朝まで三人とも耐えきったら、今度は、ひとりだけ助けると条件を変えるのも面白いかもと、ふと思った。
仲間思いの三人のようだが、それにより別のものが現れるかもしれない……。
三人の苦悶の姿を眺めながら、黄眉は部屋の真ん中にある揺り椅子を寄せてくるとそれに深々と腰掛けた。