「……ここに筆と棒があります。どっちで責めてもらいたいですか、ご主人様? まずは選ばせてあげますよ」
沙那がにんまりと笑った。
「うう、た、竹鞭を……」
仕方なく、宝玄仙は歯を喰い縛りながら言った。
気が狂うほどの痒みなのだ。
せめて、竹で打たれれば、ちょっとでも気が紛れるだろう。
少なくとも、筆でくすぐられるよりはましだ。
とにかく、こいつらは今夜は、宝玄仙を悪夢から解放させるという大義名分を得て、徹底的に自分をいたぶり抜くつもりに違いない。
沙那にしても、孫空女にしても、すっかりと目が座っている。
それにしても、このふたりがこれだけの嗜虐女になりきれるとは知らなかった。痒み責めにもがき苦しむ宝玄仙を動じることなく、じっと眺め続けるふたりの顔には、完全に悦にこもったものがある。
おそらく、とことん追い詰めるまで、責め手を緩めることはないように思った。
いずれにしても、痒い。
だが、頭上に吊られている両腕は下ろすことができないように、鎖で天井に引きあげられているし、膝立ちの両脚は、孫空女の如意棒がしっかりと両膝を固定している。宝玄仙の力では、重い如意棒をびくともさせることもできない。
この状態で、道術を封じる首輪を嵌められてしまったのだ。
さすがの宝玄仙もどうしようもない。
「ふふふ、孫女、ご主人様は竹鞭がいいそうよ」
沙那がくすくすと笑った。
「わかったよ、ご主人様、後で道術が復活したら、傷は自分で癒してね」
孫空女が竹鞭を一閃させて、宝玄仙の尻たぶをばしりと打ち放った。
「ううっ」
目の覚めるような一撃だった。
なんとか悲鳴は飲み込んだが、その痛みが皮膚の下まで染み込んだ痒みを忘れさせてくれた。
その快感に、宝玄仙は我を忘れるほどの快感を覚えた。
「じゃあ、次はこれですね」
沙那が筆でさわさわと股間をくすぐりだした。
しかも、痒みの頂点のようになっている肉芽や女陰そのものには触れずに、その寸前をくすぐるように動かしてくるのだ。
宝玄仙は今度は悲鳴をあげた。
「や、やめておくれっ」
思わず、汗びっしょりの顔と身体を揺さぶった。
「いつも、わたしたちをしつこく調教をなさるご主人様じゃないですか。こんなことで音をあげちゃ駄目ですよ」
沙那がからかうような物言いをしながら、筆を局部で動かし続ける。
「ああっ、そ、それよりも、竹鞭を──。竹鞭をおくれったら──」
「こうかい?」
孫空女が宝玄仙の乳房に鞭を喰い込ませた。
「はああっ」
今度は全身を走った快美感に、思わず甘い声をあげてしまった。
「可愛い声を出されるんですね」
すると、沙那がたったいま孫空女の竹鞭が炸裂した場所をなぞるように、そこに筆を動かしてきた。
激痛で敏感に敏感になっている乳首に、筆を這わされて、宝玄仙が気が狂うようなくすぐったさを覚えた。
「んひいいっ」
しつこく筆を動かされて、宝玄仙は全身を弓なりにして泣き叫んだ。
「も、もっと、もっと続けておくれよ、孫空女」
宝玄仙はそう叫ばずにはいられなかった。
すると、孫空女が真横の位置から前側に回ってきた。
「じゃあ、竹鞭で股間をぶっ叩くよ。それでもいい?」
孫空女が宝玄仙を見て微笑んだ。
宝玄仙はぞっとした。
怖い……。
さすがに股間そのものを叩かれるのは、怖ろしいほどの恐怖だ。
しかし、このままじゃあ、痒みで気が狂うことも確かだ。
宝玄仙には選択肢などない。
「あ、ああ……。い、いい、やっておくれ──」
宝玄仙は頷いた。
沙那が場所をあけ、孫空女の竹鞭が振り下ろされる。
「んぎいいいっ」
孫空女の竹鞭は寸分違わずに、宝玄仙の肉芽そのものを引っぱたいた。
脳天を貫く激痛が走る。
「もう一発だよ」
間髪入れずに、孫空女は、振り下ろした竹鞭を今度は下から上に向かって跳ねあげさせた。
今度も肉芽だ。
「はがあああっ」
宝玄仙は白目を剥きかけた。
そのくらいの痛みだった。
我に返った。
気がつくと、じょろじょろと小便を漏らしてしまっていた。
寝台の敷布が宝玄仙の尿でぐっしょりと汚れていく。
「あらあら、明日は、宿の主人に洗濯代を追加で支払わないといけませんね……」
沙那が笑った。
そして、視線を孫空女に向ける。
「鞭はもう十分じゃない。きっと、もう、ご主人様は満足されているわ」
沙那が筆を孫空女に渡している。孫空女も竹鞭を置いて、筆に持ち替えた。
「ま、満足してない。も、もっと鞭をおくれよ。気持ちいいんだよ。もっとだよ。もっとくれないと、あとで折檻だよ、孫空女」
宝玄仙は必死で言った。
凄まじいとしか言いようのない痛みだが、痒みが消えていく快感は身体が蕩けるほどだ。もっと打って欲しい。
「えっ、折檻?」
すると、その言葉に、孫空女がびくりと反応した。
「孫女、だめよ──。とことんするのよ。それに、どうせ折檻は覚悟のうえじゃない。ご主人様が後で、わたしたちをお仕置きなされないはずはないわ」
沙那がすかさず言った。
すると、孫空女は「そうだね」と再び腹を括った表情に戻ってしまった。
「じゃあ、あたしも参加しよう」
筆を持っている孫空女が宝玄仙の背後に回る。
「ひ、ひいいっ、ひいいっ」
宝玄仙は身体を伸びあがらせて奇声をあげてしまった。
沙那が前から股間を責めているのと連動して、孫空女が尻の亀裂に添って筆を動かしだしたのだ。
がくがくと震えを走らせだした宝玄仙の腰を前後からふたりが責める。
すぐに、宝玄仙の口から、あまりの切なさに、荒い鼻息が洩れるようになっていた。
「じゃあ、いきますよ」
沙那が声をかけた。
なにをするのかと思ったら、舌を宝玄仙の肉芽を這わせだした。
「あああっ」
宝玄仙は火がついたような声を張りあげた。
「じゃあ、あたしもいくよ」
背後の孫空女の筆も離れた。
すぐに、尻たぶがぐいと力強く割られて、孫空女の舌が宝玄仙の尻穴にすぼめられて入ってくる。
さすがに前後からの舌責めに、宝玄仙はなにも考えられなくなり、拘束されている裸体を激しく震わせた。
ふたりが舌をしつこく動かす。
どんどんと快感が上昇する。
そのうちになにも考えられなくなった。
「あううううっ」
そして、ついに宝玄仙は、気をやってしまった。
頭が真っ白になるような凄まじい絶頂だった。
宝玄仙はここまで深く絶頂したことなど、初めてではないかと思ってしまった。
責めそのものは、痒み責めと筆責めと舌責めというありきたりのものだ。だが、沙那と孫空女に責められているということが、宝玄仙をして、ここまで被虐に酔わせてしまったのかもしれない。
宝玄仙はしばらくのあいだ、喋ることもできないくらいに脱力して、腕の縄に身体を預けるようにしてしまった。
少しの時間が経った。
寝台の下でごそごそと何かをしていると思っていた沙那と孫空女がふたりで寝台にあがってきた。
ぎょっとした。
ふたりとも張形を持っている。
しかも、その張形にはたっぷり油剤が塗られていた。
それが、さっきの随喜油であることは明らかだ。
「さあ、次はこれですよ。まだ、奥が痒いですよね。これで弄ってあげましょうか?」
「あたしもこれでね。どこを悪戯されるかわかるよね、ご主人様」
沙那と孫空女がにんまりと微笑んだ。
痒み剤を足されるということに、宝玄仙は流石に顔を蒼くしてしまった。
だが、宝玄仙の返事を待たずに、沙那は陰毛を割るように、ぐいと女陰に張形の先をねじ込ませた。
「ああっ」
宝玄仙は無意識のうちに、その張形の先端に腰を押しつけて、自分で揺さぶってしまっていた。
確かに、奥が痒い。そこは竹鞭などで癒されないし、舌も届いていない。ずっと放置されて、狂うような掻痒感に疼ききってるのだ。
だが、さっと沙那が張形を引く。
「入れて欲しいかと訊いているですよ、ご主人様」
さらに張形の先で沙那がなぞる。
だが、宝玄仙が腰を突き出そうとすると逃げてしまう。宝玄仙はいよいよ、焦れったさに泣き叫びたくなった。
「上手だなあ……。沙那、すごいねえ」
孫空女が感嘆の声を洩らした。
すると、沙那が真っ赤な顔になる。
「そ、そんなこと言ってないで、あんたもご主人様を責めるのよ」
沙那が声をあげた。
孫空女が慌てたように、再び背後に回った。
「も、もう許しておくれ……。わ、わかったよ……。入れておくれ」
宝玄仙は観念して言った。
すると、痒み剤を潤滑油にした張形がねっとりと、前後の穴に突き入れられた。
「ほおおおっ」
宝玄仙の身体は押し込まれるままに、二本の張形を受け入れていく。
その二本がゆっくりとした律動を開始する。
滑らかな前後運動から与えられるあまりもの愉悦に、宝玄仙は我を忘れた。
「あっ、あああ……いいいっ、いああ……」
掻痒感の消えていく気持ちよさに加えて、性感を強く刺激される快感に、宝玄仙はなにも考えられずに、甘い声を洩らせた。
「もっといい声で泣いてください、ご主人様……。わたしたちはご主人様の奴隷ですが、今夜は、ご主人様がわたしたちの奴隷です……」
沙那が張形を操りながら、耳元でささやく。
その張形は深々と子宮の入口まで貫いたかと思うと、大きく揺さぶられて、すっと引いては入口を拡げるように円を描き、そして、また奥に入るというようなことをして、宝玄仙を翻弄する。
一方で、孫空女の張形は単純な前後運動でありがならも、宝玄仙を崩壊させるような圧倒的な快感を宝玄仙に送り込んでくる。
「ああ、ふうっ、ほおおっ」
ふたりの抽送に突きあげられるままに、宝玄仙はぶるんぶるんと身体を悶えさせながら、嬌声をあげ続けた。
股間と尻穴を引いては押され、押されては引かれることによって生み出される途方もなく峻烈な快感に、宝玄仙は甲高い悲鳴をあげるしかなかった。
その肉が溶けるような気持ちよさに、愉悦の溜息を吐き続ける。
これだけの気持ちよさ……。
本当に、こいつらの奴隷になってもいいかも……。
いま、この瞬間は心の底からそう思っていた。
「ご主人様がまたいきそうだよ、沙那」
孫空女の声が聞こえた。
「徹底的に疲れさせるのよ。とにかく、死んだように眠るにはそれがいいんだから」
沙那が言った。
そして、沙那側の張形の速度が激しいものに変化する。
孫空女の方は一定の速度を保っているが、それに伴って快感が一回の抽送ごとに倍にないっていくかのようだった。
「いくときには、いくというんですよ、ご主人様」
「は、はい」
思わず敬語を使ってしまっていた。
沙那がさらに律動を加速させる。
それに伴って、快感が膨れあがる速さも一気に上昇する。
「ふうっ、あああっ」
押しあげられるままに、さっきよりも大きな快感のうねりに襲われた。
宝玄仙は大きく腰を揺らせた。
「ううう、いくうっ、いぐううっ」
悲鳴のような声とともに、宝玄仙は絶頂の頂点に昇りつめた。
二本の張形が抜かれて、がくりと項垂れたものの、絶頂の余韻に宝玄仙が浸れたのは、ほんのちょっとだった。
掻痒剤を塗られていた張形を受け入れていた宝玄仙の前後の穴は、当然のように新しい痒み剤が染み込み、さっき以上の痒みが沸き起こっていたのだ。
「ううう、か、痒いいっ、痒いよお……。続けて、続けておくれよう」
宝玄仙はすぐに身体を揺すって泣き叫んだ。
「いいですよ……。身体がバラバラになっても知りませんけどね」
沙那はさっき抜いたばかりの張形にまた新しい痒みの油剤を塗りたくっている。
孫空女も同様だ。
ふたりがかりの責めがまた再開する。
宝玄仙が絶頂に達するのに、こんどはいくらもかからなかった。
「ふふふ、今度はご主人様が自分でやってください」
三度目には沙那と孫空女は張形を入れっぱなしにして、まったく動かしてくれなかった。
「はじめ──」
沙那が叫んだ。
宝玄仙は狂ったように腰を使い始める。
「ううう、ああああっ」
腰を自ら動かすことによって、獣のような声が迸るとともに、淫靡な水音が大きな音を股間で響かせている。
まるで甘美感が滝のように流れ進んでいく。
そのまま溶けるような気持ちよさだ。
「ああ、気持ちいい──」
突きつける愉悦の連続に、宝玄仙は絶叫した。
「おあずけ──」
すると、突如として沙那が耳元で怒鳴った。
なにを言われたかもわからなかったし、それよりも、この快感で死んでしまいそうだった。
「孫女、抜いて──。すぐに──」
沙那が叫んだ。
ふたりの張形がさっと抜かれる。
宝玄仙の身体にすぐに発狂するような痒みが襲いかかる。
「な、なにすんだよ──。痒いよお──。痒いったらあ──」
宝玄仙は腰を振って叫んだ。
しかし、張形が抜かれてしまったいまとなっては、痒みを癒してくれるものはなにもない。
「おあずけといったら、身体をとまらせるんです。いうことをきかないと放置ですよ」
沙那が厳しい口調で言った。
「……沙那、なんか人が違ったみたいだよ……。すごいね……」
孫空女が感心した声を出している。
「そ、そんなことはいいのよ──」
一瞬沙那が恥ずかしそうな顔になった。
「じゃあ、罰として、しばらくそうやって、反省してください。痒み剤を足しますね」
沙那によってまたもや前後の穴に痒み剤を押し込まれた。
そして、放置される。
宝玄仙はあまりの痒みの苦しみに、涙を流して哀願した。
沙那たちが張形責めを再開したのは、かなりの時間がすぎてからだった。
すぐに恐ろしいほどの速さで絶頂がやって来た。
「ふうっ、ああっ、ああっ」
切羽詰まった息遣いとともに、宝玄仙は我を忘れて小刻みに腰を振り続けた。
「おあずけ──」
沙那がまたもや叫んだ。
宝玄仙は腰の動きをとめた。
今度、またもやさっきの放置責めをされると本当に狂う。
宝玄仙は必死になって、張形が挿し込まれている腰の動きをとめ続けた。
「よくできましたね、ご主人様……。さあ、いってもいいですよ」
沙那が優し気な声をかけると、今度は沙那自ら張形を前後してくれだした。
「はああ」
宝玄仙はあられもなく、奔放な悲鳴をあげて、大きな絶頂に駆け巡った。
がくがくと腰を揺すって、宝玄仙はがっくりと脱力する。
すると、沙那から乳首を思い切り抓られた。
「んぎいいっ、な、なんだよ──」
「誰が休んでいいと言いました? いきまくってください。やめというまで、やめてもだめです」
沙那が張形を動かしだす。
宝玄仙は愕然とした。
たったいま達したばかりの身体が、またもや絶頂寸前まで引きあがったのだ。
自制しようとしてできない腰の動きがまた始まる。
「今度はお尻だけで達してもらおうよ」
孫空女が後ろから言った。
「そうね。じゃあ、二度続けてお尻で達してください。それから、前で二回。それが終われば、縄を股間に喰い込ませますから、それで自慰をしてもらいますね。それが終わったら、ご主人様の身体の点検を筆でします。反応のあった場所には媚薬をぬってあげます」
沙那が張形を抜いて語りだした。
お尻の穴に入っている張形を上下に擦りながら、宝玄仙は、そんなにやったら死んでしまうと、心の底から思ってしまった。
*
身体が熱い──。
全身に塗られた媚薬は、まるで身体中に虫がはいずるような異常な触感を与えている。
虫に感じるのは、宝玄仙の身体に流れる血液だ。拘束された宝玄仙の体内に血が走るたびに、そこに異常な熱を帯びた虫が這いずるのだ。欲情の塊りが、暴れ回っている。
疼く──。全身が疼く──。苦しい──。
その苦しみが快楽になっている。
ただ呼吸をするのでさえ、それが身体のどこかの情欲に結びついてしまう。
それは、沙那と孫空女に塗りたくられた媚薬のせいだ。
正直に言えば、屈辱感はそれほどでもない。
ただ、驚いている。
沙那や孫空女に、自分が心配をされているとは思いもよらなかった。
このところ、どういう理由なのかわからないのだが、封印したはずの
それをこのふたりなりに心配し、今夜は徹底的に宝玄仙を疲れさせて、安眠させるのだという。
うっかりと受け入れたものの、道術を封じる道具まで準備しついて、何度も痒み剤を塗った張形で自慰のような絶頂をさせられ、いまは、さらに全身に痒み剤を塗られ、四肢を広げて拘束されて、放置をされている。
かなりの嗜虐者ぶりであり、宝玄仙もふたりの責めにたじたじだ。
それにしても……と思う。
あいつらは、いつから、こういう追い詰め方ができるようになったのだろう
。
「そろそろ、気分がでてきましたか、ご主人様……?」
沙那が耳元でささやくとともに、突然、耳に息を吹きかけてきた。
「くうっ」
「ご主人様、気がついていないかもしれないけど、さっきから胸と腰をいやらしく振るわせているよ」
孫空女の息も反対側から吹きかけられる。宝玄仙は、身体を震わせた。
「ふ、ふ、ふ……」
それと同時に、急に笑いが込みあげてる。
「ど、どうしたんですか、ご主人様?」
沙那の呆気にとられたような声が返ってきた。
「そ、そうだね。なかなかの言葉責めだと思ってね……。つい、この間までは、男どころか自慰も知らないお嬢ちゃんだったのにねと思ってね、沙那」
「ご主人様が、教えてくれたんですよ……。どこをどうやれば、気持ちよくなり、どんな風に語りかければ、屈辱を人が感じるか……。そして……」
沙那の手が宝玄仙の股間に触れた。宝玄仙は思わず声をあげた。
「その屈辱が、どんな風に身を焦がすような快楽に繋がるかを……」
「あっ、ああっ──あふうっ──」
沙那の控えめな股間への愛撫が、焼けただれたように熱い宝玄仙の陰部をさらに熱くする。
「ずるい、あたしも……」
孫空女の指が沙那の指に加わった。
「ああっ──、いくっ──、いくよっ──」
たちまちに頭の中のものが消えた。あとはかすみのようなもやもやがあるだけだ。それが、どんどん増えていく。
そして、膨れあがる──。
膨張する──。
なにかが爆発する──。
しかし、沙那と孫空女もわかっている。宝玄仙の絶頂寸前で宝玄仙の股間から手を離す。そして、手を両側の内腿に動かして、宝玄仙の身体がとろ火になるのを待つ。
自分が「玩具」にした女たちに翻弄される。それは屈辱だ。だが、その屈辱がどろりとした快楽に繋がる。屈辱が全身を貫く興奮に変わっていく。
苛められたい……。
この沙那と孫空女から責められたい……。
このふたりから気も狂うような屈辱を与えて欲しい……。
「ご主人様、もう、いきたいですか?」
沙那がささやいた。
「ああ、もういきたいよ……。お前たちの手で昇天させておくれ……」
「どうしようかなあ……。でも、少しでも……長く……。もう少しご主人様が、そうやって乱れるのを見るのもいいなあ……」
沙那が右側から身体を重ねてきた。自分の乳首で宝玄仙の乳首を愛撫する。
そして、孫空女も左側から宝玄仙に身体を重ねて、自分の乳首で宝玄仙の乳首を弾く。両側からふたりの指が宝玄仙の股間を襲ってきた。
「ああっ……ああっ──ご主人様──」
「気持ちいいよ、ご主人様──。今夜は、何度でもやってあげるね」
自分の乳首を刺激しはじめた沙那と孫空女がそれぞれに感極まった声を出す。そして、ふたりの息遣いも興奮したものに変わっていく。
「ああっ……このまま、いか……せておくれ、お前たち……。ねえ、もう、いいだろう……?」
孫空女が宝玄仙の太腿を自分の股を挟んだ。沙那もまた、反対側から宝玄仙の肢を股で挟む。そして、激しく擦り合せている。宝玄仙の股間を愛撫しながら、宝玄仙の肢と乳房に自分たちの股間と乳首を擦りつけて自慰をしている。
宝玄仙は迸る快感に身を委ねたかった。なにも考えない。ただ沙那と孫空女に身を委ねたい……。
沙那と孫空女の声と呼吸が荒くなっている。
「ま、まだです、ご主人様──。三人で一緒にいきましょう。……ああ、あっ……孫女、一緒にいこう──」
「あ、あたしは、いつでも……いいよっ──」
孫空女が吠えるように叫んだ。
「じゃ、じゃあ、いってください、ご主人様。浅ましく声をあげながらいってください──」
沙那は興奮したように宝玄仙の身体に自分の身体を重ねあわせて、激しく揺り動かしている。孫空女も汗まみれの身体を宝玄仙に押し付けてくる。
「いくよ──、いくよ──、ああっ──、いくうううっ──」
真っ白なものが宝玄仙を包んだ。
宝玄仙の声に沙那と孫空女の吠えるような嬌声が重なる。
気持ちいい──。
それしか、考えられない──。
とにかく、気持ちいい。
沙那と孫空女の悲鳴のような嬌声が聞こえる。
ふたりの快感が伝わってくる。
長くいつまでも続くような嬌声――。それが、沙那と孫空女の感極まった声を重なる。
あまりにも甘美で激しい高揚感だった。
宝玄仙は、その痺れるような快感にいつまでもひたり続けた。
しばらくすると、まだ、余韻の残る宝玄仙に沙那が唇を重ねてきた。
「まだまだ終わりませんよ、ご主人様──。さあ、口を開けてください。わたしの唾液を飲んでもらいます」
宝玄仙は口を開けた。その口の中に、沙那が自分の唾を注ぎ入れる。
「まだ、唾を飲んだじゃ駄目だよ、ご主人様。あたしのも受け入れて……。そしたら、全部飲むんだよ──。ご主人様、命令だからね」
孫空女が言った。
宝玄仙の唇が孫空女の唇と重ねられる。混ざり合った沙那と宝玄仙の唾液に孫空女の唾液が重なる。
「飲んでいいよ、ご主人様」
宝玄仙は口の中にあった三人の唾液を飲みくだした。
「これから、わたしと孫空女は、体力の続く限りご主人様を責めます。ご主人様、覚悟はいいですか?」
「そうだよ、ご主人様──。これから、なにか嫌なことを思い出しそうになったら、今夜のことを思い出してよ。『玩具』に苛められた今夜のことをさ──」
孫空女がそう言いながら、また唾液を宝玄仙の口に注いだ。今度は沙那がそれに自分の唾液を追加する。三人の唾が十分に混ざったところで、宝玄仙はそれを飲み干した。
「わかったよ……。今夜は、この宝玄仙をめちゃくちゃにしておくれ──」
宝玄仙は言った。
このふたりの気持ちはわかった──。
ただ、主従関係だけはしっかりとしておく必要があるだろう……。
もちろん、このままで済ませる宝玄仙ではない。
一方で、再びふたりの激しい愛撫が始まった。
たまらない快感に、宝玄仙のすべての思念は吹き飛んでしまった。