390 若妻を襲う強姦魔
「ただいま帰りました……。申し訳ありません。遅くなりました……」
しかし、返事はなかった。
気にすることもなく、さらに土間で履物を脱いで内扉から居間に入る。
居間のほかにはさらに奥に部屋があり、ほかには小さな台所がある。
広くはないが夫と二人暮らしとしては十分な大きさだ。
外はすっかりと暗くなっていたが、室内は灯りがともされていた。
居間に足を踏み込んだところで、鼻の下にさっとなにかを当てられた。
「奥さん、ちょっとでも動くと、その鼻が落ちるぞ。その場に静かに座れ」
「な、なんですか……? い、一体……」
「ただの強盗だ。逆らうとすぱっと行くぞ」
「ご、強盗……? お、夫は……、夫はどうしたのです?」
「それ以上の質問はなしだ、奥さん。その場に座れ。二度は言わないぞ……。ゆっくりとだ。静かにその場にしゃがむんだ」
鼻の下に当てられているのは剃刀の刃のようだ。
鋭敏な刃の匂いまで感じる程に鼻の下に刃を近づけられた。
陳女が言われたとおりに床にしゃがみ込むと身体の前に紐束が放り投げられた。
「まずは、胡坐をかいて足首を結びあわせろ。手を抜くなよ。しっかりと結んでなければすっぱりといくからな」
「さ、逆らわないわ……。だ、だから刃をどけて」
背後から向けられている刃は陳女の鼻の下に密着するように置かれている。
背後の男が陳女の鼻を削ぐのにほんの少し手を動かすだけで足りるだろう。
「足首を自分で縛るのが先だ。さっととやれ……。胡坐くらい知っているだろう、奥さん?」
陳女は膝を畳んで座っていた脚を前側に移動させると膝を左右に開いて胡坐にかく。
下袍の裾が乱れて膝までめくりあがっていた。
陳女が躊躇するのを注意するかのように、鼻の下の剃刀がぴくりと動かされる。
陳女は紐束を解いて、その細い紐で自分のくるぶしを重ねるように紐をかけた。
そして、男の指示に従い、さらに束ねた縄を割るように紐を縛る。
すっかりと胡坐縛りになった陳女の脚は、ほとんど動くに動けない状態になる。
すると今度は手錠が投げられた。
「左の手首だけで手錠をかけて、両手を背中に回せ」
陳女が言われた通りにすると、男の剃刀を当てていない手が陳女の右手首を握る。
そして、左手首に嵌めた手錠の反対側の枷をその右手首にかけた。
やっと剃刀をどけてもらえた。
「いい子だ……。さて、じゃあ、美人で評判の奥さんの顔を拝ませてもらおうかい」
男がそう言うと陳女を自分の膝の上に仰向けに倒した。
自分を抱いている男は顔に覆面をしていた。
黒い袋のようなもので首から上をすっぽりと覆って、眼と口の部分だけがくり抜かれている。
「あ、あなたはいったい誰……? お、夫はどうしたんです?」
「誰と言われても名乗る程のものじゃないがね。まあ、あんたを犯しにやってきた強姦魔ということかな……。あんたの旦那はちょっとした場所に監禁している。ちょっとばかり、あんたの身体を愉しませてもらえれば、俺は大人しく帰りあんたの旦那を解放する……。だが、逆らえば……あるいは、俺が朝までに棲み処に戻れなければ、あんたの旦那は明日の朝には屍体になって、城郭に流れている川に浮かぶことになる」
「あ、ああ……言うことをきくわ。だから、夫だけは……」
陳女は哀れな声をあげた。
「なら、証拠を見せな……」
男がいきなり陳女の唇を吸ってきた。
不意を襲われるかたちになり、陳女は思わず身体を緊張させた。
男の舌が陳女の口の中に入ってくる。
まるで口の中を犯すような口づけだ。
男の舌とともに入ってきた唾液は陳女の唾液と混ざり合い、それが男に吸われて男の口に入り、また男の唾液が足されて陳女の口に注がれる。
それが繰り返されるともに、陳女は舌の上下を舐められ、口中のあちこちを舌で刺激された。
男の執拗な口づけを受けるうちに、陳女はなんだか朦朧となっていく自分を感じていた。
口の中が性器になったかのようだった。いつの間にか、男が強盗だという話を忘れて自らも男の口を吸っていた。
「すけべえな奥さんだな……。そんなに俺の舌が気持ちいいかい?」
男が陳女の口を離して言った。
陳女ははっとするとともに、自分の顔が赤らむのを感じた。
「さて、じゃあ、今度はもっと愉しいことをしてやるよ」
男が別の紐を取り出すと、陳女が自ら縛った足首の結び目の部分にその紐を結んだ。
そして、紐の陳女の首の後ろに回して、ぐいと上体を足首に向けるように引き絞ると結び目をまた足首の縄に縛る。
「あっ」
突然の窮屈な姿勢が苦しくて、陳女は思わず悲鳴をあげた。
だが、次の瞬間、男は陳女の身体をそのまま仰向けに突き倒した。
「ああ……な、なにをするんですか──?」
陳女は絶叫した。
思いもかけない羞恥の姿勢だった。
身をもがくが、しっかりと結ばれた足首は当然びくともしない。
後ろ手を空しく動かすが男が身体を支えているので、陳女は身体を起こすことができないでいた。
陳女の下袍は完全にめくりあがり、下袍に包まれた白い下着が上を向いて露わにさえてしまった。
「こ、こんなの酷いです……。戻して、戻してください」
陳女は哀願の言葉を口にする。
だが、その陳女を男が嘲笑った。
「これはなんの染みなんだ、奥さん? しっかりとさっきの口づけで感じてしまったのかよ。お前の下着の中心には、なんだが丸い染みのようなものがはっきりとできているぞ」
「そ、そんなわけはありません。嘘を言わないでください」
陳女は全身が羞恥で明らむのを感じた。
さすがに明るい灯の下で股間を観察されるように股間を凝視されるのは恥ずかしすぎる。
「嘘であるものかい。じゃあ、これはなんだい?」
男の指が股間の中心にぐいと当たられてくるくると回された。
「あはあっ……ちょ、ちょっと、そ、それは……」
陳女は悲鳴をあげた。敏感な股間の部分が木綿の布に擦られて、びりびりと電撃が走ったように感じた。
たちまちに大きな疼きが湧き起こり、それが全身に気だるいような脱力感を与えてくる。
「お、お願い……。そ、そんなに、し、しないで……」
陳女は快感を隠すことができずに身悶えた。
指先が感じるのだ。
陳女が反応しているのに気をよくしたのか、男は嵩にかけて陳女の無防備な股間を刺激してくる。
拘束されて窮屈な姿勢を強いられている陳女には、それを防ぐ手段もなく、ただ与えられる快感をまともに受けるしかなかった。
たちまちに陳女の身体は大きな官能の波が渦巻いた状態になった。
深みと動きをましてきた男の指は、陳女の股間の一部分だけを執拗に這わせ続ける。
おそらく、そこが陳女の下着の濡れている部分なのだろう。
「どうしたんだ、奥さん。恥ずかしくないのかい。こんな見知らぬ男に股間を弄くられて甘い声で泣くなんてな……。これはどうだ? 旦那に悪いと思うなら耐えることだ……。ほら、なら、こんなのはどうだ……?」
男の手管が変わった。
指先で股間の敏感な部分を弄るのではなく、手のひらを使って局部全体を押し揉むように動かしてくる。
陳女が弱い責めだ。
たちまちに大きな愉悦が湧き起こる。
陳女は男の手が動くたびに悲鳴のような嬌声をあげて、五体を小刻みにわななかせながら身体を左右に動かした。
「お、お願い……そ、それは……よ、弱いの……」
陳女は思わず叫んだ。
「おいおい、まだ、前戯程度の刺激だぞ、奥さん……。美人の癖に随分と溜まってたんじゃねか。旦那はちっともやってくれないかい……?」
「しゅ、主人は毎日抱いてくれます……。あはあっ……」
陳女の抗議の言葉も男の愛撫に遮られた。
しばらくの間、激しく股間を揉み肢しだれて、陳女はいよいよ切羽詰った状態になった。
「も、もう……」
陳女は感極まった声をあげた。
もう達しそうだ……。
しかし、男は陳女の身体の反応をぎりぎりのところで見極めて、さっと股間を愛撫する手を留めた。
そして、うつ伏せだった胡坐縛りの身体を今度は元の状態にされた。
男は今度は陳女の背後にまわり、陳女を抱き起こすと陳女の首を背後から責めるかたちにさせた。
さらに、股間を苛んでいる手とは反対側の手で陳女の胸を揉み始める。
胡坐縛りにされていて、両手も後手縛りの陳女はただされるままになるしかない。
男はそうやって陳女の身体に張りつくようにまとわりつくと、陳女のうなじや耳に舌を這い回せてくる。
肉体に湧き起こる官能の火に自分の身体が包まれるのが陳女にはわかった。
「ああっ、だ、だめえ……いけません……ゆ、許してください……」
自分の股間から淫らな音が聞こえだすと、陳女は男に向かって憐れみの言葉を発した。
「さて、じゃあ、もう一度奥さんの下着を丸出しにさせてもらうかな」
男が再び陳女をさっきの仰向けの姿勢に引き倒した。
自分の履いていた下袍がまた逆さまにはだけて恥丘の中心を男の眼に晒したのがわかる。
「こりゃあ、酷いものだな。下着越しにもはっきりとわかるようなびしょびしょじゃないかい……。亭主以外の男に触られて、こんなに濡らすなんて恥ずかしくないのかい、奥さん」
男がまた陳女の無防備な陳女股間を責め始める。
「も、もう、言わないで……あ、ああっ……」
また股間の中心を弄くられて、陳女ははしたない大声を出さされてしまう。
「これがなにかわかるかい、奥さん?」
男が陳女の眼に見えるように一本の鋏を取り出した。
はっとした。下着が切られる。
陳女は動揺してしまう。
この状態で鋏て下着を切断されて羞恥の源泉を晒け出せばなにをされるのかわかりきっている。
「そ、そんな……」
「どうしたんだ、奥さん。そんな取り乱したような声をあげて……、たかが、鋏じゃないか。別に奥さんの肌をこれで傷つけようとかいうんじゃないぜ……。まあ、奥さんがそうして欲しいなら別だがね」
男がそう言って笑いながら、陳女の下着の股間部分に鋏の刃を入れてさっと切り込みを入れた。
陳女は自分の股間に外気が当たる感触がわかった。
「ああ……」
「おう、なかなか破廉恥そうな穴じゃないか。それに、びしょびしょだ。これなら、前戯なんかいらねえなあ」
男が仰向けだった陳女の身体を今度はうつ伏せにする。
そして、両腕で陳女の腰を支えるように持つ。
いつの間にか男は下半身を露出していた。
逞しい怒張が陳女の股間に近づくのがわかった。
「いやあ、犯さないでえ──」
陳女は声を張りあげた。
「だったら抵抗してみな」
男がせせら笑いながら陳女の女陰に怒張の先端を当てた。
「抵抗しないなら挿すぞ……」
男が言った。
陳女の抵抗を期待しているような気配だ。
しかし、そろそろ陳女も限界だった。
全身を拘束されて弄くられる愛撫は陳女の身体をこれ以上ないほどに燃えあがらせてしまっている。
陳女はもう男の肉棒を期待する心の状態になっていた。
そして、背後から突かれる股間に男の怒張の先端を感じると、思わず愉悦に震える声をあげてしまった。
「はあああっ」
入ってくる……。
男の怒張の先端がゆっくりと入ってくる。
陳女は全身の肉が溶けていくような錯覚を感じていた。
気がつくと自分で腰を激しく左右に振って快感をむさぼるような動きをしていた。
「奥さんよう……。仮にも初めて会った強盗に襲われて、無理矢理に犯されているんだぞ。そんな気持ちよさそうによがってどうするんだい?」
男が呆れたような声をあげた。
「だってええ……」
ついつい甘えた声をだしてしまった。
すると、男が呆れた感じになったのがわかった。
「だってじゃねえよ……」
男が後ろ手くすりと笑った。
再び抽送が再開する。
先端まで達した男の肉棒がさらにぐいと押されて子宮を刺激するように動く。
束の間そのままの圧迫感を維持したまま、股間と股間が密着している部分を擦り動かされる。
「いや、いやっ、いやっ、いやああっ……」
陳女は襲ってきた激しい絶頂感に身体を激しく震わせた。
しかし、陳女をからかうかのようにぎりぎりのところで男が突くをのやめて、今度は抜き始める。
「はふううう……」
今度もゆっくりだ……。
だがこれも気持ちがいい……。
なんという甘美な時間なんだろう
「本当にお前はこれが好きだな、陳女……。このゆっくりとした動きがいいんだろう?」
男がからかうような声をかけてくる。
意地悪でやっているのだ。
男が陳女が望むよりもずっと遅い速度で怒張を抽送させてくる。
陳女にはそれがわかる。
「ううっ……い、意地悪しないで、ちゃんとしてくださいっ、あなた」
陳女はもどかしさに我慢できずに首を左右に振って叫んだ。
「こらっ、陳女……、強盗に強姦されているのにちゃんとしてはないだろう」
男……、つまり、強盗のふりをしている夫が笑った。
だが、相変わらず陳女の女陰を突く速度はゆっくりとしたものだ。
陳女はこの責めに弱い。
激しい快感があっという間に襲うのも堪らないが、それよりもまして、いま夫の
これをされると陳女はただの一度の絶頂で、通常の性交の数回分の絶頂をしたような気になる。
しかも、それをひと晩で何度も受けるのだ。
それがいまは、
この速度の遅い抽送による責めに陳女は弱かった。
これが始まると耐えることができなくなって陳女は狂乱する。
陳女が陳達によっていき狂う様が夫にとっては愉しいらしい。
結局、陳女はこの責めで限界を越えて達してしまい、最後には陳女が完全に失神して終わる。
それが陳女が毎夜繰り返している夫との性交だった。
陳達を夫にして二箇月以上が経っていた。
この間ずっと、ほぼ毎日陳達に抱かれている。
普通に抱かれることもあるが、陳達は縛って抱くのが好きなので、こうやって縛られて抱かれることも多い。
今夜は、さらに変化をつけて、ふたりで話し合って、陳達が家に押しかけた強盗という設定で抱かれて遊んでいるのだ。
こういう「ごっこ遊び」で、陳女自身がいつもよりも燃えるのは事実だが、それよりも陳達が別人のようにいきいきとしているのが嬉しい。
普段の陳達はこんなに乱暴な口のきき方もしなければ、こんなに人を見下したような態度は見せない。
「ごっこ遊び」のときだけ陳達が陳女に見せてくれる一面であり、そうやって自分の心の隠れている部分を夫が自分に見せてくれるのが嬉しい……。
陳達を夫として結び合せてくれたのは宝玄仙だ。
脱走囚の長女金だった自分をここに連れてきて、異常に鼻の大きなこの陳達にこの自分を妻にしろと言ったのだ。
そして、陳達はそれに同意した……。
ふたりは夫婦になった……。
陳女というのも、この陳達が付けてくれた名だ。
長女金という名は死刑囚としての名だからだ。
記録の上では長女金という女は死んだことになっているらしいが、処刑を待つ者が晒される結界牢から脱走した女ということがわかれば、長女金は捕えられて処刑されることになるに違いない。
だから、名を変えて生きることにした。
そういう意味では、夫である陳達も同じだ。
陳達もまた、長女金を脱走させたことを理由に捕縛された宝玄仙の脱走に関わり、手配こそされていないが、捕縛される可能性があり、国都を脱してここに落ち着いてきた者なのだ。
長女金は、かつてはこの国の国都の国軍に所属する女将校だった。
だが、二年前に
男囚に犯されるのが当たり前の日々であり、二年の月日の中で見世物のように男囚たちとの性交を晒しながら、いつしか長女金の生き甲斐は、もうすぐ死んでいく男囚たちの心を少しでも自分の身体で癒してあげることになっていた。
死を覚悟するのではなく、すでに死んでいたものと考えていた命だった。
それが夫を持ち、しかも、毎日のように愛してくれる。
こんな幸せを自分のような女が味わってもいいものかと考える。
ただひとつだけ、苦労に近いものがあるとすれば、この毎晩の行為だ。
この異常に鼻の大きい夫の妻になって知ったのだが、この夫は異常に性欲が強いのだ。
考えてみれば、この陳達はあの宝玄仙たち四人を相手して十日の性三昧の日々を送ったことがあるという。
宝玄仙たちの性の深さと激しさと長さは、陳女は、長女金と名乗っていた時代に身体で味わった。
その宝玄仙を含めたあの四人をひとりで十日も相手ができるのだから、おそらく、陳達の精力は人並みの外れたものではないのだろうか……。
普段はこんな男もいたのだと思うほどに優しい……。
それが性交のときには人が変わったように嗜虐的な抱き方をする。
まあ、そんな陳達が陳女は嫌いではなかったが……。
「あふうううっ」
長く続く陳達の怒張の律動に耐えられずに陳女は悲鳴のような嗚咽を洩らした。
本当に気持ちがいい……。
この世にこんなにも幸せで素晴らしい瞬間があっていいものかと思う。
それくらい激しくて深い愉悦の連続だ。
陳達の怒張が出入りをすると、身体も心も溶けるような錯覚にとらわれる。
だが、陳達は陳女の反応が愉しいらしく、いつまでもゆっくりとした律動しかしない。
しかも、一打ごとにひねりや角度を変えながら、陳女の気持ちがいい場所を突いてくる。
「ねえ、お願い……もっとして、もっとして、ねえ、ねえ……」
陳女は床につけられている顔を懸命に捻じ曲げて後ろに向けて叫んだ。
「じゃあ、淫乱な奥さんに奉仕だ」
陳達が愉しそうに言って律動の速度を速めた。
「あ、ああ……あっ、ああっ……ああっ……も、もっと……もっと……」
陳女の身体は嫌がうえにも煽られて熱い炎に燃え狂わせられる。
しかし、陳達は執拗だった。
またしても、陳女が頂上に達しそうになると、その寸前で矛先を外すように急に遅くしたのだ。
やっと絶頂できると信じていた陳女は狂乱した。
「ああ、だ、駄目よ……もっとよ……もっと……」
「じゃあ、次は尻を犯すぞ。お願いだから、お尻を犯してくれと叫べば、いかせてやるぞ、陳女」
陳達が意地悪く言った。
よくは知らないが、やたらに遅い律動も、この巧みに女の反応を見ながら焦らすように責めを逸らすやり方も、宝玄仙たちとの性交で憶えた技のようだ。
いずれにしても、欲情を何倍にも煽られて淫らで灼熱の欲望の塊りのようにされて、最後のひと押しだけをお預けされ続ける陳女には堪らない責めだ。
「お願い……。して……。お尻でやります……。だ、だから、してください──」
陳女は叫んだ。
「お尻でやりますじゃない……。お尻を犯してくださいだ」
「お尻を犯してください──。だから、いまはお情けをください──」
陳女は叫んだ。
するとこれまでで一番の激しい律動がやってきた。
「あはああ……」
腰の中心を襲った歓喜の一撃がきた。
陳女の身体には瞬く間に五体に沁み渡り、総身を砕いて全身を駆け巡っていった。
「い、いくうううっ──」
自分の身体が大きな絶頂に包まれた。
脳髄からつま先まで完全な快感に包まれる。
「も、もっと……もっとください──」
陳女は叫んでいた。
夫の陳達がこのくらいでは満足しないのは知っている。
陳達が精を放つのは、もっと陳女が息も絶え絶えになってからであり、ほとんど意識がなくなった頃のことだ。
女がそういう状態になるまで抱き潰し、それから精を放つのがこの夫は好きなのだ。
だから、この夫を満足させるためには、それがどんなに体力的につらいことであろうとも、ひたすらに気を失う寸前まで夫の相手をしなければならない。
「もっと、ください──」
陳女は叫んだ。
「……次は尻だ、陳女──。そして、また女陰……。そして、尻だ。それを繰り返してするぞ」
陳達が言った。
そして、女陰からまだ怒張のままの肉棒を抜いた。
肛門を犯すためだ。
しかし、すぐに肛門に挿入したりはしない。あらかじめ準備してある油のようなものを陳女の肛門にまぶし始めた。
「ああっ……」
その指で陳女はお尻の粘膜を刺激され、身体を悶えさせながら、また泣くような声をあげた。
幸せだ……。
こんな幸せを本当に自分のような女が得ていいのだろうか……。
鎮まる暇もなく、また燃えあがらせられる胡坐縛りされた身体を打ち震えさせながら陳女は心からそう思った。