「ねえ、口づけさせてよ……」
沙那の頬に頬をつけ、乳房と乳房を重ねあわせるように寄せ、そして、股間の土手と土手を擦り合わせてくる
「い、嫌よ──。な、なに言ってんのよ──」
沙那は叫んだ。
そして、近寄ってくる美麓の唇を賢明に避ける。
すると、美麓は笑いながら、その唇を沙那のうなじに移動させた。
ぞくぞくという官能の疼きに、沙那は甘い声をあげて身体を悶えさせた。
美麓が一層激しく身体を沙那に擦りつけてくる。
そして、裸身全体で身体の敏感な部分を激しく擦られた沙那は、たちまちに官能の芯を燃えあがらせてしまい、悲鳴のような声をあげて全身を震わせた。
だが、その美麓も、いつの間にか余裕のない様子で大きな声をあげて、沙那にぐったりと身体を預けるようにしてきた。
そして、お互いに乳首を弾き合い、接吻をするように合わせた女陰をまさぐり合い続けた。
沙那はいつしか、火に炙られたように全身を熱くさせていた。
毒遣いの美麓……。
この男装の女は自らその二つ名を口にして、自分は殺し屋だと告げた。
おそらくそれは真実なのだろう。
この女が、自分の体液そのものを毒液に変化させることを武器にしている殺し屋だというのは本当に違いない。
自ら沙那の剣先に首を当てて、故意に首の皮を斬った度胸、そして、首から滴る血を見事に沙那の口に飛ばした動きは、美麓が常人ではないというのを推し量って余りある。
なによりも美麓の血を舐めた瞬間に、沙那の身体は砕けるように力を失った。
それこそ、この女が毒遣いの美麓という二つ名に相応しい女傑であるという確かな証しだ。
なんとか偶然に出遭ったこの女殺し屋を味方につけて、
沙那が考えたのはそれだ。
美麓の話によれば、宝玄仙や孫空女や朱姫が、
そして、この小西天から黄眉のいる小雷音までは約一日の距離のようだ。
黄眉──。
人間の美女を殺して剥製にすることを趣味に持つ、大きな霊気を持った亜人だという。
亜人、つまり、妖魔だ。
この地域から西では、あまり、妖魔という言葉は使わず“亜人”というらしい。
その亜人に宝玄仙が捕らえられていれば、少なくとも沙那が駆けつけるまでに、最低三日はその亜人の支配下のままでいなければならないということだ。
そして、その時間は長くなることはあっても短くなることはない……。
もしかしたら、美しい女を剥製にするのが趣味だという黄眉に、宝玄仙たちがもう殺されている可能性もあることはわかっている。
急がなければならないことも認識している。
本当は、いまこうやっている瞬間にも、宝玄仙たちを救いに駆けつけたいのだ。
しかしながら、なんの策もなしに、黄眉の棲み処の屋敷に飛び込んでも、宝玄仙たちを救うことはできない。
沙那が救援の態勢を整えるまで宝玄仙たちが生き延びてくれることは、ただそれを信じるしかない。
だから、沙那なりになんとか、この美麓を味方にしようとしているのだ。
美麓というのは、それなりに情報も持っているし、只者ではない。
そういう意味では、力になってくれればこれほど強力な助っ人はない。
だからこそ、時間がないとわかっていながら、美麓が求める性愛の相手をしているのだ。
そうでなければ、宝玄仙たちが捕えられているという危機にも関わらず、こんなに離れた場所で、呑気に見知らぬ女の性の相手などしない……。
とにかく、なんとしてもこの美麓には、宝玄仙たちの救出の力になってもらう……。
沙那は美麓の責めに、我を忘れるほどの快感を覚えながら、それを強く思い続けた。
それはともかくとして、沙那は美麓と身体を合わせながら、美麓の体液を口にしないように気をつけていた。
得体の知れないこの女の唾液など啜ろうものなら、今度はどんなことになるかわかったものじゃない……。
「いいじゃない、沙那……。あんたの女主人を救出するのに協力するからさあ……」
美麓の口が沙那にまた口に迫る。
沙那は首をねじって懸命にそれを避けた……。
だが、今度は美麓が沙那の両肩を押さえて、執拗に追ってくる。
これは絶対になにかある。
このしつこさは普通じゃない。
「そ、それよりも、いい加減に縄を解いてよ──」
沙那は叫んだ。
性愛が始まってから美麓は、後手に縛った沙那の手首を解こうとしないのだ。
沙那の両手はいまだに背中側で縛られている。
「口づけさせてくれれば解くわ……」
美麓が笑いながら言った。
そして、沙那の頭を腕で挟むようにして強引に固定した。
美麓が無理矢理に沙那の唇に唇を合わせる。
沙那は懸命に口を閉じることで美麓の舌の侵入を阻んだ。
「結構、しぶといわねえ」
美麓が口を離して呆れたように声をあげた。
「あ、あんたこそ、しつこいわよ」
沙那も叫び返す。
「だって、あたし、口の中を刺激されるのが好きなんだもの」
「い、や、よ──」
「あっ、そう……。じゃあ、もう少し責めようっと……」
美麓がさらに股間を沙那の股間に押しつけてくる。
生暖かい美麓の股間の繊毛が沙那の無毛の土手に触れてくすぐられる。
美麓の女陰の感触が沙那の女陰を強く揉むように加わったときには沙那は悲鳴をあげて、身体を暴れさせた。
さらに、乳房と乳房がぶつかり合い乳首が絡み合うように互いを擦り合うと、もうなにがなんだかわからなくなる程、全身が脱力感に襲われた。
いつの間にか、全身の官能という官能が燃えさかり、沙那はたちまち煽られて、無意識に自分も腰を突きあげるように美麓の股間に股間を押しつけていた。
「あはあっ」
美麓もまた感極まった声をあげた。
しばらくの間、沙那と美麓はお互いの裸身を波打たせて擦りつけ、全身を汗まみれになって悶え合った。
だが、後手に縛られている沙那に対して、両手が自由である美麓は、頬を擦りつけ、乳房を擦りつけ、お互いの股を狂ったようにまさぐり合いながらも、さらに沙那の全身のあちこちを指で愛撫を加えていく。
追い詰められるのは沙那が早いのは当然だった。
沙那は息が止まるような快感のうねりにずっと留まったままでいた。
もう自分がなにをしていて、どういう状況なのかだんだん認識できなくなる……。
女陰が重なっている部分は、もうすっかりとふたりの愛液でまみれていた。
沙那は太腿を締めて自分を苛めてくる美麓の太腿を咥えこんだり、あるいは、自分が腰をうねって女陰の擦りつけを強くしたりした。
すると美麓もまたそれをやり返してくる。
沙那は、責められながら美麓を責め、美麓を責めながら責められてもいた……。
「だ、だめ、いく、いく、いく、いくっ」
沙那は訳もわからず叫んだ。
大きな官能の波がやってくる。もう我慢できない。
「あ、あたしももう我慢できないよ……。い、一緒にいって、沙那……」
美麓が喘ぎながら沙那の耳元で声をあけた。
それと同時に、まるで、いたずらでもするように、美麓の指の一本が汗まみれの沙那の双臀の亀裂をつっと辿って菊門の中に挿された。
「ひぐうううっ──」
肛門に深く挿された美麓の指がぐりくりと動く。
爆発するような快感が尻の穴から子宮に移動し、沙那はあっという間に快感の頂点に引き揚げられた。
仰け反らせた沙那の身体をしっかりと美麓が抱きしめた。
沙那の狂態に合わせるように美麓がまるで自慰をするかのように沙那の土手に自分の土手を激しく擦りつける。
「ま、まって、あたしもいくっ、いく──あ、あたしも──」
美麓もまた叫んだ。
ふたりで全身を擦り合わせてながら沙那は美麓の身体が小刻みに震えるのを感じた。
沙那もまた、全身に走った大きな痙攣を止めることができない。
「あはあっ──」
「はああぁ──」
ふたりで叫んでいた。
大きな絶頂の衝撃が沙那だけではなく、身体の上の美麓にも加わっているのが沙那にはわかった。
美麓の唇が沙那に迫った。
今度は拒否することができなかった……。
沙那は自分の口の中に入っていた美麓の舌をむさぼるように吸った。
そして、自分の舌で美麓の舌を擦りあげて、さらに口の上側を刺激する。次に舌の下側……。
また、舌の先……。
舌で相手の口の中を愛撫するやり方は宝玄仙に叩き込まれている。
ほとんど意識をしないで勝手に舌が動くほどだ。
その沙那の舌技で美麓が吠えるような悲鳴を沙那の口の中であげた。
「ほおおっ」
美麓はそのままいったのではないだろうか……。
沙那の口づけを受けながら再び美麓の全身がぶるぶると震えた。
しかし、沙那はだんだんと自分の視界がぼんやりとぼやけていることに気がついた。
いや、それだけじゃない……。
部屋が曲がっている。
なにもかもぐんにゃりとして揺れる。
自分の身体が宙に浮かぶような錯覚に陥る……。
全身が熱い──。
乳首、肉芽、女陰、そして、いま指で刺激されている肛門……。
そこが猛烈に焼ける。どんどん感度があがっている。
なんだこれは?
身体が飛翔する……。
なにがあがってくる。
「あはああっ──」
沙那は吠えた。
理性が飛ぶ。
やっぱり……。
なにが起こったのかかろうじて予測できた。
美麓の唾液だ……。
かすかに残る沙那の理性がそう告げた。
この感覚は数回の記憶がある。
宝玄仙に媚薬を無理矢理に飲まされたことがある。
そのときの感覚だ……。
「い、いぐうっ」
沙那は悲鳴をあげていた。
肛門で動かされ続ける指からもの凄い快感が込みあがったのだ。快感が走るのは肛門だけではない。
触れられていない全身のあちこちから大きな愉悦の疼きが暴発するように走った。
沙那は二度目の絶頂を晒していた。
いつの間にか美麓にまた唇を重ねられていた。
さらに快感がおかしくなる。
また、宙に浮かぶ……。
熱い……。
焼ける……。
怖い……。
疼きが止まらない……。
全身がおかしくなる……。
この感覚は怖い……。
「すっかりとあたしの唾液が効いてきたわね、沙那。あたしの唾液は強烈な媚薬なのよ……。もう縄はいらないようね……。じやあ、朝まで愉しみましょう……」
どこかで誰かが言っている。
それが誰なのか沙那は知覚できない。
とにかく気持ちがいい。
背中で縛られていた両手が自由になった。
腕にまとわりついていた上衣が抜き取られる。
沙那は夢中で自分の身体の上にいた誰かの裸身を抱き締めた。
頭が真っ白になって、なにがどうなってもいい気分だ。
「さあ、あたしもいい気持ちにさせて、沙那……」
自由になった手を眼の前の女の股間に誘導された。
沙那はそこにあった女の股をねっとりと揉みあげた。
肉芽を摘まみ。そこを刺激しながらたっぷりの淫液に指をほぐして、女陰に挿し込み、中にあるさらざらの丘のような場所を刺激する。
どこをどうすれば相手が悦ぶかということは沙那の頭に入っている。
宝玄仙に教え込まれたのだ。
沙那が刺激を与えている女の身体が仰け反った。
それをもう片方の手で抱え込んで逃げるのを防いだ。
そして、とどめを刺すように指で与える刺激を強くする。
「あはああっ」
女が叫んだ。
それと同時にその女の手が沙那の股間にも伸びた。
限界まで熱くなっている股間がその一撃だけで崩壊した。
「あひいっ、いくううっ──」
沙那は叫んでいた。
同時に女も快感の頂点に到達したような悲鳴をあげた……。
「す、凄いわ、沙那……。あ、あんたって、最高──」
絶頂の余韻に身体を震わせながら沙那は、自分にかけられるその声を聞いた。
また唇が重なる。相手の唾液が口に注がれた。
身体が熱くなり、全身が宙に浮いた……。
*
「気持ちよかったわ、沙那……。ありがとう」
声がかけられた。
それで沙那は我に返った。
どうやら、眠っていたようだ。
最初に視界に入ったのは、どこかの部屋の天井だった。
一瞬、ここがどこだか理解できなかったが、やがて、ここは小西天という町の居酒屋であり、その二階の貸部屋の一室だということを思い出した。
「呆けちゃって……、可愛いわね、沙那……。あんたって声も大きくて、反応も激しいから、すっかりとあてられちゃたわ……。まあ、お陰で満足できたけどね……。ひと晩でこんなにいったのは初めてよ……。あたしったら、十回は達したと思うわ……。まあ、もっとも、あんたって、その三倍はいったみたいだけどね」
寝台の横に座っている人物が言った。
沙那は、仰向けに身体を横たえたまま、その声の方向に視線を向けた。
最初は男かと思った。すっかりと身支度を整えているその人物は若い男の姿だ。
だが、違和感がある……。
すぐに記憶が蘇った。
美麓……。
その名が不意に頭に浮かんだ。
そして、やっと記憶が繋がった。
そう言えば、この部屋で美麓という女と愛し合ったのだ。
ふと見ると窓の外が白々と明るくなっている。
どうやら、ひと晩中抱き合い、いつの間にか朝を迎えていたようだ。
沙那は身体を起こそうとした。しかし、なにかに阻まれて寝台に戻された。
「な、なに?」
自分の腕がなにかに引っぱられたのだ。
縄……?
右の手首に縄が結ばれている。それが寝台の隅に繋がっていた。
そして、驚愕した。
右手首だけじゃない。
左手首も拘束されている。
さらに両脚も──。
沙那は四肢を大きく拡げて、それぞれの手首足首を縄で縛られて、寝台の四隅の方向に拘束されていた。
しかも、全裸だ──。
「こ、これは、どういうことよ、美麓──」
沙那は縄を揺さぶって叫んだ。
だが、美麓は笑いながら、沙那が昨夜着ていたものを沙那の脚の間に放り投げた。
「着るものはここに置いておくわよ、沙那。この部屋はひと晩借りきっているから、簡単には店の男は顔を出さないと思うけど、あんまり、縄抜けに時間をかけるようなら、様子を見に来ると思うわ。だから、頑張って縄抜けしてね」
美麓が言った。
「な、縄抜け?」
沙那はびっくりした。
どうやら、沙那をこのまま放置していく気配だ。
慌てて四肢に力を入れてもがいた。
しかし、縄はびくともしない。
さっと頭から血が引くのがわかった。
「ま、待ってよ、美麓──。ま、まさか、あんた、わたしをこのままにしておくつもり?」
「まあ、女主人の不始末は、供の不始末……。これですっかりとあたしの溜飲も下がったというものよ……」
美麓は笑った。
いつの間にか、沙那の雑嚢を手にしていて、中を探っている。
「ちょっと聞いてるの、美麓。悪い冗談はやめてよ。これをほどいて──」
沙那はもがいた。だが、美麓は素知らぬ顔だ。
「へえ……。なかなかにいいものを持っているじゃない。これは、
ほとんど空になった沙那の雑嚢が、沙那の足元に放られた。
美麓は沙那の路銀の袋と烏金草という貴重な魔草の束をしっかりと手に握っている。
「じょ、冗談じゃないわよ──。確かに、それをあげると言ったけど、それは、ご主人様を助けるのに協力するという条件よ、美麓。あんた、協力するって、わたしと約束したじゃないのよ──」
沙那は仰向けのまま叫んだ。
「協力するとは言っていないわ……。考えると言っただけよ」
「い、言ったわ──。お互いに抱き合いながら、何度もあんたは言ったわよ」
確かに言った。快感に酔いながらも、美麓が何度も宝玄仙の救出に協力すると耳元でささやいたのを覚えている。
「覚えてないわねえ……。まあ、いずれにしても、あんたも冷静になりなよ、沙那。なんで、あたしが赤の他人を助けるために、怖ろしい力を持った亜人と戦わなければならないのよ──。そんな義理はまったくないわね」
「ふ、ふざけないでよ──。そのために、あんなことを……」
「なに言ってんのよ。あんたも気持ちよかったでしょう? とにかく、これはあんたの女主人があたしにやったことへの腹癒せよ。生まれてこの方、あんなに悔しかったことはないわ……。もう、黄眉に殺されて剥製にでもなっていると思うけど、万が一、あんたの女主人に再会することがあったら伝えておいてよね。この毒遣いの美麓を舐めるなってね──」
「あ、あんた──、しょ、承知しないわよ──。ま、まさか、本当にこのままにして、行くつもりじゃないでしょうねえ──。せめて、縄くらい解いていきなさいよ」
沙那は叫んだ。
このまま放置されるなど冗談じゃない。
「縄をほどいたら、あんたは脅してでも、あたしを黄眉との対決に巻き込むでしょう? そうはいかないわ。縄は頑張ればほどけるくらいに緩くしているわよ。冷静になって時間をかければ、きっと脱出できるわ」
「緩くって……。し、しっかり結んでいるじゃないのよ……。ねえ、お願いだから解いていってよ……。もう、わかったから」
沙那は声をあげた。
とにかく、哀願でも嘘を並べてでもいいから、縄をほどいてもらう。自由になりさえすれば、こっちのものだ。
剣を突きつけてでも、仲間の救出に協力させる──。
もう、時間はないのだ。
だが、まるで沙那の心を読んだかのように、美麓の顔がにやりと微笑んだ。
「そうね……。あんたのことだもの……。普通じゃあ、縄抜けもそれほど時間はかからないわね……。じゃあ、ちょっとした贈り物もあげるわ」
美麓が意味ありげな言葉を口にすると、ふところからなにかを取り出して沙那の顔の上に示した。
それは小さな鈴だった。
短い紐が繋がっていて、反対側に小さな吸盤のようなものがある。
「な、なによ、それは……?」
嫌な予感がした。
「町で買ったちょっとした霊具よ。あたしのような道術のない者でも使えるものだから、大したことのない玩具なんだけど……」
美麓がいやらしい笑みを浮かべたまま、軽く一度鈴を振った。
ちりんを音がしたかと思うと、糸の反対側の吸盤がいきなりぶるぶると振動をしはじめた。
沙那は呆気にとられた。
そして、吸盤はしばらくの間、振動を続けてから、やっと動きを止める。
「な、なに?」
沙那は目を丸くした。
「さて、質問よ、沙那……。これをあたしは、沙那のどこに装着するでしょうか?」
美麓が愉しそうに笑いながら、その吸盤付きの鈴をすっと沙那の股間に近づけていく……。
「う、うわっ──。や、やめるのよ──。み、美麓……。や、やめなさい──」
沙那は悲鳴をあげた。
美麓がおかしな鈴の霊具を沙那のどこに装着しようとしているかわかったのだ。
沙那は必死になって腰を動かして、吸盤が股間に触れるのを避けようとした。
だが、そんな沙那を美麓がせせら笑った。
「はい、正解──。そんなに腰を振っても無駄よ、沙那……。これの装着は簡単なのよ。ただ、吸盤を密着するだけで……」
美麓の指が沙那の股間に触れ、肉芽を剝き出しにした。
その肉芽にひんやりとした感覚が伝わる。
同時に肉芽がなにかにきゅっと摘ままれる感触がした。
「ひゃあっ」
沙那は思わず叫んだ。
吸盤が沙那の肉芽に吸いついたのだ。
「じゃあ、あたしは行くわ。音を鳴らさないように縄抜けしてね……。だけど、あんまりゆっくりする暇もないわよ。多分、朝食の時間くらいになれば、店の主人が様子を見に来ると思うわ」
美麓がそう言い残すと、手に烏金草の束と沙那の路銀の入った袋を持って戸に向かって歩いていった。
「ま、待ちなさいったら、美麓──」
沙那は美麓に顔を向けて絶叫した。
しかし、その瞬間に股間に鈴がちりんと音を立てた。
吸盤が振動する。
たちまちに大きな愉悦が沙那に襲いかかってくる。
「あふうっ」
沙那は叫んだ。
そして、振動で受けた衝撃で腰が揺れ、鈴がまた鳴る。
その音で吸盤が反応して振動が続く。
沙那は自分の陥った悪循環に気がつかないではいられなかった。
吸盤の振動を止めるには腰が動くのをとめなければならない。
しかし、吸盤が動き続ける限り、その振動が肉芽に伝わり、敏感で感じやすい身体を持つ沙那には腰をとめられない。
そして、自分の腰がとまらないから、ちりんちりんと鈴がいつまでも鳴り続ける。
音が鳴りやまないのでいつまでも振動を受けることになる。
沙那は堪らず、身体を仰け反らせた。
その動きでさらに鈴が鳴る。
そして、吸盤はいつまでも肉芽に快感を伝え続ける……。
「あらあら……。感じやすいのはわかるけど、そんなに暴れ回ったら、音が鳴りやむ暇がないんじゃないの……。まあいいか……。せいぜい頑張ってね、沙那……。あっ、そうだ。これくらいならいいか……。あんたが探している後天袋という男はこの町の顔役のひとりよ。あたしじゃなくても、誰に聞いても知っているわ……」
「ま、待って……あっ、あああっ、ま、待ちなさい、あああっ」
「ふふふ……。もっとも、そうやってよがり狂っていないで人が来る前に縄抜けしないと、そのまま、後天袋に連れていかれるかもしれないけどね……。なんせ、美女とみれば、容赦なく黄眉に差し出すために、あの手この手で浚っていくような男だしね。この町には法もなければ、非道を取り締まる者もいないのよ。弱肉強食の世界よ」
それで最後だった。
美麓が戸を開けて外に出て行く気配を沙那は感じていた。
「あはあっ」
しかし、それよりも、沙那はいまこの瞬間の吸盤の振動と戦わなければならなかった。
吸盤の振動を止めるためには、肉芽に受ける振動によがり狂って、自分の身体が動くのをとめなければならない。
だが、どうしてもそれができないのだ。
このまま達してしまいそうだ……。
でも、一度達したら最後、自分の身体が際限のない絶頂地獄に陥る気がする。
いや、絶対にそうなる。
いってはいけない──。
それより、縄を……。
沙那は寝台の四隅に引っぱられた四肢を突っ張らせて、肉芽に襲ってくる官能の衝撃に懸命に戦い続けた。