※この作品はR-18です。

嗜虐西遊記【完結】   作:ドン・ドナシアン

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401 立小便競争

「この町に入るときに見たのは、戦の跡じゃないそうです、ご主人様。大きな隊商が盗賊団の略奪を受けたようです。死んでいたのは隊商の護衛と商人で、ほかの者は連れて行かれたようです。なかなかに乱暴な連中のようですが、この町は定期的にかなりの財を支払っているので略奪は免れているのです……。でも、その隊商は盗賊団の脅しに応じずに、皆殺しにされたということのようです」

 

 戻ってきた沙那が宝玄仙に言った。

 香蛾(おうが)と連れの老人の分の食事の手配をして、四人で食堂で夕食をとった。

 その後、孫空女たち三人はそのまま部屋に戻ったが、沙那だけはひとり残って、周辺情報を探っていたのだ。

 その沙那が部屋に戻ってきた。

 

「まあ、いいさ、そんなこと……。それよりも、今夜も始めるよ、沙那……。お前がいない間にすっかりと準備も終わっているよ。床には道術の膜を敷いてやったからね。小便をしても部屋を汚して迷惑をかけることはないさ。さあ、今夜もさっそく垂れ流しな、沙那」

 

 宝玄仙が陽気に叫んだ。

 

「もう嫌です……。いつも、いつも、わたしばっかり……。いい加減にしてくださいよ」

 

 沙那が頬を膨らませた。

 孫空女はその様子に思わず苦笑してしまった。

 

 沙那が不平を言うのも一理ある。

 しばらく前、沙那はあることから薬師の兄妹の調教を受けて、尿道を性感帯として開発されてしまって、尿をするたびに悶えるような身体にさせられたのだ。

 それを面白がった宝玄仙が、このところ毎夜のように沙那に尿をさせることを性愛のきっかけにするのが続いていたのだ。

 当然、四人の性愛の犠牲の中心は沙那ということになり、沙那が全員の集中砲火を浴びて、完全に倒れるまで責められるというのが連続していたのだ。

 

「我が儘言っちゃいけませんよ、沙那姉さん……。さあ、服を脱いで……。とりあえず、下だけ脱ぎましょうか。あたし、今夜も沙那姉さんが真っ赤な顔で吐息をしながらおしっこするところ見たいです」

 

 朱姫が沙那の下袴を剥ぐような仕草で沙那に詰め寄る。

 

「あ、あんた、調子に乗って……。あんたもおしっこしなさいよ」

 

 沙那が怒鳴った。

 

「それもそうだね。たまには、三人全員で小便をしてもらおうか。ただの小便じゃないよ。立小便だ。全員、下を脱いで並びな」

 

 宝玄仙が言った。

 

「えっ、三人ですか、ご主人様?」

 

 きょとんとした声をあげたのは朱姫だ。

 朱姫は無理矢理に脱がそうとしていた沙那の下袴から手を離した。

 

「そうだよ、朱姫──。三人並んで立小便さ……。まあ、でも、ただ立小便をやっただけじゃあ、面白くないか……。なら、負けたひとりは罰ということにするさ。一番飛ばなかったひとりは今日の犠牲者ということにするよ……。じゃあ、三人ともまずは下半分をすっぽんぽんになって並びな」

 

 宝玄仙が愉しそうに言った。

 

「そうね。三人よ……。三人でしましょう。さあ、やるわよ」

 

 沙那が元気に言った。いつもの馬鹿げた宝玄仙の気まぐれだが、沙那としては、ひとりで恥をかくはずだったのが、皆でやることになったのだから、不平はないだろう。

 いつもは、こういうことを嫌がる沙那が珍しく乗り気だ。

 

 だが、孫空女は大きく嘆息した。

 立小便の飛ばし合いというのは、およそこれほど恥知らずの遊びもないと思うが、この宝玄仙の供になって三年以上の月日が経っている。

 大抵のことはやらされたから、もう心に耐性ができたという感じだ。

 それにしても宝玄仙の道術で汚れないようになっているとはいえ、部屋の中で三人並んで立小便をするいうのとは……。

 

「た、立小便って……?」

 

 朱姫が動揺した声をあげた。

 そのとき孫空女は、ひとりだけ朱姫がやけにおどおどしていることに気がついた。沙那に服を脱げと迫っていたさっきの元気が嘘のようだ。

 

「つべこべ言わないのよ、朱姫。さっさと支度しましょう。あんたは、下袍だから両手で捲りあげるだけでいいんじゃない。とりあえす、下着だけ脱げば」

 

 沙那が言った。

 そして、自分はさっさと下袴の腰紐を解いて下を脱ぎ始める。

 孫空女と沙那はいつも戦いやすいように男の服装をしている。

 だから、立小便と言われれば、下袴も下着も脱いで下半身は全裸にならなければならない。

 だが、朱姫はいつも下袍なので、確かに下着だけでいいのかもしれない。

 

 しかし、孫空女は、そのとき、沙那の朱姫に対する小さな罠があることに気がついた。

 やたらに、沙那が張り切ったのは、そういうことだったのだ……。

 つまり、沙那は朱姫に勝ち目のない勝負を強要するつもりなのだ。

 

 そして、かなり以前に宝玄仙に立小便の練習をさせられたときのことを思い出した。

 そういえば、あれはまだ、朱姫が供に加わる前のことだったと思う。

 だから、朱姫は女の立小便のやり方は知らないはずだ。

 沙那はそれを覚えていたのだろう。

 

「さっさとしな、お前たち……。孫空女、床に線を描きな。その床の膜は指で簡単に線が引けるから……」

 

 孫空女は、宝玄仙の指示に従い、指で床に一本の線を描いた。

 その線に沙那、孫空女、朱姫と並ぶ。

 沙那と孫空女はすでに下袴も下着も脱いで身体の後ろに置いている。

 朱姫は下着だけ脱いで、下袍の裾を両手でたくしあげている。

 

「で、でも立ったままって……」

 

 朱姫がまだ戸惑っている。

 困惑した表情でこっちをちらちらと見ている。

 やはり、どうしていいかわからないのだ。

 

「始めるよ」

 

 宝玄仙が愉しそうな声をあげた。

 

「あくっ」

「はっ」

「ひうっ」

 

 三人が同時に声をあげた。

 いきなり猛烈な尿意が湧き起こったのだ。

 宝玄仙が道術で尿意を送り込んできたに違いない。

 両隣りでは朱姫と沙那も顔を真っ赤にして腰を震わせている。

 

「ほら、さっさとやりな。我慢するつもりなら、尿意を倍にしてやるよ。まあ、その方が勢いがいいかもしれないけどね……。ただし、膀胱が破れてもしらないよ」

 

 宝玄仙が哄笑した。

 

「じゃあ……」

 

 沙那が羞恥に顔を染めた様子で促す。

 孫空女も仕方なく脚を開いて股間の緊張を解いた。

 両手を股間に添えて、おしっこが出る穴をぐいと開いて腰を前に突き出す。

 恥ずかしいがこうしなければ尿は股間の真下に垂れるだけで前には飛ばない。

 尿意を解放すると、孫空女の股間から勢いよく尿が前に迸った。

 

「あはあ……」

 

 一方で、沙那が真横で甘い声を出しながら、くるりと身体を反転させる。

 以前にふたりで立って尿をやる行為を練習させられたとき、沙那は姿勢を前にして尿をする方法は得意ではなかった。

 その代わり、尿を後ろ側に飛ばすのは得手だった。

 沙那が飛ばす方向に背を向けると腰を前側に屈め、孫空女以上に開脚してお尻を尿を出す方向に突き出すようにして後ろ方向に尿を勢いよく飛ばした。

 孫空女と同じなのは、やはり手を股間にやって尿の出口を開くようにしていることだ。

 沙那の股間からも孫空女ほどではないが引いた線よりもかなり前に飛んでいる。

 

「んふうっ……あっ……ああっ……」

 

 尿をしながら小刻みに震えるのはきっと欲情を覚えているからだろう。

 

「な、なんです、それ? えっ、えっ──?」

 

 朱姫の戸惑ったような声がした。

 どうやっていいかわからなかったようである朱姫は、両手で下袍をたくしあげて股間に力を入れて尿をしていたが、残念ながらほとんどの尿は股間の真下に落ちている。

 孫空女のように前を向いて立小便をするにしても、沙那のように後ろ向きで腰を引いて尿をお尻側に飛ばすにしても、おしっこの出る穴を両手で開かないとどうしても尿は真下にしか落ちない。だが、それを知らなかった朱姫はその両手で下袍をたくしあげている。

 だから、尿道口を開くことができないのだ。

 

「ははは……、どうやら、罰は朱姫のようだね」

 

 宝玄仙が手を叩いて笑った。

 

「ず、ずるいですよ……。あ、あたし、そんなやり方知らないです」

 

 朱姫が下袍をあげたまま真っ赤な顔で言った。三人の排尿は続いている。

 

「し、知ら……ないわよ……。はああ……」

 

 ひと足早く尿が終わった沙那が甘い声で悶えながら言った。

 

「そういうことさ、朱姫。観念しな……。ついでに、立小便の得意な姉さん方を見習いな」

 

 宝玄仙が手を叩いて笑っている。

 三人の尿が終わると、床に存在していた白い膜が消滅した。

 床に撒き散らした三人の尿もその臭いも嘘のようになくなる。

 

「さあ、今夜はあんたよ、朱姫──」

 

 いきなり、沙那が朱姫の腕をむんずと掴んだ。

 沙那が朱姫の服を脱がせ始める。

 

「わっ、わっ……、じ、自分で脱ぎます、沙那姉さん……。脱ぎますってばあ……」

 

 朱姫が声をあげた。

 

「おやおや……。なら、そうだね……。朱姫、今日のお前は、なんにもできない人形になりな──」

 

 宝玄仙がいつになく強引な沙那の様子を見て、興を覚えた声をあげた。

 

「わっ、わっ」

 

 すると朱姫の身体が不意に脱力した。

 立ってはいるが両腕はだらりと力が抜けて体側に垂れている。

 宝玄仙が朱姫に刻んでいる道術紋から術をかけたのだろう。

 三人の供は宝玄仙が術で身体を自在にできるように道術紋を刻まれている。

 この道術紋から道術を注ぐことで、宝玄仙は三人の身体を操り、感覚を操作し、あるいは肉体を変形させたりする。股間に男性器を生やさたり、身体の感度をあげりたり、絶頂できないように感覚操作されたりしていたぶられたのは一度や二度ではない。

 

「さ、沙那姉さん……。ら、乱暴にしないで──」

 

 朱姫が悲鳴をあげている。

 動けなくなった朱姫を沙那が寝台のひとつに押し倒したのだ。

 

「このところ、いつも、いつも、調子に乗って……。いい加減に腹に据えかねていたのよね。今夜は覚悟しなさい、朱姫。徹底的に仕返ししてあげるからね」

 

 沙那が朱姫から最後の下着を取りあげた。

 だが、そういう沙那も孫空女自身も下だけなにも履いていない状態であり、これはこれで少し恥ずかしい気がする。

 しかし、沙那は頓着ないようだ。

 動けない朱姫の両手両足を寝台の上で大きく拡げさせた。

 

「ほう、張り切っているねえ、沙那……。まあ、確かに、朱姫はこのところ、お前に容赦なく責めかかっていたからねえ……。じゃあ、今夜はお前に任せるさ、沙那。朱姫を好きなようにしておやり」

 

「そ、そんなあ……」

 

 朱姫が真っ赤な顔で声をあげた。

 

「じゃあ、どうしてやろうかしら……。そうだ──。ご主人様、『ずいき油』をまた作りましたよね。あれを貸してください。朱姫のお尻にたっぷりと塗り込んでやります……。だけど、お尻だけは責めないんです。責めるのはほかの場所だけ……。そうやって、ひと晩中お尻を放置してやります……。ほかの部分でいけばいくほど、お尻が痒くなって、それなのに、お尻だけは誰も触らないんです──。ふふふ……。朱姫はきっと泣きますよ」

 

「ひいっ──。そ、そんなことしないで」

 

 朱姫が沙那の言葉を聞いて悲鳴をあげた。

 お尻は朱姫の最大の弱点だ。

 そんなことをされたら、本当に朱姫は苦痛に悶え泣くに違いない。

 

「ほらよ」

 

 宝玄仙が笑いながら沙那に『ずいき油』の瓶を渡した。

 孫空女も悶え泣くほどの強烈な掻痒剤だ。

 それを沙那がたっぷりとすくって朱姫の無防備な肛門に擦り込んでいく。

 

「あ、ああっ……だ、だめえっ……ひ、ひいっ……ご、ごめんなさい……、だ、だから……、ひいっ──」

 

 朱姫がさっそく心臓を締めつけられたような悲痛をあげた。

 

「なにやっているのよ、孫女──。朱姫を責めたててよ」

 

 沙那が孫空女を振り向いて怒鳴った。

 久しぶりに朱姫に仕返しができるこの機会に夢中のようだ。

 

「はいはい……」

 

 孫空女は朱姫の寝台の足側に移動した。

 寝台には柵のようなものはない。

 孫空女は床に跪くと朱姫の足の指先を口に含んで足の指の間に舌を這わせた。

 

「あ、あはっ……、そ、それは──あああっ……」

 

 孫空女に足の指を刺激され、沙那に肛門をいたぶられている朱姫がさっそく激しく反応し始めた。

 

「どれどれ、じゃあ、わたしも混ぜてもらおうかねえ……」

 

 いつのまにか全裸になった宝玄仙がやってきた。

 朱姫の小ぶりの乳房に顔をつけると乳首を咥えてちゅぱちゅぱと舐めだす。

 

「あふうっ──。い、いくうっ──」

 

 朱姫の身体が小刻みに震えて股間からどっと愛液が噴き出した。

 

「一回目ね、朱姫……。まだまだ、お尻に足してあげるわよ。一生懸命に悶え泣きなさい」

 

 沙那が酷薄な声でささやくと、再び『ずいき油』をすくって大量の薬剤を朱姫の肛門にべっとりと押し込んだ。

 

 

 *

 

 

 

「朱姫、朝食よ」

 

 沙那は寝台に突っ伏したままの朱姫に呼びかけた。

 朱姫はただひとり、まだ寝台にうつ伏せに横たわったままでいる。

 

「うう……、沙那姉さんの意地悪……」

 

 朱姫の唸り声のような声が返ってきた。

 沙那は苦笑した。

 

「おやおや、朱姫は今日は起きれないのかい……?」

 

 当番の孫空女に口の掃除をさせていた宝玄仙が孫空女を離して笑った。

 

「みんな、みんな、嫌いです……」

 

 朱姫は寝台から動くことなく絞り出すように言った。

 

「まあ、いいじゃないか、ご主人様。今日もここに泊りだろう? 朱姫は寝かせておこうよ。あたしが後で朱姫の分の食事は運んでやるさ」

 

 孫空女も笑いながら言った。

 昨夜はひとりだけ朱姫が集中攻撃だった。

 このところ、朱姫にやられっぱなしだった沙那の鬱憤が爆発したかたちだったが、沙那が朱姫の弱いお尻を徹底的に責めたてたのだ。

 掻痒剤を朱姫の肛門に塗りたてて、まずは痒み責めにし、宝玄仙の道術で身動きできなくされた朱姫の肛門以外の部分を三人で同時に責めて朱姫を連続絶頂させた。

 おそらく、この最初の責めだけで、朱姫が達した回数は軽く二桁に達しただろう。

 しかし、肝心の肛門を放置されている朱姫は、この時点では失神もできないでいた。

 

 それから三人で代わる代わるの尻責めだ。

 沙那が中心となり、舌舐めから始まり、筆責め、刷毛責め、指責め、箸責めを繰り返した。

 大きな刺激ではないが、あえて弱い刺激を長時間与えられることにより、朱姫はほんのちょっとの刺激で肛門で達するようになった。

 しかも、ずっと繰り返し、沙那が『ずいき油』を塗り足し続けている。

 朱姫は半狂乱になった。

 

 朱姫の肛門の性感は信じられないくらいに高まったことだろう。

 この状態になってやっとみんなで朱姫の肛門を張形責めにした。

 朱姫は狂ったように反応した。

 張形を抉るたびに繰り返し絶頂し、またゆっくりと抜くときに連続して達する。

 それが繰り返したのだ。

 それこそ一往復の間に数回の絶頂をし、それが果てしなく続いた。

 しかも、ひとりが肛門を責めている間に、残りのふたりが朱姫のほかの部分も責めていた。

 最後には一度の絶頂で失神し、つぎの一瞬で覚醒するという状況になった。

 もしかしたら、最終的に朱姫の絶頂は三桁になったかもしれない。

 時間も長かった。

 朱姫に対する三人掛かりの責めは夜通し続き、すべてが終わったのも、まだ数刻前だ。

 起きあがることができないのも無理はない。

 

 まあ、少しやり過ぎたかもしれないという悔悟が沙那にないことはない。だが、このところ、沙那ばかり責めたがる朱姫に閉口していたのは本当だ。

 たまにはいい薬だと思っている。

 

「じゃあ、今日はゆっくりと休みなさい、朱姫」

 

 沙那も言った。

 

「沙那姉さんの意地悪……」

 

 うつ伏せの朱姫の言葉はそれだけだった。

 肩をすくめて、宝玄仙と孫空女の方を見た。

 沙那についてはすっかりと身支度は終わっているが、ふたりもまだ全裸だ。

 宝玄仙が寝台に胡坐をかいて座り、孫空女が前側から覆いかぶさるように顔を宝玄仙の口に寄せている。

 まるで、性交しているような光景だが、孫空女がやっているのは宝玄仙の口の掃除だ。

 三人の供がやらされている儀式のようなもので、宝玄仙の供になって以来、全員が交替で続けている。

 

 つまり、孫空女がやっているのは、宝玄仙の口の中を舌で掃除をするということだ。

 宝玄仙の歯の一本一本から口の中のすべてを隅から隅まで舐め回しているのだ。

 ただ舐めるだけではなくて、この間に宝玄仙の気紛れのような舌の反撃と身体への愛撫も受けなければならない。

 あれはあれで、かなりの体力を使う作業だ。

 孫空女も真っ赤な顔をして懸命に奉仕している。

 

 沙那が見ていると宝玄仙は、孫空女が敏感に反応するのが愉しくて、孫空女の舌を舌で舐めかえしたり、まだ服を着ていない孫空女の裸身に両手を這わしたりしている。

 孫空女も下手に抵抗すると宝玄仙の責めが強くなるだけなので耐えているようだ。

 それといいことに、宝玄仙の悪戯はますます大きくなる。

 今度はすっと孫空女の股間に手を移動させて指で弾くように刺激した。

 

「あふうっ」

 

 ついに、孫空女が宝玄仙から顔を離して声をあげた。

 それでも孫空女に対する宝玄仙の指責めは続く。

 孫空女が翻弄され始めたのに気をよくした宝玄仙が、孫空女の股間に伸ばしている指をさらに激しく動かす。

 

「ほらっ、口の掃除はどうしたんだい、孫空女? よがってないで、わたしの口を舌で掃除しな」

 

 宝玄仙が意地悪く言った。

 だが、その指は孫空女の股間を跳ねまわっている。

 

「だ、だって、ご主人様……あ、ああっ……」

 

 孫空女の反応が激しくなった。

 これは最後までいくような気がした。

 宝玄仙も今日は出立はしないと決めてかかっているから、そのまま本格的な性愛に発展させるのかもしれない。

 沙那は三人の朝食をここに運んでくる手配をしようと思って、廊下に出る戸に向かった。

 そのとき、部屋の戸が廊下側から叩かれた。

 

「あたしです……。香蛾(こうが)です……。起きておられますでしょうか?」

 

 向こうから声がした。

 沙那は宝玄仙を見た。

 部屋は宝玄仙の結界で包まれている。

 宝玄仙が結界を緩めなければ戸は開かないし、こちらの声も向こうには聞こえない。

 

「いいよ。入れてやりな、沙那」

 

 宝玄仙がやっと孫空女から手を離した。

 孫空女がほっとしている。

 そして、宝玄仙もやっと身支度をするつもりなったのか、孫空女に服を要求した。

 

「いま、開けるわ……。ちょっと待って」

 

 沙那はそっと扉を開いた。

 人ひとりだけ通れるほどの隙間だけを開けて、香蛾を招き入れた。

 香蛾は部屋に入ると、宝玄仙に向かって深々とお辞儀をした。

 香蛾の様子はなにか尋常じゃないことが起きたということを予感させた。

 

「どうしたんだい、香蛾?」

 

 香蛾の態度に、孫空女に自分の身支度をさせながら宝玄仙が神妙な顔で言った。

 

「祖父が夕べ遅く息を引き取りました……」

 

 香蛾は神妙な口調で言った。

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