「お、お前ら、く、来るんじゃないよ……。ち、近寄るなって言ってんだろう──」
荷物を抱えた朱姫が宿屋に戻ってくると、宿屋の前に人だかりができていた。
その奥から孫空女の切羽詰ったような声も聞こえる。
なんなんだろう……?
「うわっ──、なにしてんですか、孫姉さん、沙那姉さん」
朱姫は人だかりの後ろから孫空女と沙那の姿を認めて、思わず声をあげてしまった。
よくわからないが、孫空女と沙那は、素肌に白い布一枚の前掛けだけという全裸に近い状態で宿屋の前に立っているのだ。
そして、孫空女が布に収まっていない乳房を左手で隠し、右手で『如意棒』で周囲の男たちを威嚇している。
だが、集まっている男たちは三十人以上はいるのではないだろうか。
それが遠巻きに前後を囲んでにやにやと笑ったり、卑猥な言葉でからかったりしているのだ。
「しゅ、朱姫──。や、やっと、帰って来てくれた……。ほらっ、沙那、朱姫だよ」
朱姫を認めて孫空女が、真っ赤な顔を沙那に向けた。
沙那もまた小さな布一枚の前掛けだけの姿で、しかも苦しそうに顔を歪めて腰を少し屈めている。
よく見ると沙那の肌は心なしか粟立っている気もする。
「しゅ、朱姫……。あ、あれっ……。う、動かない……。ま、まだ、脚が動かないわ。朱姫が戻ったら自由になるんじゃないの……?」
沙那が真っ蒼な顔を歪めて言った。
「あ、あのう、どういうことなんです……?」
朱姫は取り囲んでいる野次馬たちを掻き分けて、ふたりの前まで進み出た。
「おう、この娘も性奴隷か──?」
すると、明らかに酔った男が朱姫に抱き尽くような仕草をしてきた。
朱姫は身体を開いて、その酔っ払いを投げ飛ばす態勢になったが、次の瞬間、その男が後方に吹っ飛んだ。
「近づくなって、言ってんだろう──」
孫空女の『如意棒』が伸びて、その男の腹を突き飛ばしたのだ。
周りの男たちが転がった男をげらげらと冷かして笑った。
それにしても、孫空女の感情が相当に昂ぶっているのは明らかだ。
そして、その孫空女の前掛けには、“私は性奴隷です”という趣旨の文字が書かれていた。
「もしかして、ご主人様の仕業ですか?」
「もしかしなくても、ご主人様の仕業に決まってんだろう、朱姫──。多分、お前がなにかすれば、ここから離れられると思うんだよ。頼むから、あたしらをここから解放してくれよ──。それに、沙那はもう限界なんだよ……」
孫空女が声をあげる。
「限界?」
朱姫は沙那を見た。
沙那は乳房の半分から下と股間の付け根までしか覆っていない布を両手で押さえて身体を苦しそうに屈めている。
ふと見ると、身体の後ろにはなにも身に着けておらず、身体を屈めることで白いお尻が小刻みに震えている。
「もしかして、ご主人様になにかお尻に入れられていますか、沙那姉さん……?」
朱姫はさらに孫空女と沙那がいるそばまで近づいてささやいた。
「か、浣腸を……道術で……」
沙那が呻いた。
朱姫は嘆息した。
そんなことだろうとは思ったが、相変わらずの宝玄仙の悪ふざけだ。
それにしても、浣腸をしてそのまま排泄を許さずに、宿屋の前に放置するなど、なんという意地悪なのだろう。
本当に容赦のない仕打ちをするものだと思ったが、その仕打ちに苛まれて羞恥と恥辱に顔を歪めているふたりを眺めていると、なんとなく朱姫もおかしな気分になる。
朱姫は自分の心に嗜虐の灯がともるのがわかった。
そして、ふと朱姫は沙那の背中になにかの文字が浮かんでいるのがわかった。
いや、実際にはなにも書かれていないのだが、霊気を持つ道術遣いしかわからない魔法文字でなにかの文字が書かれているのだ。
それを読んだ朱姫はどうしても笑いが込みあがってしまい頬を緩めてしまう。
「ここから脱出できる方法がわかりましたよ。沙那姉さんの背中にご主人様の伝言が書いてありました」
朱姫は言った。
「ま、まだ、なにかするのかい? ご主人様は、朱姫が戻れば、解放されるって言ったんだよ」
孫空女は怒ったように声をあげる。
一方で沙那は追い詰められて困惑した表情を朱姫に向けた。
ぞくぞくとしてくる……。
このふたりをもっと怒らせて……、そして、恥ずかしがらせて……。
それでも、絶対にふたりは屈服しないだろうけど、でも、どんなに抵抗しても、このふたりは朱姫の思うとおりのことをさせられるのだ……。
屈辱的で……。
恥辱的で……。
望まない快楽を強要される……。
ふたりは心で抵抗する。
しかし、朱姫の言いなりになって、痴態を演じる。
朱姫が絶対にかなわない沙那と孫空女のふたりは、嗜虐となれば朱姫に屈服し、泣き声をあげて哀願もする。
それがいい……。
本当にぞくぞくしていくる……。
朱姫は沙那と孫空女が好きだ……。
だから、このふたりにはなにをしてもいい……。
なにをしても許されるはずだ……。
「ある意味はそうですよ、孫姉さん。沙那姉さんの背中に書かれた文字は、あたしにしか読めませんから」
朱姫はそれだけを言った。
なんと書いているかは素直には教えるつもりはない。
「ちっ」
孫空女は大きく舌打ちした。
「じゃあ、なにが条件なんだよ、朱姫。早く言いなよ」
孫空女が苛ついた口調で言った。
「そうですねえ……。ご主人様の伝言に寄れば……」
朱姫はふたりに限界まで近づいた。
そして、ふたりの耳元にささやくように告げた。
「……ふたりでお互いの股間をここで弄くって、同時に達してください。それが条件になると思います」
「な、なんだよ、それ──」
絶叫に近い声をあげたのは孫空女だ。
沙那に至っては、ますます顔が真っ蒼になった。
もう、沙那の便意が限界にあるのは明らかだ。
この場で股間を弄り合って絶頂しようとすれば、その前にここで大便を洩らしてしまうだろう。
「沙那姉さんには、お尻に栓をしてあげましょうか……?」
朱姫はそう言うと手に霊気を込めた。
『取り寄せ術』という高等道術だが、最近ではそれも自在にできるようになった。
『取り寄せ術』は、『移動術』の応用であり、霊気の及ぶ範囲であり、取り寄せたい場所と物が頭に浮かぶことさえできるのならば、離れた場所から物を手元に転送させることができるのだ。
宝玄仙の性具一式は、沙那がいつも運ぶ葛籠のひとつにまとめられている。
朱姫は肛門栓を取り寄せた。
朱姫はその栓を持って、沙那の背後に手を伸ばす。
「な、なにするのよ、朱姫──」
しかし、朱姫の手が肛門に近づく気配を察した沙那が、腰を避けて悲鳴をあげた。
だが、その自分の激しい動きでまた便意が高まったのか、歯を喰い縛って身体を屈める。
「あらっ、あたしは沙那姉さんのためを思って、肛門栓を嵌めてあげようとしているんですよ。別に嫌ならいいです……。じゃあ、そのままはじめてください。言っておきますけど、ふたりで同時に達するんですよ。それにお互いに刺激し合うんです。自慰じゃ駄目ですからね」
周りに集まっている男たちがざわざわと騒ぎ始める。
これから、なにか淫靡な見世物が始まりそうなのを予感して騒いでいるのだ。
「お、お前ら、あっちに行けって言ってんだろう──。た、頼むから、あっちに行ってよ」
孫空女がまた叫んだ。
しかし、男たちはどよめきと歓声をあげるだけで、周りから立ち去る気配はない。
朱姫は少しふたりを距離をとり、周囲を囲む男たちと同じようにふたりの痴態を見物する態勢になった。
孫空女と朱姫はほとんど接触するほどの距離で立っている。
お互いの股間に手を伸ばせば、相手の股間を愛撫するのは簡単だろう。
「おう、姉ちゃん、これからなにが始まるんだい──?」
周囲の男のひとりが訊ねた。
周りの男たちがすっかりと興奮しているのは明らかだ。
孫空女が『如意棒』を振り回して近づく男を突き飛ばしたりしていなければ、とっくの昔にこの男たちは孫空女や沙那に飛びかかっていたのかもしれない。
いまは、とにかく、このふたりの痴態に熱い視線を向けるだけで我慢をしているらしいが……。
「このふたりの女奴隷は、あたしたちの女主人の道術でここに脚を張りつけられているんですけど、お互いに股間を刺激し合って絶頂しないと、ここから離れられないんです」
朱姫がそう教えてやると、周りの男たちが大歓声をあげた。
「──おう、いいぞ、早く、やれっ」
「始めろ、そらっ──」
「奴隷女ども──。いいぞ、始めろ──」
男たちが一斉に野次を飛ばし始める。
「しゅ、朱姫──。な、なんてこと教えるんだよ──」
孫空女が怒声をあげる。
「だって、仕方ないじゃないですか。なにも教えずに、孫姉さんと沙那姉さんがいきなり股間を弄り合い始めたら、馬鹿になったかと思われますよ」
朱姫は言った。
「くそうっ……。し、仕方がない。やろうよ、沙那」
孫空女が真っ赤な顔をしたまま、沙那に顔を向ける。
「ちょ、ちょっと待って……、孫女……。も、もう、駄目……して、朱姫……」
沙那は眼をつぶって顔を俯けたまま小さな声で呟いた。
「はっ、なんですか、沙那姉さん?」
朱姫は意地悪く言った。
いま、朱姫は周りを囲む男たちと同じように距離をとってふたりの前にいる。
だから、男たちにも聞こえるような声でなければ、朱姫には聞こえない。
「せ、栓をしてよ……。お、お願い」
「栓をどこにするんです、沙那姉さん?」
朱姫はわざとらしく恍けた。
「い、意地悪言わないでよ、朱姫──。お尻よ。お、お尻に栓をして……。肛門栓をしてよ。そうでないと、も、漏れちゃうのよ──」
沙那が悲痛な声をあげた。
朱姫は男たちの歓声を背にして、沙那の背後に回ると、沙那の腰の上に手を置き、肛門栓を肛門に近づけた。
肛門栓は沙那の肌と同じ色をしていて、膨らみかけた花の蕾のようなかたちをしている。大きさは赤ん坊の拳ほどだ。
「はうっ」
朱姫が肛門栓を沙那のお尻に接しさせると、あとは肛門栓が勝手に沙那の肛門に入り込んで栓をした。
宝玄仙の道術がこもっている霊具だ。
一度嵌めれば、誰かが道術を解放しなければ栓は抜けない。
三人にとってはお馴染みの栓だが、朱姫は沙那の肛門にそれが侵入する直前に、朱姫も霊気を加えてさらにいやらしい仕掛けを活性化してあげた。
もともとの機能なのだが、かなりの霊気を追加しなければ、活性化しない機能だ。
「ああっ、あっ、は、なに? なにこれ? ああっ、い、いやっ、いやよっ──」
沙那が突然狂ったように嬌声をあげだした。
「ど、どうしたのさ、沙那──?」
孫空女がびっくりして声をあげた。
「動いている……。栓が動いているの──。ああっ、あはあっ……」
沙那が全身を震わせて悶えはじめる。
その破廉恥な仕草に男たちが歓声をあげる。
「ふふふ……。沙那姉さん、肛門を締めつけてはいけませんよ。締めつければ、締めつけるほど、肛門栓の振動が強くなりますからね」
朱姫は意地悪く言った。
それが朱姫が活性化させた肛門栓の機能だ。
だが、激しい便意に襲われている沙那には、肛門に力を入れないことなど不可能なはずだ。
そして、振動によって便意が促進されればされるほど、沙那は無意識に肛門を締めつけて振動が強くなる。
「しゅ、朱姫、いまのは、お、お前の仕業だろう──」
孫空女が叫んだ。
「だったら、なんなんです、孫姉さん……? ほらっ、早く、沙那姉さんのためにも、股間を弄り合ってあげたらどうなんです。苦しんでいますよ」
朱姫は言った。
「くっ、くそう──。お前、いい加減にしないと、承知しないからね、朱姫」
孫空女が片手で持って『如意棒』をぐいと朱姫の顔に突きつける。
朱姫は一瞬だけたじろいだ。
孫空女は真剣に怒っているようだ。
もともとの怒りは宝玄仙へのこの理不尽な仕打ちなのだろうが、朱姫がそれに乗じた態度をとるものだから、その矛先が朱姫に向きかけているということだ。
沙那が激昂するのはよくあることだが、孫空女は仲間にあまり怒りを露わにしないから、孫空女が本当に腹をたてているということがわかる。
咄嗟に危険なものを感じて、朱姫はさらに後ずさって、男たちの人混みに完全に隠れた。同時に、孫空女に『影手』を送る。
「わっ、な、なに──?」
『如意棒』を突きつけていた孫空女は身体を反りかえらせて、顔を引きつらせた。
無理もない。朱姫が孫空女の身体に刻んだのは、たったひとつの『影手』だが、その影手はしっかりと孫空女のお尻の中に指を喰い込ませているのだ。
「怖い顔するとこうですよ、孫姉さん」
朱姫は孫空女の肛門深くに挿入させている『影手』の指をぐりぐりと動かしてやった。
「ああっ……はあんっ……わ、わかった……はあっ……。や、やめてよ──」
快感にお弱い孫空女は、たちまちにくねくねと身体を悶えさせる。
周囲から一斉に野次のような声が飛ぶ。
「こんなこともできますよ……」
朱姫は再び男たちの前に出てくると、新たな道術を込めながら言った。
「ひいいっ──」
孫空女の眼が見開き、全身が伸びあがる。
しかし、地面に張りついている脚が離れないので、孫空女は態勢を崩したようなかたちになった。
転びかけた孫空女を慌てた真っ赤な顔で悶えていた沙那が手を伸ばして支えた。
「な、なにをしたのよ、朱姫……。ああっ……、はんっ、やめて、お願いだから……」
孫空女を片手で支えている沙那も苦しそうに悶えている。
その間、孫空女の苦悩の悲鳴は続いている。
無理はない。
肛門に入り込んでいる『影手』の先から朱姫が道術で合成した浣腸液が注ぎ込まれているのだ。
「沙那姉さんだけが浣腸されているなんて、不公平ですからね。同じにしてあげましたよ……。じゃあ、そろそろ、始めてくださいよ。皆さん、お待ちかねなんですから」
朱姫は笑った。
そして、やっと孫空女のお尻に道術で注ぎ込む浣腸液をとめてあげた。
短い時間だが、かなりの量の浣腸液が注ぎ込まれたはずだ。
朱姫をもの凄い形相で睨む孫空女の顔は、みるみる蒼白くなり、そして、ぐるぐるとその下腹部が蠕動音をたてた。
「しょ、しょうがいない……」
孫空女は片手で剝き出しの乳房を隠していたのだが、片手で『如意棒』を持っているために、沙那の股間に手を入れるとなると、『如意棒』を離すか、隠している乳房から手を離すしかない。
どうするのかと思っていると、孫空女は、『如意棒』を右手から左手に持ち返ると、乳房を隠す手をおろして、沙那の身体側に手をおろした。
卑猥な言葉が一斉にかけられるが、孫空女は無視している。
沙那と孫空女は口惜しそうに少しだけ朱姫を睨んだが、すぐに諦めたようにお互いに顔を見合わせると、無言のままそれぞれ相手の前掛けに横から手を伸ばして、片手を前掛けの内側に入れた。
「ああっ」
「はんっ」
相手の股間を探るように手を伸ばしていた沙那と孫空女がほぼ同時に顔を歪めて小さな吐息をした。
相手の伸ばした手が股間の敏感な部分に触れたのだろう。
「や、やるよ、沙那……」
「う、うん、孫女……」
ふたりが声を掛け合う。
孫空女と沙那の手が激しく動き出した。
「おう──」
「始めたぞ──」
「いいぞ、奴隷女──」
ふたりが始めた痴態にまた大きな歓声があがる。
すぐにふたりとも反応し始めた。
どうしても腰を引くような姿勢になってしまうのか、お互いにへっぴり腰になりながらそれぞれの股間を弄くっている。
どんな場所をどんな風に愛撫しているのかは、前掛けに隠れて見えないのだが、ふたりとも断続的な嬌声をあげながら、小刻みな震えを続ける。
「随分と感じやすい女奴隷だなあ──」
「おうおう、もう、いきそうじゃねえか?」
男たちが言い合う。
その通り、感じやすいふたりは、わずかな時間でもう追い詰められた状態になった。
長い付き合いである朱姫にはそれがわかる。
「あはああっ──」
突然にがくがくと沙那の身体が揺れた。
沙那の全身が仰け反り、ぶるぶると震える。沙那がさっそく達したのは明らかだ。
前掛けの下から沙那の股間から流れ出た愛液が太腿に大量に漏れ出た。
「さ、沙那──」
孫空女がびくりとして沙那を刺激していた手をとめた。
どうやら、沙那もあっという間に快感が駆け昇ってしまい制御できなかったらしい。
もっとも、それは無理もない……。
沙那はただでさえ、感じやすい身体をしているが、股間の刺激だけじゃなく、肛門栓の振動の刺激も受けている。
早く達するのは当然なのだ。
「駄目ですよ、沙那姉さん……。一緒にいかないと道術は解けませんよ。声を掛け合って、同時に達するようにしないと駄目じゃないですか」
朱姫は言った。
すると快感の余韻に浸っている沙那が悔しそうに朱姫を睨んだ。
「ほらっ、沙那姉さん。呆けていたら孫姉さんが可哀そうですよ。沙那姉さんは栓をしているから洩れませんけど、孫姉さんは栓をしていないんですから、ゆっくりとしていると孫姉さんはここで垂れ流してしまいますよ」
「朱、朱姫……、お、お前、調子に乗って……」
沙那が怖ろしい形相で朱姫を睨んだが、こうなっては朱姫の言葉のとおりに、男たちの前で醜態を続けるしかない。
一方、孫空女はもう便意に追い詰められ始めたらしく、すっかりと口数は少なくなり、苦しそうに顔を歪めている。
「ご、ごめん、孫女……。も、もう一度……や、やりましょう……。うっ、うくうっ、ああ……」
沙那は言った。
「う、うん……」
孫空女が頷き、ふたりのお互いの恥部に対する愛撫が再開する。
それからはちょっとした見物だった。
案外同時に達するというのは難しいのだと朱姫も改めて思ったものだ。
ふたりは、なんとか同時に達しようとして、声を掛け合うのだが、なかなかうまくいなかかった。
次はまた沙那が最初に達してしまい、孫空女が取り残された。
その次は、なぜか孫空女があっという間に達してしまい沙那は乗り遅れた。
いま、ふたりの脚には足指の先まで愛液が滴り落ちている。全身は真っ赤に染まり、激しく喘ぎ声をあげながら、それでも懸命に声を掛け合って、次こそ一緒に絶頂しようと頑張っている。
「ま、まだ……。あっ、ああっ……。も、もうちょっと、待って……。い、いきそう……。少し、待って……ああはあっ」
「う、うん……。だったら、あたしに……もう、もう少し、刺激を──ああっ……」
「こ、こうっ──? だ、駄目……、ふわぁ……また、お尻が襲ってきたの……。うふううっ──」
「我慢して、沙那──。あたしももう少しだから……。ああ、いく、いく、いく……もうすぐ、いくっ」
「もう、ちょっと……。いつでもいい……。孫女、いいよ……ああ……孫女……いいわ……孫女……ああっ……」
「さ、沙那……あ、あたしも……あはあっ……さ、沙那……ああっ……はあ……さ、沙那……沙那……ああっ……」
ふたりであからさまに声を掛け合って愛撫の度合いを調整している様は、見ているこっちが赤面するほど卑猥で淫靡だ。
周りの男たちは大悦びで孫空女と沙那の狂態を見物している。
「いく、いくよっ、沙那──」
「あたしも……」
やがて、本当にふたりほぼ同時に、汗びっしょりの身体を激しく身震いさせた。
そして、お互いの股間にそれぞれの手を這わせたまま、あられのない姿を大勢の男の前に晒した。
「あはあっ──」
「くふうっ──」
孫空女と沙那のふたりは、情感に潤んだ美しい顔をふたりで宙に向けて大きな声で叫ぶと、そのままがっくりと身体を脱力させた。
ふたりが達すると同時に、道術が解けてほぼ同時にふたりともその場に崩れ落ちた。
そして、すぐに起きあがる。
「う、動いた……。さ、沙那、動いたよ──」
「ほ、本当だ──。だ、だめぇ……。お尻が──」
沙那がまた、肛門栓の責めに襲われたのか、宿屋の中に入りかけて、そのまましゃがんでしまった。
「あ、あたしは行くよ──。ほらっ、どけよ。見世物じゃないんだよ──」
孫空女が『如意棒』を振り回して、男たちを蹴散らしながら宿屋に引っ込んだ。
おそらく、そのまま厠に向かうのだろう。
「へへへ、あの怖い女がいなくなりゃあ……」
野次馬のひとりが、しゃがみ込んでいる沙那に覆いかぶさろうとした。
「うわっ」
叫んだのは沙那に抱きついた男の方だ。
沙那の肘が男の顔面にぶち当たって、呻き声とともに男は鼻血を噴き出して倒れた。
おそらく、鼻の骨が折れただろう。
男は気を失った状態で、二度、三度と後ろに転がっていった。
ほかの男たちが、その男の醜態に笑い転げた。
馬鹿な男だ……。
気の立っている沙那に手を出そうとするなど……。
「さあ、ご主人様のところに戻りましょう、沙那姉さん……。よく頑張りましたね。でも、素晴らしく淫靡でしたよ」
「わ、わたしも厠に行きたいのよ……」
朱姫に身体を支えられながら沙那は苦しそうに言った。
「残念ながら、この肛門栓は、外すときは、ご主人様でなければ外れませんよ。ご主人様の霊具ですから……」
もちろん嘘であるが、そっちの方が面白そうだ。
とにかく、被虐に遭っているときの沙那は、とてもきれいで可愛い。
朱姫がそう言うと、沙那はつらそうに顔を俯かせた。