「さて、じゃあ、
水晶は両手を下袍の前に強く当てたまま、ぎゅっと拳を握っていた。
下袍の下は、さっき権白狼に命じられて下着を脱いでいる。
なにもはいていないのだ。
その証拠に、水晶の下袍には外気が直接あたる感触が襲ってきている。
「どうした、奴隷の誓いだぞ それとも、婚約者の指を一本ずつ斬り落とさなけりゃあ、その気にならないか?」
酒の入った椀を持つ権白狼が、なにかの合図のように小さく指を立てた。
水晶ははっとした。
そしてすぐに、背後で天井から垂れた鎖で両手首を上にあげて拘束されている
「ら、雷雲様──」
水晶はびっくりして振り返った。
しかし、刃物のようなもので雷雲は襲われているわけではなかった。
雷雲の横に立っている男が雷雲のお尻になにかをしているような気配だ。
そして、水晶は股間を剝き出しにされ、怒張した男根を見世物のように曝け出させられている雷雲の姿にたまらない憐憫の気持ちを感じた。
あの股間のものは、なにか薬のようなもので無理矢理に勃起させられているのではないだろうか。
それが、あんな風に晒し者にされるのは耐えがたい屈辱に違いない。
そしてすぐに、水晶は恥ずかしさで眼を逸らせた。
なにをしているかわかったのだ。
雷雲の横にいる男は、床に打ち付けた木杭で足首を繋がれて、股を閉じられないようにされている雷雲のお尻の穴に指を入れているようだ。
しかも執拗になぶっては、雷雲に恥辱の悲鳴をあげさせている。
可哀そうな雷雲……。
もうこうなっては、自分と雷雲は終わりだろう。
この隊商の仕事が終われば、朱紫国にある故郷の城郭に戻って、すぐに祝言をあげるはずだった。
水晶の父親は故郷の指折りの大商人のひとりだ。
そのひとり娘にして、男勝りの水晶が、唯一自分の生涯の伴侶に相応しいと認めたのがこの雷雲だった。
道術遣いであり、また、頭もよく、曲がったことが大嫌いな真っ直ぐな男性で、人の上に立つ器もある。
残念ながらこのような賊徒の捕らわれ人になってしまったが、もしも、命が助かることがあれば、きっと人かどの人物になってくれるはずだ。
その妻として、彼と人生をともにすることを夢見たが、それはもう諦めた。
自分はここで賊徒の慰み者になって死ぬしかないだろう。
しかし、その代わりどうしても雷雲の命だけは救ってあげたい。
一時の恥はただの恥だ。命さえあればこの人は大丈夫……。
そう思った。
自分の命と引き換えにこの雷雲だけは救いたい。
だが一方で、こんなことなら雷雲に身体を許しておけばよかったとも思った。
自分がここでこの賊徒たちに犯されるのは間違いない。
だが、せめて、雷雲が人生で最初の男であったならば、これから汚された挙句に死ぬであろう自分の心も少しは慰められたのではないだろうか。
「頭領、こりゃあ、女をなぶりよりも面白いかもしれませんよ。こいつの一物はますます勃起がでかくなったような気がしませんか?」
男が笑うのが聞こえた。
水晶はただ顔を伏せたままでいた。
「どうした、水晶……。ちゃんと見てやれよ。お前の男になるはずだった男根だ。生娘のうちにしっかりと別れを告げてやれ」
権白狼が言った。
しかし、水晶は顔をあげられないでいた。
そして、哀れな声をあげている雷雲に背を向けて震えていた。
すると権白狼が不機嫌そうに鼻を鳴らした。
「おい、秀、まずは足の指を一本斬れ──」
権白狼が言った。
「ま、待ってください──。そ、そんな……。後生です。それは許して──」
「やかましい──。お前はさっきから、そうやって突っ立ったままじゃねえか。俺は命令に従わなければそいつの命をもらうと言ったはすだ。お前の命も、お前の婚約者の命も俺の指ひとつだ──。それを忘れるな──。やれっ、秀」
権白狼が言った。
「そういうことらしいぜ。じゃあ、まずは足の親指にしてやるぜ……。ここには、すぐに傷を塞いでしまう塗り薬の魔薬もあるからな……。仮に二の腕を切断されても死ぬことなんかできねえから心配すんなよ、へへ……」
秀と呼ばれた男が、拘束されている雷雲の左の足首を掴み、腰の後ろから小刀をさっと取り出す。
そして、いきなり小刀を床に叩きつけた。
「んんんんんっ──」
雷雲が猿ぐつわの下で悲鳴をあげた。
床にころころと雷雲の左足から離れた足の親指が転がる。
大量の血が床に噴き出す。
「いやああっ──」
水晶は絶叫した。
すぐに雷雲のもとに、ほかの誰かが駆け寄る。
血が噴き出している親指の付け根になにかの塗り薬をまぶす。
するとさっきまで血が流れていた傷口があっという間に塞がった。
あれが傷口をたちまちに塞ぐという魔薬なのだろう。
雷雲の左の足の親指の部分は、皮膚のような膜ができて完全に傷はなくなっている。
水晶は驚いた。
「なにやってるんだ、水晶──。下袍を捲りあげて奴隷の誓いだろうが──。それとも、本当にそいつの一物を斬り落とさせるぞ──」
権白狼が怒鳴った。
水晶はもう覚悟を決めた。
下袍の裾を両手で持つ。
一度息を吸った。
そして、股間まで捲りあげる。
水晶は死ぬような思いで下袍ん捲りあげて下着を身につけていない股間を晒した。
だが、権白狼が嘲笑った。
「なんだ、それは? もっと捲りあげろ。毛が見えるか見えないかじゃねえか……。さっさとしろ。もう、二度とは言わねえぞ」
権白狼が言った。
水晶は悔しさと恥ずかしさで、自分の眼からつっと涙が流れるのがわかった。
股間に置いている下袍の裾を持つ手を臍まで持ちあげる。
「おおっ、やっと出したな」
権白狼の声とともに、どっと部屋にいる男たちが湧いた。
後ろで雷雲が呻くような声をあげた。
「じゃあ、奴隷の誓いだ。俺の性奴隷なって身体のすべての穴という穴を犯してくださいと言いな」
権白狼は言った。
水晶は、すっと気が遠くなるような恥辱感を覚えながら口を開く。
「……わ、わたしは……ご、権白狼さまの性奴隷に……なることを……誓います……」
水晶はやっとのことそう言った。
「穴という穴を犯してくださいだろうが──? ちまちまとやってるんじゃねええよ。後がつかえてるんだ。お前はこれからここで、その婚約者の眼の前で俺に犯されるんだよ。眼の見えねえこいつに、はっきりと聞こえるように大きな声で言え──」
権白狼は手に持っていた酒をぐいと呷ると、隣にいる男に杯を足させた。
「……す、水晶の……あ、穴という……穴は、権白狼様のものです……。どうか、性奴隷として仕えさせてください──。ああ、その代わり、雷雲殿だけは──。雷雲殿をお助け下さい。この通りでございます」
水晶は一気呵成に言うと、込みあがった感情に耐えられずにわっと泣き出した。
「泣いている暇はねえぞ……。じゃあ、さっそく、その場で素っ裸になってもらおうか──。お前ら十まで数をかぞえろ……。十までに素っ裸になっていなければ──秀、今度はそのやさ男のどっちかの手の親指を斬れ」
「わかりやした、頭領」
水晶は驚いて振り返った。
秀が手をあげて、雷雲の上方に掲げている一方の親指を掴んで小刀の刃を当てている。
「一……」
すると部屋のいる男たちの合唱が始まった。
水晶は慌てて、手に持っていた下袍の腰紐に手をかけた。
『二』
「三」
「四」
やっと紐を解く終わり、下袍を足元に落とす。
「五……」
すでに半分終わった。
水晶は上衣に手をかけた……。
懸命に脱いだが、下袍に比べて、水晶の着ている服は紐や留め金が多い。
ほとんど引き千切るように上衣を脱ぎ、中衣を脱ぐ。
最後に残った胸当てを引き千切ったときには、もう十を数え終わる瞬間だった。
「脱ぎました──。脱ぎました──」
水晶は胸と股間を両手で隠しながら必死に叫んだ。
「まあいい……。少しばかり遅れたがおまけだ──。だが、その代わり指をもらう代わりに、秀にあいつの犯させることにするか……。まあ、指を斬られるよりもましだろうしな──」
「そんな、権白狼様──。もう、わたしはどうなっても構いません。こうなった以上、覚悟もしました。だから、雷雲殿に淫らなことをするのはやめてください……。そして、どうか、雷雲殿をこの部屋から出してください──。雷雲殿の前で抱かれるなど、あまりにも惨めすぎます──」
水晶はまたわっと泣いた。
「なにを言いやがる。これは、あいつに大勢の部下をやられた仕返しでもあるんだ。お前には、あの男が悔し泣きするほどに大声でよがってもらうからな──。おい、誰でもいい。この水晶をあの道術遣いの前に連れていけ」
「ま、待って――」
「うるせい――。そして、男の前でその水晶に一度気をやらせるんだ──。それに、もうひとりかふたりは秀を手伝ってやれ。あのやさ男の上衣も剥ぎ取って尻だけじゃなくて、肉棒や乳首も擦ってやれ。お互いに向い合せにして気をさせて恥をかかせてやるのだ……」
「そ、そんな……」
水晶は絶句した。
「これから、別々に犯されるふたりだ。お互いを抱くことはかなわなかったが、せめて一緒に気はやらせてやろう。それは婚約者同士だったこのふたりに対する俺からの慈悲だ」
権白狼が愉しそうに言った。
部屋の男たちがわっと声をあげて、水晶と雷雲にそれぞれに群がってくる。
水晶は拘束されていないものの、雷雲に刃物を向けられていては抵抗することもできない。
それにこれだけの人数の男に素っ裸の身体を囲まれて、どうすることもできない。
水晶は恥らうことも許されずに、雷雲を向かい合うように立たされた。
「へへへ、頭領の言いつけだからな……。俺たちがうんとあんたの身体をほぐしてやるよ……。まあ、これからは、うんと愉しむつもりになりな。そうしなきゃ損だぜ。この婚約者が悔しがるようないい声で泣いてくれよ」
五、六人の男が水晶の身体に群がって、水晶の身体のあちこちを擦り始めた。
水晶は背中で左手首を右手で握るように命じられて、そのようにする。
抵抗すれば、また、眼の前の雷雲に刃物を向けるのは間違いない。
その雷雲も秀をはじめとする数名の男たちに、刃物で上衣を剥ぎ取られている。
そして、水晶と同じように全身を撫でさすられて、火で焼かれているかのような声をあげている。
「うんっ」
水晶は思わず声をあげそうになり、口をつぐんで耐えた。
両方の乳首を別々の男たちが、ちゅうちゅうと音をたてて吸い出したのだ。
また、別の手はこれも閉じることを許されない内腿に手をやって優しささえも感じるような手管で揉みほぐされていた。
さらに乳房に手が伸びて揉まれ始める。
股間にも手が加わる。
おかしな声が出そうになる。
水晶は自分の身体の変化にびっくりした。
なにが起きているのかわからない。
たくさんの男たちに全身の敏感な場所を繰り返し撫ぜられることで不思議なものが込みあがってくる。
自然と自分の口から甘い息とともに変な声があがって、水晶は驚いた。懸命に唇を噛む。
犯されるのは覚悟もしているし、辱められるのももういい。
だが、これからほかの男たちに犯されようとしている自分についての雷雲へのせめてものお詫びに、雷雲の前でおかしな声を出すことだけは避けたい。
「ほう、声を出すのは我慢したいのか……? なら、やってみるんだな……。だが、あんたの婚約者はすっかりといい気持ちになっているようだぜ」
誰かが水晶の反応に気がついて意地の悪い声をかけるとともに耳を舐め始めた。
全身にぞわぞわと怖気が走った。
その男のいう通り、眼の前の雷雲は乳首と男根とお尻を三人ほどの男から同時に刺激を受けて吠えるような声をあげている。
水晶は慌てて眼をつぶった。
だが、耳には雷雲の悶えるような声がどうしても耳に入ってくる。
その声を眼の前で聞かされる水晶もまた、込みあがる声に耐え、そしてどんどん熱を帯びる身体をうねり舞いさせていた。
いつしか水晶に群がる男たちの手は乳房よりも下側に移動していた。
誰かの指が水晶の恥毛をまさぐり、その中から敏感な小さな突起をくるくると回した。
「ああ──」
その瞬間、水晶はまるで電撃でも帯びたような衝撃を感じた。水晶は首をのけぞらせて、吠えるような声をあげてしまった
周囲の男たちがどっと沸く。
水晶は懸命に口を閉じた。こんな卑劣な男たちによって裸身を弄ばれるのは、耐えようのない嫌悪感だ。
だが、それに混じって、なにかに胸を締めつけられるような切ない情感も全身を支配していく気がする。
それがなになのか水晶にはわからなかった。
もう、眼の前の雷雲を気遣う余裕が水晶にはなくなった。
それよりもなんだかわからない大きな波のようなものが股間の奥からあがっては全身を通り過ぎ、また股間から込みあがって突き抜けていく。
「あふうっ……、や、やめて……」
水晶は泣くような声をあげてしまった。
だが、その声はおおっという大勢の男たちの声でかき消された。
「水晶、眼を開けろ──。雷雲から眼を離すと、雷雲を殺すぞ」
いつの間にかそばにいた権白狼が言った。
水晶は眼を開ける。
「ああっ……雷雲殿……」
眼の前の雷雲は号泣していた。その周りで男たちがげらげらと笑っている。
雷雲の股間の下には雷雲の股間から噴き出したに違いない白濁液が落ちている。
無理矢理に凝視するように命令された雷雲の股間には、たったいま出した精液のなごりがべっとりとついていた。
それを見て、なにかの感情が水晶を襲った。
また水晶の全身を男たちがまさぐる。
なにかが襲いかかる。
水晶は悶え泣いた。
これが快楽というものか……。
水晶は思った。
そして、その被虐的な感覚を振り払おうと、水晶は全身を必死に揺さぶった。
いつの間にか、身体は痺れ切り、力が抜けている。
そして身体が熱い。
全身を寄ってたかってなぶられる……。
「ああ、おかしくなる──。これはなにっ? なんなのです──あ、あああ……」
水晶は声をあげた、
込みあがる……。
なんだ、これは……?
水晶の乳首、乳房、股間。
そして、肛門にまで男たちの手が愛撫を続けている。
それだけではなく、内腿や脇の下、うなじに耳……。
ありとあらゆる場所に男たちの指や舌が這い回っている。
そして、強烈で巨大ななにかが弾けた。
「あはああっ……」
水晶の全身ががくがくと震えた。
得体の知れない熱くて大きなものが水晶の全身を突然に突き抜けていった──。