「あはっ」
そして、思わずしゃがみそうになるのを耐える。
『振動片』は一寸(約三センチ)四方の小さな薄い布片であり、結婚の儀の直前に雷雲によって装着されたものだ。
道術のこもっている淫具であり、水晶の局部に載せるときゅっと肉芽と乳首を包み込むように縮まった。
そして、それは雷雲の意思によって自在に振動をさせることができるようであり、実際に水晶は儀式が開始されてから、ずっとその淫具を使った雷雲に翻弄されていた。
そんな淫具を水晶に装着させた雷雲は、嬉しそうな表情をして水晶をこの結婚の儀に連れ出したのだ。
結婚の儀というのは、雷雲によれば道術遣いにとっては大切な誓いの行為らしい。
たとえ、こんな盗賊団の砦で質素に行われたとしても、それは道術遣いの人生の大きな転換点として位置づけられるもののようだ。
それを宝玄仙が主催してくれることになり、水晶は雷雲とともに、その儀式に出ることになった。
だが、その厳かなはずの儀式の場で、水晶はこの淫具に責めたてられている。
服の下に隠されているとはいえ、厳かな式典の間、股間や乳首に貼りつけられた『振動片』が淫らに責め続けるのだ。
振動が小さくなったかと思えば、突然に激しく動いたり、そうかと思えばぴたりととまって、ほっと息をすれば、また、最高度で動きだす……。
振動が変化する度に翻弄され、水晶はその都度、恨めしく雷雲を見るのだが、雷雲は涼しい顔だ。
そして、また、責められる……。
水晶の緊張感は限界まで高まり、気の遠くなるような恥ずかしさが襲ってくる。
もう許して――。
何度も心の中で訴えるが、どうしてもそれが口から出てこない。
抗議の言葉を雷雲に禁止されているというのもあるが、こんな淫具を貼りつけて厳粛な式に参加させるという雷雲の行為に対し、激しい怒りが沸き起こっていいとも思うのだが、全くそんな気にはならないのだ。
それが朱姫に与えられたという性癖解放の暗示によるものなのか、それとも、水晶のもって生まれた淫乱な性質によるものかはわからない。
しかし、そうやって与えられる恥辱的な仕打ちに悦びを感じている自分がいることは事実だ。
だから、水晶はそんな雷雲の行為をどうしても拒絶できない。
ただただ、雷雲が道術で気紛れのように強くしたり、弱くしたりする振動の衝撃に必死に耐えるだけだ。
そうしているうちに、いつしか、水晶の全身の体内の官能のうねりは強烈な波となって水晶の身体を駆け廻り、その霊具の責めに完全に酔った心地になっていた。
水晶は振動が強くなるたびに四肢に鋭い愉悦が響き渡ってしまい、漏れそうになる声を噛み殺さねばならなかった。
そして、さっき、ついに立ったまま気をやった……。
股間から奔流のような快感が弾け飛び、下着を許されていない股間からどっと愛液が内腿に垂れ落ちるのがわかった。
慌てて脚を閉じたが、かなりの量の愛液が垂れ落ちている。
サンダル履きの足の指に自分の股間から流れた愛液がまとわりつく情けなさでそれがわかる。
思わず水晶は、顔をあげて前に立って儀式を進行している宝玄仙を見た。
水晶を見てにやにやと笑っている。
きっと水晶の痴態に気がついたに違いない。
ふと見るとその横の沙那と孫空女も気の毒そうな表情をこちらに向けている。
はしたなく気をやるのを見られた……。
水晶の中に羞恥が拡がって、かっと熱いものが込みあがる。
だが、忌々しいことに、それは悪いものではなかった。
羞恥が身体を席巻すると、水晶の身体は宙に浮遊しているような不思議な感覚になる。
じんと身体が痺れてなにもかもどうでもよくなるのだ。
水晶は苛められると快感を覚える女……。
そんなことを考えたこともなかったし、そんな性癖が存在することなど知らなかったが、朱姫が言い、雷雲がそう言った。
自分は苛められて興奮するような女だ……。
心の中でそう呟いてみる。
否定したくても、否定できない自分がいる。
雷雲に淫らに責められて、生涯をこうやって激しい羞恥に浸って過ごす……。
そう思っただけで、身体がどうしても欲望で震えるのだ。
否定したくても、それが厳然たる事実だ。
水晶はそれを認めざるを得なかった。
確かに、自分は苛められて興奮するような女だ……。
昨日、賊徒たちの凌辱から解放された後、絶望して死を考えていた水晶に雷雲はこう言った。
お前は俺の奴隷妻だ――と……。
その雷雲の言葉は、気が遠くなるほどの幸せな響きだった。
雷雲の奴隷妻……。
侮辱的なことを言われているのに、まったくそれが屈辱とは感じなかった。
それよりも、雷雲の生涯の性奴隷になれと言われて、その言葉だけで達してしまうような強烈な甘美感が水晶を襲った。
そして、昨夜――。
水晶は初めて雷雲に抱かれた。
この部屋で朱姫の術式による心の回復を図るための『縛心術』とかいう施術を受けた後、沙那と孫空女を抱き終わってやってきた雷雲に、この集会場に接する他の部屋に連れていかれたのだ。
雷雲がほかの女を抱いたということについて、なぜか水晶には嫉妬のような感情は湧かなかった。
それよりも、雷雲という婚約者がありながら、ここの賊徒に抱かれ、しかも快感を覚えてしまった自分の負い目のようなものがなくなり、ほっとした感情しか起きなかった。
そして、水晶は雷雲に嗜虐的に責められた。
水晶を別室に連れていった雷雲は、自分はこんな性癖の変態男だと告白しながら、まずは水晶の両手首を縛って、その縄尻を天井の金具に繋げて、水晶の手首を天井に吊りあげた。
次に、水晶の服を剥ぎ、後ろから責めたてたのだ。
水晶はその惨めな抱かれ方に血が沸騰するほどの興奮を覚えた。
同じ抱き方でも賊徒が相手のときは、魂が破けるような苦しさだったのに、それが雷雲になると、水晶は途方もない快美感に襲われた。
雷雲がなぜ、そんな抱き方をしようとしたのか水晶にはすぐにわかった。
その恰好は賊徒たちが水晶の破瓜を奪って輪姦したときの抱き方だからだ。
雷雲は、それと同じ抱き方をすることによって、水晶の悪しき記憶を塗り替えようとしているのだ。
そして、その通り、水晶は、賊徒たちに勝るその雷雲の乱暴で激しい抱き方に完全に我を忘れた。
同じように抱かれても、まったく賊徒たちのことは思い出さなかった。
雷雲の肉棒を背後から獣のように挿され、女陰に精を放ってもらったときには、身体が完全に弛緩して、身体が空中に浮遊するような錯覚に陥った。
縄を解かれてからも、寝台ではなく床の上に身体を横たえられて雷雲に抱かれた。
淫乱な雌豚だと雷雲から罵られて興奮し、何度も水晶は絶頂して大きな声で吠えて狂乱した。
おそらく最後には失神したのだと思う。
最後に覚えているのは、お前は俺の物だと叫びながら、雷雲が何度目かの精を水晶に放ったときだ。
水晶は天に昇るような幸福感を覚えながらだんだんと意識を失っていった……。
そのとき思ったのは、賊徒たちに与えられた愉悦など、この雷雲から与えられるものに比べれば快感でもなんでもなかったということだ。
この快感のためならなにを犠牲にしても構わない。
雷雲の奴隷になりたい。
それが自分の望みであり、隠れていた性癖なのだとはっきりと悟った。
本当に心からそう思った。
「水晶、ここからは大事な話さ。聞いているかい?」
宝玄仙が大きな声をあげた。
水晶は思念から覚めてはっとした。
気がつくと、股間と乳首の『振動片』もとまっている。
「は、はい……」
水晶は慌てて言った。宝玄仙は苦笑している。
霊具による責めがなくなると、急に水晶の心に冷静さが戻ってきた。
気がつくと、水晶の股間は信じられないくらいに濡れている。
惨めさと羞恥が蘇ったが、まだ痺れるような快感の余韻のような感覚は続いている。
おそらく自分は凄く淫らな表情をしているに違いない。そう思うと恥ずかしくなり顔を伏せてしまった。
だが、同時に自分にこんな仕打ちをした雷雲は、どんな意地悪な顔をしているのだろうとふと思った。
それで、ゆっくりと顔をあげて、雷雲の顔を下から覗き込んでみた。
すると、雷雲と視線が合った……。
雷雲は一度水晶に悪戯を詫びるような笑みをしたかと思うと、これまでに見たこともないような真剣な顔になった。
その表情に驚いて、水晶も慌てて表情を繕うと視線を宝玄仙に向けた。
「さて、雷雲、お前は道術遣いだからわかっているとは思うけど、水晶のこともあるし、この結婚の儀のことを改めて説明しておくよ……」
宝玄仙が言った。
これまでと一変して、真剣な表情だ。
水晶にもその不思議な緊張感が伝わってくる。
「……結婚の儀は、道術遣いにとっては絶対に破棄できない心の誓いだ。結婚の儀を結べば、心が道術に拘束されてしまい支配される。いかなることがあっても、相手を裏切ることなどできないし、それは死んでも続く」
「えっ?」
思わず声が出た。
水晶は慌てて口をつぐむ。
「つまり、道術に心を支配されるということだ。それを嫌う者もいるし、それは当然だと思う……。ある意味では呪いと同じだからね。それでも、雷雲はこの水晶を生涯の伴侶とすることを誓うかい?」
「誓う」
雷雲は即答した。
水晶は少なからず驚いた。
結婚の儀というのは、単なる結婚の式典だと思っていたのだ。
道術の拘束とか、呪いとか、心が支配されるとかいう言葉で表現できるような物騒なものとは思わなかったのだ。
だが、雷雲は躊躇うことなく合意した。
水晶はたじろぐような感動を覚えた。
「結構だね……。さて、水晶、お前は、道術遣いではなくて霊気を持たないただの人間だ。本来は霊気を持たない人間には、道術契約の拘束は効かないが、この結婚の儀だけは別だ。一度誓えば、同じ拘束がお前にも及ぶ。誓ってしまえば、道術の力には抵抗できなくなるんだ。例えば、お前のこれからの人生で、本当に心の伴侶に相応しい者が現われても、その男を好きになることができなくなる……」
「はい……」
「誓ってしまえば、一生、この変態男の妻だよ。それでもいいなら誓うんだ。だが、少しでも躊躇いがあるなら誓わなくていい。結婚の儀式を道術遣いの『結婚の儀』にしようというのは、この雷雲の我が儘なんだからね。雷雲にだけ、お前を裏切れないように心を誓わせて、お前は、誓った振りをすることもできる……。むしろ、わたしはそうすべきと思うがね……」
「えっ?」
水晶は思わず言った。
「雷雲、反対を向きな……。そして、水晶は両手を胸の前で組むんだ」
宝玄仙は言った。
雷雲はくるりと反転して宝玄仙に背を向けた。
水晶は首を傾げながら、言われた通りに手を胸の前で組む。
「水晶……。よく、お聞き。お前は拒否してもいい。道術で愛情を縛るなんていうのはわたしは邪道だと思う。雷雲がそうしたいのは単なる我が儘だから、それは勝手にやらせておくさ――」
「そ、そんな……」
「だが、お前が少しでも気が進まなければ、結婚の儀をお互いに結んだように偽装してやるよ。どうせ、雷雲にはわかりはしない。それで、この男に嫌気がきたら捨てればいいさ」
「ほ、宝玄仙殿……」
反対を向いている雷雲が困惑した声をあげた。
「お前は黙ってな、雷雲――。わたしは、水晶に話しかけているんだ」
宝玄仙は怒鳴った。
そして、再び水晶に視線を向ける。
「水晶、誓いを拒否するなら胸の前で組んだ手をほんの少し下に降ろすんだ。誓いに応じるなら上だ。どちらに動かしても雷雲にはわからない。さあ、どうする……?」
宝玄仙は言った。
水晶は思わず頬が綻んだ。
「……だったら、雷雲殿には言わないでくださいね」
水晶は思わず悪戯心が芽生えて、わざとそう言った。
そして、組んだ手をはっきりと上にあげた。
「雷雲、こっちを向きな」
雷雲が向き直りながら、ちらりと水晶を見た。
視線が合った。
その不安そうな表情が面白い。
「天帝の名代にして八仙が宝玄仙の名において、このふたりに結婚の儀を結ぶ――。誓いはここに結ばれた――」
宝玄仙が大きな声で宣言した。
なんだか熱いものが身体を包むのがわかった。
これが道術の誓いを受け入れたということだろうか。
水晶はほんの少しの時間、呆然としていた。
「さて、次は、奴隷妻の儀式だよ――。水晶、この卓に横になりな。沙那、孫空女、押さえつけるんだ――。さあ、雷雲は、この祭壇で水晶を犯しな。それが奴隷妻の儀式さ」
宝玄仙が急に陽気な声をあげて、祭壇の上の物を手で床に払い除けた。
「えっ、ここで――?」
水晶はびっくりした。
しかし、その水晶の身体を宝玄仙が笑いながら台の上に仰向けに押し倒した。
「ほら、お前たち、水晶を押さえるんだよ。水晶を裸にしな――」
宝玄仙が叫んだ。
沙那と孫空女が嘆息しながら水晶を両側から押さえた。
「きゃあ――。ちょ、ちょっと待ってください――。こんなところで……。か、堪忍して……。ま、待ってください。心の準備が……」
水晶は悲鳴をあげた。
「ごめんね、水晶」
「悪いけど、あたしらはご主人様に逆らえないんだよ、水晶」
その水晶を左右から沙那と孫空女が押さえつける。
「それは、聞いていませんよ、宝玄仙殿。いまから、始めるとなると、今日の出発が……」
雷雲が苦笑する声が聞こえた。
「なに言ってんだい、雷雲――。どうせ、安全を考えて、朱紫国の国境近くまで、『移動術』で何度かに分けて跳躍するとか言っていたじゃないかい。『移動術』の跳躍先の結界があるならわたしの霊気を貸してやるよ。そうすれば、霊気を貯めながら五日ほどかかる旅が一瞬だよ。出発は夕方でもいいさ。それでも今日の夜は朱紫国の国境近くの宿町に泊まれるよ」
「仕方ないですねえ……。じやあ、そういうわけだから、水晶、悪いがここでいき狂ってくれ」
雷雲が事も無げに言った。
「ひいっ」
突然に?再び『振動片』が激しく動いた。
水晶の全身から抵抗の力が抜ける。
そして、全員の手が水晶の身体のあちこちに伸びる。
「朱姫と
宝玄仙が声をあげる。
「じゃあ、香蛾さんは水晶さんの履き物を脱がせて、足の指を舐めてあげてよ。あたしは口を吸います」
朱姫が愉しそうにそう言い、そして、頭側にやってきた朱姫から水晶は唇を奪われた。
水晶の舌を朱姫の舌が這い、口の上下を刺激し、唾液が啜られる。
びっくりするような上手な口づけだ。
たちまちに蕩けるような疼きが水晶の全身に拡がり出す。
「な、舐めますね……」
足元から香蛾の控えめな声がした――。
足の指と指の間を香蛾の舌が動きだす。
「あはあっ――」
耐えきれなくなり、水晶は声をあげた。
その身体に八本の手が伸びて、水晶の身体から服を剥ぎ取り、全身を愛撫し始めた。
さらに、『振動片』の刺激だ。
たくさんの愛撫による快感が一度に襲う。
「台の四隅に手足を縛りな、お前たち」
宝玄仙が愉しそうに言った。
その間も全身を手や舌の責めが襲っている。
「雷雲、なにやってんだい――。さっさと、下袴を脱いで、お前の奴隷妻を犯しな。いつどこでも、亭主が望めば股を開く……。それが奴隷妻だとしっかりとここで自覚させるんだよ」
宝玄仙が笑いながら怒鳴った。
「やれやれ……」
水晶の脚の間に立っている雷雲が、笑いながら下袴を下げる気配がする。
沙那と孫空女が水晶の膝を持って左右に大きく開かせた。
水晶は悲鳴をあげた。
しかし、『振動片』の刺激で脱力させられ、身体中を愛撫されている水晶には、それに抵抗することができない。
「んんんんっ――」
股間に雷雲の一物が挿さってくるのがわかった。
女陰深くに突き刺さってくる。
その衝撃に水晶は堪らず、朱姫によって塞がれている口から大きな声を洩らした。
濡れきっている水晶の膣はしっかりと雷雲のものを根元まで受けとめる。
耐えきれないものがあっという間にやってきた。
口、うなじ、乳房、乳首、脇、肉芽、腰の括れ、臍、足の指……。
ありとあらゆる性感帯が同時に刺激される。
お尻の穴さえも誰かの指が挿入されて内襞を刺激されている。
それが愛しい雷雲の怒張によって子宮まで圧迫されるほどの挿入をされながら与えられるのだ。
この世にこんなに気持ちのいい瞬間があるとは、信じられないくらいの凄まじい愉悦だった。
水晶は朱姫に襲われている口の中で激しい声をあげながら、身体を弓なりに仰け反らせた。
雷雲の男根の律動が激しい。
気持ちいい……。
それ以外の一切のことが頭から消える。
脳髄まで溶けるような絶頂の強打に、水晶は、肉という肉、骨という骨が砕けてしまうような快感に襲われながら、目の前が真っ白い光で包まれていくのを知覚した……。