「ご主人様、お尻の穴を拡げる器具を貸してください」
朱姫が言った。
沙那はすっかりと諦めて、朱姫のするままに任せていた。
宝玄仙のいつもの調教だった。
宿屋に入って夕食が終われば、あとは宝玄仙の気儘により、嗜虐の犠牲になる者が指名される。
今夜は沙那だった。
あからさまにほっとしている孫空女を横目に、沙那は一度嘆息すると、素直に身に着けている物を次々に脱いで素裸になった。
そして、着ているものを畳んで部屋の隅に置き、罪人のように沙那は両手で背中に回して、宝玄仙にに背中を向ける。
もう、すっかりと諦めの境地だ。
しかし、その宝玄仙は、自分では沙那に縄掛けせずに、朱姫に縄掛けを命じた。
嫌な予感がしたが抵抗は無意味でしかない。
その沙那に朱姫が喜々として縄をかけていく。
縄掛けしながら、朱姫が宝玄仙に言ったのは、今夜は趣向があるので、沙那の責めを自分にさせて欲しいということだった。
なんで、お前が責め側に回るのだと抗議したいのを我慢して、沙那は朱姫の「おねだり」を黙って聞いていた。
抗議したところで、朱姫のやることを面白がる宝玄仙は許すだろうし、結果は同じことなのだ。
笑って朱姫に、沙那への責めを許した宝玄仙は、椅子に腰かけて見物の態勢になった。
一方で朱姫は、沙那の腕の緊縛を終えると、さらに沙那に床の上で胡坐に座らせて、その脚が解けないように膝と足首を縛ってしまった。
さらに、足首を縛った縄に縄を足し、首にひと回しすると、朱姫は沙那の上半身を足首に近づけるように固定した。
その沙那の身体を朱姫は、ごろりと顔を前に倒すようにひっくり返した。
すると、
さすがの沙那も、胡坐に縛られた脚をひっくり返されて、ふたつの秘孔を明るい照明の下に曝け出さされる羞恥に身体を震わせた。
しかし、その沙那の肛門をさらに器具で拡げると朱姫は言い出したのだ。
沙那は自分の顔が引きつるのを感じた。
「これかい?」
宝玄仙が愉しそうに朱姫になにかを渡す気配がした。
「じゃあ、力を抜いてくださいね、沙那姉さん。さもないと、沙那姉さんの嫌いな羞恥責めにしちゃいますよ。このまま、道術でどこかに運んじゃいますよ」
朱姫が笑った。
「ち、力抜いているわよ──。か、勝手にすればいいじゃない──。そ、それよりも、あんた、明日はちゃんと仕返しするわよ。それ考えてやるのよ。酷いことしたら、仕返しよ──。いいわね」
沙那は床に顔を押しつけたまま、懸命に言った。
朱姫の脅しがはったりでもなんでもないことを沙那は身をもって知っている。
本当にこの朱姫は、全裸で拘束して沙那を道術で跳躍させて、酔客で賑わう酒場街の路地裏に放置したりするのだ。
そんな目に遭ったことは一度や二度ではない。
とにかく、あの「羞恥責め」という全裸放置は、沙那の一番嫌な責めだ。
拘束されて身動きできない身体を酔客が近づくのを怯えながら、ただひとりで耐えるのは、考えただけでも怖ろしい。
いずれにしても、この調子乗りの娘には、打てる釘は刺しておかないとなにをするかわからない。
「なにか、趣向がありそうだねえ、朱姫」
宝玄仙が笑った。
その宝玄仙は椅子に腰掛けて、すっかりと見物の態勢だ。
一方で孫空女は、少し距離をとって入り口側の寝台に腰掛けている。
なるべく、離れて関与しないように努めているのかのようだ。
「夕方、宿町の通りで、安い値で売っているんを見たんです、ご主人様──。あたし、ぴんと来ちゃいました」
なにがぴんとだ……。
顔を床につけた状態にある沙那には、朱姫がなにを取り出したのかは見えない。
ただ、強いられた窮屈な姿勢で、朱姫が愉しそうに宝玄仙に応じるのを心の中で舌打ちをしながら聞いていた。
なにを購ってきたかわからないが、碌でもないことを思いついたことだけは確かだろう……。
そう言えば、朱姫は、夕食前に麻袋に入ったなにかを購って来ていた。
すぐに隠してししまったので、どんなものを買って来たのか、沙那にはわからないが……。
「じゃあ、肛門を拡げますね、沙那姉さん」
朱姫が言った。
「あっ」
思わず声が出た。
冷たい金属の器具が肛門に突き挿されたのだ。
肛門を拡げる器具と言っていたから、鳥のくちばしのかたちをしたあの器具だろう。
それを肛門や女陰に挿入して、手元のねじを回すと、くちばしの部分が拡がって、大きく穴が拡がるのだ。
「くっ……」
すぐに肛門を金属の器具で無理矢理に拡げられる痛みがやってきた。
尻の奥に風が当たる気味の悪い感触が襲ってくる。
「ふふ……、ちゃんとお尻の穴を掃除してありますね……。さすがは、沙那姉さんです。あたしたちの先輩奴隷ですね」
朱姫がからかうような声をかけてくる。
「う、うるさいわねえ……。あんたもやっているでしょう──」
かっとなって怒鳴った。
沙那だって、やりたくて、いつもお尻の穴を指で洗って、綺麗にするように努めているわけではない。
そうしておかないと、肛門を責めるのが好きな宝玄仙が罰を与えるので、仕方なくやっているのだ。
それに、それが女の当たり前の女のたしなみだとも教えられている。
とにかく、朝の出発前に、宝玄仙から与えられた洗い粉で、三人で尻穴を洗うのは、毎日の決められた日課だ。
「さあ、準備ができましたよ。じゃあ、沙那姉さん、始めますよ……」
朱姫が後ろでくすくすと笑った。
「ええっ──。そ、そんなもの入れるの──?」
孫空女の大声がした。
沙那には、自分の背後でなにが行われているのかが見えない。
しかし、孫空女としては、こういうときには、呼ばれるまで一切関わらないように、息をつめて隅でじっとしているのが通常だ。
その孫空女が思わず、悲鳴のような声をあげた……。
大抵のことには、動じない孫空女の叫び声に、沙那はとても嫌な予感がした。
「そうですよ、孫姉さん──。じゃあ、沙那姉さんを押さえてください」
朱姫が言った。
「で、でも……」
孫空女は狼狽えている。
その様子が沙那にとてつもない不安を与える。
「ぐずぐずするんじゃないよ、孫空女──。なんだったら、沙那と交代してもいいんだよ」
宝玄仙が一喝した。
「や、やるよ、やるから……。じゃあ、ご免ね、沙那」
孫空女の両手ががっしりと沙那の身体を掴む。
「な、なに?」
沙那は不安に耐えられなくなって、思わず叫んだ。
次の瞬間、細く長いものがつりると肛門の中に入った気がした。
それが、尻穴の中でうねうねと動いている。
「ひいっ、な、なによ──。つ、冷たい──。う、動いている──。な、なに? なにを入れたの、朱姫──ひいっ──」
「暴れちゃ駄目ですよ、沙那姉さん──。入れたのは、小蛇です」
「こ、小蛇?」
沙那はびっくりした。
あまりの怖気で、全身がぶるぶると震えた。
いまも尻の奥でうねうねと動いているものは、なんと蛇なのだ。
しかも、それがうねうねと動きながら、どんどん奥に入っていく。
「じょ、冗談じゃないわ──。と、取って──。取りなさい、朱姫──。ちょ、ちょっと、孫空女、手を離して──」
沙那は緊縛された身体を暴れさせた。
しかし、さすがに怪力の孫空女に身体を押さえつけられては、びくともしない。
「じゃあ、二匹目、いきますよ──。ほらっ、入った……。じゃあ、三匹目……」
次々に肛門の奥に蛇が入っていく。
「三匹で許してあげますかね……。じゃあ、栓をしますね」
朱姫が言った。
「せ、栓?」
「そうです。小蛇が出ないように、道術もかけますね」
朱姫が笑った。
そして、すぐになにかが回るようにして、肛門に沈んでいく。
おそらく、蛇が出ないように栓をされたのだ。
「ひ、酷いわよ、朱姫──。お、覚えてなさいよ──。ひいいいっ」
沙那は悲鳴をあげた。
肛門の中で三匹の小蛇が動き回っている。
沙那は全身をのたうたせた。
「あらっ、沙那姉さん……。本当に酷いことをするのは、これからですよ……。いまから、肛門の中に、蛇が苦しむ毒液を入れますからね。そうじゃないと、蛇が身体の中を食べて危ないからですからね……。それに、毒液が外に漏れることはないから大丈夫です。それは安心してください。この栓は、液剤を外から抽入できるけど、内側から洩れませんから……」
「ね、ねえ、あんまり、可哀そうじゃないかい……」
孫空女の控えめな声がする。
しかし、そう言いながらも、孫空女は、沙那を押さえている手を離さない。
「じゃあ、代わりに孫姉さんがやりますか?」
朱姫が意地の悪い声で言った。
「わ、わかったよ……。ご、ご免、沙那……。我慢してやって……」
孫空女がそれだけを言った。
「いやっ、嫌だったらあ──。ひいいっ──」
薬剤が肛門栓の内側に流れ込んでくるのがわかった。
すると、もの凄い勢いで、肛門の中の小蛇が暴れ出した。
「いやああっ、し、死ぬううっ──ひぐううっ──」
沙那はあまりの激痛に絶叫した。
お尻の中で、小蛇が暴れ回っている。
苦しい──。
死んでしまう──。
やっと、孫空女が手を離した。
沙那は胡坐縛りに緊縛されたまま、床で転げまわった。
「どうですか、沙那姉さん、小蛇に犯される気分は?」
朱姫がげらげらと笑っている。
その横で宝玄仙も手を叩いて悦んでいる。
笑い続けるふたりを尻目に、沙那はあまりの苦痛にありったけの声をあげて悲鳴をあげ続けた。
「い、いやあああ──し、死ぬうう──く、狂う──た、助けて──た、助けて、孫女──」
沙那は緊縛された身体を暴れ回せようとした。しかし、孫空女ががっしりと掴んだ身体はびくともしない。
「もういいよ。離してやりな、孫空女──。どうせ、暴れても肛門栓も蛇も外には出ないしね」
宝玄仙が言った。
孫空女が沙那から手を離したのはわかったのがそれだけだ。
相変わらず、怖ろしい勢いで沙那の尻の中で小蛇が暴れ回っている。
沙那はあまりの苦しさに、身体を捩じって仰向けにひっくり返った。
しかし、それでどうなるものでもない。
宝玄仙の霊具でもある肛門栓が、どんなにいきんでも、外れないことはよくわかっている。
この苦しみは宝玄仙と朱姫が飽きるまで続くに違いない。
「ひううっ、お尻が……お尻が割れるう……」
沙那は呻き声をあげた。
腸の中で小蛇が暴れ回る苦しさに加えて、今度は急速な便意が襲ってきたのだ。
それが尻が毀れるのかと思うほどに膨張する。
「その小蛇には道術を掛けましたから、なかなか毒液にも耐えるはずですよ。もしかしたら、毒を嫌って、沙那姉さんの身体を泳いで、口から逃げるかもしれませんね」
朱姫が沙那の醜態を眺めて、手を叩いて笑っている。
「いやあっ、勘忍して、これはひどいわよ──。朱姫──」
沙那は泣き喚いた。
しかし、宝玄仙と朱姫は、そんな沙那を眺めて、いつまでも笑い続けていた。