「ご主人様の霊具って、本当に面白いね。こんなものも作れるんだね」
電撃棒を持って椅子に座っている孫空女が感心したように言った。
「まあ、ほかならぬ沙那の注文だからね。いつも世話になっているお礼と言っちゃあなんだけど、沙那の指示のとおりの物を作ったよ。だけど、こんなものが拷問具になるとはねえ……。さすがは沙那だよ」
少し離れた寝台に腰掛けて、三人の供の様子を見守っているかたちに宝玄仙がにこにこしながら応じた。
「拷問具というよりは、軍で訓練をしていた頃に、こんな道具があればなあと思ったんです。走るというのは、すべての武芸の基礎でもあるんです。長く運動を続けるためには、長く走ることが一番効率のよい訓練手段なんです。そうでなければ、長く稽古をする体力ができませんし……。ほらっ、朱姫、もっと腿をあげなさい──。じゃあ、速度をあげるわよ。腿をあげて──」
沙那は、朱姫が乗っている『無限足踏み台』の回転速度をあげるために、手元にある霊気が刻まれている操作具を手に取った。
もちろん、全身を汗だくにして、駆け足運動を続けている朱姫に電撃棒を構えたままでだ。
「んんんんっ──」
沙那の動作を確認した朱姫が、口に咬まされている穴あきの丸い球体の穴から涎を垂れ流しながら、抗議の声のようなものをあげた。
しかし、沙那は容赦なく操作具を動かして、朱姫が乗っている台の回転速度をあげる。
「んふうううっ」
朱姫が激しい鼻息をして、懸命に腿をあげて脚を前に出す。
これで、最初は「歩く」くらいの速度だった運動も、すでに「走る」という感じに変わった。
朱姫にしてみれば、本来はもっと速く走れるだろうが、もう、運動を開始して、半刻(約三十分)にはなるし、朱姫の股間には革の貞操帯が装着されていて、その内側につけられた張形が、朱姫の股間を貫いている。
その状態で走るのは、この速度が限界かもしれない。
もっとも、あんまり、泣いて頼むのでお尻の張形だけは勘弁してやった。
お尻が弱い朱姫は、お尻に物を挿入されたら、絶対に走れないというのだ。仕方なく勘弁してやったが、それは却って正解だった気もする。
こうやって、限界すれすれのところに、朱姫を追いつめて長い時間をかけてなぶるには、後ろは責めない方がいい。
後ろを責めてしまったら、朱姫はあっという間に限界を越えてしまって動けなくなってしまう。
だから、いま、責めるているのは前だけだ。
まあ、その代わり、こうやって長い時間、沙那と孫空女にいたぶり続けられるということになるのだが……。
朱姫が乗らされている『無限足踏み台』というのは、沙那が宝玄仙に作ってもらった霊具であり、「台」とはいうが、実体は、ここのようにちょっとした宿屋の部屋に拡げられるくらいの縦長の長方形の布だ。
それが前から後ろに向かって、まるで道が動くように、足を踏んでいる部分が動き続けるのだ。
だから、この布の同じ場所に立ち続けるには、その布の道が動く速度に合わせて、歩くか、走らなければならない。
朱姫はそれに乗らされているのだ。
いつも、いつも沙那や孫空女のことを宝玄仙と一緒になって嗜虐する朱姫に対する腹癒せであり、朱姫が責められ役になると決まっていたこの日に合わせて、宝玄仙に作ってもらうことを頼んでいたものだ。
それを拡げて、素裸にして後手縛りにした朱姫を乗せて、この運動霊具を操作した。
口には、呼吸がしにくいように、穴あきの小さな球体の嵌口具を咥えさせている。
わざわざ、穴あきの嵌口具を選んだのは、その穴から涎が垂れ流れて、惨めさが増すからだ。
そして、さらに、股間には女陰に喰い込む張形付きの貞操帯だ。
その姿で、ずっと走らされている朱姫は、もう息も絶え絶えだ。
しかも、腕が封じられているために、ただ転ばないように駆け足をするだけで大変なようだ。
沙那も武芸家であるために、人間が動くために、どれだけ両手の動きが体勢を保つために必要なのかを知っている。
それなのに、後手縛りで走らされる朱姫は、真っ直ぐに姿勢を保つだけでひと苦労だろう。
「ほら、朱姫、だんだんと後ろに退がってきたよ。お尻の穴に電撃棒が挿さるよ」
孫空女は警告の言葉を発した。
『無限足踏み台』の上で懸命の駆け足を続ける朱姫の前後には、椅子に腰掛けた沙那と孫空女が電撃棒を持って待っている。
朱姫が台から降りようとしたり、台の速度についていけなくて、いまのように身体が退がってきたら、電撃棒で痛めつけるためだ。
「んふううっ」
朱姫が悲鳴をあげて、脚をあげて身体を前に進ませた。
孫空女が退がってきた朱姫のちょうど肛門に当たるように、電撃の先を動かしたのだ。
電撃棒の先端をお尻の穴に感じた朱姫がびっくりして速度をあげた。
「はい、頑張ったわね……。じゃあ、速度を緩めてあげるわ。休憩よ──」
沙那は台の速度を落としてやった。
休憩とは言うが、実際には小走りの速度になっただけだ。
朱姫は相変わらず、荒い息をしながら、涎を垂れ流している。
その涎は、波打つ小さ目の胸の谷間に流れ落ち、さらに身体を伝って台の表面にまで落ちている。
また、激しい息は、嵌口具の小さな穴を強く通り抜けるので、笛のような音が鳴り続ける。
まさに犬だ。
そんな朱姫の惨めな姿を見ていると、本当に日頃の溜飲が下がった気がする。
「本当に、沙那って、朱姫を責めるときは嬉しそうだよねえ……」
そんな沙那の感情が顔に出てしまったのか、孫空女が呆れたような声を発した。
「だって、嬉しいんだもの……」
沙那はそう言いながら、手元にあるもうひとつの操作具動かした。
それは、朱姫の股間に嵌っている張形を動かす操作具なのだ。
沙那は、それを使って、朱姫の股間に挿入している張形の振動を開始した。
「んふううっ」
朱姫の身体ががくんと崩れた。
それでも朱姫はなんとか体勢を戻して、小走りの運動を保った。
女陰に張形を咥えこまされたまま走るだけで、朱姫には十分に刺激的だろうが、それをさらに時々こうやって振動させてやる。
それがどんなにつらい性的な拷問であるか想像しただけで、沙那には、ぞくぞくと快感のようなものが走る。
沙那は、さらに朱姫の股間の貞操帯の内側のちょうど肉芽に当たっている部位の振動を加えてやった。
「んんっ、んんっ、んんっ」
朱姫の身体が弓なりになり、ぶるぶると震えた。
しかし、急に後ろに退がった朱姫の尻に孫空女が電撃棒を当てると、慌てたように前に進んでいく。
その滑稽な姿に、沙那は思わず笑い声をあげた。