「ああ、いい匂いだ……。今朝はお客さんがいるからな。陳女が朝から香腸を焼いてくれているんだ。もう少し、待ってくれよ、
陳達が陽気に言った。
花凛と同じ作りの長屋である陳達と陳女のふたりの夫婦の家だ。
この夫婦の捕らわれ人のような立場になってひと晩がすぎた。
花凛は務めている居酒屋では料理はするが、家ではほとんど料理はしない。
そのため、花凛の家の台所はほとんど調理器具などのない質素なものだが、陳女が長食の準備をしている台所はきれいに磨かれた調理器具や調味料などが整然と並べられていた。
そこで陳女は朝食の支度をしている。
いまは鉄鍋で香腸を炒めているようだ。
香腸というのは、燻製にした挽肉を腸詰の袋に入れた細長いかたちをした肉の保存食だ。
花凛がいる居間と玄関の横の台所とは戸一枚を隔てて接しており、いまはその戸を明け放しているので、陳女の作る香腸を油で炒める香ばしい匂いがこちらにも立ち込めてくるし、陳女が甲斐甲斐しく働く姿もよく見える。
陳女はほとんど全裸だ。
全裸に前掛けだけをした格好で料理を作っている。
こちらからは、なにも身に着けていない後ろ姿が丸見えであり、陳女のかたちのいいお尻が料理をするために左右に揺れ動く様子は、女の花凛から見てもすごく煽情的だ。
花凛と陳達は、その陳女のこしらえる朝食を居間で待っている。
だが、陳達はすでに服を着ているのだが、花凛は全裸だ。
しかも、花凛は肘掛け付きの座椅子に縛られていた。両脚がその座椅子の肘掛けにかけられて、膝の上下を完全に縄で肘掛けに括られている。
そのため全開に開いた脚を閉じることもできないし、しかも両腕は座椅子の背中に回してそこで縛られていた。
その横に陳達は床に胡坐をかいて座っている。
「あ、ああ……はあ……あっ……はあ……」
花凛は甘い吐息を吐きながら、その座椅子で悶えていた。
さっきから陳達が花凛の股間の亀裂に、指を潜らせては花凛の敏感な肉芽や肉襞をいじくりまわしていたからだ。
どんなことをされても陳達の淫らな指先から逃げることができない。
それがいまの花凛の姿だ。
身動きできない姿にされて陳達に好きなように弄ばれる──。
そんな扱いを受けたのは昨日が生まれて初めてだったが、花凛は異常なほどに興奮していた。
いまも陳達の指につまみ出されるように肉芽が勃起させられている。
そこを摘ままれて指の背で柔らかくくすぐられ、そして、すっかりと濡れている女陰の肉襞を擦られてくつろげられる。
その刺激によって花凛の意思とは無関係に、真っ赤に充血して反り返りさえして、花凛の性器は蜜を垂れ流し続ける。
そして、それを隠すこともできずに晒けだされる恥ずかしさ……。
それは激しい屈辱感と絶望感だ。
だが、それがいいのだ。
花凛はその汚辱感を味わうことで、自分でも信じられないくらいに股間から蜜を垂れ流し続けていた。
こんな身体はもう、一昨日までの自分ではない……。
花凛は陳達に股間を弄ばれながらそう思った。
昨日……。
この夫婦に捕らわれて、異常な嗜虐を受けた。
半裸で夜の長屋の前を歩かされ、全裸にされて天井から糸で肉芽を吊られて筆責めを受け、霊具で肛門を犯され、真っ昼間の長屋の庭で他人の視線を感じながら肛門で絶頂した。
その後、再びこの部屋に拘束されたまま連れて来られて、今度は陳女と並べて凌辱めいた性交を陳達とした。
激しさにおいても、時間の長さにおいても、そして、与えられる快感においても、この陳達の性交はこれまでに花凛が知っているものとは別格だった。
この世にこれ程までの愉悦があるのかと思う程の快感を受けながら、花凛は完全に果てた。
だが、一度果てても、すぐに無理矢理に起こされて、また、快感を与えられる。それが夜まで続いた。
やがてやっと拘束を解かれたとき、花凛は全身が綿のようになり、ぴくりとも動けない程だった。
昼間のうちは、陳達と一緒になって花凛を責めていた陳女だったが、夕方ごろからは、陳達から陳女もまた嗜虐的に責められていた。
従って、行為が終わった時には、陳女もまた、花凛と同じくらいに疲労困憊の状態だったが、それでも木桶にぬるま湯を準備し、陳達の身体を拭き、花凛の身体を布で拭いてくれた。
そして、女の身体を護るための薬だと言って、男の精を殺すという丸薬を与えられた。
おそらく、道術のこもった仙薬だと思うが、それはかなり高価なものであるはずだ。だが、そういうものがこの家にはたくさんある気配だ。
そう言えば、花凛の肛門を調教した性具も霊具のようだったし、古着屋というのはそんなに儲かるのだろうか……。
そんなことを考えたりした。
「あくっ」
峻烈な喜悦が全身に迸り、花凛は大きく背中を仰け反らせた。
陳達が潜っている花凛の女陰の中の指が、花凛の一番敏感な入り口付近の上の壁を擦ったのだ。
鮮烈な感覚に花凛は、気がつくと陳達の指が入っている股間を突きあげるように動かしていた。
「いきそうなのか、花凛……? 朝飯の前に一度気をやっておくか? それにしても、はしたない娘だな。こんなに股倉を曝け出して恥ずかしくないのか?」
そんな花凛の姿を見て、陳達が蔑みの言葉をかけてくる。
花凛の羞恥の姿を思い起こさせるような陳達の言葉に、花凛は目の眩むような汚辱を覚えた。
そして、それがさらに苛烈で激しい官能の衝撃に変化する。
花凛の裸身を弄ぶ陳達は、美人の嫁をもらった異常に鼻の大きい男だと思っていただけの存在だった。
そんな男と関係することがあるとは思っていなかったし、こんな嘲笑されるような扱いを受けるなど考えられなかった。
ましてや、その男に裸を見られ、淫らに反応する様を眺め続けられ、そのことでこんなに自分が興奮してしまうなど想像もできなかった……。
花凛の神経はあまりの恥ずかしさに完全に神経が麻痺するような思いだ。
性感だけが異常に敏感になっている。
花凛の女陰の中の陳達の指がさらに、その敏感な場所を強い力で圧迫してきた。
そこに強い力を加えたまま、ゆっくりとした速度で揉みあげられる。
「はおおおっ」
衝撃が襲いかかる。
来る──。
花凛は耐えられずに甲高い声をあげて、直後にやってくるに違いない激しい絶頂に身体を備えた。
「食事ができたようだな……」
しかし、花凛を嘲笑するように、ぎりぎりのところで陳達の指は花凛の股間から離れていった。
一瞬、呆気にとられた花凛の前の卓に、素肌に前掛けをしただけの陳女が、できあがった朝食を載せた皿を並べ始めた。
しかし、近くに陳女がやってくることで気がついたのだが、なんだか陳女の身体はとてもぎこちない。
身体全体が紅潮しているし肌全体にうっすらと汗をかいている。
時折、つらそうに脚を止めたり、呼吸を整えるように口を開けたりする。
いったい、どうしたのだろう……?
湯気をたてている香腸と野菜を炒めた料理──。
生野菜を洗って細長く切ったもの──。
冷やした馬乳豆腐──。
柑橘系の果物の汁を施した水──。
朝食としてはかなり豪華なものだと花凛は思った。
それらの料理が卓に並べられる。
しかし、皿は人数分準備されていたが、箸はひとり分しかない。
「ごくろうだったな、陳女……。もう、手はいらないだろう。両手を背中に回せ」
陳達が言うと、陳女が大人しく陳達に背を向けて、背中に手を回した。
その陳女の手首に陳達があらかじめ準備していた革製の手枷が嵌められた。
「花凛、昨夜、少しだけ俺と陳女の間でひと悶着あってな、この陳女は俺の調教を受け直すことになった。罰としてな……。そうだな、陳女?」
「あっ……、は、はい……。申し訳ございません、あなた……。どうか、わたしを調教して躾け直してください」
陳女が後手に拘束されたまま、床に正座をして頭を下げた。
花凛は驚いた。
そして、同時に不可思議な感覚が自分の心に込みあがるのも感じた。
調教……。
人間なのにまるで動物の躾をするようなその物言い……。
だが、それに隠されている甘美な響き……。
陳達に躾けられる……。
縛られて恥辱的な扱いを受け、無理矢理に感じさせられて、獣のように犯されて我を忘れるほどの快感を身体に刻まれる……。
それを想像すると思わず花凛は身震いしそうになった。
「どうしたんだ、花凛……? お前も一緒に調教を受けたくなったか……?」
ふと気がつくと陳達が花凛の顔を覗き込んでいた。
花凛は心を見透かされたような気がして、思わず小さな声をあげた。
「い、いえ……」
激しく頭を横に振っていた。
「そうか……。まあいい……。いずれにしても、もう少しの辛抱だ。おそらく、朝食が終わるまでには片付くんじゃないかな……。少なくとも、そんなに長くはかからないと思う……。そうしたら、もうすぐ解放するよ。そうすれば自由だ……」
陳達は少しだけ残念そうに言った。
「えっ……?」
しかし、陳女はもうすぐ解放するという陳達の言葉に動揺した。
そして、動揺して激しい衝撃を受けている自分を発見して、さらに愕然とした。
信じられないことだが、やはり、自分は陳達の調教というものを受けてみたいと考えたくなっているようだ。
昨日の昼間、外で性具を使って凌辱されたとき、花凛は受けた快感のあまりの激しさに、陳達に抱かれたいと衝動的に声に出していた。
それは一瞬だけの惑いのようなものだと思ったが、ひと晩経ったいまでも、その気持ちは続いているようだ。
しかし、いま、陳達は、もうすぐ花凛を解放するようなことを口にした。
それは花凛の胸の中に大きな石のようにのしかかってきた。
花凛はもうすぐ放り出される。
そうすれば、あの恥辱的で峻烈な倒錯の性はもう得られないのだろうか……。
花凛の心を大きな失望のようなものが包む。
「花凛、口を開けろ」
陳達が香腸を箸でとって、一本丸ごと花凛の口の中に押し込んだ。
ひと口に食べるには少しばかり大きすぎたが、花凛は懸命に噛み砕いた。
すると挽肉の肉汁が口の中に拡がる。
それで花凛は自分がひどく空腹だということに気がついた。
考えてみれば、昨日の夜明け前に拉致されてから、丸々一昼夜も、水分以外のものはほとんどまともに食べていない。
眼を覚ましている間はずっと犯されるか性具でいたぶられるという時間を過ごし、それがないときはひたすら眠って身体を休めるという時間だけをすごしていたからだ。
「うまいか、花凛?」
陳達が言った。
花凛は頷いたが、口いっぱいに頬張っている香腸のために声を出せないでいた。
すると陳達が箸の先で花凛に乳首の先を強く突っついた。
「んんっ……」
思わず軽い悲鳴をあげてしまった。
「返事は口でするんだ。横着をするんじゃない……。おっ、でも、箸で突いたら乳首の先が尖ったか」
陳達が面白がって、箸先で乳首を跳ね続ける。
花凛は慌てて口の中のものを喉に押し込む。
「お、おいしいです、陳達さん……」
花凛は慌てて言った。
「よかったな。じゃあ、もっと食べな」
「は、はい……」
野菜、馬乳豆腐、そして、今度は炒め野菜……。
次々に花凛の口の中に食べ物が入れられる。
その間に陳達もまた、食事を続けている。
時折、陳達が自分の口に水を含ませて、口移しに花凛に水を飲ませてもくる。
花凛は顔を伸ばして、陳達の唇に自分の唇をしっかりと当てる。
そして、陳達の唾液の混じった水をむさぼるように飲んだ。
「喉も乾いているんだな。だったら、もっと、飲むがいい……」
すると、また陳達が自分の口に水を入れて、花凛の口に近づけた。
花凛は唇を合わせてそれを飲み下す。
しばらく夢中で与えられる食べ物と飲み物を口にしていたが、花凛はふと、食事をしている陳達と花凛に対して、陳女は一度も食べ物を与えられていないことに気がついた。
「あ、あのう、陳女さんは……?」
自分の空腹が満たされると、花凛はなんだか申し訳ない気持ちになってしまってそう言った。
「犬の食事は、人間の後さ──。そうだな、陳女?」
陳達が冷たく言った。
「は、はい……」
陳女が正座をしたまま頷く。
犬……?
その言葉に再び花凛は身体がぞくぞくした。
人間としての尊厳をすべて奪われて、動物のように扱われる自分を想像したのだ。
すると、全開に開かされている股間におかしな疼きが走った気がした。
花凛は当惑した。
だが、どうしても、その惨めに扱われている自分を想像してしまい、すると、花凛は倒錯した酔いのような心地に襲われてしまうのだ。
そして、はっとして身体を竦めた。
いま、おかしな空想で快感を覚えている自分の股間を見られはしなかったか……。
しかし、陳達は花凛に眼を向けてはいなかった。
陳達はにやにやと笑いながら陳女に注目したまましばらく口の中で肉を噛んだ後、いきなり口に含んでいたものを使っていなかった皿に吐き捨てた。
そして、すっと陳女の前の床に置く。
陳達の唾液の混じったぐちゃぐちゃの咀嚼物だ。
花凛はびっくりした。
「食っていいぞ、陳女」
陳達は冷酷な口調で言った。
しかし、その咀嚼物に向かってなんのためらいもなく、陳女が顔を伏せて犬食いを始めたときにはもっと驚いた。
「あはあっ」
しかし、すぐに不意に陳女が甲高い声をあげて顔をあげた。
花凛は突然始まった陳女の狂態に眼を見張った。
「あ、あ、ああっ……」
陳女が上半身を床に倒した格好のまま、高くあげていた腰を小刻みに動かしだす。
つらそうに顔も歪めている。
そのまま硬直したように陳女はなにかに耐えるように目をつぶっている。
花凛ははっとした。
なにか淫靡ないたぶりを受けているのだ。
間違いない……。
「はぎゃあああ──」
次の瞬間、陳女の身体が跳ねあがるように仰け反って、陳女の顔が白目を剥いた。
そのまま身体を横倒しにするように倒れたので、花凛の眼に陳女の肛門に挿入されている張形の端が見えた。
花凛の肛門には信じられないくらいに黒くて太いものが突き挿さっているのだ。
どうやら、陳女はずっとその極太の張形を肛門に挿入されたまま料理をしていたようだ。
花凛は呆気にとられた。
「肛門の霊具を動かされたくらいで躾の途中で食事をやめるな。食えと言われたら食うんだ、陳女──。そうでないと、また、電撃をその肛門に流すぞ」
「も、申し訳ありません。た、食べますから……。あはあっ……、あ、あなた……」
電撃……?
いま、電撃と言っただろうか……。
電撃というのは道術の力による強い衝撃波のようなものであるはずだが……。そうであるならば、陳達は道術を扱えるのか?
花凛がそのことに驚愕していると、その表情に気がついたのか陳達が花凛にすっと小さな木の板を見せた。
「これも霊具だ。俺は道術遣いではないが、この霊具は霊気が遣えない人間でも扱えるように作られた霊具でね。この俺の持っている操作板で自在に振動させたり、あるいは電撃を流したりもできるのだ」
陳達が酷薄な笑みを浮かべた。
霊気がない人間にも扱える霊具というものは日常の生活用具として実在するが、電撃を与えられるほどの拷問具は、花凛の常識では道術遣いでなければ扱えないはずだ。
まあ、陳達が霊気なしでも扱える霊具だというのであれば、そうなのだろうが……。
いずれにしても、肛門に霊具を入れられて電撃を加えられて拷問される……。
花凛は息を飲んだ。
陳女はすぐに床に正座をしてうずくまる姿勢に戻ると、急いで皿の上のものを口に入れ始める。
だが、電撃こそないが肛門に埋まっている性具としての機能は発揮していて、うねうねとうねり続けているようだ。
陳女の高くあげた白いお尻がぶるぶると震えており、陳女がつらそうな顔をしていることからそれがわかる。
陳女も肛門を苛まれてものを食べるのはつらいのか、なかなか飲み込めないでいるようだ。
やがて、皿の上のものはなくなる。
すると、陳達がまた口の中のものを床の皿に出す。また、陳女がそれを口にする。
花凛はしばらく、その光景を見物させられた。
「あ、あの……陳女さんは、なんの罰なのさ……?」
花凛は訊ねた。
自然に自分の口から熱のこもった息が洩れるのがわかった。
身体が淫らに疼いている……。
陳女が陳達が口から出したものを食べさせられているのを見て、なぜか花凛は異常な興奮状態になっていた。
花凛の股間はこれ以上ありえないくらいに充血し、まるで火で炙られているように熱い。
もっと、自分の股間も触れて欲しい……。
性具を挿入してぐしゃぐしゃに掻き回して欲しい。
それを拒む一切の手段は花凛にはないのだ。
それなのに、さっきまで続けていた花凛に対する悪戯をぴたりとやめて、いまの陳達は陳女だけに関わっている。
そのことが不満だ……。
だが、さすがに自分から責めてくれとは言えない。
身悶えするような疼きはだんだんと大きくなっていく……。
花凛の股倉は座椅子の手摺を使って開脚させられて、羞恥の源泉を隠すことも許されずに露出させられている。
しばらく弄られ続けた女陰は熱く火照り蜜を垂れ流し、まだ興奮状態の醒めない花凛の股間は、そこだけが別の生き物であるかのように収縮を繰り返しながら、いまだに新たな蜜を流している。
それなのに、陳達は陳女に構うだけで、なかなか花凛には戻ってこない。
まるで喉が渇いて堪らないのに、眼の前の水を与えられない気分だ。
そんな気持ちが花凛にそんな質問をさせた。
本当はそんな疑問はどうでもよかった。
陳達の注目をもう一度花凛に向けたい。
そう思っただけだ。
「ふふ……、知りたいのか……? まあいい、教えてやるよ。実は俺のこの身体には、俺の性欲を活性化させる暗示が刻まれているようなのだ。この陳女は、それを知っていて俺に黙っており、自分が淫靡な気持ちになって犯して欲しくなると、その暗示の言葉を使って、俺を興奮させて自分を犯させていたんだ……。そうだな、陳女?」
そして、陳達が再び手に持っていた板に手を振れた。
その瞬間、陳女の口が大きく開いた。
「んぐうぅぅっ──。で、電撃は堪忍してください、あなた──」
陳女の身体が跳びあがって叫んだ。
また、陳女の尻に電撃が加わったようだ。
長屋の薄い壁を考えてか、随分と陳女の悲鳴は抑えられたものだったが、その表情には悲痛な苦悶が浮かんでいる。
陳女に与えられている仕打ちが並大抵のものでないことは明らかだ。
花凛は陳達の残酷さに息を飲んだ。
「お願いよりも、返事は──?」
陳達がまた手に持っている操作板に指を乗せた。
また、陳女が悲鳴をあげながら身体がばね仕掛けの人形のように跳びはねる。
「わ、わたしは、わたしなんかに遠慮をせずに、あなたが満足すればいいと思って……。はぎゃあああっ」
陳女が必死の顔で訴えた。
しかし、また電撃を与えられて淫女は引っくり返る。
「言い訳をするな、陳女──。たとえそうでも、お前が犯されたいときに、俺の性欲を暗示の言葉で操って自分を犯すように仕向けていたのは事実だろう──。だが、そのうちに俺の性欲はますます激しくなり、嗜虐の度合いが進み過ぎるようになってしまい、お前ひとりでは毎夜の伽に耐えられないようになると、花凛のような女を見つけて、お前とともに俺の性欲を満たさせるための道具にもしようとした……。そうだな?」
「そ、そんなことは……。わたしは、ただただ、あなたが性欲を我慢せずに、自儘になさればいいと……」
「うるさい──」
「ひぐううっ──」
陳達が陳女にまた電撃を浴びせたらしい。
今度はかなり強い衝撃だったのか、すぐに起きあがることはできないようだ。
それだけじゃなくて、口から泡のようなものも吹いている。
花凛はさすがにやり過ぎだと思った。
「ち、陳達さん、や、やめてあげてよ……」
花凛は思わず言った。
「なぜ、庇うのだ、花凛? さっき俺が言ったことは満更出鱈目でもないのだぞ……。あのとき、陳女が暗示の言葉を言わなければ、お前はこんなことになっていなかったのは事実なのだ。この女は人畜無害の善人の顔をしているが、これはこれでなかなかの策士なのさ──」
陳達が言った。
「だ、だけど……。自分の奥さんにこんな酷いことしなくても……」
花凛は口にした。
「そうかな、花凛? 陳女は本当に嫌がっているか? よく見てみろ」
陳達は冷静な声をあげた。
花凛は陳達の言葉に陳女の姿をもう一度見た。
しかし、その瞬間、花凛は陳女が決して苦しんでいるだけでないことを悟らずにはいられなかった。確かに苦悶の表情を浮かべている。だが、顔はすっかりと桃色に上気し、眼は潤み、口元は笑っているように開き、その口端からは涎まで流している。
花凛は息を呑んだ。
確かに、嫌がっているだけではない。
「これが調教だ、花凛……。お前も調教を受けてみたいか? 言っておくが昨日のあれなんか、調教には入らないぞ──。本当の調教は心そのものを変えてしまうんだ……。苦痛しか与えられてないのに、それが快感としか受けとめられなくなる……。この陳女がいい例だ。どうだ、陳女、霊具による電撃責めは苦しいか?」
陳達が陳女に視線を向けた。その陳女はやっと身体を起こして再び正座の姿勢に戻ったところだ。
「き、気持ち……いいです……」
陳女は言った。
花凛は身体が身震いしてしまった。
陳女が気持ちいいと発言した瞬間、なぜかその苦悶と快感を混ぜこぜにしたような淫靡な表情をしているのが自分だと想像してしまった。
その瞬間、また、股間がじゅんとなった。
もう我慢できない。
自分も──。
そして、ふと思った。
調教を受けてみたいか……?
さっき陳達はそう訊ねたはずだ。
花凛はそれに対する答えを口にしようと、意を決して口を開いた。
「おい、陳達、陳女そこにおるか──?
そのとき、突然、玄関の戸が外から叩かれた。