「ほらほら、さっさと土手を擦り合えよ。股と股を口づけするみたいにくっつけて擦り合うんだ、早くしろ──」
「ひっ」
「李姫様、大丈夫です……。あたしを見て……」
貞女が李姫を見て微笑んだ。
もう一度、貞女が李姫の唇に唇を重ねてくる。
貞女は李姫の口の中のあちこちを舌で刺激しながら、大旋風に命令された態勢をとるために身体を動かす。
貞女の唇が李姫の唇に重なったまま、貞女の裸身が完全に李姫の上に乗る。
茂みと茂みが接し、肉芽と肉芽が当たってきた。
快感が全身に迸る……。
貞女の舌が李姫の口の中を這う。
やわらかい舌の刺激で身体が痺れるとともに、動揺した心が落ち着きを取り戻していく。
李姫は無我夢中で自分の口の貞女の舌を吸った。
「李姫様……」
貞女の唇が李姫の顔から離れた。
彼女の顔はすっかりと上気して赤かった。
まるで李姫との性交を心から愉しんでいるかのように微笑んでもいる。
ずきんという痛みのようなものが李姫の胸で疼いた。
そして、心臓が締め付けられるような感覚に襲われる。
貞女が動く。
股間が擦れ合う。
快感が走る。
「あ、ああ……」
酔いしれたような夢心地になった李姫は深い嘆息とともに声をあげた。
そして、思った──。
もしかしたら、貞女は、亜人たちから強制されるままに、いやいや屈辱的な女同士の媾合いをやらされているのではなく、貞女もまた李姫とのこの行為を悦んでくれているのではないかと……。
まさか、そんなことはあるまいと思う……。
だが、全身に汗をかき、潤んだ眼で憑かれたような表情をしている貞女を見ていると、そんな錯覚さえ覚えるのだ。
李姫との女同士の性交を青獅子から命じられたとき、貞女は怖ろしいことであるかのように嫌悪した。
健全な女ならそうであるはずだ。
しかし、李姫はそんな貞女に土下座をしてまで青獅子の命令に従ってくれるように頼んだ。
それは、もちろん、そうしなければ全住民の命が危険に晒されるということからのことではあった。
しかし、ただそれだけではなかった。
貞女と愛し合いたい……。
単純にそう思ったのだ。
その自分の気持ちにいま気がついた。
昨夜……。
母親の
李媛は、貴族の血を持つならば、身を犠牲にして貴族としての使命を果たさねばならないこともあることを知っていたはずだと李姫を諭した。
しかし、なにかの罪を負って処刑されたり、あるいは、自裁をするというわけではない。
亜人たちの慰み者になり、家畜のように彼らに抱かれて身体を汚し、そして、彼らに飽きられたら殺されよというのだ。
それが、李媛と李姫の母娘の運命の定めとなったのだから諦めよ──。
李媛からはただそれだけを言われた。
蒼ざめた表情で李媛が李姫の部屋から出ていった後、李姫はそのまま自室で慟哭した。
泣いて、泣いて、泣いて……。
ただ、泣いた。
その時、貞女はそのそばにいて李姫の肩を抱いてくれた。
そして、一緒に泣いてくれた。
李姫は嬉しかった……。
そして、翌朝……。
心の整理が終わって魔王やその部下の亜人たちの性奴隷になることを納得した李姫を李媛が迎えに来たとき、その貞女も一緒に行くと言い出したのだ。
驚いた──。
魔王軍の軍営にいく李媛と李姫と同行するというのは、単に侍女として一緒に行くという意味ではない。
亜人たちの慰み者になる李媛や李姫と同じ立場になり、亜人たちの性奴隷として扱われることを承知するということだ。
李媛は一度はとめたが、貞女の決心が固いことを悟った李媛は結局はそれを許した。
茶番のような軍使ではあるが、李媛としても、その体裁を整えるために、最低ひとりは従者を準備する必要があったのだ。
そして、貞女は李媛と李姫とともに怖ろしい魔王軍の陣に一緒に来てくれた。
城郭を明け渡す手配をするために、母親の李媛はひと足先に城郭に戻ったが、李姫は魔王に抱かれるために残された。
身の毛もよだつほどの恐怖に襲われたが、なんとか恐慌を起こさないで済んだのは、貞女がそばにいてくれたからだ。
李姫が魔王に犯された後、李姫はその苦痛と疲労で動けなくなったが、魔王はなおもそんな状態の李姫を抱こうとした。それを助けてくれたのも貞女だ。
貞女が李姫を庇うために、自ら服を脱ぎ捨てて、魔王の前にその裸身を投げ出し、李姫の代わりに自分を抱いてくれと言ってくれたのだ。
そして、魔王は貞女を抱いた。
その間、床で休みことを許された李姫は、行為の終わった貞女を見て驚愕した。
貞女は処女だったのだ……。
紛れもない破瓜の血を貞女の股間に認めたとき、李姫は、自分をほんの少し休ませるためだけのために純潔を散らしてくれた貞女に対して、深く悔悟するとともに、震えるような感謝の気持ちが沸き起こった。
夕方になり、魔王軍とともに馬車で城郭に戻された後も、李姫はこうやって亜人たちの宴でさまざまな恥態を晒すことを要求されたが、その流れの中で李姫と貞女は余興として百合の契りをせよと命じられた。
李姫は動揺したが、その動揺は亜人たちの前で羞恥の姿を晒さなければならないという汚辱だけではではなかったと思う。
貞女と愛し合えと命じられた瞬間、貞女に触れたいという感情が制御できなくなり、それが李姫を動揺させた。
つまり、李姫は貞女に抱き締められたかったのだ。
たった一日の中で、半裸姿で魔王軍の陣営まで行進し、魔王軍の陣のど真ん中で全裸を晒し、魔王から身体を汚され、そして、宴の余興として亜人たちの前で血を吐くような卑猥な姿を晒すなどの強烈な行為をさせられた李姫は、ずたずたになりそうな心を癒すため、ただ、貞女に触れたかった。
貞女と愛し合う……。
そのとき、李姫は途方もなく自分がそれを欲していることを知った。しかし、そんな恥ずかしい気持ちを抱いた自分の心に李姫は動揺したのだ。
李姫は貞女に土下座をして、住民の命を救うために魔王の命令に従って欲しいと頼んだが、それは本心のすべてではない。
こん異常な状況の中で沸き起こった自分の肉欲……。
それも本心だ。
身体を合わせ始めた貞女は積極的だった。李姫を翻弄するように口を吸い、乳房を擦り、手で全身を愛撫してくれる。
その酔ったような貞女の仕草に、もしかしたら貞女もまた、李姫と同じような気持ちを抱いているのではないか……。
そんなことを思ったりした。
まさか、それはあり得ない。
貞女まで女同士のこんな変態的な性交を悦んでいるなどと……。
でも、もしかしたら……。
しかし、そうであればどんなに幸せなことか……。
だが、もしも、そうなのであれば李姫はこの地獄のような亜人たちの陣営の中でも、途方もない幸福感を抱いて生きていける。
限りない恐怖と絶望と汚辱の中でしっかりと幸せを見つけてみせる……。
「そんな風にちまちました媾合いじゃねえよ。お互いの股を脚で挟み合って、口づけをするように股と股と合わせるんだ……。貪り擦るんだよ──。まったく、そんなことまで教えなければならんのかよ……」
「ひうっ」
大旋風が荒々しい声をあげて、李姫と身体を重ねている貞女の尻を思い切り叩いたのだ。貞女が悲鳴をあげた。
「さ、貞女」
「だ、大丈夫です、李姫様……。さあ……」
身体を起こした貞女が座った態勢になり、横になっている李姫の股間を股で挟んだ。
李姫の熱い股間に貞女の女陰が密着する。
「あふっ」
「り、李姫様──」
李姫が襲ってきた甘い衝撃に思わず声をあげたとき、貞女もまた声をあげた。
「ほら、もっと擦るんだよ。いくとこまで早くいけよ──。また、けつを引っぱたくぞ、人間ども」
「土手を擦りながら、胸も揉み合えよ……。道具が必要なら持ってきてやるぜ」
「おう、だけど女同士で抱き合うような道具はねえなあ……。しかし、考えてみればここは、もともとはこいつらの屋敷だろう? もしかしたら、女同士で抱き合う性具も持っていんじゃねえか。こうやって見ていると満更でもねえようだし……」
「まあ、だけどかなりぎこちない感じだしなあ……。」
亜人たちが周りで好きなことを言い合って笑っている。
「おい、質問だ。お前らお互いの身体を慰め合うような性具を持ってないのかよ──?」
大旋風が笑いながら貞女の尻をまた叩いた。
大きな音が貞女のお尻で鳴った。
「ひいっ──。そ、そんなのありません」
貞女は悲鳴をあげるとともに、慌てたようにそう叫んだ。
「ちっ、役に立たねえなあ……。じゃあ、そのままやれ。さっさとしねえと、また、貞女のけつをひっぱたくぞ」
大旋風が罵り、亜人たちの嘲笑が再開される。
口汚く嘲る亜人たちの言葉を耳にするたびに、李姫は汚辱で身体が竦みそうになる。
そして、こんな淫辱地獄に貞女を陥らせたことが申し訳なくて李姫は泣きそうになる。
「李姫様、あたしを見てください。あたしの声だけを聞いて……」
貞女がささやいた。
「は、はい」
ほっとした。
なぜか貞女の声を聞くと、心が平静を取り戻していく……。
そして、貞女が股間をぶつけるように激しく擦り、両手で李姫の乳房を揉みながら乳首を弾きだした。
これまでのような、遠慮がちのゆっくりとした動きではない。
嵐のような凄まじい動きだ。
「さ、貞女……ああ……さ、貞女……」
李姫は燃えあがった愛欲の炎に声をあげて悶えた。
一気に全身に淫靡な快感が走る。
もうなんでもいい……。
この気持ちよさがあればすべてを忘れられる。
自分たち母娘をこんな地獄に陥らせた亜人たちへの恨みの口惜しさもない。
貞女とのこの淫情に耽ることで、なにもかも忘却できる……。
「り、李姫様……申し訳ありません……。さ、貞女は興奮してます。り、李姫様とこのような行為ができることが……う、嬉しくてならないのです……。申し訳ありません……あ、ああっ……」
貞女が李姫の耳にささやく。
その瞬間、李姫の身体に感動の震えが走った。
貞女が李姫との媾合いを愉しいと言ってくれた……。
李姫が感じている汚らわしい気持ちを貞女もまた同じだと口にした。
「わ、わたしも同じです、貞女……。き、気持ちいいです。あ、あなたとなら気持ちよくて……嬉しくて堪りません、貞女」
李姫も貞女の耳元で囁き返す。
貞女も感極まったような声をあげた。
そして、さらに李姫の股間を擦る貞女の股の動きが速くなる。
「あはあぁぁ──」
「あ、ああっ、あああっ」
ふたりで声をあげた。
幸せだった……。
嘘でもいい……。
嘘でも信じたい……。
「お、お願いです……。もっと激しく……」
李姫は叫んだ。
股間が擦れ合う。
官能の炎が全身を焼く。
乳房が揉まれる。
身体が溶ける……。
「李姫様……さ、貞女と一緒に恥を晒してください……。あ、あはあっ……」
「ご、後生ですから、ただ李姫と……お姉さま……お姉さま、お願いです……。李姫と呼んでください……」
李姫は振える声で言った。
貞女が自分とのこんな浅ましい行為を嬉しいと言ってくれた。
その言葉が李姫を飛翔させる。
全身が浮きあがって雲の上にまであがってくような錯覚が湧き起こる。
「り、李姫……、お姉ちゃんと一緒にいって──」
貞女も感極まったように叫んだ。
彼女の全身は絶頂寸前の兆候を示し、全身がねらねらと汗で光って真っ赤に紅潮している。
その貞女の股間が李姫の股間に擦れ合い、大きな衝撃が李姫の全身を襲う。
「お、お姉さま──」
全身を官能という官能が襲う。
なにががやってきた。
李姫は全身を硬直させて突然に湧き起こった甘美なものに身を任せた。
「あはああっ──」
貞女が身体を仰け反らせて吠える。
李姫もまた腰と腹部を貞女に向かって突出し、狂おしく全身を痙攣させた。
*
大広間に誰かが入ってくる気配に大旋風はそちらに視線を向けた。
やってきたのは李媛を連れた
「李姫、貞女──?」
そして、娘とその侍女が肌を擦り合わせて狂態を演じる姿を見て、李媛が声をあげた。。
軍営を出て行ったときには、大旋風が準備した淫具付の下着だけを身に着けただけの破廉恥な姿だったが、いまは侯爵夫人としての装束を着ている。
もっとも、そのきちんとした貴族の服の下には、相変わらずの例の下着を身につけているようだ。
李媛の股ぐらからは垂れ出ているようである愛液の匂いがぷんぷんするし、顔はすっかりと欲情して紅く火照りきっている。
だが、李媛は、部屋の真ん中で亜人たちに囲まれながら声をあげて醜態を続けるふたりの女に顔色を変えている。
一方で、当の李姫と貞女はそれに気がつかないのか、それとも、李媛の視線などもうどうでもいいと思うほどに倒錯した情に酔いしれているのかわからない。
とにかく、李媛の声は、ふたりの耳には届いているはずだが、まだ、狂演をやめようとはしない。
いずれにしても、このふたりには本当に百合の情愛を悦ぶ気質が隠れていたようだ。
それはこれまで日常の暮らしの中で隠れていたが、大旋風たちに無理矢理に身体を媾合わせられることで、それが露わになったのだと思う。
大旋風はほくそ笑んだ。
「終わったのか、魔凛?」
青獅子が声をかけた。
「すべて終わりました。この城郭の行政府に開設した軍司令部は、すでにわたし以下の要員で占拠しています」
魔凛の報告に大旋風は舌打ちした。
ほかの側近たちも、李姫と貞女の性交をからかうのをやめて、不満そうな視線を魔凛に向けている。
本来であれば、大旋風をはじめとして、ここにいる者たちは、総司令部の要員として、ここの城郭内に開設されたその司令部内に詰めるべき者なのだ。
それなのに魔凛は、総司令部については自分と自分が連れてきた鳥人族の将校のみで運営するものと決めて、大旋風たちを追い出したのだ。
それで所在すべき場所を失った大旋風たちは、別に作られたこの臨時の魔王宮に集まっているということなのだ。
「それはわかった。ならば話があるから、魔凛と大旋風は隣の部屋に行け。余も一緒に行く」
青獅子が言った。
どうやら別室で例の話をするつもりのようだ。
宝玄仙という人間の女の道術遣いを捕らえる件であろう。
この城郭に罠を作って、その宝玄仙を捕らえるという話になるはずだ。
そして、この魔凛を陥れるためのもうひとつの罠も始まることになる……。
「お待ちください、青獅子様──」
椅子から立ちあがりかけた青獅子を魔凛が制した。
「なんだ、魔凛?」
「すぐに終わります、青獅子様。この大旋風に用があるんてす」
魔凛が青獅子にそう断わってから、大旋風に視線を向けた。
「……なんだよ、魔凛?」
魔凛が蔑みの視線をこちらに向ける。
あからさまなその侮蔑の表情にむっとした大旋風は不機嫌にそれに応じた。
「わたしではない……。この女がお前に話があるみたいだぞ……。まったく、つくづく、下衆なことしかしない男だな、お前は」
魔凛が言った。
この女?
李媛の事だろうか?
「なんだ、李媛?」
大旋風は言った。
李媛は欲情した表情でありながら、なんだか苦しそうに顔を歪めている。
「あ、あのう……。こ、股間のものを……。股間に挿入しているものを抜いてください。お願いでございます」
李媛が消え入りそうな声で言った。
「ああ、その性具か。そういえば、朝から装着させっぱなしだったな……。俺の道術でなければ外せないんだよな。だけどまあ、もう少し待てや。青獅子様との話が終われば、戻ってきて外してやるよ。どうせ、振動は止めていたんだ。穴に入れたままというのは、前後の張形が擦れ合って感じてしまったかもしれないが、さすがに一日中挿してれば身体も馴れたろう?」
大旋風は笑った。
この李媛が白旗を掲げて城門を出て歩いてきたときには、遠くから道術で李媛が身につけている性具を動かしてからかったが、李媛が魔凛たちと城郭の明け渡しのために陣から去ってからは、まったく動かしていない。
動かさなければなんとか、耐えることも可能だったはずだ。
「こ、このようなことが馴れるわけはない。だ、だけど、いますぐに外して欲しいのじゃ。わ、わらわは、もう……」
そのとき、大旋風は、李媛が苦しげに眉を寄せて膝を擦り合わせていることに気がついた。
李媛の膣には張形が深々と挿さっている。
それなのに、李媛は股間をもじつかせるように動かしているのだ。
あんな動きをすれば、却って張形から刺激を受けやすくなるはずだが……。
大旋風は不思議に思った。
「小便だよ、大旋風──。この人間の女は小便したくて堪らないんだよ。まったく……。お陰で申し送りの途中からこの女は上の空になってしまうし──。早く、外してやれよ」
魔凛が苦虫を噛み潰したような顔で言った。大旋風は爆笑した。
「そうか、お前は小便したいのか?」
「し、したい……。ご、御不浄場に行かせてください」
李媛があまりにもはっきりとした口調で言ったので、青獅子やほかの側近たちも一斉に哄笑した。
「そうか、そうか……。そりゃあ、悪かったな。すっかりと忘れていたぜ。朝からずっとだものな。随分と我慢させちまったな、李媛」
大旋風は笑った。
考えてみれば、李姫と貞女は青獅子との性交の後、そのまま魔王の幕舎で休むことを許されたし、幕舎には落とし箱という排泄用の霊具も渡したからその間に排泄をする機会があった。
だが、張形付きの下着の霊具を装着されて尿道も塞がれていた李媛には、今日一日、排泄の自由がなかったのだ。
股間の前後の穴に挿入された張形の刺激に耐えながら、途中から排尿の苦しみも我慢しなければならなかった李媛は苦しかっただろう。
その生理的な苦痛でいまも李媛の脚をもどかしげに揺らして唇を震わせている。
「お、お願いじゃ。御不浄場に──」
李媛が切羽詰まった声で言った。
「お母様──」
「李媛様──」
そのとき、やっと李媛の存在に気がついたらしい李姫と貞女が身体を抱き合わせたまま声をあげた。
「お前らちょっと来い──。それと、李媛、小便をさせてくれと騒ぐ前にやることがあるだろう──。もう、城郭の明け渡しは終わったんだろうが? だったら、この瞬間からお前は青獅子様の性奴隷だ。三人揃って挨拶しろ──」
大旋風は怒鳴った。
李媛は憎しみとも口惜しさともとれるような表情を浮かべると青獅子に向き直った。
やって来た李姫と貞女が李媛の横に並ぶ。
「わ、わらわたちは……」
李媛が喋りだしたので、大旋風は片脚で床を踏んで大きな音をさせた。
「ひっ」
「きゃあ」
「ひいっ」
びっくりした三人がびくんと身体をすくめた。
「李媛、奴隷が服を着る必要はねえ。裸になれ」
大旋風は声をあげた。
「は、はいっ」
慌てた感じで李媛がその場で服を脱ぎ始める。
しかし、膝から両腿の震えが激しい。相当に尿意が激しいようだ。
「三人とも脚を大きく開いて、背中に両腕を回して合わせろ。それが奴隷の挨拶の姿勢だ。覚えておけ……。さあ、早くしろ。この城郭全住民が人質であることを忘れるな」
三人が言われた格好になる。
「じゃあ、外してやるよ、李媛。その性具を着けていたら素裸じゃないものな。だが、漏らすんじゃないぞ」
大旋風は道術を込めた。
李媛の乳房と股間に装着されていた下着型の性具が留め紐が一瞬だけ消滅してそれぞれに床に落ちる。
床に落ちてるときはすでに革紐などは解けた状態で復活している。
「あはああっ」
李媛が声をあげて身悶えた。
留め具の部分が解錠されると革帯の下着が、開いている股に垂れ下がったのたが、股間に挿入していた張形がすぐには落下せずに、股間に少し留まってから床に落ちたのだ。
そのとき李媛の性器をふたつの張形が刺激しながら滑り落ちたのだろう。
「李媛様──」
「お、お母様──」
両側のふたりが心配そうな声をあげる。
「こりゃあ凄いな。すっかりとふやけちまってるじゃねえかよ。それにべとべとだ。こんなに汁を垂れ流したんなら、今日一日城郭を動き回りながら達した回数は一度や二度じゃねえだろう? 侯爵夫人ともあろう者がこんなに淫乱で恥ずかしくないのかい?」
大旋風は李媛の股間の下に落ちた張形付きの下着を拾いあげながらからかった。
激しい尿意に身体を震わせている李媛の顔が恥辱で歪む。
「下衆が……」
すると、いままでそばで不機嫌そうに立っていた魔凛が舌打ちした。
「はあ? なんか言ったか、魔凛?」
大旋風はむっとして言った。
「待て、待て、大旋風──。魔凛も待ちくたびれたのだろうよ。話があるから別室に行けと言われたのに、ずっと待ちぼうけだからな。ならば、先にそれを済ませよう──。大旋風と魔凛は余とともに来い」
青獅子が席を立った。
「あ、あのう……」
李媛が狼狽えた声をあげた。
無理もない。
限界にまで迫ったら尿意がそのままだ。
李媛は悲痛な表情をしている。
「先にこの女の尿意をなんとかしてやったらどうなのですか?」
魔凛が不機嫌そうに言った。
「いや、これも躾だからな。余の女なら、余の都合に合わせて尿意も覚えるものだ──。李媛、よいか、余の側室とは、即ち、余の性奴隷ということだ。性奴隷だということは、つまり、お前たちには小便ひとつにしても自由になるものはないということだ。それを身体で覚えよ。余たちの話が終わるまで、そのまま耐えていよ。それでも、この城郭の万余の命を預かる侯爵夫人なのだろう? その面目にかけて、余が戻るまで耐えよ。よいな──」
青獅子が冷ややかな口調で言った。
「は、はい……」
李媛はすっかりと脂汗にまみれた顔を頷かせた。
「だけど、青獅子様……」
魔凛がちらりと李媛を見た。
微かではあるが、魔凛が李媛に向けた表情には、李媛に対する同情の色がある気がした。
「口を出すな、魔凛。これは、軍政にかかわることではないぞ。余の女になるであろう人間の女に奴隷の調教をしておるのだ」
「わかりましたよ、青獅子様」
魔凛が不満気に言った。
そして、ほんの小さな声である言葉を呟いた。
それは、あまりにも小さな声だったので大旋風を除いた部屋の誰にも聞こえなかったとは思うが、大旋風だけは魔凛が口の中で呟いた言葉を捉えていた。
魔凛は言ったのだ。
下衆が──と。
「おいっ」
大旋風はびっくりして声をあげた。
さっきは同じ言葉を大旋風に使ったが、今度は青獅子に向かって言ったとも捉えられる物言いだ。
大変な不敬の罪だ、
しかし、憤って魔凛に詰め寄ろうとした大旋風を制するように青獅子が手を前に出した。仕方なく大旋風は口を閉ざす。
「李媛、もしも、余が戻る前に粗相をすれば、この城郭の住民から無作為に選んだ人間を百人殺す。百人くらい死んでもよいと思えば、そこで尿をせよ」
青獅子がそう言い残して、奥の部屋に向かう扉に向かって歩いていく。
大旋風は魔凛とともにそれに続く。
この大広間を出る前に、大旋風は一度だけ振り返って李媛の様子を見た。
股を開いて両手を背中に回して立っている李媛は、呼吸を乱して苦しそうに歯を食い縛っている。
同じ格好の両側の李姫と貞女がそれを心配そうに見ていた。
「ははは、百人だぜ。住民を守りたければ、一生懸命に我慢するんだな」
大旋風は苛つきの八つ当たりを李媛にぶつけると、青獅子と魔凛に続いて隣の部屋に入る扉を通り抜けた。