眼の前でもがき始めた沙那と朱姫に、孫空女はおろおろとするばかりだった。
異常な反応だ。
孫空女の腕の中の沙那は、全身の身体の感度があがりきり、なにをどうされてもいき狂う絶頂人形のようになってしまった。
横で倒れている朱姫は、まるで酔っ払ったように全身が弛緩して、両手でお尻を押さえて、焦点のない表情で涎を垂らしている。
「こりゃあ、参ったねえ……。こんなになるなんて予想外だよ」
宝玄仙が頭を掻いている。
「参ったじゃないよ、ご主人様。いい加減にしなよ──。まあ、新しい霊気吸収の首輪はありがたいことは、ありがたいんだけどさあ……。でも、これ、どうするんだよ──?」
「別にどうということもないさ、孫空女……。半刻(約三十分)もすれば収まるさ」
宝玄仙は笑った。
この間、沙那も朱姫も常軌を逸した状態でのたうちまわっている。
これが首に装着させられた宝玄仙の新しい霊具の副作用のようだ。
とにかく、宝玄仙の霊気の供給に頼らなければならない孫空女や朱姫が、宝玄仙と離れ離れになっても、身体が五体満足のままで維持できるようにしてくれたというのはありがたいのだが……。
しかし、やはり、宝玄仙から逃亡防止のための追跡機能はついていて、たとえ宝玄仙から逃亡を図ったとしても、この首輪の作る『移動術』の結界が、宝玄仙が孫空女たちを捕らえるのを可能にしているようだ。
まあ、今更、逃亡の意思など皆無だから逃亡防止の機能など幾らでもつけて構わないのだがこの副作用は酷い。
暴発した快感で苦しんでいる目の前の沙那と朱姫と同じ目に自分が遭うのだと思うとぞっとする。
まったく、この道術遣いは、これだけの霊具作りの才能がありながら、どうしてまともなものを作らないのだろう……?
孫空女は嘆息した。
だが、そんなことを考えていたから、近づいてきた盗賊の気配に気がつくのが遅れてしまった。
「なんか面白いことやってんなあ……?」
孫空女が振り返ったときには、すでに五人ほどの人影がすぐそばにあった。
「ああ、なんだ、お前ら──?」
孫空女は抱きかかえていた沙那を地面に下ろした。その衝撃でまた沙那が悶え狂ったがそれは仕方がないだろう。
出発の直前だっただけに、宝玄仙の結界はすでに解いている。
いまさら、宝玄仙が結界を刻み直すには、五人ほどの盗賊がそばまで寄り過ぎている。
孫空女は舌打ちして、耳の中から『如意棒』を出した。
「伸びろ──」
手の中の楊枝ほどの『如意棒』が一本の金属の棒になる。眼の前で振り回した。少しも重さは感じない。
いままでの感覚と変わらない。
いい感じだ……。
「金目のものをもらおうと思ってな……」
眼の前の五人ほどの盗賊は、孫空女の棒を見ても、なんの恐怖も抱かなかったようだ。
確かに、五人が五人ともそれなりに遣い手だ。
それはちょっとした身のこなしを眺めればわかる。
しかし、孫空女の敵でもない。
それもわかる。
孫空女が棒を振って見せても、たかが女だと侮っているのだ。
つまりは、その程度の相手ということだ。
「だが、ついでに、あんたらとやらせてもらおうかな。その姉ちゃんと娘さんは、欲情しきっているみたいじゃないかい……」
一番身体の大きな男が言った。
そいつが一番強い。
孫空女はその男に狙いを絞った。
「ご主人様、沙那と朱姫を頼むよ」
孫空女は数歩前に出て、後ろに仲間を護るような態勢をとった。
「孫空女、気をつけな。そいつらは、隠しているけど妖魔だよ……。つまり、亜人さ」
宝玄仙が言った。
「亜人?」
孫空女は改めて五人を見た。
見たところ、人間の男と同じような姿や外見だ。
東方帝国で妖魔と呼んでいる亜人という種族は、本来は獣であったものがなんらかの霊気の影響で人間化した種族だと言われている。
その特徴は様々で、本当に外見が動物に近いものもいるし、まったく人間と区別がつかない種族もある。
知能にしても人間以上に発展しているものもいれば、人間の基準では白痴に近い種族までいる。
しかし、その共通の特徴は帯びている高い霊気と角だ。
霊気については、そもそも、亜人化するには霊気が必要なので、霊気の帯びない亜人というものは理屈では存在しない。
霊気を持つ存在が逆に珍しい人間との違いはそこだ。
だから、帯びている霊気を隠すことは難しい。
逆に霊気を隠すことができれば、それだけ高い能力を持つ亜人ということにもなる。
宝玄仙が感じた霊気の気配を孫空女は感じることはできなかった。
宝玄仙と孫空女の霊気探知力は比べものにならないからそれは当然なのだが、もしかしたら、かなりの霊気の遣い手なのだろうか……。
孫空女は少し警戒した。
もっとも、霊気が危険であれば、宝玄仙が動くはずだ。
いまのところ、静観している気配だから、宝玄仙から見れば霊気では小者なのだろう。
一方で、角については、個体によって差があるし、朱姫のようにほとんど退化していて、まったく目立たない者まである。人間族の社会に混ざるために、自分で切断してしまう者までいるくらいだ。
髪や帽子で隠してしまえばわからないし……。
目の前の三人については、まったく角の存在はわからない。
いずれにしても、こっちを押そうというのであれば戦うだけだ。
孫空女はさらに前に出る。
亜人たちの身体に殺気が走るのがわかった。
「お前ら、亜人かよ? こんなところで、盗賊かい?」
「いま、気がついたのか、女? さしずめ、抵抗する気配のあるのはお前だけのようだな。つまりは、お前を倒せば、ほかの三人はやりたい放題というわけだ」
孫空女が狙いをつけていた一番身体の大きな亜人がゆっくりと近づいてきた。
次の瞬間──。
「ぎゃっ」
悲鳴は孫空女のものではない。
鉤爪のようになった腕が急に伸びて、孫空女の喉に飛んできた。
咄嗟に払った『如意棒』が、伸びた亜人の腕を肘で切断したのだ。
それで亜人が悲鳴をあげた。
腕を切断されて態勢を崩した亜人だが、それでも血を吹き流しながら、反対の手を横から振り下ろしてきた。
孫空女は構わなかった。
そのまま、その亜人の片腕を切断した『如意棒』を一閃させて、今度は首に叩きつけた。おかしな音がして亜人の首の骨が折れるのがわかった。
どっと音を立てて、その亜人の大きな身体が地面に落ちる。
ほとんど一瞬のことだ。
「あんたらもやるのかい? その男は死んださ。仇をとりたきゃ来な」
孫空女はさらに数歩前に出て、ほかの四人をねめ回した。
どの亜人もすっかりと気を飲まれて、抵抗の気持ちをなくしたようだ。
喧嘩でも戦闘でも、相手の出鼻を挫くことが重要だ。大抵の場合はそれですべて終わる。
「かかってこないのかい──? 武器を捨てなきゃかかっていくよ」
孫空女がそう言うと、四人が争うように持っていた剣やら斧やら槍やらを捨てた。
「孫空女、この札だよ。これで人間のふりをしていたんだね。これは霊具だね。帯びている霊気をある程度隠すとともに、見た目を人間的に変化させる効果があるようさ」
死んだ亜人の身体を探っていた宝玄仙が、その身体から布の札を胸から剥がした。
すると、死んだ亜人が人間の風貌から熊を思わせるような姿に変化した。角もちゃんと出現する。
「お前らも、同じものをしているのかい?」
孫空女は突っ立っている亜人たちの中から正面に立っている亜人の胸を『如意棒』ではぐった。
「ひっ」
恐怖で顔色を蒼くしたその亜人の胸元には、死んだ亜人と同じ札が貼ってある。
「なんで人間の真似をして、こんな場所で盗賊なんてしているんだい?」
孫空女は正面の亜人の喉の寸前に『如意棒』を突きつけた。
「こ、ここは金になる……。大陸を東と西に結ぶ街道が三魔王軍の領域で封鎖されているので、人間の旅人は必ずここを通過する……。そ、それを捕らえるのよ。そして、奴隷として売る……。だ、だけど、奴隷を買い取るのは人間だけだ。だから、人間の格好をしていたのよ。人間は亜人を相手にはしていないからな」
「お前の名は?」
孫空女は『如意棒』をそのままに言った。
「ぎょ、
「じゃあ、玉斧、お前らは、その三魔王軍の者かよ?」
三魔王軍というのは、確か沙那が事前に調べた限りでは、金凰、白象、青獅子という三兄弟の魔王が率いる軍団のことで、もう少し南側の一帯に巣食っているはずだ。
この連中が魔王軍の連中だとすれば、その魔王軍がここまで北上しているということになるのだが……。
沙那がいれば、こんな連中からも必要な情報を訊き出すのだろうが、宝玄仙の霊具の後遺症でまだ朱姫とふたりでよがり声をあげてのたうっている。
可哀そうに……。
「そ、そんなわけあるわけねえだろう。魔王軍に入れてもらえていたら、こんな場所でちんけな盗賊なんてしてねえよ」
玉斧が言った。
「つまりは、魔王軍にも入れなかったから、こんな人間の勢力地に近いところで人間狩りをして稼いでいるということかい──? ところで、お前らの頭領と棲み処はどこだい?」
「この向こうの塚だ……。少し前に捕らえた人間の相手をしている」
「人間?」
孫空女は額に眉を寄せた。
「捕えた人間をそこに置いているのか……。その棲み処で捕らえている人間が何人で、そこには頭領のほかにどのくらいの仲間がいるんだい?」
孫空女は怒鳴った。
「と、捕えているのは……ふ、ふたりだ。それと、棲み処には頭領がひとり……」
「頭領の名は、玉斧?」
「ろ、
「わかった──。ねえ、ご主人様?」
孫空女は頭を宝玄仙に向けた。
その間も、盗賊たちに対する警戒は怠っていない。
むしろ、孫空女が視線を外したことで、こっちに向かって来たり、あるいは逃げようとしたりしたら、容赦なく殺すつもりだった。
その孫空女の殺気を感じたのか、玉斧をはじめとする四人の亜人の盗賊は、まったく動こうとはしなかった。
「行っておいで……。捕らわれている人間がいるなら、これも縁さ……。助けておいで、孫空女」
宝玄仙がそう言いながら、さっき孫空女が倒した亜人の屍体を崖に蹴り落とした。
がらがらと音を立てて、亜人の身体が落ちていく。
「じゃあ、お前ら、そこに案内しな」
孫空女は言った。
「ど、どうするんだ──?」
「頭領は殺す。これまでに溜め込んだ蓄財があるんなら、それはお前たち四人で分配していい。でも、その捕えているという人間は連れていくよ──。それとも、抵抗するかい? それでもいいよ。三人殺して、残ったひとりを拷問して場所を訊き出してもいいんだ。どうする──?」
「あ、案内する」
四人がすっかりと怯えた様子で坂を登りだし、やがて草をかき分けて横道に入った。
そして、しばらく歩くとこんもりとした土の小山の前に出た。
その小山に洞穴がある。入り口は板のようなもので隠してある。
それを外すと微かに光が見えた。
「お前、六道とかいう頭領を呼び出しな」
孫空女は玉斧に言った。
「わかった──。頭領──。頭領、大変です。一大事です。出てきてください──」
玉斧が大声で叫び声をあげた。
やがて、がさごそという音が洞穴の奥から聞こえ出し、大きな亜人が這い出てきた。
玉斧たちのように人間の顔はしていない。殺した亜人と同じように熊の風貌だ。角もある。
そして、身の丈も孫空女の二倍はあるだろう。
孫空女は洞穴から六道の身体が出てきたところで、力任せに横から蹴り飛ばした
しかし、六道は大男にしては意外な素早さで、孫空女の蹴りを避けると、背中の大太刀を抜き払った。
孫空女がたったいままでいた場所に太刀が振り下ろされる。
だが、すでに孫空女の身体は、横に跳躍して移動している。
誰もいない地面を六道の凄まじい太刀が叩き込まれた。
「なんじゃ、お前、
「百舌?」
連れ去ったという人間のことだろうか……?
次の瞬間、三個ほどの石がすっと浮かんだ。
そして、急に角度を変えて孫空女を目がけてすっ飛んできた。
道術だ──。
いきなりのことで驚いたが、すべて『如意棒』で打ち払う。
「お前ら手柄だぞ。これは別嬪だ。人間族の奴隷商人は、こいつなら高く購うだろうさ……。その前に味見もするがな」
六道が相好を崩して好色な表情になった。
「連れてきたっていうわけでも……」
「どちらかというと、連れて来させられたというか……」
玉斧たちがぶつぶつと言っている。
四人は距離をとり、孫空女と六道の戦いに巻き込まれないようにしているようだ。
少なくともその四人の亜人は孫空女に刃向う気持ちは完全にないようだ。
「あんまり、傷はつけたくないんだ。抵抗するなよ──」
六道の足元から石が眼にもとまらぬ速さで孫空女に次々に飛んでくる。
「忙しい技だね──」
孫空女は嵐のように飛んでくる石をひとつひとつ避けながら、六道との距離を詰めた。六道の顔が恐怖に染まる。
孫空女の『如意棒』が六道の首に叩きつけられる。
どうと倒れた六道の身体は地面に落ちたときには屍体になった。
「捕えている者を連れ出しておいで──」
孫空女は六道まで呆気なくやられたことで目を丸くしている四人の亜人たちに言った。
玉斧がほかの三人を促して洞穴に入らせた。
すると三人が穴に消えるのを待ちかねたように、いきなり、玉斧がその場に土下座をした。
「凄げえ、凄げえ……。こんなに強い者は初めてだ──。ましてや、これが人間の女なんて──。た、頼む。俺をあんたの男にしてくれ──。俺の妻になってくれ。この通りだ──」
玉斧がそう言って頭を地面に擦りつける。
「つ、妻──。お、お前馬鹿かよ──。じょ、冗談じゃないよ」
孫空女は狼狽えて叫んだ。
なぜか自分の顔が火照るのを感じる。
突然に妻になってくれなどと言われて驚いたのだ。
「わかっている。簡単じゃないのはわかっている。だけど、せめて、俺と一緒に旅をしてくれ。この山で奴隷にするための人間狩りは終わりだ。俺たちは散り散りになるしかない。だけど、俺はあんたと一緒に行きたい。頼む。なあ、いいだろう? あの人間の女たちとは別れて、俺と一緒になってくれよ。この先には行かないでさあ」
玉斧が顔をあげて孫空女に訴えた。
この場に宝玄仙がいなくてよかったと思った。
こんなときに宝玄仙がいれば、面白がった宝玄仙が孫空女になにをさせるかわかったものじゃない。
とりあえず、こいつは、ここで必ず追っ払うしかないだろう。
このままついてこられたら面倒だ。
「こ、今度、あたしに近寄ったら、今度は息の根を止めるよ。あたしはお情けであんたらを許してやってんだ──」
孫空女は怒鳴った。
「どうしても駄目か?」
「あたりまえだろう」
「だ、だったら、一発やらせてくれ──」
玉斧が言った。
「い、一発──?」
孫空女はかっと自分の顔が赤くなるのがわかった。
この亜人の男は、いったいなにを喋っているのだろう。
「お、お前、ふ、ふ、ふ、ふ、ふざけるんじゃないよ──。や、やっぱり殺す」
孫空女は『如意棒』を振りあげた。
「わかった。殺されてやるよ。その代わり、一度でいいんだ。あんたのような女傑と一瞬でいいから夫婦になりたい──。頼む──」
玉斧は孫空女に『如意棒』を振り下ろされながらも、身じろぎもせずに孫空女から眼を離さない。
『如意棒』は玉斧の頭の直前でぴたりと静止している。
孫空女は嘆息した。
「勘弁してよ、玉斧──。あたしがあんたを好きになれるわけないじゃないかい……。つきまとって、一緒に来たりしないでよね」
もはや、孫空女の恐怖は、この阿呆が宝玄仙のいる前で、孫空女に求婚めいた行動をすることになっていた。
そんなことをされたら、絶対に宝玄仙は調子に乗ってくだらないことを思いつく。
しかし、それでなにかを悟ったのか、玉斧がはっとした表情になった。
「そうか……。確かにそうだ。このままでは、俺はただあんたらを襲おうとした卑しい亜人盗賊でしかないからな。わかった。出直してくる。だが、いつか、再会することがあって、そのとき、あんたが少しは俺を見直したら、さっきのことを考えてくれ……。それから
その時、洞穴からまた誰かが出てくる気配がした。
孫空女は一瞬だけそっちに意識を向けた。
なにを思ったか、玉斧はさっきの言葉を言い残して、そのまま全力疾走でどこかに消えてしまった。
「なんなんだよ、あれは……」
孫空女は玉斧が消えた方向を眺めながら思わず呟いた。
やがて洞穴から、まずはひとりの亜人に続いて、若い女が現われた。
年頃は二十二、三だろうか。
孫空女もはっと驚くほどの美人だ。
服装は清潔ではあるが、粗末なものだ。
「おや、玉斧の兄貴は?」
最初に出てきた亜人と女の次から出てきた亜人が首をかしげている。
「知らないよ。なんか喚いてどこかに行っちゃったよ」
孫空女はそれだけを言った。
「ところで、あんた、大丈夫かい? あたしは孫空女だよ。大変な目に遭ったみたいだけど、もう大丈夫さ」
孫空女は言った。
そのとき、孫空女はその女の首に白い首輪があるのに気がついた。
孫空女がいましているような宝石の飾りがついている装飾具風のものではない。
なんの飾りもないただの輪っかだ。
孫空女はこれと同じものを見たことがあることを思い出した。
あの香蛾が奴隷の証として装着していたものであり、それと同じものをこの若い女もしている。
「この百舌──」
不意に少年の声がした。
続いて十二、三歳と思うような少年が穴から出てきていた。汚れてはいるが身なりはいい。
女が身に着けていたものに比べれば、服の生地ひとつを見ても大したものだ。
おそらく、ある程度の分限者の子息だろう。
なんとなくそう思った。
しかし、その少年は穴から出てくるといきなり、百舌の頬を思いきり張り飛ばした。しかも、もの凄い強烈な平手打ちだ。
頬を打たれた百舌の身体が横倒しになり、膝ほどの丈の下袍がまくれあがった。
孫空女はびっくりした。
「お前という女は、僕という主人がありながら、あの六道という男に股を開きやがって──。恥を知れ──」
少年は真っ赤な顔をして叫んだ。
「お、お許しください──、
百舌という女は、下袍を直しながら身体を起こすと、わっと地面に突っ伏して泣き出した。
「だ、誰が、そんなことを言っている──。調教だ。お前の調教をやり直す。お前の身体に沁みついた別の男の精なんか、僕の調教で上書きしてやる」
長庚という名らしい、どう見ても十二、三歳にしか見えない少年が言った。