「調教師、この子供が?」
宝玄仙は爆笑した。
「わ、笑うな──。ぼ、僕は
そんな子供が一人前の調教師だとか称するとおかしみしか感じない。
宝玄仙はいつまでも笑い続けた。
「ご、ご主人様、そんなに笑ったら可哀そうだよ……。ほら、彼は怒っているよ……」
孫空女が嗜めるように言った。
この山中に野宿をしているときに偶然に襲いかかってきた盗賊は、人攫いを生業とした亜人の六人組だった。
大陸の南北をつなぐ大きな街道が三魔王軍の勢力で封鎖されていることから、最近ではこの山越えの道が隊商や旅人の主要な経路になりつつあったのようだが、この狭隘な山道を人間たちが頻繁にやってくるようになったことに狙いをつけて、彼らは人間のふりをして人を浚い、奴隷として竜飛国の奴隷商人に売っていたらしい。
もっとも、しっかりとした護衛をつけている隊商や旅人には手を出さず、襲いかかっても簡単に浚えそうな人間ばかり選んで襲っていたようだ。
宝玄仙たちが襲撃されたのは、女だけの一行だったからであり、長庚と百舌が狙われたのは、隊商と山ではぐれてしまった彼らがふたりだけで山道を彷徨っていたからだ。
長庚は、竜飛国の国都に店を構える立派な大商人の跡取息子であり、百舌は大商人の父親が長庚に与えられた専用の女奴隷という関係らしい。
竜飛国では、それなりの富豪や貴族になれば性教育を兼ねて、年頃になったときに専用の女奴隷を与えることは普通のようだ。
百舌はそうやってあてがわれた長庚の性奴隷であり、修行のために大きな隊商に一行に加わることになった長庚に当然、同行してきたのだ。
旅の途中でなにがあったかは知らないが、長庚と百舌は、この山の中で隊商とはぐれたらしい。
それで
「じゃあ、ここで、その調教とやらをやってみな。ここは野外だが結界は張り直してやったよ。また、盗賊がやってくれば、孫空女が追っ払うさ……。沙那と朱姫は呆けているけどね」
宝玄仙はそう言って、大きな木の幹でぐったりと身体を横に倒している沙那と朱姫に視線を送った。
半刻(約三十分)の発作は終わったようだが、その間にわずかな刺激によって達し続けた沙那と、怖ろしいほどの尻の欲情に襲われて尻で自慰をし続けた朱姫は、まだ身体に力が入らないらしく、身体を倒して激しい息遣いをしている。
少し離れたここからでも、大量の愛液を股から垂れ流しているのがよくわかる。
女の蜜の匂いがぷんぷんとしているし、沙那に至っては下袴の股間がまるで小便を洩らしたようにびっしょりと濡れている。
もしかしたら、本当に洩らしたのかもしれないが……。
「こ、ここで……?」
長庚は当惑している。
「いっぱしの調教師ならどこだって女を抱けるものさ。なんだったら、お前の性奴隷じゃなくてもいいよ。そこにぶっ倒れている沙那でもいいし、朱姫でもいい……。その孫空女でもいいさ。孫空女もなかなかの女傑ぶりだったろう? 折角の機会だから、抱かしてやってもいいよ」
「ご、ご主人様──」
見張りのように結界の中の道路側に突っ立っていた孫空女が真っ赤な顔をして抗議した。
「なんだい、孫空女? 一人前に抗議しようとしているのかい。この宝玄仙の奴隷のくせに──」
宝玄仙は嘲笑の表情を孫空女に向けた。
「だ、だってさあ……。こ、こんな子供と……」
孫空女も困ったように押し黙った。
「子供がどうしたんだい。自分でも調教師だと言っているじゃないかい。一応は大人並みのものを持っているんだろう? まさか、まだ毛が生えていないということはないだろうねえ?」
宝玄仙は大笑いした。
「ば、馬鹿にするな──。もう、一人前の男さ」
「ああ、そうかい、長庚──。だったら、早くしな。どの女を選ぶんだい? わたしは、これまでの人生で遭った中で一番幼い調教師というお前に興味があるのさ。まあ、なんだかんだと言っても、その歳で自分は調教師というのは頼もしいしね──。もう、わかったと思うけど、わたしも調教師なのさ。こいつら三人は、わたしの性奴隷だよ。だから、調教師仲間でお互いの奴隷を交換して愉しもうじゃないか──。お前たちの命を救ってやったんだ。そのくらいのいうことはきくものさ」
「わ、わかったよ──。抱くよ。抱くところを見せればいいんだろう? だけど、奴隷の交換はしないよ。百舌は僕の性奴隷だからね。その代わり僕がちゃんとした調教師だというところを百舌を使って見せてやるよ。確かに、人前で抱くなんてどうということはないよ。馴れているからね……。百舌、しゃぶれ──」
長庚は半分、腹をたてた感じで、下袴と下着をいっぺんに足首までおろして脱ぐと、横に置いて胡坐をかいた。
「は、はい──」
百舌が慌てたように長庚の股間に顔をうずめる。
長庚の股間の一物は、確かに大人と同じように一人前のもののようだった。
あの歳でいっぱしの調教師を気取るのだから、性欲にも自信はあるのだろう。
宝玄仙がけしかけると、大して動じることなく、宝玄仙たちの眼の前で百舌に自分の男根を舐めさせ始めた。
長庚の股間に顔を埋めている百舌は、膝立ちして身体を前に倒して腰を高くあげている態勢だ。
尻を高くあげているので、短い下袍から百舌の股間が後ろから覗いている。
下着ははいていないようだ。
最初からはいていないのか、それとも、六道とかいう亜人の人攫いの頭領に犯されたときに奪われたのかもしれない。
背後から見える百舌の股間には、まだ、男に犯された痕がなんとなく残っているようだ。
少年である長庚の怒張は、百舌の口に包まれて、ぶるぶるとうねっている。
宝玄仙の見たところ、百舌は一生懸命に奉仕はしているが、大して技巧的とはいえないようだ。
しかし、こうやって他人の視線の前で長庚に奉仕をしている百舌の眼が被虐的に潤んでいるを宝玄仙は見抜いた。
被虐の心も性癖もしっかりと百舌は持っているようだ。
だが、それほどの性技は教えられていない。
百舌はただ長庚の一物を口に咥えて舐めているだけだ。
舌をうまく使って幹を舐めたり、先端の亀頭の部分を刺激したりという基本技もないようだ。
口で奉仕しているのを観察しただけだが、それだけで長庚の調教師としての腕は推して知れる。
「大したことないねえ……。沙那、呆けていないで交替だよ。本当の口の奉仕をこの小さな調教師にやっておあげ──」
宝玄仙は怒鳴った。
「は、はい……」
まだ身体のだるそうな沙那が疲労の残る表情のまま身体を起こした。
まだ、半分意識がないような感じだ。
すると、長庚の顔の色が変わった。
「ぼ、僕は、百舌だけだ──。百舌以外は抱かないよ──。余計なことはしないでよ」
百舌に股間を舐めさせている長庚が怒鳴った。
宝玄仙は呆気にとられた。沙那もはっとしたように眼を開いた。
「だ、誰ですか……? この少年?」
沙那が眼を白黒させている。
宝玄仙は沙那の様子に苦笑した。
どうやら、沙那は自分が長庚の一物を口に含めようとした自覚はないようだ。
つまり、この女は、朦朧としているところに口奉仕を命じられて、わけもわからず、誰のものともわからない男根を舐めようとしたのだろうか……。
少しだけ宝玄仙はその沙那の健気さがおかしかった。
「僕は長庚だ。助けてもらった恩には感謝する。だけど、俺は一生涯、百舌しか抱かないつもりなんだ。勝手なことはしないでくれ──」
「は、はあ……」
長庚に怒鳴られた沙那は、力が抜けたような返事をした。
少年の怒張に奉仕を続けている百舌がぴくりと反応したのがわかった。
黙って奉仕を続けているが、なんとなく、その眼が潤んでいる。
奴隷とはいえ……。
いや、奴隷だからこそ、こんなに真っ直ぐな愛の言葉は嬉しいのだろう。
百舌は感動で震えているような感じだ。
しかし、この百舌は年齢は二十を少し超えたくらいだろうか……。
長庚とは年齢は離れているし、百舌は長庚からすればたかが奴隷だろう……。
あんなに一奴隷に思いつめているというのは、長庚の立場で許されることなのだろうか……?
長庚もかなりの分限者の商家の息子のようだが……。
「もういい、百舌、尻をまくって後ろを向け──」
長庚は言った。
百舌が膝立ちの姿勢を逆にして、口を離して下袍を完全にまくって長庚にお尻を向けた。
「いくぞ」
長庚が百舌の腰を掴んだ。
いきなりだ──。
ほとんど愛撫らしい愛撫もなしに、長庚は後ろから百舌の女陰に怒張を突っ込んだ。
「あがあっ──」
百舌が地面を掴むように拳を掴んでけたたましい声をあげた。
快感というよりは、大して濡れていない股間に怒張を挿入された苦悩の悲鳴だろう。
しかし、長庚は若者らしい荒々しい一方的な律動を繰り返し、やがて、呻き声のような声をとともに精を放つような仕草をした。
宝玄仙はあまりもの一方的な性交に目を丸くした。
これほど、相手のことを見ていない行為は初めてだ。
それでも、百舌はそれなりに快感を覚えたのか、かすかによがるような動きをした。
長庚が怒張を抜く。
長庚自身の精と百舌の愛液にまみれた男根が長庚の股間に垂れ下がっている。
やや力を失っているが、その気になれば、続けてまだできそうな感じだ。
百舌がその男根に近づいて再び口に咥え、男根についた精を舌で掃除をする。
長庚が百舌に口奉仕の掃除をやらせながら、どうだというように自慢げな表情を宝玄仙に向けた。
宝玄仙はふつふつと怒りが湧いてきた。
男が女のことを考えない性行為というのが宝玄仙は許せなかった。
しかも、乱暴な性行為を調教と呼んでいることも許せない気がした。
たとえ、長庚が十三の少年であっても同じだ。
「まったく駄目だね──。なっていないよ。調教にもなんにもなっていないじゃないかい──。だいたい、自分だけが気持ちよくなってどうするんだい。百舌はほったらかしかい──。許せないね。仕方がない。この宝玄仙が調教師としての基本を教えてやるよ──」
宝玄仙は叫んだ。
*
「
伝声球を使ってはぐれてしまった隊商と連絡をとっていた長庚が顔をあげた。
ここは、山越えで竜飛国の北辺である獅駝地方に入った最初の村だ。
宝玄仙たち四人に長庚と百舌を加えた六人は、とりあえず、山を下りて麓に最初にあった村に宿を求めたのだ。
宿屋のようなものはないが、代価を支払うことで村はずれの空き家を貸してくれた。
ちょっとした食材も手に入れることができたし、数日はここですごすということになりそうだ。
宝玄仙が持っていた『伝声球』という霊具で、長庚がはぐれた隊商の責任者と連絡をとることに成功し、二日後に向かえが来ることになったからだ。
それまでは、この村で時間を潰すことになると思う。
別に、宝玄仙たちまでここに残る義理はないのだが、長庚は是非とも礼をしたいので、一緒に国都まで戻って欲しいというし、宝玄仙としても、この自称“調教師”の少年に女を調教するということの基本を教え込みたい気持ちだ。
「それにしても、お前に霊具が扱えるとは思わなかったねえ」
「僕の一族の家の跡取りは、代々、わずかですが霊気を持っています。僕も道術は遣えませんが、霊具は扱えます──。それよりも、『伝声球』を貸していただいて感謝します……。それに、宝玄仙さんが偉大な道術遣いということは知りませんでした。先程の無礼はお許しください」
長庚が頭を下げた。
「とりあえず、二日だね。まあ、そこで、しっかりと女を調教するということがどういうことなのか教えてやるよ──。お前のあんなのは、ただ、自分の欲望のまま百舌の股倉を使っているだけじゃないかい──。あれが調教といえるものかい──。百舌が可哀そうだろう」
「はあ、教えてください」
長庚はもう一度頭を下げた。
眼の前でやらせた一方的な性交に、さんざんに叱咤をしたことで長庚はすっかりと大人しくなってしまった。
しかし、そこは商家の息子らしく、ひとりよがりの我が儘さはない。
忠告を受け入れる度量はちゃんと持っているらしく、調教師としての基本を教えてやるという宝玄仙の申し出に、長庚は素直に頭を下げた。
「……あのう……。百舌は別に……可哀そうとか……そういうことは……」
百舌がおずおずと言った。
「黙んな、百舌──。お前、さっき長庚に抱かれて気持ちよかったかい──?」
「も、もちろん、気持ちよかったです。百舌は長庚様に抱かれれば幸せを感じるのです」
百舌がきっぱりと言った。
しかし、そんな百舌を宝玄仙は鼻を鳴らして一蹴した。
「だったら、百舌──。お前はさっき一回でも達したかい?」
宝玄仙は言った。
「そ、それは……」
「抱いた女を絶頂させることができないような男が調教師なんて名乗れるかい。調教師と自称したかったら、女をいかせる技を身につけな、長庚──。それに、調教というのは、実は徹底的な奉仕と同じなんだよ。お前が気持ちよくなるんじゃない。相手をすけこまして、それに満足を覚えるのが調教師だよ」
「肝に銘じます」
長庚が言った。
「それにしても、どうして、獅駝の城郭ではなくて、この小さな村を出迎えの家人を待つ場所に選んだの? 今日はともかく、迎えが二日もかかるなら、城郭まで行った方がいいんじゃないの?」
沙那だ。
実はこの小さな村を連絡の取れた家人を待つ場所に選んだのは長庚だ。
これから長庚と一行は出迎えを待って国都に向かうのだが、いまのところ、その長庚は獅駝の城郭には入らずに素通りする予定のようだ。
この一帯に城郭は、獅駝の城郭だけなので行動としては不自然だ。
「どうも胡散臭いのですよ。僕も商人の端くれですから、勘が働くようでなければ、商人は務まりません。あの城郭は胡散臭いです」
「胡散臭いって?」
沙那が訊ねた。
「半月ほど前、あの獅駝の城郭には、随分と大きな物の流れがありました。まるで、大きな戦でもするような感じで大量の食糧や物資が城郭に運び込まれたのですよ。それで軍が動いた気配がありました──。軍が動けば、いくら、秘密にしたくても、物流が動くので、さすがにわかります。商人は情報には目聡いですから。僕は隊商の中にいながらも、そういう情報には眼を離しません。ですから、この地方でなんらかの戦があったことは間違いないと思うのです。ところが、いま、その情報が完全に封鎖されているのです。しかも、不自然な物の動きが続いています……。これは異常事態です」
「不自然な物の動きって……?」
「この数日、物の流れが止まっています。その城郭は数万の住民が住む城郭なんですよ。それなのに、まるで凍りついたように物流が止まっているんです。これはまったく理解できないことですね」
「それはどういうことなの?」
沙那が眉をしかめている。
「わかりません──。しかし、その理由が判然とするまでは避けた方が無難でしょう。僕自身も城郭は避けるつもりですし、出迎えの家人にも城郭は避けて移動するように指示しています」
長庚は言った。
宝玄仙は内心で感嘆した。
十三歳とは思えないような、的確な情勢の判断力と分析力だ。
その辺りの大人びた思考が性の早熟さに繋がってるのかもしれない。
ただ、調教師を気取っているが、性は独りよがりで稚拙もいいところだ。
「そんなことはいいさ──。じゃあ、さっそく始めるよ──。沙那、孫空女、朱姫──。三人の中から調教の見本の受け役を選びな。選ばれたひとりは素っ裸になるんだ──。それから、長庚は百舌に裸になるように命じな。早速、調教師としての勉強会を始めるからね」
宝玄仙は言った。
百舌は長庚に促されて服を脱ぎ始めた。
肌は色黒だが、傷のない綺麗な肌だ。
奴隷といっても乱暴なことをされたり、肉体労働をやることはないようだ。
まさに、長庚の性の相手を含めた身の回りの世話をする家奴隷というところなのだろう。
「おや、お前、自分の奴隷の毛を残しているのかい?」
宝玄仙は百舌の股間に残っている茂みを見つけて言った。
「えっ」
百舌は顔を真っ赤にしてさっと股間を隠した。
「長庚、お前もこいつのご主人様を気取っているなら、奴隷の毛くらい剃ってやりな」
「そ、剃るって……、そ、そんな……」
百舌は当惑して狼狽えている。
「なにを嫌がってるんだい、一人前に──。奴隷の身体は毛一本、爪の先までご主人様のものだよ。一人前に恥ずかしがるんじゃないよ、百舌。ご主人様が毛を剃ると言われたら悦ばないか──。まったく、躾がなってないねえ、長庚」
「申し訳ありません。そういう、奴隷の管理も教えてください、宝玄仙さん──。百舌、後で剃るからな」
「は、はい、長庚様……。申し訳ありませんでした」
百舌は神妙な顔つきで長庚に謝罪した。
「それにしても、折角だからわたしの供を相手にしてもいいんだよ、長庚。調教師たるもの、さまざまな女を知っておくことも必要さ。今日はこいつらから選んだらどうなんだい?」
「いえ、これだけは譲れません、宝玄仙さん。僕が生涯に相手をするのは百舌だけですから……。将来は妻にするつもりです」
「妻?」
宝玄仙は声をあげた。
竜飛国の風習は知らないが、長庚は相当の格式のある分限者の子息のはずだ。
奴隷女と結婚など、ご法度もいいところなどではないだろうか……?
「長庚様、前にもお話しましたが、百舌にはもったいなくて涙が出るようなことですが、それはお受けできません。奴隷女と結婚など長庚様が笑い者になります。それは百舌には耐えられません。百舌が一生尽くすことは誓います。でも、どうか、長庚様は将来は立派な女性と結婚されて、百舌など不要になれば躊躇なく使い捨てください。それが百舌の幸せなのでございます」
百舌は裸身のまま言った。
どうやら、物事の道理は百舌がよくわかっているようだ。
ここで下手に悦んで有頂天にならないのは百舌にも見込みがある。
大きな商家の跡取りと奴隷という立場の違いはあるが、もしかしたら、この百舌は将来は長庚を支えるしっかりとした「伴侶」にはなるのかもしれない。
宝玄仙はそう思った。
その後、歯の浮くような長庚と百舌の愛の言葉の交換があり、じ後、宝玄仙の指示によって、百舌は長庚から天井から両手を束ねて吊られた。
足首と足首の間には肩幅の倍ほどの長さの棒を挟ませて、その両端に足首を縛って開脚縛りをさせる。
「さあ、お前たち、そろそろ準備できたかい?」
宝玄仙は、ひとりを選んで長庚に調教法を教えるための宝玄仙の調教の受けになれと命じた三人の供に視線を向けた。
驚いたことに、誰もまだ裸ではなく、しかもなにか言い争いをしている。
「だから、わたしの準備するくじでいいじゃないのよ、朱姫」
「でも、沙那姉さん、そのくじは公平じゃないと言ってるんですよ。沙那姉さんは、あの気の技とかいうので、あたしたちがくじを引くのを操るじゃないですか。それが嫌なんです」
「操らないわよ──。わたしは手品師じゃないのよ。それよりも、あんたに任せたら、それこそ、『縛心術』で操るでしょう? あんたの仕掛けなら、目隠ししてもらうからね、朱姫」
「まあ、そうだね。朱姫が目隠しするなら、朱姫が準備するくじでもいいね」
孫空女も言っている。
「なに、言ってんですか、孫姉さん、沙那姉さん──。目隠しなんかしたらおふたりがぐるになって嘘つくかもしれないじゃないですか」
朱姫が叫んだ。
宝玄仙はかっとした。
どうやら、この三人は宝玄仙の相手をするのを嫌がって、犠牲者の選び方でもめていたようだ。
「もういい、お前たち──。孫空女、来るんだ。お前に決まりだ。さっさと服を脱ぎな。残りのふたりは、孫空女を百舌と同じ格好にしな」
宝玄仙は怒鳴った。
「あ、あたし?」
孫空女は一瞬だけ呆気にとられた感じだったが、決定さえすれば、三人の動きは素早かった。
孫空女はあっという間に全裸になり、やや距離をおいて百舌と向かい合うように、沙那と朱姫から両手を束ねて天井から吊られた。
宝玄仙の命令で足首と足首の間には、『如意棒』を挟ませる。
「伸びろ」
宝玄仙は道術を唱えた。
「ひいいいっ──。い、痛いよ、ご主人様」
孫空女が絶叫した。
足首の両端を結んである『如意棒』が伸びることで、孫空女の股が限界まで開いたのだ。
「さて、長庚、じゃあ、早速、女の身体の反応を見る訓練だ。お前たち、孫空女に目隠しをしな」
沙那と朱姫がさっと孫空女の目の上に布を巻いて目隠しをする。
視界を塞がれた孫空女は、顔に恐怖の色か浮かんだが、自分たちは今日は関係なさそうだと考えているようである沙那と朱姫はどちらかといえば愉しそうだ。
宝玄仙は孫空女にしっかりと目隠しがなされたのを確認すると、霊具入れの葛籠にさっと手を伸ばした。
そして、手にした霊具の小筆を付け根に筋が入るほど開脚している孫空女の股間にすっと近づけた。