「あはああっ──」
ざわりという刺激が股間の付け根を舐めるように動いた。
孫空女は湧き起こった激しい官能の刃に耐えられずに、拘束されている全身を弓なりにして悲鳴をあげた。
筆だ──。
普通ならなんでもないような道具だ。
しかし、目隠しによって神経が研ぎ澄むだけ研ぎ澄んでいる孫空女には怖ろしい拷問具だ。
孫空女はただでさえ鋭敏な肌の感覚をしている。
その孫空女の触感を目隠しによりさらに鋭敏にして、そこに小筆の微妙な刺激を加えるのだ。
孫空女にはなによりもつらい責めだ。
いまもたった一度筆が孫空女の股間を動いただけで、まさに五体を貫くような峻烈な疼きと快美感が湧き起こった。
孫空女は戦慄した。
いまの刺激で孫空女の身体には途方もない愉悦が駆け抜けたのだ。
孫空女は身体を限界まで仰け反らせながら、吠えるような声をあげてしまった。
それがたったひと筆だ……。
そんなにも孫空女を追い詰めた刺激が、たった一度の小筆のひと撫でなのだ。
そのことに改めて愕然としてしまう。
ひと撫ぜどころか、これからこの責めを果てしなく繰り返して受け続けなければならないに違いないのだ。
一刻(約一時間)なのか、半日なのか……。
それとも、もっと一日も続けられるのか……。
それは宝玄仙の気紛れが終わるまで続く。
孫空女がどんなに哀願しても、宝玄仙の興味が尽きるまで終わるわけがない。
これから自分が耐えなければならない責めのことを思ってぞっとしてしまった。
「たかが筆ひとつでちょっとばかりはしたなくはないかい、孫空女?
宝玄仙が笑った。
孫空女ははっとした。
仲間内だけのいつもとは違う。
長庚がいる──。
それをわざと思い出させる宝玄仙の言葉に孫空女は全身を羞恥で緊張させた。
「じゃあ、いくよ」
宝玄仙が言った。
来る──。
孫空女は備えた。
一切の抵抗ができないとわかっているが、孫空女は無意識にうちに襲ってくる筆を避けようと身体を緊張させていた。
天井から両手首を束ねて吊っている縄と孫空女を開脚縛りにしている両足首の縄がぎしりと音をさせた。
しかし、なかなか二度目の筆は襲って来ない。
責めらるのがすぐ後なのか、しばらくしてからなのかは、目隠しをされている孫空女には予想がつかない。
いつ責められるのかわからない筆に備えるのは、実際に責められるよりもつらい気がした。
その焦れったさに孫空女が音をあげそうになった瞬間、二度目の筆が孫空女の身体を襲った。
「ひうっ──そこは──」
孫空女は悲鳴をあげた。
筆が今度はお尻の亀裂をすっと上から下になぞったのだ。
前側にいたはずの宝玄仙が後ろに回ったとは思えないので、誰かが背中側にいるのだ。
孫空女の身体は今度はがくんと前側に跳びはねる。
「どうしたんだい、孫空女? そんなに暴れるほど気持ちがいいかい?」
宝玄仙がせせら笑った。
そして、筆がまた孫空女の股間を前側から襲ってくる。
「あはああっ──」
筆を避けようと身体が無意識にまた後ろに跳ねる。
だが、今後は後ろで待ち構えている筆が孫空女の肛門をくすぐる。
孫空女は前にも逃げられず、そして、後ろにも身体を避けることができず、ただひたすらに見えない二本の筆に翻弄されて身体を悶えさせた。
前後の筆に弾かれるように孫空女の身体は、前に後ろにと弾け続ける。
「あひいっ──だ、誰──? 誰が後ろにいるのさ──? あふうっ──」
孫空女は叫んだ。
「ご免ね、孫女……。ご主人様の指示なの……。わたしも責めに加わっているわ」
沙那の声だ。
「さ、沙那……。そ、そんな──」
どうやら、孫空女を背後から責めているのは沙那だったようだ。
いずれにしても、視界を封じられるのがこれほどまでに快感を助長するとは思わなかった。
まだほんの少しの責めなのに、自分でも驚くほどに目隠しをされた状態での筆責めは孫空女を追い詰めている。
「長庚、とりあえず、じっと見ていな。すぐに同じようにお前が百舌を責めるんだからね」
宝玄仙が言って、また筆責めが始まる。
しばらくの間、孫空女は前後から筆で責められ続けた。
前から来るのかと思えば、後ろから──。
後ろに備えれば、今度は前から──。
責められる場所だってまったく予想がつかない。
胸かと思えば股間だったり、また尻責めかと思えば、予想もつかない耳責めだったりする。
そうかと思えば前後から合わせるように両脇をくすぐられたり、あるいは二本の筆が同時に股間をさわさわと動いたりする。
二度続けては同じ場所は責めないのだと考えたりすると、あざ笑うかのように二本の筆が同じ場所ばかりと繰り返し責めたりする。
孫空女は半狂乱になった。
短い時間の責めで、孫空女の身体は信じられないくらいに熱くなった。
恥辱感など吹き飛ばすほどの快感の大きなうねりだ。
自分でも呆れるほどの甘美感に、孫空女はここがどこでどういう状況で周りに誰がいるかということも忘れた。
ただひたすらに宝玄仙と沙那の筆によって与えられる大きな愉悦に身体を暴れさせる。
しかも、これをいつまで続けるのか……。
宝玄仙のことだ。
それこそ孫空女が悶え泣くまで筆による責めを続けるに違いない……。
いや、泣いたくらいでこの宝玄仙がやめるわけがない。
泣いても喚いても宝玄仙は責め続ける。
快感に溺れながらも、これから始まるに違いない快楽の地獄に孫空女は恐怖さえも感じていた。
「長庚、これが快感を覚えている女の反応だ。覚えておきな──。どんな風に身体が変化したか言ってみな?」
かなりの長い時間そうやって責められ続けたと思った。
あるいは、ほんの短い時間にすぎなかったのかもしれない……。
とにかくすっと筆が離れたのだ。そして、宝玄仙がそう言った。
長庚の視線を意識させられて孫空女の全身に羞恥が走る。
「す、凄いです……」
長庚がごくりと唾を飲んだ音が聞こえる。
目隠しをされているので長庚の表情まではわからないが、孫空女の痴態に長庚が思わず息を呑んだのだ。
こんな少年の前でどこまで自分は激しく反応をしてしまったのだろう……。
孫空女には急に恥ずかしくなった。
「あはあっ──、はっ、はっ、はっ……」
だがそんな孫空女を嘲笑するかのように、小筆が予告なく孫空女の局部を責めだした。
しかも肉芽だ──。
筆が孫空女の肉芽を直接にくすぐり始めたのだ。
孫空女は大きな刺激に身体を激しく暴れさせた。
だが、どんなに暴れても宝玄仙の筆はまったく孫空女の肉芽から離れてくれない。
どんどんと快感の疼きが大きくなる。
爆発する──。
執拗な肉芽への刺激に孫空女の身体は、あっという間に追い詰められてがくがくと痙攣しはじめた。
いく……。
孫空女はいつしか悲鳴をあげながら顎を反りかえらせていた──。
だが、まさに孫空女が絶頂しようとした瞬間、孫空女の肉芽を責めていた筆がさっと離れた。
孫空女の全身はがくりと脱力した。
絶頂寸前で快感を取りあげられた情けなさに、孫空女は自分でもはっきりとわかるくらいに全身を紅潮させてしまった。
「どうしたんだい、孫空女……? いまさら、なにを恥ずかしがってんだい──? とにかく、長庚、孫空女はどんな状態だい? 口で説明してみな」
宝玄仙がせせら笑いながら、小筆で孫空女の鳩尾、あるいは腹部。太腿の表皮、そうかと思えば、次は脇の下にというように小筆の先を舐め動かしていく。
沙那もそれに呼吸を合わせて筆を動かしている。
孫空女の身体を知り尽くしている宝玄仙だ。
小筆一本で孫空女を翻弄して追い詰めるなどなんでもないことなのだろう。
「……肌は赤く真っ赤です……。あ、汗かいているし……」
長庚の声だ。
「ここは?」
「あふうっ」
孫空女は身体を跳ねさせた。
宝玄仙の筆が孫空女の乳首をくるりと回るように動いたのだ。
「と、尖っています。ぴんと……」
「ほかにも尖っているところはあるかい……?」
「え、ええっと……」
宝玄仙が孫空女の身体を筆で刺激しながら、長庚に孫空女の身体を観察させる。
これには孫空女も恥ずかしかった。
孫空女はせめてみっともなく大きな声を出すのくらいはやめようと思って、激しすぎる筆の刺激をなんとか必死に振り切ろうとするのだが、宝玄仙と沙那は孫空女の身体のあちこちに筆を這わせて、肉が溶けるような快感を孫空女の身体に拡げていく。
「じゃあ、長庚、同じように筆を動かして
「は、はい」
長庚の声がした。
「はあああっ──」
すぐに百舌のつんざくような悲鳴がした。
拘束されている百舌の身体が弾くように動く気配がした。
同じように責めろと宝玄仙が言っていたから、百舌もまた、孫空女と同じように全身を筆で責められだしたのだろう。
「しばらくは好きなように筆を動かしていな、長庚──。お前が性感帯だと思う場所を筆でくすぐり続けるんだ。嫌がっても止めるんじゃないよ。反応の激しい場所は繰り返し責めるんだ。ただし、相手に備えられないように違う場所も混ぜながらね」
宝玄仙が言った。
「百舌の責めには、あたしも参加しますね、長庚……。ほら、一番、敏感な部分に筆を当てずに、ぎりぎりのところだけで責めるのも技のひとつですよ。むしろ、反応が違うでしょう」
朱姫の声だ。
どうやら朱姫は長庚とともに、百舌を責める役を命じられたようだ。
長庚がなるほどなどと頷くのが聞こえる。
「長庚、お前みたいに若いのは、女がこんな風にどろどろに欲情したのに接すると、すぐにでも性器に一物を突っ込みたくなるかもしれないけど、ここは我慢だよ──。お願いだから、やってくれと女に言わせるのさ。やるのはそれからだ」
「百舌にお願いさせるんですね?」
「ああ、だけど、ご主人様のお情けなんていうのは、簡単にやっては駄目さ……。奴隷にとっては、それはご褒美だからね。まあ、ふたりには、もうしばらく絶頂寸前のぎりぎりのところを彷徨ってもらおうかね。これも勉強と思いな──。相手をよく観て、いく寸前の状態を見極めるんだ。寸前だと思えば刺激を止める。少し休んで身体の火照りが落ち着けば、また責めを再開する──。これを繰り返してみな」
「わかりました、宝玄仙さん」
長庚が言った。
百舌の反応が激しくなったのがわかった。
どうやら百舌は焦らし責めにかけられるようだ。
あれはつらい責めだ。
おそらく、孫空女もそうやって焦らし責めの見本にさせられるのだろうか。
孫空女の全身にも怖気が走った。
しばらくの間、宝玄仙の直々の長庚に対する筆責めの手解きが続いた。
その間、孫空女は忘れられたように放っておかれている。
沙那もまた、宝玄仙の指示なしには孫空女をあえて責めようとはしないようだ。
だが、そうやって放置されている間にだんだんと襲ってきた別の感触に、孫空女は一瞬で目が覚めたように身体を硬くした。
「ご、ご主人様──。こ、これ──?」
孫空女は叫んだ。
これまで宝玄仙の筆が触れていた部分から怖ろしいほどの痒みが襲ってきたのだ。
このむずむずという疼きは、宝玄仙の使う掻痒剤の効果に違いない。
宝玄仙が使っている小筆には、単に孫空女をくすぐり責めにしていたわけではなく、痒み責めの薬剤を拡げてもいたのだ。
孫空女はそのことに気づかされて愕然とした。
「文句を言うんじゃないよ──。じっとしてなよ、孫空女……。もっとも、じっとはしていられないか」
宝玄仙は大笑いした。
「こ、これ、ひ、酷いよ……」
意識してしまうと怖ろしいほどの痒みが襲ってくる。
痒み責めには何度も遭っている……。
だが、馴れるというものではない。
この痒み責めこそ、なによりも苦しくて恥ずかしい悪魔の責めだ。
人としての尊厳も女としての羞恥もなにもかも捨てて、お願いだからなんとかしてくれと喚き狂うことになる。
ほんの少し痒みを癒してもらうために、相手の要求するままの屈辱的な行動を強いられる。
そんな責めなのだ。
孫空女は限界まで開かせられている股間をぶるぶると震わせた。
「あ、ああ……か、痒くなってきたよ、ご主人様──。ど、どうしたらしいのさ」
「どうもしなくていいさ、孫空女……。そうやって、身体を震わせていればいいのさ──。長庚にお前ほどの女傑でも、簡単に情けなく泣き叫ぶということを教えてやりたくてね。この霊具は特別性だよ。普通に使えばただの小筆だけど、ちょっと霊気を念じるだけで、効果の強い掻痒剤が浮き出るようになっているのさ。まあ、ぜいぜい、痒み狂った姿を晒しておくれ」
宝玄仙が大笑いした。
「こ、これ……痒み剤が染み出る小筆なんですか──?」
沙那もびっくりした声をあげている。
「そういうことさ。わかったら孫空女の全身に薬剤を拡げな。手を抜いたことがわかったりすると、お前も同じ目に遭わせるよ、沙那──。今日と明日は孫空女と百舌だけを責めたてるつもりだけど、別にそれはお前でも構いやしないんだよ」
宝玄仙そう言いながら今度は孫空女の右の乳首に筆の先端が動かした。
沙那がはっと息を呑むのがわかった。
「ご、ご免ね、孫女──」
宝玄仙の動かす筆にさらに沙那の筆も加わった。
孫空女は悲鳴をあげた。
思わず筆を避けるように身体を動かす。
しかし、限界まで開かされている脚では、ほとんど左右に身体を動かすこともままならない。
孫空女の身悶えと悲鳴を愉しむかのように宝玄仙は笑いながら乳頭に当たっている筆をくるくると回してくる。
それでも無意識のうちに小筆を避けるように身体を捻り動かすと、今度は反対側からも沙那の小筆が襲ってくる。
この間にもどんどん痒みは大きくなっていく。
孫空女は悲鳴をあげ続けた。
「あはあっ──ちょ、長庚様──」
孫空女の嬌声に百舌の甘い声が重なる。
しかし、孫空女にはもう百舌のことを考えている余裕がない。
宝玄仙と沙那の持つ筆は孫空女の敏感な肌のあちらこちらを這い回る。
百舌の激しい嬌声はずっと聞こえ続けた。孫空女は百舌のあられのない悲鳴を聞きながら、孫空女は全身を蝕む痒みに狂い叫び続けた。
「か、痒い──。お、お願いだよ──」
孫空女は何十度目かの哀願をした。
「も、百舌も痒いです──。ああ、これなんですか──。あ、ああ……こ、これは──」
突然に激しい百舌の狼狽の悲鳴も聞こえてきた。
同時にこれまでの控えめな百舌の動きとはうって変わって百舌が激しく暴れる気配も始まった。
孫空女だけじゃなく百舌にも痒み剤を塗らせたていたようだ。
そして、長庚も百舌の激しい苦悶にびっくりしているみたいだ。
目隠しをされている孫空女にも長庚の戸惑いの態度が伝わってくる。
「ああ、お願いです。か、痒みをなんとかしてください──」
百舌がほとんど泣き声で懇願している。
孫空女にもわかる。とてもじゃないが平静ではいられないような痒みだ。
「あ、あたしも痒い──。もう、我慢できないよ、ご主人様──」
孫空女も百舌と合わせるように叫んだ。
「我慢できなくても我慢してもらうしかないねえ──」
宝玄仙は笑うだけだ。
そして、また筆責め──。
全身のどこかに筆が動き回ることで、孫空女はまるで電撃でもあびたような衝撃を感じてしまい、そのたびに拘束されている身体をぶるぶると振わせる。
だが、宝玄仙も沙那も、最後の最後の刺激だけは与えないようにしているようだ。
孫空女がいきそうになると、わざと無関心を装うように性感帯の頂点には筆を這わせなくなる。
強い刺激を加えては緩まり、緩まっては強まる筆の刺激に孫空女は翻弄された。
どうしようもなく身体が熱くなり、それでいて発散だけはできないことで、孫空女の身体には行き場のない大きな欲情の嵐が暴れ回る。
そのため、却って孫空女は情感をどうしようもなくかきたてられて、切ないすすり泣きのような声をあげるようになっていた。
その状態で怖ろしいほどの痒みだ。
追い詰められた孫空女には、もうなにがなんだかわからないくらいの錯乱状態になる。
「ああっ、長庚様──、あ、あんまりです──あふうっ」
百舌のけたたましい悲鳴も聞こえる。
彼女もまた孫空女と同じように焦らし責めと痒み責めに遭っているのだろう。
筆責めなど不馴れな長庚はともかく、朱姫がいるのだ。
百舌もまた容赦のない、痒みと焦らしとくすぐりの三重苦責めだろう。
「ああ、長庚様、こ、こんなの……ひ、酷いです……。も、百舌は一体どうなるんですか──」
百舌の号泣が聞こえる。
「なにも考える必要はないよ、百舌──。なにも考えずに、長庚に一切を任せておけばいいのさ。それが、被虐の酔いだよ……。いい気持ちだろう、百舌?」
宝玄仙が含み笑いこもった口調で言った。
「そ、そんな……あ、ああっ、長庚様……ちょ、長庚様──も、百舌は……お、おかしくなってしまいます──あはああっ、そ、そこは──」
なにをされているかわからないが、まるで魂まで痺れさせられたような百舌の嬌声が耳につんざく。
どのくらいそうやって責められ続けられただろうか……。
全身を苛む痒み──。
いきそうでいけない筆によるくすぐり責め──。
どこを責められるのかわからない目隠しをされての責め──。
それが身体の前後から襲うのだ。
右を責められて左に逃げても左から責められ、前から責められても後ろからも責められるのでどこにも快感を逃すことができない。
そして、どこまでも快感は溜まっていく。
それも怖ろしいほどの痒みも同時にだ。
孫空女もいつの間にか号泣していた。
自分の前で同じ目に遭っているはずの百舌の狂ったような声も聞こえ続ける。
「か、痒い……痒い……痒いよう……か、痒い……があああっ、あはあっ──はっ、はっ──か、痒い──」
際限のない厳しい責めに孫空女はいつしか泣き叫んでいた。
「そろそろ、いいだろうね──。じゃあ、長庚は百舌に引導を渡してやりな──。若いからそろそろ精を出しておきたくもなっただろうからね。もちろん、これで終わりはしないけど……。責め自体は明日まで続けるよ──。さあ、お前はこれだよ、孫空女」
宝玄仙がそう言った瞬間、不意に女陰に硬くて太いものが挿入された。
おそらく張形だとは思った。
だが、あまりの衝撃に孫空女は息が止まった。
「あが……はああああっ──」
全身がばらばらになるような快美感だ。
ただ乱暴なだけの張形の律動だが、孫空女はあまりに気持ちがよくて吠えるような絶叫をしていた。
「あがああっ──。ちょ、長庚様──き、気持ちいいです──」
百舌の絶叫も聞こえた。
「もう、腰を使っているのかい、この淫乱女──」
宝玄仙がそう言いながら指で孫空女の肉芽にも刺激を加えてくる。
揶揄などどうでもいい……。
全身に響き渡る快感が堪らない。
倒錯的な興奮が孫空女の快感を貫く。
「こっちも凄いです──。こんなに興奮している百舌は初めてですよ」
長庚が叫んでいる。
自分の悲鳴に混じって、百舌の狂ったような嬌声と男と女の股間がぶつかり合う肉と愛液の弾ける音が聞こえる。
「ああっ──いいっ──ちょ、長庚様──長庚様──長庚様──長庚様──」
百舌が絶叫している。
孫空女を責めている張形の律動も速くなった。
突き抜けるような愉悦の連続に孫空女は最初の絶頂に身体を突き抜けさせていた。
ほとんど同時に百舌の昇天の声も部屋につんざいた。
全身ががくがくと震える。
宝玄仙が馬鹿にしたような笑いをしながら張形をすっと抜き取った。
「さて、孫空女も百舌も休憩だよ──。半刻(約三十分)ほどでいいかね……。休憩が終わったら、百舌の尻穴を開発するからね」
宝玄仙のせせら笑いのような声が聞こえた。
孫空女や百舌の周りからすっと人間が離れる気配がする。
部屋の外には出て行きはしないが、これまでの激しい責めから一転して、しばらく放置責めの雰囲気だ。
激しかった絶頂に孫空女は完全に身体を脱力させていた。
百舌の大きな息遣いも眼の前から聞こえる。
だが、休憩などというのは真っ赤な嘘ということがすぐにわかった。
絶頂の余韻がゆっくりと収まるにつれて、再びあの発狂するような痒みが襲ってきたのだ。
「か、痒い──」
すぐに百舌が泣き叫び始めた。
孫空女の身体にも再びあの恐ろしい痒さが襲いかかってきたのがわかった。
「か、痒いよ、ご主人様──、あっ、こ、これは……ひいっ……か、かいて──お、お願いだよ、ご主人様、助けて──」
「も、百舌もなんとかしてください──。こ、こんなの我慢できません──。ちょ、長庚様──はああっ──」
孫空女と百舌は繰り返し哀願を繰り返した。
「休憩と言ったら休憩なんだよ、孫空女──」
「そうだぞ、百舌──。奴隷のくせに堪え性がないようだな。いいから、しばらくそうやって尻を振ってな」
長庚がそう言いながら宝玄仙とそっくりの冷酷な笑い声をさせた。
「さ、沙那──、しゅ、朱姫──、お、お願いだよ。こ、これ、いつもよりも、きつい薬だよ──はひいっ──」
孫空女は泣き喚いた。
「ごめんね、孫女。わたしにはどうしようもできないわ」
沙那が申し訳なさそうに言った。
「それとも、痒いところを教えくれれば、この筆で刺激をあげますよ、孫姉さん、百舌……。もしかしたら、少しくらい痒みも癒えるかもしれませんよ」
朱姫のいつもの無邪気で酷薄な笑い声が部屋に響きわたった。