床に敷いた寝具の上に手足を拡げてうつ伏せに拘束した
沙那は二間続きの部屋のこちら側にいるが、宝玄仙が百舌の肛門深くに指を入れているのはわかるし、そして、まるで快楽の秘孔を探る眼でもついているかのようなその宝玄仙の指が確実に百舌の身体を熱くしているのもわかる。
「んんん……ああ……」
「もうすぐいきそうかい、百舌? ふふふ、なかなか、後ろの穴も感じる場所になってきたんじゃないかい? まだ、
宝玄仙が笑った。
しかし、百舌にしてみれば、宝玄仙の言葉など半分も聞こえていないかもしれない。
百舌の美しい顔の眉間には深い皺が寄り、唇からは切なそうな喘ぎ声が漏れ続けている。
全身は上気して真っ赤だし、股間からはおびただしい愛液が垂れ流れていて、寝具の上にまるで尿を洩らしたような大きな染みを作っている。
「別に絶対に薬を使いたくないと言っているわけじゃないですよ。ただ、そういうものは百舌の身体を損なう得体の知れないものが多いですからね。僕が嫌なのは、百舌の身体がそんなものを使うことで損なわれたりすることですよ。ましてや、それで病気になったり、もしかしたら、命を縮めることになるかもしれない。そんなことには耐えられないんです」
「この宝玄仙の扱う仙薬にそんなことなどあるものかい──。効果は抜群、それでいて後遺症などはないし、人畜無害。それが宝玄仙印の媚薬さ」
「宝玄仙さんの準備したものに対して心配はしていませんよ。でも、世に出回っている媚薬には、道術のこもった仙薬であろうと、道術がこもっていないものであろうと、かなりの粗悪品が混入しているということは事実なんですよ。僕も商人の端くれなんで、どういうものが世間に出回っているかは知っています」
「ほう……」
宝玄仙が少しだけ感心したような声を出す。
「いつまでも宝玄仙さんと一緒にいるわけではないし、僕は、宝玄仙さんがいなくなってからも僕ひとりで続けることができる調教法を学びたいのです。いずれにしても、媚薬の類いについては、僕なりに粗悪品と良質品の見分けができるようにならなければ使うつもりはありません……。調教も大切ですが、百舌の身体はそれ以上に大切です」
長庚はきっぱりと言った。
「あ、ありがとう……ご、ございます……。百舌は幸せです。で、でも、百舌の身体は……ちょ、長庚様のものです……。あっ、ああっ……、す、好きなように扱ってください……。か、構いませんから……」
「好きなように扱っているよ、百舌。僕は、お前の身体を大切にしたい。お前のためではなく、僕がそうしたいと思うからそうするのさ」
「そういう心掛けがあれば十分さ、長庚──。昨夜からお前といろいろと話しているけど、お前の百舌に対する心は本物のようだね、本当に感心するよ……。お前はまだ調教師としては未熟だけど、調教の相手を思い遣るという一点については一流だね。その心根を忘れなければいい調教師になるさ──」
「あ、ありがとうございます」
長庚が照れたように顔を赤らめる。
だが、真面目な話をしているようだが、目の前には淫靡な責めで苦しんでいる百舌のや孫空女の裸身を前にしているのだ。
沙那はひとり嘆息した。
「じゃあ、長庚、交替だ。今度はわたしは孫空女の尻を使って見本を示すから、同じように百舌の尻をほぐしてみな。今日一日は、ずっと尻孔を調教するからね。指でほぐれたらすぐに浣腸をする。そして、何度も浣腸をしてきれいになったら、お前の一物が入っても痛くないように拡張していくよ。百舌の身体にある穴という穴は、お前を悦ばすための道具にするよ。なあに、国都までの旅は長いし、お前に必要で十分な技を教え込む十分な余裕があるさ──。ほら、孫空女、いつまでも横になっていないで、こっちにきて尻を出しな」
宝玄仙が床に横になっていた孫空女に怒鳴った。
孫空女はまだ身体がだるそうに床に全裸で寝そべっていたが、宝玄仙の声にのそのそと身体を起こす。
一方、長庚はこれまで宝玄仙がやっていた百舌の尻への愛撫を交替して同じように指を入れてほぐしだす。
「あ、ああ……あん、あん、だ、だめ……き、気持ちいいです……ああっ」
宝玄仙が施していたときも百舌はかなり感じていたようだったが、責め手が長庚に交替すると、その百舌の乱れ方が一層激しいものになった。
手管が宝玄仙よりも長庚が上手だということではないだろうから、百舌は本当にこの少年をひとりの男性として愛しているに違いない。
沙那にはそういう気持ちは経験はないが、宝玄仙によれば、好きな相手から受ける愛撫は、どんなに技量の高い調教師の手管よりも感じるものらしい。
つまり、百舌もまた、長庚を心の底から愛していて、長庚から責められるとどんなことでも身体が溶けるように感じるに違いない。
昨夜からのふたりの痴態を見てわかるのは、分限者の跡取りの少年と、その親が性処理用としてあてがった女奴隷という身分の隔たりの大きいふたりであるが、このふたりが本当に愛し合っているという事実だ。
本当に微笑ましい。
それにしても、宝玄仙は実際のところ、あれをいつまで続けるつもりだろう。
昨日から食事をしながらでもずっと調教の手管について宝玄仙は長庚に教え続けているし、それは沙那が寝ていた夜中もずっとだ。
幾らかは寝たようだが、少なくとも沙那が起きている間は、ああやってずっと孫空女と百舌に対する情交を続けている。
いまは午前中の終わるくらいだと思う。
だが、昨日から続いている宝玄仙の調教講座では、睡眠のために夜中に数刻中断した以外は、百舌はもちろん、孫空女も教材として宝玄仙に責められっぱなしだ。
こうやって隣の部屋から眺めるだけの沙那も疲労感を感じる程、数限りない絶頂を孫空女は繰り返している。
宝玄仙は長庚という少年が随分と気に入ったらしく、宝玄仙の持っている調教師としての技量をほんとうに丁寧に長庚に教え込もうとしている。
それは単純に技だけのことではなく、心得であるとか、嗜虐の相手への心遣いなどのすべての要素に及んでいる。
それはいいのだが、そのために当の百舌も孫空女も昨日から責められっぱなしで疲労困憊だ。
孫空女もいまは拘束こそされていないが、宝玄仙から性具の使い方の教材として責められて、朝からもう十数回の絶頂をしているだろう。
それで孫空女は横になって休んでいたのだが、宝玄仙の命令で、いまも宝玄仙の前に尻を向けて膝立ちになり、顔を床に着けるように丸くなった。宝玄仙に尻を突き出して床にうずくまった態勢だ。
「ご主人様、準備ができました」
台所で浣腸剤の支度をしていた朱姫が戻ってきて宝玄仙に声をかけた。
両手に大きな盆を持っている。盆の上には浣腸道具一式だ。木桶にいっぱいに入っているのは合成した浣腸液らしい。
その桶の横には数枚の手拭いと先端に管のついた押し出し式の浣腸器がある。
浣腸器は二本ある。孫空女用と百舌用だろう。
「そこに置きな、朱姫。そしたら、沙那と一緒に休んでいいよ」
「うーん……。でも、ちょっと見ています。孫姉さんのそんないやらしい恰好を見るのも悪くないし」
朱姫は突き出している孫空女のお尻がよく見える位置にちょこんと座った。
「お、お前はあっちに行けよ、朱姫──。ま、また変なことをご主人様と一緒になってやるだろうが」
孫空女が床に顔をつけたまま嫌そうに怒鳴った。
「まあ、孫姉さん……。変なことってなんですか? こんなこととか……?」
沙那がここからじっと見ていると、朱姫の指がいきなり孫空女の肛門にずぶずぶと突き挿さった。
また、朱姫の悪ふざけが始まったと思った。
しかし、孫空女も宝玄仙の目の前で姿勢を解くわけにもいかず、身体を左右に振りながら朱姫の指を受け入れさせられて、悲鳴をあげている。
「ひ、ひいい……あ、ああっ……あん、ああっ、ああっ……」
朱姫は孫空女の腰に片手を置き、もう一方の指でぐるぐると回すように孫空女の肛門に指を入れて動かしている。
あっという間に孫空女の口からは激しい喘ぎ声が迸りだした。
「見てみな、長庚──。これがすっかりと調教の終わった女の尻さ。いきなり指を挿したのに、全関節が簡単に入ったろう。その気になれば、拳だってこいつの尻は受け入れるよ」
宝玄仙が笑いながら言った。
百舌への愛撫を中断して孫空女を責める宝玄仙や朱姫の手管を眺めていた長庚が、拳と聞いて目を丸くしている。
そう言えば、孫空女だけではなく、沙那もまた以前、拳を肛門で受け入れる調教を受けさせられた。
思い出してもあれはつらい責めだった。
「ほら、孫空女、受け入れな」
宝玄仙がいつの間にか、浣腸器を手にしていて、朱姫の指が入っていた孫空女の肛門に管を挿し入れた。
「浣腸自体は難しくはないさ。しっかりと事前に指でほぐしておけば、百舌も管くらいは受け入れるだろうし、まあ、こつという程のことはなにもないよ。お前と百舌との信頼関係くらいかね。百舌が暴れると浣腸器の管が折れて、肛門に破片が残り大変なことになるかもしれないということか」
宝玄仙に促されて、長庚ももうひとつの浣腸器を受け取った。
木桶から浣腸剤を吸入して、百舌の肛門にあてがう。
「浣腸液の調合法は、後で紙に書いたものを渡すよ。朱姫は、どこでも簡単に手に入る薬剤を使って調合したはずさ」
宝玄仙が言いながら、孫空女の肛門に挿している浣腸器の弁を押している。
宝玄仙が浣腸液を孫空女の腸に流し込む速度は随分とゆっくりに感じる。
おそらく、歯を食いしばって浣腸に耐えている孫空女への嫌がらせだろう。
宝玄仙が意図的にゆっくりと浣腸液を流し込むことで、孫空女の屈辱感を高めようとしているのが沙那にはわかった。
「別にただのお湯でもいいですけどね。だけど、この農村でも手に入るような薬草の汁を足すことで、媚薬効果も湧くようなものにしました。もちろん排便効果も……」
朱姫が笑って言った。
「くっ……」
そのうち、孫空女が小さな呻き声をあげた。
すっかりと身体は汗ばんで肩で息を始めている。おそらく、もうじわじわと腹痛に迫られているに違いない。
宝玄仙の顔が嗜虐の悦びに曲がった。
沙那は本当に自分でなくてよかったと密かに嘆息した。
「も、もう駄目です……い、痛いです……」
先に声をあげたのは百舌だ。
孫空女はともかく、百舌は浣腸など初めてだと言っていたから、初めての浣腸の効き目は格別に違いない。
だが、孫空女もそうだが、百舌に挿されている浣腸器から抽入されている薬剤はまだ半分程度だろう。
「まだだよ、我慢しな、百舌──」
「そうだ。宝玄仙さんの言う通りだ。百舌が僕の恋人なら、これくらいの苦痛は我慢できるはずさ。僕に恥をかかせないでおくれよ、百舌」
「は、はい、長庚様……。が、我慢します──ううっ……」
百舌の顔からは汗がしたたり落ちている。
それでも健気に百舌は生まれて初めての浣腸に耐えている。
「さて、終わりだ……。本当は木桶で調教師が自ら排泄物を受け取ってやるんだけど、今日はちょっと趣向を凝らすさ。お前たちふたりには、畠の横にある共同の厠まで歩いていってもらうからね。ここの家主との契約でね……。排便は大切な肥料なんだそうだ。勝手に捨てることは許されないそうさ」
宝玄仙が浣腸器を孫空女の肛門から抜きながら言った。
それに合わせるように長庚も百舌から浣腸器を抜く。
ふたりともたっぷりと薬剤を抽入されたようだ。本当につらそうな表情をしている。
長庚が百舌を縛っていた四肢の縄を解き出した。
「二回目からは、直接に木桶で受け取ってもらうよ、長庚──。愛する奴隷の排便なら手ずから容器で受け取ってやれるだろう、長庚?」
「そ、そんな、汚いです──。そんなこと許されません──」
悲鳴のような声をあげたのは百舌だ。
やっと拘束を解かれて裸身を寝具の上で身体を隠している。
すでに息遣いが荒いのは、もうかなり排泄欲が大きくなっているのだろう。
「お前の大便なら汚くはないさ、百舌──。二度目からはしっかりと僕の前で排便をするんだぞ……。いや、もちろん一回目もね。厠には行くそうだけど、僕の眼の前でしてもらうよ。いいね──」
「そ、そんな……」
百舌からすれば、性奴隷とはいえ、排便を人前でするような仕打ちは初めてなのだろう。
これから厠で長庚に見られながら排便をさせられると聞いて顔を蒼くしている。
「沙那、ちょっと先に行って、厠を見ておいで──。誰かがいたら、これから女奴隷の調教のために使うから、しばらく離れていろと言って追い払ってきな」
「そんな勝手なことできませんよ。共同の厠なんですから……。とにかく、見てきます」
沙那は立ちあがった。
「さあ、孫姉さん、いつもの下袴じゃあ、大変でしょうから、下袍付きの服を準備してあげますね。恥ずかしいようにうんと短い下袍にしてあげますね」
朱姫はそう言って孫空女をからかっている。
沙那は溜息をつき、外に向かうために立ちあがった。