「だ、
魔凛はあまりのことにしばらく口を開くことはおろか、考えることもできなかった。
息をするのも忘れるほどの驚愕の時間、大旋風の馬鹿笑いの声が部屋に響き続けた。
だが、いまこそ自分の迂闊さが理解できる。
このところ抱き続けたおかしな違和感の正体がこれだったのだ。
しかし、それはいつからだ……?
最初に麗芳に不自然さを感じたきっかけはなんだったか……?
麗芳とは魔凛の素の部分を曝け出して接している。その麗芳にいつの間にか代わられていたのなら他人には見られたくない魔凛の姿を見られたはずだ。
魔凛のなにを知られた……?
魔凛は懸命に考え続けた。
だが、どうしても絶望的な答えしか出てこない……。
「お前が麗芳に変化した俺に迫ってきた夜は、俺はおかしくておかしくて、笑いを堪えるのに苦労したぜ……。もう、お前を縛って尻の穴に性具を入れてやったときなど、もうどうでもいいから、正体を明かして珍棒を突き挿してやろうと思ったんだがよう」
大旋風は笑い続ける。
しかし、魔凛はあまりのことに言葉を喋ることができないでいた。
頭の中は混乱して、まともに思考をすることができない。
昨夜の痴態の相手が大旋風だった。
なんということだ……。
視界がぐるぐると回る。
立っていられない……。
激しい羞恥と後悔が魔凛の脚をふらつかせる。
同時にこれまでに感じたことのない怒りが魔凛の肚の底から込みあがる。
麗芳だと思っていたからこそ、身も心も飾らない魔凛を曝け出し嬌態を見せたのだ。
淫らに疼く身体を慰めるために麗芳を呼び出して裸身を晒し合い、唾液をすすり、肌を擦り合い、淫具で遊んだ。
麗芳に責められて、女陰や肛門をいたぶられてよがり狂う魔凛の姿を晒したのだ。
その麗芳が事もあろうに、この大旋風だった──。
魔凛の全身はあまりの激情にぶるぶると震えだしている。
「な、なんのためだ、大旋風──。人を馬鹿にするのもほどがあるぞ。どうして、そんなことをしたのだ──?」
魔凛は頭に血が昇ったようになって叫んだ。
「もちろん勝負に勝つためだ。俺は最初からお前が捕えた宝玄仙を横取りして
大旋風は愉しくて堪らないという様子で腹を抱え続けている。
魔凛はその様子に怒りを通り越して呆然としてしまった。
本当にまったく気がつかなかった。
魔凛は自分の迂闊さがいまだに信じられない思いだ。
「まったく昨夜は愉しかったよな、魔凛……。お前も満更でもなかったろう? あんなに俺の眼の前でよがりまくったんだ。今更、白ばっくれても手遅れだ。それにな、魔凛……。実は、お前と麗芳がああいう仲だというのは、事前に麗芳を問い詰めて白状させてたんだ。だから、昨夜、お前に呼び出されたとき、もしやそんなこともあるかもしれんと思って、『映録球』を忍ばせていたんだぜ。気がつかなかったろう? これを見ろ」
大旋風が笑いながらこぶし大ほどの黒い球体を懐から出して床に転がした。
魔凛は目を丸くした。
『映録球』というのは、実際に起きている映像を道術によりその球体の中に記録しておき、必要なときに空中に投影して再現するという霊具だ。
それで昨夜の魔凛の痴態を記録に撮られた──?
まさか……?
しかし、球体から出現した半透明の自分の寝姿の立体映像に愕然とした。
立体映像の魔凛は素っ裸だった。紛れもない昨夜の自分だ。
“そ、そんなところは──”
映像の魔凛が淫らな声をあげた。
麗芳に変身している大旋風の姿は腕の部分しか投影されていないが、その指が魔凛の肛門にしっかりと食い入っているのがはっきりと投影されている。
“あんっ、んんっ、んあああっ──。れ、麗芳──。そ、そこは堪忍だ。そこはだめ──。こ、怖い──。そ、そこは怖い──。やあっ、はあっ、はあっ……あっ……はあっ──”
立体映像の魔凛が吠えるような声をあげた。自分でも赤面するほどの淫らな顔だ。
青獅子の側近たちが魔凛の立体映像を囲んで大笑いをしている。
「や、やめんか──。み、見るな、貴様ら──」
魔凛は床に転がっている『映録球』に飛びついた。
足で踏みつぶして粉々に砕く。
立体映像の魔凛が瞬時に消滅した。
「そんなものいくら壊しても無駄だぜ、魔凛。たくさん複製させてもらっているからな。もちろん、ここにいる人間には『映録球』に映っていたお前の嬌態を全部見せた。みんな、滅多に見られねえお前の可愛らしい姿に大喜びだったぜ」
「な、なんだと、大旋風──」
羞恥で全身が熱くなる。
ここにやってきたときにこいつらがにやにやと笑っていた理由がわかった。
あの映像のことを思い出して、それで魔凛のことを笑っていたのだ。
「ああ、そんなことしないで、いやあっ」
周囲の男たちのひとりが魔凛の声真似をしてげらげらと笑った。
ほかの男たちもどっと笑う。あまりの口惜しさで魔凛は絶句してしまった。
「そういうわけだ、魔凛。一個や二個の『映録球』を壊したって、いまさらどうしようもないぜ……。俺は『映録球』を届けただけだから一緒に観る暇はなかったが、青獅子様も含めてさっきここで上映会をしたらしいぜ。お前が淫具と俺の指の二本挿しでよがりまくった姿はみんなすでに見てるんだ。いまさら恥ずかしがっても手遅れだ……」
「き、貴様──」
魔凛は大旋風を睨みつけた。
握った拳がぶるぶると振えるのがわかった。
「おっ? どうしたよ、魔凛? そんなに震えちゃってよ──。そんなに口惜しいのか? それにしても、大事な俺の霊具を勝手に壊しやがってどうしてくれんだよ。弁償してくれんだろうなあ?」
「大旋風の兄貴、身体で払ってもらえばいいじゃないですか。結局のところ、女に化けていたから、兄貴も魔凛を相手に挿せずじまいだったんでしょう? 壊した霊具の支払いは魔凛の身体でいいじゃないですか?」
「馬鹿野郎、お前──。お前もあの『映録球』の魔凛を観たんだろう? 澄ました顔しているけど、こいつは好き者なんだよ。こんな女の股間に一物を挿してやっても歓ぶのはこいつだぜ……。耳掃除して気持ちがいいのは、耳の方かい、それとも耳掻きかい?」
「なるほど、魔凛のあそこは垢の溜まった耳穴ですかい、大旋風の兄貴?」
「そういうことだ。男に掘られたくて、掘られたくて、うずうずしてやがんだよ、こいつは──。だから、あんなに悶え泣いたりするんだ」
大旋風が魔凛をあおりたてるように、勝ち誇ったような表情で言った。
魔凛は、いまや自分の鼓動がはっきりと感じられるほど激しく動いているのがわかる。
もう、どうでもいい──。
仮にもここは青獅子の魔王の玉座の前だがこれ以上の愚弄には耐えられない。
とりあえず一発ぶん殴ってやる……。
「な、なにが耳穴だ。ふざけるな、大旋風──。なら、お前の耳掻きをへし折ってやる」
魔凛は大旋風に向かって叫んだ。
同時にさっと右手を腰の後ろに動かす。
腰に巻いた帯の後ろ側に水晶の杖をさげているのだ。
それに手をかける。
大旋風の顔から笑みが消えて一瞬にして真顔になる。
周囲の男たちの顔にもさっと緊張が走るのがわかった。
「魔凛、それでなにをするつもりだ──。この青獅子の魔王宮内で許しもなく、私闘のために道術を遣うつもりではなかろうな──」
不意に青獅子の声が鳴り響いた。
いつもは大旋風と一緒にふざけ半分に女をいたぶって悦に入って相好を崩すような好色男だが、流石はこの近傍に名を轟かせる三魔王の末弟だ。
その怒声と覇気の力に肌がひりつくような恐怖を感じた。
魔凛は噴きあがる激情をなんとか堪えた。
軽口のような青獅子のその言葉の裏には、魔凛に対する強い警告がある。
おそらく、ここで魔凛が激情に走ってなにかの行動を起こせば、今度は青獅子が魔凛に対して力を行使する──。
青獅子はそう言っているのだ。
仕方なく魔凛は一度抜いた水晶の杖を再び腰の後ろに戻した。
「それよりも、お前に見せたい映像がもうひとつある……。今度は壊すんじゃねえぞ」
すると大旋風がまた別の『映録球』を取り出した。
魔凛はかっとした。
「こ、この後に及んでまだわたしを愚弄するつもりか──」
「あわてんなよ、魔凛──。ここに記録されているのは、お前じゃねえ。お前、さっきから騙されて、麗芳に化けた俺に自分の破廉恥な痴態を晒したことばかり怒っているようだが、もう少し冷静になった方がいいんじゃねえか? 俺が麗芳に化けていたということは、一体全体、本物の麗芳はどうしていると思っているんだ?」
大旋風が言った。
魔凛はびっくりした。
考えてみればその通りだ。
おそらく数日前から、魔凛にずっと付き従っていたいたはずの麗芳の姿に大旋風は変身して入れ替わっていたのだと思う。
ということは、そもそもその最初の段階で本物の麗芳は、大旋風たちにさらわれて監禁されていると考えるべきだ。
あるいは殺されているとも……。
魔凛は懸命に頭を動かして記憶を探った。
この城郭を攻める直前に、攻撃準備を整えた陣にあの李媛が哀れな姿で軍師としてやってきたときには、麗芳は本物だった。
あのときは大旋風もいたし、魔凛がけしかけて麗芳に大旋風の下半身を露出させたりした。
だから、大旋風が得意の『変化の術』で麗芳に入れ替われるのはその後からのはずだ。
そういえば、魔凛が鳥人族の親衛隊のみをこの城郭の行政府を占拠して総司令部に移した翌日からは魔凛は大旋風の姿を一度も見ていない。
そして、麗芳の様子がおかしいと感じ出したのはその頃からだったと思う。
すると本物の麗芳は、そのときにさらわれていたと考えるべきなのか……?
大旋風の取り出した『映録球』がもう一度床に転がされた。
そして、再び立体映像が投影されだした。
こんど映ったのは魔凛ではない……。
麗芳だ──。
“お、お願いれす……。ち、珍棒、挿して……くりゃさい……。ねえ、珍棒ちょうらい……。珍棒くりゃさい……。おれがいれす……。お願い……れす……珍棒……。お、犯して……犯してくりゃさい……犯ひゅて……”
立体映像の麗芳が呂律の回っていない舌で懸命に卑猥な言葉を口にしている映像が流れ出した。魔凛は驚愕した。
「れ、麗芳──?」
絶叫した。
そこに映しだされた麗芳は明らかに正気を失っていた。
全裸だ。
しかも、目つきがおかしい……。
明らかに精神を狂わされている。
そこに映っているのは麗芳だけなのだが、膝立ちになり周囲を囲んでいる複数の相手に懸命に自分を犯してくれと訴えているようだ。
麗芳は眼の前で始まったあまりにも哀れな麗芳の立体映像に言葉を失っていた。
自分を取り巻いている相手に、虚ろな表情で涎を垂らしながら媚を売り、一生懸命に呂律の回らない口調で卑猥な言葉を訴えている。
眼の前の立体映像の麗芳からは、もはや知性のひとかけらも感じることができなかった。これがいまの麗芳などということは信じられない。
無論、『映録球』に刻まれていたのが本当に映像ではないという可能性はある。
だが、いま、大旋風が麗芳の偽者の映像を見せる理由はない。
おそらく、この麗芳はどこかに監禁されている本物の麗芳に違いない。
多分、麗芳はなにかの薬物に侵されている。
それで精神を壊されたのだ。
魔凛の全身の血が沸騰した。
こいつらは麗芳になにをしたのだ──?
今度こそ、青獅子がどう反応しようと、ここで暴れてやろうと決めた。
その結果、八つ裂きにされても構わない──。
それに、大旋風がこれだけのことをやったとすれば、それを動かしているのは青獅子自身だ。
つまり、魔凛や麗芳は、青獅子軍そのものから嵌められたのだと思う。
そして、大きな欺瞞の中にいる……。
罠を仕掛けられたのだ。
そう悟るしかない。
こうなったら、もう叛逆とみなされようとも鳥人族の一隊を集めて逃亡するか戦うしかない──。
どうして、こんなことになったのかよくわからないが、魔凛をはじめとする鳥人族たちは、いま、青獅子たちから理不尽な捕縛をされようとしているのだ──。
もう行動を起こすしか……。
そのとき、大きな声で卑猥な言葉を喚き続けている麗芳の映像が目に入った。
再び腰の杖に手を動かしかけた魔凛は、立体映像の麗芳のその身体の不自然さにやっと気がついて凍りついた。
最初に見たときは裸身の麗芳には腕がなかったので後手に拘束されているものと思い込んだのだが……。
「れ、麗芳──、お前、腕はどうしたのだ──?」
眼の前にいるのはただの立体映像だと承知していながら、魔凛は麗芳に声をあげた。
自分を犯せと懸命に訴えている麗芳には腕が完全になかったのだ。
すっぱりと肩口から切断されてなにもなくなっている。
それだけじゃない。
鳥人族の誇りである翼もない。
鳥人族の大きな翼は背に畳むこともできるし、あるいは道術でもっと小さくして首の後ろ側にたてがみのように集めることもできる。
しかし、麗芳の背にはなにもなくなっている。
わずかに翼が繋がっていたと思われる部分に鋭利な刃物で翼そのものを切断したとしか考えられない痣があるだけだった。
こいつらは麗芳の頭を薬物で破壊しただけではなく、鳥人族の象徴である翼を切断し、そして、腕までも切断したのだ。
どうしてこんなに残酷なことができるのだ──。
「だ、大旋風──。これはお前の仕業か──」
魔凛は叫んだ。
気がつくと、大旋風に組みついて襟首を掴んで締めあげていた。
もう青獅子がなにを言おうが、咎められようがどうでもいい。
麗芳をあんな姿にしたこいつらを許すわけにはいかない──。
絶対に殺してやる──。
「俺の仕業というのはどれのことを言っているんだ? 麗芳をさらったのは確かに俺だが、俺はその麗芳に化けてお前についていなければならなかったから、麗芳に手を出したのはこいつらさ──。この連中は、ちょっとばかり、強い媚薬を麗芳に使いすぎて、すっかりと頭をいかれさせてしまったらしいな……」
「なっ……」
魔凛は絶句した。
こいつら全員か……。
「魔凛、この映像の麗芳は、尻穴に道術で抜けないようにした強烈な媚薬の座薬を挿しぱなしにしているときのものらしいぜ──。俺もさっき見てきたばかりだが、お陰でいまでも麗芳はあの調子だったぜ──。あいつには白痴の雄奴隷をあてがってやったが、嬉しそうにその雄奴隷の一物に股を擦りつけていたな。いまでも、その立体映像そのものの姿で白痴相手に珍棒をねだっているんじゃねえかな……」
「き、貴様ら……ゆ、許さん……」
「許さ菜ならどうすんだ、鳥人族の族長殿。ああ、それから、腕を叩き斬ってやっとのは俺だ。放っておくと四六時中自慰をやりやがるんで、両腕を切断してやったのさ。さもねえと死ぬまで自慰を続けそうな感じだったしな。ちゃんと道術で治療してやっているから綺麗な切断面だったろう──」
大旋風は魔凛に襟を絞められながら大笑いした。
魔凛はそのまま大旋風を床に押し倒した。
しかし、数名の側近たちに身体を掴まれた。
腕や胴体を掴まれて強引に大旋風から引き離される。
「き、貴様──。ゆ、許さん──。こ、殺してやる──。殺してやるからな──。れ、麗芳を戻せ──。ここに連れて来い、大旋風──。麗芳はどこだ? どこに監禁しているんだ?」
魔凛は数名の男の亜人たちに羽交い絞めにされながら喚いた。
しかし、大旋風はわざとらしくゆっくりと立ちあがると、服の汚れを払う仕草をした。
その余裕たっぷりの態度にまた血がのぼる。
激情のまま、再び掴みかかろうとしたが、それは魔凛を掴んでいる男たちに阻止された。
大旋風が床に転がっている『映録球』を拾いあげた。
哀れな麗芳の立体映像が消える。
麗芳がどこにいるのかわからないが、立体映像にわずかに映った周囲の情景から考えると、この魔王宮の地下のような気がする。
魔凛は複数の青獅子の側近たちに身体を抑え込まれながら、麗芳を助け出す方法を探して頭を巡らせた。
すべてのことが魔王である青獅子の仕掛けなのであれば、麗芳を救いだすのも容易ではないのかもしれない。
いまでこそわかるが、おそらく、青獅子にしても大旋風にしても、こうやって魔凛たちを追い詰める機会を探していたのだと思う。
もしかしたら、鳥人族の一族と離されて、五十人ほどの親衛隊のみを率いるだけで、この青獅子軍の遠征に参加させられたことも、魔凛に対する大きな罠の一部だったのかもしれない。
そう考えて、魔凛は玉座に座ってこっちを平然と見守るだけの青獅子に視線を向けた。
青獅子は優越感に浸った表情でほかの男の亜人たちに押さえつけられている魔凛を眺めていた。
その青獅子の表情で魔凛は、さっきの映像にあった麗芳への仕打ちについても青獅子が糸を引いているということを悟った。
嵌められたのだ──。
その思いが魔凛の血を沸騰させる。
その時、魔凛は自分を冷ややかな表情で見つめている
さっきまで青獅子の股間をしゃぶらされていた李媛は、いまはそれは許されて、娘たちと同じ姿勢で青獅子の玉座に首の鎖を繋がれた犬のように四つん這いの姿勢をとらされていた。
自分たちをこんな境遇にした魔王軍の内紛のような状況に接している彼女たちは、その結果青獅子たちの卑劣な罠に陥りかけている魔凛に冷酷な視線を向け続けている……。
そのとき、いきなり背後から膝の後ろを蹴飛ばされた。
「ぐっ」
そのまま膝立ちの姿勢を強要される。
両腕は別々の男に背中側に捻じ曲げられて固定され、さらに両側と真後ろにもほかの亜人の男が魔凛を押さえるように立つ。
魔凛は膝立ちの姿勢を真っ直ぐに青獅子に向かって固定された。
腰に差していた水晶の杖が抜き取られて大旋風に渡される。
大旋風はその杖をそのまま青獅子のところに持っていった。
「魔凛、お前の捕縛にはもっと手こずるかと思ったが、案外呆気なかったのう。
青獅子が魔凛の武器である水晶の杖を受け取って言った。
これで青獅子単独の判断というわけではなく、金凰魔王までも承知している魔凛の追放劇だとわかった。
魔凛の心に絶望感が駆け巡る。
五、六人の屈強な青獅子の側近たちに、身体を押さえつけられて、もはや身動きもできない魔凛は口惜しさに血の出る程に唇を噛みしめた。
「そういうことだ、魔凛……。お前はこれで終わりだ。これからは総司令官でもなく、金凰魔王軍の女将軍でもなく、この俺の性欲を発散するためのただの淫具だ──。お前がすっかりと俺に調教されれば、麗芳にはいずれ会わせるさ……。それよりも、道術契約の履行をしようぜ、魔凛」
青獅子の前から戻ってきた大旋風が魔凛の前に立ちはだかって言った。
はっとした。
そういえば、大旋風は道術契約の示す勝者になった場合は、魔凛を衆人の前で犯すと言っていたはずだ……。
「わ、わたしをここで犯すつもりか……」
しかし、それを聞いて大旋風が爆笑した。
「もちろん犯すが、それはもっと後の話だ。お前には俺の性欲解消の淫具に成り下がってもらうぜ。一切の命令に逆らえない哀れな俺の道具にな」
大旋風はそう言って、懐から銀色の首輪を取り出した。