※この作品はR-18です。

嗜虐西遊記【完結】   作:ドン・ドナシアン

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463 雌畜の鼻輪

「やっと、覚醒したのね。お前の身体はどうなっているのよ、宝? 気を失うことができないように経絡を突いているのに、すぐに失神してしまうわよねえ……。お陰でなかなか施術が進まないじゃない──。まあ、終わったけどね」

 

 不意に頭の上から声がした。

 それが輪廻(りんね)という変態女医の声だということがわかった。

 宝玄仙の人格では輪廻の声に接するのは初めてのはずだが、すぐに認識できることを考えると、どうやら宝玉の記憶は完全に宝玄仙に結びついたようだ。

 

 それにしても随分と床が間近に見える。

 ほとんど顎の真下が床だ。

 それくらい顔が床に近い。

 お陰で顔をあげても眼の前の相手については、宝玄仙の前に立っている者の足しか見えない。

 いま眼の前にあるのは白い前掛けが膝下まである女の足だ。

 これが輪廻なのだろう。

 

 どうやら、宝玄仙は輪廻の診療室という場所にまだいるようだ。

 ただ、宝玉の記憶と違い、施術台のような場所からは身体が下ろされている。

 宝玄仙は四つん這いで直接に自分の手足で床の上に立っているのだ。

 

 腕と脚は途中で切断されて、四つ脚の家畜のような身体にされている。

 それは意識の部屋で知覚した通りだ。

 そして、ぎょっとした。

 前肢になる部分の腕はほとんど肩の付け根近くで切断されていたのだが、切断面に続いて先端が大きくふたつに分かれた蹄がついている。

 前の指を支えるように蹄の後ろ側に小さな指のようなものがあって、前にかかる体重を支えている。

 つまり、切断された腕に四本指の蹄がついているのだ。

 これは豚の肢だ。

 

 そういえば、宝玉が説明した輪廻の施術の中に宝玄仙の切断した手足の先に豚の蹄を移植させるというものがあった。

 これがそうなのだろう。

 この宝玄仙の身体を豚の肢に変えるとは……。

 

 全身の血が怒りで沸騰しそうになった……。

 どうやら後ろ肢も同じようになっているようだ。

 しっかりと蹄で床を踏んでいる感触が身体に伝わってくる。

 

 しかも、切断された宝玄仙の後ろ肢は膝上くらいまでの長さが維持されているのに対して、前肢になる腕が短くされているので、四つん這いになっている宝玄仙の身体は極端な前傾姿勢になっている。

 後ろから見れば大きく尻をかかげて、尻穴を曝け出しているような格好だろう。

 宝玄仙をこんな身体に変えて辱めようとしているこいつらに肚が煮えくり返る。

 

「ふん、宝の覚醒がうまくいかんのは、お前の腕が未熟なだけだけじゃろう、輪廻」

 

 宝玄仙の視界にくるぶしまでの下袍とサンダル履きの足が入った。

 サンダル履きから覗く足は老人のもののようだ。

 これが蝦蟇婆(がまばあ)だと思った。

 

「いや、なにか宝の身体には秘密があるのよ。ちょっと調べさせてよ、蝦蟇婆。とても興味深い個体だわあ」

 

「断る──。お前に預ければ、それこそ人体実験の玩具になって宝が死んでしまうわい。こいつは大事な雌畜なんじゃ。わしがそれを青獅子陛下から預かっとるんじゃ。万が一があれば、わしの首が飛ぶわい」

 

「まあ、そんなことあるわけないじゃないの。わたしは医師よ」

 

「実験好きの変態のな──。とにかく、施術は終わったんじゃろう? ならば、後はわしが預かって家畜として調教する……。次は母乳の施術の続きをするときに連れてくるわい。二日後でいいんじゃな、輪廻?」

 

「まあね……。でも、あんたの調教部屋と飼育部屋にちょくちょくわたしも顔を出すわ。そっちから連れてくるには及ばないわ、蝦蟇婆。本当にわたしはその人間族の女に興味があるのよ。観察だけでもさせてよ」

 

「見るだけならな」

 

 蝦蟇婆がそう言って、すっと宝玄仙の前にしゃがんだ。

 かなり視界の上側にしわくちゃの蛙のような顔が入ってきた。

 その蝦蟇婆が金属の輪っかをすっと宝玄仙の顔に寄せた。

 

「な、なんだい──?」

 

 思わず叫んで顔を横に向けて避けようとしたが、簡単に鼻にその輪っかを装着された。

 自分の鼻にぶら下げられたものの正体がわかって、宝玄仙は自分の目を疑った。

 これは鼻輪だ──。

 宝玄仙は全身が怒りで震えるのがわかった。

 鼻の中の左右の穴を隔てる壁に穴を開けられているようだ。

 そこに鼻輪を通されたのだ。

 

「な、なにすんだい、このくたばり損ない──」

 

 宝玄仙は思わず怒鳴った。

 するとしゃがんで宝玄仙の顔を覗き込むようにしていた蝦蟇婆がびっくりしたような表情になった。

 

「く、くたばり損ないって……。お前、宝かい? どうしたんだい? さっきまでめそめそと泣くばかりだったのに、いきなり元気になったねえ?」

 

 蝦蟇婆は呆気にとられている。

 

「こ、この宝玄仙にこんなことして覚悟はできているんだろうねえ──。この蝦蟇蛙(がまがえる)──」

 

 宝玄仙は怒鳴った。

 それにしても股間の疼きがかなり大きい。

 じんじんと強い刺激で宝玄仙を苛んでくる。

 こうやって怒りのまま怒鳴っていても、肉芽に施された改造施術によって皮の下の陰核の表面を動き回る極小の粒が宝玄仙の官能をどんどん膨張させていくのだ。

 宝玄仙は怒鳴りながらも身体が痺れたように官能の気だるさに包まれる自分を感じていた。

 

「か、蛙だって──。ほ、宝、それはわしに言ったのか──? 許さんぞ、お前──」

 

「へ、へん──。許さなけりゃ、どうするんだい──。蛙女──。げろげろとでも鳴くのかい──」

 

 宝玄仙は喚いた。

 すると横で輪廻が爆笑する声が聞こえた。

 

「な、なにが可笑しいんじゃ、輪廻?」

 

 蝦蟇婆が声をあげている。

 

「面と向かってお前に蛙だと言った女を初めて見たからねえ──。そりゃあ、蛙に似ている顔だし、名前が蝦蟇じゃあ、みんな心では“蝦蟇蛙”だと呼んでんだけど……。だけどあんたは青獅子陛下のお気に入りだし、陛下お抱えの調教師のお前にそんなことを口にする者はいないんだけどねえ……。それがよりにもよって、施術で家畜の姿にしてやった人間族の女が口にするなんて……。ははは……ああ、おかしい……」

 

 輪廻がさらに笑い転げている。

 

「お、お前がなにがおかしくて笑っているのかさっぱりわからんわい──」

 

 蝦蟇婆が怒鳴った。

 そして、宝玄仙の鼻輪にすっと、蝦蟇婆が持っていた金属の杖の先が近づいた。

 ぎょっとなる。

 

「ひ、ひぎいいっ──。や、やめておくれ──ひいっ──」

 

 宝玄仙は絶叫した。

 いきなり鼻輪が天井方向に道術で吊りあげられたのだ。

 宝玄仙の鼻が引っ張られて、頭の奥に針を刺されたような激痛が走る。

 鼻輪が蝦蟇婆の持つ杖に導かれて引っ張られている。

 蝦蟇婆の持っている金属の杖の先が上昇すると鼻輪がそれに引っぱられるように上昇するのだ。

 宝玄仙は鼻輪を引っ張られる痛みに悲鳴をあげた。

 しかし、容赦なく鼻輪は引きあげられる。

 宝玄仙は後ろ肢で身体を起こすような態勢になり、背筋をぴんと伸ばしたように直立した。

 だが、蝦蟇婆の杖はさらに上にあがって完全に天井の方向を向く。

 宝玄仙の顔は鼻を上にして限界まで引きあげられる態勢になった。

 痛みで眼からぼろぼろと涙がこぼれる。

 

「や、やめておくれ──。ひ、ひぐうっ──」

 

「痛いかい、宝──。これが家畜の痛みだよ。口の利き方を忘れるとこうなるんだよ。わかったかい──」

 

 鼻輪は見えない力に引っぱられるように空中に伸びあがって蝦蟇婆が上に向けている金属の杖の先に近づこうとする。

 しかし、宝玄仙の鼻がくっついているので、それ以上は上昇することができずに宝玄仙の鼻を凄い力で引っ張りながら空中に静止している状態だ。

 宝玄仙の鼻に耐えられない痛みが走り続ける。

 鼻の穴からは鼻水も垂れ流れているようだ。

 しかし、腕のない宝玄仙にはどうすることもできないし、暴れればさらに痛みが増すことになる。

 宝玄仙はどうしていいかわからずにただ泣き叫ぶだけだった。

 

「ほらっ、許して欲しければ、詫びるんだよ、宝──」

 

 蝦蟇婆が天井を向けている金属の杖を左右に振った。

 するとそれに誘導されるように宝玄仙の顔を引きあげている鼻輪も左右にぐいぐいと動く。

 脳天に刃物が突き刺すような痛みに宝玄仙はさらに涙をこぼした。

 

「わ、悪かったよ──。ゆ、許しておくれ──ひぐうっ──ひっ、ひいっ──ゆ、許して──」

 

「誰が人間の言葉で謝れと言った。豚の声で謝るんじゃ」

 

 蝦蟇婆の杖が空中で嫌がらせのように上下左右に動く。それに応じて宝玄仙の鼻輪も上下左右に宝玄仙の鼻を引っ張り動く。

 

「ぶ、豚──?」

 

 かっとなってまた怒鳴ろうとしたが、鼻輪を杖で引きあげたまま、蝦蟇婆が部屋を歩き出した。

 宝玄仙は自然に後ろ肢だけの不安定な姿勢で慌てて歩いた。

 しかし、脚先の豚の蹄は立った状態だと、異常なほどに不安定だ。

 すぐによろめいてしまって、そのたびに鼻に激痛が加わり脳天に殴られたような痛みが走る。

 

 また、このことで宝玄仙の手脚の先に豚の蹄を移植したのは、単に宝玄仙を辱しめるためだけではなく、四本脚でなければ歩けない身体にするためでもあるとわかった。

 豚の蹄は二本肢で立つには不安定で、とてもじゃないが直立の態勢を保てない。

 それなのに蝦蟇婆は、宝玄仙を鼻輪で立姿を強要して、よろめく宝玄仙を鼻輪で痛めつけるのだ。

 

「ひぐうっ──や、やめておくれよう──」

 

 宝玄仙は鼻輪に引っぱられて歩かされながら、懸命に身体の平衡を保たせつつ叫んだ。

 

「人間の言葉を使うなと言うたじゃろうが、豚が──」

 

 蝦蟇婆が杖を動かす。宝玄仙はあまりの激痛に股間の疼きさえも忘れて悲鳴をあげて、ただ杖を追いかけて歩き進んだ。

 

「ぶうっ、ぶうっ、ぶうっ……」

 

 ついに宝玄仙は豚の鳴き真似をした。

 

「声が小さいねえ──。もっと、でかい声で叫ぶんじゃ」

 

 蝦蟇婆の杖がやっと停止した。

 しかし、鼻輪を上方に引きあげているのはそのままだ。

 

「ぶうっ、ぶうっ──」

 

 とにかく宝玄仙はありったけの声で叫んだ。

 やっと蝦蟇婆が満足したように笑った。

 

「これからは豚の声以外で喋るんじゃないわい。わかったか、宝──」

 

 少しだけ冷静になった口調の蝦蟇婆が言った。

 しかし、その蝦蟇婆の言葉に逆に宝玄仙の怒りが再熱した。

 

「だ、誰が──。ふざけるんじゃないよ、蛙(かえる)──」

 

 もう一度宝玄仙は怒鳴った。

 また、杖が左右に振るように動かされる。

 宝玄仙の鼻輪も大きく動き、また泣き叫ばされる。

 

「まあまあ、婆さん、ゆっくりとやっていこうよ……。時間をかけて躾ければいいじゃないさ。それが調教師なんでしょう? それに痛みを与える責めじゃあ、宝の女陰の中の魔法柱は成長しないんだよ。快楽責めにしなきゃ」

 

 蝦蟇婆の前に十歳くらいの毛深い亜人の男の子が割って入るように進み出てきた。

 これまで輪廻とともに、部屋の隅で蝦蟇婆の権幕を笑って見守っていたのだ。

 これは寧坊(ねいぼう)だ。

 

「ふん……。わ、わかっとるわい──」

 

 寧坊が宥(なだ)めたことで、少し冷静になった感じの蝦蟇婆が顔を赤らめた。

 蝦蟇婆は杖を下に下ろすような仕草をした。

 しかし、寧坊がその下ろそうとした蝦蟇婆の杖を留めた。

 

「でも、凄いね、お前──。さっきとはまるで人が変わってしまったみたいだよ。輪廻先生に施術を受けたときの宝といまの宝は一緒?」

 

 寧坊が手になにかを持って宝玄仙の乳首に近づけてくる。

 しかし、顔を思い切り上にあげられている宝玄仙にはそれを阻止する手段はない。

 宝玄仙の右の乳首の根元に寧坊が手にしていたものがくるくると巻きついた感触がした。

 

「くっ……な、なんだい、これっ……」

 

 顔が下げられないのでよく見えないが、乳首になにかをぶら下げられたようだ。

 しかも、なにか重みを感じる。

 さらに左も……。

 

「お、お前……。な、なにをしてんだい、寧坊──?」

 

 宝玄仙はじりじりとした痺れを乳頭に感じて顔をしかめた。

 乳首が怖ろしく敏感になっている……。

 いつか千代婆に壊されて、恐ろしい感度まであげられた乳頭の性感がまた呼び戻された感じだ。

 あれから道術による快感制御と『治療術』による表皮の鈍化処置によって抑えていたのだが、それがすべて元通りの状況になっている気配だ……。

 

「おうおう、怖いねえ──。婆さん、もういいよ」

 

 寧坊の言葉でやっと蝦蟇婆が杖をすっと下ろした。

 鼻輪に加えられていた力がなくなり、宝玄仙は身体を倒れるように前のめりに崩した。

 そのとき、がちゃんと音がして乳首につけられていたものが床に触れた。

 

 その瞬間、雷のような衝撃が全身に拡がり身体を震わせた。

 驚いて顔を曲げて胸元に視線を向けると、乳首の下半分を覆うように金属の輪が締めつけられていた。

 その輪には下側に金属の細い板が伸びていて、前肢となる腕が短いことで、床に擦りつくくらいに垂れ下がっている宝玄仙の乳首からその板が床に垂れ落ちるようになっている。

 それが地面に当たったときに強い刺激が乳首に伝わってきたのだ。

 

「あ、ああっ……」

 

 やはり怖ろしく乳首が敏感にされていることがわかった。

 ただぶら下げられている金属の板が床に当たっただけで、もの凄い快美感が襲ったのだ。

 宝玄仙は歯を喰いしばって乳首の痺れが収まるのを待った。

 しかし、じんじんという疼きはずっといつまでも続く。

 

 しかも、いまでも股間の肉芽に虫が這いまわるような妖しい刺激がとまらない。

 こうしてじっとしていても激しい疼きが全身に襲いかかる。

 いつの間にか股間がびっしょりと湿っているのがわかった。

 すると魔法柱を挿入されている膣からつっと淫液が落ちる感触がした。

 

「僕からの贈り物だよ、宝。それをつけていれば歩くたびに、金属の板が床を擦っていい気持ちにしてくれるからね。そのうち宝の乳房を豊乳して大きくするらしいけど、そのときは飾りがなくても乳首が床に擦れるようになると思うから外してあげるよ。それまではそれで愉しんでね」

 

 寧坊が無邪気そうな口調で言った。そして、にこにこと微笑みながら、宝玄仙の顔の涙の痕と鼻水を拭いてくれた。

 口調は優しげだが、小馬鹿にしたような寧坊の物言いにも宝玄仙はかっとなった。

 

「じょ、冗談じゃないよ……。お、お前がわたしを躾けるなんてまねは、せめて性器に毛が生えてからにしな。ちょっと男根を見せてごらんよ──。毛が生えているのかどうか確かめてやるよ……」

 

 宝玄仙は悪態をついた。

 すると頭の上から寧坊の笑い声が聞こえてきた。

 

「僕の一族は毛深いのが特徴でね。お陰さまでもうしっかりと陰毛もあるよ──。でも、その感じなら大抵の調教と躾は大丈夫だね。宝の気力がしっかりとしていると、それだけ淫気が安定して、質のいい魔法石ができるんだ」

 

「ほ、ほざくんじゃないよ、子供が──」

 

 宝玄仙は寧坊と蝦蟇婆の足を見ながら言った。

 それにしても嫌がらせのような態勢だ。

 かなり顔を上にあげないと眼の前の人間の顔は見えず、通常の視界では相手の脚しか見えないのだ。

 相手の足しか見えない姿勢というのがこんなに屈辱感を覚えるものとは思わなかった。

 その惨めさが宝玄仙の恥辱を助長する。

 

「ところで、宝、その乳首は以前に施術を受けているのね。乳首の鋭敏化の施術を受けていたようだけど誰に受けたのか教えてくれない? 随分と腕のいい業師の仕業と思ったわ。薬物のようなもので毛細管を媚薬漬けにして感度をあげられたのね……。そんな方法もあるのかと感心したわ──。ねえ、誰の施術なの?」

 

 輪廻が横から言った。

 乳首の鋭敏化の施術をしたのは千代婆だ。おかしな媚薬で身体の改造をしたのだ。あのときの屈辱はいまでもはっきりと覚えている。

 

「お、お前に関係ないよ、変態女──。い、いつか仕返してやるからね──。覚えておきな」

 

 宝玄仙の言葉に輪廻が嬉しそうに笑った。

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