「あらあら、焦らし抜かれて、けっこう頭に血が昇ったようね」
不意にすぐそばで女の声がした。
沙那はびっくりして顔をあげた。
いつの間にか沙那の両側にあられのない薄物一枚だけの衣装を着けた春分と秋分が立っていた。
顔をあげた沙那に映ったのは腰の括れの部分までしかない薄い布の服を身に着けているふたりの後ろ姿だ。
後ろからだがふたりがその薄物の下には胸当てなどの下着も身に着けていないのがわかる。
こちらからでもはっきりとふたりの背中の肌が透けて見えるので、前から見ればふたりの乳房も客たちに透けているに違いないと思った。
そして、ふたりは腰を覆う黒い革の下着を履いていた。ふたりが着ているのはそれだけだ。
店にいた数十人の亜人の兵が歓声をあげている。
しかも、まるで爆発するような声だ。ふたりの登場に場内が興奮に包まれている。
「あ、あんたら、いったいなんのつもりなのよ──。こ、これはどういうことよ?」
沙那はやっと現れた春分と秋分に声をあげた。
「この店の名物の出し物である人間族の女の強姦の見世物よ。毎日、ここでは若い人間族の女を連れてきて強姦する見世物を見せているんだけど、今日はあんたがそれに出ているのよ……。それにしても、いつにない盛りあがり方だったわ。いつも、その辺りから無理矢理拾ってくるから、人形のように打ちひしがれている娘ばっかりで面白くないんだけど、あんたって最高だわ──。激しく悶え狂ったかと思うと、怒って怒鳴ったり、そうかと思うと、泣き出したり……。本当に面白い──」
春分がそう言って笑った。
観客が春分のその言葉にあおられてどっと声をあげる。
沙那はかっとなった。
すると春分と秋分の沙那の前に立っている状態だったふたりが振り返った。
「な、なんですって──? あっ、そ、それっ──?」
振り返ったふたりの姿をやっと前側から観察することができた沙那は、ふたりの格好に絶句した。
そして、どうして、こんなにも大きな歓声になっているかもわかった。
ふたりが腰に履いている革の下着には、男の性器を模した真っ黒い張形がそそり勃っていたのだ。
つまり、強姦の見世物とかいっている余興でこれから沙那をここで犯すのは、この春分と春分のふたりだということのようだ。
それにしても、いったこれはどういう状況なのか……。
そして、宝玄仙はどうなったのか?
孫空女は……? 朱姫は……?
「ねえ、教えてよ。わ、わたしの仲間どうなったの? ご、ご主人様はどこよ? 孫空女や朱姫は?」
沙那は叫んだ。
しかし、ふたりはにこにこと笑うばかりだ。そして、拘束した沙那を前後に挟むように立つ。
その沙那の着ている上衣の前ぼたんを秋分が外していく。
頭の横の丸い耳の房毛に桃色の毛が混じっているのが秋分であり、真っ白い房毛が春分だ。髪の中にはふたりとも一本角が隠れてもいる。
それ以外はふたりはよく似ている。
瓜二つといっていい。
双子かもしれない。
秋分によって、すでに汗びっしょりで乳房のかたちをはっきりと浮き立たせていた沙那の上衣が後ろにはだけられる。
沙那の乳房が剝き出しになり、おおっという歓声があがる。
「な、なにすんのよ──」
沙那はかっとして怒鳴るが、それさえも酔客を盛りあげる演出のようになってしまっている。
沙那がいくら悪態をついても、客が悦んでわっと笑うばかりだ。
そして、両手を吊っている鎖が引き揚げられた。
沙那は膝立ちの姿勢から爪先立ちの姿勢まで身体を引き揚げられる。
膝と膝を固定している鉄の棒も同時に外された。
しかし、相変わらずの足首の革帯が重くて、自分の脚なのに自由に動かない。
「さあ、あなたの役目は、ここに集まっている兵の憩いのために派手によがり狂って、彼らに愉しんでもらうことよ」
秋分が沙那の背後に回った。
「い、いい加減に……。さ、触んないでよ──?」
沙那は嫌な予感がして身体をよじらせた。
しかし、両手を上に吊りあげられている沙那の抵抗など、秋分にとっては意味をなさない。秋分によって沙那の乳房が揉みあげられ始める。
「あはあっ──、い、いやあっ──はっ、あああっ……」
沙那は必死で声を殺そうと思ったが、秋分に乳房を揉まれて乳首を指で刺激さて全身の芯が溶けたような感じになってしまった。
「舞台袖で眺めていたけど、随分と淫乱な身体よねえ……。あたしたちは、あんたを
秋分が沙那の乳房を揉みながら笑った。
「あっ……そ、そこは……」
沙那は身悶えた。
白象魔王?
その言葉が沙那の記憶の情報と結びついた。
そう言えば、牢の中で沙那たちを捕らえたのは、青獅子という魔王だとも教えられた。
青獅子、白象……。それは、もうひとりの
一大王、二大王、三大王とも呼ばれ、この三人の魔王は、それぞれに数万の亜人軍を支配しており、外縁地域と人間が呼んでいる地域の一部を支配していた。
だが、沙那が事前に集めた情報では、その勢力地はずっと南側のはずだ。
しかし、どうやら三大王こと青獅子魔王が北上して、この人間族の王国である竜飛国の北部の獅駝をその支配下に治めたようだ。
沙那たちは、その戦に巻き込まれたのだろう。
そのとき、眼の前でぱちりと春分が指を鳴らした。
すると沙那が履かされていた革の貞操帯が外れて足元に落ちた。
思わず見下ろした沙那が顔を赤らめるほどに、貞操帯の内側は沙那の蜜で溢れていた。
「これじゃあ、なんにも前戯はいらないわね」
春分が苦笑した。
両手を吊っている鎖が動いて沙那を横向きにする。
乳房を揉んでいる秋分も動いて、ふたりに挟まれる沙那の裸身がよく観客に見えるようにされた。
春分が自分の腰の張形の先端を沙那の亀裂に押し当ててくる。
「ひ、ひいっ、待って、待って──」
「無駄な抵抗よ、沙那」
身体を激しく前後左右に振って暴れる沙那の片側の太腿を抱えて、腰を固定される。春分の張形の先がついに完全に沙那の女陰を捉えた。
「ね、ねえ、教えてよ──。わ、わたしが……、あっ、ああ……白象魔王のところに……い、行くというのはどういうことよ──? わ、わたしの……仲間は……ど、どうなったの?」
沙那は必死で叫んだ。
春分は一度沙那を持ちあげるようにして、張形の先端をあてがうと一気に腰をあげて沙那の女陰に突き挿した。
両手の鎖が少しだけ緩まり、沙那は完全に春分の張形に股間を突き抜かれる。
「あふううっ、あがあっ、あはあああっ──」
すでにたっぷりと濡れていた沙那の股間は、あっさりと春分の張形を根元まで受け入れた。
大きな声をあげて全身を反りかえらせる沙那に、店の亜人の客たちが大歓声をあげる。
「知りたいなら教えておくわ、沙那。あんたたちは、ひとりずつ三魔王さまたちに戦利品として配分されることになったようよ。あんたは白象魔王様、孫空女は金凰魔王様、朱姫は青獅子魔王陛下が身柄をもらい受けるはずよ。あんたと孫空女は移送の準備ができるまで、この城郭で余興代わりにいろいろなことをさせられることになっているはずね」
秋分が沙那の胸を揉みながら言った。
律動が始める。
沙那は湧き起こる情感に我を忘れてのたうち回った。
しかし、胸を揉まれ、張形によって股間を責められると、甘い痺れが子宮を震わせる。
沙那は必死で自分を保とうとするのだが、沸き起こる快感にどうしようもなく悶え喘いでしまう。
とにかく、自分たち三人の供は例の三魔王にひとりずつ配分される予定であることはわかった。
青獅子がこのまま、この獅駝の城郭を支配するのだとすれば、朱姫はここに残るのだろうか……。
そして、白象と金凰への贈り物にされるという沙那と孫空女は、いずれ獅駝嶺の南部にある彼らの支配地域に輸送されるのだろう……。
しかし、宝玄仙は──。
宝玄仙はどうなるのか?
そして、いまどうしているのか……?
「はっ、ははあっ……ご、ご主人様は──? ご主人様はどうなったの──?」
沙那は胸と股間を責められながら声をあげた。
「ご主人様って、あの家畜のこと?」
春分がもう片方の脚も持ちあげながら言った。春分が沙那の股間を貫いたまま、沙那の両膝を左右に大きく拡げた。
張形を受けている沙那の女陰がさらに子宮に向かって食い込む。
「ひおおおっ──」
沙那は絶叫した。
「家畜の宝は、ここでしばらく加工と調教が終わってから、まずは金凰魔王様のところに送られるわ。その後、三魔王の持ち回りと耳にしているけどね」
春分が沙那の股間を乗せた腰を上下に揺らし始める。
淫らな音を立てて黒い張形が沙那の股間を出入りする光景に、店の観客が大歓声をあげた。
「んはあああ、ああああっ」
沙那は込みあがった快美感に堪えられず、酒宴の余興の中で派手な嬌声をあげて絶頂に向かって、快感を飛翔させた。
だが、まさに絶頂の寸前で、春分は律動を中断し、張形を引き抜いた。
恥をさらさずにすんだということはよかったが、沙那の身体には逃げ場を失った快感のくすぶりが残される結果になる。
「さあ、交代さ、秋分。あたしばっかりじゃ、見世物にならないしね。ふたりがかりでいこうよ」
鎖が引き下げられて沙那は前側に屈んだ体勢にされた。
今度は秋分が沙那を後ろから犯すかたちになる。
張形が股間を貫く。
再び律動が再開する。
あっという間に、沙那の身体は快感で燃えあがった。
「ふうっ、あっ、ああっ、ああ……や、やめて……はあ……」
背後から秋分に股間を突かれ、横から春分から胸を刺激される。
沙那は、あまりにも激しい速度で昂ぶる性感にどうすることもできなかった。
ただ、ふたりに翻弄されるまま、全身を貫く痺れに声をあげ続けた。
燃えあがる官能は稲妻のように沙那の身体で暴れ回る。
「本当に淫乱な身体ねえ……。あたしたち、まだほとんど性技めいたことはしていないのよ」
「そうねえ……。そこらへんでいつも拾ってくる人間族の娘の方がまだしっかりしているわ。本当に面白い身体ねえ……。ちょっとばかり刺激を受けたら、まるで人が変わったかのように淫乱な顔になるのねえ」
沙那を挟む春分と秋分のふたりが呼応するように沙那の身体を揺らしながら言った。
だが、すでに沙那にはそのふたりの揶揄に反発したりする余裕がない。
また、観客たちの歓声に大きな羞恥を意識するのだが……いや、意識すればするほど、どうしようもなく身体が熱くなり、さらに悶え狂ってしまう。
「本当にこうやって穴を掘られるのが好きなのね、沙那……。こっちも受け入れられる?」
秋分が張形を一度引き抜き、沙那の後ろの穴に腰の張形の先端を当てた。
沙那は狼狽した。
この状態でさらに後ろにも張形を挿入されたりすれば、沙那の理性は完全に吹っ飛ぶ。
沙那は恐怖した。
「そ、そこは駄目えっ──」
沙那は悲鳴をあげた。
しかし、秋分が沙那の臀部に両手を伸ばして、沙那の双臀を割り拓くようにする。
そこに先端を肛門に当てている秋分の張形がぐっと割ってくる。
「んひいいっ」
沙那は大きく身体をのけぞらせた。
「あらっ?」
「どうしたの、秋分?」
沙那を前から責めていた春分が沙那の身体を揺らしながら声をあげた。
一方で、沙那は自分の悲鳴がどんどん艶めかしいものになり、甘えたようなすすり泣きがそれに加わるのがわかった。
もうどうにもならない……。
後はふたりから与えられる快感に身をゆだねるしかない。
観客たちの嘲笑は続いているが、それはもうどうでもいい。それよりも快感が凄い。
「この女……。お尻の調教も受けているわ──。あたし、てっきり、こんな張形をお尻でいきなり受け入れるなんて無理だと思っていたのに……。だから、痛みに泣くところを観客に見せる演出にするつもりだったのよ……。だけど、この女の尻はなにもしないのに、すっかりとほぐれているわ──。この女、尻にいきなり張形を挿されても痛みなんか感じることはできないと思うわ、姉さん。きっと快感しかないと思うわ」
「それでこの反応なのね……」
春分が笑った。
このふたりの勝手な会話に肚が煮える。
それに反発できない自分に腹がたつ。
「あはああっ──」
沙那は大きな声とともに息を吐きだした。
秋分の張形がついに根元まで肛門で動きだしたのだ。
沙那の快感は暴発して制御を失う。
快美感が脳天まで覆い尽くし、意識を保つのもつらくなる気がする。
「引きあげるわ」
両手を吊っている鎖が上昇し、肛門を秋分の股間に装着している張形で貫かれたまま、身体がまっすぐになる。
お尻の粘膜に張形が擦れて、凄まじい快感が迫り上げる。
「いやああ、んふううう」
沙那は悲鳴をあげた。
「あらあら、口のわりには派手でいやらしい身体ねえ」
春分が揶揄するような物言いをしながら、前から股間を貫いてきた。
鎖があがる。
沙那の足が床から離れた。
「そらっ」
春分と秋分が沙那の身体から手を離す。
「いやああ」
沙那の全体重が二本挿しの張形に加わる。
秋分の手は相変わらず沙那の乳房を揉み続けている。
快感が身体を駆け抜けては加わり、加わっては駆け抜ける……。
全身が溶ける──。
「ああ、な、なにこれっ……も、もうだめ……もう……あ、あんたたち……はあっ……や、やめ……あ、ああ……」
さらに春分の舌が沙那の唇に侵入してきた。
舌で口の中を愛撫され、乳房を揉まれ続け、さらに女陰と肛門を挿し抜かれてふたりの亜人の女から宙吊りの身体を揺らし続けられる。
もうなにがなんだかわからない──。
これ以上耐えられない──。
息がとまる──。
死ぬ──。
「あ、ああ、いく、いく、いく、いく……いくうっ──」
沙那は絶叫した。
ふたりが沙那の狂乱に呼応するかのように沙那の全身を襲っている動きを速くする。
「ひいっ、ひぐうっ──だ、だめ……い、いい……あ、ああ……」
完全に快感の急流に揉み流され続けている沙那は、ここがどこかということも知覚できなくて叫び狂った。
頭の中でなにかが弾けて、全身の力が抜けた。
「可愛いわねえ──。遠慮なくいっていいのよ──」
「本当に身体のどこをどう触っても、簡単に悶え狂ってくれるのは愉しくて仕方がないわ。あんたって、本当にいやらしい身体──。あんたがあんまり激しいから、みんな言葉を失ってあんたに見とれているわよ、沙那」
春分と秋分が沙那の身体を激しく動かしながら笑った、
しかし、沙那にはそのからかいはもう頭に入ってこない。
沙那は雄叫びをあげて身体を痙攣させた。
沙那は、限界まで身体を弓なりにして絶叫した。
「あ、あはああっ──あ、あっ……えっ──?」
だが、その沙那から不意にふたりが身体を離した。
前後の張形がすっと抜け、沙那の脚は支えを失って床に向かってがたりと落ちた。
「えっ……な、なに……?」
沙那は呆然として両、手を上に吊りあげた態勢で左右に立つ春分と秋分のふたりを交互に見た。
いま、まさに絶頂寸前だった。
いや、絶頂の途中だった……。
それが突然に取りあげられのだ。
一体全体、なにが起きたのか沙那にはまったく理解できなかった。
「どうしたの、沙那? そんなびっくりしたような顔をして?」
沙那は余程、呆けたような表情だったのかもしれない。春分が爆笑した。
「だ、だって……わ、わたし……ま、まだ……」
「まだ、なによ?」
秋分も笑った。
はっとした。
それでやっと気がついた。
このふたりは沙那を簡単に絶頂させる気などなかったのだ。
淫具で数刻いたぶった身体をさらにこのふたりで焦らし抜いて責めたてる気なのだ……。
沙那は全身が羞恥で熱くなるのを感じた。
同時にこのふたりが怖ろしくなった。
このまま焦らし責めにかけられれば、自分はおかしくなる。おそらく正気を保てなくなる……。
沙那は愕然とした。
「お願いだから、いかせてくださいって言えば、いかせてあげるかもしれないわよ、沙那……」
春分が激しく笑った。
沙那は歯噛みした。
大勢の観客たちが手を叩いて笑いながら沙那の狂態を悦んでいる。
こんな客たちの前で、自らいかせてくれなんて言えるわけがない……。
「そう……。言いたくないのね……。だったら、いつまでもいくにいけない苦しみを味わうといいわ」
秋分がそう言うと、今度は沙那の背中からお腹にかけての部分をゆっくりと触ってきた。
春分は二の腕だ。
二の腕から脇にかけての場所を一本指で左右から刺激される。
「あ……はっ……」
強い性感帯とはいえない部分だが、それすら、いまの沙那には怖ろしい責めだ。
また、熱くなる……。
絶頂寸前の状態から突然に快感を取りあげられることで、小さくなりかけていた身体の炎が再びとろ火から大きな火のように燃え拡がっていく。
「こんな場所もそんなに感じるの、沙那? ここはそんなに感じる場所じゃないはずだけどね」
「まさに全身が性感帯なのね……。話としては想像したことはあるけど、本当にこういう女もいるのね……」
春分と秋分が悶えの激しくなって沙那に呆れたように言った。